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名目成長率と長期金利

国家破綻について、次のような意見があります。

・財政赤字は巨額だが、財政赤字が発散しなければ、破綻しない。
・つまり、名目成長率が長期金利を上回っていれば、財政赤字の維持は可能。

現実問題として、妥当と言えるでしょうか?少し考えてみたいと思います。
名目成長率を、ここでは、名目GDP成長率として考えます。
理論的には、名目金利は

名目金利=期待成長率+期待インフレ率+リスクプレミアム  (これは一般的な式のようです。9/3)

として表されます。ここで、大和證券SMBCによると(9/3)、【引用開始】

長期的トレンドの観点からは、

「期待成長率+期待インフレ率」→「潜在(実質)成長率+期待インフレ率」→「名目GDPの長期トレンド」

というように対応すると考えられます。したがって、

名目金利~名目成長率+リスクプレミアム

このように、リスクプレミアムが存在するために、長期金利水準は名目成長率を上回るのが普通とされています。つまり、「長期金利水準>名目成長率」なのです。1990年以降、もちろん現在も、「長期金利水準>名目成長率」です。

a0037933_2322953.jpgさらに、同レポートによると、名目トレンドは、2001年後半に▲0.7%程度の大底を打ち、現在はおよそ0.5%と、緩やかに上昇を続けています。

また、バブル期には、「名目成長率>長期金利水準」の逆転現象が4年ほど続いたとしています。その要因としてあげているのは、「インフレ率ではなく、実質成長率が、名目成長率の向上に寄与したこと」です。

また、以下の要因のために、再び「名目成長率>長期金利水準」の逆転現象が起こる可能性があるとも指摘しています。
・日銀の低金利政策維持
・構造的な生産性向上を背景にしたディスインフレ圧力

【引用終了:大和證券SMBC債券レポート2004/08】

現在も、「長期金利水準>名目成長率」であり、このような環境では、『巨額の財政赤字の維持は、可能』とは言えないのではないでしょうか。
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by kanconsulting | 2004-08-31 23:43 | 経済状況

来年度予算

■借金体質、見えぬ出口 一般会計85兆5200億円 概算要求 (アサヒ.コムより引用)

【引用開始 太字強調は管理人】

05年度予算の概算要求の一般会計見込み額は、04年度当初予算より約3兆4千億円膨らみ、85兆5200億円。長期金利の上昇で、国債の想定金利を4年ぶりに引き上げたことも増額要因だ。財務省は年末の予算編成に向け、この見込み額をさらに3兆円程度削り込む構えだが、大幅な税収増がなければ、05年度も新規国債は30兆円台半ばの大量発行が続く見通し。借金依存体質からの脱却はままならず、同省は財政再建には歳出抑制の継続に加え、増税も避けられないとの姿勢を強めている。

一般会計見込み額の内訳で、最も増えるのは国債の元利払いに充てる国債費。04年度の概算要求では2・5%だった想定金利を2・7%に引き上げ、国債費は2兆6700億円増える。

昨年の想定金利は過去11年間の平均金利をもとに計算したが、今回は金利が高かった時代を取り込むために、13年間に広げた。「足元の金利上昇を反映して国債費を見積もるには、かなり前までさかのぼる必要があったから」(幹部)という。

地方交付税交付金等は地方税収の伸びが見込まれることを織り込んで、2500億円の減額としたが、政策的支出の一般歳出の上限は、社会保障の自然増などで04年度予算比1・2%増え、歳出全体の規模は膨らんだ。

いずれの歳出項目も、要求段階での「仮置き」の数字だ。財務省は「ここからどれだけ削れるかが予算編成の勝負」と位置づけるが、歳出削減の作業は、難航が予想される。

たとえば、7月末に決めた概算要求基準(シーリング)では、高齢化による約1兆円の社会保障の自然増を2200億円圧縮するとしたが、「制度改正で具体的に削減を見込める項目が少ない」(幹部)。

国と地方の税財政を見直す三位一体改革も、全国知事会など地方6団体は補助金3・2兆円の削減を求めているが、省庁の抵抗が強く、国と地方の歳出のスリム化につながるかどうか不透明だ。

