カテゴリ:経済状況( 287 )

日本の成長率マイナス3.3%?マイナス6.2%? ケインズの亡霊と戦争の予感 戦争経済学

実質GDP成長率(見通し)

2008年度(実績) ▲3.1% (前回発表▲0.8%から下方修正)
2009年度(試算) ▲3.3% (戦後最悪)(前回発表0.0%から下方修正)

名目GDP成長率(見通し)

2008年度(実績) ▲3.2%
2009年度(試算) ▲3.0%

完全失業率(見通し)

2008年度(実績) 4.1%
2009年度(試算) 5.2%

内閣府発表より

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2009年成長率 ▲6・2% (過去最低)

IMF発表より

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暗い話題ばかりです。製造業の声を聞いていますと、ユーロ圏の需要はまだまだ低調で、回復は遠いという実感です。しかし、アジアは需要増の影響があり、一部の製造業には明るい兆しも見えてきているとの、現場の声です。

ですが、それは「一時的な/見せ掛けの回復」だと見ています。アジア特需は、信用収縮が底を打った自立反発ではありません。実体経済の2倍に膨れ上がった金融経済の収縮が根本原因だとするなら、減った分を国の借金でまかなうと後は一安心、とするほど、甘くはないのだと思います。

(もちろん、本当に順調に回復するなら、それに越したことはないのですが)

さて、何度も指摘していますが、
「需給ギャップが大きいのだから、国が国債と税金を使って、大いに無駄遣いをするべき」
「このような状況では、国がいくら国債を刷っても、破産することはない」
「どんどん国債を刷って、中央銀行に引き受けさせ、バラ撒くべき」
などとする意見が、本当にたくさん見られます。短期的にはそれも良いでしょう。ですが、持続可能性の範囲内で本当に意味のある対策が可能なのでしょうか?

特に、多くのエコノミストが、ケインズの亡霊に取付かれた様に、有効需要の創出を主張しています。本当にそれは「やらないよりマシ」以上の意味があるのでしょうか?

世界不況の後には、いったんすべてをリセットする必要があるのです。それは、

・金持ちからの金融資産の収奪(通貨の切り下げ、強制徴用)
・インフラと過剰生産設備の破壊
・人口ピラミッドの再構築(合法的人減らし)

があるでしょう。一言で言うと、戦争をするしかないのです。私は、そのような目的の戦争を、断じて肯定しません。しかし、歴史を振り返ってみれば、人類の知恵が同じ轍を踏まないほど進歩したとは思えないのも事実です。

私には、「終わりの始まり」は、まだまだ序盤の可能性がある、と指摘します。
(もちろん、そんな不吉な予感は外れるほうが良いのですが)

関連したテーマの書籍 「戦争の経済学/ポール・ポースト」

(引用開始)

成長率:09年度見通しマイナス3.3%、戦後最悪に

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は27日の閣議で、09年度の実質GDP(国内総生産)成長率を戦後最悪のマイナス3.3%とする経済見通し(内閣府試算)を報告した。昨年12月に発表した0.0%のゼロ成長からの下方修正で、経済の想定を超えた悪化を受け、年度当初の異例の見直しとなった。08年度実績の見通しも前回のマイナス0.8%から同3.1%に下方修正した。
物価変動の影響を織り込み、家計や企業の実感に近い名目成長率は、08年度マイナス3.2%、09年度マイナス3.0%を見込んでいる。与謝野担当相は会見で「経済動向には不透明感が強く、下押し圧力がある」と述べ、今後、さらに見直す可能性を示唆した。
世界経済は昨秋から急減速。日本の実質GDP成長率は08年10~12月期にマイナス12.1%(年率換算)の大幅減となっていたが、内閣府は09年1~3月期もオイルショック時の74年1~3月期(13.1%減)を上回る14%超の落ち込みになると想定。09年度の追加経済対策のGDP押し上げ効果は1.9%を見込むが、効果が表れるのは今年後半以降で、09年度の大幅なマイナス成長は避けられないと判断した。
一方、09年度の完全失業率は08年度の4.1%から5.2%まで上昇する見通しで、02年度(5.4%)に次ぐ高水準となる。消費者物価指数はマイナス1.3%と過去最大の下落幅となる見通し。【上田宏明】

毎日新聞 2009年4月27日


日本経済の本格回復、来年遅く IMF、輸出減で需要低迷

【ワシントン5日共同】国際通貨基金(IMF)は5日発表したアジア太平洋地域の経済見通しで、日本経済が「強力な景気対策で今年後半にプラス成長に戻る」としたものの「持続可能な成長」に本格的に回復するのは2010年の遅い時期との見方を示した。
IMFは4月、日本の09年成長率が過去最低の前年比マイナス6・2%に落ち込むと予測。今回の見通しでは「深刻な景気後退」に陥ると明記、大規模な財政出動があっても、輸出の急減で民間需要が低下し「(対策効果を除く)実質的な成長は依然弱い」とした。
また、中国やインドを除く「多くの地域がマイナス成長を記録する」とし、09年のアジア太平洋地域全体の成長率は1・3%と、08年(5・1%)から大きく鈍化すると予測した。
金融危機の震源地から遠いアジアが「深刻な打撃を受けるのは予想外」と指摘。理由として「ハイテク工業製品の輸出依存度が高い」ため、世界的な需要崩壊が直撃したと指摘。「過去の例では、金融危機を伴う景気後退の場合は投資の回復が遅れる」とも述べた。
その上でIMFは、アジア各国に景気刺激策の継続と内需主導への転換を提言した。

47ニュース


1~3月期GDP予測、戦後初の4四半期連続マイナスに

09年1~3月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は過去最悪のマイナス――。民間シンクタンク12社がまとめた予測で、景気の厳しい状況が鮮明になった。輸出急減で企業が生産を大幅に減らし、国内の消費も低迷しているためで、戦後初の4四半期連続のマイナス成長は確実だ。
1日までに各社が算出した予測を集計した。内閣府は20日に四半期GDPの1次速報を公表する予定だ。
各社の予測では、実質GDPの前期比増減率は、年率換算でマイナス19.7%から同13.6%と幅はあるが、いずれも過去最悪だった74年1~3月期の13.1%を超えるマイナス幅だ。
08年10~12月期は輸出の急減でマイナス12.1%(年率換算)だった。09年1~3月期は輸出減を受けた生産減少が急速に進み、マイナス幅が拡大。輸出はさらに減り、企業の設備投資や個人消費、住宅投資といった内需にも景気悪化の影響が広がっている。
3月には企業の生産や輸出に下げ止まりの兆しが出ており、09年4~6月期のプラス成長を見込むシンクタンクもある。ただ、09年1~3月期まで大幅マイナスが続き、ようやく景気の底が見えた状況にすぎず、本格的な景気回復はまだ遠そうだ。

朝日新聞 2009年5月1日


日銀:成長率予測を大幅下方修正へ 金融政策決定会合

日銀は30日、金融政策決定会合を開き、日本経済の09~10年度の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をめぐって議論した。急速な景気後退を踏まえ、09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率は、1月時点の予測(マイナス2.0%)を大幅に下方修正し、マイナス3~4%程度とする見通しだ。
09年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率も、1月時点の予測(マイナス1.1%)から引き下げるとみられ、デフレ不況の深まりを示す内容となりそうだ。政策金利(無担保コール翌日物)は現行の年0.1%で据え置く公算が大きい。
10年度の実質成長率は、1月時点でプラス1.5%と予測していたが、これも下方修正する見通し。ただ、プラス成長への回復は維持するとみられる。
1月時点の09年度の成長率予測は、戦後最悪だった98年度(マイナス1.5%)を大きく下回っていたが、さらに引き下げられることになる。政府も27日、09年度の成長率見通しを従来の0.0%からマイナス3.3%に下方修正している。
展望リポートは4、10月の年2回策定され、その後の経済情勢を踏まえて、3カ月後に中間評価する。日銀の金融政策を占う材料となる。【清水憲司】

毎日新聞 2009年4月30日

(引用終了)

関連した経済指標を記載します。世の中のカネが萎縮して、各所で鬱血壊死が起こっていることがよく分かります。

そもそも、貧富の格差が開くと社会全体が不安定になります。民主主義は、そのような中では、満足に機能するのでしょうか?

(引用開始)

食事など切り詰め13か月続く、3月の消費支出0・4%減

総務省が1日発表した3月の家計調査(速報)によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出額は31万680円だった。
物価変動の影響を除いた実質で前年同月と比べて0・4%減と、13か月連続でマイナスとなった。
消費支出を構成する10項目のうち「食料」「光熱・水道」「被服及び履物」など4項目でマイナスとなった。昨秋以降、世界的に景気が低迷し、消費者心理の冷え込みが続いており、外食や国内旅行を控える動きが目立った。

2009年5月1日 読売新聞

非正社員の失職、20万人超す見込み 厚労省調査

厚生労働省は1日、昨年10月から今年6月までに失職する非正社員が20万7381人にのぼる見込みだと発表した。正社員についても、30人以上が失職すると3月中に届け出があった事業所の集計だけで2万1732人となっている。国が休業手当を助成する「雇用調整助成金」の申請数も急増している。
非正社員の失職者数は、全国の労働局やハローワークを通じ、4月17日現在で集計した。3月時点での集計よりも1万5320人増え、初めて20万人を超えた。雇用形態別では派遣が13万2458人と最も多く、期間従業員などの契約社員4万4250人、請負1万6189人と続いた。
月ごとに見ると、年度末の3月に失職した人は4万4786人で、昨年12月の4万8545人に次ぐ多さとなっている。ただ、それ以降は4月が8234人、5、6月はそれぞれ1千人台と減少傾向で、大量失職のピークはいったん越えたとみられる。
正社員の失職については今回から、1カ月で30人以上の離職者を出す事業主に対し、事前の提出が義務づけられている「大量雇用変動届」の集計を始めた。3月中に届け出があったのは972事業所で、離職者数は4万9082人。このうち2万1732人が正社員だった。
企業の減産に伴う従業員解雇を防ぐため、国が休業手当を助成する雇用調整助成金の利用を3月に申請したのは4万8226事業所で、対象者数は237万9069人だった。前月より約51万人増え、初めて200万人を超えた。(林恒樹、江渕崇)

