カテゴリ:ヘッジファンド( 4 )

ヘッジファンド指数に見る運用状況 ヘッジファンドへの逆風 未曾有の大再編の年 マンとスーパーファンド

これまで、何度か、ヘッジファンドの危機について言及してきました。

(転載開始)

「アメリカの経済状況は引き続き低調 ストックとフローの悪化 オスプレー・ファンドのクローズと資源価格」

『あるファンド・オブ・ヘッジファンドのマネジャーは「さらなる困難に見舞われるだろう」とし、「非流動性ポジションを持つヘッジファンドは、四半期の償還が問題だ」と述べた。
・・・「商品にまとまったポジションを持つヘッジファンドが存在する。実際に弱気相場になれば、多くのヘッジファンドが困難に陥るだろう」と述べた。 
とりわけ、商品相場の上昇と金融関連株の下落の双方に賭けていたヘッジファンドのダメージは大きい。
・・・「多くのヘッジファンドの今年の運用成績がマイナスだ。これを皮切りにファンドの閉鎖が続くだろう」』

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」

「レバレッジを効かせて、資産価値変動の波に乗っておいしい汁を吸い、巨額の報酬を得て、その割りにオフショアスキームを活用して税金は納めず、損失が出て分が悪くなったら、国民の税金で救済してほしい」という話には、アメリカ政府は乗らなかった、というところでしょう。今後は、すべてのヘッジファンドがそうだという意味ではありませんが、ヘッジの意味を失ったヘッジファンドには、逆風が待っているのだと思います。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円」

ブルームバーグ・ニューヨーク市長は、
『これまで国債を買っていた、外国のSWF(政府投資基金)やヘッジファンドは、損失を抱えているのだから、米国債を買わないだろう。』

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「世界金融危機(7) 投資銀行の終焉 バフェットはゴールドマン 野村はリーマン MUFGはモルガン」

短期間でより儲けるためにレバレッジをかけて、儲かっているときはこの世の春を謳歌するものの、想定外の市場変動で思惑がはずれ、自滅する。「LTCMの轍(わだち)を踏んだ」と言われても仕方ない、という感じです。
・・・となると、次はヘッジファンドに注目が集まることでしょう。

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「世界金融危機(8)  ヘッジファンドの危機とアメリカの格付け 公的支援は1.5兆ドル(15130億ドル)」

(ヘッジファンドの運用面)
・運用成績を改善するための手段が乏しくなっている
>ヘッジファンドの必須戦術である空売りの禁止

(ヘッジファンドの資金面)
・金融機関による融資先の選別、投資銀行に自己資本規制が課せられるなどで、ヘッジファンド向け融資が細る
・損失拡大で不安に駆られた投資家が資金を引き揚げ

『現段階では銀行や証券より金融危機を上手く克服しているようにみえるヘッジファンド。しかし、新たな規制、投資家の不安が多くのヘッジファンドにとって命取りになる可能性がある。・・・ヘッジファンド投資を手がけるアルファ・キャピタル・マネジメントの創設者ブラッド・アルフォード氏は「ヘッジファンド業界にとって未曾有の大再編の年になる」と予想。』

(転載終了)

本日は、ヘッジファンド指数HFRXを引用して、運用状況を見てみたいと思います。この指数は、代表的なヘッジファンドの成績から平均して作られるもので、ヘッジファンドにおけるベンチマークとなっています。
(昨年のヘッジファンド指数は、過去の記事「世界同時株安と円高(4) 円高の理由と中央銀行による流動性供給の弊害 世界恐慌かスタグフレーションか」を参照ください)

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(表:ヘッジファンドリサーチ)

代表的な4つのグローバルカテゴリは、すべて年初来マイナスとなっています。その中でも、Absolute Return(市場変動にかかわらず利益追及)の被害が軽微ですんでいるのは、まだ救いがあると言えるでしょうか。

また、8つのストラテジーカテゴリは、マクロを除き、ほとんどすべてで年初来マイナスとなっています。
特に、Convertible Arbitrage(M&Aに伴う転換社債の裁定取引)、Relative Value Arbitrage(M&Aに伴う株式の裁定取引)、Equity Hedge(空売りを含む株式の裁定取引)、Event Driven(出来事を予想して市場変動の方向性に賭ける)などの、下落が大きいように見えます。
Equity Market Neutral(市場変動の影響を受けにくい、株式裁定取引)は、プラスマイナスゼロで済んでいるのは、この市場変動からすると、名実が一致していると言えるかもしれません。