歳出を04年度予算の82・1兆円の水準近くまで切り込めたとしても、歳入面では「経済が良くなっても国の税収は40兆円台半ばが限界」(幹部)とみられている。税収不足を補う新規国債の発行は、04年度の36・6兆円に引き続き、05年度も30兆円台半ばの大量発行が避けられそうにない。

「一刻も早く増税しないと、国家財政がもたない」。財務省内では増税への期待が急速に高まっている。これまでは「歳出削減の努力を尽くしたあとに、国民に増税への理解を求める」との建前だったが、「歳出カットと増税を同時に進める必要がある」との声が強まっている。

今秋から議論が本格化する05年度の税制改正では、小渕政権時代の99年に景気対策として始まった個人所得税の定率減税の縮減・廃止の実現を目指している。足元の景気は回復基調にあり、政府・与党では定率減税の役割は終わったとの認識だ。全廃すると3・3兆円の増税になる。

所得税見直しに続き、与党は07年度をめどに消費税率の引き上げを含む「抜本的税制改正」に取り組むとしている。景気の動向をにらみながらも、政府・与党は増税に向けて本格的に検討する可能性が高まってきた。

     ◇            ◇

◆05年度一般会計概算要求の見込み額

総額             85兆5200億円(3兆4100億円)

国債費            20兆2400億円(2兆6700億円)

地方交付税交付金等      16兆2400億円( ▼2500億円)

一般歳出           48兆2400億円(  6100億円)

NTT株売却益返済関連の補助    8000億円(  3800億円)

<注>カッコ内は04年度当初予算比増減額。▼はマイナス

http://www.asahi.com/paper/business.html

【引用終わり】

そろそろ、普通の手法では予算が組みにくくなってきていることが伺えます。もちろん、多量の赤字国債発行が『普通の手法ではない』ことは前提の上です。ここ何年も多量の国債・公債を発行しているため、『国債の新規発行額が30兆円半ば、もちろん借り換えの国債は含まれません』といっても、感覚が麻痺してしまっているのでしょう。

そして、増税への布石です。消費税の内税表示と税法改正により、あとは国民のコンセンサスを得るばかりです。『そんなに国が苦しいのなら、増税も仕方ないか~~』と思わせることです。当たり前のこととして、増税の前に徹底した歳出削減を行うべきなのですが、誰のせいなのか、もはやギブアップという状態のようです。

そして『経済が良くなっても国の税収は40兆円台半ばが限界』との指摘が幹部からも出ているように、『多少景気がよくなっても、それほど税収は伸びず、破綻が遠ざかることはない。バブル時のような税収60兆円は夢また夢』ということです。これについては、以前のブログをご覧ください。http://gijutsu.exblog.jp/737879/

少なくとも、プライマリバランスを早期に達成してもらわないことには、破綻の可能性は小さくなりません。しかしながら、このことと、景気維持とは、背反する問題なのです。なぜならば、日本の内需は小さいため、国の借金による財政規模維持でもっているも同然だからです。これについては、以前のブログをご覧ください。http://gijutsu.exblog.jp/937027/

プライマリバランス達成と、内需の拡大による景気の維持。これを両立することだけが、破綻を回避する方法と存じます。そのためにはどうすればいいか?日本の産業構造でそれが可能なのか?増税か減税か?そして、世界最大額の赤字国家アメリカはどうなるのか?考えていきたいと思います。
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by kanconsulting | 2004-08-30 23:09 | 経済状況

ヒット数

かん@管理人です。多数の皆様にご覧いただきありがとうございます。
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08月 08日~08月 14日 448     64
08月 01日~08月 07日 305     43.6
07月 25日~07月 31日 260
07月 18日~07月 24日 148
全体訪問者数 2,538 a0037933_14185379.jpg
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by kanconsulting | 2004-08-28 14:17

国民はすべて経済の当事者

「週間!木村剛」さまのブログ、
「2004.08.24オリンピックになぜ私たちは感動するのか?」
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2004/08/post_20.html
についてコメントいたします。