朝日新聞

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-05-15 09:42 | 経済状況

世界同時国債増刷(1) 戦争並みのコスト 国債消化に懸念 入札未達も プライマリバランス達成不可能

「日本の長期資本市場はクラウディングアウトが起こる状況ではない(が、国債発行には)市場との対話を欠かさないで、慎重な対応が必要」(与謝野財務相、国債の安定消化に関連して)

「厳しい財政の中で15・4兆円もの補正はやりすぎだ。景気浮揚効果は限定的で、負担は将来に回る」(井堀利宏・東京大学大学院教授)

「(国内の経常黒字が減少傾向にあり、日本国債の消化について海外勢の比重が高まっている状況なので、)1990年代後半のような『デフレだから長期金利低下』とはならない可能性がある」(大手銀関係者)

「(解散・総選挙で仮に民主党が勝利し、追加の経済対策が立案された場合)赤字国債がさらに増発される可能性があり、国債(財政赤字)の大膨張が予測される」(市場関係者)

「補正での国債発行額は、市場の消化能力も見ながら慎重に判断しなければならない」(財務省幹部)

「誰も彼も政局と選挙のことしか頭にない」(財務省幹部)

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<世界各国では>

世界の経済危機対策費(WBS調べ)
世界全体 350兆円以上
 内 アメリカ 146兆円
 内 中国 57兆円   

何度も述べていますが、日本のみならず、世界各国で、国債増発競争が始まっています。100年に一度の金融危機と称して、戦時並みの経済対策とその財源が必要なのですが、戦時並みということは、平時の経験則が通じないという意味でもあるのでしょう。

国会答弁でも取り上げられたとして話題の本石町日記によると、『米議会調査局(CRS)が過去の主要な戦争のコストを計算したリポートがあり、その総経費と米政府が昨年打ち出した金融危機対策費を比べたもの。それによると、米主要戦争の総経費はインフレ調整済みで7.2兆ドル(700兆円ぐらい)。これに対して今回の金融危機対策費は8.5兆ドル(850兆円弱)となるそうだ』ということで、比喩ではなく、本当に戦時並みのコストがかかっているのだということです。

さて

世界各国では、国債増発競争のような感じになっており、「いったい誰がそれだけの国債を買うのか」という国債消化に関して、懸念が生じ始めています。

たとえば、ドイツ財務相は29日、(ドイツに限らず)各国政府が景気刺激策をファイナンスするために大量の国債を発行していることについて、
・投資家の購入意欲は限界に近づいている可能性がある
・これほどの規模の国債が発行されると、近い将来、それを買い入れることの出来る投資家がいなくなる
として、国債増発に注意を呼びかけています。

たとえばアメリカでは、FRBによる、連日の国債買い切りオペにより、市場にドルが供給されています。
・ニューヨーク連銀 3月27日 75億4100万ドル 2011年9月─2012年4月償還債 応札額233億6100万ドル
・ニューヨーク連銀 4月1日 60億0800万ドル 2012年5月─13年5月償還期限債券 応札額169億4800万ドル
・ニューヨーク連銀は4月14日 73億ドル 2013年9月─16年2月償還期限債券 応札額264億ドル

合計 今年で9回(4/14時点)買入総額 約510億ドル

FRBによる市場からのアメリカ国債買い入れ自体は、あまり問題ではありませんが、アメリカの大手民間調査機関であるコンファレンス・ボード(CB)は、
・金融緩和やドル安によってインフレ期待が高まった場合、2010年に第2のリセッション(景気後退)に陥る恐れがある
・景気支援を目的としたFRBの利下げや国債買い入れが望ましくない結果をもたらす可能性もある
・「米経済が過剰な速さで回復した場合、2010年に第2のリセッションが到来する恐れがある」
・「(急速な回復は)インフレ再燃の観測につながる可能性があり、そうなれば、景気回復への道と構図をめぐる不透明感が強まることになる」
・ドル安と金融緩和を背景に商品価格が上昇すれば、米経済は1980年と82年のように「2番底」に陥る可能性がある
などと指摘しています。

ヨーロッパに目を転じると、ECBは、今のところ、他の中銀のような資産の直接買い入れは実施していません※が、ECBのトリシェ総裁が「金融政策において非伝統的な措置を排除していない」と述べたことから、国債の買い切りを含む、いわゆる「非伝統的」な政策を考えているとされています。

※法律により、ECBが、各国政府から国債を直接購入することはできないが、金融機関が購入した国債の買い入れは可能。ECBが取り得る非伝統的な策としては
・流動性供給の期間を拡大
・社債買い入れ
・金融機関の社債買い入れ
・金融機関のバランスシート上にある資産の買い取り
・コマーシャルペーパー(CP)購入
・国債購入

イギリスでは、国債の入札に未達が発生しました。
・3月25日に実施された17億5000万ポンドの国債入札で、応札額が1億ポンド以上未達
・未達は2002年以来

イングランド銀行(中銀)のキング総裁が、イギリスの財政赤字の急拡大を指摘、追加財政出動による景気刺激策には慎重になる必要がある、と警告していた通りです。

<日本では>

・追加経済対策の財政支出規模を15兆円
・事業規模は56兆円程度

その背景として、過去の記事でも述べましたが、実質GDPは▲12・1%減(2008年4Q、年率)、需給ギャップ20兆円、という、先進国中最悪の経済状況があります。
加えて、G20金融サミットで、「各国が来年までに5兆ドル(500兆円)以上の景気刺激策を打つ(首脳宣言)」「GDP比2%の景気対策(米国が各国に要請)」をも盛り込んでいるのでしょう。

・財源は大半を建設国債や赤字国債の発行で賄う
・09年度補正予算案では、赤字国債や建設国債の発行額は合わせて10兆円以上
・経済緊急対応予備費1兆円、財政投融資特別会計の積立金を最大3兆円
・一部報道によると、財投債の増発額6兆円台

・当初予算と合わせた09年度の国債発行額は、過去最大の40兆円以上となる見込み
・08年度末の国・地方の長期債務残高は787兆円だが、更に借金が大幅に積み上がる

ということで、本予算成立直後の巨額補正が極めて異例ですが、それ以上に、国債の安定消化が大きな課題になっています。 赤字国債が巨額であり、国債発行額が過去最大(1999年度、約37.5兆円)を超え、長期金利の上昇をもたらす可能性もあると指摘されています。

<プライマリバランスと、国債に対する懸念>

ということで、「11年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標」は、実現が不可能でああることが、明白になりました。

「ぼろぼろになった旗(目標)だが一応立っている」とは、麻生首相のコメントですが、目標として死んでいるのですから、それは「立っている」とは言いません。「貴様(黒字化目標)はすでに死んでいる」なのでしょう。

市場の国債に対する懸念ですが、必ずしも悲観ばかりではなく、相反する見方があるようです。

楽観派は
・総額で20兆円までなら、サプライズはない
悲観派は
・国内の経常黒字が減少傾向にあり、デフレであっても長期金利が上昇する可能性もある
・国債の消化に関し、海外勢の比重が高まっている状況下では、国債が安定的に消費される保証はない

などということです。

<日銀券について>
ブログでも何度か言及していますが、日銀券ルールというものが存在します。(訂正しました5/1)

(日本)銀行券ルールとは:日銀が保有する長期国債残高(資産)<日本銀行券発行残高(負債)

白川総裁が指摘しているのは、財政ファイナンスのために日銀券ルールを撤廃する(=中央銀行が積極的に国債を買い入れる)と、「日本のように財政バランスが悪い国」においては、将来の金融システムに対する不安から、長期金利が上がるなどという影響により、逆に財政ファイナンスに悪影響を及ぼす、ということです。

B/S(バランスシート)上の対応では、

    負債       資産
長期的 日本銀行券    長期国債
短期的 準備預金など   短期国債

となっています。日銀券ルールは、中央銀行が国債を買い支えた「花見酒」の教訓から、妥当に思えます。

(日本銀行は「物価の安定をはかる」ことが使命のひとつですが、逆に言うと、「物価から見た日本銀行券の価値の安定を図る」とも解釈することが出来ます。うがった見方をすると、デフレになれば、相対的に日銀券の価値は上がるので、日本銀行としてはデフレ歓迎なのかも知れませんね)

最近、中央銀行が積極的に国債を買い入れ、紙幣をジャブジャブに刷って政府に横流し、それを財源に公共事業など対策を打つべし、という意見が散見されます。

そこまで行かなくても、リチャード・クーのように、「バランスシート不況下では、会社・個人は貯蓄を選好してカネを使わないため、インフレが起きない。だから、国家が、会社・個人の貯蓄を吸い上げて、財政出動するべき」という意見が出てきます。

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ということで、ここまでの取りまとめをしますと、

(世界)
・世界同時不況には、世界同時に戦時並みの対策費が必要
・各国はすさまじい量の国債を発行しなければならず、消化懸念が生じ始めている
・中央銀行による買い入れが行われているが、一部に未達も見られる
(日本)
・日本においては、プライマリーバランス黒字化目標は達成不可能
・それどころか、日本銀行券残高以上の長期国債を買い入れるべしとの意見も見られる
・国が国債を発行して、民間の貯蓄を吸い上げ、財政出動することは正しいとの意見も見られる

日本のみならず、世界で増発されるすさまじい量の国債は、世界のどこかにいる投資家が、残らず買ってくれるのでしょうか?それできちんと償還されるのでしょうか?日本のプライマリバランス未達成は、どのような結果をもたらすのでしょうか?PB赤字でも問題ないのなら、そもそもなぜそんな目標が立てられたのでしょうか?裏づけのない紙幣を増刷することは、何が悪いのでしょうか?国が民間の貯蓄を吸い上げて使ってしまうことは、問題があるのでしょうか?世界全体で「利益の先食い」をしたツケを払うのに、また「先送り」をしていて、本当に解決になるのでしょうか?そして、デリバティブでも隠し切れなかった損失を国家に「飛ばし」たところで、本質的に何か意味があるのでしょうか?

