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日本の財政状況 すでに財政危機は限界点を超えた 長期金利の近未来

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グラフは毎日新聞より

これまでに、次のように指摘してきました。

・金融危機による世界同時金融破綻を避けるため、各国は低金利と金融緩和により、流動性を供給する
・その原資は国公債であり、世界同時国債増刷とも呼べる
・国債の返済原資はあまり当てがなく、破綻の先送りとも言える
・流動性を回収すると世界経済が突然死するため、回収も出来ない
・インフレ、金利、為替によって、ペーパーマネーの価値を減価することでしか、解決できない

最近、IMFは、次のような報告書を出しています

(引用開始)

G20の先進国の債務残高、2014年にGDP比118%に拡大=IMF
2009年 11月 4日 08:32 JST
[ワシントン 3日 ロイター] 
国際通貨基金(IMF)は3日、主要20カ国(G20)のうち先進国の政府債務残高が2014年に対国内総生産(GDP)比で118%に達するとの見通しを示した。
その一方で、財政支出による景気支援策を縮小するのは時期尚早と強調した。
債務の水準を安定させるために、世界的に金利が最大2%ポイント上昇する必要があると指摘した。
IMFのコッタレリ財政局長は電話会見で「(財政)支援は引き続き適切かつ極めて重要だ。世界経済は回復しつつあるとしても、今回の回復はぜい弱だ」と述べた。
同局長は、2010年を通して先進諸国は景気支援のための財政政策を継続する公算が大きいとする一方で、成長のペースがより速い新興市場国では2010年に財政の引き締めが開始されるとの見通しを示した。
IMFは2009年のG20の財政赤字が平均でGDP比7.9%となり、10年は6.9%に低下すると予想。米国で金融セクター支援から発生する損失が減少することが主因としている。ただ、こうした要因を除けば、G20の先進国の赤字は10年に拡大する公算が大きいとの見方を示した。
最も大きな財政上の調整が必要な国として、英国、アイルランド、スペイン、日本を挙げた。デンマーク、韓国、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデンは債務を適切な水準に維持するための取り組みが不要か、ほとんど必要ないとの見方を示した。

日本の財政赤字は悪化見通し、先進国平均も上回る-IMF
2009年11月04日 07:34更新
国際通貨基金(IMF)が3日に発表した世界の財政調査報告によると、日本の2009年度財政赤字見通しは7月発表の前回報告に比べ0.2ポイント悪化し、国内総生産(GDP)比10.5%とされた。世界の主要先進国の平均である同8.2%を上回る結果となった。
同報告によると、2010年度の日本財政赤字は前回発表時と変わらず10.2%、2014年度には前回見通しより0.4ポイント悪化の8.0%と予想された。
また一般債務の見通しについて、日本の2014年度は前回発表時より6.4ポイント改善されたものの、GDP比で245.6%となり、調査対象19か国のうち最大かつ先進国全体の平均118.4の約2倍となった。日本は社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫すると指摘された。

IMF:先進国の財政赤字削減、刺激策の解消だけでは不十分-報告書
11月3日(ブルームバーグ):
国際通貨基金(IMF)は3日公表した報告書で、インフレ調整後の実質金利の上昇リスクに直面する先進国が債務を削減するには、財政・金融面での刺激策を解消するだけでは不十分との見解を示した。
この四半期報告書はIMFの財政局がまとめた。それによると、IMFは現在、20カ国・地域(G20)の今年と来年の財政赤字が7月時点の見通しより小さくなると予想しているものの、この見通し修正は米金融業界支援向けの支出が少なくなることを主に反映しているという。金融支援を除いたベースでは、社会保障関連の支出が増える一方で税収が減るため、財政赤字は拡大する見込みとしている。
報告書は「財政見通しの悪化に対する金融市場の反応は、これまでのところ控えめなものとなっているが、それで安心してはならない」とし、「単に刺激策を期限切れとするだけでは、多くの先進国で政府債務が膨張への道をたどり続けることになる」と指摘した。

更新日時: 2009/11/04 08:34 JST

(引用終了)

このように、

・G20の財政赤字(平均・GDP比) 
 2009年 7.9%
 2010年 6.9%
・G20のうち先進国の政府債務残高(GDP比) 
 2014年 118.4%
・「アメリカでの金融セクター支援による損失が減少」という要因を除けば、G20の先進国の赤字は2010年に拡大
・英国、アイルランド、スペイン、日本は、最大の財政調整が必要

その日本に関してみると

・財政赤字見通し(GDP比)
 2009年度 日本 10.5% (世界主要先進国平均 8.2%)
 2010年度 日本 10.2%
 2014年度 日本 8.0%
・一般債務見通し(GDP比)
 2014年度 日本 245.6% (先進国全体の平均 118.4%)
 >調査対象19か国のうち最大
 >社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫

となります。国際的に日本を見ると、金融危機で直撃弾を食らっていない割には、ダメージが大きすぎるという印象です。これは、日本がもともと持っていた財政的脆弱性が、今般の世界同時金融危機であらわになった、という理解の方が近いのかもしれません。

さて

皆様ご存知のように、来年度予算においては、税収<国債発行額、となり、財政非常事態となっています。

税収    約38兆円
国債発行 約44兆円

すでに、日本の国家債務は、維持可能性がありません。可能性としては、長短金利を低金利に抑えつけて金利支払いを抑制し、流動性を供給して国債を買わせるという、「花見酒」、つまり先送りをするしかないのです。

最近、「事業仕分け」が、弁護人不在のまま進められる刑事裁判のようだとして話題になっています(にしても、満足な自己弁護できない被告側にも問題がありそうです)が、2010年度予算の一般会計歳出総額は90兆円を超え、過去最大の規模になる見込みです。

さて、以下の問題についてはどうでしょうか?

①実際に、国や地方の資金繰りがつかなくなり、大きな混乱を引き起こすこと
②国債の信認の度合いである、国債長期金利が上昇すること
③それ以前に、パニック的な逃避行動により、取り付け騒ぎが起きること

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①については、何度も述べていますように、ロシアや昔の中国(清)のような、国債の紙切れ化は起こらないと考えています。日本の場合は、それを回避するために、金融緩和・低金利によるロールオーバー(借金の延期)や、最悪のケースとして徴税権による穴埋めが可能だからです。
皮肉なことに、低金利を続ける限り、個人向け国債のような個人向け債券は売れ行きが芳しくありません。個人の貯金を取り込み、悪く言えば人質にとり、最悪のケースとして徴税権と相殺したいと考える国にとっては、頭の痛い事態でしょう。

ただし、国債デフォルトをなりふりかまわず回避するその過程で、物価・金利・為替による、通貨と国債の価値調整が行われることは、避けられないと見ています。

②については、ふたたび、じわじわと長期金利が不気味な上昇を見せています。これが、ずっと続くトレンドなのかは分かりません。

③については、そのリスクは常に存在します。

まさにこれからの数年は、ポストサブプライムとして、考えられない異常事態が発生する可能性があります。冷静に事態を把握し、落ち着いて行動されることをお勧めします。

(引用開始)

長期金利上昇を危惧、財政悪化懸念の是正に努める=財務相
2009年 11月 10日 12:06 JST

[東京 10日 ロイター] 藤井裕久財務相は10日の閣議後の会見で、国債市場で長期金利が上昇傾向にあることを非常に危惧(きぐ)しているとし、市場に広がっている財政悪化懸念を何としても是正しなければならないと語った。
その上で、2010年度予算の編成にあたっては長期金利が上昇傾向にあることを最も重視し、麻生政権が決定した2009年度の新規国債発行額の約44兆円をめどに国債市場の信頼を得るよう努力すると語った。

 <10年度予算編成、長期金利上昇傾向を重要視>
藤井財務相は、1.4%台後半に上昇している長期金利を「非常に危惧している」と述べるとともに、足もとの長期金利上昇は財政悪化懸念を反映しており、「それに対する是正を何としてもしなければならない。歳出のカットは、全てそこに目的があるという気持ちでやっている」と強調した。
これを踏まえ、2010年度予算編成について「一番大事なことは金利が上昇傾向にあることだ」と繰り返し、「国債市場の信頼を一番大事にしている。信頼を失うと国益を損なう」と指摘。
マニフェスト(政権公約)に掲げた政策の実行と国債発行との関係では「マニフェストの政策は公約であることは間違いない。それをやり、国債市場の信頼を得ることは、ある程度、やれると確信している」としながら、前政権が決めた補正予算を含めた2009年度の国債発行額である「44兆円をめどに置き、極力、国債市場の信頼を維持できるよう頑張る」と語った。
(ロイターニュース 伊藤純夫)


長期金利、一時1.485%に上昇 財務相「非常に気にしている」

10日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが一時、前日比0.010%高い1.485%に上昇した。6月16日以来、約5カ月ぶりの高水準。株価の上昇に加え、来年度予算編成や国債増発への不透明感が意識され、売りが先行した。ただ、藤井裕久財務相が歳出削減を徹底することなどを改めて強調。その後は買い戻しも入った。
藤井裕久財務相は10日の閣議後の記者会見で、長期金利の上昇について「非常に気にしている。国債市場の信頼を失うと国益を損なう」と述べた。背景には財政悪化への懸念があると指摘したうえで、2010年度予算編成に関し「(財政悪化の)是正は何としてもやる。歳出を切るのはそれが目的だ」と強調。10年度予算の新規国債発行額を44兆円以内に抑える考えを改めて強調した。(12:19)


長期金利:4カ月ぶり高水準 終値1.475%

週明け9日の東京債券市場で、長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りの終値は、前週末終値より0.025ポイント高い1.475%と、直近の高値だった8月の1.46%を突破、約4カ月半ぶりの高水準となった。
週末に英国で開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、金融危機の原因とされる「世界経済の不均衡」の是正に取り組むことで合意。内需拡大を迫られた日本の財政健全化が遅れるとの見方が強まった。また、峰崎直樹副財務相が7日の講演で、10年度の国債発行額が政府目標の44兆円を超える可能性に言及したと報じられたことも、需給悪化懸念による国債売却の動きにつながった。
上昇幅は4営業日で0.1ポイントに達し、みずほ証券の上野泰也氏は「財政拡張に傾斜している政府への市場の警告、という意味合いがある」と指摘している。【山本明彦】

毎日新聞 2009年11月9日 20時10分(最終更新 11月9日 21時30分)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-11-12 12:59 | 経済状況