【引用開始】

「当事者か評論家か。・・・周りに非難されようとも、現実と取っ組み合いする人生か、自分を安全なところにおいて、いいたいことだけ言う人生か。・・・」(略)

ところが、わが国の経済論議をみていると、評論家だらけです。机上の「経済学」学の数学ゴッコに酔いしれて、経済理論など前提条件を変えれば、いくらでも結論が変わるものを、あたかも唯一無二の真実であるかの如くに奉り、他の考え方を受け付けない「賢い人々」が多く存在しています。

そういう方々の特徴は、経済学学をお勉強するのに時間をとられて、国語を履修して語彙を増やす時間がなかったせいか、自分の価値観に合わない論理は「トンデモ理論」とレッテルを貼って、重箱の隅をつつきながらマスターベーションすることに余念がないんですね。「Aという状況になったら困るから、Bという政策を実施しましょう」と主張しているのに、「Aになると言っていたのに、なっていないではないか」と批判するのですから、経済学学をお勉強しすぎて、読解力という国語の基礎ができていないのでしょう(Bという政策を実施して、Aという状況を回避したのですから、それで良いんではないですかねぇ)。

・・・評論家は当事者に勝てないんですね。それは、評論者が得てして現実から顔を背けがちであるのに対して、当事者は現実を直視し続けなければならないからです。・・・

【引用終了】

ポイントがずれていればご容赦ください。

私は、経済(学)※の専門家ではありません。その意味では、「(経済(学)の)当事者」ではないのかも知れません。ちょっとわかったようなマクロ経済風の計算をしたり、勝手な引用をするのも「(経済(学)の)評論家」といえるのかもしれません。

しかし、すべての国民は、立派に「(経済の)当事者」と存じます。普通の技術者である私も、複雑な現在の経済システムに組み入れられて生活しています。しかも、国家財政の行く末は、すべての国民に多大な影響を及ぼす問題ですので、国民は当然当事者なのです。経済学を正しく学んだ人だけが経済について発言できる※、というわけではないかと存じます。

※もちろん、木村氏が、「経済学を正しく学んだ人だけが経済について発言できる」と書いているわけではありません。また、一般国民の「経済の当事者」性を否定しているわけでもありません。さらに、「経済」と「経済学」、そしていわゆる「経済学学」は別物です。正しくは、原文をご確認ください。

前提条件が変わると計算結果も変わる、それは当然のことです。また、未来予測の学問として冷静に判断したときに、経済学の精度は、理系の学問(化学、物理、・・・)に劣ると感じています。扱う変数・不確定要素の多さと開放系の難しさから、それは仕方のないことです。だからこそ私は、国家財政の行く末について、いろいろデータを集め、リスク対策をする必要を主張しているのです。

そして、当事者である国民が、経済に関心を持つことが、いま必要とされていることと存じます。終局的には、国家財政のおとしまえは、主権者であり最終負担者である国民のところに回ってくるからです。
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by kanconsulting | 2004-08-28 05:02 | 経済状況

公的長期債務の原因

「どうすれば破綻を避けることができるのでしょうか?」について述べる前に、なぜ、ここまで公的長期債務が積み上がってしまったのかを考えたいと思います。

ある鎖国があったとします。(この例では、簡単のために、いろいろ単純化を行っています。)
毎年、100ペソ(仮に、通貨単位をペソとします)分の富が生み出され、消費されるとします。
富を生み出すのに使われたお金は、理想的には全額、働く人のポケットに入り、消費活動に使われます。つまり、供給が100ペソ分のモノで、需要は100ペソ分の通貨単位相当分です。
ここで、国民の一部が、「将来が不安だから、少し貯蓄をすることにしよう」と考えました。結果、年20ペソがタンスにしまいこまれ、貯蓄が行われました。
その結果、次の年には、需要は80ペソ分の通貨単位相当分に減りました。
すると、次のことが起こります。
①従来のモノの値段を下げて、売り切る。
②従来のモノの値段をそのままに、余ったモノは処分する。
③その中間
国民にとっては、貯金ができた上に、モノの値段が安くなるかもしれないので、うれしいはずです。しかし、新たに国民のポケットに入るのは、80ペソに減ってしまいます。このままのペースでは、国は年2割の縮小均衡になってしまいます。

