カテゴリ:経済状況( 287 )

日本経済の行く末 財政健全化目標、景気堅調でも達成できず 連鎖破綻の時代に生きる

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グラフは毎日新聞より

少し前の数字になりますが、今後の日本の財政運営について、2011年度予算編成の概要は次の通りです。

・新規国債発行額
 44.3兆円(2010年度実績)以下に抑制
・国と地方を合わせたプライマリーバランス
 2015年度までに赤字を半減(2010年度を基準)
 2020年度までに黒字化
 2021年度以降 国と地方を合わせた長期債務残高をGDP比で安定的に低下
・国の一般会計から国債の利払い費などを除いた経費(歳出の大枠)
 2011年度から3年間は71兆円(2010年度実績)程度を上限

しかし、次のように指摘されています。

・2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長を実現した場合、国・地方を合わせたプライマリーバランス 
 2015年度 ▲15兆円   2010年度の30.8兆円の赤字からは半減
 2020年度 ▲13.7兆円 黒字化は達成できない

このような財政状況を放置すれば、国債の信認が低下し、急激な金利上昇を招くとも指摘されています。(現在は、逆に「質への逃避バブル」ということで、国債の金利は下がってきていますが)

・「現在の危機的な財政状況を放置すれば、国債の信認低下や金利の急激な上昇を招き、財政がさらに悪化して政策の自由度が制限されるだけでなく、社会保障をはじめとする公共サービスの実施が不可能になるという最悪のシナリオも想定しうる」(中間報告)
・「現在の財政状況を放置すれば、欧州の一部で生じているような市場を通じた国債の信認低下や金利の急激な状況を招き、財政がさらに悪化する」

そのため、相当程度の増収に結び付く税制の抜本的な改革(=増税)が必要と結論付けています。

・「相当程度の増収に結び付くよう、税制全般にわたる税制の抜本的改革を行い、『支え合う社会』の実現に必要な費用を国民の間で広く分かち合う必要がある」
・消費税 現行5%の税率引き上げは不可避
・所得税 現在40%の所得税の最高税率引き上げも念頭に見直し
・法人税 税率引き下げを行う場合、課税ベースの拡大と併せて実施すべき

ですが、「増税で回復する景気は存在しない」という、厳然たる事実を直視する必要がありそうです。(税金の話は、詳しくはエントリーを改めたいと思います)

管首相が「増税と景気回復は両立可能」と考えるその根拠を一言で言うと『上手に財政運営すれば、増税のマイナス分を補ってあまりある乗数効果も可能だ』ということであり、常識と反します。特に消費税増税のようなフラット税を引き上げた場合のマイナス効果は計り知れません。加えて、トリクルダウン効果を期待する根拠が弱いところで、消費税増税分を法人税減税の財源としたならば、景気回復って何?という話になることでしょう。

(このように書くと、「お前のブログでは、財政規律を尊重し、増税もやむなしという論調ではなかったのか?」と思われる方もいるかもしれません。そうではありません。このブログは「国の財政が破産するリスクがあり、その確実性・根拠と回避方法を研究する」という趣旨になっています。)

さて、上で「多少の増税では、政府の借金は減らない」と指摘しましたが、加えて「国は国民の財産を収奪するつもりである」という指摘をしたいと思います。後者の指摘も、私はこのブログで何年も前から繰り返しているところですので、特に目新しさはありませんが、最近になって真実味を増してきたのではないか?と考えています。

政府債務 約1000兆円 中央+地方 注:国民年金負債はカウントせず

民間資産 約1400兆円 注:ローン等考慮せず(負債を差し引いた純資産ではない)
 現預金 約 800兆円
 株式等 約 200兆円 株式+投資信託+国債
 保険等 約 400兆円 保険+年金

そして、国は国民の財産を収奪するなら、

・数字で分かりやすく、抵抗も強い増税
・インフレ・金利アップ(・為替安)による実質減価

のどちらがスムーズに進められるか、分かりそうなものです。つまり、消費税増税の議論は、ダミーの可能性があります。(財務省は本気で消費税を上げたいと思っていると思いますが)

(引用開始)

〔焦点〕目標達成への道筋なき財政運営戦略、試金石の11年度予算編成
2010年 06月 22日 10:57 JST
[東京 22日 ロイター]
菅直人首相が「財政再建の道筋を示す」と宣言し、22日の閣議で決定された「財政運営戦略」は、高い目標とは裏腹に、目指す「頂上」への道筋が不明確で、早くも達成が疑問視されている。具体的な歳出削減策や歳入改革は踏み込み不足で、試金石となる2011年度予算編成において、菅首相が打ち出した新規国債発行額を10年度の44.3兆円以下に抑制するとの課題がクリアできなければ、財政再建はいきなり挫折しかねない厳しい状況に直面している。
(中略)だが、この枠組み設定だけで、目標達成を実現することは「相当に難しい」(政府関係者)という声が、政府部内にも根強くある。財政健全化目標と同時に政府が公表した「経済財政の中長期試算」によると、18日に閣議決定した新成長戦略を実行し「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても、財政健全化目標は達成できない。国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字で目標の黒字化には程遠い。
(中略)民主党幹部は、こうした歳出・歳入の取り組みについて「今後の予算編成作業、税制調査会の議論で明らかにしていく」としているが、11年度予算は、税収の大幅増が見込めない中、消費税率の引き上げも間に合わない現実の下で、相当に苦しい編成作業になりそうだ。10年度に過去最大規模で計上した「霞が関埋蔵金」の活用が難しいうえ、新規国債発行額を44.3兆円以下にすることを努力目標にしているためだ。市場からは「到底、達成は難しい」(邦銀関係者)と早くも大幅な国債増発の見通しが出かねない情勢だ。参院選終了後にスタートする11年度予算編成作業で早速、財政再建に向けた菅政権の「本気度」が試されることになる。

歳出や国債発行に歯止め設定、経済堅調でも健全化目標は達成できず=財政運営戦略
2010年 06月 22日 10:54 JST
[東京 22日 ロイター]
政府は22日の閣議で、中長期的な財政健全化目標と今後3年間の歳出・歳入の取り組みなどを示した「財政運営戦略」を閣議決定した。財政健全化目標には、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の15年度までの赤字半減、20年度までの黒字化を掲げ、21年度以降に公的債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な低下をめざす。目標達成に向け、11年度から13年度の3年間は国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」(一般歳出と地方交付税)について10年度当初予算の71兆円程度を上回らないとしたほか、11年度の新規国債発行額を10年度当初の約44兆円以下にするよう「全力をあげる」ことなどを盛り込んだ。ただ、18日に決定した新成長戦略を実行して経済が堅調に推移しても、財政健全化目標は達成できないと試算している。
(中略)財政健全化目標では、収支(フロー)目標として、国・地方を合わせたプライマリーバランスを「2015年度までに対GDP比の赤字を2010年度から半減」させ、「2020年度までに黒字化」すると設定。その上で、残高(ストック)目標を「2021年度以降において、国・地方の公債残高の対GDP比を安定的に低下させる」と明記した。
(中略)歳出面においては、国の一般会計歳出のうち、国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」を「歳出の大枠」と定め、10年度当初の71兆円程度を「実質的に上回らない」こととした。一方、新たな制度改正で恒久的な財源が確保された場合には、歳入増の範囲内で「歳出の大枠」に加算できるとし、財源が一時的な場合は「国債発行額の抑制」に活用する。
歳入面では「財政健全化目標の達成に向けて、必要な歳入を確保していく」としながら、菅直人首相が言及した消費税増税の取り扱いに対して「税制の抜本的な改革を行うため、早急に具体的内容を決定する」との指摘にとどめた。こうした歳出・歳入の取り組みで、2011年度の新規国債発行額について「10年度予算の水準(約44兆円)を上回らないよう、全力をあげる」と明記した。各年度の予算編成にあたっては「各閣僚別の概算要求枠」を設定。毎年半ばごろをメドに翌年度以降3年間の新たな中期財政フレームに改訂する。
もっとも、政府が併せて公表した試算によると、こうした取り組みを行うとともに、新成長戦略を実行して「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても財政健全化目標は達成できない。試算では、経済が堅調に推移する「成長戦略シナリオ」の場合、国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字と目標である黒字化には大きな開きが生じている。(後略)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2010-06-25 08:51 | 経済状況