金(ゴールド)の価格と未来 ドルの信認とドル高 またしても過剰流動性

金地金(きんじがね、いわゆるゴールド)が過去最高値をつけています。

その背景としては、

・アメリカの超低金利政策が長期化するとの観測から、ドル安が進行
・ドル安を受けて、アメリカではインフレ懸念が台頭
・ドル建て資産の目減りを避けるため、安全資産である金に資金が流入

でしょう。そのドル安の背景ですが、

・オーストラリアでの利上げ
・超低金利のドルを売って、高金利の資源国通貨や金など商品先物に投資する「ドル・キャリー取引」
・イギリスのメディア※が「湾岸産油国と中国や日本などが、石油取引の決済をドル建てからユーロや円など複数の通貨を組み合わせた『通貨バスケット』に移行する方向で協議している」と報じたことも拍車

ということです。

(もともとドル体制への揺さぶりを考えてきた中国のみならず、日本も「通貨バスケットへの移行を検討」とは、「そうだったのかw」と思ってしまうところですが、現在の国際的常識が「ドルの信認はそれほど続かない」であること、民主党政権が「アメリカ離れ」を意図していることから、選択肢の検討段階としてはあり得なくはない、と思います。フランス・クウェートなどは公式に否定しているとのことですが、日本が公式に否定しているかどうかは不明です。)

※ The Independent had reported on Tuesday that Gulf states, together with China, Russia, Japan and France, were considering replacing the dollar as the pricing currency for oil by a so-called basket of currencies.
This would include the yen, the yuan, the euro, gold and a future common currency in the Gulf region.
However, the report has been denied by a host of countries, including France, Kuwait, Qatar and Russia.
"Despite the denials, there are probably all sorts of discussions going on about how to reduce dependence on the dollar and diversify reserves," said Hufton.
"But they are hardly likely to be confirmed given that it would only serve to cut the value of the very reserves countries are seeking to diversify out of."

"Dollar on weak footing; gold strikes new record" (AFP) – Oct 7, 2009

(余談ですが、世界同時利下げ・世界同時金融緩和の中、オーストラリアの利上げはまっとうな判断だったと思います。世界からマネーを集めて生き残るためには、利下げではなく利上げが必要なのです。しかし、アメリカや日本でそれをするのは、もはや自殺的行為となるでしょう。)

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関連した記事を引用します。

(引用開始)

NY金:過去最高値を更新 ドル先安観の目減り対策で

【ワシントン斉藤信宏】6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の金先物相場は、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の利上げなどをきっかけにドル安が進行したことを受けて急伸、指標となる12月渡しは電子取引で一時、1オンス=1045.00ドルまで上昇し、昨年3月につけた取引時間中の過去最高値(1033.90ドル)を更新。終値でも前日終値比21.90ドル高の1039.70ドルと9月中旬につけたばかりの過去最高値を塗り替えた。
オーストラリアでの利上げに加えて、一部の英メディアが「湾岸産油国と中国や日本などが、石油取引の決済をドル建てからユーロや円など複数の通貨を組み合わせた『通貨バスケット』に移行する方向で協議している」と報じたことでドルの先安観が強まった。ドル安を受けて、米国ではインフレ懸念が台頭、ドル建て資産の目減りを避けるため「安全資産」の金を買う動きが加速した。

毎日新聞 2009年10月7日

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金先物相場:NY 最高値更新、金市場に資金流入 安いドルから転換

金の価格が急上昇している。6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の金先物相場は、指標となる12月渡しが一時、1トロイオンス=1045・00ドルまで上昇し、08年3月につけた取引時間中の最高値(1033・90ドル)を、約1年7カ月ぶりに更新した。ドル安の進行と表裏一体的な動きで、当面はドル安基調が続くとの見方が強いことから、金価格は一段の上値をうかがう展開も予想される。
金価格が上昇基調にあるのは、米国の超低金利政策の長期化観測からドル安=ドルの価値低下が進行し、安全資産である金に資金が流入しているためだ。金価格は08年3月、商品価格の上昇を受けて一時1000ドルを突破。金融危機でいったん下落したが、最近は超低金利のドルを売って、高金利の資源国通貨や金など商品先物に投資する「ドル・キャリー取引」が広がっているとされる。
6日は、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が利上げしたこともドル売りに拍車をかけた。アラブ諸国などが石油取引のドル決済の中止を検討しているとの英紙報道が流れるなど、基軸通貨としてのドルの地位への懸念も強まっている。
金の宝飾品需要は世界的に低迷しており、買い主体は投資ファンドなどの投機筋が多い。このため、高値では利益確定の売りが出やすく、金価格はいったん調整局面に入る可能性が高いが、「ドル安が続けば、1100ドルをにらんだ展開になるだろう」(日興コーディアル証券の上西晃氏)との見方もある。【田畑悦郎、小倉祥徳】

毎日新聞 2009年10月8日

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最高値更新する金相場、中国ファクターでさらなる上値も
2009年 10月 8日

[北京/上海 7日 ロイター
ほとんどの人々にとって、金は不況時には無くても構わない単なるぜいたく品かもしれない。しかし慎重な中国の投資家にとっては、金は必需品となりつつある。
金価格が最高値を更新するなか、中国でも貴金属の売り上げが打撃を受ける可能性があるものの、景気の先行きには不透明さが残っており、投資先としては金を選好する動きが根強いという。
また、外貨準備の安全な投資先を探している中国政府も、現在1054トンとされる金準備を積み増す可能性が高い。ロングゴールド・アセット・マネジメントのYao Haiqiao社長は「中国での金消費量はインフレ期待を背景に伸びると予想され、政府も金準備を増やすとみられる」と述べた。
中国黄金協会のSun Zhaoxue会長によると、同国の外貨準備のうち金は全体の約1.6%に過ぎず、その比率は今後増えることが見込まれている。
金相場は足元、世界経済の先行き懸念と米ドル安を受けて最高値を更新。一部で調整を警戒する声もあるが、中国の投資家は引き続き金投資を積極的に行うと予想される。
上海中期期貨経紀のアナリスト、Zoe Wang氏は「消費者は価格に敏感であり、金価格の上昇はインドや中国での金購入に間違いなく打撃を与える。今年前半にインドの貴金属消費量が急激に落ち込んでおり、同様のことが中国でも起きるかもしれない」と指摘。その上で「しかし投資に関して言えば、金をヘッジのツールとして使う人が増えており、金の購入は拡大している。こうした動きは中国では明らかに増えている」と述べた。
中国はすでに世界最大の金生産国であり、2009年前半には貴金属の消費量でもインドを抜いて世界1位になった。ただ、中国でも宝飾品の売り上げは落ち込むとみられ、金相場を今後も押し上げるのは投資目的の金購入となる。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の極東担当マネージングディレクター、Albert Cheng氏によると、中国で投資としての金購入は2008年に過去最高の70トンに達した。
ロングゴールドのYao氏は「インドでは多くの人が宝飾品を買う一方、中国では銀行に金の延べ棒を預ける人が増えている」と述べた。

<一段の上値を追う可能性>
1オンス=1000ドルの水準は長続きしないと警戒する投資家もいる一方、中国では多くの人が金相場の先行きに楽観的な見方を示す。
中国黄金協会の副会長、Hou Huimin氏は「価格が上がったからというだけで人々が急に売り始めることはないだろう。中国では投資行動に大きな変化は出ていない」と述べた。
また、スタンダード銀行(香港)のEllison Chu氏は、需要が引き続き供給を大幅に上回っており、さらなる上値の余地があると指摘。「この価格水準が市場にどう影響するか注視していくが、個人的にはさらに上昇する可能性があると思う。市場がこの水準に慣れれば、上振れの可能性があるだろう」と語った。
さらに「過去数カ月間の株式市場を見てみると、乱高下や色々なうわさがあった。人々はより安定的な投資先を探している。投資家は金に継続的な成長を期待できる」としている。
「中国の投資市場では群集心理が大きな役割を果たす」と指摘するロングゴールドのYao氏は、金以外に魅力的な代替投資先がない以上、投資家は「途中下車」したがらないとの見方を示す。
Yao氏は、中国政府がいずれ金準備を増やすとみられ、それが金相場のさらなる支援材料になる可能性があるとしている。

(引用終了)

さて、気になるのは、

・ゴールドが高いのは、実質なのか?それともバブル的なものなのか?
・世界不況の中、需要が減退しているのに、ゴールド高が、中長期にわたって続くのか?
・ゴールド高の裏表となる、ドルはどうなるのか?

それを簡単に言いますと、

・今の世界は、超低金利のマネーが、量的緩和によって潤沢にある
・しかし、それに見合う実需的な投融資(事業資金、設備投資)がない
・投機資金となり、実物資産マーケットに流れ込んだ
・その流れに、年金基金などが相乗りした
 
その後の流れは自明です。

・キャリートレードは、必ず巻き返す
・商品は、かならず一度は下落する
・皆がドル安と思っていたが、実はドル高になる
・アメリカ国債の信認や持続可能性は別問題

関連した記事を引用します。

(引用開始)

インフレリスク過小評価すべきでない=米セントルイス地区連銀総裁
2009年 10月 12日

[セントルイス 11日 ロイター
米セントルイス地区連銀のブラード総裁は11日、米経済の緩みは多くの人が予想するほど大きくないかもしれず、これにより中期的なインフレリスクが高まる可能性があるとの見解を示した。
同総裁は、経済会議でのプレゼンテーションで、需給ギャップを正確に測ることは困難と指摘。
「需給ギャップについてよく使われる説明に関して懸念している。それはリセッション(景気後退)がこれほど深刻なのだから需給ギャップは大きいに違いなく、従って中期的なインフレリスクは異例の金融緩和政策の中でさえ無視し得る規模だというものだ」と述べ、「このような説明は需給ギャップについて誇張し過ぎていると思う」との見解を示した。
さらに、需給ギャップの測定を目的とした計算は資産価値のバブルを考慮しないとし、現在の生産の落ち込みの大半が住宅バブルの崩壊に関連しているとすれば「現在の需給ギャップは見掛けよりも小さいだろう」と指摘。これはインフレリスクが高まることを意味すると述べた。
同総裁はまた、1991年と2001年に終わった過去2回のリセッション時には、FRBはリセッション終了後2年半から3年経つまで利上げしなかったと指摘。今回このパターンを踏襲するとすれば、最初の利上げは2012年になると述べた。
そのうえで、この10年間の始めの時期にFRBが長い間金利を低過ぎる水準に維持した結果、住宅市場のにわか景気と不況につながったという議論が、今度の連邦公開市場委員会(FOMC)に重くのしかかる可能性があると語った。

