土地の価格と日本の未来 路線価は遅行指標 土地のデフレスパイラルとインフレの足音

今年はじめ(2009/01)に、以下のように書きました。

(ここから)

マンションなど不動産購入のためのローン(融資)が通らない、という声をよく聞きます。それは当然だと思います。なぜなら

・銀行の自己資本の毀損、引当金確保のための貸し渋り
・マンションは、販売後に中古品となり大きく処分価値が下がってしまうため、担保価値が低く、加えて不動産価格も下がりつつある中で、大きな与信はできない
・上場企業であっても容易に倒産してしまうため、サラリーマンへの与信には慎重にならざるを得ない

(中略)

関東圏、関西圏のマンション完成在庫も、一向に減りません。「今はまだ買いたくないし、そもそも買えない」のでしょう。不動産については、一昨年(2007)の秋にはすでに凋落の兆しが見えていましたが、まだまだこれから冬の時代になるのだと思います。

(ここまで)

それから半年が経過しましたが、やはりというか当然というか、路線価が下落しました。

一物五価とも言われ、価格形成が複雑(に見える)土地ですが、実際の土地価格下落に遅行するといわれる「路線価」が下がったことにより、これから「土地のデフレスパイラル」が再来するようにも見えます。と言いますのは、土地は流動性が低く価格参照も難しいため、取引量が低下する局面で指標が下落すると、株式で言う「売り気配」のように、土地価格が下落することになると見ています。

具体的な要因としては、
・勤務先・ビジネスの先行きが不透明なため、新たなローンが組めない
・住宅ローン破綻による任意整理・競売
・相続税のための換金処分
と、買い意欲が細く、売りは減らない、などという感じでしょう。日本国財政破綻セーフティーネットさんも「714.急増する住宅ローン破綻」で「サラリーマンの昨年の冬そして、今年の夏のボーナスが激減し、住宅ローンを抱えている人は深刻な事態になっていることがうかがえます。」と書いていますが、その通りだと思います。

住宅ビジネスは、地主・デベロッパー・ゼネコン・銀行のすべてが儲かるビジネスでした。その儲け分は、購入者のローン、つまりリスク移転を行ったところから生じたものです。(日本の住宅価格は、世界標準から見ても、また国民の所得の割合から見ても、高すぎるということは、何度も述べたところですが、その分が売り手の余剰利益となっていたのでしょう。)

以前の記事「売れないマンション 貸せない銀行 デフォルト率3% さらに下落する不動産価格」でも書きましたが、『何もわからない個人に貸し付けまくって、消費を喚起する構造は、終わった』のだと思います。

何度も書いていますが、これから人口減少・国力低下が起きる国の土地価格は、投機的要因を除くファンダメンタルで見れば、長期的には下げトレンドとなるでしょう。

特に、土地の高度利用が進む中で、物件の供給が過多となっているため、物件価格(たとえばマンションの一戸あたりの価格)は下落するのが市場原理でしょう。

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さて、このブログでは、紙幣の刷りすぎ・信認低下によるインフレを警戒せよ、と述べています。では、実物資産としての不動産も上がるのではないか?という意見があると思います。それに対する答えを一言で言いますと、

「インフレでも、価格が上がるものと、そうでないものがある」
「インフレになっても、要らないものは売れない」

ということです。立地・条件などにより、選別がある、という当たり前のことです。

読者の皆様も、土地バブル、株式バブル、先物バブルなど、異なった資産クラスで、入れ替わり立ち替わり、乱高下があったことを覚えておられることと思います。このブログで、「余剰マネーは、儲かりそうな資産クラスをめがけて殺到するため、ブームとバーストを形成する」と、何度も述べているところです。
特に、破壊的なインフレを考えた場合、ローン金利は暴騰するため、そこでレバレッジを起こして不動産を買うことは不可能になると言えるでしょう。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