もっと簡単に言うと、このような解決策で、維持可能性があるのでしょうか?引き続きのエントリーで述べたいと思います。

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本エントリーは文字数が多いため、関連・引用元となったニュースの題名・URLのみ記載しておきます。

(海外)

各国政府の国債増発、市場の消化能力は限界に近づく=独財務相
英国債入札の未達は「一時的な現象」=ソロス氏
米経済、2010年に第2のリセッション到来の恐れ=CBリポート
情報BOX:ECBが講じる可能性のある非伝統的措置
米FRB、73億ドルの国債買い入れ

(日本)

年末─来年には景気に明るさ、追加国債発行は10兆円超=財務相
国債発行計画見直し論議へ、財務省が17日に特別会合
株と債券の先行きめぐり異なる見方交錯、相場はこう着感
追加経済対策:15兆円、両刃の剣 国債大量発行、景気回復阻害も
追加経済対策:財政支出15兆円 贈与減税「住宅限り」
UPDATE3: 銀行券ルール撤廃すると財政ファイナンスや長期金利に悪影響=白川日銀総裁
補正予算指示 危機克服へ異例の巨額 赤字国債 乱発なら信用低下
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by kanconsulting | 2009-04-20 09:20 | 経済状況

SDR2500億ドルのバラマキ 信用創造の悪魔 ゴールドの奪い合いか

2年ほど前に、SDR(IMF特別引出権)について、次のように述べました。

SDR:Special Drawing Rights (of the International Monetary Fund)
(Sony Dream Robots (QRIO)ではありません)

(転載開始)

「日本の外貨準備高は5934億SDR(9545億ドル) IMF国際通貨はすでに存在する? 日本円のプレゼンス低下」

さて、
「あれ?財務省発表の外貨準備はドル建てなのに、IMF発表の外貨準備は、SDR建てという変な単位になっているぞ。」
とお気づきでしょうか。このSDRとは、何でしょうか。

『1969年、IMFは加盟国の既存の準備資産(公的金保有、外貨、IMFのリサーブポジション)を補完するために外貨準備資産としてのSDRを創設しました。SDRの価値は主要国通貨のバスケットに基づいて決められ、IMFほか多数の国際機関における会計単位として使われています。(中略)

SDRは通貨ではなく、またIMFに対する請求権でもありません。むしろ、潜在的には加盟国の通貨を自由に使用できるという権利を持ち、保有国はSDRを外貨と交換できるようになっています。準備資産としてのSDRの価値はSDRを保有し、受け入れ、SDRシステムの運用についての様々な義務を果たすという加盟国の確約に基づいています。自由に使用できる通貨に対するSDRの請求権は以下の2つの方法によって与えられることをIMFは保証しています。強い対外収支ポジションにある加盟国を指名し、弱いポジションにある加盟国からSDRを買い取る方法、あるいは、管理された市場において参加国間での自主的な交換の取り決めにより行なう方法です。(IMFホームページより)』

「米ドル準備資産の継続的増加によって米国の国際収支が絶えず赤字となり、そのこと自体が米ドル価値への脅威となりました」とあるように、基軸通貨は、かならず経常収支赤字となり、そのこと自体が、基軸通貨への信認を失わせるというのは、皮肉なことに、IMFの想定範囲内でもありました。逆に、経常収支を改善しようとすれば、世界全体が通貨不足に陥るというジレンマもあります。アメリカという一国の財政と、世界経済をリンクさせることに、そもそも無理があったのかもしれません。

「SDRは通貨ではない」とあるものの、「個人取引での利用を促進しようという努力」という記載があるように、通貨バスケットで国際決済を行わせ、基軸通貨ドルの代替をしようとしたという形跡が見られます。機軸通貨の重責を、ほかの通貨にも背負ってもらうことで、世界経済が安定化するなら、儲けものです。

(転載終了)

本日のSDRの為替?レートはこちら

SDRの内訳(通貨バスケット)

        2006 2001 1996
米ドル    44   45   39
ユーロ    34   29   --
ドイツマルク --   --   21
仏フラン   --   --   11
日本円   11   15   18
英ポンド   11   11   11

---

このように、IMFは、1969年、外貨準備資産として、SDRを創設しました。IMFや国際機関における会計単位として使われるほか、各国の外貨準備量の表記単位としても用いられることがあります。ですが、国際決済に頻繁に使われることはないようですので、「国際通貨の成り損ない」という指摘もあります。SDRの価値は、上に示したように、通貨バスケット(現在は、ドル、ユーロ、日本円、イギリスポンド)に基づいて決められており、為替レートの変動に応じて日々更新されます。バスケットの構成比そのものは、5年に一度見直しされます。

上にも述べましたが、「個人取引での利用を促進しようという努力」という記載があるように、通貨バスケットで国際決済を行わせ、基軸通貨ドルの代替をしようとしたという形跡が見られます。ということは、SDRが国際基軸通貨にならなかったのは、シニョリッジ権限を手放したくないアメリカの意向、と思って間違いではないでしょう。

(IMFそのものはアメリカの下部機関ではありませんが、世界経済奥の院にとっては、どちらも配下のようなものでしょうから、SDRが国際決済通貨になっても、あまり違いがないのかもしれませんが)

さて、最近、SDRが話題になっています。たとえば、

・SDRをアメリカドルに代わる基軸通貨にすべき (中国人民銀行 周小川総裁)
・SDRの通貨バスケットに中国人民元を加えるべき (ノーベル経済学賞 ロバート・マンデル)
・SDRの構成資産にルーブルや人民元、金などを含めるべき (ロシア政府)

などです。(しかし、ロシア以外のG20各国首脳は、当面はドルが基軸通貨であり続けるとの立場です。)

人民元のSDR参入問題に関しては、

・まだ市場で自由に交換できない
・完全なフロート(変動相場制)でもない

として、あまり現実味がありませんが、そのような提案を行った中国政府の意図として

・コインの裏表である、米国の弱さと、中国の強さを、切り分けたかったのではないか
・機軸通貨発行国である米国経済の悪化と、世界金融の悪化を、切り分けたかったのではないか

という見方があります。

さて、先般行われたG20金融サミット(20カ国・地域の首脳会合)で、「IMFの融資枠を拡大する一環として、SDRを新たに2500億ドル配分する」ことが決定されました。

もともと信用創造とは、自分の靴の紐を上に引っ張ることで自分が空を飛ぼうとする「ブートストラップ」に似たところがあります。キリスト教になぞらえると、無から有を創造することは、信用創造主の御技と言えるかも知れません。ですが、信用創造が、神の御技ではなく、欲望にかられた悪魔の技でしかないとしたら、どうでしょうか?

もっと簡単に言いますと、SDR2500億ドル分の配分は、あまり裏づけがありません。そもそもIMFには、それほどの資産がありません。
イメージとして言うなら、資金繰りに困った中小企業の社長同士が、おたがいに同額の小切手を発行し交換するようなものです。ですので、

・借金でまかなうというのなら、問題の先送り
・そうではなく、各国通貨の信用に転嫁するというのなら、「壮大な飛ばし」
・いずれにしても、通貨全部を巻き込んだ信用瓦解になりかねない

さらに、「G20はIMFに対し、最貧国向け融資資金の調達や保有する金の売却を加速するよう求めています」とありますが、注意しなければならないのは、「IMFにはすでにゴールドが残っていないのではないか」ということです。IMFの公表する金地金保有量として、

・IMF 3217トン
・(参考)アメリカ 8143トン

とされていますが、その数字を信じるとしても、ゴールド3000トンは約10兆円(約1000億ドル)ですから、全然足りません。さらに、このゴールドさえも、これまでの通貨危機などで使ってしまったのではないでしょうか?

現物資産の奪い合いという、隠れた面が見え隠れします。

関連したニュースを転載します。

(引用開始)

中国人民元を来年SDR通貨バスケットに加えるべき=マンデル氏
2009年4月7日23時55分

[香港 7日 ロイター] ノーベル経済学賞の受賞者で「ユーロの父」と呼ばれるロバート・マンデル氏は7日、世界的な準備通貨の創設に向け来年、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに中国人民元を加えるべき、との考えを示した。
当地での記者会見で、変動の大きい為替相場が昨年9月以降の世界的な金融危機の一因になったと指摘。「今こそ変革の時である。人民元は現在、世界で3番目に重要な通貨といわれ、見方にもよるが日本円より重要といえる。2010年に人民元をSDRに加えるべきだと確信する」と語った。
バスケットの構成は5年ごとに見直され、次の見直しは来年後半。SDRの構成について、同氏は、1)ドルの比率を現在の45%から40%に引き下げ、2)ユーロの比率を29%に据え置き、3)円の比率を15%に据え置き、4)英ポンドを除外もしくは比率を現在の11%から5%に引き下げ、5)残りを人民元とすべき──としている。

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金融サミット、財政支出の数値目標には合意できず=渡辺前財務官
2009年3月27日18時55分

[東京 27日 ロイター]
(中略)
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の最近の論文が発端となり、中国政府内で国際通貨基金(IMF)の準備資産であるSDR(特別引き出し権)をドルに代わる基軸通貨にすべきだとの構想が浮上している。中国の主張の背景について渡辺氏は「正直わからない」としながらも、「中国はまだ10年くらい米国にとって最大の貿易相手国であることは間違いない。そのため常に米国の弱さ批判は、必ず中国の強さ批判となって跳ね返ってくるところがある。そこは切り分けたかったのではないか。米国(経済)が悪くなるかどうかという話と、世界全体の金融が悪くなるかどうかと言う話を遮断したほうが中国にとっては良いという判断が発言につながったのではないか」と推測した。
SDRは外貨不足の国が余裕のある国から外貨を受け取る権利のこと。IMFが金やドルなどを補完する2次的な準備資産として1969年に創設した。
現在はドル・ユーロ・円・英ポンドの4通貨で構成されているが、中国にはこれに人民元を加えたいとの狙いがあるとの見方に対しては「人民元はまだコンバーティブルではなく市場で自由に交換できない。完全なフロートでもない」とし、中国が人民元をSDRに入れるべきだと強調すればするほどこの2つの問題が表面化するため「中国は多分それに乗れない」とみて「そこまで中国が考えているわけではない」と分析した。

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ロシア大統領、新たな基軸通貨の創設を重ねて支持=英BBC
2009年3月30日10時15分