(この大変動をヘッジして、儲けに変えることは、容易ではないようです)

ということで、ヘッジファンドも、万能ではないということができるでしょう。

ところで、2大ヘッジファンドである、マンとスーパーファンド(昔のクアドリガ)はどうなっているのでしょうか。いずれも複数のファンドがランチされていますが、マンからはAHLのうちのひとつ、クワドリガは歴史のあるAGを見てみましょう。

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(マン・インベストメント)
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(スーパーファンド)

2大ヘッジファンドであれば大丈夫と保証するわけではありませんが、CDSショックの影響は比較的小さいように見えます。もちろん、運用面と資金繰りの面について、今後とも注視する必要があります。

(ヘッジファンドへの投資は、最高レベルのリスク許容度が必要とされます。投資の判断は、各人の責任にお任せいたします)
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by kanconsulting | 2008-10-13 23:26 | ヘッジファンド

シャープ・レイシオ(シャープレシオ、シャープ・レシオ、シャープラチオ)とヘッジファンド

シャープ・レイシオ(シャープレイシオ、シャープレシオ、シャープラチオ)について、簡単に説明したいと思います。

・シャープレイシオとは?(レイシオは、レシオ、ラチオとも書くことがあります)

シャープ(sharp)・レイシオ(ratio)の名のとおり、 「(ファンドの価値の)増減の程度が、どれほど激しい・著しいものなのかを、何らかの基準で割り算した比」のことです。

つまり、シャープレイシオとは、リスクあたりの超過リターンを示した指標です。

このように、シャープレイシオでファンドを比べるということは、リスクレベルを同じにそろえて、超過リターンの違いを比較するということになります。

ただし、過去の傾向は、そのまま将来にも適用できるわけではありませんので、ご注意ください。

                   超過リターン
シャープレイシオ = --------------------------
               超過リターンの標準偏差

超過リターン = ファンドのリターン(分配金込み) - 国債のリターン (平均値)

ここでの「リスク」は、現代ポートフォリオ理論の「リスク」ですので、利回りの変動の大きさのことです。「リスク」が大きいほど、利回りが大きく変動したことになります。大きく上昇を続けたファンドと、大きく下落を続けたファンドは、いずれもリスクは大きくなります。日ごろ直感的に言う「リスク」とは、意味合いが異なりますのでご注意ください。

・なぜシャープレイシオ(sharp ratio)が必要なのか?

ヘッジファンド、特に、マーケットニュートラルなどの戦略をとるヘッジファンドは、基本的に市場の大きなトレンド(動向)とは関係なく、その戦略プログラムが、市場の波にどれだけ適応出来たかによって左右されます。

ですので、そのヘッジファンドが、大きなシャープレイシオの場合は、「安定して利益を出すことのできる戦略だ」と考えることができるわけです。

たとえば、あまり優れていない戦略でも、レバレッジをかけて(借金をして)ヘッジファンドを運用すれば、儲かるときは大きい(損をするときも大きい)わけです。この「大きく儲かった」時のグラフを見れば、「このヘッジファンドは優れている」と思いがちなのですが、シャープレイシオを比較することで、「たいしたことの無い戦略のヘッジファンドだ」ということがわかるわけです。

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海外銀行を使うテクニックは「国家破綻に勝つ資産保全 オフショア編」
海外ヘッジファンドへの投資は「国家破綻に勝つ資産保全 ヘッジファンド編」
海外証券会社を使った投資は「国家破綻に勝つ資産保全 ETF編」
外国為替取引(FX)を使った投資は「国家破綻に勝つ資産保全 FX編」
を参照ください。
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by kanconsulting | 2006-10-20 00:38 | ヘッジファンド

金利上昇とヘッジファンド

では、金利が上がれば、ヘッジファンドの動きはどうなるのでしょうか?