全国の平均路線価、4年ぶり下落…東京も5年ぶり落ち込み
 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。
全国約37万地点の標準宅地1平方メートルあたりの平均路線価は、前年を5・5%下回る13万7000円となり、4年ぶりに下落に転じた。
都道府県別の平均路線価もすべて下落。近年の“ミニバブル”をけん引してきた東京でも、17・4%上昇した前年から一転、7・4%下落と大きく落ち込んだ。東京が下落に転じるのは5年ぶり。
圏域別の平均路線価は、前年まで3年連続上昇していた3大都市圏がいずれも下落。特に、前年、10%以上の高い伸びを見せた東京圏と名古屋圏は反動で6%を超える下落となった。前年は横ばいだった地方圏も3・8%下落した。
一方、都道府県庁所在地別でみると、最高路線価が上昇した都市はゼロで、下落した都市は前年の3倍以上の39都市に達した。特に、福岡、千葉、横浜の下落率は10%を超え、5~10%の下落率となった都市は札幌、大阪、仙台など11都市にのぼった。
路線価日本一は24年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り。10年ぶりの下落で1平方メートルあたり3120万円となったが、下落率は2%にとどまるなど、もともと価格水準の高い商業地の中には比較的、落ち込みが小さい地点もあった。

2009年7月1日11時51分 読売新聞

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路線価4年ぶりマイナス 5.5%減、全都道府県で下落
2009年7月1日11時33分

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる09年分の路線価を公表した。全国約37万地点の標準宅地の平均路線価は1平方メートルあたり13万7千円で、前年比5.5%減。4年ぶりのマイナスで、昨年の不動産バブル崩壊を投影してすべての都道府県で下落した。前年2ケタの急伸を見せた東京、宮城、愛知はマイナス6~7%と逆に大きく下落しており、投機マネーの「逃げ足」の早さをうかがわせている。
都道府県別では、宮城県は前年の伸びは12.5%だったが今年は6.8%の下落。東京都は17.4%の伸びが7.4%のマイナスに転じ、10.8%の成長を見せた愛知県も6.3%の減少だった。北海道や福岡県も同様に反動の大きさを示している。
今回の路線価は、投機マネーの影響が色濃く反映している。不動産投資信託(Jリート)などを通じて、市場に流入した資金が、昨秋のリーマン・ショック後の金融危機で一気に縮小。金融機関も不動産融資を控えるようになり、不動産会社の倒産が相次いだ。景気の悪化も影響し、不動産の流通が滞って地価の下落につながった格好だ。
全国の最高値は24年連続で東京・銀座5丁目の鳩居堂前で、1平方メートルあたり3120万円だった。銀座4丁目の三越前、和光前も同額で3年連続1位。はがき1枚分の土地を購入するには、46万2千円が必要という計算になる。(舟橋宏太)

朝日新聞

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09年全国平均路線価は前年比‐5.5%、4年ぶりに下落
2009年 07月 1日 11:35 JST
[東京 1日 ロイター] 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。標準宅地の全国平均額は1平方メートル当たり前年比5.5%下落(前年は10.0%上昇)の13万7000円となり、4年ぶりに下落した。
3大都市圏は08年まで3年連続で上昇していたが、軒並み下落に転じた。東京圏は前年比6.5%下落(前年14.7%上昇)、大阪圏は同3.4%下落(前年7.4%上昇)、名古屋圏は同6.3%下落(前年10.9%上昇)となった。昨年まで2年連続で横ばいだった地方圏は同3.8%下落した。
都道府県別では、47都道府県のすべてで下落した。下落率が5%以上と大幅だったのは、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、東京都、愛知県、高知県、福岡県の9都道県だった。
昨年は14都道府県で上昇、5都道府県で横ばい、28都道府県で下落していた。
都道府県庁所在地の最高路線価のトップは、24年連続で東京・銀座5丁目の銀座中央通り。1平方メートル当たり前年比2.0%下落の3120万円となり、ピークだった1992年の3650万円から約15%下がった。

ロイター

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-07-06 10:18 | 経済状況

賃金は、ぎりぎり食える限界まで低下する

何度も書いていますが、グローバル経済では、代替できる労働の賃金の水準は、その最低レベルに収束していきます。生産設備が人件費の安い立地を求めることはもはや当たり前ですが、IT・ソフトウェアのような属人的なビジネスでさえも、インドなどへのオフショアリングが当然となって数年が経過しました。その結果、一部のサービス業を除く大半の業界において、賃金下落圧力が発生しました。日本においても「働いても食えない」労働層が発生したことは、まだ記憶に新しいところです。

賃金低下の本質は、別にグローバル化とは直接の関係はなく、個々の経済合理的行動の帰結だとされています。

竹森俊平は、リスクと不確実性の違いを論じるに当たり、(リスクとリターンが計算できる)リスク支配のビジネスでは、自由競争により超過利益が低下する運命にある、として、その例としてタクシー業界を挙げています。
『このままタクシー台数が増え、一台あたり利益がますます減少するなら、平均賃金は、かつてアダム・スミスやリカードなどの古典派経済学者が「自然賃金」と呼んだ水準に下がってもおかしくはない』
「資本主義は嫌いですか/竹森俊平」