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次にバブルが崩壊するのは米国債市場=ジム・ロジャーズ氏
2009年 10月 9日

[ニューヨーク 8日 ロイター
米著名投資家のジム・ロジャーズ氏は8日、借り入れ規模が持続不可能な水準に及んでいるとして、次にバブルが崩壊するのは米国債市場との見方を示すとともに、農作物、貴金属に投資妙味があると指摘した。
また株式市場に関しては、最近の大幅上昇を受けて調整局面を迎えるとの見方を示した。
同氏はロイター・テレビジョンとのインタビューで「調整への機は十分熟している。6カ月間に及ぶほぼ一本調子の上昇局面の後、値固めがあっても驚きではない」と指摘。株式市場は今後、長期にわたって上昇する可能性があるとの見方を示した。
同氏はまた、ロイターとのインタビューの後開催されたETFセキュリティーズ主催のセミナーで「次にバブルが形成されているのは、米国債市場だ。金利3─6%で米政府に30年間もお金を貸す人がいるなんて理解できない」と指摘。「いずれバブルははじける。米国債を保有している人がいたらひどく心配する。私なら手放すことを検討する」と述べた。
商品(コモディティ)への強気な投資で知られる同氏だが、コモディティに関しては、農作物・貴金属・原油が依然として同氏の好む投資対象だと明言。「農作物の在庫水準は過去数十年間で最も低い水準にある」として、特に最近28年半ぶりの高値を付けた砂糖は、向こう10年間で一段の上昇余地があるとの見方を示した。
貴金属については、割安感からパラジウムと銀が魅力的と指摘。ただ、長期では歴史的にも実物資産とされる金を投資対象に挙げた。
また原油相場に関しては、枯渇懸念から強気相場の流れで、バレル当たり最大200ドルまで上昇する可能性があるとの見方を示した。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-10-28 12:43 | 経済状況

アメリカの財政赤字

アメリカの財政赤字が拡大することは当然のこととして何度も述べていますが、戦後最大の規模となることが判明しました。

(引用開始)

【10月8日 AFP】
米議会予算局(Congressional Budget Office、CBO)は7日、9月末で終了した2009会計年度の財政赤字が、前年より9500億ドル増の約1兆4000億ドル(約125兆円)に拡大し、1945年以来最大となるとの見通しを発表した。
歳入の落ち込みに、金融機関への公的資金の投入と長引く不況からの脱却をめざした財政出動が加わったためとCBOは説明している。歳入は08年度から約4200億ドル(17%)減少し、過去50年以上で最低。一方、歳出は過去50年で最高の5300億ドル(18%)増だった。
正式な09年度の財政収支は今月半ばに財務省が発表する。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-10-08 12:56 | 経済状況

リーマンショック1周年 何が明らかになり、何が変わったのか 変わらない強欲

魔の9月です。そして、あのリーマンショックから、1年が経過しました。

元リーマンブラザーズの社員は、バークレイズなどにシステム付きで再雇用され、引き続き「強欲」システムを動かしているようです。この、1秒に300回の株式取引が可能で、「毎日利益が出る、損を出す日はほとんどない」と言わしめるようなITシステムは、前回「カマボコ(中抜き、ピンハネ)のIT化 またしてもゴールドマン・サックス 断固たるNOを」で指摘した、「フラッシュオーダー」と似たようなものなのかも知れません。

それに対して、「短期的な利益を最大化するための強欲を正当化するような、金融機関の巨額ボーナスはおかしい」という意見も多数出ていますが、「資本主義で、利益に応じた対価を与えることに何の問題がある?」という真っ当な反論の前には、それほどのインパクトはないようです。

(余談ですが、民主党政権は、当初から、「アメリカ的な市場原理主義が、世界に格差と不幸をもたらした」という姿勢で、早速アメリカの反感を買っています。それはそれでかまわないですし、むしろ自民党には不可能な行動なので差別化のためにも是非やってもらいたいのですが、あまりに戦術が幼稚なので、見ていて痛いのです。たとえば、スティグリッツなどの有識者を起用して、しっかりと世界経済戦略を立ててPRすることが必要なのだと思います。そうでなければ、思いつきで何か言っているというレベルをなかなか越えられません。)

この1年間、何が明らかになり、何が謎のままで、そして、何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか?

(明らかになったこと)
・過剰流動性が世界金融市場を膨らましていたこと
・不明なリスクを取って、それをキャッシュに換えるという錬金術は、虚構であったこと
・職や持ち家を失うという形で、一般市民が割を食ったこと

(謎のままのこと)
・世界経済奥の院は、何をどうしたいのかということ
・これからの儲けの道具となる、過剰流動性に代わる紙切れは何かということ (世界各国の国債だとは思いますが)
・いつまで「先送り」が続けられるのかということ

(変わった事)
・世界政治のエージェント
・資産価値が上がり続けるという前提
・一般市民の将来設計

(変わらないこと)
・政権が代わっても、それらを動かす奥の院は変わらないということ
・結局、ペーパーマネーを刷るしかないと言う事
・強欲さ

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1年前の関連記事も参照ください。

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関連したニュースを引用します。

(引用開始)

終わりの見えぬリーマン残務処理、顧客資産もいまだ凍結
2009年9月11日19時25分

[ロンドン/ニューヨーク 8日 ロイター]
ニューヨークのタイムライフビル。リーマン・ブラザーズ本社があったタイムズスクエアにほど近い場所で、600人に上るスタッフが膨大な資料のヤマと格闘を続けている。
リーマンが約1年前の9月15日に連邦破産法の適用を申請し、世界的な金融危機の引き金を引いて以来、残ったリーマンのスタッフや外部のコンサルタントが、複雑に絡み合ったデリバティブや不動産など無数の契約を解き明かすべく、今なお終わりの見えない作業に取り組んでいる。
リーマン破綻から1年経った今も、顧客やカウンターパーティーなどの資産は凍結され、資産や債権の返還請求も受け付けられずにいる。
残務処理に取り組んでいるスタッフらは、債権者の資産価値を最大化すべく、少なくとも彼らに自分たちの資産がどの程度の価値がつくかを示すべく、懸命の努力を続けている。
欧州におけるリーマンの共同管財人を務めるプライスウォーターハウスクーパーズのビジネス・リカバリー・サービス部門の責任者トニー・ロマス氏は、リーマンの複雑な資産や債務の関係は口では説明できないとした上で、「6000件余りあるリーマンの顧客ファンドのうち、半分以上の投資家から自分の資産がどれだけあるか申告されていない。債権者に配分できる資産は90億ドル近くあるかもしれないが、それをどれだけの債権者に渡す必要があるのかを把握しなければならない」と語る。
状況はニューヨークでも同じことだ。リーマンのデリバティブ契約を通じて債権を保有する投資家は今のところ返還請求を行うことができず、来月になっても債権に関する追加情報は得られそうにない。
リーマンの事業が日本からケイマン諸島に至るまで16カ国に渡り、破産手続きが世界中の76カ所で行われていることも問題を複雑にしている。
リーマン本体が破産申請した後、4000に上る関連会社の一部も破綻しているため、リーマンが破産処理を完結させるためには、各地の司法管轄の間で複雑な債務関係を整理したり、債権額をいつの時点で計算するかなど、数多くの問題を解決する必要がある。

<上向き始めた債権価格>
ロマス氏のカウンターパートとして債務関係の整理に当たっているコンサルタント会社アルバレス&マーサルのアン・ケアンズ氏によると、同社は2010年末までに、リーマンの債務処理作業の大半を終えたいと考えている。
リーマンの資産は1年前に比べ大幅に増加している。アルバレスによると、破綻時点ではわずか35億ドルの現金しか保有していなかったのに対し、今年6月末時点では120億ドルを上回る水準まで回復した。ローンポートフォリオの時価も回復している。
債権者の間にも、債権回収の成果を上げるため組織を作ろうとする動きが出ている。ポールソン、エリオット・マネジメント、キングストリート・キャピタル・マネジメントなどの投資ファンドは「リーマン・ブラザーズ債権者グループ」を結成し、6月以降、リーマンに対する125億ドルに上る債権請求額を集めた。
破綻会社の債権者向けに債権を取引する市場を運営しているセカンドマーケット社によると、リーマンに対する債権の市場価格は最近になって急上昇。リーマンの持ち株会社が破綻した際には額面の10%でしか取引されなかった債権は、現在では20%近い水準で取引されている。
セカンドマーケットによると、リーマンのデリバティブの多くを保有するリーマン・ブラザーズ・スペシャル・ファイナンシングや、リーマンの商品取引契約の多くを保有するリーマン・ブラザーズ・コモディティ・サービシスの債権価格も、額面の40%前後で推移している。
だが、欧州ではリーマンの顧客ファンドの多くが複雑な商品を含んでいるため、ほとんど価値がないとみなされているものも多い。

<リーマン破綻処理が1つの産業に>
ロマス氏は先月、英サンデー・タイムズ紙に対し、リーマン処理は「それ自体で1つの産業」になるとコメントし、全世界で破綻処理に関わる2000人のスタッフに支払われる手数料が40億ドルを上回ると明らかにした。
ロマス氏やケアンズ氏によると、規制当局は「第2のリーマン」が現れるのを防ぐ手段を編み出すため、リーマンの破綻処理を見守っている。
その一つとして検討されているのは、銀行に破綻した場合の処理を記した「生前遺言」の提出を義務づける案だという。
しかし、リーマンや元従業員にとってそれ以上の関心事は、リーマンを破綻に追い込んだ「犯人」を特定できるかどうかという点だ。
裁判所から審査官として指名されたアントン・バルカス氏は、数多くの銀行やリーマンの元幹部を対象に、誰が嘘をつき、誰が会社運営を誤り、誰が詐欺行為を働いたかを特定する作業を進めている。彼の報告は来年初めにも提出される見込みだ。
リーマン自身も、決済銀行や預託信託機関、連邦準備理事会(FRB)の行動を提訴できないかどうか調査するグループを結成している。
リーマン破綻を受けてブローカー部門を17億5000万ドルで取得し、早々に42億ドルの利益を得たバークレイズに対しても、当時の行為が「良心にかなった」ものだったかどうか調査する承認を受けている。