「50万円から小豆御殿 ~商品先物取引ブログ」のbooboowamboさんは、以下のような可能性を指摘してします。

(引用開始)

仕掛ける隙は、売るほどある。まず、手近なところで円買いだろう。ニワトリ - タマゴの関係であるが、円建ての日本国債の利回りが上昇する。つまり長期金利の上昇。製造業は円高と資金調達コストの上昇で打撃を受ける。日経平均は、先物から下がりだす。一方でローンと物価が家計を圧迫する。地獄のスタグフレーションだ。

ヘッジファンドは、以上のことを抽象化して1セットにして仕込み、攻撃を開始する。
1. 日経平均先物ウリ
2. 国債先物カイ
3. 円通貨先物カイ
このすべてがシカゴにある市場で完結する。口火は3.から切られるだろう。時期は夏ごろか。

(引用終了)

つまり、「上がった金利は下がりにくい」という慣性の法則(?)を切り崩すような事態がありえるかも知れない、という指摘です。

まだ、長期金利は2%未満で推移しているようです。今後の動向に注目したいと思います。

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by kanconsulting | 2006-04-06 09:24 | ヘッジファンド

ヘッジファンドの手法 ~ベアリングズ銀行に見る円のキャリートレード・裁定取引とは

以前のエントリーにて、次のように述べました。

(引用開始)

機関投資家によるジャパンマネーショートのキャリートレード(だぶついた日本円を使った裁定取引)が、めぐりめぐって世界の金融市場の乱高下をもたらしている可能性も指摘されています。(ただし、あくまで「可能性の指摘」ですので、日本の量的緩和が世界マーケットにどの程度影響があるかについては、よくわかりません。)

(引用終了)

キャリートレードについては、過去の記事も参照ください。
「購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト」
「量的緩和の解除 ゼロ金利からの脱出?」
「NZドルのリスク」

さて、円を使った裁定取引として有名な事件(?)に、ベアリングズ銀行のトレーダーであるニック・リーソンによる「ベアリングズ銀行破綻事件」がありました。「私がベアリングズ銀行をつぶした/ニック・リーソン」という本「マネートレーダー・銀行崩壊」という映画にもなっています。

簡単にこの事件を述べると、以下のようになります。

(引用開始)

ベアリングス銀行(Barings)は1796年にフランシス・ベアリングによって創業され、1995年に破綻した、英国の投資銀行である。シンガポール支店の一人のトレーダーによるデリバティブ取引の失敗が原因で破綻した。彼はシンガポール国際金融取引所(SIMEX)および大阪証券取引所に上場される日経225先物の取引を行っていたが、1995年に阪神大震災が起きたことなどから損失が拡大。損失を秘密裏に埋め合わせしようと、隠蔽工作と同時に更なる膨大なポジションを取ったため、結果的に銀行が破綻するほどの損失を抱えることになった。この結果、ベアリングスはオランダの金融グループ、INGに買収された。

(引用終了:ベアリングス銀行について...

その仕組みは、以下のとおりです。

・日本から低金利で円を調達する
・シンガポール(SIMEX)と大阪証券取引所(OSE)で、同じ日経平均先物のトレードをする
・シンガポールから、安値で本命の日経平均先物カイ注文
・同時に、大阪で、高値でウソの日経平均先物ウリ注文を出す(見せ板を作る)
・見せ板の多量のウリ注文のため、上値が重くなり、先物の値が下がってくる
・シンガポールの、本命の日経平均先物カイ注文が約定する
・同時に、大阪の日経平均先物ウリ注文を取り消す(見せ板を消す)
・上値が軽くなり、市場が反発したところで、日経平均先物カイを決済する

この手法は、多量の資金を必要とします。そのためには、「日本から低金利で円を調達する」ことが必要なのです。証拠金としてシンガポールに流れ出た円は、日本国内に還流しない限り、インフレを起こすことはありません。まさしく、以前述べたように、『だぶついた日本円を使った裁定取引が、めぐりめぐって世界の金融市場の乱高下をもたらしている』のです。

このような手法は、「市場操縦行為」として、禁止されていますが、果たして、現在でも「見せ板による市場操縦はない」のでしょうか?関連した過去の記事もご覧ください。

「会計監査のはらむリスク ~日本市場にひそむ悪」

『日本の市場および株価の変動には、何かインチキくさい感じが付きまとっている・・・あるアメリカ人は、日本の市場を「西部劇のような無法者のいる市場」と言ったし、他のアメリカ人でも、日本の市場を少しでも知っている人たちのすべてが持っている日本の市場についての意見ではないか、と思う。』P85
「自立のためにプロが教える株式投資/板垣浩」

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では、金利が上がれば、ヘッジファンドの動きはどうなるのでしょうか?これについては、次の記事で述べたいと思います。

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海外銀行を使うテクニックは「国家破綻に勝つ資産保全 オフショア編」
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を参照ください。
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by kanconsulting | 2006-04-03 00:02 | ヘッジファンド