自然賃金:それ以下になると、生存が不可能になる賃金水準。つまり、「ぎりぎり食える」限界の賃金

不確実性の議論は日を改めるとしまして、本日は、「賃金は、生活限界水準まで低下する」ことだけを、述べたいと思います。

(このあたり、関連した過去のエントリーである「来るべき暗黒の日(2) 世界株安と円高再び フレディーマック・ファニーメイ・RMBSとナイトの不確実性」もご覧ください)

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(7/2追記)

世界の失業率比較

日本   (5月)   5.2%
アメリカ (5月)   9.4%
カナダ  (5月)   8.4%
イギリス (4月)   7.2%
ドイツ   (6月)   8.1%
フランス (1-3月) 8.7%
イタリア (1-3月) 7.3%

世界全体 (ILO予測) 6.5~7.4%
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# by kanconsulting | 2009-06-30 13:49 | 経済状況

日本人2人が13兆円のアメリカ国債をスイスに密輸未遂で逮捕・押収 実は米国債は偽造 笑えない話

その筋ではよく知られたニュースですが、日本人(?)2人が、1340億ドル(約13兆円)相当のアメリカ国債をスイスに密輸(?)しようとして、イタリア当局に拘束された、というものです。

・債券の額が日本保有のアメリカ国債総額の2割であったこと
・イタリアの国家予算に匹敵するほど巨額であったこと
・Troubled Asset Relief Program(TARP)の額とちょうど同じで、何か意味がありそうなこと
・債券の性質上国際決済が可能な銀行に持ち込むしかなく(すぐに見破られて換金できないので)偽造の意味が薄いこと
・その後の続報が遅かったこと
などから、

・そのアメリカ国債は本物か
・もし本物であれば日本がアメリカ国債を闇で売りぬけようとしたのではないか
・その日本人は日本政府(?)のエージェントではないか
・そのために続報がもみ消されたのではないか
などという憶測が流れ飛びました。

ちなみに、無申告の債券持込には40%の罰金が科せられることから、債券が本物であれば、イタリアの財政は非常に潤うであろうと、歓迎する向きもあったとか、なかったとか。

(引用開始)

Japan Probes Report Two Seized With Undeclared Bonds (Update2)

By Shunichi Ozasa and Makiko Kitamura

June 12 (Bloomberg) -- Japan is investigating reports two of its citizens were detained in Italy after allegedly attempting to take $134 billion worth of U.S. bonds over the border into Switzerland.

“Italian authorities are in the midst of the investigation, and haven’t yet confirmed the details, including whether they are Japanese citizens or not,” Takeshi Akamatsu, a spokesman for the Ministry of Foreign Affairs, said by telephone today in Tokyo. “Our consulate in Milan is continuing efforts to confirm the reports.”

An official at the Consulate General of Japan in Milan, who only gave his name as Ikeda, said it still hasn’t been confirmed that the individuals are Japanese. “We are in contact with the Italian Financial Police and the Italian Public Prosecutor’s Office,” Ikeda said by phone today.

The Asahi newspaper reported today Italian police found bond certificates concealed in the bottom of luggage the two individuals were carrying on a train that stopped in Chiasso, near the Swiss border, on June 3.

The undeclared bonds included 249 certificates worth $500 million each, the Asahi said, citing Italian authorities. The case was reported earlier in Italian newspapers Il Giornale and La Repubblica and by the Ansa news agency.

If the securities are found to be genuine, the individuals could be fined 40 percent of the total value for attempting to take them out of the country without declaring them, the Asahi said.

The Italian embassy in Tokyo was unable to confirm the Asahi report.

(引用終了)

しかし、続報によると、このアメリカ国債は大半が偽造であり、偽造債券の単純所持を処罰する法律がないため、日本人は事情聴取後に釈放された(現在は所在不明)、などということです。

アメリカ当局の見解としては、

・写真で見ただけで分かるほどの、粗雑な偽造
・歴史的に存在しない国債も含まれている(1960年代の債券にスペースシャトルが描かれているなど)
・印刷されて出回っている国債の総量をはるかに上回っており、物理的にありえない

