日本の財政状況 すでに財政危機は限界点を超えた 長期金利の近未来

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グラフは毎日新聞より

これまでに、次のように指摘してきました。

・金融危機による世界同時金融破綻を避けるため、各国は低金利と金融緩和により、流動性を供給する
・その原資は国公債であり、世界同時国債増刷とも呼べる
・国債の返済原資はあまり当てがなく、破綻の先送りとも言える
・流動性を回収すると世界経済が突然死するため、回収も出来ない
・インフレ、金利、為替によって、ペーパーマネーの価値を減価することでしか、解決できない

最近、IMFは、次のような報告書を出しています

(引用開始)

G20の先進国の債務残高、2014年にGDP比118%に拡大=IMF
2009年 11月 4日 08:32 JST
[ワシントン 3日 ロイター] 
国際通貨基金(IMF)は3日、主要20カ国(G20)のうち先進国の政府債務残高が2014年に対国内総生産(GDP)比で118%に達するとの見通しを示した。
その一方で、財政支出による景気支援策を縮小するのは時期尚早と強調した。
債務の水準を安定させるために、世界的に金利が最大2%ポイント上昇する必要があると指摘した。
IMFのコッタレリ財政局長は電話会見で「(財政)支援は引き続き適切かつ極めて重要だ。世界経済は回復しつつあるとしても、今回の回復はぜい弱だ」と述べた。
同局長は、2010年を通して先進諸国は景気支援のための財政政策を継続する公算が大きいとする一方で、成長のペースがより速い新興市場国では2010年に財政の引き締めが開始されるとの見通しを示した。
IMFは2009年のG20の財政赤字が平均でGDP比7.9%となり、10年は6.9%に低下すると予想。米国で金融セクター支援から発生する損失が減少することが主因としている。ただ、こうした要因を除けば、G20の先進国の赤字は10年に拡大する公算が大きいとの見方を示した。
最も大きな財政上の調整が必要な国として、英国、アイルランド、スペイン、日本を挙げた。デンマーク、韓国、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデンは債務を適切な水準に維持するための取り組みが不要か、ほとんど必要ないとの見方を示した。

日本の財政赤字は悪化見通し、先進国平均も上回る-IMF
2009年11月04日 07:34更新
国際通貨基金(IMF)が3日に発表した世界の財政調査報告によると、日本の2009年度財政赤字見通しは7月発表の前回報告に比べ0.2ポイント悪化し、国内総生産(GDP)比10.5%とされた。世界の主要先進国の平均である同8.2%を上回る結果となった。
同報告によると、2010年度の日本財政赤字は前回発表時と変わらず10.2%、2014年度には前回見通しより0.4ポイント悪化の8.0%と予想された。
また一般債務の見通しについて、日本の2014年度は前回発表時より6.4ポイント改善されたものの、GDP比で245.6%となり、調査対象19か国のうち最大かつ先進国全体の平均118.4の約2倍となった。日本は社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫すると指摘された。

IMF:先進国の財政赤字削減、刺激策の解消だけでは不十分-報告書
11月3日(ブルームバーグ):
国際通貨基金(IMF)は3日公表した報告書で、インフレ調整後の実質金利の上昇リスクに直面する先進国が債務を削減するには、財政・金融面での刺激策を解消するだけでは不十分との見解を示した。
この四半期報告書はIMFの財政局がまとめた。それによると、IMFは現在、20カ国・地域(G20)の今年と来年の財政赤字が7月時点の見通しより小さくなると予想しているものの、この見通し修正は米金融業界支援向けの支出が少なくなることを主に反映しているという。金融支援を除いたベースでは、社会保障関連の支出が増える一方で税収が減るため、財政赤字は拡大する見込みとしている。
報告書は「財政見通しの悪化に対する金融市場の反応は、これまでのところ控えめなものとなっているが、それで安心してはならない」とし、「単に刺激策を期限切れとするだけでは、多くの先進国で政府債務が膨張への道をたどり続けることになる」と指摘した。

更新日時: 2009/11/04 08:34 JST

(引用終了)

このように、

・G20の財政赤字(平均・GDP比) 
 2009年 7.9%
 2010年 6.9%
・G20のうち先進国の政府債務残高(GDP比) 
 2014年 118.4%
・「アメリカでの金融セクター支援による損失が減少」という要因を除けば、G20の先進国の赤字は2010年に拡大
・英国、アイルランド、スペイン、日本は、最大の財政調整が必要

その日本に関してみると

・財政赤字見通し(GDP比)
 2009年度 日本 10.5% (世界主要先進国平均 8.2%)
 2010年度 日本 10.2%
 2014年度 日本 8.0%
・一般債務見通し(GDP比)
 2014年度 日本 245.6% (先進国全体の平均 118.4%)
 >調査対象19か国のうち最大
 >社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫

となります。国際的に日本を見ると、金融危機で直撃弾を食らっていない割には、ダメージが大きすぎるという印象です。これは、日本がもともと持っていた財政的脆弱性が、今般の世界同時金融危機であらわになった、という理解の方が近いのかもしれません。

さて

皆様ご存知のように、来年度予算においては、税収<国債発行額、となり、財政非常事態となっています。

税収    約38兆円
国債発行 約44兆円

すでに、日本の国家債務は、維持可能性がありません。可能性としては、長短金利を低金利に抑えつけて金利支払いを抑制し、流動性を供給して国債を買わせるという、「花見酒」、つまり先送りをするしかないのです。

最近、「事業仕分け」が、弁護人不在のまま進められる刑事裁判のようだとして話題になっています(にしても、満足な自己弁護できない被告側にも問題がありそうです)が、2010年度予算の一般会計歳出総額は90兆円を超え、過去最大の規模になる見込みです。

さて、以下の問題についてはどうでしょうか?