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投信残高はリーマン破たん以前に戻らず、個人は依然慎重
2009年9月11日20時5分

[東京 11日 ロイター]
リーマン破たんから1年が経過し、個人投資家マネーの有力な受け皿に成長してきた「投資信託」の残高が、破たん以前の水準を回復していない。
足元の資金フロー(ETFを除く)は6カ月連続の純流入となっているが、06年から07年にかけて毎月1兆円を超える資金が流入していた当時とは投資環境も様変わり。「個人マネーは戻りつつあるように見えるが、投資家の気持ちが以前のように投資に向かうには、さらに時間がかかるのではないか」(大手投信)との声もある。

<投信残高ピークは07年10月、ボトムは09年1月>
追加型投信の残高は、サブプライム問題の深刻さが表面化して以降、2007年10月をピークにすでに減少トレンドに入っていた。リーマンの破たんからさらに約1年さかのぼった時点だ。
背景には、サブプライム問題を発端とした株式相場下落と為替要因があった。残高全体のほぼ4分の3が海外資産に投資するファンド(海外証券型ファンド)であるため、為替の影響は無視できない。07年10月から08年8月までに円は対ドルで約6%、対ユーロで約4%、対豪ドルで約13%の円高が進んだ。
リーマンが破たんした08年9月、米市場の下落を発端として世界の株式市場の大幅下落が始まるが、国内投信市場の残高がボトムとなるのは09年1月。残高はピーク(07年10月)時から約44%減少。リーマン破たん前の08年8月時点との対比では約35%落ち込んだ。足元の09年8月末残高は、戻ってきたもののピーク時から約3割減の状態。リーマン破たん前と比べると、約2割減の水準だ。
一方、外為市場の動向を見ると、投信残高がボトムとなった09年1月の水準と、ピークだった07年10月時点を比較すると、円は対ドルで約22%、対ユーロで31%、対豪ドルで約47%の円高が進行。世界的な株式相場の下落に、円高進行が拍車をかけて投信残高にマイナス圧力をかけたことがわかる。反対に残高がボトムとなった09年1月から足元の8月までは円安傾向にある。円は対ドルで3%、対ユーロで約16%、対豪ドルで約38%とそれぞれ円安方向に振れた。

<リーマン破綻後1年の総決算は1兆1875億円の純流入>
トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーによると、国内追加型株式投資信託(ETFを除く)の純流出入額(設定額から解約額と償還額を引いたもの)は、同社がデータ提供を開始した2003年1月から米リーマン破たん直前の08年8月まで、5年8カ月間にわたって流入超が続いた。
しかし、リーマン破たんの08年9月以降、09年2月までの6カ月間に計4カ月で資金流出となり、その額は合わせて7758億円に上った。ただ、08年9月から09年8月までの直近1年間をみると、8カ月間は流入超で純流入額は計1兆9633億円。リーマン破たん後1年の総決算としては、1兆1875億円の純流入となった。
しかし、リーマン破たん前の1年間(07年9月から08年8月まで)の純流入額は計4兆8834億円に達し、07年1─12月の純流入額は14兆4024億円に上っていた。足元の資金動向が6カ月連続で流入超になっているとはいえ、純流入額は1兆8646億円。「数字だけをみるなら回復基調ともとれるが、あくまで推測の域を出ない。地方をまわると個人は生活防衛にまわっている感じをうける」(国内投信)との声もある。
運用会社で銀行担当の販売支援部隊からは「投資家も販売員もサブプライムでは震度2程度だったが、リーマンショックでは震度6か7の大打撃だったのではないか。残高減のダメージだけでなく、目に見えない心理的な部分への打撃が大きかった」との声もある。銀行経由の投資家が以前のような投資行動に戻るにはかなり時間を要するとの声も出ている。
足元ではREITファンドやハイ・イールド債券や新興国債券などの高利回り債券に投資し、為替によるヘッジプレミアム(金利差収入)も期待できる高額分配投信が、投信市場をけん引しているが、こうした投信の主な投資家は、大方が証券系の投資家といわれている。銀行経由の投資家のマネーが本格的に再参入してこない限り、リーマン破たん以前の活況に戻るのは難しそうだ。

(ロイター日本語ニュース 岩崎 成子記者;編集 田巻 一彦)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-09-17 13:01 | 経済状況

Xデーはいつか 長期金利の行く末 壮大な自転車操業か

「財源の話になると、増税か歳出減かの二者択一になる。なぜ、国債発行を財源の選択肢に入れないのか。日本全体で見れば借金はない。国債は有力な財源だ。国債の長期金利は今、1・45%で決して高くない。これから20兆、30兆円を追加発行しても、10年債で2%は超えないだろう。日本には国債を追加発行する余力がある。1000兆円程度まで行っても、そこで止まれば問題ない」(榊原英資)

「国債の発行は、将来の増税だ。景気がいい時に増税せず、悪い時に財政出動したら、常に増税できない。その結果が、今の800兆円の財政赤字だ。インフレの度合いや金利政策にもよるが、景気が良くなれば、利払いにも影響する。長期金利は1%上がれば、利払いが1・6兆円増える。景気が好転すれば増税しないで済むという理屈は破綻している。」(石弘光)

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日本国財政破綻Safety Netさんの、「728.Xデーに備える(その1)」にて、次のような提議をいただいております。

(遅くなりすみません)

(ここから)

私はAさんに以下のようなメールの返事をお送りいたしました。

財政破綻は今年、後半にも起こっても不思議はない、と考えます。マンのヘッジファンドについては、現金化した場合、税金対策がネックです。信頼できる代理店をとおして購入していても税金対策までは面倒みてくれないと思います。マンのファンドを長期保有する、マタギ氏のところには税務署から照会の手紙が来て、あわてて税理士を探していました。ご参考になさって下さい。

預金封鎖は一番厄介だと思います。従って、国内の金融機関に円で保有するのは、生活にさしさわりのない必要最小限でよろしいのではないでしょうか。あとは、インフレを想定した対策を考えておく必要があると思いますので、金の保有はインフレ対策には有効と思います。

個人の財産権を侵すような露骨なことはさすがの財政当局もやらない可能性もあります。外貨預金よりは外貨MMFがベターです。ある程度のリスクヘッジにはなると思いますが、いったん円高になった際に減価するので、集中投資は危険ではないでしょうか。


さて、kanコンサルティングのかんさんは、Xデーの時期と現時点での対応策について、どのようにお考えになりますか?

(ここまで)

「Xデー」とは、いろいろな受け止めがあると思いますが、取り急ぎ、国債の需給バランスが悪化したり、国債の信任が低下し、その結果として長期金利が急上昇する局面、と解釈したいと思います。

2009年度 国債発行額 (WBS調べ)

日本 約150兆円 前年度比1.2倍
アメリカ 約180兆円 同2.5倍
イギリス 約 35兆円  同2.8倍
ドイツ 約 47兆円  同1.6倍

長期金利 (8月上旬ころ)

日本 1.445%
アメリカ 3.631%
イギリス 3.876%

本日(8/13)の長期金利は、1.415%となっています。このところ、1.4%~1.5%のレンジで推移しているように見えます。

この長期金利ですが、需給バランスの悪化で、そのうち上昇するのではないかと見られています。代表的なものは、「今後の国債を持続的に消化するのは難しいため、長期金利が上昇するリスクがある」ですが、政策金利については、「日本の財政規律が崩れているため、日銀は金利を上げるに上げられない」と、真逆の方向となります。

しかし、日本も含め各国とも、多量のマネー(流動性)を供給しているため、それが債券消化に向かう限りにおいては、それほど心配ないのでは、とする意見もあります。

私は、「国がマネーをばら撒いて国債を消化させるのは、結局は壮大な飛ばしであり、何の解決にもならない。そのうちに行き詰まる」と、何度も指摘しています。

たとえば、

(引用開始)

「不透明な民主党マクロ政策、日銀出口戦略に影響も」

政策実現や高齢化の進展に伴う社会保障費の増大などを考えれば、当面は国債増発が継続する可能性が高く、長期金利上昇懸念が強まると予想される。そうした中での日銀による国債買い入れをめぐって「政治からの圧力が強まることは確実」(菅野氏)とみられている。
熊野氏は「今後、市場が次々と発行される国債を持続的に消化するのは難しいのではないか」とし、「長期金利の上昇懸念は引き続き強く、その面からも景気への不安がある」と指摘している。

他方、政権交代の可能性や実体経済の弱さに引きずられ、過剰流動性の供給が長期化することを懸念する声も多い。日銀短観からもうかがえるように、大企業を中心に資金繰りや借り入れ環境は改善傾向にあり、日本国内における金融システムの状況は、危機を脱したとの見方が政策当局から出ている。
野村総研の井上氏は「現在は世界中の中央銀行が大量の資金を供給している状況。超金融緩和からの出口が遅れ、過去の教訓が生かされないという懸念もある」と指摘する。
熊野氏も「金余り」の状況は徐々に強まっていると述べ、「過剰流動性供給が続く一方で、経済活動には結びつきにくい状況。企業の資金需要は弱含み傾向が続くため、金融機関は運用難に直面している」として「バブルの予兆」に警鐘を鳴らしている。
国内では、だぶついたマネーは再び債券市場に向かっているように見える。国債増発シーズンを迎えても長期金利が抑制されており、「一種の国債バブルが始まっている」(菅野氏)との見方もある。
海外では、米国やEU(欧州連合)などを中心に、中央銀行が非伝統的手段を駆使して大量の流動性を供給しており、原油や商品市場などに再びマネーが流入しやすい環境にある。水面下でマネーのゆがみが進行している可能性に対し、市場の警戒感が足元で急速に強まっている。 

(引用終了)

などの指摘です。

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「言っていることは分かるが、単に国債消化に懸念があったり、需給バランスがミスマッチで長期金利が多少上がったりすることと、国債デフォルト(それに準じるような国債信任の低下)や、いわゆる『Xデー』とは、かなり距離があるのではないか?」

という指摘もあると思います。それに応えるためには、

(1)世界のマネーストック、世界の中でのマネーフロー
(2)日本の国債消化余力

について考える必要があります。これまでは、「経済状態の段階的発展説」や「世界同時国債多発」などの内容で(1)について考えてきました。本日は、(2)について整理したいと思います。

---

本日はデータ不足のため、おおざっぱな話になってしまいます。

現在、長期金利は安定しているように見えます。国債の需給バランスにも特に危険な兆候は見られません。たとえば、「債券相場は堅調、20年債入札無難の見方(ブルームバーグ)」などです。

では、日本全体のマネーはどうなっているのでしょうか?

