<   2008年 09月 ( 16 )   > この月の画像一覧

閲覧数 9/30 ドルの破綻と戦争の予感

これまでに、次のように述べてきました。

「国家破綻への対策は、実質上、2006年末が目処。2008年から2012年にかけて、大きな経済上の混乱が起こる可能性があり、2007年は序章となるだろう。」と思っておりました。ご存知のように、昨年のサブプライム・ショックを起点とする信用収縮は、今年になって混乱をさらに深めており、金融危機に発展する1年となりました。
過剰な流動性が供給されることにより、その振れ幅が大きくなり、予想もつかない事態が出現する可能性があるのです。実際には、資金を投入しても金融の安定化には程遠く、さらなる市場の乱高下が起こった、という事実があります。
これからの数年間は、金融の混乱が引き続き起こるように思います。その中で、ご自身や家族の資産を保全されることは、一筋縄ではいきません。くれぐれも、ご注意ください。

この後に待っているのは、
・アメリカ債券とドル紙幣の押し売り
・海外投資家のマネーの棒引き
・ドルの減価による、不景気なのにモノが高いというスタグフレーション
・強権的ルールによる世界統制経済
・借用証書を焼き払うための政治的暴力(戦争)
のいずれかでしょうか。

ドルの破綻は、文字通り、現在の貨幣経済システムの死刑執行であり、システムに組み込まれているすべての人が路頭に迷うことになります。すべての証拠を吹き飛ばし、借用証書を焼き払うための、戦争の予感がします。

さて、これも繰り返しになりますが、「2007年の信用収縮を皮切りに、ドルと円が崩壊するだろうという流れは、誰にも止められない。私がブログに何を書いたところで、何も変わるわけがない。」という諦めにも似た気持ちを持っています。ですが、「たとえそうであったとしても、ダメージを最小限に食い止める方法があるのではないか。庶民レベルで生き残る知恵はないのか。ひょっとすれば、崩壊を食い止める奇策があるのではないか。」という思いでいることも、また事実です。

何度も書いていますが、「弱いものから巻き上げるのが、繰り返してきた歴史」なのです。

今後の世界はどうなるのでしょうか?そして、私たち一般国民はどうすれば生き延びることができるのでしょうか?今後のエントリーにて、考えてみたいと思います。

---

参考文献ブログも、ご一読ください。

---

メインページ     ヒット数:19556  (リセットされたので+10万程度)
ブログ         ヒット数:764,754 (ユニークユーザー)
バーチャルファンド ヒット数:52960 (ページビュー)
合計          ヒット数:837270 (+10万程度)

(エキサイトブログ)期間  全体訪問者 1日平均 (ユニークユーザー)
09月 21日~09月 27日 6,199 885.6
09月 14日~09月 20日 7,494 1070.6

(エキサイトブログ) ページビュー(計測していますが、総ヒット数には算入していません)
2006
10月 Page View : 33,800
11月 Page View : 35,576
12月 Page View : 40,704
2007
01月 Page View : 48,464
02月 Page View : 39,998 (198542)
03月 Page View : 44,872 (243414)
04月 Page View : 32,780 (276194)
05月 Page View : 33,123 (309317)
06月 Page View : 33,487 (342804)
07月 Page View : 40,268 (383072)
08月 Page View : 56,198 (439270)
09月 Page View : 49,508
10月 Page View : 37,293
11月 Page View : 32,327 (558398)
12月 Page View : 27,336
2008
01月 Page View : 29,590 (615324)
02月 Page View : 24,169
03月 Page View : 27,155
04月 Page View : 21,258
05月 Page View : 20,868
06月 Page View : 17,997
07月 Page View : 22,207
08月 Page View : 21,096
09月 Page View : 35,403

(バーチャルファンド)
2005
09月 Page View : 1,621 Visit : 1,152 (9/11~)
10月 Page View : 2,669 Visit : 1,854
11月 Page View : 3,048 Visit : 1,894
12月 Page View : 2,316 Visit : 1,599
2006
01月 Page View : 2,471 Visit : 1,696
02月 Page View : 2,066 Visit : 1,463
03月 Page View : 2,175 Visit : 1,445
04月 Page View : 1,800 Visit : 1,239
05月 Page View : 2,523 Visit : 1,746
06月 Page View : 1,873 Visit : 1,294
07月 Page View : 2,413 Visit : 1,592
08月 Page View : 2,167 Visit : 1,382 (24396)
09月 Page View : 2,450 Visit : 1,455 (26846)
10月 Page View : 2,278 Visit : 1,423 (28269)
11月 Page View : 2,448 Visit : 1,527 (29796)
12月 Page View : 2,548 Visit : 1,595 (31391)
2007
01月 Page View : 2,819 Visit : 1,773 (33164)
02月 Page View : 2,250 Visit : 1,381 (34545)
03月 Page View : 2,135 Visit : 1,360 (35905)
04月 Page View : 1,786 Visit : 1,148 (37691)
05月 Page View : 1,650 Visit : 1,091 (38782)
06月 Page View : 1,472 Visit : 943 (39725)
07月 Page View : 1,657 Visit : 1,038 (40763)
08月 Page View : 2,139 Visit : 1,363 (42902)
09月 Page View : 1,815 Visit : 1,205
10月 Page View : 1,373 Visit : 908
11月 Page View : 1,154 Visit : 726 (47244)
12月 Page View : 1,236 Visit : 757
2008
01月 Page View : 1,317 Visit : 877 (49797)
02月 Page View : - Visit : - データ消失
03月 Page View : - Visit : - データ消失
04月 Page View : - Visit : - データ消失
05月 Page View : - Visit : - データ消失
06月 Page View : 703 Visit : 473
07月 Page View : 829 Visit : 564
08月 Page View : 711 Visit : 495
09月 Page View : 920 Visit : 627 (52960)途中経過

【無料レポート配布について】

2006年12月を持ちまして、無料レポートの配布は終了しました。ありがとうございました。現在のところ、再開の予定はありません。

「海外銀行・ヘッジファンド・海外証券会社・FXの活用方法」
「FX(外国為替)の活用方法」


※時々、再配布のご希望のメールをいただきますが、残念ながら再配布には応じられません。

【「国家破産・財政破綻に勝つ資産運用ファンド」について】

投資・財政状況などに参考になる書籍を公開しています。

「国家破産・財政破綻に勝つ資産運用~KANバーチャルファンド」はこちら。

【ブログの検索ワードランキング】

※ブログ右側にあります「検索窓」で、過去のブログ記事から自由に検索していただけます。

9月度(途中経過)
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 菊池英博
4位 シティバンク 破綻
5位 ソブリン
6位 世界恐慌 サブプライム
7位 ソブリン債券
8位 グローバル・ソブリン・オープン
9位 シティバンク 倒産
10位 ソブリン債券とは

8月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 ソブリン
4位 金価格 推移
5位 菊池英博
6位 ソブリン債券
7位 グローバル・ソブリン・オープン
8位 グローバル・ソブリン
9位 グローバルソブリンオープン
10位 金価格推移

7月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 租税法律主義
4位 ソブリン
5位 ソブリン債券
6位 菊池英博
7位 グローバル・ソブリン
8位 グローバル・ソブリン・オープン
9位 金価格 推移
10位 グローバルソブリンオープン

6月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 ソブリン
4位 グローバル・ソブリン・オープン
5位 グローバル・ソブリン
6位 ソブリン債券
7位 菊池英博
8位 グローバルソブリンオープン
9位 グローバル ソブリン
10位 国家破産

5月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 ソブリン
4位 グローバル・ソブリン
5位 グローバル ソブリン
6位 グローバル・ソブリン・オープン
7位 国家予算
8位 ソブリン債券
9位 国家破産
10位 ジムロジャーズ

4月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 ソブリン
4位 若林栄四
5位 グローバル・ソブリン
6位 グローバル・ソブリン・オープン
7位 グローバルソブリンオープン
8位 グローバル ソブリン
9位 ソブリン債券
10位 金価格 推移

3月度
1位 グローバルソブリン
2位 菊池英博
3位 国家破綻
4位 若林栄四
5位 グローバル・ソブリン
6位 ソブリン債券
7位 金価格 推移
8位 ソブリン
9位 グローバル・ソブリン・オープン
10位 グローバルソブリンオープン

2月度
1位 グローバルソブリン
2位 国家破綻
3位 グロソブ
4位 菊池英博
5位 ソブリン債券
6位 グローバル・ソブリン・オープン
7位 グローバルソブリンオープン
8位 金価格 推移
9位 若林栄四
10位 グローバル・ソブリン

【新着の書籍紹介】

「恐慌前夜/副島隆彦」
「連鎖する大暴落―静かに恐慌化する世界/副島隆彦」
「時代を見通す力/副島隆彦」


「ソロスは警告する 超バブル崩壊・悪夢のシナリオ/ジョージ・ソロス、松藤民輔」

「日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方/リチャード・クー」

「わが友、恐慌──これから日本と日本人の時代が訪れる8つの理由/松藤民輔」
「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術──連鎖崩壊時代の「実践・資産透視学」/松藤民輔」


「ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表/アンドリュー・ヒッチコック、太田龍」
「ロスチャイルドの密謀/ジョン・コールマン、太田龍」
「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った/安部芳裕」

「ドル崩壊!/三橋貴明、渡邉哲也」

「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券会社編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術/橘玲」


【著作権について】

(重要)著作権法違反は、懲役刑も課せられる犯罪行為で、懲役刑はもちろん罰金刑でも前科がつきます。前科の記録は、本人が死ぬまで消えることはありません。一生を棒に振ることになりますので、絶対におやめください。

リンクはフリーですので、事前のご連絡は不要です。

本ブログ・関連ホームページ・配布レポートの著作権・隣接する権利は、小職が保有します。
本ブログ・関連ホームページの内容の転載・引用に関しては、引用元記事名・リンクアドレスを記載して、著作権法の範囲でお願いします。雑誌など刊行物への転載は、必ず事前のご連絡をお願いします。

全ての配布レポートの内容の転載・引用・転売などは、全面的に禁止します。違反行為に対しては、「著作権法119条違反被疑での刑事告訴」・「民法709条不法行為による損害賠償請求の民事訴訟」を含めた、刑事・民事両方からの、厳しい法的措置を用意しています。なお、刑事告訴については、被疑者の住所・氏名などが不明であっても、「被疑者不詳のまま告訴」することが可能であり、この場合は司法官憲による「被疑者特定のための捜査」がありうることもお含みおきください。刑事告訴は事前の警告・通告を必要としませんので、「このくらいは大丈夫だろう」という甘い考えは捨ててください。

著作権法違反の刑事罰は、10年以下の懲役刑もしくは1000万円以下の罰金刑、またはこれらの両方が科せられます。また、刑事罰を受けたからといって、損害賠償が免除されるというわけではありません。

読者様におかれましては、このブログ・関連ホームページ・配布レポートの内容の販売・頒布・オークションへの出品などを見かけられましたら、ご連絡ください。

著作権法119条 (刑事罰)
著作権侵害を行った者は、10年以下の懲役および/または1000万円以下の罰金に処せられる
(法人等の従業員が、その法人等の業務に関し行った場合には、その法人等に罰金)

著作権法114 条・民法709 条 (損害賠償請求)
著作権者は故意又は過失により著作権を侵害した者に対して、侵害行為により生じた損害の賠償を求めることができる
著作権法違反がなくとも、民法の規定による損害賠償を認めるケースがある

民法703 条・704 条 (不当利得返還請求)
不当利得返還請求権に基づき、不当利得の返還を求めることができる

【偽装・偽造電子メール等について】

当方(当ブログ管理人)に対して、第三者や実在しない人物を騙り、または氏名などを偽装して、権利・義務・事実の証明に関する内容の電子メール等を送付する行為は、刑法159条(私文書偽造罪:1年以下の懲役又は罰金)・刑法161条(偽造私文書等行使罪:1年以下の懲役又は罰金、未遂も対象)・刑法161条の2(電磁的記録不正作出及び供用罪:5年以下の懲役又罰金、未遂も対象)に抵触する犯罪行為となる可能性があります。電子メールは、文書に準ずるものとして、民事・刑事における証拠能力を有するとされています。この警告は今後の受信に限られるものではなく、公訴時効である過去3年もしくは5年を遡って適用されます。

【トラックバックについて】

アダルト・業者からのスパムトラックバック、宣伝、無関係なトラックバックなどは、当方の判断により、予告なく削除します。

【類似した名称の情報商材について】

「国家破産に勝つ○○」などの、当ブログ・関連ホームページ・配布レポートと類似した名称の情報商材が存在しているようですが、当ブログ・関連ホームページ・配布レポートとは全く関係がございません。ご注意ください。

読者様におかれましては、このブログ・関連ホームページ・配布レポートの内容の販売・頒布・オークションへの出品などを見かけられましたら、ご連絡ください。

---

レポートの配布は停止しておりますので、配布願いのメールには返答いたしません。
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-29 21:26 | 閲覧数

世界金融危機(8)  ヘッジファンドの危機とアメリカの格付け 公的支援は1.5兆ドル(15130億ドル)

※世界金融危機(7)を(8)に訂正しました。

以前の記事で、『次はヘッジファンドに注目が集まることでしょう』、と書きました。本日は、それに関連したニュースを引用したいと思います。

(運用面)
・運用成績を改善するための手段が乏しくなっている
>ヘッジファンドの必須戦術である空売りの禁止

(資金面)
・金融機関による融資先の選別、投資銀行に自己資本規制が課せられるなどで、ヘッジファンド向け融資が細る
・損失拡大で不安に駆られた投資家が資金を引き揚げ

さらに、別の記事で、『「劣化した金融機関の資産のアメリカ政府による買取」は、アメリカ国民の税金で支払う、ということです。本当に、すでに財政支出となった1兆ドル(約100兆円)や、連邦政府の債務上限の10兆ドル(約1000兆円)もの巨額の支払いが、将来のアメリカ国民に可能なのでしょうか?そもそも、その原資となるアメリカ国債を、誰が買うのでしょうか?』、とも書きました。それに関連したニュースも、引用したいと思います。

(90年代後半の日本)
・GDP:500兆円
・不良債権:70兆円

(現在のアメリカ)
・GDP:13兆ドル台
・債務担保証券(CDO)の残高:6~8兆ドル
・CDOの価格は既に80%を超えて減価しており、米住宅市況が回復しなければ、価格はさらにゼロに接近する

「90年代後半の日本と似ていても、より深刻な問題を抱えるアメリカの格付けは、大幅に下げられるのが当然」との内容ですが、私は、

『政治的な判断により、アメリカ国(債)の格付けは、下げられることは無い、もし下げられることはあっても、小幅にとどまり、ポーズに過ぎない』

と指摘します。なぜならば、アメリカ自身の息がかかった格付け会社が、自分の国の債券や紙幣の価値をあえて下げるような、自殺的言動をするメリットがないからです。『格付け会社が米国債をトリプルAに据え置いたとしても、米国が安泰だという話にはならない』のです。

今後も、アメリカ住宅価格はしばらく下落が続くと見られており、財政赤字の急膨張は避けられないとの見通しです。どういうことかというと、

2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字は、
・4380億ドルと、過去最大
・米政府系住宅金融機関(GSE)大手2社の支援に伴う支出は含まず