[モスクワ 29日 ロイター] ロシアのメドベージェフ大統領は29日に放映された英BBCとのインタビューで、新たな基軸通貨を創設する案に対して重ねて支持を表明した。
同大統領は「この問題について、ブラウン英首相をはじめ他の首脳とも意見を交わしたばかりだ。われわれは当然現実的であり、自分自身の立場、および中国首脳の立場も現実的であることを願っている」と述べた。
その上で「現在の通貨体制が、現在起こっている問題に対処しきれていないことは明らかだ。ドル、ユーロ、ポンドなど、さまざまな通貨があるのは幸いだ。ただ将来的には、国際通貨体制は、他の地域で準備通貨として使われている通貨をも含む多通貨バスケット制に基づくものにならなくてはならない」と述べた。
「この点で合意が得られれば、いわゆるスーパー通貨の創設について、将来的に議論を開始できる可能性がある」と述べた。 
ロシア政府は3月16日に発表した20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)に向けた提言の中で、国際的な金融機関が発行する新たな通貨の創設を提案している。G20首脳会合は4月2日、ロンドンで開催される。
その後中国がG20を前に、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を基軸通貨とする国際通貨体制への移行を提案し、議論を呼んでいる。
ロシア以外のG20各国首脳は概ね、当面はドルが基軸通貨であり続けるとの立場を明確にしている。
この件に関して、通信社各社は、ロシア大統領府幹部が28日、ロシアはIMFのSDR使用拡大を支持するものの、今回のG20会合で新たな準備通貨の創設が合意される可能性はないとみている、と発言したと伝えている。

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ロシア、SDRにルーブル・人民元・金を含めることを支持
2009年3月30日12時35分

[モスクワ 28日 ロイター] 通信各社によると、ロシアは国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成資産にルーブルや人民元、金などを含めることを支持している。ただ、4月2日の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で新たな準備通貨が受け入れられる可能性はないとみている。ロシア政府高官が28日に語ったとして各社が報じた。
ロシア通信(RIA)によると、アルカジー・ドボルコビッチ大統領補佐官は「(SDRを構成する)通貨を拡大することは論理にかなっている。ルーブルや人民元、恐らくその他の通貨も含めることが可能だ」と語った。
金融サミットで新たな準備通貨が受け入れられる可能性はないとしたものの、同氏の発言はこの問題をめぐる議論が金融サミットで注目を集めることを示唆している。
また、タス通信によると、同氏は、ロシアとしてはルーブルと人民元を準備通貨として幅広く用いることを支持すると述べた。


(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-04-13 11:00 | 経済状況

経常赤字1728億円 貿易赤字8444億円 金利収入生まれず 株式運用は悲惨 機関投資家の惨憺さ

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図は読売新聞より

2009年1月の国際収支(速報)によると、

経常収支 ▲1728億円 (単月度赤字は85年1月以降では4回目)
 所得収支 9924億円 前年同月比31.5%減
 貿易・サービス収支 ▲1兆1002億円 (1985年1月以来最大、赤字は4カ月連続)
  うち貿易収支 ▲8444億円
   輸出 3兆2822億円 前年同月比46.3%減
   輸入 4兆1266億円 前年同月比31.7%減
  うちサービス収支 ▲2558億円 赤字額2.7%拡大

経常収支:海外とのモノ・サービス・投資など全体の取引状況を示す
所得収支:海外投資から受け取る利子・配当などの収益を示す (海外子会社からの配当収入、債券利子の受取額など)

このように、
「日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況」
「株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況」
という経済環境からは、当然ともいえる結果となっています。

実は、このようなときこそ、「国債売り、株式買い(日本株ではないですよ!)」の好機なのですが※、多くの人と機関投資家が、これまでになくリスクに敏感になり、現預金と国債を離さない状況ですから、「わかっちゃいるけど、できない」のだと思います。

(年金基金、生命保険などの運用状況は、惨憺たるものですが、その帰結については別途述べます)

メーカーの現場の声を聞いていますと、少しずつではあるが商品が動き出しており、トンネルの先が見えてきた、という表現がマッチします。景気が回復してきたのではないか?と思うにはまだ早計ですが、その成分の大半が「期待料」である株価などは、「人々の(甘い)期待」を織り込んで回復基調になってもおかしくありません。

(アメリカドルを含む各国家の通貨システムに、CDOを含む各種不良債権のツケを回した形となった『壮大な飛ばし』であることは、これまでに何度も述べていますが、その根本は何も解決していないのが現状です。そのことについては、別途述べたいと思います。)

さて、これまでに、
「日本が成熟債権国となっていく」
「世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎える」
「当然、(日本の)株式や、(クロス円の)為替の水準も、変わっていく」
「日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントが近い」
「アメリカ・アメリカドル・その国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある」
などと述べてきました。たとえば、

(転載開始)

景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

貿易黒字が、急速に減少しています。下半期だけで見ると、貿易赤字です。記事にもありますが、波及効果の大きい自動車製造業から、製造業全体に影響が及び、ついで非製造業に、負の連鎖が広がっていくのでしょう。
ということは、今年(注:2009年)は、日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントなのでしょう。これまでも述べましたが、世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎えるのだと思います。

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経常黒字減少 貿易収支赤字続き 海外への資金流出21兆円 経済状況の発展段階説

今後、日本も成熟債権国となっていくにあたり、日本からみたマネーの大きな流れが変わる、大きな節目にきているのだと思います。当然、株式や為替の水準も、変わっていくでしょう。このあたりは、「経済状況の発展段階説」に関連した過去の記事を参照ください。

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日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り

10月の貿易収支は、大きく赤字となりました。もちろん、単月度の赤字であれば、別に気にする必要はありません。しかし、これから当分の間、「日本が貿易赤字国」という傾向が続くとするならば、多方面にいろいろな影響が出てくることと思います。

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ドル安・資源高 信用不安とスタグフレーション

・次の円安サイクルでは、日本は経常赤字(=貿易赤字)国になる可能性も
・人口動態や国としての成長力を考えると、対ドルはともかく、他通貨に対しては、減価していかざるを得ない

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世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末

このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。
たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう。

(転載終了)

ですが、ファンダメンタルではそう言いえても、何かきっかけがないと、なかなか(ファンダメンタルから見た)本来の水準に動かない、ということも、ご存知と思います。次のイベントは何でしょうか?もし私が世界経済の奥の院であれば、どのようにイベント・ドリブンで儲けようと思うのでしょうか?皆様も考えて見られると面白いと思います。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

国際収支13年ぶり経常赤字 輸出減速鮮明に
2009.3.9 21:06

財務省が9日発表した1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は平成8年1月以来、13年ぶり。赤字額は、比較可能な昭和60年1月以降では最大となった。海外とのモノやカネの流れが停滞し、日本経済の苦境が鮮明となった。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46・3%減の3兆2822億円と急減した。輸入も原油価格の下落で31・7%減の4兆1266億円となった。この結果、輸出の減少幅が輸入を大きく上回ったため、貿易収支は8444億円の赤字だった。
また、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅も減少した。金利低下や不景気による海外現地法人からの配当金などが減ったためで、所得収支は前年同月比31・5%減の9924億円と失速した。
世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり、各国の個人消費は冷え込んでいる。日本は米国市場を中心とした外需の後退による輸出減で、国内景気の悪化が急速に進んでいる。
深刻化する金融危機に対応するため、日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況となっている。株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況にある。

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1月経常収支 13年ぶり赤字 海外依存経済 長引く低迷
2009/3/10

財務省が9日発表した2009年1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資収益の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は1996年1月以来、13年ぶりで、赤字幅は比較可能な統計の85年1月以降で最大。世界同時不況による輸出の縮小が主な要因で、外需依存型経済の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮き彫りにした。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は、自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46.3%減の3兆2822億円と急減した。地域では米や欧州、アジアがともに落ち込んだ。輸入も原油価格の下落で31.7%減の4兆1266億円となったが、輸出の減少幅が輸入を大きく上回り貿易収支は85年以降で最大となる8444億円の赤字となった。
サービス収支は2558億円の赤字で赤字額は1.7%拡大した。世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり各国の個人消費をさらに冷え込ませている。日本は、米市場など海外の需要減による輸出縮小で、国内景気が急速に悪化している状況だ。
さらに、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅が3割も減少。金利低下や不景気による企業業績の悪化で配当が減少したことなどから、所得収支は前年同月比31.5%減の9924億円となった。
主要国は金融危機や景気回復へのてこ入れ策として政策金利の引き下げを進めており、金利収入が入りにくい。モノの輸出に加え、海外からの投資回収が難しい状況でカネの流れも停滞している。結果として1月の経常収支は、前年同月の1兆1637億円の黒字から1728億円の赤字に転落。最大の赤字だった96年1月の赤字額256億円を大きく上回る規模となった。
財務省は「世界的な経済の影響で輸出が落ち込む傾向は続く」とみている。2009年の経済見通しでは先進国はマイナス成長になるとの見方が強く、外需主導による早急な経済の立て直しは望めない状況だ。
政府・与党は新たな追加経済対策で内需喚起による景気回復を目指すが、政府内には「財政出動で内需を下支えしても、今回の景気悪化は外需が原因で根本的な解決にならない」と悲観的な意見もある。景気浮揚に向けた短期的な経済対策とともに、人口減少に伴う市場規模の縮小が進む日本の経済構造に対応した新たな成長戦略が必要になっている。

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経常収支、13年ぶり赤字…輸出急減響き1728億円

財務省が9日発表した1月の国際収支(速報)によると、海外とのモノ、サービス、資金の取引状況を総合的に示す経常収支は前年同月比1兆3365億円減少し、1728億円の赤字に転落した。
世界的な景気悪化で日本からの輸出が急減したことが響いた。
経常赤字は1996年1月以来13年ぶり。赤字額は96年1月(256億円)を上回り、比較可能な85年以来で最大となった。
経常収支が赤字に転落した主な要因は、モノの取引を示す貿易収支が過去最大の8444億円の赤字となったためだ。貿易赤字は昨年11月の934億円、12月の1979億円に続き3か月連続で赤字幅は拡大の一途をたどっている。1月も自動車や半導体などの輸出が米国や欧州、アジアなど全地域向けで大きく落ち込み、輸出額は同46・3%減の3兆2822億円と大幅減となった。輸入は原油価格の低下などで31・7%減の4兆1266億円で、輸出の落ち込みが輸入減を大幅に上回った。
サービス収支も2558億円の赤字となった。円高で日本への観光客が減り、赤字額は前年同月より1・7%拡大した。
海外との資金の流れを示す所得収支は9924億円の黒字を維持したが、黒字額は31・5%減少した。主要国の金利低下で海外から受け取る利子収入が減少。世界不況による企業業績の悪化で海外子会社から受け取る株式配当も減った。円高で受取額全体が目減りしたことも影響した。
市場では、輸出の大幅な落ち込みが当面避けられないとして、2月以降も経常赤字を予想する声が広がっている。第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは「世界経済の低迷を受けて海外金融資産の運用益が目減りし、頼みの綱だった所得収支の黒字も落ち込む。海外経済への依存度が高い日本経済の脆弱(ぜいじゃく)さを象徴している」と指摘する。
経常収支は、貿易収支、所得収支、サービス収支を合算して算出し、赤字は4回目。1月は工場の年始休みなどにより輸出が少なくなる傾向があり、過去の経常赤字はすべて1月だった。