ユーロは消滅するのかしないのか 作られたユーロ安 またしてもイベントドリブン

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チャートはyahooで作成

最近の業界コメントとして、たとえば、

(引用開始)

「ユーロが消滅する日」

経済専門家の中には、「いずれ、ユーロが消滅する日が来るだろう」と指摘する悲観的な見方があります。(中略)・・・しかし、これらはいずれも緊急対策であり、中・長期的に、財政の悪化に苦しむ南欧諸国が抱える問題を根本的に解決するものではありません。(中略)そうなると、ユーロ問題が、世界経済に与えるマイナスの影響、さらには金融市場にもたらす懸念は、これからも続く可能性は高いと考えた方がよいと思います。最悪のケースでは、一部の経済専門家が指摘するように、ユーロが消滅する日がやって来るかもしれません。

「市場は金融危機直前の様相=スパークスAM・秋山氏」

スパークス・アセット・マネジメントのオルタナティブ投資戦略部ファンド・マネージャー、秋山史人氏は25日、「マネーマーケットは(2008年の)リーマンショック直前の様相を呈しており、市場が思っている以上に危ない所にいるのかもしれない」との見方を(中略)都内で開催されたヘッジファンド・インベストメントジャパン会議で語った。(略)当面はユーロ安・円高が一段と進むとの見方を示した。具体的な水準としては「ユーロ/円が100円を一瞬割れることがあってもおかしくない」と述べた。(中略)このため、同ファンドの運用としては「株をショートし、円をロングするなどリスク回避モードを見据えたポジションにしている」ことを明らかにした。

(引用終了)

のように、ユーロに対する懸念を、色濃く物語る内容となっています。

結論から言うと、今般のユーロ安は、イベントドリブンとして作られた相場であると思います。確かにユーロのファンダメンタルズは悪かったですが、こういった相場材料は循環的にハイライトが当たることはあっても、全てを勘案して合理的に相場が形成される訳ではありません。つまり、何を材料にして相場を動かして、リアルマネー(実需筋)のマクロトレンドを方向付けるかについては、相場形成力のあるビッグプレイヤーの胸先三寸、というところなのです。(仕手筋は、ファンダメンタルとはあまり関係なく、値動きが大きい銘柄(薄商い)を相場操縦しますので、イベントドリブンとは性質が違います)

これまでに書いてきたことを整理すると、

・ビッグプレイヤー(おそらく大手ヘッジファンド)は、以前からEUの悪いファンダメンタルと相場・金利のギャップに着目しており、いくつかの国の政権交代のタイミングを狙い、ユーロ弱小国の国債CDS買い※+ユーロ売りを仕込む
・CDS上昇により、リスクプレミアム上昇として、ギリシャ国債金利上昇として反映(債券価格は低下)
・PIIGSなどEUの財政赤字・脆弱性にハイライト
・その影響が無視できなくなり、実需筋により、債券売り・ヘッジによるユーロ安
・空売り規制により、空売りの代替としてさらなるユーロ売り
・信用懸念、株安・ユーロ安、さらに信用懸念を誘発、という疑心暗鬼のスパイラルに落ち込んだ

※国債売りの代替手段として。株式でも、実物マーケットではなく、先物やCFDでヘッジすることはよくありますが、そのようなものと思ってください

何度も書いていますが、相場の特性として、こういった「隠された損失額がどんどん拡大していく」「誰かのマネーで損失処理をする」というステージが十分に進むまでは、底は打たない、という理解が正しいと思います。

さて、ユーロの未来について、これまでに次のように述べてきました。

(転載開始)

「信用創造は神の御業か悪魔の仕業か ユーロ底値でオプション爆弾が起爆」

・ユーロは準基軸通貨として扱われていたが、ユーロ高は、過剰流動性による一種のブームであった
・今般のユーロ危機は、信用拡大期には見えなかった脆弱性が、信用縮小期に顕わになっただけ
・結論から言うと、ユーロは消滅しない。ユーロ圏内は運命共同体として、身内を守らざるを得ない
・しかしながら、その対価は高くつき、カネを持っているEU加盟国は、戦争コスト並みの損失負担を強いられる
ということになります。「本当に、EUはダメなのではないか?」というところまで売り込まれ、文字通り底値からの再出発ということになるかと思います。

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「大きすぎてつぶせない「国」はない ヘッジファンドのユーロ売り崩し」

このビッグイベントを、投機筋が見逃すはずがない、というところです。
これまでに何度も、ヘッジファンドの投機にイベントドリブンという手法があり、ある一定のシナリオに沿って金融イベントを演出し、そのイベントに加速度をつけて儲けに変換するということと、加えてマッチポンプ=自作自演の側面があることは否定できない、と何度も指摘しているところです。
今回も、ヘッジファンドが影の主役なのでしょう。そして、ドイツとしては、「彼らに意図を読まれては負けだ。救済するにしろしないにしろ、彼らに付け入られるスキを見せてはならない」として、意図的に情報をコントロールしているのではないでしょうか。
(中略)ヘッジファンドは、なによりも価値のある商品「情報」をカネに変える商売です。そのため、彼ら自身が呼び水となって、リアルマネーの流れを変えてしまうということも、また事実だと思います。

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「国際分散投資は信用比較 連鎖破綻はあり得るリスク 連鎖破綻を生き残るのは」

国家連鎖破綻のリスクが笑い事ではなく(中略)現実のものとなった今日、『連鎖破綻はあり得る。問題はその順番だけだ』という認識でいるほうが真っ当であると考えます。であるとするならば、世界的な債務(デフォルトリスク)の持ち合いとCDSというリスクの押し付け合いがどのようなグローバル構造になっているのか、把握することが急務でしょう。
一般には、ヨーロッパの金融機関は、新興国向け貸し出し全体の半分のシェアを負担していると言われており、ヨーロッパの債務構造は根深いものがありそうです。このあたり、不安心理が実際のリスクを高めるという負のスパイラルが働いているため、「誰かが投げる(全部損切りをして損失処理する)」までは、大底は来ないのだと思っています。
日本、アメリカ、ヨーロッパ、のうち、どの順番でクラッシュが来るのかについては、これまで何度も考察を重ねてきましたが(主に日本とアメリカのどちらが先かという話でしたが)、明確な結論は出ていません。しかしながら、『その順番をコントロールすることが出来たとしたら、巨万の富を得ることが出来る』ということだけは明らかです。

(転載終了)

しかしながら、ユーロが安くなることは、(金利はさておき)実質的に、ユーロ建て対外借金の減少と、輸出競争力の増加をもたらします。実際、ユーロ諸国からは「現状の為替水準は、妥当である」などのコメントが出ています。何にせよ、一方的な暴落は、「そうしなければならない実需筋」に、「この機に乗じた仮需筋」が拍車をかけるものであり、一般的には必ず反発します。

大きなくくりで言いますと、これまで何度も指摘しているように、「マネーの本質は信用創造」にあり、「振り返れば、通貨価値の減価こそが通貨の歴史」であり、過大な借金は「インフレ、金利、為替によって、ペーパーマネーの価値を減価することでしか、解決できない」のだと思います。
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by kanconsulting | 2010-06-06 15:52 | 経済状況

日本を襲う【国家債務の呪い】は70年間続く IMDレポート 放漫財政のツケと金融戦争の敗戦処理

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グラフはfinancialpostより

スイスのIMDから、国際競争力ランキングが発表されました。評価分野は「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野です。

1位  シンガポール(前年3位→1位)「ビジネスの効率性」「経済状況」が高評価
2位  香港(2位→)
3位  米国(1位→)「政府の効率性」↓財政赤字の膨張で
8位  台湾(23位→)「ビジネスの効率性」が高評価
18位 中国(20位→)
22位 英国(21位→)
23位 韓国(27位→)
27位 日本(17位→)

その他 5位:オーストラリア、10位:マレーシア、31位:インド、36位:スペイン、37位:ポルトガル、38位:ブラジル、46位:ギリシャ

日本の評価を下げた理由
・「経済状況」↓ 成長率の低下や対内直接投資の低迷など
・「社会基盤」↓ 少子高齢化に伴う労働力人口の減少
・「政府の効率性」↓ 財政赤字の膨張

ニュースではあまり注目されていませんが、注目すべきIMDのコメントとして『公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた』があります。

(引用開始)