また、金融安定化策として、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良債権を最大7000億ドルの公的資金を投じて買い取ると提案されていますが、住宅価格の下落に歯止めがかからず、米政府による不良債権買取は到底7000億ドルではすまないという見解もあります。

今回の不良債権買い取り案に加えて、
・住宅ローン債務者支援:最大3000億ドル
・GSE2社への支援:2000億ドル
・GSEによる住宅ローン担保証券購入:1440億ドル
・アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の公的管理:850億ドル
・MMF元本保証:500億ドル
・ベアー・スターンズ買収:290億ドル

合計:約1.5兆ドル(15130億ドル)

時価会計の無視、空売りの禁止、モラールの無い資金投入など、『ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何をするかわからない』のでしょう。「対外的にも何をするかわからない」というのは、自国の権益を守るためには、何でもするであろう、という意味だと思います。

ということは、この後に待っているのは、
・アメリカ債券とドル紙幣の押し売り
・海外投資家のマネーの棒引き
・ドルの減価による、不景気なのにモノが高いというスタグフレーション
という選択肢に加えて、
・強権的ルールによる世界統制経済
・借用証書を焼き払うための政治的暴力、
のいずれかでしょうか。

何度も書いていますが、「弱いものから巻き上げるのが、繰り返してきた歴史」なのです。

これも何度も書いているように、「われわれ一般国民は、節度の無い暴力には、無力」なのです。カネを失っても、命があるだけ幸せだった、と思うような日が来るかもしれません。

(引用開始)

焦点:米金融大再編の波、いずれヘッジファンド業界に
2008年 09月 24日 17:26 JST

[ボストン 23日 ロイター] 現段階では銀行や証券より金融危機を上手く克服しているようにみえるヘッジファンド。しかし、新たな規制、投資家の不安が多くのヘッジファンドにとって命取りになる可能性がある。
過去10年で最悪の運用成績、株価下落の犯人と批判されるなど、ヘッジファンド業界には今年、逆風が吹いている。ただ、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)やアマランス・アドバイザーズのような大規模な破たんはまだ起きていない。
リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)の経営破たん、メリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)の生き残りをかけた身売り、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の政府による救済と続いた9月、ヘッジファンド業界では、商品に投資していたオスプレー・マネジメントの「オスプレー・ファンド」が清算に追い込まれた。ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、ヘッジファンドの平均運用成績は約マイナス5%と低迷している。
モーガン・クリーク・キャピタル・マネジメントのマーク・ユスコ最高投資責任者(CIO)は「リーマンやAIGと比べてオスプレーの損失はかなり少なく、ヘッジファンド業界は比較的上手くやっているように見える」と指摘した。
しかし、それが一変する可能性はある。規制が緩く、高パフォーマンスを謳歌(おうか)していたヘッジファンド業界も、長期化する2つの問題に直面している。運用成績を改善するための手段が乏しくなっていること、損失拡大で不安に駆られた投資家の資金引き揚げだ。
ヘッジファンド投資を手がけるアルファ・キャピタル・マネジメントの創設者ブラッド・アルフォード氏は「ヘッジファンド業界にとって未曾有の大再編の年になる」と予想。同氏は現在、一部のポートフォリオについて、申請期限の9月30日を前に解約・償還の手続きに忙しいという。
アルフォード氏のような投資家は、いくつかのファンド・オブ・ファンズから数億ドル単位で資金を引き揚げている。
HFRによると、今年上期に350のヘッジファンドが閉鎖した。投資家は、下期も少なくとも上期と同程度の閉鎖があるとみる
法律事務所モーガン・ルイスでヘッジファンドへの助言を担当するジェド・ワイダー氏は「投資家は、ファンドの見込み、ファンドが保有する証券という観点から自分のエクスポージャーに懸念を強めている。流動性や投資資金回収に関する権利の見極めにかなりの時間をかけている」と述べている。
投資資金の枯渇とともにヘッジファンドが直面している問題は新たな規制、と運用会社や投資家は指摘する。一例は、ヘッジファンドが得意とする戦略である空売りが禁止されたことだ。
ヘネシー・グループでヘッジファンド投資を担当するチャールズ・グラダンテ氏は「投資銀行のゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)とモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)が銀行持ち株会社になって米連邦準備理事会(FRB)の監督下に入ることにより、2社は新たな自己資本規制が課せられる。これまでほどレバレッジを高めることはできなくなり、ヘッジファンド向け融資も細る」とみている。
米金融機関が融資先の選別を厳しくすればするほど、中小のヘッジファンドは苦しくなる。「大手には影響しないだろうが、小規模ファンドには打撃となり得る」(グラダンテ氏)という。
来年初めにファンドの設定を予定するタクティカス・キャピタルのアンドレー・クレブスキー氏は「資金を集めるのが大変」と述べている。

ロイター

(Svea Herbst-Bayliss 記者;翻訳 武藤邦子)

---

急膨張する米財政赤字、米国債のトリプルAは維持可能か
2008年 09月 24日 17:22 JST

[東京 24日 ロイター] 米国政府が次々と金融危機回避策を発表しているが、3月のベアー・スターンズ救済以降、約束した救済資金は既に200兆円規模に達し「バラ撒き財政」の様相を呈している。
今後も米住宅価格の下落が続けば財政赤字の急膨張は不可避で、債務履行能力の「ものさし」である格付けにおいて、米国債が最上級のトリプルA格を維持しうるのか、市場で話題を呼んでいる。
23日のニューヨーク外為市場では、米政府が打ち出した金融市場安定化策が、財政赤字拡大につながるとの懸念からドルがユーロとポンドに対して数週間ぶりの安値まで下落した。「財政赤字拡大で米国債のダウン・グレードという話もでてきている。可能性は否定できない」と岡三証券・外国債券グループ長の相馬勉氏は語る。

 <格付け会社の判断>
米格付け会社フィッチ・レーティングスは5月、米国の外貨建ておよび自国通貨建て長期発行体デフォルト格付けを「AAA」に据え置いたうえで、7月に政府系住宅金融機関(GSE)が米政府の管理下に置かれたとしても、米国のソブリン格付けがリスクにさらされる可能性は低いとの見解を明らかにした。スタンダード・アンド・プアーズも米国債の格付けを「トリプルA」、見通しを「安定的」に据え置いている。
ただ、格付け会社自体に対する市場の信頼も揺らいでいる
米格付け会社が米国債をトリプルAに据え置いたとしても、米国が安泰だという話にはならない。そもそも格付け会社は、モノライン同様、現在では著しく減価している証券化商品に優良格付けを与え続けてきた。(格付け会社に対する)市場の信頼は低下している」と東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は指摘する。 
現在米国が直面する金融危機は90年代の日本に比較して一段と深刻というのが市場の認識だ。90年代後半の日本では500兆円のGDPに対して、70兆円の不良債権が発生した。米国では13兆ドル台のGDPに対して、6―8兆ドル規模の債務担保証券(CDO)の残高がある。CDOの価格は既に80%を超えて減価しており、米住宅市況が回復しなければ、価格はさらにゼロに接近するだろう。
過去を遡れば、1990年代後半に不良債権問題の渦中にあった日本の金融セクター、事業会社、そして日本の国家は、欧米格付け会社による格下げの嵐に見舞われた。
1998年9月、フィッチIBCA(フィッチ・レーティングスの前身)は、日本の金融システムが巨額の不良債権を抱え弱体化していることや、不安定な経済情勢と膨張する公的債務を理由に、日本の外貨建て長期債務をトリプルAから1ランク下のダブルAプラスに引き下げた。同年11月にはムーディーズが日本国債の格下げを行い、2001年2月にはスタンダード・アンド・プアーズが、日本政府が発行・保証する債券の長期格付けをトリプルAからダブルAプラスに引き下げた。
これらの動きは、日本国債の価格にさしたる影響を与えなかったが、円安を誘発し、拍車をかけた。
日本が世界最大の債権国、米国が世界最大の債務国であるという事実をふまえれば、90年代後半の日本と同じ種類で、より深刻な問題を抱える米国の格付けは大幅に下げられるのが自然だろう。

 <市場動向>
トリプルAを維持する米国債の2年物の利回りは2.101%と、米国が追加的危機回避策を発表する以前(16日)の1.779%から急上昇している。
現在の国際金融システムが極めてぜい弱な状態になっているため、米国の危機回避策の裏側では、別の波紋が広がるという事態を引き起こしている」と東海東京証券の斎藤氏は分析する。米国が公的資金注入を決めた後に、石油や金価格が暴騰し、米国債が下落したのは「市場が米国自体のクレジット・リスクを強く意識したためで、ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何をするかわからないと市場が判断したためだ」と同氏は指摘する。
米議会予算局は9日、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字が4380億ドルに上り、過去最大になるとの改定見通しを発表した。だが、同赤字見通しには米政府系住宅金融機関(GSE)大手2社の支援に伴う支出は入っておらず、公的資金の投入額増加で、米国の財政赤字拡大は急速に拡大の一途をたどるだろう。
米政府は21日、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良債権を最大7000億ドルの公的資金を投じて買い取ることなどを盛り込んだ金融安定化策を議会に提出した。
今回提示した不良債権買い取りに加え、住宅ローン債務者支援として最大3000億ドルを用意し、GSE2社への支援に2000億ドル、GSEによる住宅ローン担保証券購入に1440億ドル、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の公的管理に850億ドル、MMF元本保証に500億ドル、ベアー・スターンズ買収に290億ドルなどを用意した。
市場では、米住宅価格の下落に歯止めがかからない中、米政府による不良債権買取は到底7000億ドルではすまないとの見方が広まっている。
米大統領選で民主党候補に確定しているオバマ上院議員は8月21日、巨大な財政赤字が、米国債発行増とドル安を招いているとの見解を明らかにしている。
米国の経常赤字は昨年7312億ドルと、過去最高だった2006年の7881億ドルから縮小したが、今年は追加米金融セクター救済に絡んだ財政支出で、米国の対外債務は拡大せざるを得ない。対外債務のファイナンスには海外投資家のマネーが不可欠だが、海外投資家は米債売りに傾いている。
米財務省によると、海外投資家による7月の対米長期証券投資(米株式、米社債、米国債、政府機関債)は、GSE2社の経営危機に絡んだ政府機関債の売り越し約500億ドルも手伝って、61億ドルの買い越しとなり、前月534億ドルの買い越しから急減した。

(ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-28 15:22 | 経済状況

世界金融危機(7) 投資銀行の終焉 バフェットはゴールドマン 野村はリーマン MUFGはモルガン

何人かの識者が指摘しているように、投資銀行というモデルは、もはや終焉したと見るべきでしょうか。

ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチという、アメリカ3~5位の投資銀行が、破綻もしくは吸収により消滅するという異常事態は、投資銀行そのものが、急激な信用収縮に対して非常に弱い、場合によっては一撃で撃沈してしまうほどの、脆弱なビジネスであったことの証左だと思います。

クウォンツ(量子物理学者?)やロケットサイエンティスト(宇宙工学博士?)と言われるほどの、数学のエリートを多数投入しておきながら、リスクが上昇し流動性が損なわれた日には、文字通りオフィスをたたんで夜逃げするしかないという投資銀行や証券会社の状況は、まさに、ノーベル賞学者のドリームチームを擁するLTCMの破綻を、そのままなぞっているように思えます。

(なぜ歴史は繰り返すのでしょうね)

ところが、投資銀行の自己資本は、決して薄くはありません。

たとえば、リーマンブラザーズは、6月の増資の影響もありますが、8月末時点では
・株主資本:284億ドル
・長期資本:1430億
・総資産:6000億ドル
・TierⅠ(中核的自己資本)比率:11%
東洋経済オンライン

Lehman's Tier 1 capital ratio, a measure of capital strength, rose 0.3 percentage point 14 the third quarter to 11%. It had $42 billion in liquid assets, including cash and equivalents.
"Huge Lehman Loss On Sour Real Estate Sends It Scrambling"

(参考)
・東京三菱UFJ:7.6%
・みずほ:7.4%
・SMBC:6.9%

と、数字だけ見ると、日本の銀行よりも優れています。

「そんなのはおかしい。何かトリックがあるんじゃないか。」と思われれば、それは優れた直感だと思います。

さて、

皆様もご存知かと思いますが、ウォーレン・バフェットによる、ゴールドマン・サックス(GS)への出資のニュースです。

同じく、ゴールドマン・サックスは
・TierⅠ(中核的自己資本)比率:11.6%

Goldman said its Tier 1 capital ratio at Sept. 30 was 11.6%.
"Goldman, Morgan Become Bank Holding Companies, Ending Era"

となっており、決して自己資本が薄いわけではありません。簡単に言うと、いわゆる資産のうち、借金による水増し部分は、それほど多くない、というわけです。では、なぜでしょうか。

先ほどの「直感」の答えは、非常に簡単に言うと、「自己勘定(自分のリスク)で行う現物やデリバティブの取引に、レバレッジをかけすぎた」となります。と書くと、単純化しすぎているのですが、それほど外してはいないと思います。

リスクコントロールは、普通は逆指値などによる、ロスカット(損失限定)により行います。ですが、流動性が不足していると正常な決済ができないこと、それにより気配値が大きく動き、損失を拡大させてしまうことも、このブログの読者様ならご存知のことと思います。また、もう少し複雑な自動取引システムを組んでいる場合でも、「100年に一度の市場変動」(そう言う割には、5~10年に一度の割合で来ているようですが)に対しては、「プログラムの想定外」となり、システムが機能しなくなってしまうことも、IT技術の進歩の割には変わらないようです。

(もちろん、リスクコントロール技術も進歩しているでしょう。ですが、IT技術の進歩は、「より儲かる」高度なシステム開発に注力されるため、それに見合ったリスクコントロールが追いついていない、という理解のほうが近いのかもしれません。車で言うと、エンジンの研究開発により、加速度・最高速度が飛躍的に向上した、同時にブレーキなども進歩したが、どうしてもエンジンの開発が先行するため、トータルの安全度は変わらないか、むしろ落ちる、という感じでしょう。)

短期間でより儲けるためにレバレッジをかけて、儲かっているときはこの世の春を謳歌するものの、想定外の市場変動で思惑がはずれ、自滅する。「LTCMの轍(わだち)を踏んだ」と言われても仕方ない、という感じです。

こう書くと、まるでレバレッジが悪いようですが、必ずしもそうではありません。少額の手持ち資金で、高額のヘッジを可能とすることは、資産の有効活用、リスクコントロールによる損失の限定、ひいては経済の安定化につながります。少し違いますが、保険で言えば、保険の掛け金が安くなるようなものです。あくまで、「両刃の剣」なのです。

さて、イベントドリブン(出来事を予想して、値動きの方向性に賭ける)にしろ、マーケットニュートラル(裁定取引により、市場のひずみから儲けを出す)にしろ、多くのプレイヤーが同じ考えを実行すれば、儲けは薄くなるのが、自然の摂理です。

となると、次はヘッジファンドに注目が集まることでしょう。

皆様におかれては、「市場が荒れているときは、レバレッジを低く抑える」ことに留意されると良いと思います。

以下、バークシャーによるゴールドマン出資のニュースです。バフェットは、相当お得な条件で、ゴールドマンを買ったようです。7年ホールドすれば、配当だけで元本が回収できてしまいます。ここまで屈辱的?な条件でないと、買っていただけなかった、というほうが本当かもしれません。