国王は「このままでは国が危ない。縮小均衡を避けるためになんとかしなければ」と思いました。そこで、国民が需要を減らした分、モノを買い上げることにしました。対価は、「20ペソ分の支払いを国王が保証します」と書かれた借用証書でした。裏側には、小さい字で「将来、国民から徴収する税金で返します」とありました。モノは、国王一人では使い切れなかったので、庭に埋めたり、海に捨てたりしました。国民全体は、去年の8割の量のモノで我慢しました。

この場合は、
「民間貯蓄バランス(20ペソの貯金)+国家財政バランス(20ペソの借金)=0」
になります。

また、誰かが、こっそりと余ったモノを5ペソ分輸出して、かわりにペソと似た価値のある通貨をもらってきました。そのせいで、国王が買い上げる分は15ペソ分ですみました。国王は使い切れず、やっぱり大半を海に捨てました。しかし、これで来年も(誰も貯金をしなければ)100ペソの需要が生まれそうです。

この場合は、
「民間貯蓄バランス(20ペソの貯金)+国家財政バランス(15ペソの借金)-経常収支バランス(5ペソ分の黒字)=0」
になります。

つまり、モノの生産量が一定であるとすれば、生産価値より貯蓄した分だけ消費価値は小さくなります。したがって、国家が経済規模の縮小を嫌うなら、国民の貯蓄分を自ら消費することで、従来と同じ経済規模を保つことが可能です。

日本の話をしましょう。
現在は、民間(家計+企業)貯蓄超過は、国内総生産(GDP)の10%とされています。これは、8~9%の財政赤字と、1~2%の経常収支黒字によってファイナンスされていると言えます。この財政赤字分が、国家によって、経済規模維持のために消費されている分です。
http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/keizai/031008.html

ここで気をつけていただきたい点があります。

(1)国王が支払いに使った「借用証書」の裏には、「担保は将来の税金です」とありました。国債も同じです。つまりは需要の先食いですので、短期的には使えても、長期的には使えない手段なのです。長期的には、全体の財政規模のパイが大きくなることしか、財政規模をキープさせる方法はありません。

(2)消費に、財政規模をキープさせるための「無駄な消費」があります。数字上は、必要な量を必要なだけ消費するのも、捨てているも同然の消費も、同じにカウントされます。公共投資で、誰も通らない道路、使わないダム、豪華すぎる箱物施設を作るのも、「捨てているも同然の消費」と言えるかもしれません。(乗数効果は考えていません。)もっと言うと、無駄遣いこそが好景気のトリガーとも言えるかもしれません。現実には資源は有限ですし、環境負荷なども考えると、釈然としないところです。

(3)国民が貯金をしたいなら、輸出分だけなら、財政規模をキープしたまま可能です。それ以上の分の貯金は、いずれ税金という形で、国に取り戻されることになります。また、上の国王の借用証書と国債が異なるのは、「国債には金利がつく」ことです。その金利分も、税金でまかなわれることになります。

かなり単純化した問題ですが、「なぜ公的長期債務が巨額になったのか」のおおまかな原因を理解していただけたかと思います。
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by kanconsulting | 2004-08-28 03:39 | 経済状況