日本の競争力、27位に急落 中韓台下回る スイスの有力ビジネススクールまとめ

2010/5/20 1:02
スイスの有力ビジネススクールのIMD(経営開発国際研究所)が19日発表した「2010年世界競争力年鑑」で、日本の総合順位は58カ国・地域で27位で、前年の17位から急低下した。中国、韓国、台湾などに抜かれ、02年以来8年ぶりの低位に沈んだ。金融・経済危機で打撃を受けたうえ、少子高齢化や財政の厳しさが評価を一段と悪化させた。
IMDは主要国・地域の「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野で、約300項目の統計や独自調査の結果を分析し順位を発表している。評価の基準は一部異なるが、日本は調査を始めた1989年から93年まで首位だった。
今年はシンガポールが初の首位。「ビジネスの効率性」や「経済状況」の評価が高く、前年の3位から2つ順位を上げた。94年から09年まで首位を維持してきた米国は、財政赤字の膨張などで「政府の効率性」の評価が下がり、3位に転落した。
2位は前年と同じ香港。アジア勢は台湾が「ビジネスの効率性」が高く評価され23位から8位に躍進したほか、中国が20位から18位、韓国が27位から23位にそれぞれ順位を上げた。
日本は成長率の低下や対内直接投資の低迷などを映し「経済状況」が大幅に悪化。少子高齢化に伴う労働力人口の減少で「社会基盤」の評価も下がった。「政府の効率性」では財政赤字の膨張が足を引っ張った。
各項目をみると、日本は法人税の高さに関して、全58カ国・地域で最悪の評価となった。外国人労働者や外国企業の受け入れ態勢も評価が低く、調査に関係したエコノミストは「このままでは国際企業は活動場所として日本を選ばなくなる」と警告する。
公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた。(ジュネーブ=藤田剛)

(引用終了)

ブルームバーグニュースの原文を見てみましょう。

Japan will struggle under a 'debt curse' for the next seven decades

として、日本は、あと70年間【借金の呪い】に苦しめられる、とあります。

EU基準(これが本当に守られていたのかどうかが問題になっているのですが)でもある、国家債務の認容レベルであるGDP比60%を基準におくと、その水準まで健全化するのには(成長率は2000-2009平均、GDPの1%を債務返済に充てるとして)

ギリシャ   2031年以降
アイスランド 2032年以降
アメリカ   2033年以降
ベルギー   2035年以降
ポルトガル  2037年以降
イタリア   2060年以降
日本     2084年以降

の見込みだということです。ギリシャ問題が大きく取り上げられていますが、雑魚キャラのような順位であることが分かります。

IMDでは、政府債務の大きさだけではなく、それを返済能力で割った『期間』も重視すべきであるとして、このような研究をしているようです。言うまでもなく、過大な債務が問題となった国は、競争力を落とすこともさることながら、政府の増税・歳出削減などのために国民の生活水準も落ちてしまうという事情があります。それはあたかも、【戦争に敗れた】かのような姿でもあります。

何度も指摘していますが、不況を緩和するために多量のマネーを刷り散らかした後には、敗戦処理が待っているのだと思います。ユーロ圏(イタリアもEU連帯負担でしょう)、アメリカは、いち早く身軽になり、景気回復を謳歌する、そのようなシナリオになっているのでしょう。

(なぜいつも日本がカネを巻き上げられるストーリーになるのでしょうね)
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by kanconsulting | 2010-06-01 09:21 | 経済状況

最近のコメント欄より(3) 国際分散投資は信用比較 連鎖破綻はあり得るリスク 連鎖破綻を生き残るのは

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グラフ 2009年度の国際収支(速報) 財務省発表 日本経済新聞(5/13)より

経常収支 △15兆6545億円 (△26・9%)前年度比
 貿易収支 △6兆6088億円 (△470%)
 所得収支 △11兆9553億円(▲17・9%)
 貿易・サービス収支 △4兆7784億円

何度も指摘していますが、「経済状態の段階的発展説」の考え方からは、日本をめぐるマネーフローが、大きな変化を迎える局面に差し掛かっています。これは構造的変化であり、人が年を取るように、避けられない変化です。黄昏は永遠には続かないものです。

(花見酒(=国債の中央銀行引き受け)も永遠には続きません)

---

日本国財政破綻Safety Netさんの「809.国が国民の資産を没収~国がたくらむ日本の財政破綻回避策~/大前研一さんのメールマガジンより」に記載した私のコメントを転載して、補足したいと思います。

(転載開始)

Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:10 x
(略)大前氏のメルマガは私も読んでおりますが、国際分散投資については難しいところがあると思っています。と言いますのは、各市場の株式、債券とも、信用比較のようなところがあり、分散したからといって100%(元本)以上の期待値になるとは言えないと思うからです。連鎖破綻が現実となると、マネーはそれぞれの市場を逃げ回ることとなり、どれが生き残るかという予想が非常に困難になると思います。これは、いったん破綻させた方が身軽になって再生が容易になる(信用が回復しやすくなる)という現象の効果もあります(だから、ギリシャをデフォルトさせてしまえという議論にも一定の説得力があります)。全滅を避ける、ということであるなら、分散投資もありかと思いますが、一番いいのは、「普段から様子を見ておき、経済動乱が起きれば、底値で買い叩く」ことに尽きます。

Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:19 x
不動産投資については、一言で言うと、「利益(たとえば賃貸に出したときにそれなりの利回りが取れる)を産まない不動産への投資はお勧めできない」と思います。
日本ですと、各県ごとに人口動向の予測が出ていますので、それを参考にしていますが、確実に人口が減る地域での不動産投資は避けたほうが賢明でしょう。これも、「普段からウォッチしておき、混乱に乗じて買い叩く」のが一番良いと思います。
私もいろいろ不動産を見ていますが(実需)、最近では「ゆとりローン破綻(任意売却含む)」案件をよく見ます。驚くべきことにというか当然というか、5年以上返済をしていたはずなのに、元本がほとんど減っていないのです。まさに日本版サブプライムローンです。中古物件が当初価格で売れるはずも無いので、なかなか苦しい思いをしているようです。

Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:27 x
世界同時国債多発テロ(?)は、一言で言うと、「為替などによる強制調整により、カネを持っているところに負担させるしかない」という結論になります。子供のいす取ゲームのように、またプロレスのバトルロワイヤルのように、弱いものから脱落していきますが、ゲームやプロレスと違うのは、生き残ったものにその分の負担がのしかかるのです。従って、日本国の財政にハイライトが当たって円安になるのは、世界連鎖破綻の最終ステージとなります。それまでは円高圧力がかかると思っても不思議ではありません。
何度も書いていますが、金利と為替によって、日本からカネを引き出す準備は出来ていると見るべきです。日本がIMFに出したカネでギリシャは一息つきましたが、今後も直接間接の金融支援要請(命令)があるはずです。そして、出したカネは満足には帰ってこないと思ったほうがよいでしょうね。アメリカに貸したカネが帰ってこないように。

Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:46 x
世界にはMZM10000ビリオンドル(約1000兆円)というすさまじい量のドルが滞留しています。日本円でもM3は同程度でしょう。ユーロのM3も10000ビリオンユーロ程度でしょう。為替にもよりますが、ケタとしては同程度です。では、体力(経済規模)に比べて一番カネが存在する(信用創造の程度が大きい)のはどこでしょうか?私は日本だと思います。ですので、世界同時に信用が収縮すると、日本円が日本に還流するため、急激な円高になるのだと見ています。(為替はファクターが多いので一概には言えないが、昨今の円高は「損切り・レパトリ」にしか見えない局面も多かった)

(転載終了)

補充コメントは以下の通りです。

「国際分散投資については難しいところがあると思っています。と言いますのは、各市場の株式、債券とも、信用比較のようなところがあり、分散したからといって100%(元本)以上の期待値になるとは言えないと思うからです。連鎖破綻が現実となると、マネーはそれぞれの市場を逃げ回ることとなり、どれが生き残るかという予想が非常に困難になると思います。」

国家連鎖破綻のリスクが笑い事ではなく(そんなことはあり得ないと一笑に付していた経済学者・エコノミストは、今どのような顔でいるのでしょうか?)現実のものとなった今日、『連鎖破綻はあり得る。問題はその順番だけだ』という認識でいるほうが真っ当であると考えます。であるとするならば、世界的な債務(デフォルトリスク)の持ち合いとCDSというリスクの押し付け合いがどのようなグローバル構造になっているのか、把握することが急務でしょう。

