<   2011年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

原発事故による汚染の急拡大 成長の限界が急速に前倒し

先日のエントリーで、

『日本においては、福島第一原発事故による「汚染」の急拡大により、「成長の限界」が急速に前倒しになり、前提条件が大きく変わってきた(生き延びるためのリソースの奪い合いになる)』

と書きました。これはデマや風説ではありません。

「成長の限界」という文脈で「汚染」と言いますと、その汚染を除去するのにもリソース(エネルギー、金属や石油などの有形資源、工数)が必要ですし、放置すると農業生産が停滞したり/直接間接に人類の健康を損なうことで、どちらにしてもリソースを損なううえに、成長の限界を前倒しする厄介な存在であるというニュアンスがあります。

特に、食物連鎖を通じて体内に取り込まれる汚染物質の恐ろしさは、日本は何度も経験しているはずです(水俣病、その他)。放射能(放射性物質)は、体内の生体組織の内部から直接に遺伝子を破壊するという性質があるため、可能な限り内部被爆を避けるべきであるというのが常識です。

それを担保するために、法律で認められた一般国民の年間被爆量は、1ミリシーベルト/年です(外部被爆+内部被爆)。ちなみに、放射線被爆による白血病発病が労災と認められた最低線量は、5.2ミリシーベルト/年ですから、5倍ほどの安全値を見ていると考えて良いでしょう。

今ここに、「多少は汚染されているかもしれないが、被災地の農産物を買うことで応援しよう」「多少の放射能は日本国民全員で負担しよう」という風潮があります。それに加えて、「検査すると多少の放射能が検出され、忌避されてしまうので、検査自体を拒否しよう」「これくらいなら多分大丈夫だろうし、知らなかったことにして、こっそり出荷してしまおう」という意図があってもおかしくありません。

福島県の小学校で、「今こそ地産地消」「風評被害の解消」「地元産の野菜が安全であることを全国にアピールするため」として、福島県産の野菜が学校給食に提供されていたことも記憶に新しいところです。

放射能が検出されているのは、各種の野菜、牛乳、小型の魚、茶葉、そして新たに肉牛ですが、これも特段に驚くべきことではありません。肉牛はトレサビリティがあるので追跡が容易ですが、「牛乳」のようにブレンドしてしまえるものはどうでしょう?畜肉であっても、ミンチなどに加工してしまえば?

ご存知のように、国は「放射能の除染」には、あまり乗り気ではありません。

そして、おそらく国には「内部被爆は、できるだけ認めない」という方針がある以上、「将来にガン・白血病などが増えたとしても、個々のケースで因果関係を証明することはできず、国は知ったことではないし、当然補償もしない」というストーリーがあるものと思います。

長々と放射能の話を書いたのは、『国(政府)が国民を十分には守らない/守れない』というひとつのケースとして、納得いただけると思ったからです。

上のほうに書いた成長の限界におけるトレードオフから言いますと
・汚染を除去するのにはリソースが必要 ・・・ お金と人手がかかるので、消極的に実施
・農業生産について出荷停止の場合は補償するが、禁止しない ・・・ 規制値以上を出荷しても罰則なし
・やむなく、国民の健康を「薄く・広く」犠牲にする ・・・ 消去法で、この選択肢が残る

今後、食料自給率の低い日本で、エネルギーと食料の輸入がダブルで増えることで、世界の中での日本を巡るマネーフローが、かなり異なった風景となることが予想されます。

(このエントリーは、2011年7月ころに記載していたものですが、長い間、公表をためらっていました。しかし、いつまでたっても良心的な解決策が見られず、逆に「食べて応援」「ガレキ拡散」などの、悪魔的といっても良い方針のみが実施されているところ、もはや救いようがないとして、公表に踏み切るものです。)
[PR]
by kanconsulting | 2011-07-13 02:28 | 経済状況

未来新聞 国家破綻は「残余のリスク」 国民の生命・財産に直ちに影響はありません

未来新聞より

『今回の経済的事象は、国民の財産には、ただちには影響はありません。不要不急の預金は銀行から下ろさないでください。不要不急の株式・債券は、売却せずに保有してください』(某国政府報道官のコメント)

『このような事象は、現在のギリシアや、過去の外国のデフォルト事例と比べても低いレベルにとどまる。・・・想定外である。銀行団により国債が順調に消化され、リスクプレミアムと金利が急騰することがなければ、このような爆発的事象は起こることはなかった』(某国政府報道官のコメント)

『国家の財政が破綻するというリスクは、もしそれが実現した場合には国富の大半が失われることになるが、「異常に巨大な経済的変動」がなければありえないものとして、通常の国家運営においては「残余のリスク」とみなして問題ない』(某国の政府内部資料)

『国の財政が破綻するなどという「風説」は、国債などの金融商品に対する「風評被害」をもたらすため、取り締まられなければならない』(某国の経済警察)

明かに事故なのに「事象」。影響が出ることは明白なのに、観測期間より短いスパンで「ただちには影響はない」。「不要不急」って何ですか。他の事例と比べて「低いレベル(マシ)」という甘めの自己評価(後に評価替え)。想定外を想定するべき職務の人間がいとも簡単に言う「想定外」。想定外が重なったから自分には責任はないという責任逃れ。「残余のリスク」とは、それが起こったら対象範囲の国民はあきらめてね、という意味。「風評」とは、リスク感受性の高い国民層の本音の評価。