国家破綻を回避する方法 財政再建・インフレーション・デフォルト・政府通貨発行権・日銀の国債直接引受

昨日のブログで述べましたように、国が国家破綻を避けるために打つであろう対策を考えたいと思います。

①財政再建
これが一番まっとうな手段とは思います。ただし、先日のブログに記載しましたように、「プライマリバランスを達成するのには、毎年30兆円以上の増税か歳出削減が必要」です。しかもプライマリバランスを達成しただけでは、債務が増えないというだけで、実質の債務削減にはさらに厳しい政策が必要です。
たとえば、公務員が大幅に減り(当然、失業者になります)、公共工事は大幅削減(土木関連の企業はさらに破産するでしょう)、福祉と年金は大幅カット、消費税は最低30%のラインが必要、との指摘もあります。第154回国会の予算委員会で五十嵐議員が取り上げた通りです。
財政再建の成功例もあります。たとえば、19世紀のイギリスは、政府債務をGDPの290%に積み上げましたが、破綻することなく、100年(!)かけて債務の大幅削減に成功しました。新産業(産業革命)による成長があったからこそ可能だったのでしょう。
日本でも、50年100年単位での債務削減を考える必要がありますね。奇しくも国債の償還は、10年債の6回借り換え計画、つまり60年計画となっています。

②インフレーション
ご存知のように、ハイパーインフレーションは、債務の実質価値を減価させます。その結果、善意か悪意か、インフレで債務を洗い流すということがしばしば見られました。ドイツは膨大な戦後賠償をマルク建てで行い、必要な分を印刷したため、リヤカーにマルク紙幣を積んで買出しに出かけるほどの悪性インフレとなりました。また、戦後の日本でも、大幅なインフレがあったことをご存知でしょう。
ハイパーではない普通のインフレでは、国債の利払い費も増加するため、債務削減効果は薄れるようです。

③デフォルト
立法による国債の棒引き、徴税権による国債保有者への100%課税、いずれによっても、国債の償還は実質必要ではなくなります。日本では、国債はおおむね国内の機関投資家が保有していることから、一番やりやすい方法では?と思われているふしがありますね。
とんでもない。その場合、国債の所有者である財投、郵貯、公的年金などに巨額の損失が発生し、郵貯と年金は崩壊します。銀行と生保は、資本が毀損し、債務超過により破綻を免れないでしょう。日本国内に安全なものは何もない、恐慌というべき極度の混乱が発生するでしょう。
大幅な社会的コストが発生するために、一番取りにくい方法です。

④政府通貨発行権
現在流通している硬貨・コイン類は、政府が独自の権限で発行できる「政府通貨」です。日本銀行券と異なり、担保(裏づけ)は不要で、償還義務もないとされています。さらに、硬貨だけでなく紙幣も発行できるとされています。
つまり、政府債務に相当する「政府紙幣」を発行することで、見かけ上、実質の債務を帳消しにできるわけです。もちろん、政府債務に相当する政府紙幣をばらまけば、大幅なインフレは避けられません。
そこまで多量の政府紙幣を発行するのではなく、「国債利払いに必要な分、政府紙幣を発行する、マイルドな棒引き」も可能です。
うまくいった例もなくはないのですが、本質的には、問題の先送りに過ぎません。

⑤日銀の国債直接引き受け
財政法5条で、日銀による国債の直接引受けは禁止されています。しかし、国会の決議があれば可能です。現状でも、「国債買いオペ」により、日銀は多量の国債を保有しています。
政府債務に相当する国債を日銀に引受けさせれば、見かけ上、債務は消滅します。日本では、高橋是清が一時期行ったとされています。
そこまで多量の国債を引き受けさせるのではなく、「国債利払いに必要な分、日銀に間接的に国債を引き受けさせ、同額の日銀券を市場にばら撒く、実質上の直接引き受けとみなしかねない行為」も可能です。
実質は、「子会社への債務の飛ばし」であり、問題の先送りに過ぎません。

では、実際は、どうすれば破綻を避けることができるのでしょうか?この問題については、日を改めたいと思います。
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by kanconsulting | 2004-08-28 00:01 | 経済状況

国家破綻について 2つの質問 金利安定の理由となかなか破綻しない理由

①長期金利の動向は、今のところ、国債が割と順調に消化されていることを示している。これだけ大量の国債を発行しているのに、なぜ金利は2%以下で安定しているのか?

②「財政が赤字だから破綻するのだ。」とは言えないのではないか。財政赤字が長期間続いているにも関わらず、破綻しないのはなぜか?今破綻しないなら、どのような段階で破綻するのか?