一般には、ヨーロッパの金融機関は、新興国向け貸し出し全体の半分のシェアを負担していると言われており、ヨーロッパの債務構造は根深いものがありそうです。このあたり、不安心理が実際のリスクを高めるという負のスパイラルが働いているため、「誰かが投げる(全部損切りをして損失処理する)」までは、大底は来ないのだと思っています。

日本、アメリカ、ヨーロッパ、のうち、どの順番でクラッシュが来るのかについては、これまで何度も考察を重ねてきましたが(主に日本とアメリカのどちらが先かという話でしたが)、明確な結論は出ていません。しかしながら、『その順番をコントロールすることが出来たとしたら、巨万の富を得ることが出来る』ということだけは明らかです。

何度も書いていますが、「日本国の財政にハイライトが当たって円安になるのは、世界連鎖破綻の最終ステージとなります。それまでは円高圧力がかかると思っても不思議ではありません。何度も書いていますが、金利と為替によって、日本からカネを引き出す準備は出来ていると見るべきです」だと思います。

最終ステージの後に生き残るのは、債務帳消しを強行したアメリカか、はたまた損失を処理して身軽になったヨーロッパか、金融商人の疎開地となる中国か。つまり、ロックフェラー(アメリカ、中国)か、ロスチャイルド(ユーロ圏)か。少なくとも、カネを出させられる(ことになっている)日本ではなさそうです。
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by kanconsulting | 2010-05-25 13:00 | 経済状況

日本の財政状況は悪化 政府債務(国債・借入金・政府短期証券)2009年度末882兆9235億円 過去最大を更新

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グラフはzakzakより(少し前のものなので、数字が最新の発表とは若干異なります)

これまでに、次のように指摘してきました。

(転載開始)一部分かりやすいように加筆訂正しています

『2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来』

・実体経済を大きく上回る仮想経済の肥大化
・金融資産(デリバティブ)バブル崩壊
・リスクマネー縮小、不況入り
・各国による積極財政、景気刺激
・資金を税収で賄えず、国債発行
・景気悪化により、税収減少
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ
・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる
・富の一方的移転が、合法的・世界的に行われる
・(一部の世界権力者が絶対権力を持つ、新世界秩序の誕生)

上の表の「今ここ」付近をもう少し詳しく書くと、

・国家財政の維持可能性リスクは、すでにアメリカ、EU主要国、日本において存在する
・現在、それが顕在化していくステージにある
・リスクが顕在化すると、リスクマネーの巻き戻し・信用縮小・金融資産の減価により、金融危機がスケールを大きくして再来する
・有事には、世界株安、債権安(=金利上昇)、ラスト・レパトリとして、実はドル高になる(ドル以外の通貨安)、加えて円高、ゴールド高

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『(再掲)国家破綻に至る6ステージ』

(1)デリバティブ破綻による信用危機・流動性不安 【2007/8 サブプライムショック】
 → 中央銀行による流動性供給

(2)不良債権による銀行などの自己資本毀損 【2008/3~ ベア・リーマン・AIGなどの破綻】
 → 公的資金注入

(3)逆資産効果と銀行の貸し渋り・貸しはがしによる実体経済悪化 【2008/夏~】
 → 国などによる不良債権の強制買取、国による特定企業の救済

(4)リスクシナリオ:キャッシュ以外は何も信じられないという恐慌に突入 【(追記)2010/1~? ギリシャ問題を皮切りに】
 → 国とIMFによる際限の無い資金投入、IMF管理下に入る国も、(場合によっては)株式市場の封鎖

(5)悪いリスクシナリオ:恐慌後、通貨そのものが信認を失うスタグフレーション 【?】
 → 金利急上昇と為替レートによる強制調整、国の徴税権の発動、預金封鎖、新通貨切り替え、貴金属徴発

(6)最悪のリスクシナリオ:戦争による大規模景気対策と資産の収奪 【?】
 → 国家非常事態宣言・戒厳令、国の徴兵権の発動、国民資産の強制徴用

(転載終了)

「国家破綻に至る6ステージ」の初出は2008年10月であることにご留意ください。残念ながら、現在、リスクシナリオ4に入りつつあるステージと理解しています。着々と、リスクシナリオに沿って進んでいるように見えます。(予想屋ではないので、当たった当たったと喜ぶつもりはありません)

さて、先日も述べましたが、日本国政府の財政状況が日増しに悪化しています。
2013年度の試算は、景気回復が順調に進むというシナリオの元に作成されており、より深刻な事態となる可能性もあるとされています。

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国債、借入金、政府短期証券の合計

2008年度末 846兆4970億円
・国債全体 680兆4482億円
・借入金 57兆5661億円
・政府短期証券 108兆4826億円


2009年度末 882兆9235億円(▲36兆4265億円)過去最大を更新 新規国債53.5兆円発行
・国債全体 720兆4890億円
 ・普通国債  593兆9717億円(▲48兆360億円) 
 ・財投債   122兆2253億円(△8兆8248億円) 
 ・交付国債等 4兆2920億円
・借入金 56兆4063億円(△1兆1598億円)
・政府短期証券 106兆281億円(△2兆4545億円)

※借換債の前倒し発行が予定より減少し、借金の合計は当初見込んでいた約900兆円をやや下回った

2010年度末 973兆1626億円(財務省試算)新規国債44.3兆円発行予定
2011年度末 >1000兆円(確実な見通し)

2013年度 (財務省の試算)
・新規国債発行額 55兆3千億円
・税収      40兆7千億円(2010年度 37兆4千億円)
・社会保障費   30兆5千億円(2010年度 27兆3千億円)
・国債費     27兆9千億円(2010年度 20兆6千億円)※利払いなどに充てる

(引用開始)

「国の借金」最悪の883兆円 財政悪化止まらず
2010/5/10 22:28 日本経済新聞
財務省は10日、2009年度末の国債や借入金などをあわせた「国の借金」総額が882兆9235億円に達したと発表した。08年度末に比べて36兆4265億円増え、過去最大を更新した。国債を長期保有する傾向が強い国内投資家の比率が高いことなどから、市場で国債が投げ売りされるような危機に陥る可能性は低いものの、財政再建を急ぐべきだとの指摘は年々高まっている。
国の借金は国債、借入金、政府短期証券の合計で、財務省が四半期ごとに公表している。リーマン・ショックを受けた経済対策や税収減を補うために09年度に新規国債を53.5兆円発行したのが響いた。4月時点の人口推計(概算値)で計算すると、国の借金を1人あたりの借金は約693万円に達する。債務危機に陥ったギリシャは300万円程度(債務には地方分も含む)とみられる。
10年度予算では新規政策の財源不足を補うため44.3兆円の新規国債発行を予定しており、財務省は10年度末に国の借金が973兆円に達するとみている。数年内に1000兆円の大台に乗せるのは確実な情勢だ。
国際通貨基金(IMF)によると、国の借金に地方債などを加えた日本の公的債務残高の国内総生産(GDP)比率は09年末で218.6%。米国(84.8%)や英国(68.7%)を大きく上回る。
ただ、日本の場合、財政状況が悪化しているにもかかわらず、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは1.3%台と低位安定している。背景として指摘されるのが、国内投資家による保有比率が突出して高いこと。日銀によると日本国債の国内保有比率は09年末時点で94.8%で、国債を増発しても、カネ余りを背景に銀行や生保など機関投資家や公的機関が購入するため、金利が上がりにくい市場構造になっている。
ただギリシャ問題を受けて、日本のソブリン・リスク(財政の信認問題)を警戒する声も出始めた。国債が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、日本国債の保証料率が0.76%程度。2月下旬以来の高い水準だ。
政府は6月に中長期の財政再建目標を含む財政運営戦略や、今後3年間の予算編成指針となる中期財政フレームを策定する予定。そこで財政再建に向けた道筋を描けなければ、国債の格付けなどに影響を及ぼす可能性も指摘される。
財政構造の改革には消費税率引き上げを含む税制の抜本改革が避けられないとの見方が強い。財務省によると、欧州諸国で消費税に相当する付加価値税の税率は25%のスウェーデンを筆頭に英国が17.5%、ドイツが19%、フランスが19.6%。日本の税率5%はカナダと並び主要国で最低水準だ。

UPDATE1: 来年度新規国債発行、今年度当初の44.3兆円以下に抑制へ=菅財務相
2010年 05月 11日 11:58 JST[東京 11日 ロイター]
 
菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は11日、閣議後の会見で、2011年度新規国債発行額について、今年度当初予算の44.3兆円を超えないよう全力を挙げる必要があるとの認識を示した。ギリシャの財政危機に端を発した世界的な金融市場の混乱が一連の措置で安定化に向かいつつあることを歓迎する一方で、市場がソブリンリスクに注目し敏感に反応する状況のなか、「マーケットが信認しなくなったときには、、財政(状況)が厳しくなることを超えて国民生活が極めて大きな打撃を受ける」と述べ、来年度新規国債発行額を今年度以下に抑制する決意を表明した。
来年度予算編成では「中長期にわたり持続可能な財政を考えなければならない」と強調。国債発行に上限を設定することで予算規模が制約される側面もあるが、菅財務相は緊縮財政のイメージにつながるものではないと否定した。
ただ、11年度予算では、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた新規政策の実施や社会保障関係費の自然増、埋蔵金の枯渇などで10兆円前後の追加財源が必要な情勢とみられている。菅財務相は「無駄なものは大いに削る」と強調したが、国債発行抑制策の具体策への言及は避け、焦点の税制改革についても専門家委員会で議論中であると述べるにとどめた。
また子ども手当の満額実施など新規政策の実現について「当然マニフェストについて努力することは当然だと、一般的に思っている」と述べるにとどめる一方、政府・民主党間で検討中の参院選マニフェストの議論では、「財政健全化にしっかり取り組むようにとの指摘が、党からも声が強くなっている」とも語り、財源論での一体感を強調し始めたようだ。
(ロイターニュース 吉川 裕子)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2010-05-14 15:51 | 経済状況

最近のコメント欄より(2) 日本国の財政維持可能性は 膨張したマネーで債務をカバーできるか

2.日本国の財政維持可能性(=国家財政破綻可能性)について

遅くなりましたが、続きということで、日本の財政について簡単に述べたいと思います。
まず、関連したコメントを転載します。

(転載開始)

Commented by kanconsulting at 2010-03-05 20:30 x
(日本国の財政維持可能性について)危機感ばかりが先行していますが、まだまだノラリクラリと持ちこたえそうな印象を受けています。ご指摘のように、国債のロールオーバーが出来ているうちは延命可能なのでしょう。それが、なにかのきっかけで前提条件が崩れると意外と脆いというのは、「磐石の自転車操業」が存在しないことと同じです。
(中略)日本の場合は売り崩しのタイミングではないと見ています。
ヘッジファンドから「売り崩し・空売りを含むショートポジション」を取り除けば、ほとんど身のある内容は残らないというほど、「売りで儲ける」ことが、過去の相場で生き残る必要条件となっていたのですが、「(皆が永遠に上がると信じている)資産の価値は、必ず減価する」ことを意味していると思います。
日本の場合については、あれこれと大義名分をつけられ、これからツケを払わされる番が回ってくるでしょう。

Commented by kanconsulting at 2010-03-14 23:58 x
(略)これまでは隠すことが出来ていたリスクが、少しずつ明らかになっていく現状は、まさに、バブル崩壊後のたとえば住専問題で損失額がどんどん膨らんでいった様子にも、また、リーマンショック後の各金融機関の損がどんどん膨らんでいった様子にも似ています。似ているのもそのはず、いずれもマネーの膨張と収縮にともなう現象であるからと理解できます。
日本の場合は、破綻の火付け役は、国内での国債消化未達ではなく、たとえば仕組み債権のようなデリバティブ爆弾が、最初の直撃弾となるでしょう。

(転載終了)

まず、政府の借金が巨額になった場合の対応について、大きな前提を確認しておきたいと思います。それは、何度も述べていますが、

・発行体の消滅を含む、債券のデフォルト
・通貨価値の減価による実質的踏み倒し

がほとんどで、

・まじめに長い時間をかけて返したという例もないではないが(たとえばイギリス)、珍しい

です。政府の借金(起債)そのものや、それのみを裏づけにした紙幣印刷が、広義の信用創造に含まれることも見落としてはなりません。

次に、政府の借金(起債)やマネープリントがどのような局面で必要かと言うと

・経済の成長に応じて、潤滑剤として
・景気後退局面で、再成長を喚起するため
・不況局面で、信用危機を防止するため

ということで、経済局面のどのステージであっても結論は同じです。昨今においては、信用危機ステージの深刻化を防止するために、異様とも言うべき巨額のマネーが注ぎ込まれたことは記憶に新しいところです。

---

さて、この議論をする場合には、ストックとフローを分けることはもちろん、政府債務(いわゆる国の借金)と、マネー(円紙幣・信用創造された見掛けのマネー)の量を分けて考えなくてはなりません。

荒っぽい記述になりますが、公的債務としては

ストック 国と自治体の長期債務は総額▲約900兆円
フロー  ▲約40兆円/年(除く:借り換え分・特別会計分)

今年一年の、長期債務残高の増加幅を見ますと
21年度末 ▲825兆円
 国    ▲628兆円
 地方   ▲197兆円

22年度末 ▲862兆円(▲38兆円) (見込み)
 国    ▲663兆円(▲36兆円)
 地方   ▲199兆円(▲2兆円)

となっていることから、文字通り際限がない状態となっています。

最近、週刊誌では、これらの数字をあげて「日本経済は破綻する!」という特集記事をよく見ますが、警鐘としては理解できるものの、いずれも考察の底が浅く、読み物以上の文献的価値は見出せませんでした。

さて、この債務の膨張を上回る速度で(少なくとも同じ速度で)マネーを膨張させ、債務に注ぎ込むことが出来れば、資金ショートによる破綻は回避できるもくろみです。ところが、実際には、公的支出の抑制により公的信用も頭打ちになり、もちろん民間貸し出しは減少を続けています(貸し出しに回らなかった分が国債に向かうので結果オーライかも知れません)。

日本銀行発表 3月マネーストック(昔のマネーサプライ)
M2     766兆円 +2.6%(前年比、以下同じ)
広義流動性 1440兆円 +1.0%


ロイター発表(予想) 4月マネーストック(昔のマネーサプライ)
M2    +2.5%(前年比、以下同じ)
M3    +1.9%
広義流動性 +1.0%

マネーの膨張は、高々15~20兆円/年、というところですし、それも全て国債などの債券購入に使えるわけではありません。日銀が引き受けるしかないところまで、あともう少しです。
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by kanconsulting | 2010-04-20 12:52 | 経済状況

信用創造は神の御業か悪魔の仕業か ユーロ底値でオプション爆弾が起爆 最近のコメント欄より(1)

これまでに、次のように指摘してきました。

・マネーの本質は信用創造にある
・歴史を振り返れば、通貨価値の減価こそが通貨の歴史であった
・マネーの膨張(信用拡大)と縮小(信用収縮)は、さまざまなタイムスパンで繰り返されてきた
・マネーは、儲かる投資先を求めて大きな奔流となり、その時々で異なった資産クラスに流入することで、ブーム(いわゆるバブル)とバースト(いわゆるバブル崩壊)を繰り返してきた
・めざとくブームに乗ったり、人為的にブーム(とバースト)を形成させることで、富を築いた者もいたが、その反面、持ち金を根こそぎ収奪される国民のほうが多いというのが歴史的事実であった
・国は、戦争・無駄遣い(景気対策)で借金漬けとなり、徴税権を担保に取られ、利用価値がなくなればデフォルトさせられてきた歴史的事実がある
・借金に関しては、棒引き(デフォルト=踏み倒し・徳政令)か、カネを持っている者・弱いものから奪うことが歴史の常であった
・このように、信用創造の悪魔に翻弄されてきたのが、経済的に見た人類の歴史とも言える

この基本スタンスに立てば、「世界経済奥の院」の意図が分からなくても、「だいたいこういう感じで決着するのでは?」というビジョンが見えてきます。

最近のコメント欄の私の記載を転載し、補足という形で今後の予想を述べたいと思います。

1.ユーロについて

(転載開始)

Commented by kanconsulting at 2010-03-05 20:14 x
(略)ご指摘のように、ユーロ各国の国債にはスプレッド(リスクプレミアム)が発生しているのに、通貨政策は各国ごとのカスタマイズができないのは、なかなか苦しいと思います。ですが、それを乗り越えることが出来なければ、EUは景気の良いときだけ可能な幻想であり「ある意味で終わり」なのでしょう。病める時も健やかなる時も運命を共にすることが出来るかどうか。
ヘッジファンドは「EUは持たない」と言っているフシがありますが、それもポジショントークなのでしょう。ほとんどの人が「EUはもうダメだ」と思ったときから、ユーロは回復するのだと思います。