などということです。

また、イタリアでは、4月にも、偽造された日本国債が押収されています。今回の事件との関連は不明ですが、組織的な偽造機関の関与を指摘する意見もあります。

そもそも、日本の保有するアメリカ国債は、紙ベースではなく、アメリカ財務省に「日本はこれだけの債券を保有しています」と電子記録されているだけです。ペーパー資産は、すでにペーパーレス、電子資産になっているのです。その裏づけは信用ですから、綺麗に印刷された美しい紙であっても、液晶モニターに写される単なる数字であっても、同じことなのです。

(引用開始)

UPDATE 1-U.S. Treasury says bonds seized in Italy are fakes

(Updates with details on bonds, U.S. Secret Service comment)

By David Lawder

WASHINGTON, June 19 (Reuters) - A purported $134 billion in U.S. government bearer bond certificates seized by police near the Italian-Swiss border are fake, the U.S. Treasury said on Friday.

"Based on the photograph we've seen online, they are clearly fake. And not even good fakes," said Stephen Meyerhardt, a spokesman for the Treasury's Bureau of the Public Debt.

He added that there is only $105 million in Treasury bearer bond securities outstanding, so the $134 billion amount seized far exceeds the universe of outstanding securites.

The Treasury's determination confirmed the suspicions of Italy's Guardia di Finanza, or tax police, who seized the bond documents in early June from two Japanese nationals at the Chiasso rail station in northern Italy, close to the border with Switzerland.

The bonds comprised 249 "Federal Reserve" bonds of $500 million nominal value each and 10 "Bond Kennedy" with a $1 billion nominal value, the tax police said June 4 in a statement.

A senior tax police officer said Italian authorities also were checking whether the two travelers' Japanese documents are genuine.

In the last two years, Italian authorities have seized some $800 million of U.S. bonds in the Como area in northern Italy.

Meyerhardt said U.S. government investigators believe that the seized bond forgeries were made using commercial photo enhancement software to alter the image of a $100 bill to increase the amount into millions or billions and add what appear to be interest coupons.

Another U.S. official said the seized bonds were purported to be issued during the Kennedy administration in the early 1960s, but the certificates showed a picture of a space shuttle on it -- a spacecraft that first flew in 1981. Some of the bonds were purportedly issued in a $500 billion denomination that never existed.

The official, who spoke on background because he was not authorized to discuss specifics of the case, said that scam artists, rather than trying to exchange fake bearer bonds directly for cash, will sometimes try to use them as fraudulent collateral for loans.

The Treasury frequently uncovers scams involving bearer and other securities issued in the 1930s and 1940s. Images of some of these counterfeit bonds appear on a Treasury website aimed at combating fraud, here .

The U.S. Secret Service, which polices counterfeiting of U.S. currency, is assisting Italian authorities in tracing the source of the fake bonds, said Ed Donovan, a spokesman for the agency.

The forgery determination came a day after the Treasury warned U.S. banks against the potential for increased currency counterfeiting activity and large cash transactions by North Korea in an effort to evade U.N. sanctions aimed at cutting off financing for Pyongyang's nuclear weapons and missile programs. (Editing by Dan Grebler)

(引用終了)

しかし、このニュースが、「そんな巨額の紙債券は偽造に決まっているじゃないか、大騒ぎするな」などと、笑って済ませられないというのも、また現実です。というのは

・特に最近、アメリカ国債の過剰発行が問題になっている (アメリカだけではありませんが)
・そのため、アメリカ国債とドルの下落がささやかれている
・中国、ロシアを中心として、「ドル外し」を主張したり、実行する国が増えてきている
・日本は表立ってはアメリカ国債を売ることが禁じられており(橋本龍太郎事件)、こっそりと売ろうと思ったとしてもおかしくはない

なのです。

何度も書きますが、日本とアメリカは一蓮托生、もう行くところまで行くしかない、心中するしかないのです。逆に、日本政府には、スイスの闇市場でアメリカ国債を売りぬけ、それでゴールドのバー(金の延べ棒)でも買って、日本国民の貴重な資産を保全するというような心意気がほしいものです。

(そのためには、原子力潜水艦が必要ですね。昔から、闇取引は、ゴールドの現物を海で運んで物々交換と、相場が決まっています)
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# by kanconsulting | 2009-06-22 19:06 | 経済状況

国の債務残高(特別会計含まず) 846兆円→924兆円 持続可能性に懸念 バラマキが終われば刈り取りの季節

少し前の話になりますが、昨年度の国家債務残高と、今年度の試算が明らかになりました。(特別会計含まず)

国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(ストック)