(バークシャー)
・50億ドルの出資
・永久優先株を引き受け、配当利回りは10%
・50億ドル相当の普通株を1株115ドルで買い取る権利のあるワラントを受け取り
・ワラントの行使期限は5年
(バークシャー以外)
・少なくとも25億ドル相当の普通株発行による公募増資


(引用開始)

バークシャー、ゴールドマンに50億ドル出資などで合意

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米証券大手ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)は23日、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイ(NYSE:BRKA)(NYSE:BRKB)から50億ドルの出資を受けることで合意したと発表した。今月に入り信用危機が深刻さを増して以来、金融システムへの信頼感を示す最も大きな動きの1つとなった。
この50億ドルの出資では、バークシャーが永久優先株を引き受ける。配当利回りは10%。
ゴールドマンはこのほか、少なくとも25億ドル相当の普通株発行による公募増資をする。
バークシャーは、さらに50億ドル相当の普通株を1株115ドルで買い取る権利のあるワラントを受け取る。行使期限は5年。
バフェット氏の動きは、世界の有力投資家の1人が、ウォール街で強く求められていた、信頼感を示す行動をとったことを意味する。同氏はこれまで、米金融大手への資金投入を控えてきた。米金融大手のほとんどは、不動産関連の見込み違いで数十億ドルの不良資産を抱え、身動きが取れなくなっている。
リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEHMQ)は15日に米連邦破産法11条の適用を申請したほか、メリルリンチ(NYSE:MER)はバンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)に買収されることで合意した。米政府は、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)を政府の管理下に置く代わりに最大850億ドルを融資することで合意した。政府はさらに、ほかの金融各社を支えるために7000億ドル規模の金融安定化策を打ち出したものの、懐疑的な見方もあり、議論が続いている。
ゴールドマンは、リーマンやメリルとは異なり、今のところ住宅ローン関連の大打撃を何とか回避している。信用危機の発生以降も、四半期決算で赤字を出していない。ただ、利益は減少してきており、信用危機と無縁なわけではない。
ゴールドマンはここ1週間、自己資本増強のためのさまざまな選択肢を検討してきた。ロイド・ブランクファイン会長兼最高経営責任者(CEO)は「水泳のオリンピック選手でも小さな子供でも、津波が襲ってきたときに海岸にいればおぼれてしまう」と語っていた。
同氏は23日、声明で「世界で最も称賛され成功している投資家であるに違いないバフェット氏が、われわれの長年の関係を前提に、このような多額の出資を決断してくれたことは喜ばしい。われわれはこのことを、顧客からの高評価と将来の明るい見通しを強く示す証しととらえている」と述べた。
バフェット氏は「ゴールドマンはたぐいまれな企業だ。世界的な評判は並ぶものがない。実績と深い洞察力のある経営陣、知的財産と金融資本は、他社に勝る状態が続くだろう」と語った。
バークシャーによる出資の発表は米株式市場の取引終了後だった。ゴールドマン株の通常取引終値は、前日比4.27ドル(3.54%)高の125.05ドル。その後の時間外取引では一段高となり、終値比7.76%高の134.75ドルで取引されている。

日本経済新聞

---

米ゴールドマン:75億ドル増資 25億ドルは公募

【ワシントン斉藤信宏】米証券大手ゴールドマン・サックス(GS)は23日、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が経営する投資会社バークシャー・ハザウェー社などを引受先とする75億ドル(約8000億円)の増資計画を発表した。バークシャー社が優先株50億ドルを購入するほか、GSが普通株25億ドルの公募増資を実施し、銀行の持ち株会社への移行に伴って資本不足に陥るとの見方が高まる中、市場の懸念をぬぐい去る。これとは別に、バークシャー社は1株あたり115ドルで最大50億ドル分の普通株を購入する権利を取得した。
GSは、証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)をきっかけにした米金融システム危機で、今月に入って株価が急落、18日までの10日間で約35%も値下がりするなど市場の不信感が増幅していた。米証券大手5社の中では、今年3月にベア・スターンズが事実上破綻し、JPモルガン・チェースに救済合併されたほか、メリルリンチもリーマンの破綻と同日にバンク・オブ・アメリカに買収されており、存続しているのは既にGSとモルガン・スタンレーの2社だけ。モルガン・スタンレーは22日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から最大9000億円の出資を受けると発表しており、残されたGSの動向に注目が集まっていた。
GSは、モルガン・スタンレーとともに証券専業としての存続を断念、今後は銀行持ち株会社として米連邦準備制度理事会(FRB)の監督下で経営安定化を図ることが決まっている。

毎日新聞 2008年9月24日 11時16分(最終更新 9月24日 12時23分)

---

ゴールドマン、8千億円超増資へ 著名投資家ら引き受け
2008年9月24日10時24分

【ニューヨーク=都留悦史】米金融大手ゴールドマン・サックスは23日、総額75億ドル(約8千億円)を上回る規模の増資計画を発表した。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが50億ドル分の優先株を引き受け、少なくとも25億ドル分の普通株を一般投資家向けに新規発行する。
これとは別にバフェット氏側は、5年間の期限付きながら50億ドル分の普通株をいつでも買うことができる権利(ワラント)も手にする。 サブプライム危機で米証券大手の経営は急速に悪化。大手5社のうち下位3社は破綻(はたん)などで姿を消し、最大手のゴールドマンと2位のモルガン・スタンレーは21日、銀行持ち株会社への業態転換を発表した。銀行は証券会社より厚めの資本が必要で、すでにモルガンが三菱UFJフィナンシャル・グループと最大9千億円超の出資受け入れで合意したことから、ゴールドマンの動向が注目されていた。
サブプライム危機が表面化した当初こそ好調だったゴールドマンも、最近は業績が低迷している。08年6~8月期決算は不動産関連の資産に絡んで損失を計上したため、当期利益は前年同期比70%減と大きく落ち込んでいた。

朝日新聞

(引用終了)

次は、野村によるリーマンのアジア部門買収のニュースです。

「野村はリーマンのアジア業務をアセットベースで約2億2500万ドル(約238億円、106円で換算)と見込んでおり、これに加えて人材流出を防ぐ人件費(リテンションフィー)が上乗せになる見込みで、買収総額は総額500億円を超える可能性がある」とのことです。

リーマンの入れ物だけを買っても、あまり意味がありません。特に、金融技術を有する人材がないと、どんなシステムもただの箱です。野村は、これまでも海外事業展開に失敗を重ねており、今回も二の舞、という予感もします。

(ロックフェラーセンター買収のように、変な条文が入っていないでしょうね)

バフェットの買い叩きと比べると、まだまだ交渉が下手、という印象を受けたニュースでした。

(引用開始)

---

欧米大手 射程圏内
野村、リーマン部門買収 中東、欧州に足がかり

国内証券最大手の野村ホールディングスが、経営破綻(はたん)した米リーマン・ブラザーズからアジア太平洋部門に続いて欧州・中東部門も買収することは、野村にとって欧米の大手金融機関と肩を並べるという悲願に大きく近づいたことになる。ただ、リーマンの米国本体から切り離された各部門をどこまで生かしていけるかなど、課題も多い。国内では、野村の積極策をきっかけに証券業界の新たな再編圧力が高まるのも必至だ。(東直人)
野村の渡部賢一社長は9月初旬の読売新聞のインタビューで、リーマンを含む海外証券会社への出資や買収を検討していることを明らかにしていた。「野村は日本株に関する能力は高いが、インドやロシアなど外国株には強くない」と述べていた。リーマンの部門買収は、正にその弱点を補完できることになる。
野村が日本からアジア、中東を経て欧州に至るリーマンのネットワークを足場に世界市場で台頭できれば、これまで米国勢が席巻してきた世界の証券業界に大きなくさびを打ち込むことになる。
野村と、今回買収するリーマンのアジア太平洋、欧州・中東両部門を単純に合算すると、2007年度の営業収益(売上高)は約2兆6000億円。国内2位の大和証券グループ本社とは約3倍の開きとなる。
野村の渡部賢一社長は9月初旬の読売新聞のインタビューで、リーマンを含む海外証券会社への出資や買収を検討していることを明らかにしていた。「野村は日本株に関する能力は高いが、インドやロシアなど外国株には強くない」と述べていた。リーマンの部門買収は、正にその弱点を補完できることになる。
野村が日本からアジア、中東を経て欧州に至るリーマンのネットワークを足場に世界市場で台頭できれば、これまで米国勢が席巻してきた世界の証券業界に大きなくさびを打ち込むことになる。
野村と、今回買収するリーマンのアジア太平洋、欧州・中東両部門を単純に合算すると、2007年度の営業収益(売上高)は約2兆6000億円。国内2位の大和証券グループ本社とは約3倍の開きとなる。
しかし、証券界には「リーマンの米本社から切り離された部門を買収しても、うまく機能しない。優秀な人材もアメリカに帰国してしまう」(大手幹部)といった疑問の声もある。高度な技能を持ち、「自尊心も報酬も高い」(業界関係者)と言われる外国の人材を野村がコントロールしきれるかどうかが、買収の成否のカギを握るというのが一致した見方だ。
さらに、野村は海外事業で何度も辛酸をなめた歴史を持つ。米国では1998年と2007年に巨額損失を出し、そのたびに事業の縮小・一部撤退に追い込まれた。今回の買収で、野村が国内の「ガリバー」から、渡部社長が口にする「ワールドクラス」に脱皮するのは容易ではない。
一方、国内では、これまでの「3大証券」時代から、野村が1強体制を強めると見られる。野村が、リーマンのノウハウを駆使した魅力的な投資商品を国内で投入できれば、シェア(市場占有率)争いが激化し、大和証券グループ本社や日興シティホールディングスなどライバルの危機感が高まりそうだ。
欧米で急展開している業界再編が、日本に飛び火することも現実味を帯びる。

(2008年9月24日 読売新聞)

---

三井住友、最大3000億円出資へ 米ゴールドマンの要請受け
2008年9月24日 中日新聞夕刊

三井住友フィナンシャルグループが、関係の深い米証券最大手のゴールドマン・サックスに1000億-3000億円程度出資する方針を固めたことが24日、明らかになった。
米金融危機で経営環境が悪化したゴールドマンが実施する資本増強策に応じることで、国内外の投資銀行業務などを強化するのが狙いだ。
米証券大手に対しては、三菱UFJフィナンシャル・グループもモルガン・スタンレーに約9000億円を出資し、筆頭株主になる。損失拡大や資金調達に不安を抱える欧米金融機関に比べ比較的に傷の浅い邦銀勢が、国際金融市場で一段と存在感を強めそうだ。
三井住友はゴールドマンから非公式に出資の打診を受けているもようで、正式要請を受け次第、機関決定する見通し。具体的な出資額などは今後詰めるが、規模は数%程度になる見込みだ。
三井住友は、成長戦略の中核として海外事業の強化を位置付けている。今年夏には英大手銀バークレイズに約2%出資。ゴールドマンとは、M&A(企業の合併・買収)事業や企業の株式公開、資金調達関連など投資銀行部門で提携関係を深める方針だ。
三井住友の前身の住友銀行は、株式上場前のゴールドマンに出資。2003年には、不良債権処理に苦しむ三井住友が発行した優先株をゴールドマンが約1500億円で引き受けた。

【ゴールドマン・サックス】 1869年設立の米証券最大手。投資銀行や証券、資産運用業務を米国、欧州、アジアなどで展開する。米サブプライム住宅ローン問題では、関連の証券化商品をいち早く売却して損失を最小限に抑えた。2007年11月期決算は純利益が前期比21・6%増の115億9900万ドルと過去最高を更新。従業員数は約3万人。ポールソン米財務長官のほか、ルービン元財務長官など米政府要人を輩出した。日本には1974年に進出。

---

米ゴールドマン・サックス:1000億円規模出資、三井住友も検討

GSの増資に関連して、三井住友フィナンシャルグループも1000億円規模の出資を検討していることが分かった。三井住友幹部は24日朝「要請があれば前向きに検討したい」と話した。
旧住友銀が86年にGSに775億円を出資し、三井住友は02年までに全株を売却。03年には逆にGSが不良債権処理で資本が傷ついた三井住友に優先株で1500億円を出資するなど親密な関係が続いている。
三井住友は6月、英銀大手のバークレイズに1000億円を出資したが、GSとは投資銀行業務で提携関係を続けるとしている。【斉藤望】

毎日新聞 2008年9月24日 東京夕刊

---

米ゴールドマンへ出資検討=1000億円超-三井住友FG

三井住友フィナンシャルグループが米金融大手ゴールドマン・サックスへの出資を検討していることが24日、明らかになった。非公式な打診を受けているもようで、詳細は正式な要請を受けてから詰める方針だが、出資額は1000億円を超える規模となる見通し。
日本の大手金融機関は、三菱UFJフィナンシャル・グループが米モルガン・スタンレーへの出資を決め、野村ホールディングスが経営破綻(はたん)した米リーマン・ブラザーズのアジア、欧州・中東部門の買収を決定するなど、米証券界の再編で攻勢に出ている。(2008/09/24-13:02)

時事通信

---

訂正:野村がリーマンアジア部門を買収、総額500億円越す可能性
2008年 09月 24日 16:24 JST

[東京 23日 ロイター] 野村ホールディングス(8604.T: 株価, ニュース, レポート)は22日、経営破たんした米リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)の日本を含むアジア・パシフィック地域部門を買収することで同社と基本合意した、と発表した。アジアにおける投資銀行部門の拡大やITプラットフォームの吸収が狙い。最終的な買収金額はまだ確定していないが、関係筋によると、野村はリーマンのアジア業務をアセットベースで約2億2500万ドル(約238億円、106円で換算)と見込んでおり、これに加えて人材流出を防ぐ人件費(リテンションフィー)が上乗せになる見込みで、買収総額は総額500億円を超える可能性がある。
野村は、リーマンのアジアにおける株式、債券、投資銀行部門の3部門を買収し、3000人超の雇用や事業インフラを引き継ぐ。ただ、リーマンのトレーディングに関連する資産と負債は買収しない。
アジアで業務の拡大を目指している野村は、アセットマネジメント業務では商品開発力の向上や販売網の確保が進んでいるものの、投資銀行部門では欧米の金融機関に先行を許している。野村の渡部賢一社長は、信用収縮を背景に欧米の金融機関が事業縮小期に入った局面をビジネス拡大のチャンスととらえており、人材の獲得や買収に前向きな方針を示していた。今年春に野村は約6000億円を調達し、こうした買収に備えてきた。
リーマンは現在、世界の各地域ごとに事業売却を進めており、北米事業は英大手銀行バークレイズ(BARC.L: 株価, 企業情報, レポート)が約17億5000万ドル(約1855億円)で買収することが決まった。残る欧州部門の売却作業も進んでおり、バークレイズ、野村はともに、欧州部門の買収をめぐって競合している。*本文中の「約2億2500億円」を「約2億2500万ドル」に訂正します。

ロイター

---

野村HD、リーマン・欧州部門も買収 MUFGはモルガンに出資
2008/9/24

国内証券最大手の野村ホールディングスは、経営破たんした米リーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門に続き、欧州・中東地域部門も買収することで基本合意したと2008年9月23日に発表した。
買収価格は非公表。リーマンが英国やドイツ、ロシア、アラブ首長国連邦などで展開してきた株式売買やM&Aの助言などの投資銀行部門の事業を継承する。しかし、トレーディング部門の資産と負債は継承しない。これにより野村HDは、アジア・太平洋部門の社員3000人超とあわせて5500人超の雇用を継承することになる。
一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は9月22日、米証券大手のモルガン・スタンレーの第三者割当増資に応じ、20%を上限に出資すると発表した。最大約9000億円になり、海外金融機関への出資額としては過去最大級になる。

J-CAST

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-25 02:15 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(6) まとめ 終わりの只中に

今月は、激動の1ヶ月(まだ終わっていませんが)だったと思います。

そこで、リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊に関する最近の記事をとりまとめて、振り返ってみたいと思います。

(転載開始)

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円」

次のステージは、「(政府・公的機関による)不良債権の買取」ですが、これは、政府やFRBが、「貸し手」から「買い手」になることを意味します。何度も言っていますが、これは、リスクの移転、つまり「飛ばし」をやる、ということなのです。

「劣化した金融機関の資産のアメリカ政府による買取」は、アメリカ国民の税金で支払う、ということです。本当に、すでに財政支出となった1兆ドル(約100兆円)や、連邦政府の債務上限の10兆ドル(約1000兆円)もの巨額の支払いが、将来のアメリカ国民に可能なのでしょうか?そもそも、その原資となるアメリカ国債を、誰が買うのでしょうか?