Commented by kanconsulting at 2010-03-06 17:17 x
ユーロ紙幣は消えてなくなりはしないと考えています。結局は身内を救済せざるを得ない、そんなオチなのです。
一種の通貨ペグ制度のようなもので、その歪み(の解消)に着目した投機から身を守れなければ、ユーロも「その程度の共同幻想」に過ぎなかった、ということになるでしょう。しかし、私は、先日も述べたように、ほとんどの人が「EUはもうダメだ」と思ったときから、ユーロは回復するのだと思います。

(転載終了)

何度も述べていますが、

・ユーロは準基軸通貨として扱われていたが、ユーロ高は、過剰流動性による一種のブームであった
・今般のユーロ危機は、信用拡大期には見えなかった脆弱性が、信用縮小期に顕わになっただけ
・結論から言うと、ユーロは消滅しない。ユーロ圏内は運命共同体として、身内を守らざるを得ない
・しかしながら、その対価は高くつき、カネを持っているEU加盟国は、戦争コスト並みの損失負担を強いられる

ということになります。「本当に、EUはダメなのではないか?」というところまで売り込まれ、文字通り底値からの再出発ということになるかと思います。

なぜ「底値」なのでしょうか?その秘密は「実需の損切と、仮需のオプション」にあります。

実需の損切りについては、あまり多くを語る必要はないでしょう。たとえば、事前に設定しておいた「緊急避難ライン(損失確定の指値)」に到達することで、さらに売りが膨れて暴落に繋がるというケースも良く見ます。また、最近では、これまでに何度も指摘したグロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)において、ギリシャの格付けが設定を下回ったことにより、自動的に換金売りとなったというようなケースもあるでしょう(記事)。

デリバティブについては、これまで多数のエントリーにて、オプションを使った投資商品について述べてきました。たとえば、(悪名高い)仕組み債券、(これも悪名高い)仕組み預金などがあるでしょう。また、オプションとは違いますが、旧長銀(新生銀行)の瑕疵担保条項、MSCB(転換価格修正条項付転換社債)などもあるでしょう。

一昔前に流行ったマーフィーの法則のように言えば、「仕組み債券は必ずノックインする。」になるでしょう。

ユーロの話に戻ると、これまでに「ユーロがそこまで下落することはありえない」として売られてきた「ユーロの底値で発動するオプションを組み込んだ投資商品」が一定量あると見ています。そして、このイベントを機に、「ユーロの底値で発動するオプション爆弾」が、いっせいに起爆するところまで売り込まれるのだと思います。

日本人の外貨投資(FX)による、ユーロロング(買い持ち)ポジションが多量に残っているとも言われており、厳密に言うとオプションではありませんが、一定水準までユーロが売り込まれると証拠金を飛ばして強制ロスカットになることから、これも一種のオプションに似たものと言えるかも知れません。

全てとは言いませんが、実需と仮需の両方があいまって底値まで売り込まれた後、「ユーロの不良債権処理は目処が付いた」として回復するのだと思います。その実は、「吸える汁は全て吸った。祭り(ユーロイベント)は終わりだ。」ということになろうかと思います。

(どこかで聞いたような話ですね。歴史は繰り返すのですが、それには理由があったのです。)

---

この続きとなります「2.日本国の財政維持可能性(=国家財政破綻可能性)について」は、文字数が多くなりましたので、分けて掲載します。
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by kanconsulting | 2010-03-15 17:50 | 経済状況

大きすぎてつぶせない「国」はない ギリシャはリーマンか ヘッジファンドのユーロ売り崩し

ギリシャ問題で、EU加盟国のうち特にドイツが財政支援を行うかどうかについて、二転三転しています。これには、いくつもの理由があると思います。

1.最初に挙げたいのが、ドイツ国民の感情的な問題です。ドイツ国民の世論としては、「自分たちの血税を、放漫な財政運営をしてきたギリシャのために使わないで欲しい」ということでしょう。これは気持ちとしては理解できるところです。

たとえば

ロイター
14日付の独紙ビルト日曜版に掲載された世論調査によると、(略)、67%が、ドイツなどEU加盟国によるギリシャ支援に反対すると回答した。

ブルームバーグ
ドイツの世論調査によると、ギリシャの債務問題によって欧州単一通貨ユーロの安定が脅かされる場合には、同国にユーロ圏離脱を迫るべきだと考えるドイツ人の割合は53%。独紙ビルト(オンライン版)が報じており、世論調査機関エムニドが同紙の委託で行った調査では、ドイツや他のEU加盟国がギリシャに対して金融支援を行うべきではないとの回答が503人中67%に達した。

というところです。

2.次に、「大き過ぎて潰せない(too big to fail)」問題は、すでに金融機関レベルではなく、国レベルに移行した、ということです。

繰り返しになりますが、これまで何度も、「目の前の金融危機は端的に言うと『壮大な借金の飛ばし』であり、そのレベルはすでに銀行ではなく、国レベルの話である」と指摘してきました。であるとするならば、その借金は誰かが涙を飲んで損をかぶらなければなりません。そして、それは「カネを持っている、弱い存在」であることは、歴史を見ても明らかです。

つまり

・国民の納める税金は、世界のためと称して、使われてしまう
・それを拒んだ場合には、金融資産の減価(増税、インフレ、通貨安、株安・債券安)として、強制的に使われてしまう

ということです。

懸命な読者はすでにお気づきと思いますが、これは、「アメリカ国民が、税金による金融機関救済に反対した」ことと同じような構図です。アメリカの場合は、金融システムを保護するという、反対できにくい大義名分のもと、国民の税金を注入しました。足かせを外して自由になったとたん業績が急回復をとげた金融機関もあり、逆に破綻させられた金融機関の影響によりアメリカ国民に大きな負担を強いて「やっぱり救済したほうが良かったでしょ?」と恐怖で説得するというオマケ付でした。

ギリシャのような独立国は、リーマン・ブラザーズやAIGのような金融機関のように、明確に破綻させることは出来ませんが、その資産を処分させられたり、また将来にわたる負担を約束させられることが普通です。加えて、ジョージソロスがポンドを売り崩したように、金融攻撃の対象にもなります。
これまで、「国家破綻に関しては、国際的な法制がなく、誰かが破綻させることも出ないため、成り行きに任せるしかない」と指摘して来ましたが、まさにその通りだと思います。

そのような問題意識の中で、ドイツの多くの有権者が「問題なのはギリシャだけではない。次から次へと債務国を救済しなければならないとしたら、ドイツの国も共倒れとなり滅びてしまう。第一次大戦の巨額賠償の痛みと、その後の第二次大戦の焦土の苦しみを繰り返してはならない」と思うのも、無理ないことと思います。

3.最後に、このビッグイベントを、投機筋が見逃すはずがない、というところです。

これまでに何度も、ヘッジファンドの投機にイベントドリブンという手法があり、ある一定のシナリオに沿って金融イベントを演出し、そのイベントに加速度をつけて儲けに変換するということと、加えてマッチポンプ=自作自演の側面があることは否定できない、と何度も指摘しているところです。

先ほど述べたクオンタムファンドによるイギリスポンドの売り崩しが有名ですが、アジア通貨危機などその他のイベントにおいても「投機筋による通貨売り崩し」は何度も見られます。(その通貨危機により、各国は基軸通貨ドルの準備高を増やさざるを得ず、それがアメリカの延命と、今回の金融危機の遠因となったことは皮肉なことですが)

今回も、ヘッジファンドが影の主役なのでしょう。そして、ドイツとしては、「彼らに意図を読まれては負けだ。救済するにしろしないにしろ、彼らに付け入られるスキを見せてはならない」として、意図的に情報をコントロールしているのではないでしょうか。

(引用開始)