①実際に、国や地方の資金繰りがつかなくなり、大きな混乱を引き起こすこと
②国債の信認の度合いである、国債長期金利が上昇すること
③それ以前に、パニック的な逃避行動により、取り付け騒ぎが起きること

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①については、何度も述べていますように、ロシアや昔の中国(清)のような、国債の紙切れ化は起こらないと考えています。日本の場合は、それを回避するために、金融緩和・低金利によるロールオーバー(借金の延期)や、最悪のケースとして徴税権による穴埋めが可能だからです。
皮肉なことに、低金利を続ける限り、個人向け国債のような個人向け債券は売れ行きが芳しくありません。個人の貯金を取り込み、悪く言えば人質にとり、最悪のケースとして徴税権と相殺したいと考える国にとっては、頭の痛い事態でしょう。

ただし、国債デフォルトをなりふりかまわず回避するその過程で、物価・金利・為替による、通貨と国債の価値調整が行われることは、避けられないと見ています。

②については、ふたたび、じわじわと長期金利が不気味な上昇を見せています。これが、ずっと続くトレンドなのかは分かりません。

③については、そのリスクは常に存在します。

まさにこれからの数年は、ポストサブプライムとして、考えられない異常事態が発生する可能性があります。冷静に事態を把握し、落ち着いて行動されることをお勧めします。

(引用開始)

長期金利上昇を危惧、財政悪化懸念の是正に努める=財務相
2009年 11月 10日 12:06 JST

[東京 10日 ロイター] 藤井裕久財務相は10日の閣議後の会見で、国債市場で長期金利が上昇傾向にあることを非常に危惧(きぐ)しているとし、市場に広がっている財政悪化懸念を何としても是正しなければならないと語った。
その上で、2010年度予算の編成にあたっては長期金利が上昇傾向にあることを最も重視し、麻生政権が決定した2009年度の新規国債発行額の約44兆円をめどに国債市場の信頼を得るよう努力すると語った。

 <10年度予算編成、長期金利上昇傾向を重要視>
藤井財務相は、1.4%台後半に上昇している長期金利を「非常に危惧している」と述べるとともに、足もとの長期金利上昇は財政悪化懸念を反映しており、「それに対する是正を何としてもしなければならない。歳出のカットは、全てそこに目的があるという気持ちでやっている」と強調した。
これを踏まえ、2010年度予算編成について「一番大事なことは金利が上昇傾向にあることだ」と繰り返し、「国債市場の信頼を一番大事にしている。信頼を失うと国益を損なう」と指摘。
マニフェスト(政権公約)に掲げた政策の実行と国債発行との関係では「マニフェストの政策は公約であることは間違いない。それをやり、国債市場の信頼を得ることは、ある程度、やれると確信している」としながら、前政権が決めた補正予算を含めた2009年度の国債発行額である「44兆円をめどに置き、極力、国債市場の信頼を維持できるよう頑張る」と語った。
(ロイターニュース 伊藤純夫)


長期金利、一時1.485%に上昇 財務相「非常に気にしている」

10日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが一時、前日比0.010%高い1.485%に上昇した。6月16日以来、約5カ月ぶりの高水準。株価の上昇に加え、来年度予算編成や国債増発への不透明感が意識され、売りが先行した。ただ、藤井裕久財務相が歳出削減を徹底することなどを改めて強調。その後は買い戻しも入った。
藤井裕久財務相は10日の閣議後の記者会見で、長期金利の上昇について「非常に気にしている。国債市場の信頼を失うと国益を損なう」と述べた。背景には財政悪化への懸念があると指摘したうえで、2010年度予算編成に関し「(財政悪化の)是正は何としてもやる。歳出を切るのはそれが目的だ」と強調。10年度予算の新規国債発行額を44兆円以内に抑える考えを改めて強調した。(12:19)


長期金利:4カ月ぶり高水準 終値1.475%

週明け9日の東京債券市場で、長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りの終値は、前週末終値より0.025ポイント高い1.475%と、直近の高値だった8月の1.46%を突破、約4カ月半ぶりの高水準となった。
週末に英国で開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、金融危機の原因とされる「世界経済の不均衡」の是正に取り組むことで合意。内需拡大を迫られた日本の財政健全化が遅れるとの見方が強まった。また、峰崎直樹副財務相が7日の講演で、10年度の国債発行額が政府目標の44兆円を超える可能性に言及したと報じられたことも、需給悪化懸念による国債売却の動きにつながった。
上昇幅は4営業日で0.1ポイントに達し、みずほ証券の上野泰也氏は「財政拡張に傾斜している政府への市場の警告、という意味合いがある」と指摘している。【山本明彦】

毎日新聞 2009年11月9日 20時10分(最終更新 11月9日 21時30分)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-11-12 12:59 | 経済状況
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