ドルの破綻は、文字通り、現在の貨幣経済システムの死刑執行であり、システムに組み込まれているすべての人が路頭に迷うことになるからです。すべての証拠を吹き飛ばし、借用証書を焼き払うための、戦争の予感がします。

---

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(4) 日米欧による「USドル」供給 基軸通貨ドルの防衛」

この協調供給の本質を一言で言いますと、基軸通貨USドルを防衛する、ということだと思います。いみじくも、伊吹文明財務相が、「アメリカ(FRB)の要請による、米ドルの信認低下を防ぐ措置」と言っているとおりです。

ここまで巨額の、文字通りジャブジャブの状態になるまでマネーを注ぎ込んでも、本質的な危機の解決にはならないことは、すでに述べているとおりです。あくまで延命措置、ということを忘れてはなりません。これで、リスクはアメリカ政府・FRBに「飛ばされた」ということになります。これで解決にはなりません。供給した過剰のドルが、ドルそのものの信認を損なうことになるからです。延命措置のタイムリミットは、半年といったところでしょう。

---

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(3) 日米欧の中央銀行が流動性供給 解決になるのか」

この流動性の供給については、

・出血を止めずに輸血するようなものであり、根本的な解決にはなっていない
・流動性は、必要なところに割り当てられるとは限らず、濃淡がある
>たとえば、金融機関に十分な流動性を供給しても、貸しはがしが止まらないこともありうる
・必ずしも、信用収縮をストップし、信用創造倍率アップをもたらすとは限らない
・過剰な流動性は、ゆくゆくは投機資金となり、資産価値の乱高下をもたらす遠因となる

「金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性がある」(IMF ストロスカーン専務理事)

(リーマン・ブラザーズ破たんの前週末の)時点で、リーマン・AIGなどに関するリスクシナリオについて、(日本銀行と各国中央銀行・政府との)通貨防衛に関する協議は終わっていた、ということでしょう。

---

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」

世界全体のデリバティブの残高は、正確な数字は不明ですが、50兆ドル(2005年当時)と言われていました(過去の記事を参照)。現在では、さらに大きな数字となっていることでしょう。

(デリバティブの一部である)CDSの発行残高は、4500兆円とも、6500兆円とも、言われています。日本の1990年代の、バブル崩壊、金融危機、とは比べ物にならない、大きな危機が来ているのだと思います。

双子の赤字を抱えるアメリカで、このような信用収縮が起こり、信用崩壊に発展したことは、決して偶然ではありません。アメリカ国債が売れなくなる日は、そこまで来ています。そして、物価(インフレ)、金利、為替、のいずれか、あるいは全部、によって、「ドルの減価」がありうるのだと思います。

---

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中」

金融収縮が、実体経済に危機を及ぼす「信用崩壊」のステージに進行したことが決定付けられた、印象深いニュースでした。もちろん、その次のステージは、「ドルシステムの瓦解」です。

・CDSなどのデリバティブは、誰も引き受け手がなくなり、市場が崩壊する
・実体経済に強い影響が及び、実物資産(不動産など)の相場はさらに下落する

もちろん、連鎖倒産も、ありうるでしょう。

ドルシステムは、日本や中国などがカネを出さなければ、瓦解をまぬかれないといったところです。もちろん、日本も・・・相当の資金供出を覚悟する必要があるでしょう。

---

「日本・アメリカ・ヨーロッパがドル防衛の秘密協定 やはりドルは基軸通貨なのか」

アメリカドルの防衛に関する秘密協定があったようです。・・・このような重要な秘密協定が、アメリカの従属国である日本からリークされるということは、単なる偶然ではなく、「日本はドルシステムを死守します」という宣言なのかも知れません。

(この秘密協定の会談に、アメリカ財務省の上級事務官が出席していたことから)政治的な決断ということができると思います。

(転載終了)

最近発売の書籍を紹介してみたいと思います。

「恐慌前夜/副島隆彦」
「連鎖する大暴落―静かに恐慌化する世界/副島隆彦」
「時代を見通す力/副島隆彦」

「ソロスは警告する 超バブル崩壊・悪夢のシナリオ/ジョージ・ソロス、松藤民輔」
「日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方/リチャード・クー」
「わが友、恐慌──これから日本と日本人の時代が訪れる8つの理由/松藤民輔」
「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術──連鎖崩壊時代の「実践・資産透視学」/松藤民輔」

「ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表/アンドリュー・ヒッチコック、太田龍」
「ロスチャイルドの密謀/ジョン・コールマン、太田龍」
「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った/安部芳裕」
「ドル崩壊!/三橋貴明、渡邉哲也」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券会社編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術/橘玲」

[PR]
by kanconsulting | 2008-09-24 09:14 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円

「事実上の国有化になったAIGが、公的管理の最後ではない。これはスタートに過ぎない」
「アメリカ政府がどのくらいの規模の公的資金を注入したら金融不安が沈静化するのか、誰にもわからない」
「FRBは、最後の貸し手から最後の買い手になってしまった。これから米国の財政出動がどこまで進むのかわからない」(以上、外資系証券の関係者)

「市場には、すでに米国の財政支出が1兆ドル程度になるとの試算も出ている」(信州大学・経済学部 真壁昭夫教授)

ロイターニュース

---

先日の記事「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(4) 日米欧による「USドル」供給 基軸通貨ドルの防衛」で、日本・アメリカ(FRB)・ユーロ(ECB)・イギリス・カナダ・スイスの中央銀行が、FRBと「スワップ協定」を締結・枠拡大協調して、「USドル」を市場に供給することになった、と記載しました。

次のステージは、「(政府・公的機関による)不良債権の買取」ですが、これは、政府やFRBが、「貸し手」から「買い手」になることを意味します。何度も言っていますが、これは、リスクの移転、つまり「飛ばし」をやる、ということなのです。

冒頭でもコメントを引用しましたが、アメリカ政府(FRB)がどのくらいの規模の公的資金を注入したら、金融不安が沈静化するのか、誰にも分からず、疑心暗鬼になっているのです。USドルとアメリカ国債への信認は、CDS市場での、アメリカ国債のプレミアム*にも現れています。現在のところ、国際的なドル買い協調介入の合意があるため、かろうじて、USドルとアメリカ国債の暴落が延期されているといったところでしょう。

* 『9月17日には、米国債に対するリスクを示す指標が悪化した。債券のリスクはCDS(債券破綻保険)の価格(リスク・プレミアム。上乗せ利率)で示されるが、10年もの米国債のCDSは30ベーシスポイントにはね上がり、13ベーシスのドイツ国債、20ベーシスのフランス国債よりも高くなった。米国債は、ドイツ国債の2倍以上のリスクがあるとみなされるようになった。』田中宇の国際ニュース解説 2008年9月20日

関連したデータとしては、おなじみの、High Yield Spreads(ジャンクボンドと国債の利回りのスプレッド)と VIX(ボラティリティインデックス)を見てみましょう。スプレッドが900ベーシスポイント以上に急拡大していますが、これは、ジャンクボンドのリスクプレミアムが昨年夏以降3倍近くになっていることになります。また、ボラティリティインデックス(別名:恐怖指数)も、35と大きな値になっています。

a0037933_20452990.jpg

Merrill Lynch Index of High Yield Bonds
a0037933_20461748.jpg

VIX Volatility Index
(チャートはThinkBIGより)

各国の国債は、それぞれの国民の将来の税金を担保にしているという解釈が可能です。「劣化した金融機関の資産のアメリカ政府による買取」は、アメリカ国民の税金で支払う、ということです。本当に、すでに財政支出となった1兆ドル(約100兆円)や、連邦政府の債務上限の10兆ドル(約1000兆円)もの巨額の支払いが、将来のアメリカ国民に可能なのでしょうか?そもそも、その原資となるアメリカ国債を、誰が買うのでしょうか?

ブルームバーグ・ニューヨーク市長は、

WASHINGTON - The next issue for concern in the battered economy is whether there are going to be buyers for the nation's billions in debt, Mayor Bloomberg said yesterday.
Speaking to students at Georgetown University, Bloomberg pointed out that Wall Street convulsions are being felt around the globe.
"Who's buying our debt? It's these overseas funds, these sovereign-wealth funds, these overseas hedge funds. They are in trouble now. So it's not clear who is going to be buying" US Treasury bills, he said.

「誰が、アメリカ国債を買うというのか。これまで国債を買っていた、外国のSWF(政府投資基金)やヘッジファンドは、損失を抱えているのだから、米国債を買わないだろう。米国債を買ってくれる投資家がいるかどうか、疑問だ。」(9月18日の講演)田中宇の国際ニュース解説
と述べています。

また、金価格は、いったん下げた後、急上昇しています。いったんの下げは、金融機関とファンドの換金売りでしょう。
その後の上げは、1日の上げ幅としては、1980年1月の85ドルを上回る、過去最大の88.55ドルとなりました。上げの要因としては、安全資産である金への逃避と同時に、アメリカ国債の信認低下というセンチメントもあるようです。

a0037933_19144624.jpg

チャートはbullionvaultより

このブログでは、開始後まもなくから、アメリカとドルの信認は安泰ではない、円とドルは一蓮托生だ、と訴え続けてきました。その当時は、「ドルは強い。そんな心配よりも、日本(円)の心配をするべき」などと言われてきましたが、今となっては、どちらが正しかったなどは、どうでもいいように思えます。なぜならば、ドルの破綻は、文字通り、現在の貨幣経済システムの死刑執行であり、システムに組み込まれているすべての人が路頭に迷うことになるからです。

すべての証拠を吹き飛ばし、借用証書を焼き払うための、戦争の予感がします。

(引用開始)

米政府、不良資産買い取りに公的資金75兆円投入を提案
2008年 09月 21日 10:33 JST

[ワシントン 20日 ロイター] 米政府は20日、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良資産について、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で買い取る計画を議会に提案した。大恐慌以来最悪の金融危機に対応するため。
上下両院は数日以内の法案化を目指しており、共和・民主両党議員の補佐官らが週末にかけて同提案内容についての詳細な検討を行う見通し。
計画では銀行など金融機関のバランスシートから回収困難な住宅ローン関連負債を切り離し、政府の管理下に組み入れることとなっており、米財務省には異例の権限が与えられることにもなる。ロイターが入した財務省草案によると、不良資産買い取りに関する財務長官の判断は裁判所の審査を一切受けない
また、同計画に対応するため、連邦政府の債務上限は現行の10兆6150億ドルから、11兆3150億ドルに引き上げられることになる。

ロイター

---

米国:金融対策、公的資金を最大75兆円 信用不安、懸念消えず 財政悪化も必至

【ワシントン斉藤信宏】米政府が金融危機対策の柱として検討している不良資産の買い取り組織に、最大75兆円規模の公的資金投入を検討していることが20日明らかになった。米株式市場は19日、危機対策の発表を受けて株価が前日に続き急伸。ダウ平均は2日間で770ドル超も上昇し、ほぼ前週末の水準を回復した。危機対策は、ペロシ下院議長(民主党)が「迅速に超党派で行動する」と述べるなど米議会も関連法案の早期成立に協力する姿勢を見せている。
米経済の先行きを見通すと、米政府が実施した所得税還付減税は、今月以降、急速に効果が剥落(はくらく)すると見られる。年末商戦に向け活発に動き出すはずの家計の痛みが深刻なだけに、例年通りの個人消費の盛り上がりは期待できそうにない。しかも、住宅や金融業界を中心にリストラが本格化しており、雇用の一段の悪化は避けられない情勢だ。
米政府が検討している不良資産の買い取り組織は、89年に設立された整理信託公社(RTC)がモデル。最大75兆円という巨額の買い取り額が検討されているが、「実際の買い取り価格が低ければ、金融機関は多額の損失処理を迫られることになる」(米エコノミスト)との不安の声もある。また、これにより米政府の財政が悪化し、他の政策運営への影響も指摘される
米政府は金融株の空売り禁止など政策を駆使して金融危機を乗り切る構えだが、信用不安再燃の恐れはなお残されている。

◇米の金融危機対策
・不良資産を公的資金で買い取る組織を設立。買い取り規模は最大75兆円
・金融機関の株式の空売りを禁止
・元本割れが相次いだ投資信託MMFの払い戻しを保証。5兆4000億円の基金を払い戻しに充てる
・政府管理下の住宅金融会社による住宅ローン担保証券の買い取り枠拡大

■ことば
◇整理信託公社(RTC)
80年代後半に米国で貯蓄貸付組合の不良債権処理に活用された。89年に設立され、公的資金を原資に95年末の業務終了までに4600億ドル(約50兆円)の不良債権を買い取った。だが、不良債権の売却時に損失が出て、約1200億ドルの財政資金が投入され、大半が国民負担になった。

毎日新聞 2008年9月21日 東京朝刊

---

米国:不良債権処理機関の設立検討 資産劣化防止狙う

【ワシントン斉藤信宏】米政府は18日、経営破綻(はたん)した金融機関から不良債権を買い取って処理する整理信託公社(RTC)型の公的機関を設立する方向で検討に入った。複数の米メディアが議会関係者の話として伝えた。
報道によると、ポールソン米財務長官と米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、既にブッシュ大統領との協議を終えている模様。同日夜にも、米議会幹部に組織の設立に向けた構想を説明する見通しという。
RTCは80~90年代に相次いで破綻した貯蓄貸付組合(S&L)の不良債権処理のため、89年に時限的に設立された。市場動向を見ながら時間をかけて不良債権を売却したため、経営状態の健全な金融機関の資産が劣化するのを防ぐ上で効力を発揮した。日本の不良債権処理の参考にもなった組織で、90年代の不動産バブル崩壊後に設立された整理回収機構のモデル。
RTC型の組織についてはこれまで、議会の一部で設立を求める声が上がっていたほか、米紙ウォールストリート・ジャーナルが社説で必要性を主張するなど設立の機運が盛り上がっていた。