(2009年3月9日11時48分 読売新聞)

(引用終了)

※投資は自己責任でお願いします
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by kanconsulting | 2009-04-10 07:47 | 経済状況

実質GDP成長率見通し 日本は-6.6% 先進7カ国中最悪

以前の記事で、次のように書きました。

(転載開始)

「日本とアメリカ 産業構造と潜在成長力 弱い潜在成長率とマイナス実質経済成長率予測」

最近のニュースによると、日本の潜在成長力が、徐々に下がってきているということです。そもそも、実質経済成長率はマイナス予測ですが、紙幣をばら撒いて潜在需要を喚起しても、「力強い成長」には程遠い、といったところでしょう。

(潜在成長率)
07年度 1.6%
08年度 1.2% (民間予測)
09年度 0.9% (民間予測)

(実質経済成長率)
08年度 -1.8% (日銀金融政策決定会合)
09年度 -2.0% (同上)

潜在成長力とは?
普通、生産設備などの資本には余剰・遊休があり、労働力にはリストラやミスマッチによる失業分があります。今現在の経済で、こういった資本の余剰や失業がなく、フル活用されたと仮定した場合に、そのGDPを「潜在GDP」、インフレ率の変化なしに達成できる実質成長率を「潜在成長率」と呼びます。
実際の実質成長率=潜在成長率+GDPギャップ
「実質」とあるのは、貨幣換算のGDPの増大(減少)を、価格上昇(下落)分と生産増大(減少)分に切り分けて、生産増大(減少)分のみを抽出した、という意味です。

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「戦後最大の経済危機 実質GDPマイナス12.7% 分かっていた数値悪化」

(2008年10~12月の)「実質GDP12.7%減」という見出しがショッキングですが、四半期(3ヶ月間)の数字を年率に換算した数値であり、実際の年間の実質GDPは0.7%減となります。それほど、昨年秋以降の落ち込みが激しかったということでしょう。

(中略)GDP変動率を金額に換算すると、

・設備投資 ▲8兆円 ここ数年が過大であり、2009年もマイナスが続く
・純輸出 ▲12兆円 2009年もマイナスは続くが、2009年は半分位で収まる
計付加価値 ▲20兆円
(売上換算 ▲30兆円 (日本企業の売上高付加価値率から逆算))

(中略)

【実質GDP 四半期(季節調整値)】
・前期(7~9月期)比 ▲3.3% (=年率換算▲12.7%)
・09年1~3月期も大幅なマイナス成長の見通し

【実質GDP 2008年通年】
・▲0.7%
・1999年(▲0.1%)以来、9年ぶりのマイナス成長

(転載終了)

毎日新聞エコナビによると、「今回の日本の景気拡大期の実質国内総生産(GDP)伸び率に占める輸出の寄与は61%」と、過去の好景気(いざなぎ景気(同寄与率8%)、バブル景気(同12%))をはるかに超える高い輸出依存度だったことが指摘されています。

何度も書いていますが、無駄遣いのアメリカを、日本(やアジア諸国)が支えた、という「いびつな構造」の巻き戻しなのだと思います。

さて、GDP見通しについて、現在、もっと悪い数字が出てきています。経済協力開発機構(OECD)によると、2009年、日本は6.6%のマイナス成長だということです。

実質GDP成長率見通し(%)

        08年  09年  10年
日本     ▼0.6 ▼6.6 ▼0.5
米国      1.1 ▼4.0  0.0
ドイツ     1.0 ▼5.3  0.2
フランス    0.7 ▼3.3 ▼0.1
イタリア   ▼1.0 ▼4.3 ▼0.4
英国      0.7 ▼3.7 ▼0.2
カナダ     0.5 ▼3.0  0.3
ユーロ圏    0.7 ▼4.1 ▼0.3
OECD全体  0.9 ▼4.3 ▼0.1


以前に、

『私たちが気をつけなければならないのは、・・・「フロー面からは、雇用リスクへの備え」「ストック面からは、デフレ経済への備え」・・・なのだと思います。

特に、「信用崩壊スタート(2007~)→金融機関など資本毀損・有価証券価値暴落→企業の生産調整・雇用カット(2008~顕著に)→家計への波及(日本では今年から顕著に)→デフレスパイラル再来」のサイクルを考えた場合、家計への波及が始まることで、デフレ再突入が確実なものとなります。』

と述べた通りになってきているのだと思います。

関連した過去の記事も参照ください。

日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り

(引用開始)

OECD:「日本、GDP6.6%減」 先進7カ国中最悪--09年見通し

経済協力開発機構(OECD)は31日、10年までの加盟各国の経済見通しに関する報告書を公表した。日本の09年の実質GDP(国内総生産)は6・6%減と戦後最悪を見込み、昨年11月時点の見通し(0・1%減)から下方修正。日本経済は需要不足で物価が持続的に下落し、景気が停滞するデフレ不況に再突入するとの見方を示した
今回の報告は世界経済が「この50年間で最も深く広範囲の景気後退にある」と指摘。なかでも輸出依存度の高い日本の成長率は09、10両年ともに金融危機の震源地の米国やドイツ、英国など欧州各国を下回り、先進7カ国で最悪となると予想。日本経済全体の需要と供給の差を示す「GDPギャップ」は09年にマイナス7・9%、10年に同9・6%と過去最大に拡大。完全失業率も10年には5・6%と、過去最悪だった02年度(5・4%)を上回るまで上昇するとした。
不況への政策対応では、日銀がデフレが完全に収束するまで政策金利をゼロ近くで維持し、流動性を増加させることを求めた。一方、財政出動については「余地が限られている」とし、低所得家計を支える「所得税の税額控除」導入など税制・社会保障制度の改革と、サービス分野の競争力強化のための構造改革が必要とした。【尾村洋介】

毎日新聞 2009年4月1日 東京朝刊

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-04-02 23:28 | 経済状況

バーナンキ米FRB議長「米景気回復は2010年から」 オバマ大統領「米国株は買い時だ」 通貨の価値は

「恐らく年内に景気後退は終わるだろう。(そして)来年から景気回復が始まるだろう」(バーナンキ議長)

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ。米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよい」(オバマ米大統領)

---

バーナンキ議長が、生放送のTV番組に出演して、コメントしたということです。

一言で言うと、ポジショントークだと思います。通貨権力のエージェント(代理人、簡単に言うと「手先」)であるバーナンキ議長が、修正や検閲のできない生放送のインタビューに出演するということで、よほどせっぱつまっているのだということが、よく分かります。

加えて、オバマ大統領も、アメリカ内外に向けて、ポジショントークを発信しています。

誤解のないように書き添えておきますが、ポジショントークそのものは、広告宣伝のようなものですので、別に悪いものではありません。人を欺き、騙すためのポジショントーク(大本営発表)がダメだ、と言っているだけです。

さて

現実問題として、2010年には、景気は底を打つと思っています。しかし、それは「以前の水準に戻る」ということを意味しません。「下がりきって、これ以上悪くならない状態になる」という意味ですが、それは、「あと1年間、文字通りの地獄を味わう可能性がある」という前提を含みます。

現在起きているのは、信用不安が高じて、信用恐慌になる段階ですので、一種の取り付け騒ぎといっても、不思議ではないでしょう。それがあと1年も続くとしたら、まともな企業でも、どんどん潰れていくことが、十分ありえます。

(引用開始)

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は15日放送のCBSテレビのインタビューで米景気回復について
「来年から景気回復が始まるだろう」(中略)
 バーナンキ議長は「恐らく年内に景気後退は終わるだろう」としつつも、金融安定化が回復の前提になると強調。失業率(2月は8.1%)も上昇する可能性が高いとの見方を示唆した。

日本経済新聞

バーナンキ米FRB議長、「米景気回復は2010年から」

米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長は15日、米景気回復時期について、「米景気後退は今年いっぱい続くだろう。後退速度は緩和されるが、失業率が(サブプライム問題が発生する前の状態まで)回復する兆しは見えにくい。今年下期には景気後退の終焉の兆しが見えることを期待している」と述べた。(中略)
米CBS放送の「60 Minutes」に出演したバーナンキ議長は、米議会には1月に「2007年12月に生じた米景気後退が今年度中に終焉を迎え、2010年には回復に向かうと判断する十分な根拠があると伝えたことを述べた。

IBT

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12年ぶり安値、米国株は「買い時」…オバマ大統領が推奨

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ」。オバマ米大統領は3日のブラウン英首相との会談後、約12年ぶりの安値水準に落ち込んでいる米国株について、「買い時」との見解を示した。
大統領は「株式市場の日々の乱高下は気にしない。米国と世界経済は立ち直る長期的な能力がある」と強調。「金融安定化策が効果を発揮、景気が上向くことに自信を持っている」と述べた。
大統領肝いりの安定化策に対する失望売りへのいらだちも「推奨」発言につながった模様だ。

読売新聞

対米投資の健全性、安心してよい=オバマ大統領

[ワシントン 14日 ロイター] オバマ米大統領は14日、中国やその他の国々は、米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよいと強調した。ブラジルのルラ大統領との会談後に述べた。
両大統領は会談で幅広いテーマについて話し合ったという。ルラ大統領は、両国が世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の再開に向けて協力すべきだと述べた。一方、オバマ大統領は、バイオ燃料貿易をめぐる両国の対立は時間をかければ解決できるとの見解を示した。
このほかルラ大統領は4月の20カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)のための提案を米国と協力してまとめる意向を示した。