7月のM3(現金・預貯金の合計) 1057兆円 (前年同月比+1.9%)

数字では、潤沢に見えます。倒産が減らず、雇用も圧縮を続けており、現実に食うに困っている人が何百万人単位で存在する今日、ミスマッチなほどの巨額のマネーに見えます。一言で言うと、マネーが鬱血しているのでしょう。

M3が増加を続けている理由として、「金融市場が不安定化したのに伴い、個人が資金を定期預金に預ける傾向が引き続き強まっているのに加え、企業も手元資金を預金に積み増す傾向を強めているため。定期預金などの「準通貨」は同3.0%増と99年1月以来の高い伸びを示した(毎日新聞)」などとされています。
それ以外にも、政府から供給される救済的資金もあり、水ぶくれ状態になっているのだと推察します。その資金の財源も、国債なのでしょうから、巨大なネズミ講のようで、なんだか意味が分かりません。

経済成長(による将来の自然税収増)は、不確かな希望的観測だと思います。少子高齢化が進む国で、経済成長が安易に期待できないことは、これまでに何度も指摘しています。

逆に、国の思い通りになるマネーとして、たとえば郵貯があげられます。過去の記事「郵便貯金と郵貯からの預託金 年金からの預託金 ともに減少 財投債で支える構造に」では、それまでの財政投融資資金の財源であった、郵貯からの預託金は、確実に減少し続けていると書きましたが、現時点で、すでに底をついている可能性がある、と考えています。

民間、機関投資家は、株式などのリスクマネーから、国内債券に振り向ける動きが顕著でした。そのため、「景気が悪い時期ほど、債券消化は順調で、金利は上がらない」ということになっていたのでしょう。債券消化が順調であれば、国はマネーを流し続けることが出来るので、自転車操業は延命、となります。

何度も指摘していることですが、「国債など債券を多量に保有している機関投資家は、国債を売り逃げることが出来ない。国と一蓮托生だ。」ということになります。

また、支出面では、何度も指摘しているように、
・高齢化などのため、社会保障費は年に約1兆円ずつ増加

つまり、

・景気の悪いうちは、各国(日本含む)政府による、潤沢な資金供給は続く
・それを財源としたり、リスクマネーの債券振り向けにより、当面は国債消化は順調
・しかし、それが自縄自縛となり、機関投資家は国債投資から大規模な資金を引き上げることが出来ない
・そのため、クラウディングアウト的な投資資金枯渇により、景気回復は遠ざかる
・「将来の先食い」である国債発行だが、その「(景気・利益水準・担税力が回復した)将来」が来ないため、現在発行された国債が償還されるべきタイミングで、破綻をきたす
・国民の資産(預貯金の価値減少であるインフレ、債券の価値減少である金利上昇、国際的な日本円の価値減少である円安、年金を受け取る権利の削減、レガシーコストの圧縮など含む)の毀損で、国債償還の財源充てるしかない

のように考えます。しかし、それがいつか、という議論については、定量的なデータが不足しているため、結論を出すことが出来ません。

ただ、冒頭の発言引用で、「日本には国債を追加発行する余力がある。1500兆とか2000兆とか、どんどん増えたら問題だが、1000兆円程度まで行っても、そこで止まれば問題ない」とありますが、国公債あわせて1000兆円はすでに突破しており、年金債務をあわせると1500兆円は超えているはずですので、すでに危険ゾーンには来ているのだと思います。

(なぜ1000兆円は大丈夫で、1500兆円は危険なのでしょうね?)

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まとめると、

・現在、国債需給バランスは悪くなく、長期金利の動向は安定しているように見える
・直感的には、少子高齢化・国力低下のため、国債消化は自転車操業で、壮大な飛ばし
・その結果、国債を消化すればするほど、マネー面からの景気回復は遠ざる
・Xデーがいつかという結論は、このデータだけでは出ない、継続調査する

ということになります。
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by kanconsulting | 2009-08-27 10:12 | 経済状況

アメリカと中国 これがG2 アメリカ国債と、壮大な振り込め詐欺

「米中関係が21世紀を形作る。この事実がパートナーシップを支える」(オバマ大統領)

「(今回のSEDで)米中関係の新たな枠組みを。米中のみで解決できる国際的問題はほぼ皆無だが、米中なしで解決できる問題もほぼ皆無」(クリントン長官・ガイトナー長官、ウォール・ストリート・ジャーナル)

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これまで、中国については次のように指摘してきました。

「世界金融危機(10) アメリカの覇権はゴールドマンとともに中国に移動 流動性の枯渇と救済」

中国は、ゴールドマンサックス(GS)と密接な関係があります。もともとBRICsを言い出したのはGSです。そしてGSとアメリカ政府のつながりも明らかです。・・・寄生虫が宿主を渡り歩くように、金融資本にも新しい体が必要です。中国は、独裁国ですし法律も未整備ですので、そこから金融支配を進めるにはちょうど良いのかもしれません。

「アメリカドルのレパトリ(本国還流)はいつまで続くのか アメリカと中国の出来レースと振り込め詐欺」

・日本などの対米債権国が、保有するアメリカ国債(米債)を売れば、債券価格が下落するため、大量に売却できないというジレンマがある
・しかし、中国はアメリカ国債を交渉カードにしているなど、ずっと米国債を持ち続ける保証はない

私はさらに踏み込んで、「中国とアメリカは、アメリカ国債の扱いや為替レートの調整に関して、すでに何らかの合意がなされている。中国とアメリカのコメントは、出来レースだ。最後には日本の資金が使い込まれる、壮大な振り込め詐欺だ。」と指摘します。

「SDR2500億ドルのバラマキ 信用創造の悪魔 ゴールドの奪い合いか」

最近、SDRが話題になっています。たとえば、

・SDRをアメリカドルに代わる基軸通貨にすべき (中国人民銀行 周小川総裁)
・SDRの通貨バスケットに中国人民元を加えるべき (ノーベル経済学賞 ロバート・マンデル)
・SDRの構成資産にルーブルや人民元、金などを含めるべき (ロシア政府)

「日本人2人が13兆円のアメリカ国債をスイスに密輸未遂で逮捕・押収 実は米国債は偽造 笑えない話」

・特に最近、アメリカ国債の過剰発行が問題になっている (アメリカだけではありませんが)
・そのため、アメリカ国債とドルの下落がささやかれている
・中国、ロシアを中心として、「ドル外し」を主張したり、実行する国が増えてきている
・日本は表立ってはアメリカ国債を売ることが禁じられており(橋本龍太郎事件)、こっそりと売ろうと思ったとしてもおかしくはない

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また、アメリカについては、

・アメリカは、若くて優秀な労働力に恵まれており、潜在成長率が高い
・しかし、対外債務国であり、継続的な資本のファイナンスが必要
・ファイナンスが困難になった時点で、自国借金の棒引き・帳消しを迫る可能性もある
・特に、10年に一度は戦争をして景気浮揚をするような体質であり、注意が必要


などと指摘してきました。

こんなアメリカと中国は、一見、仲が悪いようにも見えますが、実は共通する利害を有する「仲良し」なのだと理解しています。例えて言うと、トムとジェリーのような感じでしょうか(どちらがトムなのでしょうか)?

さて

7月末に行われた米中戦略・経済対話(SED)では、この2カ国が世界の趨勢を決定するような、2大国対話(G2)のような感じになっていると指摘されています。

・06年に始まったSEDでは、従来、米国が中国に人民元相場の切り上げを迫る場だった
・今回、中国が米国に財政再建を迫るなど、内政問題に口を出している
・一方、米国からの中国への人民元の切り上げ要求は強調されていない
・米国から中国への配慮が目立ち、立場が逆転した形

しかしながら、何度も指摘していますが、これもポジショントークであり、すでに結論が決まっていることなのだと思います。歴史を振り返ると、戦争や覇権の移動に伴う国債の売り崩しは珍しくないですし、その過程で新興勢力が大きな資金を得たということも歴史的事実です。

また、価値が下がると分かっている場合は、ヘッジをするのが普通でしょう(これほどの巨額の国債をヘッジする現実的方法があるかどうかは不明ですが)。ヘッジをしない場合には、「アメリカをまるごと買ってやろう」などといった、大きな意図があると思います。

これからの金利上昇を迎え、ドルの強制減価(切り下げ)、新ドル切り替え、ゴールド部分兌換通貨発行、アメリカの切り売り、などの奇手が用意されているのかも知れません。

繰り返しますが、『中国とアメリカは、アメリカ国債の扱いや為替レートの調整に関して、すでに何らかの合意がなされている。最後には日本の資金が使い込まれる、壮大な振り込め詐欺だ』と指摘します。

(引用開始)

攻守逆転 債権握る中国が米に注文、米は気配り 朝日新聞
2009年7月28日11時31分

【ワシントン=尾形聡彦】27日始まった米中戦略・経済対話(SED)で、米国に財政再建を迫る中国側の攻勢が目立っている。従来のSEDは、米国が中国に人民元相場の切り上げを迫る場だったが、今回は中国への配慮が目立ち、「攻守」が逆転した形だ。米国側は、オバマ大統領をはじめ主要閣僚が勢ぞろいし、2大国対話(G2)の様相もみせている。
「米国側とマクロ経済の問題について深い議論をした。米国の財政赤字が今後年々縮小していくことを希望している」
27日の経済対話の内容を、中国政府の幹部はこう説明した。具体的なやりとりは明かさないものの、米国に財政の改善を求めたことを示唆するものだ。米国の内政問題に中国が口を出すのは、米国が財政赤字を埋めるために発行している米国債の保有で、中国が昨年秋に日本を抜いて世界一になったためだ。米国の09会計年度(08年10月~09年9月)の財政赤字は過去最大に上る見込みだ。米財政の悪化が続けば、米国債の価値が下がって中国に損が出かねない。
中国側の27日午後の記者会見でも、中国メディアの記者から「米国債を大量保有して大丈夫なのか」という質問が続出。中国政府幹部は「オバマ大統領は経済が安定すれば、財政赤字減らしに注力する意向だ」と強調した。
一方で、06年に始まったSEDで定番だった米国側からの中国への人民元の切り上げ要求は影をひそめている。別の中国政府幹部は27日夜の会見で「今回は、米国は人民元相場については強調していない」と満足げに話した。
米国側からは、オバマ大統領が冒頭の演説で「米中の2国間関係が21世紀を形作る」と発言するなど、中国への配慮がにじむ。オバマ氏は「山の小道は、使えばすぐに道になるが、使わなければ、やはりすぐに雑草に覆われてしまう」と孟子の言葉まで引用してみせ、2国間の対話の継続を訴えた。今回の対話にはガイトナー財務長官、バーナンキ連邦準備制度理事会議長、サマーズ国家経済会議議長、カーク通商代表ら主要閣僚が顔をそろえ、力の入れようが目立っている。