毎日新聞

---

米政府、金融救済へ新機関検討 不良債権買い取り案も
2008年9月19日11時48分

【ワシントン=西崎香】米政府は、銀行や証券会社などの不良資産問題を解決する総合対策の検討に入った。政府が公的資金を投じ、不良債権を買い取る救済策などが有力だ。専門の機関設立も視野にある。政府の肩代わりという劇薬で金融機関の財務基盤を強化し、世界を揺るがす金融危機を鎮める狙いだ。
ポールソン財務長官と連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が18日夜、議会指導者らと緊急会談した。終了後、長官は「金融機関の貸借対照表(バランスシート)に計上されている現金化が難しい資産の問題で、総合的な処理策について協議した」と述べた。
大きく値下がりした資産を買い取ったり、経営危機の銀行に特別融資したりする案が検討される見通しだ。そのための新機関の設置案も浮上しているが、即効性を重視して政府・金融当局に買い取り権限を与える可能性もある。
ペロシ下院議長(民主党)は「早急に対応したい」と、超党派で取り組む姿勢を表明。公的資金の投入には、関連法案の成立が必要なため、議会側と今週末に向けて最終調整する。難航も予想されるが、決着すれば来週にも採決が期待されるという。
国民負担が膨れあがる危険性があるが、米国内では金融システムの機能回復と景気の下支えに必要なコストとの指摘が出始めている。米国は、80年代後半~90年代前半の貯蓄貸付組合(S&L)危機のときに不良資産を買い取る整理信託公社(RTC)を設立。国民負担は総額約1300億ドル(約14兆円)にのぼったといわれる
米国の金融機関は、サブプライム危機の表面化で保有する住宅ローン担保証券(MBS)などが暴落。四半期決算の度に巨額の損失を出し、資金調達も難しくなっている。不良資産を新機関に売れば、売却損が確定するため、将来の不安が減り、身軽になった分、融資などが出来るようになるとみられる。
また、十分な対策なしで金融機関が破綻(はたん)した場合に、資産が一気に売却されて値下がりに拍車をかける可能性がある。新機関が買い取った証券を時間をかけて売却することにすれば、証券価格も安定し、他の金融機関も資産価値が分かって財務不安が和らぐ効果が期待される。
総合対策では、国債などで運用する投資商品「マネー・マーケット・ファンド(MMF)」にも、連邦政府が一定限度で払い戻しする保険の導入を検討する。銀行破綻時に10万ドルまで保証される普通預金と同様の扱いをする案だ。市場混乱でMMFの運用会社も経営危機が懸念されるようになり、一般投資家にも不安がでていた。
市場の混乱が収まるまで、株式の「空売り」を全面的に禁止する案も浮上。金融機関の経営難をめぐる風説の取り締まりも強化する

朝日新聞

---

【米金融危機】不良債権処理の包括案 処理機構設立が柱 財務長官ら提案 
2008.9.19 10:22

【ワシントン=渡辺浩生】ポールソン米財務長官とバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は18日夜(日本時間19日午前)、議会でペロシ下院議長ら議会指導者と米国発の金融危機の解決策をめぐって協議し、金融機関が抱える不良債権を処理する包括的な枠組みを提案した。不良債権処理機関の設立が柱になるとみられる。
会談後、ポールソン長官は記者団に対して、「金融市場の混乱とシステミックリスク(連鎖破(は)綻(たん)の危険)に対処するため、立法措置が伴う包括的なアプローチを話し合った」と述べたうえで、不動産価格の下落などで劣化している金融機関の住宅関連資産などを処理する方策を提案したことを明らかにした。
バーナンキ議長は「危機の解決に向けて議会と一緒に取り組むことを待ち望んでいる」と述べ、ペロシ議長も「われわれには解決策が必要」と述べ、政府と協調する姿勢を示した。
政府側の提案の詳細は不明だが、1980~90年代の貯蓄貸付組合(S&L)危機の際には、整理信託公社(RTC)が設立され、S&Lから不良債権を買い取って処理した実績がある。米メディアによると、RTCをモデルにした不良債権処理機関の設立が柱となるとみられる。
低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発したこの金融危機では、住宅ローンの焦げ付きが多発し、サブプライム関連の金融商品の信用が劣化。市場での売却ができなくなり、金融機関の損失が拡大した。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻など金融システム不安を招く原因にもなった。
ボルガー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら有識者からも、RTC現代版の設立を求める声が上がっており、同構想の政府検討の報道を好感して18日の米株式市場は反発した。

産経新聞

(引用終了)

安全確実と見られていたMMF(マネーマケットファンド)の元本割れで、対策も打ち出されているようです。問題は、ABCPでした。

(引用開始)

米FRB、MMF保有のABCP買い取り資金を金融機関に融資へ
2008年 09月 20日 08:17 JST

[ワシントン 19日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は19日、市場安定化に向けた新たな措置を発表した。マネー・マーケット・ファンド(MMF)から資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を購入するための資金を金融機関向けに貸し出す。
FRBは声明で「イニシアチブの一つは、公定歩合でノンリコースローンを米預金取扱機関や銀行持ち株会社に拡大し、MMFから質の高いABCPを買い取るための資金を提供するものだ」と述べた。
「これにより、こうしたCPを保有するMMFが投資家の解約要求に応じることを支援し、ABCP市場や短期金融市場全般の流動性を促進する」と説明した。
FRBはまた、「市場の機能をさらに支援するために、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)から連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)、連邦住宅貸付銀行(FHLB)が発行した短期債を購入する計画だ」と表明した。
あるFRB高官は、MMFが保有するABCPは2340億ドルと推定され、資産全体の約12%に相当するとの見方を示した。MMFによる米政府系住宅金融機関(GSE)関連債券の保有額は690億ドルと推定した。
FRBは融資の規模については明らかにしていない。

ロイター

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-21 20:51 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(4) 日米欧による「USドル」供給 基軸通貨ドルの防衛

日本・アメリカ(FRB)・ユーロ(ECB)・イギリス・カナダ・スイスの中央銀行が、協調して「USドル」を市場に供給することが決まりました。日本銀行が、円ではなくドルを供給するのは、初めてのことだということです。

・FRBは各国中銀と、通貨を交換し合う形でドルを一時的に貸し出す「スワップ協定」を、締結・枠拡大
・スワップ協定(既存含む)の総額は、2470億ドル(約25兆8000億円)
・FRBが、5中銀のために用意したドルは合計1800億ドル(約18兆8000億円)
・協調策は2009年1月30日までの措置
・日銀は、総額600億ドル(約6兆3000億円)分の円とドルの交換協定を締結
・このうち最大500億(約5兆円)ドルを市場に供給
・ECBは、短期金融市場に400億ドル(約4兆1800億円)を緊急供給
・FRBは、1050億ドル(約11兆円)の資金を供給

a0037933_155125.gif

(図は読売新聞より引用)

(スワップ協定で、アメリカに預けられた巨額の「円」は、どうなるのでしょうね)

先日の記事でも述べましたが、短期金融市場での翌日物ドル金利が一時8%になるなど、どの金融機関もキャッシュを離したがらず、ドルでの資金調達が難しくなってきているようです。特に、(日本から見て)外資系金融機関は、自己資本が毀損していると見られており(事実だと思いますが)、短期であっても貸し手がないというような感じなのでしょう。

ただ、この協調供給の本質を一言で言いますと、基軸通貨USドルを防衛する、ということだと思います。いみじくも、伊吹文明財務相が、「アメリカ(FRB)の要請による、米ドルの信認低下を防ぐ措置」と言っているとおりです。

ここまで巨額の、文字通りジャブジャブの状態になるまでマネーを注ぎ込んでも、本質的な危機の解決にはならないことは、すでに述べているとおりです。あくまで延命措置、ということを忘れてはなりません。これで、リスクはアメリカ政府・FRBに「飛ばされた」ということになります。

これで解決にはなりません。供給した過剰のドルが、ドルそのものの信認を損なうことになるからです。延命措置のタイムリミットは、半年といったところでしょう。

(引用開始)

日米欧協調 ドル供給 18兆円規模 金融機関支援

【ワシントン=矢田俊彦】米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行、欧州中央銀行(ECB)など日米欧の中央銀行6行は18日、金融市場に総額18兆円規模に上るドル資金を供給する協調策をまとめて発表した。具体的には、FRBが日銀などと、通貨を交換し合う形でドルを一時的に貸し出す「スワップ協定」を結んだ。金融不安の拡大で、民間の金融機関がドル資金を借り入れることが難しくなっているため、世界の主要中央銀行が同時にドル資金の供給に乗り出すことで、効果的に市場の安定化を図るのが狙いだ。
日銀は、FRBから借りたドルを原資に、東京市場で金融機関にドル資金を貸し付ける。日銀が市場に自国通貨の円でなく、ドルを供給するのは初めてだ。
協調策は2009年1月30日までの措置。FRBが他の5中銀に貸し出すため用意したドルは合計1800億ドル(約18兆8000億円)で、日本銀行とは600億ドル(約6兆3000億円)の枠を設けた。5中銀のうちECB、スイス国民銀行(SNB)とすでに結んでいた協定の分を含めると、総額は2470億ドル(約25兆8000億円)となる。

米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)などで、欧米の金融機関の間では、互いの経営内容についての不信感が高まり、ドル資金の貸し借りがしにくくなっている。
このため、これまでも市場にドルを供給してきたFRBやECBに加え、日銀も含めた主要な中央銀行がそろって、「最後の貸し手」として金融機関にドルを貸し出すことにした。

米欧まず15兆円
欧州中央銀行は18日、短期金融市場にドル資金400億ドル(約4兆1800億円)を緊急供給した。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は同日、ニューヨーク連邦準備銀行を通じて市場に1050億ドル(約11兆円)の資金を供給した。(フランス中部ディジョン 是枝智、ニューヨーク 山本正実)

(2008年9月19日 読売新聞)

---

FRB、11兆円供給 米政府も緊急対応強化へ
2008年9月19日3時20分

【ワシントン=西崎香】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、金融機関の資金繰りを助けるため、総額1050億ドル(約11兆円)の資金を市場に供給した。FRBなど米金融当局と政府・議会は、金融システムを安定させる緊急対応を強化する。危機が深刻化すれば、利下げや景気刺激策、ドル安定策など「すべての持ち駒」(当局関係者)を検討する姿勢だ
FRBは資金供給で昨夏以来、最大級の流動性を供給した。ブッシュ大統領も同日、アラバマ州などでの日程を取りやめ、ワシントンで金融当局と協議することを決定。ホワイトハウスで「金融市場を強め、安定させる対策を続ける」との声明を読み上げた。
FRBは16日の定期会合では利下げを見送ったが、関係者は「金融システムの機能が危険なほど損なわれれば、緊急利下げも検討せざるをえない」と語る。
「ドル防衛」の姿勢も強めている。現時点ではドル相場は急落していないが、米金融機関への不安からドル離れが再び加速しかねない。
日米欧の中央銀行が今回のスワップ協定を締結した際も米当局者はドル安定の市場介入も視野に入れて「監視を続ける」との認識を示したという。
東南アジア諸国などの通貨不安も注視している。
一方、米議会は総額500億ドル(約5兆円)の第2次景気刺激策の法案を審議する準備を開始した。既に実施された所得税減税の効果が薄れ、年末に向け実質国内総生産(GDP)成長率がマイナスに転じる恐れがあるからだ。

朝日新聞

---

財務相「ある種のドル防衛策」 6中央銀行の協調行動で

伊吹文明財務相は18日、日銀など6カ国・地域の中央銀行が合意したドル資金供給の協調行動について「国際通貨であるドルに対し、全世界的にある種の防衛策を講じたということだ」と述べ、金融機関の破たん・再編で揺らいでいる米ドルの信認低下を防ぐ措置だとの認識を示した。財務省内で記者団に語った。
財務相は、今回の協調行動が米連邦準備制度理事会(FRB)からの要請に基づく措置だとした上で「(為替)市場に介入するためのお金とは全く違う」として、介入目的の対策ではないと明言。ドル資金の供給態勢が整えば「信用収縮を防ぐために歓迎すべきことだ」と語った。
与謝野馨経済財政担当相も同日、記者団に対し「タイムリーで正しい決断だ」述べ、歓迎する考えを示した。

2008/09/18 18:30 【共同通信】

---

日米欧の6中央銀行 大量のドル供給は危機感の表れ
2008.9.19 00:03

日米欧の6中央銀行が18日に打ち出した大量のドル資金供給は、市場参加者の疑心暗鬼でお金の出し手がいなくなる「信用収縮」に歯止めをかけなければ、破綻(はたん)の連鎖を招きかねないという強い危機感の表れだ。ただ、資金供給は傷ついた金融機関に“輸血”するだけの対症療法にすぎない。多額の損失処理に伴う自己資本不足を解消する抜本的な対策が急務だ。
日銀の白川方明総裁は同日の会見で「邦銀の外貨資金繰りに懸念を持っていない」と語り、ドル資金供給には、欧米金融機関を支援する狙いがあることを示唆した。
昨年12月以降、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、スイス中央銀行がドル資金供給で協調したことがあるが、6中銀が特定の通貨の供給で足並みをそろえるのは異例だ。
金融システムは「信用(クレジット)」によって成り立っている。参加者が誰も信用できなくなり、お金を出さなくなれば、「信用収縮(クレジット・クランチ)」が起き、システムは機能不全に陥る。
日本では平成9、10年に信用収縮が深刻化し、山一証券や北海道拓殖銀行などが資金繰りに行き詰まり、次々に破綻した。破綻の連鎖を回避するには、中央銀行が「信用」を補完し大量の資金を出すしかない。
ただ、「最後の貸し手」による救いの手は、民間金融機関の甘えを呼び、「モラルハザード(倫理の欠如)」を招くリスクがある。かつての日銀が行った大量の資金供給を続ける量的緩和も、その効果を疑問視する声が多かった。
欧米金融機関は損失処理で資本が棄損し、貸し渋りを強めている。白川総裁も「最終的には金融機関の自己資本への対応がない限り、問題解決はない」と指摘する。資本不足を解消するための公的資金投入に踏み切るかが、今後の焦点となる。(本田誠)

産経新聞

---

日米欧6中銀がドルを協調供給
2008.9.18 20:21

米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)、日銀など6カ国・地域の中央銀行は18日、米国発の金融危機に対応し、金融機関が資金をやり取りをする各国の短期金融市場に大量のドル資金を供給する協調行動を行うと発表した。市場では、米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)などによる信用不安から資金の出し手が不在となり、欧米金融機関が必要なドル資金を調達できなくなっている。“最後の貸し手”である中央銀行が資金を供給し、資金繰りの行き詰まりによる連鎖破綻を回避するのが狙いだ。
FRBは日銀、英、カナダとの間で、ドル資金を提供するため、相互の通貨を交換するスワップ協定を締結。すでに協定を結んでいるECB、スイスとは交換枠を拡大した。
日銀は総額600億ドル(約6兆3000億円)分の円とドルの交換協定を締結。このうち最大500億(約5兆円)ドルを市場に供給する。日銀がドル資金を供給するのは初めて。
供給先としては国内金融機関のほか、外資系金融機関55社を想定。
低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連の損失で資金繰りが悪化している欧米金融機関が、日本市場でドル資金を調達できるようにする。
ECBなどの他の中央銀行も自国市場でドル資金を供給する。各行は、母国通貨で資金を供給しているが、危機の沈静化には調達が難しくなっているドル資金を協調して供給する必要があると判断した。
18日に緊急会見した日銀の白川方明(まさあき)総裁は「ドルの短期金融市場では資金調達の不安感が高まっている。ドル市場の緊張感の高まりは各国通貨建ての市場にも影響を及ぼしている」と述べ、協調活動の狙いを説明した。
世界の金融市場では、リーマンが破綻する一方、保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が救済されたが、「次に破綻するのはどこ」という疑心暗鬼が広がり、資金の出し手がいなくなる「信用収縮」が深刻化している。

