国家破綻について 2つの質問 金利安定の理由となかなか破綻しない理由

①長期金利の動向は、今のところ、国債が割と順調に消化されていることを示している。これだけ大量の国債を発行しているのに、なぜ金利は2%以下で安定しているのか?

②「財政が赤字だから破綻するのだ。」とは言えないのではないか。財政赤字が長期間続いているにも関わらず、破綻しないのはなぜか?今破綻しないなら、どのような段階で破綻するのか?

という疑問があります。

まず、考えていただきたいのは、

『日本国の債権・債務の関係が、バランスし続ける保証はどこにもない。つまり、誰かが、日本国の債務を引き受け続ける保証はどこにもない。』

ということです。また、日本政府のB/Sは、すでに債務超過しており、国民金融資産と同程度の巨額になっているという計算も可能です。メインページの記事をご覧ください。その上で、

①金利が安定しているのは、政府・日銀が金融緩和、低金利政策を続けているせいです。ではなぜ国債が順調に売れるかというと、かねてより指摘している通り、国内の機関投資家が買い支えているからに他なりません。具体的には、

a0037933_22462543.jpg「市場から国債を考える/鈴木恵大」によると、少し古いデータですが、2001年12月時点での、投資家別の国債保有残高は、次のようであるとされています。


財投     73
日銀     67
郵貯     45
国内銀行  44
簡保     36
生保     29
海外     22
公的年金  22
-----------------------------
合計    453 (兆円)

財投(財政投融資)は、「第二の予算」といわれるように、もちろん国のシステムです。

日銀は、メインページでも記載していますが、ご存知のように、多量の「国債買いオペ」により、多量の国債を保有しています。それに見合って、日銀券が増加していることは、すでに述べたとおりです。「そもそも貨幣というのは裏づけが必要ない、だから問題ないのだ」という主張があることもあるのですが、逆に、貨幣に対する信認が失われれば、「信用のみによって成り立つ貨幣」の価値は崩壊するのです。財政法により、日銀による直接の国債引受は禁止事項となっています。これは戦前のインフレを教訓として、そのような過ちを繰り返さないように、という意図があると聞いています。

郵貯・簡保・公的年金の資金運用は、現在、自主運用となっています。国債は最も安全な運用先ということになっているので、当面、少なくとも郵貯・簡保が完全民営化されるまでは、国債を主たる運用先にすると思えます。

以上、政府関連+日銀+郵貯・簡保で、国債の半分を保有しています。

国内の銀行は、当然、国の状況を把握しているはずです。国債が予想外に売れ残ると、長期金利の上昇により自ら保有する国債の評価損を招くとともに、連鎖的に信用不安が起こり、破綻のきっかけになる可能性があることも知っているはずです。「あえて国債を買わない」「保有する国債を投げ売る」「その分、他の市場に資金を逃避する」というのは、銀行にとって自殺ともいえる行為ではないでしょうか。また、昨今、自己資本比率を上げるためとして注入された公的資金は、大半、会計上無リスク資産とされる「国債」に化けているという指摘もあります。

生保も、程度の違いはあれ、同じような状況にあると推測しています。国の許認可の権力の前に、大胆な行動は取れない、ということなのでしょう。

つまり、国が直接買っている、あるいは国内の機関投資家に買い支えさせている、といえるでしょう。格付け会社からのシビアな評価にかかわらず、それなりに順調に売れるはずです。

②確かに、「財政が赤字だから破綻するのだ。」というほど単純ではありません。先日のブログでも指摘したように、「公的長期債務のGDP比が大きいから破綻する」とは言えません。それは、国の債務が増大しても、そのキャッシュは公共事業・福祉などの形で国民に還元されるので、その分を銀行に預け続ければ、銀行を通じて国債の消化が可能であるからと解されます。

では、どのような段階で破綻するのかというと、

・1400兆円(ローンを除いた実質は900兆円?)といわれる国民金融資産が、あらかた国公債に変わってしまい、買い付け余力がなくなったとき。あと数年は余力があるとされます
・郵貯・簡保・公的年金の主たる資金運用先が、国債ではなくなったときがきっかけになる可能性があるということです。少なくともあと5年は制度が変わらないとされます
・銀行などの機関投資家が、国債の引き受けを拒否し、または、国債を投売りはじめたとき。これは可能性として小さいと思われます

に加えて、先日のブログに記載したように、

・将来のプライマリバランスの黒字額の合計の現在価値が、現在の公的長期債務を下回ったとき。この時点で、将来得られる黒字の総額を使っても、現在の政府債務を完全に返済することができないことが判明する。2025年前後とする説があります。

つまり、「現在のままでは」、国家破綻は数年~20年で訪れる「可能性がある」、ということです。国もそのあたりの事情はわかっているらしいので、何らかの対策を打つはずです。これについては、日を改めたいと思います。
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by kanconsulting | 2004-08-26 22:56 | 経済状況
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