という疑問があります。

まず、考えていただきたいのは、

『日本国の債権・債務の関係が、バランスし続ける保証はどこにもない。つまり、誰かが、日本国の債務を引き受け続ける保証はどこにもない。』

ということです。また、日本政府のB/Sは、すでに債務超過しており、国民金融資産と同程度の巨額になっているという計算も可能です。メインページの記事をご覧ください。その上で、

①金利が安定しているのは、政府・日銀が金融緩和、低金利政策を続けているせいです。ではなぜ国債が順調に売れるかというと、かねてより指摘している通り、国内の機関投資家が買い支えているからに他なりません。具体的には、

a0037933_22462543.jpg「市場から国債を考える/鈴木恵大」によると、少し古いデータですが、2001年12月時点での、投資家別の国債保有残高は、次のようであるとされています。


財投     73
日銀     67
郵貯     45
国内銀行  44
簡保     36
生保     29
海外     22
公的年金  22
-----------------------------
合計    453 (兆円)

財投(財政投融資)は、「第二の予算」といわれるように、もちろん国のシステムです。

日銀は、メインページでも記載していますが、ご存知のように、多量の「国債買いオペ」により、多量の国債を保有しています。それに見合って、日銀券が増加していることは、すでに述べたとおりです。「そもそも貨幣というのは裏づけが必要ない、だから問題ないのだ」という主張があることもあるのですが、逆に、貨幣に対する信認が失われれば、「信用のみによって成り立つ貨幣」の価値は崩壊するのです。財政法により、日銀による直接の国債引受は禁止事項となっています。これは戦前のインフレを教訓として、そのような過ちを繰り返さないように、という意図があると聞いています。

郵貯・簡保・公的年金の資金運用は、現在、自主運用となっています。国債は最も安全な運用先ということになっているので、当面、少なくとも郵貯・簡保が完全民営化されるまでは、国債を主たる運用先にすると思えます。

以上、政府関連+日銀+郵貯・簡保で、国債の半分を保有しています。

国内の銀行は、当然、国の状況を把握しているはずです。国債が予想外に売れ残ると、長期金利の上昇により自ら保有する国債の評価損を招くとともに、連鎖的に信用不安が起こり、破綻のきっかけになる可能性があることも知っているはずです。「あえて国債を買わない」「保有する国債を投げ売る」「その分、他の市場に資金を逃避する」というのは、銀行にとって自殺ともいえる行為ではないでしょうか。また、昨今、自己資本比率を上げるためとして注入された公的資金は、大半、会計上無リスク資産とされる「国債」に化けているという指摘もあります。

生保も、程度の違いはあれ、同じような状況にあると推測しています。国の許認可の権力の前に、大胆な行動は取れない、ということなのでしょう。

つまり、国が直接買っている、あるいは国内の機関投資家に買い支えさせている、といえるでしょう。格付け会社からのシビアな評価にかかわらず、それなりに順調に売れるはずです。

②確かに、「財政が赤字だから破綻するのだ。」というほど単純ではありません。先日のブログでも指摘したように、「公的長期債務のGDP比が大きいから破綻する」とは言えません。それは、国の債務が増大しても、そのキャッシュは公共事業・福祉などの形で国民に還元されるので、その分を銀行に預け続ければ、銀行を通じて国債の消化が可能であるからと解されます。

では、どのような段階で破綻するのかというと、

・1400兆円(ローンを除いた実質は900兆円?)といわれる国民金融資産が、あらかた国公債に変わってしまい、買い付け余力がなくなったとき。あと数年は余力があるとされます
・郵貯・簡保・公的年金の主たる資金運用先が、国債ではなくなったときがきっかけになる可能性があるということです。少なくともあと5年は制度が変わらないとされます
・銀行などの機関投資家が、国債の引き受けを拒否し、または、国債を投売りはじめたとき。これは可能性として小さいと思われます

に加えて、先日のブログに記載したように、

・将来のプライマリバランスの黒字額の合計の現在価値が、現在の公的長期債務を下回ったとき。この時点で、将来得られる黒字の総額を使っても、現在の政府債務を完全に返済することができないことが判明する。2025年前後とする説があります。

