2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来

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画像は産経MSNより

皆様

あけましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

本年は、残念ながら、本格的な破綻の幕開けになります。見せ掛けの景気回復はありえるでしょう。そして「世界的な景気底打ち宣言」「金融危機解除の安全宣言」もあるかもしれません。しかしながら、それらはすべて仮の姿に過ぎず、世界全体がリセットされ、安心安全というものがシステム崩壊を起こす、そんな2010年代の幕開けになるのだと思います。

なぜそのように思うか、順次、述べます。

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これまでに、何度も次のように指摘してきました。

・金融危機対策として流動性を供給し、経済対策を実施するために、各国はこぞって国債を発行してきた
・軽視されているが、国債は無限に発行できるわけではなく、各国にもデフォルトリスクが存在する
・つまり、各国による金融機関・企業の債務の肩代わりは、壮大な「飛ばし」と言える
・実際に、財政状況が悪くなり、信用リスクが悪化した国が複数あると指摘されている

この財政状況が悪化した国としては、ユーロ圏で言うならたとえば、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインなどがあるでしょう。ギリシャの格付け下落は記憶に新しいところです。それ以外にも、中欧や東欧諸国、ドバイなど産油国など、話題には事欠きません。

ドバイショックは、金融市場にパニックを引き起こしたものの、実質的には世界全体には影響を及ぼさない、たんなる一地方の話だと思われています。しかし私は、こういった事故(?)は、国を変え資産クラスを変え、今後も発生すると思います。

何度も書いているように、こういった国レベルでの信用リスク悪化は、その国にとどまらず容易に世界全体に波及し、世界全体の信用リスクをさらに悪化させることは、言うまでもありません。これは、非常に簡単に書くと世界全体のレバレッジが大きいためであり、たとえば、地球の裏側のリスクプレミアム上昇が、容易に金融価値の下落につながるためです。つまり、これからの金融危機は、もはや金融機関のレベルではなく、各国そのものの生き残りをかけた競争レベルになってきたということです。

簡単に書くと、次のようになります。

・実体経済を大きく上回る仮想経済の肥大化
・金融資産(デリバティブ)バブル崩壊
・リスクマネー縮小、不況入り
・各国による積極財政、景気刺激
・資金を税収で賄えず、国債発行
・景気悪化により、税収減少
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ
・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる
・富の一方的移転が、合法的・世界的に行われる
・(一部の世界権力者が絶対権力を持つ、新世界秩序の誕生)

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このブログでは、当初から、国家債務と税収のバランスに着目してきました。その観点から書くと、

・税収=企業負担(法人税)+家計負担(所得税+消費税)と考えると、税収が増える余地はなく、返済計画が立たない
・そこで、現在の税収ではなく、潜在的担税力で考える
・国の経済規模(GDP)の30%を潜在的担税力と見ると、国家債務/国の経済規模(GDP)>150%だと、レシオが5倍となり、民間人だと返済困難となるゾーン
・潜在的担税力をGDPの50%に設定しても、250%が限界

国家の借金の額が、概念的な返済能力を超えてしまい、デフォルトを起こすなどという事態は、これまで一笑に付されてきました。確かに、世界同時国債増発が常識となったこの数年においては、流動性を潤沢に供給することが第一優先であり、国家財政の維持可能性は二の次でした。加えて、「そもそも、国内向け自国通貨建てであれば、事実上必要なだけ発行できる。そうでなくても、国債増発はどの国もやっていて、相互依存的な関係※なのだから、相対的に突出しなければ問題ない。」などという楽観論が大勢を占めていました。

(どの市場もそうですが、市場参加者が楽観的なときが、後から振り返って「天井だった」「あのときに売っておけばよかった」というタイミングなのです。)

※ 相互依存的な関係ということは、持ちつ持たれつ・持ち合い、ということです。これも何度も書きますが、それを運転資金に使ってしまうということは、中小企業の社長どうしが、相互の延命のためにお互いの手形を交換するというくらいの、まさに自転車操業としか言えません。

何度も指摘しますが、上の表の一部

・(略)
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・(略)

をもう少し詳しく書くと、

・国家財政の維持可能性リスクは、すでにアメリカ、EU主要国、日本において存在する
・現在、それが顕在化していくステージにある
・リスクが顕在化すると、リスクマネーの巻き戻しと信用縮小により、株式・為替・債券市場が大きく混乱する
・現在、プレミアムリスク、デフォルトスワップ、VIXが上昇してきており、冗談ではすまない可能性がある
・金融資産の減価により、金融危機がスケールを大きくして再来する


では、リスクマネーはどこに行くのでしょうか?リスクマネーの源は、大きく分けて2種類あると思います。1つには年金資金などの長期機関投資家。もう1つは過剰流動性を得た短期機関投資家。

長期の場合、株式がダメなら債券にアセットアロケートするのが普通ですが、現在のような低金利で、しかも国債のリスクプレミアム上昇(債券価格は低下)が見込まれている中では、キャッシュで握りこんでおくか、金地金(ゴールド)への逃避が合理的行動となります。つまり、金融市場で売り手ばかりになり、買い手がいなくなる、特別売り気配のみで売買が成立しない、市場が機能しなくなるということもあり得ます。
このような場合、その歪の解消に着目した短期投資家が動くのが普通ですが、どうでしょうか?

短期の場合、低金利で借り入れを起こすことが出来るメリットを生かして、たいていレバレッジがかかっています※。その負債部分は、「金融安定化のため」としてジャブジャブに注ぎ込まれた過剰流動性です。資本部分を負担する投資家が多量に解約すると、資産部分を換金売りすることになるのですが、負債部分を返済した行く先は、その源、発行国です。つまり、「マネーが行く」のではなく、「マネーは還る」というほうが正確なのだと思います。
そして、世界全体に長年にわたって過剰流動性を供給してきたのは「アメリカのドル」であることは、ユーロダラーに関する過去のエントリ(記事)などで、何度も指摘していることです。(その次に通貨をばら撒いているのは日本ですね。)

※資産(機関投資家が使えるマネー)=資本(出資者が投資したマネー)+負債(どこからか借りてきたマネー)
 レバレッジ=資産/資本

このような仮定が正しければ、有事には

・世界株安
・債権安(=金利上昇)
・ラスト・レパトリとして、実はドル高になる(ドル以外の通貨安)、加えて円高
・ゴールド高

となりえます。これが上の表で書いた

・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ

の正体です。そしてその次には、

・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる

が待ち受けているのだと思います。

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私は、決して財政破綻を望んでいるわけではありません。そのことは、長くの読者様にはご理解いただいていることと思います。そして、破綻を回避する方法があるのなら、それを提案するということも目的のひとつにあったのですが、結論としては「個人レベルで破綻を回避する方法や、そのための意味のある提案はない」ということです。

今後とも、おつきあい頂ければ幸いです。
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by kanconsulting | 2010-02-03 12:40 | 経済状況
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