米司法省、ヘッジファンドにユーロ取引記録の保存を指示-関係者
3月2日(ブルームバーグ)
米司法省はヘッジファンドに対し、ユーロに関する取引記録を破棄しないよう通達した。通達を見た関係者1人が明らかにした。
同関係者が匿名を条件に語ったところでは、ニューヨークに本拠を置く調査・証券会社モネス・クレスピ・ハルトが2月8日に主催した夕食会に幹部を出席させたヘッジファンドの一部には少なくとも通達が送られていたという。
ブルームバーグ・ニュースが入手した夕食会での議題一覧によると、23の議題の一つはユーロの対ドルでの下落を見込んだ取引だった。この夕食会にはSACキャピタル・アドバイザーズの幹部、アーロン・カウエン氏やグリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン社長、ブリゲード・キャピタル・マネジングを経営するドン・モーガン氏のほか、ソロス・ファンド・マネジメントの代表らも出席していたと米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は2月25日に報じている。
アイオワ大学で反トラスト法(独禁法)を専門とするハーバート・ホベンカンプ教授は「大きな問題は、この夕食会が情報のやり取りを目的としたものだったかどうかだ」とし、「参加者が特定の価格での売買やユーロを下落させようと集中した売りを浴びせることに合意するものであるなら違法だ」と指摘した。
これらのヘッジファンドの広報担当者に電話取材を試みたが、回答は得られていない。モネス・クレスピのニール・クレスピ社長にも連絡が取れていない。司法省のジーナ・タラモナ報道官はコメントを控えた。通達は米経済ニュース専門局CNBCが2日に報じていた。
ユーロはギリシャの債務不安を背景に昨年11月25日以来11%下落している。ニューヨーク時間2日午後6時25分(日本時間3日午前8時25分)現在は、1ユーロ=1.3610ドル。
更新日時: 2010/03/03 11:13 JST

米司法省、ヘッジファンドのユーロ売りポジションの調査開始-関係筋
2010年 3月 3日 17:39 JST
米司法省は、通貨ユーロの引き下げを目的にヘッジファンドが結束していた可能性について調査を開始した。関係筋が明らかにした。
司法省は先月26日、SACキャピタル・アドバイザーズやグリーンライト・キャピタル、ソロス・ファンド・マネジメント、ポールソンといったヘッジファンドに対し、ユーロに関する取引記録や電子メールを保管するよう要請する書簡を送付した。
この日は大手ヘッジファンドが過去数週間に大量にユーロを売り建てたとする記事をウォール・ストリート・ジャーナルが1面に掲載した日だ。本紙は、ファンドのこうした動きは、金融危機の最中にリーマン・ブラザーズなど経営が行き詰まった企業に対して取られた行動に類似している、と指摘した。
大量のユーロ売りは、SACやグリーンライト、ソロスなど多くのファンドが参加した「アイデア・ディナー」を含む一連の会合で浮上した、と本紙は報道した。こうした会合で、あるトレーダーは、ユーロの対ドル相場が1ドルの「等価」にまで下落する可能性がある、との見方を示した。現在は1.3609ドル前後で取引されている。
当局が調査する問題の1つは、こうした情報共有が「共謀」の構成要件に該当するかどうかだ、と関係筋は指摘する。ただ、大手金融機関が共謀で起訴されるケースは稀だ。共同で売買を行うことを協議し、実行したと証明するのが困難なためだ。
記者: Susan Pulliam and Kate Kelly

米司法省、ヘッジファンドのユーロ売りで調査開始
2010年 03月 4日 10:56 JST
[ワシントン 3日 ロイター]
米司法省は、ヘッジファンドが集団で共謀してユーロを売り仕掛けたかどうかをめぐり調査を開始した。関係筋が3日、明らかにした。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係筋の話として報じたところによると、司法省はSACキャピタル・アドバイザーズLP、グリーンライト・キャピタル、ソロス・ファンド・マネジメントLLC、ポールソン・アンド・カンパニーなどのヘッジファンドに対し、ユーロに関する取引記録や電子メールなどすべての書類を保管するよう求めた。
ユーロはギリシャの債務問題を背景に売り圧力に見舞われ、昨年11月以降、10%超下落している。WSJ紙は、ユーロについて話し合われたヘッジファンド関係者の会合に関する同紙の記事と司法省の書類保管要請の時期が一致していると指摘している。
同紙は2月25日、一部の大手ヘッジファンドがギリシャの債務危機を理由にユーロ売りのポジションを膨らませていると報じた。報道によると、SAC、ソロスなどの大手ヘッジファンドの関係者が2月8日にニューヨークで開かれた夕食会に参加し、その際、一部の参加者は、ユーロが1ユーロ=1ドルまで下落する可能性が高いとの見方を示したという。
WSJは関係筋の話として、司法省反トラスト局は送付した書簡で「ユーロの取引契約をめぐる複数のヘッジファンド間の合意に関する調査を開始した」と通達した、と伝えている。
関係筋によると、その書簡は「すべての書類を保管」するとともに、ユーロや通貨取引に関する合意をめぐるやり取りの電子記録などをすべて保存するよう指示する内容だった。
反トラスト法を専門とするハーバード大学のアンドリュー・ギャビル教授は、関係筋が語った書簡の内容は、書類の保管を求める司法省の文言に一致しており、司法省はこれらの書類から、ヘッジファンドが共謀してユーロを売り仕掛ける計画があったのか、もしくは実際に売り仕掛けたのかを判断するとの見方を示し、「どちらにしても非常に不利で、刑事告発に発展する可能性がある」と述べた。
米著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントの広報担当は、いかなる不正行為も行っていないと否定。「為替相場が話題になるたびにジョージ・ソロスに関心が集るのは当然のことになっている。報道により注目が集っているユーロ取引やそれに関する政府の関心も認識している」とした上で、「報道で示唆されているような、ソロス・ファンドが不正行為を行ったとする指摘は根拠を欠く。政府の要請に全面的に協力する所存だ」と言明した。
SAC、グリーンライト、ポールソンはコメントを拒否。また司法省も同様にコメントを拒否した。

(引用終了)

仮需筋が動いただけであれば、騒動が終われば相場は元に戻るのが普通です。しかしながら、今回の騒動でユーロの持っていた脆弱性が顕わになったと理解するならば、実需筋は「撤退」を判断することでしょう。

ヘッジファンドは、なによりも価値のある商品「情報」をカネに変える商売です。そのため、彼ら自身が呼び水となって、リアルマネーの流れを変えてしまうということも、また事実だと思います。

---

読者の皆様は

・これではまるで、有無を言わせない一種の全体主義(金融ファシズム)だ

というご感想とともに、

・マネーはどこにいったのか?勝ち逃げは誰か?

という疑問をお持ちのことと思います。

この疑問に一言で答えるとすると、「失われたマネーは、大きなマネーフローの奔流、すなわち、金融経済と実体経済の比、そのギャップの狭間に消えた」ということになります。これも、過去のエントリーで、何度も、何度も指摘していることです。
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by kanconsulting | 2010-03-05 11:06 | 経済状況

各国政府のソブリンリスク 機関投資家の逃避行動 自らの足元を売り崩す合理的行動

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The CDR Government Risk Index(TM)
グラフはCredit Derivatives Researchより

ソブリン債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)指数は、昨年9月のボトムから、2倍近くに上昇しています。9月から1月末の時点での上昇幅の大きい順に、

・ギリシャ  △250%+
・ポルトガル △217%
・フランス  △122%
・スペイン  △111%
・アメリカ  △100%
・日本    △ 95%

となっています(指数そのものではありません)。これは、ヘッジファンドなどの短期筋の動きではなく、長期機関投資家の実需売りとの観測です。つまり、

『機関投資家が、各国の国債を、実際にリスクあるものとして捉え始めた』

ことを意味します。昨日の記事「2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来」にて、以下

年金資金などの長期機関投資家(略)の場合、株式がダメなら債券にアセットアロケートするのが普通ですが、現在のような低金利で、しかも国債のリスクプレミアム上昇(債券価格は低下)が見込まれている中では、(編注:債券を売って、)キャッシュで握りこんでおくか、金地金(ゴールド)への逃避が合理的行動となります。

のように述べました。実需筋が大規模に債券を手放す、これほど破綻を早める行動はありません。なにしろ、彼らに買ってもらわない限り、維持可能性はあり得ないからです。個別に見ると合理的なのですが、合成の誤謬としか言いようがありません。しかしながら彼らは責められません。一義的には、「債務を積み上げて、市場の信用を失いつつある、各国政府自身」に責任があります。もちろん、もっとも責任があるのは、各国を借金漬けにして、手数料で儲け、流動性で儲け、最後には売り崩しで儲ける「何らかの存在」なのですが、それが表に出ることはありません。

まさに、壮大なババヌキ・椅子取りゲームが「すでに」始まっているのだと思います。

(引用開始)

Credit risk growing most in Greece, Portugal, France
Fri Jan 29, 2010 11:35am ESTNEW YORK, Jan 29 (Reuters) -

Sovereign credit risk has grown most sharply for Greece, Portugal and France since September because of investor sales of various government debt, according to a report by Credit Derivatives Research on Friday.