朝日新聞

(引用終了)

そもそも、なぜこのようなひどい事態になったのか、何度も考えてみる必要があります。これまで何度も指摘していますが、一言で言いますと、「(通貨の)過剰流動性」ということに尽きます。

信用通貨が過剰にあり、つまり、(借りたものであれ投資されたものであれ)手元に遊んでいるキャッシュがあるならば、それなりの利回りが得られるように期待されます。ですが、そのような時期には、相対的に、まともな投資先は減ってきます。堅実で儲かる商売は自前で資金調達できるようになり、優良株は資金流入により益利回りは減少し、債券であればこれも利回りは下がります(債券価格は上昇)。

怪しげで、なんだかよくわからない金融商品でも、
「こんな聞いたことがない金融商品でも、これしかないのなら、仕方ないなあ」
「期待利回りを考えると、こんな投資案件に手を出すのも、やむを得ないなあ」
となっていたことは、容易に想像できます。

(これが、「好景気には、あやしげな投資案件が横行し、それに投資家がカネを出してしまう、金融詐欺が多発する」、というひとつの原因でしょう)

Caballeroは、これを、「問題は資金の過剰ではなく、金融商品の不足である。新興国などの旺盛な投資意欲を満たす安全でリターンの高い金融商品が慢性的に不足しており、アメリカの投資銀行がその需要を満たしたため、資金がアメリカに流入したのだ」と指摘しています。(池田信夫ブログより)

これが、アメリカ株式は、これまで良い投資対象だった理由のひとつですが、もうひとつの理由は、「実物資産から、金融資産への乗り換え」が奨励されてきた、ということです。

簡単に言うと、アメリカの思惑により、世界中の銀行を巻き込んだ、実物資産(ゴールド)から、株式への乗換えが、当時のワールドバリュー(日本語で言うとグローバルスタンダード)だった、ということです。ゴールドの価値を抑制することで、相対的に、信用貨幣の価値を維持することが可能でした。その歪みが、株式価値の上昇を生んだのでしょう。

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株式は、余剰に発行すれば、希薄化(益利回りの減少)により、市場での価格下落は避けられません。そのあたりをシビアに評価できる投資家が参入することで、株式vs貨幣、という流動性ある値付けシステムが働いているからです。

貨幣はどうでしょう?貨幣を余剰に発行すれば、その分貨幣の価値は下がる(インフレになる)のでしょうか?究極的にはそうなのですが、短いタイムスケールでは、そうではありません。貨幣の供給量の増減があっても、それが即座に物価に反映されるようなシステムは存在しません。貨幣の値付けを、別の通貨で行う流動性あるシステムは存在しないのです。

(外国為替がそうなのだ、という指摘があるかもしれません。しかし、これは実需と仮需が入り乱れた取引であり、仮需にしても、金利・物価・国際マネーフローのファンダメンタルズに大きく左右されますが、通貨供給量の大小・変化速度に大きく依存するという話は聞いたことがありません。通貨をジャブジャブに流して、それが物価や金利などに影響することで、為替水準が変わる、という話はありえます。)

(今回は、NAIRUなどの話は省略します)

ということで、直感的な理解では、通貨をジャブジャブに発行しても、ある一定のポイントまでは、物価にはあまり影響しない、という話ができると思います。特に、過剰に流したマネーが、実需ではなく、退蔵された場合には、「砂漠に水をまくようなもので、インフレにはならない」でしょうし、金融商品に流れ込んだ場合には、「インフレにならずに、資産バブルになる」のだと思います。
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by kanconsulting | 2009-03-18 23:57 | 経済状況

政治事件はすべて出来レース 小沢秘書逮捕とフランクリン・ルーズベルト カウンターニュースとは

In politics, nothing happens by accident. If it happens, you can bet it was planned that way.
-Franklin D. Roosevelt

「政治の世界では、偶然におこる事件など、何一つない。もし何か事件がおこったとすれば、それはそうなるように周到に計画され、仕組まれたことなのだ。賭けてもいい」
フランクリン・D・ルーズベルト(FDR)

(これを時間軸で外挿しますと、「世界の歴史を動かすような事件は、決して偶然などではなく、すべて『仕組まれた』ことなのだ」ということになります。経験的直感と符合しますが、いかがでしょうか。)

小沢秘書逮捕の一報を聞いたときに、このFDRの名言を思い出しました。

さて、皆様は、企業のニュースリリースが、どのように決まっているか、ご存知ですか?普通の企業では、緊急性を要さないプレスリリース(たいていは、新商品開発などの、株価にとって良いニュース)のネタがストックされており、その企業にとって都合の良い時期に、報道関係にリリースされるというものです。カードを切る時期を見極めるのも、経営判断ということでしょう。

警察・検察のプレスリリースも、似たような側面を持ちます。たとえば、容疑者の有罪を印象付けるようなニュースを小出しにしてみるというような世論操作は、戦前からの得意技のようです。本来であれば裁判所によるべき有罪無罪の判断ですが、そういったニュースが新聞に載ってしまえば、世の中の人は、「やはり、そうなのか。あいつがやったのか。」と思ってしまうのでしょう。

そして、日本国内やアメリカ国内の政治のみならず、世界全体においても、当然のことながら、偶然におこる事件など、何一つないのだと思います。

---

(3/11追記)

小沢秘書逮捕と、西松建設献金疑惑により、結果的に、「簡保の宿」疑惑から、国民の目を逸らすことに成功した、ということは、見逃すべきではありません。こういったニュースを、「カウンター・ニュース」と呼びたいと思います。

カウンターニュースとは:大々的に報道されるべき事件や事故があった場合に、その影響やダメージを軽減するために、時期的に「当てる」形でリリースされるニュースのこと。(kanconsulting定義による)
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by kanconsulting | 2009-03-10 02:33 | 経済状況

世界金融危機100兆円と日本バブル崩壊12兆円 アメリカ財政赤字170兆円と低所得国支援2兆円

何度も書いていますが、バファリンの半分がやさしさだとするなら、株価の半分(と言いますか大半)は期待料、ということができます。不況期には、そういったリスク資産の価値が毀損することで、金融機関の健全性が損なわれ、貸し渋りと貸し剥がしが起きるということも、ご存知だと思います。

「何だ。よく『晴れの日に傘を貸して、雨の日には傘を貸さない』と言われることだが、銀行は、景気のよいときには貸し出しをするが、景気が悪くなると貸し出しをしてくれないどころか、取り上げるなんて、ひどいじゃないか。」と思われることと思います。銀行システムには、景気悪化に対する、ビルトインスタビライザーがないのかも知れません。

さて、主要国による、金融機関への公的資金の資本注入額が、100兆円になるということです。バブル崩壊後の、公的資金注入が12兆円だったことを考えると、すさまじい量のマネーが投入されています。

(日本の公的資金注入は、金融システム維持とゾンビ企業退場という光の面と、銀行への時価会計とBIS規制適用によるハゲタカ地ならしという影の面がありました)

しかし、何度も書いていますが、100兆円ではすまないのだと思います。なんとなれば、

アメリカ政府などによる、不良債権買取・公的支援・買収などの合計は、すでに明らかになっている数字の合計だけで、約1.5兆ドル(15130億ドル)(2008/9)
ゴールドマンサックスによると、金融危機に伴う世界の損失額は、1兆4000億ドルに達する(2008/11)
みずほ証券の、もっとシビアな試算によると、約5.8兆ドル(約550兆円)の損失(2008/11)
アメリカ政府支出は8兆5000億ドル(約780兆円)以上(2008/12)

日を追うごとに増えていく損失額に、世界のマネーは完全に萎縮してしまい、その全貌を知ることが恐ろしくなってきているのでしょう。「とりあえず100兆円で。追加があればまたオーダーします」という感じなのだと思います。

(引用開始)

公的資本注入、世界で100兆円に迫る 金融機関向け

世界的な金融危機を受け、主要国による金融機関への公的資金の資本注入額が100兆円に迫っている。金融機関の経営基盤を強化し、金融システムを安定させて危機の波及を抑える狙いだ。日本の金融危機時に注入した金額の約8倍に相当し、危機の深刻さを示している。金融機関の損失拡大で公的資金の注入額はさらに膨らむ公算が大きく、各国の財政を圧迫しつつある。
公的資金による資本注入は、国が金融機関の株式を買うなどの方法で資本を入れることを指す。金融システムを守るとともに一般企業や個人への融資などを促す狙いがある。日本は1990年代後半の金融危機を封じ込めるため、当時、約12兆円の資本を注入した。(07:36)

日本経済新聞

(引用終了)

そして、公的資金の注入額拡大により、その母体である国の財政が注意信号~危険信号となっているのも、皆様ご存知だと思います。何度も指摘していますが、「金融機関の含み損を国に移転した、壮大な飛ばし」です。

(引用開始)

米FRB議長、財政赤字に理解求める

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委員会で証言、当面は金融安定化と景気回復を重視し、財政出動など「積極的に行動する」必要があるとの認識を示し、1兆7000億ドル(約170兆円)を超える巨額の財政赤字に理解を求めた。
議長は「米経済と金融市場は、異例の困難に直面しており、政策の失敗は最終的により大きなコストがかかる」と指摘。「持続可能な財政への回帰を図るのは早すぎるかもしれない」と語った。
また予算教書に盛り込まれた金融安定化のため2500億ドル(約24兆5000億円)の追加公的資金が必要かどうかは「現在実施中の大手銀行を対象にした資産査定の結果や経済状況次第」と述べた。(共同)

産経新聞

(引用終了)

それに比べると、低所得国へのIMF支援は、多額になったとはいえ2兆円あまりと、文字通りケタが違う数字となっています。

IMFの低所得国向け金融支援

2007年 6億ドル
2008年 54億ドル
2009年 250億ドル~1380億ドル (見通し)


(引用開始)