産経新聞

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-19 22:27 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(3) 日米欧の中央銀行が流動性供給 解決になるのか

日本・アメリカ・ヨーロッパの中央銀行は、これまでも市場に流動性の供給を行っていますが、その規模を拡大する模様です。

・白川総裁:「システミックリスク(金融危機)に直面した中央銀行がまず求められるのは(金融市場への)流動性の供給だ」「日銀としても円滑な資金決済と金融市場の安定確保に努めていく」
・日米欧の金融当局:協調して、16日までに計約36兆円の大規模な資金供給
・日銀:17日にも短期金融市場に3兆円の臨時の資金供給を実施、16日分と合わせて計5兆5千億円を市場に供給

(「日銀、さらに3兆円供給 AIG救済のFRBを評価」 朝日新聞

私は、この流動性の供給については、以下のような考えを持っております。

・確かに、資金ショートによる破綻や、連鎖倒産を防ぐような効果はある
・市場のセンチメントを改善する効果もある
・しかし、出血を止めずに輸血するようなものであり、根本的な解決にはなっていない
・流動性は、必要なところに割り当てられるとは限らず、濃淡がある
>たとえば、金融機関に十分な流動性を供給しても、貸しはがしが止まらないこともありうる
・必ずしも、信用収縮をストップし、信用創造倍率アップをもたらすとは限らない
・過剰な流動性は、ゆくゆくは投機資金となり、資産価値の乱高下をもたらす遠因となる

さて、以下のニュースを読むと、次のような記述が見られます。それについて、私のコメントを付記したいと思います。

・17日の市場では、翌日物ドル金利が一時8%に
>インターバンクのコール市場での年率換算金利と思いますが、どこの銀行も資金を出したがらず、資金の貸し手がないことで、リスクプレミアムがついた状態です

・国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、『金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性がある』と述べた。
>信用収縮は終わっておらず、まだまだ底を打つのは先だという見解でしょう。

・ 白川総裁によると、すでにリーマン・ブラザーズ破たんの前週末に、総裁はじめ資金調節担当レベルで他の中央銀行と情報を交換しながら、対応していたという。
>この時点で、リーマン・AIGなどに関するリスクシナリオについて、通貨防衛に関する協議は終わっていた、ということでしょう。足並みのそろった流動性の供給があったのも、頷けるところです。

(引用開始)

焦点:日銀総裁は米金融問題の長期化に言及
2008年 09月 18日 06:28 JST

〔東京 17日 ロイター〕 白川方明日銀総裁は17日の記者会見で、米国金融機関をめぐる情勢について、損失処理にめどが立たず長期化するとの見通しを示した。
米連邦準備理事会(FRB)がAIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)救済のため異例の措置に踏み込んだことに対し、総裁はぎりぎりの決断だったと理解を示したが、17日の市場では翌日物ドル金利が一時8%まで跳ね上がったほか、金融市場で信用不安は沈静化していない。
日銀でもこうした厳しい状況を認識し、システミックリスクへの警戒感を持って市場を注視している。白川総裁は国際金融市場の不安定さが日本の景気回復時期に影響する可能性にも及した。

 <米金融問題に厳しい見方、日本経済にも影響>
白川総裁は米金融機関の損失処理について、めどが立たない状況だとして「依然として問題解決に向けて険しい道のりが続いていると判断する」との厳しい見方を示した。何よりも米住宅価格の下落という根本問題があると指摘。金融市場の不安が長期化する可能性が高まり、日本経済についても「回復時期も含めて下振れリスクに注意が必要」だと述べた。 欧米での信用不安は企業金融にも影響を与え、経済活動を減速させるという金融不安と実体経済のスパイラルが予想されるためだ。
金融政策決定会合後に公表された日銀声明文でも、リスク要因として「国際金融資本市場は不安定さを増している」との認識が示された上で、世界経済についても、前月までの米国経済の下振れリスクを念頭に置いていた部分が、世界経済全体の減速を懸念する表現に置き換わった。
資源価格が下落に転じ、これまで景気悪化の要因だった交易条件悪化が改善するプラス要因があるものの、資源価格下落の背景にはマネーフローの変化だけではなく、世界経済の相当な減速があると見る日銀幹部も多く、日本の輸出減速の影響が大きくなれば、国内景気の回復は相当先にならざるを得ないとの声もある。

 <AIG救済策、信用不安の歯止めにならず>
白川総裁が米金融機関問題に対して厳しい見方を示した背景の1つには、AIGの公的管理が発表された後も、市場の信用不安に収まる気配が見えないことがあるようだ。FRBは最大850億ドルの有担保融資を実施し、米政府がAIG株の79.9%を受け取る救済案を発表、金融市場でも安心感からいったんは「質への逃避」の巻き戻しが起こった。
しかし、17日の欧州インターバンク(銀行間取引)市場では、翌日物ドル金利が一時、8%まで急上昇し、ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)も高止まっている。 
今回のAIGに対するFRBの対応は、通常の流動性供給を超え踏み込んだ内容となった。AIGの資産を担保とした資金供給という形をとり、貸し出しレートもLIBORプラス850bpと、スプレッドも大幅な上乗せ幅となり、ペナルティとして厳しい条件付きで融資を実行する。だが、FRBの融資で破たんを回避させるという、通常の中央銀行としての対応から大幅にかい離した手を打つことになった。
白川総裁もこうした対応について「システミック・リスクに直面した場合の公的当局の対応のあり方は、中銀については流動性の供給であり、資本不足の問題は国民の税金をどう使うのかという問題なので、政府・議会が決定すべき事項であるというのが概念的な整理」と指摘。FRBの対応が異例だったとの見方を示している。
FRBの踏み込んだ救済策にもかかわらず、市場ではむしろ救済される金融機関と破たんに追い込まれる金融機関の明確な区別の基準がないとして、疑心暗鬼から信用不安が増幅した状況になっている。日銀でもそうしたマーケットの情勢を認識している。
国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は17日、訪問先のジッダで、金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性があると述べた。
日銀も当面、主要国中央銀行と連絡を緊密にしながら、金融市場の動向を注意深くみていく方針だ。破たんしたリーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)やAIGの取引ポジションの行方がどう処理されていくのか、世界の金融機関がカウンターパティーリスクに敏感になり始め、価格形成やリスクプレミアムにどのような影響が出るか、日銀では注意をはらっていく方針だ。
また、資金の抱え込みが強まる中で、外国金融機関はこれまで円キャリー取引やサムライ債の発行で調達していたが、日本の金融機関が資金の出し手としてどう対応していくのか、様子を見ていくことも必要だとしている。
白川総裁によると、すでにリーマン・ブラザーズ破たんの前週末に、総裁はじめ資金調節担当レベルで他の中央銀行と情報を交換しながら、対応していたという。今後、外国中央銀行への資金供給に際して、クロスボーダー担保を受け入れるかどうかも、中央銀行間で検討することをこの日の会見で明らかにした。

 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

(引用終了)

---

関連する最近の記事も参照ください。

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中」

「日本・アメリカ・ヨーロッパがドル防衛の秘密協定 やはりドルは基軸通貨なのか」
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-19 09:34 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか

日々刻々と変化する、世界経済の情勢に、皆様も固唾を飲んで注目されていることと拝察します。

さて、ご存知のように、アメリカ政府とFRBが、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ。130カ国で事業展開する世界最大級の保険会社、本体の資産規模は1兆ドル)の救済に乗り出しました。FRBと財務省は、民間金融機関への協力要請を拒否されたことから、監督権限のない保険会社に対する、異例の支援を決断したようです。

・アメリカ政府とFRBは、850億ドルを上限につなぎ融資を提供
・融資期間は24カ月、金利はLIBOR(3カ月物)を基準
・AIGの資産と子会社株式を担保に
・アメリカ政府が79.9%の株式を取得
・事実上政府管理下で再建を図る
・AIGは、資産売却を通じ融資を返済

AIGが破綻すれば、全世界を巻き込んだ信用崩壊、すなわち「世界恐慌」になるのは、目に見えていました。ですが、「全面救済」と言うわけではなく、「安楽死」という表現になっています。「2年の間に、資産を整理して、会社をたたみなさい」というニュアンスに近いようです。

さて、アメリカ政府は、リーマン・ブラザーズには、モラルハザードを理由に、政府資金の投入を拒否したこともご存知と思います。なぜ、リーマンブラザーズは見捨てられ、AIGは(一応)救済されたのでしょうか?

一般的な見方としては、

AIGは、
・大きすぎて、つぶせない
・もし倒産すれば、世界的な大恐慌になる
・金融機関への保険を引き受けていることから、世界の金融システムからは必要不可欠

リーマンは、
・モラルハザードを重視
・猶予期間があったにもかかわらず、対応し切れなかった経営責任
・投資銀行的な証券会社であり、ベアスターンズのような独占的金融技術もないため、倒産しても、影響は限定的

本当にそれだけでしょうか?私は、「ドル防衛とヘッジファンドに対する、政治的な判断」があったのではないか、と指摘します。

まず、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の話です。このブログでも、1年以上前から、CDS問題を指摘してきましたが、AIGのとりあえずの最大の問題も、CDSです。

※クレジット・デフォルト・スワップとは : 文字通りでは、手持ちのお金と、将来の不履行可能性を、交換することです。保険料を支払い、何かトラブルがあったときに支払いを受けるという、保険のイメージが近いですが、オプションのようなデリバティブです。具体的には、ある債券が不履行になった場合にでも、CDSによる保証があれば、債券投資家は元利の支払いを受けられます。「債権者(投資家)」「債務者(債券発行者、金融機関や一般の会社など)」「保証者(CDS引き受け)」「保険者(CDSの代金支払い)」の4者の関係となります。非常に簡単に言うと、保証人は、CDSを引き受けることで、保険者から、現在のキャッシュを手にします。何もなければ良いのですが、債務不履行においては、決められた金額を支払う義務が発生します。CDSのみを切り離しで取引することも可能です。CDSは、オプションですので値段の決定が難しく、高等の金融工学が必要とされます。ベアスターンズが救済された理由として、CDSの値付けがベアにしかできなかったから、と言われています。

AIGの子会社のひとつに、AIGFPがあります。保険を証券化商品として取引させるために、非公開のCDS市場を取り仕切っています。もともと、CDSには公開された市場がなく、相対取引が前提となっています。AIGFPが仲介することで、流動性を付与できていたというところでしょう。非常に簡単に言うと、「倒産リスクを、見栄えが良いように切り分けて、販売仲介していた」という感じです。

AIGそのものは、保険会社としては優良な企業であったように思います。しかし、CDSに深く立ち入りすぎたために、どの程度のリスクがあるのか誰にもわからなくなり、民間金融機関による救済ができなかった、というところでしょう。これまでも指摘しているのと同様の、「大きなリスクが残っているという疑心暗鬼」だと思います。

かたや、リーマンには、そのような仲介役的な貢献はなく、レバレッジをかけた金融商品の運用により、市場の乱高下を促した、という判断なのかもしれません。ライブドアのMSCBを引き受けたというような、どちらかというとダークな一面も見え隠れします。

「レバレッジを効かせて、資産価値変動の波に乗っておいしい汁を吸い、巨額の報酬を得て、その割りにオフショアスキームを活用して税金は納めず、損失が出て分が悪くなったら、国民の税金で救済してほしい」という話には、アメリカ政府は乗らなかった、というところでしょう。今後は、すべてのヘッジファンドがそうだという意味ではありませんが、ヘッジの意味を失ったヘッジファンドには、逆風が待っているのだと思います。ジョージソロスがイギリスポンドを売り崩した話は有名ですが、アメリカはそれを許さない、ということなのだと思います。

ちなみに、リーマンは計7000億ドル超のデリバティブ(金融派生商品)の取引残高を持つと見られています。日本の国家財政規模に匹敵する程度の巨額ですが、のちほど述べる、世界全体のデリバティブ残高からすると、微々たる額と判断された、ということでしょう。

さて、世界全体のデリバティブの残高は、正確な数字は不明ですが、50兆ドル(2005年当時)と言われていました(過去の記事を参照)。現在では、さらに大きな数字となっていることでしょう。

日本銀行が把握しているところでは、商品デリバティブに金利先物などを含めたデリバティブ取引の全体の残高(想定元本ベース)は、約36.4兆ドル
・OTC(取引所外)取引:27兆5000億ドル(前期比10.1%増)
・取引所取引:8兆9000ドル(同37.4%増)
(2008年8月29日発表、デリバティブ取引における定例市場報告
となっています。一国の経済を吹き飛ばすのには十分大きな額なのですが、日本銀行がまだまだ把握し切れていない分があるはずで、この程度の額に収まっているはずがありません。なぜならば、デリバティブの一部であるCDSの推定残高が、軽く36兆ドルを上回るからです。

CDSの発行残高は、4500兆円とも、6500兆円とも、言われています。日本の1990年代の、バブル崩壊、金融危機、とは比べ物にならない、大きな危機が来ているのだと思います。

双子の赤字を抱えるアメリカで、このような信用収縮が起こり、信用崩壊に発展したことは、決して偶然ではありません。アメリカ国債が売れなくなる日は、そこまで来ています。そして、物価(インフレ)、金利、為替、のいずれか、あるいは全部、によって、「ドルの減価」がありうるのだと思います。

(引用開始)

米国発金融危機 最悪の事態回避 AIG救済 不安解消には時間

FujiSankei Business i. 2008/9/18

米連邦準備制度理事会(FRB)がアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対し850億ドル(約9兆円)の融資を承認したのは、取引先や顧客を世界中に抱える巨大保険会社の破綻(はたん)は金融システムを揺るがす事態に発展すると判断したためだ。
FRBによる融資期間は24カ月、金利はロンドン銀行間出し手金利(LIBOR)の3カ月物をベースとする。AIGの資産と子会社株式を担保にし、AIGは資産売却を通じ融資を返済する。政府は融資する代わりに同社の発行済み株式の79・9%を所有する権利を取得。事実上、金融当局管理下で再建を図ることになる。
AIGは、サブプライム(高金利型)住宅ローン関連損失で資本不足に陥り、16日は株価が一時1・25ドルまで急落。資金繰りも窮迫していた。FRBと財務省は民間金融機関にも協力を要請したが拒否され、監督権限のない保険会社に対する異例の支援を決断した。
AIG救済が決まったことで、リーマン・ブラザーズの破綻以降、信用不安が深刻化していた内外の金融市場には安心感が広がっている。大手金融機関の破綻が相次ぐ「負の連鎖」やドル暴落という最悪の事態はひとまず回避されたとの見方が強い。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「世界各国で消費者に身近な保険商品を取り扱うAIGが破綻すれば、その影響はリーマンとは比べものにならなかった。米当局の決断は市場には相当のプラスになる」と評価する。
米証券大手メリルリンチが米銀大手バンク・オブ・カリフォルニアに救済されたのに続き、英銀大手バークレイズがリーマンの北米投資銀行部門などの買収を発表し、重苦しいムードが漂っていた市場にも「ようやくあく抜け感が出てきた」(メガバンク幹部)という。FRBの決定でドルにも買い安心感が広がり、大和総研の亀岡裕次シニアエコノミストは「協調介入観測も遠のく」とみている。
一方で、FRBによる救済対象の線引きがあいまいな上、全米の地銀や貯蓄金融機関の経営問題もくすぶり、先行きはなお流動的だ。亀岡氏は「当局による破綻処理の線引きが明確でなく、“次のリーマン”探しを続ける市場の疑心暗鬼は解消されていない」とも指摘する。
米金融界や金融市場では今、ワシントン・ミューチュアルなど複数の大手貯蓄機関や地銀で経営不安がささやかれている。白川氏は「破綻連鎖が次のラウンドに向かう懸念がある。公的資金注入も含めた米当局の機敏な対応が必要」と話した。(ワシントン 渡辺浩生、柿内公輔)