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e株リポート:特集 米国債暴落 毎日新聞

◇史上最大の米国債大量発行
◇マーケットは「危うい」と見始めた
米国の長期金利が急上昇している。財政悪化への「懸念」は根強く、積極財政による景気刺激と低金利政策による住宅市場回復を目論むオバマ政権にとって、長期金利上昇は命取りとなりかねない。政府とFRBの綱渡りの政策運営が続く。【週刊エコノミスト編集部・濱條元保】
「米国債の洪水をFRB(米連邦準備制度理事会)は、オフセット(埋め合わせ)できない」
米ダラス連銀のフィッシャー総裁は6月15日、地元メディアのインタビューで国債大量発行が足元の長期金利上昇の要因になっている可能性に懸念を示した。

◇赤字の「垂れ流し」
米国の赤字垂れ流し--。世界の金融市場がここに注目し始めた。
オバマ政権はブッシュ前政権が総額7000億ドル(約66兆円)で作った不良資産救済プログラム(TARP)と政権発足直後に決めた総額7800億ドル(約74兆円)の景気対策をフル活用している。アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)やシティグループなど大手金融機関への公的資金注入で金融システム安定化に努め、さらには経営破綻したゼネラル・モーターズ(GM)を事実上国有化し、政府丸抱えで再建に取り組む。減税や住宅ローンの借り換えなど個人向け支援策も打ち出した。
大盤振る舞いの原資は国債だ。米政府は不況に伴う税収減も加わり、2009会計年度(08年10~09年9月)に1・8兆ドル、対国内総生産(GDP)比13%という戦後最大の財政赤字となる。財政赤字は10年度も1・3兆ドル、11年度も0・9兆ドルと高水準で続く見通しだ(表)。
巨額財政赤字に対する市場の疑念が国債価格下落(長期金利上昇)の背景にある。2%台前半に低下していた長期金利は5月以降3%台半ばをつけ、6月10日には一時4%を超えた。「09年度1・8兆ドルという史上最大の財政赤字ファイナンスをどうするか」(高島修・三菱東京UFJ銀行チーフアナリスト)が、問われているのだ。
リーマン・ショックに至るまでの米国は、まったく違う経済状況にあった。01年のITバブル崩壊後、短期金利のフェデラルファンド(FF)レートを1%まで引き下げたFRBは、04年6月から06年6月までに5・25%まで段階的に引き上げたにもかかわらず、長期金利がこれにまったく反応しない状況が続いた。グリーンスパンFRB議長(当時)は05年2月の議会証言で、これを「Conundrum(謎)」と語った。中国やロシアなどの新興国の経済発展、そして原油高で潤う中東産油国が、貿易黒字で積み上がる外貨準備で米国債を購入することが原因だと、謎の解説がなされた。
しかし、当時と現在では決定的に米国債の発行額が異なる。グリーンスパンの「謎」発言のあった05年度の米国債発行総額(ネット)は2387億ドル。それに対して、09年度は5月までに約5倍の1兆2182億ドルに達する(図1)。
そして、足元の国債発行額(ネット)は、08年第3四半期(7~9月)に5395億ドル、第4四半期に5616億ドルと急増、09年に入っても第1四半期に4684億ドルに達した。通常、所得税など税収増に伴い、ネットベースではマイナスになる第2四半期も5月までで1881億ドルと高水準の発行が続いている(図2)。

◇米国債の「サブプライム化」
米国債は、日本国債とは対照的に高い流動性とドル資産という基軸通貨国の特権を武器に世界に売りさばかれてきた。民間から流入する資金とともに、それが過剰消費に伴う巨額の経常赤字を補い、米国は高い経済成長を謳歌してきた。経済成長のための原資だったのだ。
ところが、昨年以降は違う。サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題で大きな損失を被り、自力では立ち行かなくなった大手金融機関や大企業、そして過剰債務で破綻状態の個人を救済するための原資と化した。
三菱UFJ証券の水野和夫チーフエコノミストは、投資の失敗のよるキャピタルロス(損失)の穴埋めという視点から、「米国債のサブプライムローン化が始まった」と指摘する。米国債への投資は、成長のためではなくキャピタルロスの穴埋めに過ぎず、従来のような成長は期待できない。それは米国債の減価を余儀なくさせるというのだ。
米国債は、サブプライムローン担保証券と違って、税収で償還される。しかし、「米国民の約3割が生活資金を借金に頼っている状況で、増税はおろか現状の税金すら徴収することが難しくなっている。米国債の償還は一層、厳しくなる」(水野氏)。
米国債のロスは、ドルの減価で調整せざるを得なくなる。つまり、米国債下落分をドル安という為替調整で穴埋めするということだ。ここにドル安不安もある。

◇BRICsがIMF債購入
投資家は、すでに米国債下落リスク回避に向けて行動している。
大量発行されている国債の中身に注目すると、長期国債よりも短期国債を投資家が志向していることがわかる。米財務省の資料によると、08年4月までの1年間は、短期国債発行額1106億ドルに対して長期国債は3092億ドルと長期が短期の約3倍となっていた。それが09年4月までの1年間では、短期国債4535億ドルと長期国債2689億ドルの1・7倍と逆転した(図3)。
「外貨準備で運用している各国政府が下落リスクを避けようと、米国債投資を短期化させたのが原因」(嶌峰義清・第一生命経済研究所主席エコノミスト)という。その“首謀者”と推測されているのが中国だ。
中国は欧米向け製品輸出の急増で、積み上がった外貨準備は3月末で世界最大の1兆9537億ドル。米国債保有額も4月末で7635億ドルとトップである。ガイトナー米財務長官は5月末に訪中し、最大の「お得意先」に、今後の購入について協力を求めた。
しかし、ガイトナー長官が面談した中国人民銀行元政策委員の余永定氏からは「中国は米国債を当然のように購入し続けるわけではない」とクギを刺された。実は毎月、米国債保有額を増加させていた中国が、4月は前月比44億ドル減少していた(図4)。
さらに6月5日には、中国が外貨準備でIMF債を最大で500億ドル購入することが明らかとなった。債券は準備資産であるSDR(IMF特別引き出し権)建ての発行になるとみられている。ドルに偏重した外貨準備の運用を多様化させる狙いと市場は受け止めた。
こうした中国の対応にロシアとブラジルが間髪を入れずに呼応する。
ロシア中央銀行のウリュカエフ副総裁が6月10日、保有する米国債を売却してドル資産での運用を引き下げる方針を示すと同時に、IMF債100億ドルを引き受けると発表。同じ日、ブラジルのマテンガ財務相がIMF債100億ドルを引き受ける意向を明らかにした。インドも近くこれに追随する模様で、BRICs4カ国で総額700億ドル超のIMF債を購入することになる。

◇市場からのしっぺ返し
検討されているSDR建てについても、現状はドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨構成だが、中国事情に詳しいエコノミストの田代秀敏氏は「中国は現状のGDPでの構成比の見直しを求め、世界第2位目前の中国人民元をSDRに加えるように迫るだろう」と予想する。
政府の積極財政で需要を作る一方で、低金利継続で住宅市場を回復させ、米国経済を復活させる--。オバマ政権の景気対策の大前提は、低金利にある。3月以降、その大前提が狂い始めた。そこでFRBが力ずくでこれを抑え込もうと異例の行動に出た。3月18日、9月までに国債購入枠3000億ドルを設定したのだ。6月中旬までに約1600億ドル分を購入。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、「資産担保証券(MBS)まではやむを得なかったが、米国債購入は危うい」とみる。
直後こそ長期金利は低下したが、その後はそれ以上に上昇している。「FRB自らが(国債を買って金利を押し下げるという)歪みを作ったのだから、市場はその是正に動くのは当然」(加藤氏)。
バブル崩壊後の長く、出口のないデフレ不況に苦しみ抜いた日本を反面教師にする米国。住宅バブル崩壊後、デフレ回避にリフレ政策をとる以上、一定のインフレリスクは織り込み済みのはずだが、「とにかく国債発行額が多過ぎて、本当にこなせるのか」(第一生命経済研究所の嶌峰氏)と市場は身構える。3月はFRBが国債買い取り枠設定で乗り切ったが、中央銀行が買い続けることはできない。財政規律が失われると市場が読み出したら、危険だ。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-08-04 12:37 | 経済状況

土地の価格と日本の未来 路線価は遅行指標 土地のデフレスパイラルとインフレの足音

今年はじめ(2009/01)に、以下のように書きました。

(ここから)

マンションなど不動産購入のためのローン(融資)が通らない、という声をよく聞きます。それは当然だと思います。なぜなら

・銀行の自己資本の毀損、引当金確保のための貸し渋り
・マンションは、販売後に中古品となり大きく処分価値が下がってしまうため、担保価値が低く、加えて不動産価格も下がりつつある中で、大きな与信はできない
・上場企業であっても容易に倒産してしまうため、サラリーマンへの与信には慎重にならざるを得ない

(中略)

関東圏、関西圏のマンション完成在庫も、一向に減りません。「今はまだ買いたくないし、そもそも買えない」のでしょう。不動産については、一昨年(2007)の秋にはすでに凋落の兆しが見えていましたが、まだまだこれから冬の時代になるのだと思います。

(ここまで)

それから半年が経過しましたが、やはりというか当然というか、路線価が下落しました。

一物五価とも言われ、価格形成が複雑(に見える)土地ですが、実際の土地価格下落に遅行するといわれる「路線価」が下がったことにより、これから「土地のデフレスパイラル」が再来するようにも見えます。と言いますのは、土地は流動性が低く価格参照も難しいため、取引量が低下する局面で指標が下落すると、株式で言う「売り気配」のように、土地価格が下落することになると見ています。