つまり、「現在のままでは」、国家破綻は数年~20年で訪れる「可能性がある」、ということです。国もそのあたりの事情はわかっているらしいので、何らかの対策を打つはずです。これについては、日を改めたいと思います。
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by kanconsulting | 2004-08-26 22:56 | 経済状況

メインページ

現在、メインページ(http://cgi.f47.aaacafe.ne.jp/~gijutsu/index.php)を、改装中です。書籍の紹介と、ブログに記載した記事を読みやすくして再掲する予定です。
参考文献などの書籍の紹介は、こちらのページです。

8/25追記
特に夜間、メインページのトップの表示が重いことがあります。サーバーの負荷のためと思います。申し訳ありませんが、正しく表示されるまで、何回かリロードを行ってください。

ブログに記載した記事の再構成は、こちらのページです。
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by kanconsulting | 2004-08-22 13:24

交易条件

8月18日日経によりますと、

■製造業の企業収益の先行指標とされる交易条件指数が悪化している。日銀が発表した6月の交易条件指数(1995年=100)は95.5と、前年同月に比べ3.1ポイント低下した。これは、5月に続き1990年12月以来の低い水準となった。(経済面)

交易条件指数とは、産出物価指数(製造業で生産される財の価格)を、投入物価指数(生産のために投入される財の価格)で割った指数のことです。
もっと簡単に言うと、販売価格/仕入価格の比のことです。

企業業績の動向を左右する要因は次の3つとされています。

・交易条件        ニュースに見るように徐々に悪化している
・売上数量        去年は景気回復で増加したが、今年はペース低下
・人件費を含む固定費 これまでは固定費削減できたが、それも限界に

つまり、普通に考えて、今後企業は減益していく可能性が高い、ということです。

ただし、

・景気回復期には交易条件が悪化する経験則があり、その時には企業の収益率も改善する
・交易条件の悪化は、一見すると収益悪化の原因に見えるが、実際にはそうではない
・景気回復局面で、まず製商品の需給環境を反映して、原材料の市況が改善し、次の段階として、製品価格へのコスト転嫁が誘発される

という反論もあります。

これはどう解釈すればいいのでしょうか。第一生命経済研究所のレポートによると、

・交易条件の悪化が即座に収益悪化につながると判断するのは早計
・数量効果を通じた企業収益構造の変化を勘案する必要がある
・投入物価上昇の背景には、ディマンドプル(数量増加)とコストプッシュ(数量減少)の双方の要因が入り混じっている
・生産数量が増えるとき、素原材料は需給逼迫の影響を受けやすく価格が乱高下しやすいが、最終財の場合にはコストアップの圧力が平均費用低減の効果によって吸収されることとなる
・今のところ、損益分岐点は、数量拡大効果によって低下しているので、交易条件の悪化が即座に収益悪化につながるとは判断できない。

とのことです。

しかしながら、私は、

・数量拡大効果は『いまのところ』であり、売上数量はペース低下していくとするならば
・やはり交易条件の悪化は、減益をもたらすだろう
・それにつれて、株式市場は下げていくだろう

と予想します。下げるにしてもどれくらい下げると思えばいいのでしょうか?そこが底であるならば、静かに買いを入れればいいのですから。

仮に、利益が1割下がったために、ROEが1割低下したとして、PERがそれにつれてやはり1割低下したとすると、
株価=BPS×ROE×PER
ですので、元の株価の8割まで下がる可能性があるということです。

下がるのが分かっているのなら、そこまで待って買えばいいのですが、なかなかそうもいきません。そこで「逆指値」で損失を限定してまた買いなおしたり、さらに「空売りヘッジ」を活用することで下げを利益に変えることもできます。

いずれにせよ、企業の内容を十分に分かった上で、成長性のある企業に投資するのだ、ということでしょうね。
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by kanconsulting | 2004-08-22 04:52 | 経済状況

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今週は、ブログ一日100ヒットを超えました。ありがとうございます。a0037933_11354322.jpg
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by kanconsulting | 2004-08-21 11:34