A widely tracked sovereign credit default swap index shows that 16 of the top 81 countries have shown credit risk increasing by more than 50 percent, with Greece's sovereign credit default swap levels rising by more than 250 percent since September.
Portugal's CDSs rose the second most, by 217 percent, followed by France (122 percent), Spain (111 percent), the United States (100 percent) and Japan (95 percent) as the countries where risk is rising the most.
The report found so-called "real money investors," those holding investments for longer than short term, hedge-fund traders trying to take advantage of high volatility, may be large sellers of government debt, accounting for the wider spreads and increased risk in developed nations' credit profiles.
"We believe the dramatic rise in CDS spreads of many sovereign nations is rising due to arbitrage-free pricing with the cash bond markets and not in any way driven by a cabal of ancient and mysterious CDS traders," Tim Backshall, chief strategist at Credit Derivatives Research, wrote in the report.
Among countries with the biggest tightening moves in five-year credit default swaps since September 2009, Costa Rica narrowed 56 percent, followed by Pakistan (-55 percent), El Salvador (-54 percent) and Estonia (-30 percent), the report found. (Reporting by Walden Siew; Editing by Padraic Cassidy)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2010-02-04 12:57 | 経済状況

2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来

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画像は産経MSNより

皆様

あけましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

本年は、残念ながら、本格的な破綻の幕開けになります。見せ掛けの景気回復はありえるでしょう。そして「世界的な景気底打ち宣言」「金融危機解除の安全宣言」もあるかもしれません。しかしながら、それらはすべて仮の姿に過ぎず、世界全体がリセットされ、安心安全というものがシステム崩壊を起こす、そんな2010年代の幕開けになるのだと思います。

なぜそのように思うか、順次、述べます。

---

これまでに、何度も次のように指摘してきました。

・金融危機対策として流動性を供給し、経済対策を実施するために、各国はこぞって国債を発行してきた
・軽視されているが、国債は無限に発行できるわけではなく、各国にもデフォルトリスクが存在する
・つまり、各国による金融機関・企業の債務の肩代わりは、壮大な「飛ばし」と言える
・実際に、財政状況が悪くなり、信用リスクが悪化した国が複数あると指摘されている

この財政状況が悪化した国としては、ユーロ圏で言うならたとえば、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインなどがあるでしょう。ギリシャの格付け下落は記憶に新しいところです。それ以外にも、中欧や東欧諸国、ドバイなど産油国など、話題には事欠きません。

ドバイショックは、金融市場にパニックを引き起こしたものの、実質的には世界全体には影響を及ぼさない、たんなる一地方の話だと思われています。しかし私は、こういった事故(?)は、国を変え資産クラスを変え、今後も発生すると思います。

何度も書いているように、こういった国レベルでの信用リスク悪化は、その国にとどまらず容易に世界全体に波及し、世界全体の信用リスクをさらに悪化させることは、言うまでもありません。これは、非常に簡単に書くと世界全体のレバレッジが大きいためであり、たとえば、地球の裏側のリスクプレミアム上昇が、容易に金融価値の下落につながるためです。つまり、これからの金融危機は、もはや金融機関のレベルではなく、各国そのものの生き残りをかけた競争レベルになってきたということです。

簡単に書くと、次のようになります。

・実体経済を大きく上回る仮想経済の肥大化
・金融資産(デリバティブ)バブル崩壊
・リスクマネー縮小、不況入り
・各国による積極財政、景気刺激
・資金を税収で賄えず、国債発行
・景気悪化により、税収減少
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ
・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる
・富の一方的移転が、合法的・世界的に行われる
・(一部の世界権力者が絶対権力を持つ、新世界秩序の誕生)

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このブログでは、当初から、国家債務と税収のバランスに着目してきました。その観点から書くと、

・税収=企業負担(法人税)+家計負担(所得税+消費税)と考えると、税収が増える余地はなく、返済計画が立たない
・そこで、現在の税収ではなく、潜在的担税力で考える
・国の経済規模(GDP)の30%を潜在的担税力と見ると、国家債務/国の経済規模(GDP)>150%だと、レシオが5倍となり、民間人だと返済困難となるゾーン
・潜在的担税力をGDPの50%に設定しても、250%が限界

国家の借金の額が、概念的な返済能力を超えてしまい、デフォルトを起こすなどという事態は、これまで一笑に付されてきました。確かに、世界同時国債増発が常識となったこの数年においては、流動性を潤沢に供給することが第一優先であり、国家財政の維持可能性は二の次でした。加えて、「そもそも、国内向け自国通貨建てであれば、事実上必要なだけ発行できる。そうでなくても、国債増発はどの国もやっていて、相互依存的な関係※なのだから、相対的に突出しなければ問題ない。」などという楽観論が大勢を占めていました。

(どの市場もそうですが、市場参加者が楽観的なときが、後から振り返って「天井だった」「あのときに売っておけばよかった」というタイミングなのです。)

※ 相互依存的な関係ということは、持ちつ持たれつ・持ち合い、ということです。これも何度も書きますが、それを運転資金に使ってしまうということは、中小企業の社長どうしが、相互の延命のためにお互いの手形を交換するというくらいの、まさに自転車操業としか言えません。

何度も指摘しますが、上の表の一部

・(略)
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・(略)

をもう少し詳しく書くと、

・国家財政の維持可能性リスクは、すでにアメリカ、EU主要国、日本において存在する
・現在、それが顕在化していくステージにある
・リスクが顕在化すると、リスクマネーの巻き戻しと信用縮小により、株式・為替・債券市場が大きく混乱する
・現在、プレミアムリスク、デフォルトスワップ、VIXが上昇してきており、冗談ではすまない可能性がある
・金融資産の減価により、金融危機がスケールを大きくして再来する


では、リスクマネーはどこに行くのでしょうか?リスクマネーの源は、大きく分けて2種類あると思います。1つには年金資金などの長期機関投資家。もう1つは過剰流動性を得た短期機関投資家。

長期の場合、株式がダメなら債券にアセットアロケートするのが普通ですが、現在のような低金利で、しかも国債のリスクプレミアム上昇(債券価格は低下)が見込まれている中では、キャッシュで握りこんでおくか、金地金(ゴールド)への逃避が合理的行動となります。つまり、金融市場で売り手ばかりになり、買い手がいなくなる、特別売り気配のみで売買が成立しない、市場が機能しなくなるということもあり得ます。
このような場合、その歪の解消に着目した短期投資家が動くのが普通ですが、どうでしょうか?

短期の場合、低金利で借り入れを起こすことが出来るメリットを生かして、たいていレバレッジがかかっています※。その負債部分は、「金融安定化のため」としてジャブジャブに注ぎ込まれた過剰流動性です。資本部分を負担する投資家が多量に解約すると、資産部分を換金売りすることになるのですが、負債部分を返済した行く先は、その源、発行国です。つまり、「マネーが行く」のではなく、「マネーは還る」というほうが正確なのだと思います。
そして、世界全体に長年にわたって過剰流動性を供給してきたのは「アメリカのドル」であることは、ユーロダラーに関する過去のエントリ(記事)などで、何度も指摘していることです。(その次に通貨をばら撒いているのは日本ですね。)

※資産(機関投資家が使えるマネー)=資本(出資者が投資したマネー)+負債(どこからか借りてきたマネー)
 レバレッジ=資産/資本

このような仮定が正しければ、有事には

・世界株安
・債権安(=金利上昇)
・ラスト・レパトリとして、実はドル高になる(ドル以外の通貨安)、加えて円高
・ゴールド高

となりえます。これが上の表で書いた

・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ

の正体です。そしてその次には、

・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる

が待ち受けているのだと思います。

---

私は、決して財政破綻を望んでいるわけではありません。そのことは、長くの読者様にはご理解いただいていることと思います。そして、破綻を回避する方法があるのなら、それを提案するということも目的のひとつにあったのですが、結論としては「個人レベルで破綻を回避する方法や、そのための意味のある提案はない」ということです。

今後とも、おつきあい頂ければ幸いです。
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by kanconsulting | 2010-02-03 12:40 | 経済状況