具体的な要因としては、
・勤務先・ビジネスの先行きが不透明なため、新たなローンが組めない
・住宅ローン破綻による任意整理・競売
・相続税のための換金処分
と、買い意欲が細く、売りは減らない、などという感じでしょう。日本国財政破綻セーフティーネットさんも「714.急増する住宅ローン破綻」で「サラリーマンの昨年の冬そして、今年の夏のボーナスが激減し、住宅ローンを抱えている人は深刻な事態になっていることがうかがえます。」と書いていますが、その通りだと思います。

住宅ビジネスは、地主・デベロッパー・ゼネコン・銀行のすべてが儲かるビジネスでした。その儲け分は、購入者のローン、つまりリスク移転を行ったところから生じたものです。(日本の住宅価格は、世界標準から見ても、また国民の所得の割合から見ても、高すぎるということは、何度も述べたところですが、その分が売り手の余剰利益となっていたのでしょう。)

以前の記事「売れないマンション 貸せない銀行 デフォルト率3% さらに下落する不動産価格」でも書きましたが、『何もわからない個人に貸し付けまくって、消費を喚起する構造は、終わった』のだと思います。

何度も書いていますが、これから人口減少・国力低下が起きる国の土地価格は、投機的要因を除くファンダメンタルで見れば、長期的には下げトレンドとなるでしょう。

特に、土地の高度利用が進む中で、物件の供給が過多となっているため、物件価格(たとえばマンションの一戸あたりの価格)は下落するのが市場原理でしょう。

---

さて、このブログでは、紙幣の刷りすぎ・信認低下によるインフレを警戒せよ、と述べています。では、実物資産としての不動産も上がるのではないか?という意見があると思います。それに対する答えを一言で言いますと、

「インフレでも、価格が上がるものと、そうでないものがある」
「インフレになっても、要らないものは売れない」

ということです。立地・条件などにより、選別がある、という当たり前のことです。

読者の皆様も、土地バブル、株式バブル、先物バブルなど、異なった資産クラスで、入れ替わり立ち替わり、乱高下があったことを覚えておられることと思います。このブログで、「余剰マネーは、儲かりそうな資産クラスをめがけて殺到するため、ブームとバーストを形成する」と、何度も述べているところです。
特に、破壊的なインフレを考えた場合、ローン金利は暴騰するため、そこでレバレッジを起こして不動産を買うことは不可能になると言えるでしょう。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

全国の平均路線価、4年ぶり下落…東京も5年ぶり落ち込み
 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。
全国約37万地点の標準宅地1平方メートルあたりの平均路線価は、前年を5・5%下回る13万7000円となり、4年ぶりに下落に転じた。
都道府県別の平均路線価もすべて下落。近年の“ミニバブル”をけん引してきた東京でも、17・4%上昇した前年から一転、7・4%下落と大きく落ち込んだ。東京が下落に転じるのは5年ぶり。
圏域別の平均路線価は、前年まで3年連続上昇していた3大都市圏がいずれも下落。特に、前年、10%以上の高い伸びを見せた東京圏と名古屋圏は反動で6%を超える下落となった。前年は横ばいだった地方圏も3・8%下落した。
一方、都道府県庁所在地別でみると、最高路線価が上昇した都市はゼロで、下落した都市は前年の3倍以上の39都市に達した。特に、福岡、千葉、横浜の下落率は10%を超え、5~10%の下落率となった都市は札幌、大阪、仙台など11都市にのぼった。
路線価日本一は24年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り。10年ぶりの下落で1平方メートルあたり3120万円となったが、下落率は2%にとどまるなど、もともと価格水準の高い商業地の中には比較的、落ち込みが小さい地点もあった。

2009年7月1日11時51分 読売新聞

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路線価4年ぶりマイナス 5.5%減、全都道府県で下落
2009年7月1日11時33分

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる09年分の路線価を公表した。全国約37万地点の標準宅地の平均路線価は1平方メートルあたり13万7千円で、前年比5.5%減。4年ぶりのマイナスで、昨年の不動産バブル崩壊を投影してすべての都道府県で下落した。前年2ケタの急伸を見せた東京、宮城、愛知はマイナス6~7%と逆に大きく下落しており、投機マネーの「逃げ足」の早さをうかがわせている。
都道府県別では、宮城県は前年の伸びは12.5%だったが今年は6.8%の下落。東京都は17.4%の伸びが7.4%のマイナスに転じ、10.8%の成長を見せた愛知県も6.3%の減少だった。北海道や福岡県も同様に反動の大きさを示している。
今回の路線価は、投機マネーの影響が色濃く反映している。不動産投資信託(Jリート)などを通じて、市場に流入した資金が、昨秋のリーマン・ショック後の金融危機で一気に縮小。金融機関も不動産融資を控えるようになり、不動産会社の倒産が相次いだ。景気の悪化も影響し、不動産の流通が滞って地価の下落につながった格好だ。
全国の最高値は24年連続で東京・銀座5丁目の鳩居堂前で、1平方メートルあたり3120万円だった。銀座4丁目の三越前、和光前も同額で3年連続1位。はがき1枚分の土地を購入するには、46万2千円が必要という計算になる。(舟橋宏太)

朝日新聞

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09年全国平均路線価は前年比‐5.5%、4年ぶりに下落
2009年 07月 1日 11:35 JST
[東京 1日 ロイター] 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。標準宅地の全国平均額は1平方メートル当たり前年比5.5%下落(前年は10.0%上昇)の13万7000円となり、4年ぶりに下落した。
3大都市圏は08年まで3年連続で上昇していたが、軒並み下落に転じた。東京圏は前年比6.5%下落(前年14.7%上昇)、大阪圏は同3.4%下落(前年7.4%上昇)、名古屋圏は同6.3%下落(前年10.9%上昇)となった。昨年まで2年連続で横ばいだった地方圏は同3.8%下落した。
都道府県別では、47都道府県のすべてで下落した。下落率が5%以上と大幅だったのは、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、東京都、愛知県、高知県、福岡県の9都道県だった。
昨年は14都道府県で上昇、5都道府県で横ばい、28都道府県で下落していた。
都道府県庁所在地の最高路線価のトップは、24年連続で東京・銀座5丁目の銀座中央通り。1平方メートル当たり前年比2.0%下落の3120万円となり、ピークだった1992年の3650万円から約15%下がった。

ロイター

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-07-06 10:18 | 経済状況

賃金は、ぎりぎり食える限界まで低下する

何度も書いていますが、グローバル経済では、代替できる労働の賃金の水準は、その最低レベルに収束していきます。生産設備が人件費の安い立地を求めることはもはや当たり前ですが、IT・ソフトウェアのような属人的なビジネスでさえも、インドなどへのオフショアリングが当然となって数年が経過しました。その結果、一部のサービス業を除く大半の業界において、賃金下落圧力が発生しました。日本においても「働いても食えない」労働層が発生したことは、まだ記憶に新しいところです。

賃金低下の本質は、別にグローバル化とは直接の関係はなく、個々の経済合理的行動の帰結だとされています。

竹森俊平は、リスクと不確実性の違いを論じるに当たり、(リスクとリターンが計算できる)リスク支配のビジネスでは、自由競争により超過利益が低下する運命にある、として、その例としてタクシー業界を挙げています。
『このままタクシー台数が増え、一台あたり利益がますます減少するなら、平均賃金は、かつてアダム・スミスやリカードなどの古典派経済学者が「自然賃金」と呼んだ水準に下がってもおかしくはない』
「資本主義は嫌いですか/竹森俊平」

自然賃金:それ以下になると、生存が不可能になる賃金水準。つまり、「ぎりぎり食える」限界の賃金

不確実性の議論は日を改めるとしまして、本日は、「賃金は、生活限界水準まで低下する」ことだけを、述べたいと思います。

(このあたり、関連した過去のエントリーである「来るべき暗黒の日(2) 世界株安と円高再び フレディーマック・ファニーメイ・RMBSとナイトの不確実性」もご覧ください)

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(7/2追記)

世界の失業率比較

日本   (5月)   5.2%
アメリカ (5月)   9.4%
カナダ  (5月)   8.4%
イギリス (4月)   7.2%
ドイツ   (6月)   8.1%
フランス (1-3月) 8.7%
イタリア (1-3月) 7.3%

世界全体 (ILO予測) 6.5~7.4%
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by kanconsulting | 2009-06-30 13:49 | 経済状況

日本人2人が13兆円のアメリカ国債をスイスに密輸未遂で逮捕・押収 実は米国債は偽造 笑えない話

その筋ではよく知られたニュースですが、日本人(?)2人が、1340億ドル(約13兆円)相当のアメリカ国債をスイスに密輸(?)しようとして、イタリア当局に拘束された、というものです。

・債券の額が日本保有のアメリカ国債総額の2割であったこと
・イタリアの国家予算に匹敵するほど巨額であったこと
・Troubled Asset Relief Program(TARP)の額とちょうど同じで、何か意味がありそうなこと
・債券の性質上国際決済が可能な銀行に持ち込むしかなく(すぐに見破られて換金できないので)偽造の意味が薄いこと
・その後の続報が遅かったこと
などから、

・そのアメリカ国債は本物か
・もし本物であれば日本がアメリカ国債を闇で売りぬけようとしたのではないか
・その日本人は日本政府(?)のエージェントではないか
・そのために続報がもみ消されたのではないか
などという憶測が流れ飛びました。

ちなみに、無申告の債券持込には40%の罰金が科せられることから、債券が本物であれば、イタリアの財政は非常に潤うであろうと、歓迎する向きもあったとか、なかったとか。

(引用開始)

Japan Probes Report Two Seized With Undeclared Bonds (Update2)

By Shunichi Ozasa and Makiko Kitamura

June 12 (Bloomberg) -- Japan is investigating reports two of its citizens were detained in Italy after allegedly attempting to take $134 billion worth of U.S. bonds over the border into Switzerland.

“Italian authorities are in the midst of the investigation, and haven’t yet confirmed the details, including whether they are Japanese citizens or not,” Takeshi Akamatsu, a spokesman for the Ministry of Foreign Affairs, said by telephone today in Tokyo. “Our consulate in Milan is continuing efforts to confirm the reports.”

An official at the Consulate General of Japan in Milan, who only gave his name as Ikeda, said it still hasn’t been confirmed that the individuals are Japanese. “We are in contact with the Italian Financial Police and the Italian Public Prosecutor’s Office,” Ikeda said by phone today.

The Asahi newspaper reported today Italian police found bond certificates concealed in the bottom of luggage the two individuals were carrying on a train that stopped in Chiasso, near the Swiss border, on June 3.