追加資金2・4兆円必要 低所得国、IMF試算

【ワシントン3日共同】国際通貨基金(IMF)は3日、インド、パキスタンやアフリカなどの低所得国は世界的な金融危機の打撃により、2009年に少なくとも合計250億ドル(約2兆4000億円)、最悪の場合は1380億ドルの追加資金が必要になると試算した報告書を発表した。
IMFの低所得国向け金融支援は07年の6億ドルから08年に54億ドルに急増したが、09年はさらに増加するとの見通しを示した。
報告書は、低所得国は世界経済の悪化を受け輸出が減少し、外国からの直接投資や資金流入も縮小していると指摘。多くの低所得国で国際収支が悪化し、資金不足に陥る懸念があるとしている。

共同通信

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-03-08 15:45 | 経済状況

楽しい酒祭り (原題 うれしいひな祭り)

暗い話題が多いですが、そろそろ3月ですので、タイムリーな替え歌を作ってみました。

「楽しい酒祭り」 
作詞 kanconsulting (国家破綻研究ブログ管理人)

あかりをつけましょ ドル札(どるさつ)
お金をあげましょ 10兆円(10ちょうえん)
IMF(あいえむえふ)の 笛太鼓(ふえたいこ)
きょうはたのしい G7(じーせぶん)

中川(なかがわ)さんと 白川(しらかわ)さん
日銀(にちぎん)さんは すまし顔(がお)
前代未聞(ぜんだいみもん)の 不祥事(ふしょうじ)に
カメラの向こうは あきれ顔(がお)

金融危機(きんゆうきき)の 結束(けっそく)を
左右(さゆう)にゆする Sake problem(さけもんだい)
かなり葡萄酒(ワイン)を めされたか
あかいお顔の 財務大臣(ざいむだいじん)


スーツをきかえて 帯(ねくたい)しめて
G7(じーせぶん)後の はれ姿(すがた)
風邪薬(かぜぐすり)か 言い訳(いいわけ)か
ハメられたのか 酒祭り(さけまつり)


※転載を歓迎しますが、この記事へのリンクとともにお願いします。

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原曲 「うれしいひな祭り」
サトウハチロー作詞・河村光陽作曲

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓(ふえたいこ)
今日はたのしい ひな祭り

お内裏様(だいりさま)と おひな様
二人ならんで すまし顔(がお)
お嫁(よめ)にいらした 姉(ねえ)様に
よく似(に)た官女(かんじょ)の 白い顔

金のびょうぶに うつる灯(ひ)を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒(しろざけ) めされたか
あかいお顔の 右大臣(うだいじん)

着物をきかえて 帯(おび)しめて
今日はわたしも はれ姿(すがた)
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り
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by kanconsulting | 2009-02-23 18:21 | 経済状況

為替 世界中が低金利通貨 円キャリートレードはすでに死語 ヨーロッパでの円建てローン

「超低金利を続けてきた円は、資金調達のオモチャだった。米国がゼロ金利政策を採用した時点で、円は不要になった」(外銀の資金担当者)
「円キャリートレードは、既に死語」(ファンド・マネージャー)
「円キャリートレードは、金融史上最大の賭けだったにもかかわらず、あまりにも多くの投資家があまりにも長い期間に渡って、リスク・フリーの儲け機会だと信じ込んでいた」(ブラック・スワン・キャピタル代表 ジャック・クルーク氏)


---

このブログでは以前から、日本(円)の量的緩和が、世界の過剰流動性をもたらした一因だと指摘してきました。信用収縮による「過剰流動性の終焉」は、「為替差益と金利差(スワップ)との両得を得られるおいしい投資手法」である、「低金利通貨-高金利通貨のキャリートレード」を終わらせ、その逆流(アンワインド)により大きな歪(の解消)をもたらしました。

(量的緩和そのものが、「二階から目薬」的な性格があり、ダブダブに流し込んだマネーは、本当に必要とされるところ「のみ」には届かず、利にさとい越後屋の懐に入ったであろうことも、何度も指摘しています。このあたり、国際支援で半分くらい(?)のお金が途中で消えてしまうことと、似ているような気もします。)

具体的に言うと、まず、

・これまでも何度も述べているが、理論上、金利差と為替差益はバランスする (実際には、バランス線上を上下に変動する)
・金利差と為替差益の両方を永遠に受け取ることは不可能であり、マネーフローが変調すれば、必ず逆流が起こる

さらに、

・信用収縮により、塩漬けになっている外国債券や仕組み債券が、まだあるはず
・それら塩漬け債券の損きりのタイミングが、一種のレパトリとして、年度末に来る可能性がある
・各国通貨が低金利通貨となって流動性を供給しており、「円の低金利・調達しやすさ」は相対的に消滅
・何度も指摘しているが、円をめぐる世界のマネーフローは転換期に来ている

さて、大きな話題になった円のキャリートレードですが、その規模については、第91回 円キャリー取引の通説を問うによると、(2007年当時のデータですが)

狭義の円キャリー取引(仮需):5~10兆円規模 (フォワード取引で円ショートを保持も含む)
広義の円キャリー取引(実需含む):50兆円規模 (個人投資家の外貨建て投資信託購入など、自己資金・実需を含む)
海外の円建て住宅ローン(実需):規模不明だが取るに足りない規模の可能性 (東欧※、韓国、インドなど)

「ハンガリーでの円ローン」に、オースリア中銀総裁による、円建てローンについてのコメントがありましたので、転載します。その当時から、IMFは、外貨建ての住宅ローンの水準が高いとして懸念を表明していたことが分かります。その外貨とはほとんどスイスイフランであり、円建ては低水準だったということです。

(引用開始)

Dr. Klaus Liebscher, Gouverneur
Vienna, 6/17/2005
"Furthermore, the IMF expressed concerns regarding the high level of foreign currency loans taken out especially for house mortgages. The Oesterreichische Nationalbank had already raised the same concerns earlier on. In the first quarter of 2005, foreign currency loans accounted for 19.3% of all loans issued to domestic nonbanks and for about 30% of all loans to households. From the European perspective, loans granted by Austrian banks accounted for approximately 3% of all euro area loans to nonbanks while foreign currency loans accounted for 18% of all euro area foreign currency loans granted to nonbanks at end-20043). Nearly 90% of all foreign currency loans issued to nonbanks in Austriaare denominated in Swiss francs while the importance of the Japanese yen currently stagnates at a low level, equaling the volume of loans denominated in U.S. dollars."

(引用終了)

(「歴史的に見て、金利差と円相場の相関はあまり高くない。金利差が円安・ドル高を後押しするのは、米景気サイクルにそって金利がある程度上昇してから高止まっている間の局面的現象である。米景気が変節を迎え、ドル安サイクルが始まれば、金利差が広いままでも円高になるだろう。」などという指摘もあります)

ということです。自己資金の外貨投資や実需まで円キャリーに入れることには違和感を感じますが、下記(1)の仕組債券の話にもあるように、自己資金であっても、よくわからないままにデリバティブで仮需を膨らませているケースもあるのだと思います。

現在は、最終ステージの入り口に来たのだと思います。

(1)少し前の話ですが、豪ドル/円を大きく下落させたのは、仕組み債券の多量処分ということです。

(仕組み債券とは、普通の債券ではなく、デリバティブの一種です。為替レートが一定範囲なら高金利が約束される債券や、日経平均が10000円を割り込まない限り高金利が約束される債券などがあるでしょう。一時期(悪い意味で)話題になった、シティバンクの仕組み外貨預金も、広い意味では同じカテゴリーに入るでしょう。)

・海外ファンドの売りをきっかけに、豪ドルが下落
・ある国内法人が保有する複数年契約の仕組み債が、契約の下限レートを下抜けたため、投げ売り
・売りの規模が大きく膨らみ、豪ドル/円の売りはその日だけで、10億豪ドル規模(市場筋の推計)
・ドル/円、ユーロ/円などの為替相場にも影響
・このような仕組み債券は、法人向けの投資商品として多量に保有されており、3月末の決算を控えて、損失確定の投売りとなる可能性もある

(2)円をめぐる世界のお金の動きが、変わってきたという状況証拠があります。一言で言うと、「外国資本のマネーフローが、一斉に流れを変えた」ということです。

・そもそも、(日本)円は、運用通貨ではなく、調達通貨として認識されてきた
・外銀は円を調達する一方でドル資金を邦銀に融通してきた
・世界同時低金利の出現で、円は、調達通貨としての旨みがなくなった
・しかし、解消が遅々として進まない円売りポジションが、まだ世界中に残留している
・金融危機で資産圧縮を迫られる外銀が、円の保有を削ぎ落としている
>邦銀が外銀への円資金貸出を一斉に控えたため、外銀・ファンド等が、円のファイナンスに行き詰まり、円建て保有資産の処分売りに
・外銀の円需要減退により、邦銀へのドル建て与信が減少し、邦銀のドル調達コストが上昇
・ドルの供給が細り、海外融資など邦銀の外貨建て業務が難しくなる可能性
・円コール市場・株の裁定取引残高低下・証券レポ取引縮小など、日本の金融証券市場が縮小均衡に

つまり、円キャリーが終われば、円の立場はなくなり、短中期的には、ドルが、再び世界中で必要とされるようになる、ということでしょう。世界第二位の外貨保有高を誇る日本が、ドル不足に悩まされる日が来るのでしょうか?少なくとも、民間ではその可能性があるでしょう。

最後の円高を境に、外貨が足りない、そして日本のマーケットが見捨てられる、という悪夢がありえるのかも知れません。

具体的には

(日本で営業する外国銀行の総資産残高)
・2008年末 40.3兆円 昨年比▲10.4兆円(▲20.6%)
>同残高ピーク 64.0兆円(1998年11月)

(同、コール市場から調達した円資金(負債残高))
・2008年末 2.7兆円 昨年10.1兆円
・現時点では1兆を下回っている可能性が高い

(外国人投資家(非居住者)の円資産(本邦株式、中長期債、短期債合わせて) 買い/売り越し)
・2007年 △24兆9226億円 (△は買い越し)
・2008年 ▲10兆3414億円 (▲は売り越し)

(邦銀のドルの資金調達コスト)
・ドル/円ベーシス・スワップ
1月中旬 12bp
2月月初 50bp
2月中旬 40bp

---

(引用開始)