---

金融崩壊:リーマン・ショック/中(その1) AIG処理、「2年で」最後通告

米証券4位、リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)で世界の金融市場で大混乱が続いた16日夜、米当局は米保険大手AIGに緊急融資し、政府管理下に置くことを決めた。
この措置は、AIG救済というよりも、安楽死を迎えるよう猶予期間を設けたという色合いが強い。米連邦準備制度理事会(FRB)はAIGに最大850億ドル(約9兆円)を融資するが、期間は24カ月。「2年間は事業継続に必要な運転資金を融資する。その間に資産売却や縮小を完了し、処理を終えよ」という最後通告でもある。
AIGは生命保険、損害保険の契約者など多くの顧客を抱える。投資銀行のリーマンはウォールストリートなど金融のプロを取引相手とするのに対し、130以上の国・地域に進出するAIGは「主要都市のメーンストリート」に事務所を構え、一般人も顧客に持つ。「突然死」させれば、影響は計り知れない。しかし徐々に整理・縮小していけば影響を最小限に抑える形で処理ができる。
米政府が突然の破綻を恐れた理由はほかにもある。AIGは企業向け融資や証券化商品が焦げ付いた際損失を肩代わりする「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)市場を主導する立場にあった。CDSは世界の大手金融機関や投資家の間で取引が急増、総額は60兆~80兆ドル(約6000兆~8000兆円)ともいわれる。市場での取引が滞れば、世界の金融市場は大混乱を飛び越し、大恐慌に陥る恐れがあった。

毎日新聞 2008年9月18日 東京朝刊

---

AIG救済 目前の危機は避けたが
2008年9月18日

米当局が信用不安に陥っていた保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の救済を決めた。とりあえず危機は回避できたが、住宅価格の下落が続く。警戒を緩められない。
米当局は証券大手リーマン・ブラザーズに対する厳しい姿勢から一転し、AIG救済に動いた。
連邦準備制度理事会(FRB)が最大八百五十億ドル(約九兆円)の融資枠を設定する一方、政府が約80%の株式取得権をもって、普通株や優先株への配当支払いを拒否する権利も保有する、という。
FRBと政府が役割分担した合わせ技による事実上の「国有化」といえる。「税金による民間企業の救済」と納税者の反発を招かぬよう、政府の介入をぎりぎりの線にとどめる救済策になった。
AIGの顧客には個人客が多く、破たんすれば世界中の消費者に打撃が大きい。日本でもアリコジャパンなど関連会社が生命保険やがん保険を販売し、生保三社の契約件数は国内大手に迫る規模だ。「私の保険はどうなるのか」という家計の心配も、今回の措置でひとまず和らぐはずだ。
加えて、保険会社は他の金融機関相互の取引も保証しており、証券単体がつぶれた場合よりも、悪影響は連鎖的に拡大しかねなかった。経済全体への打撃を避ける点で妥当な判断といえる。
ただ、ポールソン財務長官は証券最大手ゴールドマン・サックスの前会長兼最高経営責任者(CEO)だ。金融市場では「証券も保険も同じ民間。昔のライバルに厳しかった」という声もある。
AIGの救済を受けて、株式市場は反発し、為替市場もドル高に戻った。AIGはここでひと息つくことなく、経営責任を明確にして、不良資産の売却など経営再建に全力を挙げる必要がある。
これで金融危機が去ったともいえない。危機の根源にある米住宅市場は依然、値下がりを続けている。住宅価格が下げ止まらない限り、金融機関は新たな不良債権を抱えてしまう。
グリーンスパン前FRB議長は現状を「百年に一度の危機」と表現した。壮大な住宅バブルのつけを処理して、金融界が安定するまで、なお時間がかかるだろう。
米当局は日本の教訓に学びつつ「迅速処理が傷を小さくする」という米国流の荒療治も取り入れ、ケースごとの果断な対応を目指しているようだ。日本の当局も欧米と連携プレーが求められる。

中日新聞

---

焦点:日銀総裁は米金融問題の長期化に言及
2008年 09月 18日 06:28 JST

〔東京 17日 ロイター〕 白川方明日銀総裁は17日の記者会見で、米国金融機関をめぐる情勢について、損失処理にめどが立たず長期化するとの見通しを示した。
米連邦準備理事会(FRB)がAIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)救済のため異例の措置に踏み込んだことに対し、総裁はぎりぎりの決断だったと理解を示したが、17日の市場では翌日物ドル金利が一時8%まで跳ね上がったほか、金融市場で信用不安は沈静化していない。
日銀でもこうした厳しい状況を認識し、システミックリスクへの警戒感を持って市場を注視している。白川総裁は国際金融市場の不安定さが日本の景気回復時期に影響する可能性にも言及した。

 <米金融問題に厳しい見方、日本経済にも影響>
白川総裁は米金融機関の損失処理について、めどが立たない状況だとして「依然として問題解決に向けて険しい道のりが続いていると判断する」との厳しい見方を示した。何よりも米住宅価格の下落という根本問題があると指摘。金融市場の不安が長期化する可能性が高まり、日本経済についても「回復時期も含めて下振れリスクに注意が必要」だと述べた。 欧米での信用不安は企業金融にも影響を与え、経済活動を減速させるという金融不安と実体経済のスパイラルが予想されるためだ。
金融政策決定会合後に公表された日銀声明文でも、リスク要因として「国際金融資本市場は不安定さを増している」との認識が示された上で、世界経済についても、前月までの米国経済の下振れリスクを念頭に置いていた部分が、世界経済全体の減速を懸念する表現に置き換わった。
資源価格が下落に転じ、これまで景気悪化の要因だった交易条件悪化が改善するプラス要因があるものの、資源価格下落の背景にはマネーフローの変化だけではなく、世界経済の相当な減速があると見る日銀幹部も多く、日本の輸出減速の影響が大きくなれば、国内景気の回復は相当先にならざるを得ないとの声もある。

 <AIG救済策、信用不安の歯止めにならず>
白川総裁が米金融機関問題に対して厳しい見方を示した背景の1つには、AIGの公的管理が発表された後も、市場の信用不安に収まる気配が見えないことがあるようだ。FRBは最大850億ドルの有担保融資を実施し、米政府がAIG株の79.9%を受け取る救済案を発表、金融市場でも安心感からいったんは「質への逃避」の巻き戻しが起こった。
しかし、17日の欧州インターバンク(銀行間取引)市場では、翌日物ドル金利が一時、8%まで急上昇し、ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)も高止まっている。 
今回のAIGに対するFRBの対応は、通常の流動性供給を超え踏み込んだ内容となった。AIGの資産を担保とした資金供給という形をとり、貸し出しレートもLIBORプラス850bpと、スプレッドも大幅な上乗せ幅となり、ペナルティとして厳しい条件付きで融資を実行する。だが、FRBの融資で破たんを回避させるという、通常の中央銀行としての対応から大幅にかい離した手を打つことになった。
白川総裁もこうした対応について「システミック・リスクに直面した場合の公的当局の対応のあり方は、中銀については流動性の供給であり、資本不足の問題は国民の税金をどう使うのかという問題なので、政府・議会が決定すべき事項であるというのが概念的な整理」と指摘。FRBの対応が異例だったとの見方を示している。
FRBの踏み込んだ救済策にもかかわらず、市場ではむしろ救済される金融機関と破たんに追い込まれる金融機関の明確な区別の基準がないとして、疑心暗鬼から信用不安が増幅した状況になっている。日銀でもそうしたマーケットの情勢を認識している。
国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は17日、訪問先のジッダで、金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性があると述べた。
日銀も当面、主要国中央銀行と連絡を緊密にしながら、金融市場の動向を注意深くみていく方針だ。破たんしたリーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)やAIGの取引ポジションの行方がどう処理されていくのか、世界の金融機関がカウンターパティーリスクに敏感になり始め、価格形成やリスクプレミアムにどのような影響が出るか、日銀では注意をはらっていく方針だ。
また、資金の抱え込みが強まる中で、外国金融機関はこれまで円キャリー取引やサムライ債の発行で調達していたが、日本の金融機関が資金の出し手としてどう対応していくのか、様子を見ていくことも必要だとしている。
白川総裁によると、すでにリーマン・ブラザーズ破たんの前週末に、総裁はじめ資金調節担当レベルで他の中央銀行と情報を交換しながら、対応していたという。今後、外国中央銀行への資金供給に際して、クロスボーダー担保を受け入れるかどうかも、中央銀行間で検討することをこの日の会見で明らかにした。

 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-18 17:19 | 経済状況

世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中

来るべき時が、今、来つつあるのだと思います。

つい先日、リーマンブラザーズの分離処理(不良債権を切り離して、優良部門は売却。残りカスは、公的資金や金融業界で、奉加帳形式で処理。)の話が出ていましたので、「リーマンの飛ばしも、最終段階に入った。そろそろだな。」と思っていました。そして、とうとう(やはり)、リーマンブラザーズの破綻が決定的となったという次第です。

アメリカの公的機関が、公的資金の投入を拒否したところで、将棋で言う「詰み」となったのです。アメリカ政府やFRBには、潤沢な資金(印刷するだけですから)がありますので、「無い袖は振れない」という理由ではないでしょう。もともとリーマンには黒い噂があったようですし、「この時期に、リーマンをつぶしてやろう。それで死肉をあさって、損失は各方面に飛ばし、本体のドルシステムは生き延びよう」という意図も、あったのかも知れません。

金融収縮が、単なるバランス(オフバランス含め)の損失にとどまらず、実体経済に危機を及ぼす「信用崩壊」のステージに進行したことが決定付けられた、印象深いニュースでした。もちろん、その次のステージは、「ドルシステムの瓦解」です。

このブログは、データに基づいた未来予測をしますが、未来予言ブログではありませんので、「リーマンがヤバイ」などとは書きませんでした(書きたくても書けません)。同じ理由で、「次は、○○だ」とも、書きません。(○○には、好きな文字を入れてください。)

今後、いくつか、確実なことがあります。

・リーマンが保障していた債券の保障が外れるため、それら債券の価値は急落する
・リーマン自体が発行した債券は、紙クズ(不履行)になる
・リーマンが発行した債券の保障をしていた銀行などは、保証金の支払いを求められる
・CDSなどのデリバティブは、誰も引き受け手がなくなり、市場が崩壊する
・実体経済に強い影響が及び、実物資産(不動産など)の相場はさらに下落する

もちろん、連鎖倒産も、ありうるでしょう。

以前から書いていますように、信用収縮は、デリバディブの「レバレッジ」により増幅されて、信用崩壊につながるのです。増大したリスクをコントロールできずに、金融工学が実物経済を台無しにしてしまうのでしょう。

そして、最終的には、金融力と軍事力により裏付けられていたドルシステムは、(日本や中国などがカネを出さなければ)瓦解をまぬかれないといったところです。

もちろん、日本も無傷ではいられません。かなりの延焼、場合によっては緊急避難、そして相当の資金供出、を覚悟する必要があるでしょう。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

【米金融危機】「流血の日曜日」 リーマン連邦破産法申請へ
2008.9.15 19:55

14日、ニューヨーク・マンハッタンのリーマン・ブラザーズ本社(ロイター=共同) 【ニューヨーク支局】経営危機に陥っていた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すると発表した。一方、リーマン救済を模索した米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日、証券3位のメリルリンチを500億ドル(約5・3兆円)で買収すると発表した。さらに、米保険首位のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も経営不安が拡大、米連邦準備制度理事会(FRB)に400億ドル(約4・2兆円)の短期融資を要請したことが表面化した。サブプライムローン問題に端を発した米金融市場の動揺は、大手金融機関の連鎖不安に発展して金融危機の様相を帯びており、米メディアは「流血の日曜日」と報じた。
リーマンをめぐる救済策は、金融当局と民間金融機関がニューヨーク連銀で12日夜から協議を続けた。民間側は将来の損失回避に政府の支援を求めて交渉は難航。最後はバンカメと英銀大手バークレイズによる買収が検討されたが、米政府は公的資金注入を拒否して頓挫した。
一方、バンカメは、サブプライム問題の関連損失で経営不安が続くメリル救済の交渉の鉾先を変え、金融市場の混乱回避のため救済合併で合意した。証券大手の危機がリーマンからメリルに及ぶのを抑えたい意向から、金融当局が後押しに動いたとの見方もある。

株主総会や独禁当局の承認を得て、2009年1~3月期までに統合を完了する予定。統合後のバンカメの資産規模は約2・5兆ドル(約260兆円)となり、シティグループを抜いて全米最大の金融機関となる見込み。
バンカメのケネス・ルイス会長兼最高経営責任者(CEO)は「相乗効果により企業価値が高まる」とのコメントを発表。幅広い顧客層をもち個人取引に強いバンカメと、企業取引や富裕層に基盤をもつメリルの組み合わせが、より強みを発揮できると強調した。
米金融業界では今年3月、5位のベアー・スターンズが米銀3位のJPモルガンチェースに救済合併されるなど、サブプライム問題に伴う巨額損失を抱えた大手金融機関への信用不安に発展した。
傷みが激しい金融機関は資産売却や人員整理に加え、自力で巨額の増資を募るなどリストラに奔走している。この日はまた、保険最大手のAIGもFRBに巨額のつなぎ融資を要請していたと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が報じるなど、危機の連鎖に歯止めがかからない状態だ。

リーマン・ブラザーズ 米証券4位。リーマン3兄弟が1850年に創業。本社はニューヨーク。ニューヨーク、ロンドン、東京を3大拠点と位置付け、20数カ国に展開。東京支店は1986年に開設。従業員は世界で約2万5千人。2008年6~8月期決算見通しは最終損失が39億2700万ドル。赤字は2四半期連続で、1994年の株式上場以来最大。(ニューヨーク 共同)

産経新聞

---

リーマン、破産法の適用申請…バンカメはメリル合併発表

【ニューヨーク=山本正実】経営難から身売り交渉を進めてきた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、自主再建を断念し、連邦破産法11章に基づく会社更生手続きの適用を申請した。
一方、米銀行2位のバンク・オブ・アメリカは同日、米証券3位のメリルリンチを救済合併することで合意したと発表した。
低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題に伴う昨年夏以降の混乱は、米金融業界の大型再編に発展した。
リーマンは14日、身売り先として最後まで有力視されていた英バークレイズから、買収を断念したと通告された。バンク・オブ・アメリカも一時、リーマン買収を検討したが、公的資金投入など米政府による支援が得られなかったため、メリルの買収に方針を転換した。
バンク・オブ・アメリカとバークレイズの両行が買収交渉から退いた結果、リーマンは法的整理に追い込まれた。
バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収総額は約500億ドル(約5兆3000億円)。2009年3月までに合併を完了させる予定だ。
メリルは4~6月期まで4四半期連続で赤字を計上し、今回のリーマンの経営危機に連鎖し、株価が急落していた。このため、バンク・オブ・アメリカに救済してもらう形になる。
米大手銀行・証券が破産法の適用を申請するのは異例だ。身売り先が見つからず、自主廃業を迫られた日本の山一証券と似た状況と言える。3月に事実上、破たんした米証券5位のベア・スターンズに続き、半年間で3社の大手証券が淘汰(とうた)にさらされる異常な事態となった。