The undeclared bonds included 249 certificates worth $500 million each, the Asahi said, citing Italian authorities. The case was reported earlier in Italian newspapers Il Giornale and La Repubblica and by the Ansa news agency.

If the securities are found to be genuine, the individuals could be fined 40 percent of the total value for attempting to take them out of the country without declaring them, the Asahi said.

The Italian embassy in Tokyo was unable to confirm the Asahi report.

(引用終了)

しかし、続報によると、このアメリカ国債は大半が偽造であり、偽造債券の単純所持を処罰する法律がないため、日本人は事情聴取後に釈放された(現在は所在不明)、などということです。

アメリカ当局の見解としては、

・写真で見ただけで分かるほどの、粗雑な偽造
・歴史的に存在しない国債も含まれている(1960年代の債券にスペースシャトルが描かれているなど)
・印刷されて出回っている国債の総量をはるかに上回っており、物理的にありえない

などということです。

また、イタリアでは、4月にも、偽造された日本国債が押収されています。今回の事件との関連は不明ですが、組織的な偽造機関の関与を指摘する意見もあります。

そもそも、日本の保有するアメリカ国債は、紙ベースではなく、アメリカ財務省に「日本はこれだけの債券を保有しています」と電子記録されているだけです。ペーパー資産は、すでにペーパーレス、電子資産になっているのです。その裏づけは信用ですから、綺麗に印刷された美しい紙であっても、液晶モニターに写される単なる数字であっても、同じことなのです。

(引用開始)

UPDATE 1-U.S. Treasury says bonds seized in Italy are fakes

(Updates with details on bonds, U.S. Secret Service comment)

By David Lawder

WASHINGTON, June 19 (Reuters) - A purported $134 billion in U.S. government bearer bond certificates seized by police near the Italian-Swiss border are fake, the U.S. Treasury said on Friday.

"Based on the photograph we've seen online, they are clearly fake. And not even good fakes," said Stephen Meyerhardt, a spokesman for the Treasury's Bureau of the Public Debt.

He added that there is only $105 million in Treasury bearer bond securities outstanding, so the $134 billion amount seized far exceeds the universe of outstanding securites.

The Treasury's determination confirmed the suspicions of Italy's Guardia di Finanza, or tax police, who seized the bond documents in early June from two Japanese nationals at the Chiasso rail station in northern Italy, close to the border with Switzerland.

The bonds comprised 249 "Federal Reserve" bonds of $500 million nominal value each and 10 "Bond Kennedy" with a $1 billion nominal value, the tax police said June 4 in a statement.

A senior tax police officer said Italian authorities also were checking whether the two travelers' Japanese documents are genuine.

In the last two years, Italian authorities have seized some $800 million of U.S. bonds in the Como area in northern Italy.

Meyerhardt said U.S. government investigators believe that the seized bond forgeries were made using commercial photo enhancement software to alter the image of a $100 bill to increase the amount into millions or billions and add what appear to be interest coupons.

Another U.S. official said the seized bonds were purported to be issued during the Kennedy administration in the early 1960s, but the certificates showed a picture of a space shuttle on it -- a spacecraft that first flew in 1981. Some of the bonds were purportedly issued in a $500 billion denomination that never existed.

The official, who spoke on background because he was not authorized to discuss specifics of the case, said that scam artists, rather than trying to exchange fake bearer bonds directly for cash, will sometimes try to use them as fraudulent collateral for loans.

The Treasury frequently uncovers scams involving bearer and other securities issued in the 1930s and 1940s. Images of some of these counterfeit bonds appear on a Treasury website aimed at combating fraud, here .

The U.S. Secret Service, which polices counterfeiting of U.S. currency, is assisting Italian authorities in tracing the source of the fake bonds, said Ed Donovan, a spokesman for the agency.

The forgery determination came a day after the Treasury warned U.S. banks against the potential for increased currency counterfeiting activity and large cash transactions by North Korea in an effort to evade U.N. sanctions aimed at cutting off financing for Pyongyang's nuclear weapons and missile programs. (Editing by Dan Grebler)

(引用終了)

しかし、このニュースが、「そんな巨額の紙債券は偽造に決まっているじゃないか、大騒ぎするな」などと、笑って済ませられないというのも、また現実です。というのは

・特に最近、アメリカ国債の過剰発行が問題になっている (アメリカだけではありませんが)
・そのため、アメリカ国債とドルの下落がささやかれている
・中国、ロシアを中心として、「ドル外し」を主張したり、実行する国が増えてきている
・日本は表立ってはアメリカ国債を売ることが禁じられており(橋本龍太郎事件)、こっそりと売ろうと思ったとしてもおかしくはない

なのです。

何度も書きますが、日本とアメリカは一蓮托生、もう行くところまで行くしかない、心中するしかないのです。逆に、日本政府には、スイスの闇市場でアメリカ国債を売りぬけ、それでゴールドのバー(金の延べ棒)でも買って、日本国民の貴重な資産を保全するというような心意気がほしいものです。

(そのためには、原子力潜水艦が必要ですね。昔から、闇取引は、ゴールドの現物を海で運んで物々交換と、相場が決まっています)
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by kanconsulting | 2009-06-22 19:06 | 経済状況

国の債務残高(特別会計含まず) 846兆円→924兆円 持続可能性に懸念 バラマキが終われば刈り取りの季節

少し前の話になりますが、昨年度の国家債務残高と、今年度の試算が明らかになりました。(特別会計含まず)

国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(ストック)

2008年度末 846兆4970億円(▲2兆7426億円)
・国債全体 680兆4482億円(▲3兆8796億円)
 ・財投債 ▲8兆7042億円
 ・普通国債 +4兆4772億円
 ・その他 +3474億円
・借入金 57兆5661億円(+4072億円)
・政府短期証券 108兆4826億円(+7298億円)

2009年度末 924兆円(見通し)
・年度末の国債残高 725兆円
・約44兆円の新規国債発行が主要因
・追加経済対策だけで10兆円超の国債残高
>初めて900兆円を突破

ということで、昨年度は見かけ上、2~3兆円の残高削減となりましたが、それは一瞬の出来事に過ぎず、今年度末の決算では、早くも追加経済対策・大幅な財政出動の副作用が出てくることになります。

日本だけではなく、世界各国の政府も、多量の国債を発行し、残高を積み上げていることは、これまでも述べてきたとおりです。

さて、

長期金利が上がってきたとはいえ、まだ2%未満の水準です。なぜ多量の国債を発行しているにもかかわらず、低金利なのでしょうか?何度も書いていますが、

・中央銀行が低金利政策を維持している
・国債の購入者の大半が日本国内の金融機関等で、低金利でも引き受けられる
・為替のリスクがあり、より高い金利である外国の影響を受けにくい
・金利が上がれば、保有する国債の評価損となるため、自縄自縛となっている

もちろん、いくつか問題点があります。

・長期間低金利が続くという保証はありません
・資金が有限である以上、「中央銀行(日本銀行)が国債を引き受ける」ことがなければ、いずれ、資金繰りがつかなくなることは目に見えています

「ペーパーマネーを増刷して、それをばら撒けば良いではないか?不景気では、産業部門も家計部門も通貨を退蔵するばかりなので、金利は上がらないし、インフレにもならない。一万円札をタンスにしまう人がいるなら、その分を補填しなければ、経済が回らない」という意見があります。何度も書きますが、実体経済を無視した意見でしょう。実体経済が回復することなく、数字のみが回復したとしても、単なる数字遊びであり、あまり意味がありません。たとえば、景気回復側面で、退蔵した通貨がいっせいに消費などに向かえばインフレになるでしょうし、投資に向かえば資産バブルとなるでしょう。長い目で見たバランス、つまり持続可能性があるとは言えません。

日本国民全員が一人当たり100万円(合計約120兆円)もらっても、それが退蔵されていいるうちは100万円の価値がありますが、トータルで120兆円のマネーがいっせいに市場に出回れば、あたりまえのように減価するでしょう。

このあたり、ビルゲイツが5兆円分の資産を持っていたとしても、その大半が株式ですので、5兆円分の現金を手にすることは出来ないことと同じです。なぜなら、5兆円分の株式(マイクロソフト創業者株)をいっせいに市場で売れば、暴落することは目に見えているからです。株式時価総額は、ある意味、絵に描いた餅と言えなくもありません。

(以前にも書きましたが、株式には、たとえば引受権などで希薄化が発生すると、それが株価に反映される仕組みが出来ています。しかし、通貨は、為替である程度調整されるとはいえ、株式ほどの透明性はないようです)

そもそも、信用とはそのような側面があるものではないでしょうか?

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何度も書いていますが、「バラマキ(給付的な財政支出)は水物であり、その効果は一時的」なのです。そもそもの生産性などを改善するわけではなく、新たな需要を呼び起こすわけでもなく、長く続く効果はありません。定額給付金、エコポイント、自動車減税、などなど、だいたいそういった側面があります。

(財政支出が生産性の向上につながれば、その分、雇用の縮小をもたらし、代替的雇用が発生しなければ、失業をもたらすことも、指摘しておかなければなりません。また、雇用の創出といっても、容易ではないことも明らかでしょう)

10兆円規模の財政支出も、「やらないよりはマシ」なのでしょうが、「それだけの貴重なお金と時間を使う意味がどれほどあるのか」「単なる期待を越えた、投資効果が、どれほどあるのか」については、疑問です。そして、その後のリバランス、つまり増税、が持ち上がってきます。(もちろんこれは日本だけの話題ではなく、アメリカ、ユーロ諸国+イギリス・スイス、など、も同じです。)

そして、単なるバラマキが終われば、刈り取りの季節がやってきます。もちろん、刈り取られるのは国民のお金(税金)です。国民は、うすうすではあっても、そのことに気づいています。ですので、リカードが指摘したように、バラマキは追加需要を生み出さないというのは、ごく当たり前のことなのです。

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チャートで書きますと、かなり雑ですが、以下のようになるでしょう。

世界金融危機 → 各国の景気対策 → 国債多量発行 → 未達 → 金利上昇
    ↓            ↓            ↓       ↓
    ↓            ↓        将来の増税   中央銀行引受 → インフレ
    ↓            ↓
    ↓          バラマキ → 持続的需要向上せず → 実体経済回復せず
    ↓
流動性の引き締まり → 実体経済縮小(本来の姿に) → 生産設備過剰・人員過剰 → 景気さらに悪化
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by kanconsulting | 2009-06-16 15:00 | 経済状況