---

『日本国政府が、国民の生命・健康・安全を守らない/守れない、ということが(この大震災の対応を経て)明らかとなった。であれば、生命の次に大切な国民の金融資産を守るはずがないではないか。』(国家破綻研究ブログ管理人kanconsulting)

『1000年に1度の巨大地震・巨大津波を想定すべきであるとすれば、日本国内でわずか70年前、世界に目を転じれば10年に1度は起こっている「デフォルト」を想定しないのは、都合の悪い想定を「起こるはずがない」「前提条件が異なる」「パニックを引き起こす」などとして黙殺している人間がいるからです』(国家破綻研究ブログ管理人kanconsulting)

---

読者様

最近は、意図的にエントリーの数を落としております。それにはいくつかの理由があります。

・もはや警鐘を鳴らす時期は終わり、ポイント・オブ・ノーリターンをすでに越えてしまったから
・すでに一定水準の情報統制がひかれており(ご存知ですよね?)、今後は監視・規制がさらに厳しくなるため
・「その時」をどう生き延びるかを、緊急に提案しなければならないが、将来の不確定要素を踏まえた上での確実な提案はなく、また、誤解を招きやすいことから明言はできないため
・東日本大震災で傷つき/苦しむ人が多い中で、決してハッピーとは言えない未来を語り、さらなる覚悟を求めるのは、余りに酷であることから

そして最大の理由は、

・エントリーを書き、世の人々に訴えたい気持ちはあるのだが、悲観的な内容にならざるを得ず、筆(キーボード)が進まないから

です。

---

私は、日本のどこにおられようとも、「その時」を生き延びられるための有効な対策を、必死で考えています。しかし、次の理由により、困難な作業となっています。

・日本だけではなく、世界同時多発的に財政状況が逼迫してきているため(単純に海外に逃がせばよいわけではないため)
・日本においては、福島第一原発事故による「汚染」の急拡大により、「成長の限界」が急速に前倒しになり、前提条件が大きく変わってきたため(生き延びるためのリソースの奪い合いになるため)
・金融資産を守ればよいだけではなく、エネルギー・安全な食料といった「生命に直結した実物資源」をコンスタントに手に入れる現実的な方法もセットで必要なため(お金で買えない時代になるため)
・これから起こるであろう「失業率の大幅増加」「戦争・紛争」の影響が大きすぎて、万人向けの回避策が存在しないため(「津波てんでんこ」であり、家族全部・地域全部・国全部が助かるようなオールマイティーな対策は不可能なため)

---

私は、2004年にこのブログを始めたときには、あくまで警鐘としての位置づけであり、
「自分ではこのような予測を立てているが、世の中は平和であり、人心はまだ荒廃していない。マネーフローも回っている。予想のような悪夢は、可能性として存在するだけであり、警鐘を理解する人も多いであろうから、現実になることはないだろう。」
と、楽観的に考えておりました。しかしながら、その予想はあまりに楽観的過ぎた、と言いますか、裏切られた思いでいるのが現実です。

なぜこうなったのか?ある一定のドライビングフォースを仮定することでうまく説明が付くことはこれまでに何度も書いていますが、証拠が不十分であることから、推測の域を出ません。

何度も書いていますが、もはや警鐘を鳴らす時期は終わりました。国家破綻の大津波はそこまで迫っています。であれば、私の精一杯の予測を示すことで、皆様のお役に立つことが出来ればと願っています。

「大津波がそこまで?俺にはそうは見えない。風説も大概にしろ。」と思われるかも知れません。それはそれでかまいません。資本主義は自己責任が原則ですが、それ以前の問題として、「自分の生命と財産は、自分で守る」が、人類の歴史を貫くサバイバルの鉄則です。人はどうしても、身近に迫ったリスクを過小評価する傾向があるようです。ヒトラーの侵攻が明日に迫ったパリで、パリ市民がいつもと変わらぬ楽しい夜を過ごしたのは、情報が不足していたからだけではないでしょう。まして、当時と比べると様々な情報過多の現代では、「知らなかった」ことは言い訳にもなりません。

冒頭にも書きましたが、国が国民を十分には守らない(守りたいという意思は一部にはあるのかも知れないが、リソースかリーダーシップが不足しているため、結果として守れない)時代にあることを、ご理解ください。

誤解のないように書きますが、私は決して日本国の財政破綻を願っている訳ではありません。それは過去のエントリーを読んでいただければ容易に分かることと思います。

---

端的に書きます。来年以降に起こることは、

・通貨の減価
・失業率の上昇
・食糧危機 
・戦争(紛争)

です。それぞれの項目がなぜ起こるかは、過去のエントリーで何度も書いています。

加えて、日本国全体のリソース(対応余力)が不足することにより、原発事故のような人災が再び起こらないとも限りません。

回避方法は、残念ながら今の時点では見出すことが出来ません。綱渡りの財政政策を、祈るような気持ちで見つめるのみです。ICUで家族がまんじりともせずにバイタルモニタを見つめるように、長期金利とリスクプレミアムを見つめています。

市民レベルで影響を減らす方法はあります。簡単に書くと、「影響を受けにくいアセットクラスにシフトすること」。シフトできないならヘッジすること。アクティブに攻めるなら、ショートポジションを持っても良いでしょう。

何よりも大切なアセットは、「健康」「家族」であり、加えて今の仕事で「オンリーワン」になることです。

皆様のご多幸をお祈りしております。
[PR]
by kanconsulting | 2011-07-05 02:56 | 経済状況