(2008年9月15日15時59分 読売新聞)

---

金融庁、リーマン証券に資産保有命令 国外流出防ぐ狙い
2008年9月15日18時25分

米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を受けて、金融庁は15日、日本法人であるリーマン・ブラザーズ証券に対し、金融商品取引法に基づき資産の日本国内での保有命令と業務改善命令を出した。
同社の資産が国外の関連会社などに流出し、日本の債権者や投資家の利益が害されるのを防ぐのが狙い。日本国内の資産を正確に把握し、投資家から預託を受けた資産の保全を命じたほか、会社の財産を不当に使うことがないよう命じた。
金融庁によると、同社の預かり資産は、法人の機関投資家や個人の富裕層の合計で約1兆2000億円にのぼる。

朝日新聞

---

UPDATE1: 金融庁がリーマン・ブラザーズ日本法人に資産の国内保有命令、投資家保護で業務改善命令も
2008年 09月 15日 18:44 JST

[東京 15日 ロイター] 金融庁は15日、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)が連邦破産法第11条の適用を申請したことを受けて、日本法人のリーマン・ブラザーズ証券に対し、資産の国内保有命令と業務改善命令を出したと発表した。米国の親会社の経営破たんによって、日本の投資家や顧客の利益が害される事態が生じない措置を講じる必要があると判断した。日本法人の資産が海外の関連会社に流出するのを防ぐほか、日本の証券会社として投資家保護を徹底するよう命じた。
資産の国内保有命令は、金商法56条の3に基づく。金融庁は、リーマン日本法人の海外向けの債務を除く資産を日本国内に置いて保有するよう命じた。
また、業務改善命令は、金商法51条の規定に基づき発動。法令違反がない場合でも、投資家保護のために必要と判断すれば発動される改善命令で、金融庁はリーマンに対し、1)投資家の資産の正確な把握、2)顧客資産の保全、3)投資家保護に万全の措置、4)投資家の資産の保全についての周知徹底――の措置を命じた。

ロイター

---

http://jp.ibtimes.com/article/biznews/080915/22697.html

バンカメ、メリルを500億ドルで買収へ
2008年09月15日 15:05更新

14日夕、大手金融機関各社によりリーマンなど経営困難に陥っている金融機関へ総額700億ドルの資金を拠出する計画が発表された。
これは世界金融市場の混乱を回避するために行われるもので、リーマンに対し、バンクオブアメリカ、バークレイズ、シティバンク、クレディスイス、ドイツ銀行、ゴールドマンサックス、JPモルガン、メリルリンチ、モルガン・スタンレーおよびUBSが、市場の流動性を高め、予期せぬ市場の乱高下を回避するためにそれぞれ70億ドルずつ拠出することになるという。また米連邦準備理事会(FRB)投資銀行各社への緊急融資プログラムを拡大していく予定であるという。
市場では、リーマン不良債権資産買い取りに関する先行き不透明感を受け、14日ダウ工業株30種平均の電子取引では300ドル以上下げ、アジア各市場でも株価の下落が目立っている。
なお、リーマンと同様住宅ローンの評価損などの危機に苦しんでいる米メリルリンチもバンクオブアメリカ(バンカメ)に一株29ドルで買収されることで合意したことが明らかになった。バンカメとメリルリンチが合併することでシティグループに匹敵するグローバル金融グループができることになる。
バンカメのメリルリンチ買収については、アナリストの多くが一定の評価を下している。メリルを買収することで、バンカメの窓口業務をメリルの抱える莫大な顧客に対して展開することができる。バンカメはこれまでも投資銀行部門を抱えていたが、それほど力強いものではなかった。一方で、両社の合併にともない、多くの従業員が削減される懸念も生じている。メリル、バンカメ両社ともに過去1年間で数千人の従業員を解雇している。
米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も信用収縮の影響に苦しんでおり、15日までに航空機リース事業など保有資産の処分などのリストラ策を発表すると報じられている。
米投資家らは米金融機関の健全性に神経をとがらせている。国際通貨基金(IMF)は今年度初めに信用収縮による世界金融機関損失額は合計でほぼ1兆ドルに達するだろうと予測した。これまでのところ、世界金融機関の今年度損失額は3,500億ドルにとどまっている。

(引用終了)

関連した過去の記事も参照ください。

(転載開始)

世界同時株安と円高(3) 問題の本質はCDO発の信用創造縮小 クレジット・スプレッドは急拡大

投資銀行、証券会社については、今回の信用収縮の裏の主役とも言えますが、いずれも巨額の損失を抱えていると言われています。(GS:ゴールドマンサックス、MS:モルガンスタンレー、LEH:リーマンブラザーズ

---

サブプライムローン破綻(3) サブプライム・ショックは世界同時株安へ 日本国破産の遠因か

サムライ債(円建て外債)についても、ベアー・スターンズ、米リーマン・ブラザーズなどのスプレッドはワイドなままだ。

---

アメリカの経済状況は引き続き低調 ストックとフローの悪化 オスプレー・ファンドのクローズと資源価格

資産運用会社オスプレー・マネジメントは2日、傘下の「オスプレー・ファンド」の閉鎖計画を明らかにした。同ファンドにはリーマン・ブラザーズが出資していたことも話題を呼んだ。・・・市場を左右するのは引き続き海外要因だ。9月半ばからのリーマンやゴールドマン・サックスの決算については、すでにアナリストによる下方修正が相次いでいる。

(転載終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-15 22:05 | 経済状況

健康保険組合解散相次ぐ 医療制度改革で負担増 日本の健康保険制度そのものの維持可能性

皆様もニュースでご存知のように、京樽の健康保険組合が解散、加入者は国が運営する政府管掌健康保険組合に移行したということです。

そもそも、健康保険とは、日本の公的医療保険制度であり、社会保障のうち社会保険(医療保険)に分類されます。健康保険に加入する被保険者が、医療の必要な状態になったとき、医療費を保険者が一部負担する制度のことです。日本では、生活保護の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民(および日本に1年以上在留資格のある外国人)が、何らかの形で健康保険に加入するように定められています(国民皆保険)。(wikipedia)

健康保険の種類としては
(1)被用者保険
・政府管掌健康保険(政管健保)
・組合管掌健康保険(組合健保)
・船員保険
・共済組合
(2)国民健康保険
・国民健康保険(国保)
・国民健康保険組合

さて、健康保険組合解散相次いでいる原因としては、医療制度改革に伴う負担増とされています。もう少し詳しく見てみると、今年度からの医療制度の見直しにより、高齢者医療拠出金の負担が増えたことが原因ということです。先月は、西濃運輸の健康保険組合も解散しており、今後同様の動きが広がると指摘されています。

a0037933_17174120.jpg

(図表は、「健康保険財政の長期推計~少子高齢社会における新制度の持続可能性~」 JRI news release ビジネス環境レポート No.2006-12 から引用。以下同じ)

実は、今年4月以降の半年で13組合が解散しており、すでに昨年度(12組合)を上回っています。厚生労働省によれば、来年4月までに解散したいとの相談が4組合からあり、今後も解散の増加が見込まれます。

西濃運輸の健保の高齢者医療制度への拠出金は、36億円(前年度。保険料は月収の8.1%に相当)から58億円(今年度)と、約22億円増加。京樽の健保も医療費負担が2倍以上になりました。負担増分を保険料(労使折半)で賄うとなると10%以上になり、政管健保の保険料8.2%を超過するため、独自の健保を維持するメリットはなくなり、解散したい、となるわけです。(健保の平均保険料は7・3%)

本当に、そんな簡単な問題でしょうか?もう少し考えてみたいと思います。

後期高齢者医療費
支出:11兆円
収入:1兆円(窓口負担)、1兆円(老人保険料)、4兆円(健康保険拠出金)、5兆円(税金)

このように、約4割が、現役世代の健康保険からの拠出金で賄われています。実は、健康保険の種別によっても負担の差異がありまして、

・国民健康保険 保険負担50%、国庫補助50%
・政府管掌健康保険 保険負担87%、国庫補助13%*
・健康保険組合 保険負担100%、国庫補助0%

*政管健保の国庫補助率は、16.4%から20%の間と、健康保険法に規定されています。しかし、財政の黒字を理由に1992年、暫定的に補助率が13%となり、これが現在まで続いています。

となっています。

前期高齢者医療費
支出:5.1兆円
収入:そのうち0.2兆円(健康保険拠出金)

今年度は、現役世代の健康保険からの拠出金が、0.2兆円から1.1兆円へと増額されることとなっています。なぜでしょうか?昨年度までは、退職者医療制度として、支出が健保の旧加入者の医療費に限られていました。しかし、今年度からは、前期高齢者の多くが加入する国民健康保険への支出へと、範囲が拡大されたためです。

厚労省の調べでは、約1500の健保全体で、
・後期高齢者医療制度:700億円の負担増
・前期高齢者医療制度:3200億円の負担増
・合計:3900億円の負担増

a0037933_17214232.jpg

(図は、赤旗から引用)

この負担増は、保険料アップとして、労働者も負担することになります。たとえば、人材派遣健康保険組合の公表した数字によると、月収24万円の派遣労働者だと、7320円/月(6.1%)から9120円/月(7.6%)になります。

今後は、どのようになっていくのでしょうか?

まず、国民医療費の将来推計を見てみましょう。
『後期高齢者人口は、05 年度の1,157 万人から30 年度の2,097 万人まで一貫して増え続け、いったん僅かに減少するものの再び増加に転じ、50 年度には2,162 万人に達する見通しである。加えて、1 人当たりの医療費の伸び率を、本稿は政府推計の前提同様、70 歳未満および70 歳以上について、それぞれ2.1%、3.2%と仮定している。そのため、70 歳以上の1 人当たり医療費と70 歳未満の1 人当たり医療費の乖離幅が時間の経過とともに大きくなっていく。』

a0037933_17231066.jpg

(図、文とも、JRI news release ビジネス環境レポート)

次に、健康保険財政の将来推計を見てみましょう。
『組合健保(注13)の08 年度の支出5.8 兆円に占める医療給付費と支援金等は、それぞれ55%の3.2 兆円、45%の2.6 兆円となっている。15 年度になると、医療給付費と支援金等は、それぞれ3.6 兆円、3.5 兆円とほぼ等しくなる。以降、政府推計がない期間についてみていくと、支援金等が医療給付費を上回り、その幅も大きくなる。例えば、25 年度には、医療給付費4.2 兆円に対し支援金等は0.5 兆円上回る4.7 兆円、50 年度には、医療給付費5.5 兆円に対し支援金等は4.1 兆円上回る9.6 兆円となる。支援金等のうち、増加が著しいのは、後期高齢者支援金であり、2008 年度には支援金等2.6 兆円のうち約半分の1.2 兆円であったものが、50 年度には同9.6 兆円のうち6.5 兆円になる。このように、組合健保が、企業と被用者から健康保険料を集めるのは、加入者へ医療給付を行うためという組合健保本来の目的よりも、支援金等を支払うためという、いわば主客転倒した姿になることを推計結果は示している。
政管健保も、タイミングこそ組合健保より遅いものの、支援金等が医療給付費を上回る。』

a0037933_17234437.jpg

(JRI news release ビジネス環境レポート)

同時に、高齢者医療制度が、すさまじい規模となることとなっています。

このレポート健康保険財政の長期推計~少子高齢社会における新制度の持続可能性~」では、必要な支出は保険料によって必ず賄われるという仮定に基づいていますが、実際には、

(組合健保と政管健保)
・加入者数の抑制、企業による正規雇用の抑制 (以前から進行中)
・組合健保そのものの解散 (今ここ)
・政管健保の不正な適用逃れ (今後)

(国保)
・納付率のさらなる悪化 (以前から進行中)

によって、制度の持続可能性があるとは言えない、と指摘しています。

簡単に言うと、高齢者医療制度問題は氷山の一角であり、日本の健康保険制度そのものが成り立たなくなる日が、すぐそこまで来ている、ということです。

(引用開始)

京樽健保組合が解散 高齢者医療の負担重く政管健保に移管

吉野家ホールディングス傘下で持ち帰りすしチェーンを展開する京樽の健康保険組合が、高齢者医療制度への拠出負担増などにより9月1日付で解散したことが9日わかった。社員とその家族など約3500人の加入者は全員、国が運営する政府管掌健康保険(政管健保)に移った。8月の西濃運輸健保組合の解散に続く動きで、健保組合に依存する医療制度の持続性にも影響を与えそうだ。
京樽によると、今年4月の医療保険制度改革に伴い、高齢者医療制度への拠出など前年度比2億円強の負担増が見込まれ、現行8.2%の保険料率を10%以上に引き上げる必要性が生じた。このため、健保組合を解散し、保険料率の面でも有利な政管健保に移ることを決めたという。
政管健保の財源の一部は国庫負担によって支えられているため、今後も健保組合の解散が相次いで政管健保に移行すれば、国民負担の増大につながる恐れもある。

日本経済新聞

---

持ち帰りすし「京樽」の健保も解散 政管健保に移行
2008年9月9日12時31分

持ち帰りすしのチェーンを展開する京樽の健康保険組合が1日付で解散し、国が運営する政府管掌健康保険に移行していたことが9日分かった。高齢者の医療制度の見直しで負担が増し、運営が困難になったという。
京樽は牛丼チェーン吉野家ホールディングスの子会社で、京樽健保(89年設立)の加入者は扶養家族も含めて3500人。同社によると、08年度は前年度比2億円の負担増が見込まれ、「自助努力では、負担できないため」と、政管健保への移行理由を説明している。解散のための厚生労働相認可は8月8日に出ていた。
先月には運輸大手・西濃運輸グループの健保組合が解散している。高齢者の医療費をまかなう拠出金の負担増で、健保組合の解散が続く可能性がある。

朝日新聞

---

中小企業の新健保、10月発足 財政基盤の強化急務

中小企業の社員らが加入する政府管掌健康保険(政管健保)を引き継ぐ全国健康保険協会(協会けんぽ)が、10月1日に発足する。政管健保は医療費の増大などから2007年度に赤字に転落。保険料率を引き上げなければ、財政の安定のために積み立ててきた「事業運営安定資金」が09年度に枯渇する。財政基盤に不安を抱えた新健保は発足当初から厳しい運営を迫られる。
高齢化で医療費が膨らんでいることに高齢者医療制度への拠出などが加わり、健保財政の悪化は構造的な問題になっている。安定資金の積立残高は07年度末に3690億円あったが、08年度末には1800億円に減少する見通し。保険料率を引き上げなかった場合、09年度の単年度収支は2700億円の赤字が見込まれ、安定資金は差し引き約900億円のマイナスに陥る。(07:00)

日本経済新聞

(引用終了)
[PR]
by kanconsulting | 2008-09-14 17:38 | 経済状況