豪ドル/円を国内勢が巨額の売り、仕組み債を処分
2009年2月12日

[東京 12日 ロイター] 為替市場では、国内勢のまとまった豪ドル売り/円買いが話題となっている。高金利通貨として人気を集めた豪ドルは個人投資家のみでなく、企業など多くの法人が積極的に投資していたが、相場の下落をきっかけに3月決算期末を前に手じまい売りが出ている。
市場関係者を驚かせたのは、前週2日の値動きだった。日本時間夕方、豪ドル/円が日中の高値58円半ばから55円半ばへ一気に下落、昨年10月以来の史上最安値に急接近した。急激な円高は他通貨にも波及し、それまで89円台後半でもみあっていたドル/円は88円後半へ1円弱下落、ユーロ/円も113円前半まで3円近い円高となるなど、円は一時全面高となった。
複数の関係者によると、豪ドル/円を大きく下落させたのは国内のある法人の売り。海外ファンドの売りをきっかけ豪ドルが下落し、その国内法人が保有する複数年契約の仕組み債が契約の下限レートを下抜けたため「投げざるを得ない状況となった」(市場筋)という。複数年契約で複雑なオプションを絡めた仕組み債は規模が大きく膨らみ、その日の市場で売却された豪ドル/円は、市場筋の推計でおよそ10億豪ドル規模。クロス円の取引量としては異例の大きさだった。
巨額取引が行われた2日は値が大きく振れたため、多くの市場関係者の注目を集めたが、こうした国内勢の「解消売り」は小規模のものも含めると、今回が初めてではないという。高金利通貨として一時、個人投資家の人気を博した豪ドルは「法人向けに数多くの投資商品が作られた。オプションを絡めたものも多い」(外銀関係者)といい、同様の仕組み債を持つ法人は少なくないとされる。
上場する大手企業では昨年、イタリアンレストランのサイゼリヤ<7581.T>が豪ドル建ての仕組み債で150億円超の損失を計上したが、前週の急落を経た市場では、「損失を抱えた非上場の法人が決算を控え、損失確定に動く可能性があるのではないか」(都銀の外為市場関係者)との思惑が広がり始めている。
前週の巨額取引が参加者に与えた衝撃は大きく、今週に入っても仕組み債に絡んだまとまった円買いに敏感になっている。9日の取引で豪ドル/円が1カ月ぶり高値62円後半から夕方に60円前半まで急落すると、その過程では「豪ドルに仕組み債絡みの大規模な売りがまた出た」との観測が出回ったほか、10日、12日の取引でも「豪ドル/円に数億豪ドル単位で国内勢の売りが出たらしい」とのうわさが流れている。
円相場全般は米国の金融安定化・景気刺激策の行方と株価反応をにらみ一進一退。ドル/円もテクニカル的に上昇基調と下落トレンドの分かれ目とされる90円をめぐる攻防が続くなど、今度の値動きを左右しかねない分岐点に差し掛かっている。3月末にかけて豪ドル/円で同様の売りが相次げば、円相場全般に与える影響は決して小さくない。

 (ロイター日本語ニュース 基太村真司記者 編集 橋本浩)

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http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200902170053.html

焦点:外銀の資産圧縮で円が御用済み、邦銀のドル資金繰りも窮地に
2009年2月17日

[東京 17日 ロイター] 日本で営業する外国銀行の総資産が急減している。金融危機で資産圧縮を迫られる外銀が、世界同時低金利の出現で調達通貨としての旨みがなくなった円の保有を削ぎ落としているからだ。
これまで外銀は円を調達する一方でドル資金を邦銀に融通してきたが、円資産圧縮でドルの蛇口が細ったことで、海外融資など邦銀の外貨建て業務が窮地に追い込まれそうだ。
デスティネーション・カレンシー(運用通貨)ではなく、ファンディング・カレンシー(調達通貨)に成り下がった円が国際金融市場で地位を回復するには、金融、産業を含めた長期戦略が必要だ。

 <オモチャの円>
日本で営業する外国銀行の総資産残高は昨年1年間で10.4兆円(20.6%)減少し12月末に40.3兆円まで落ち込んだ。同残高は1998年11月に過去最高の64.0兆円だったので、ピーク時からは37%の減少となる。外銀が円ビジネスから撤退する背景は、金融危機の影響で資産圧縮を迫られているためだが、理由は他にもある。
「超低金利を続けてきた円はファンディング(資金調達)のオモチャだった。米国がゼロ金利政策を採用した時点で、円は不要になった」と外銀の資金担当者は言う。
円はファンディング・カレンシーとして、90年代半ばから欧米投資銀行やその他の金融機関に大いに利用されてきた。低金利の円を借り、その円を売って高金利の通貨(資産)を買う「円キャリートレード」は長らく国際金融市場を席巻した。円キャリートレードは90年代後半の米国のドル高政策の推進力となり、多くの金融商品のボラティリティの源にもなった。
しかし、米国発の金融危機で、米国がゼロ金利政策を採用し、他の主要国もゼロ金利に向けてまい進する中、円の比較優位は失われ、市場では「円キャリートレードは既に死語」(ファンド・マネージャー)とも言われている。円キャリートレードでレバレッジを高め、ハイリスク・ハイリターンの商品に大量投資するというビジネスは破たんし、外銀の円調達意欲も急速に冷え込んだ。
在日外銀の資産の内訳をみると、最も落ち込みが激しいのは、外国銀行がコール市場から調達した円資金の規模だ。外国銀行在日支店のコールマネー(負債)残高は昨年12月末時点で2.7兆円となり、2007年末の10.1兆円から激減した。「現時点では1兆を下回っている可能性が高い」(外銀)との観測も聞かれる。

 <円資産からの撤退>
昨年9月のリーマンショックは、基軸通貨ドルの流動性リスクを印象付けたが、これまで最も安く、最も大量に調達できたはずの円の流動性リスクも際立たせた。
リーマンショックを契機に、邦銀は外銀への円資金貸出を一斉に控えた。この結果、円の流動性に窮した外銀や外銀を介して円資産を保有してきたファンド等は、円のファイナンスに行き詰まり、円建て債券、株式など、保有資産の処分売りに動いた。この流れは今でも続いている。
「国際的な資産運用という意味では、安い通貨で調達して、強い通貨で運用するのが望ましいはずだが、(外資系金融機関は)アセットそのものを持っていられなくなったということだろう。彼らの資産圧縮は今後も確実に続く」(証券系エコノミスト)という。
外国人投資家(非居住者)は2008年中に本邦株式、中長期債、短期債合わせて10兆3414億円と大幅に円資産を売り越している。2007年は24兆9226億円の買い越しだったので、35兆円を超える外国資本のスイングがあったことになる。
外国資本が一斉に流れる方向を変えたことで、円コール市場のほか、株の裁定取引残高低下や証券レポ取引の縮小など、本邦金融証券市場も縮小均衡の道を歩み始めた。

 <ドルが足りない>
外銀はこれまで国内の金融機関から円資金を調達する一方、主に裁定市場で円転取引を通じて邦銀に外貨建て短期貸付を行う役割を担ってきた。円転取引とは外貨資金を円に換えて運用する行為。
しかし、外銀の円需要減退と歩調を合わせて、邦銀へのドル建て与信も減少し、邦銀のドル調達コストが上昇してきた。このため海外融資や外国債券投資など、外貨ビジネスのコストが上昇し、採算性が低下している。
他方、海外で事業展開する大手日本企業は、邦銀を通じたドル資金調達や証券発行などでドル確保を進めている。
ソニー<6758.T>は12月末、三菱東京UFJ銀行など邦銀3行と15億ドルのドル借入枠を契約した。ソニーは外銀に約43億ドルの借入枠があるが4月1日に契約期限を迎える。ドル借入枠の設定について「金融情勢に鑑みて、何かあった時に備えるためのもので、現在は借入枠を使用していない」(ソニー広報)という。
「ドルの蛇口が細っているなかで、企業のドル需要もあり、資金繰りは厳しい。海外貸付など外貨建て資産を膨らませることは難しい」(邦銀資金担当者)との声も聞かれる。
邦銀のドルの資金調達コストを表すドル/円ベーシス・スワップのマイナス幅は、1月中旬に約12ベーシスポイント(bp)に縮小したが、2月月初に急拡大して50bpとなった。現在は40bp付近だが、市場参加者によれば、邦銀が外貨資産の圧縮を行わなければ、ドル資金調達コストが再上昇する可能性が高いという。

 <円の地位回復は長期戦略次第>
円キャリートレードが風前の灯になったとは言え、アイスランドでの円建て住宅ローンをはじめ、個人向けや企業向けの円貸付で、解消が遅々として進まない円売りポジションは世界中に残留し、今後円相場のボラティリティを高めるマグマとなっている。
「(円キャリートレードは)金融史上最大の賭けだったにもかかわらず、あまりにも多くの投資家があまりにも長い期間に渡って、リスク・フリーの儲け機会だと信じ込んでいた」とブラック・スワン・キャピタル代表のジャック・クルーク氏は言う。
財務省は円の国際化の議論を長年リードしてきたが、その議論は使い勝手の向上という側面に偏ったものだった。使い勝手の向上を追求するなかで、円はファンディング・カレンシーとして「負の国際化」の道を歩んだが、通貨の番人としての財務省・日銀はなぜこれを放置したのか。官民とも長期戦略の練り直しが必要な時がおとずれている。
「運用通貨と調達通貨の違いを明瞭に認識して行動してこなかった」と政府関係筋はこれまでの通貨戦略を振り返る。
一方、邦銀の外貨ビジネスについて、三菱UFJ証券・チーフエコノミストの水野和夫氏は「欧米重点戦略から今後はアジアを中心とした戦略に移行すべきだろう。多くのアジア諸国の経済水準は近代化の流れが加速した日本の1960年代に相当し、高成長と通貨価値の上昇が見込める。邦銀は弱いドルで資金調達し、アジア通貨建ての貸付をするという選択肢を考えるべき」だという。「ユーロがローマ条約から40年かけて成立したことを考えれば、日本もアジアの共通通貨を作るという方向で長期戦略を練る必要があろう」と水野氏はいう。
産業政策では、「輸出を柱としたこれまでの経済成長から、内需中心の経済を目指さざるを得ない。まだ移行が出来ていないことで、GDPが大幅に落ち込んでいるが、今後は徐々に変化していくだろう」と前出の政府関係筋は言う。

 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-02-23 10:47 | 経済状況