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総員、衝撃に備えよ Brace for impact 通貨安競争の後にブロック経済に向かう世界と、戦争の予感

読者様

更新が遅くなって、ご心配をおかけしているとしましたら失礼します。

長年使っておりましたパソコンが故障し、バックアップ機で運用しているような状態が、半年以上続いております。バックアップ機は軽量小型のネットブックですので、容量も小さく、多量のデータを参照しながら何かを考察するのには向いていません。事実、これまで蓄積したデータについては、バックアップ機ではまったくといっていいほど活用できていません。しかし、再来週には新型機が納品される予定ですので、その後はスムーズな記事作成が出来るのではないかと期待しています。

更新を意図的に遅くしているという事情もありますが、その理由については、繰り返しません。

前の記事は、私が自信を持って書いたものですので、何度か読み返していただけると、幸いです。

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さて

今年の始めに、

『今年は、世界同時多発デフォルトの元年になる』

と予見しました。その通りになりつつありますが、全く嬉しくありません。私は当物屋ではないのです。

ギリシャは「選択的デフォルト」を選び、現在はイタリアに飛び火しています。もともとイタリアは、ストック面はともかく、フロー面ではデフォルトする予定ではなかったはずです。売り崩し(パニック売りとの区別がつきにくいですが)がなければ、このような事態は起こらなかったかも知れません。しかしながら、大規模な信用収縮においては、文字通り「何が起こっても不思議ではない」と考えるべきでしょう。

疑心暗鬼が、さらなる信用収縮と、「売り逃げ(売り崩し)」へのドライビングフォースとなります。「自分さえよければ良い」は、マクロで見ると成り立たないこと、まさに合成の誤謬でしょう。

一喜一憂させながら、相場が乱高下を繰り返し、その過程で確実に世界の信用余力を奪っていく様子は、あたかも、ダイエットとリバウンドを繰り返す中で、基礎体力や必要な筋肉まで損ない、脂肪がつきやすくなり、健康を失っていく様子にも似ています。

このような、振幅を繰り返すようなリワインドは、中間層の資産を削り、富の偏在を促進させます(そして、それによって儲ける存在があることも、忘れてはなりません)。国を支えるべき中間層の貧困化は、国全体としての安定度を大きく下げ、戦争の要因のひとつになります。

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タイトルの話です。「ハドソン川の奇跡」の機長による名セリフですが、ここでは、私が読者様に望ましくない未来を警告します。警告の内容は、戦争の可能性です。

「またか。21世紀の世界で、大規模戦争はもう起こらない。戦争厨は、いい加減にしろ。」と思われたとしましたら、非常に残念なことです。歴史を振り返っていただきたいのです。

「通貨安競争」を経て、今、世界は、急速に「ブロック化(ブロック経済)」へと進んでいます。信用収縮と、大きな需給ギャップは、有望市場の囲い込み(アジア)へのインセンティブとなります。TPPも、ブロック化の文脈で理解すると、どなたにも理解しやすいものと思います。

(大きな需給ギャップは、超過需要の喚起を渇望するインセンティブとなります。そして、戦争が「過剰設備と不良在庫を廃棄し、超過需要を喚起する」そのひとつの手段であることは、これまでに何度も述べています。)

TPPは、非常にラフな理解で言うと、「アメリカ主導のブロック経済圏を作るための仕組み」と言っても、それほど間違いではありません。

そして、EUは、私の理解では、「EU連邦国」とならざるを得ないでしょう。別の国は見捨てても、同じ国の同胞は見捨てられません。EUが、空中分解を免れて、新しい時代に生き残るためには、通貨だけではなく、経済全体(国の債券発行を含む)、もちろん政治を統合する必要があります。EUにとって、今のピンチは(おそらく最後の)チャンスでもあります。

とはいえ、世界はそれほど単純ではありません。まだ、お膳立てが整っていないのです。あと1発か2発、きつい衝撃がないと、人類は同じ過ちを繰り返さないのです。

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強欲なものがカネに困れば、自分よりカネを持っているものから巻き上げるか、自分より弱いものから搾り取る方法を考えるのが普通です。カネを持っていて(対外債権が多い)、かつ、弱い(政治的発言力、軍事的イニシアチブが乏しい)国。それは何だと思いますか?読者様にも、容易にお分かりと思います。

特に、債務者が債権者を相続した場合には、その債権は混同により消滅することと同様に、債務国が債権国を滅ぼし、あるいは支配下に置いた場合には、その債権は実質上意味のないものとなること、これも容易にお分かりと思います。歴史上、軍事力で借用証書を焼かれた国がどれほどあったのか、多すぎて私には判りません。

今、EU情勢が一喜一憂を繰り返しているのは、ある意味、「演出された揺さぶり」でもあるのです。ずっと危機的状況が続くのではなく、時々はほっとさせ、安心もさせる。そして「やっぱり厳しい」と落としてみる。これを繰り返す。そして、カネを持っているものを心理的に揺さぶるのは、何も「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」のような末端のチンピラだけのテクニックではないのです。EUの首脳たちは、日本と中国を横目でチラ見して、「どのようにカネを引っ張るか」という話をしているに違いありません。

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このように、今の世界は、戦争が起こりやすい状態になりつつあります。

・中間層の貧困化、不満の増加、国の将来安定性ダウンのため
・過剰生産設備と、過剰在庫の処分による、デフレ脱却を望む産業界の声
・超過需要の喚起に対する、各方面の声
・債務消滅(借金の棒引き)に対する渇望の声
・ブロック経済への傾斜

では、どうすれば良いのでしょうか?そのご質問に対して、私は、短く一言でお答えしたいと思います。

『総員、衝撃に備えよ(Brace for impact)』
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by kanconsulting | 2011-11-11 02:54 | 経済状況