2008年度末 846兆4970億円(▲2兆7426億円)
・国債全体 680兆4482億円(▲3兆8796億円)
 ・財投債 ▲8兆7042億円
 ・普通国債 +4兆4772億円
 ・その他 +3474億円
・借入金 57兆5661億円(+4072億円)
・政府短期証券 108兆4826億円(+7298億円)

2009年度末 924兆円(見通し)
・年度末の国債残高 725兆円
・約44兆円の新規国債発行が主要因
・追加経済対策だけで10兆円超の国債残高
>初めて900兆円を突破

ということで、昨年度は見かけ上、2~3兆円の残高削減となりましたが、それは一瞬の出来事に過ぎず、今年度末の決算では、早くも追加経済対策・大幅な財政出動の副作用が出てくることになります。

日本だけではなく、世界各国の政府も、多量の国債を発行し、残高を積み上げていることは、これまでも述べてきたとおりです。

さて、

長期金利が上がってきたとはいえ、まだ2%未満の水準です。なぜ多量の国債を発行しているにもかかわらず、低金利なのでしょうか?何度も書いていますが、

・中央銀行が低金利政策を維持している
・国債の購入者の大半が日本国内の金融機関等で、低金利でも引き受けられる
・為替のリスクがあり、より高い金利である外国の影響を受けにくい
・金利が上がれば、保有する国債の評価損となるため、自縄自縛となっている

もちろん、いくつか問題点があります。

・長期間低金利が続くという保証はありません
・資金が有限である以上、「中央銀行(日本銀行)が国債を引き受ける」ことがなければ、いずれ、資金繰りがつかなくなることは目に見えています

「ペーパーマネーを増刷して、それをばら撒けば良いではないか?不景気では、産業部門も家計部門も通貨を退蔵するばかりなので、金利は上がらないし、インフレにもならない。一万円札をタンスにしまう人がいるなら、その分を補填しなければ、経済が回らない」という意見があります。何度も書きますが、実体経済を無視した意見でしょう。実体経済が回復することなく、数字のみが回復したとしても、単なる数字遊びであり、あまり意味がありません。たとえば、景気回復側面で、退蔵した通貨がいっせいに消費などに向かえばインフレになるでしょうし、投資に向かえば資産バブルとなるでしょう。長い目で見たバランス、つまり持続可能性があるとは言えません。

日本国民全員が一人当たり100万円(合計約120兆円)もらっても、それが退蔵されていいるうちは100万円の価値がありますが、トータルで120兆円のマネーがいっせいに市場に出回れば、あたりまえのように減価するでしょう。

このあたり、ビルゲイツが5兆円分の資産を持っていたとしても、その大半が株式ですので、5兆円分の現金を手にすることは出来ないことと同じです。なぜなら、5兆円分の株式(マイクロソフト創業者株)をいっせいに市場で売れば、暴落することは目に見えているからです。株式時価総額は、ある意味、絵に描いた餅と言えなくもありません。

(以前にも書きましたが、株式には、たとえば引受権などで希薄化が発生すると、それが株価に反映される仕組みが出来ています。しかし、通貨は、為替である程度調整されるとはいえ、株式ほどの透明性はないようです)

そもそも、信用とはそのような側面があるものではないでしょうか?

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何度も書いていますが、「バラマキ(給付的な財政支出)は水物であり、その効果は一時的」なのです。そもそもの生産性などを改善するわけではなく、新たな需要を呼び起こすわけでもなく、長く続く効果はありません。定額給付金、エコポイント、自動車減税、などなど、だいたいそういった側面があります。

(財政支出が生産性の向上につながれば、その分、雇用の縮小をもたらし、代替的雇用が発生しなければ、失業をもたらすことも、指摘しておかなければなりません。また、雇用の創出といっても、容易ではないことも明らかでしょう)

10兆円規模の財政支出も、「やらないよりはマシ」なのでしょうが、「それだけの貴重なお金と時間を使う意味がどれほどあるのか」「単なる期待を越えた、投資効果が、どれほどあるのか」については、疑問です。そして、その後のリバランス、つまり増税、が持ち上がってきます。(もちろんこれは日本だけの話題ではなく、アメリカ、ユーロ諸国+イギリス・スイス、など、も同じです。)

そして、単なるバラマキが終われば、刈り取りの季節がやってきます。もちろん、刈り取られるのは国民のお金(税金)です。国民は、うすうすではあっても、そのことに気づいています。ですので、リカードが指摘したように、バラマキは追加需要を生み出さないというのは、ごく当たり前のことなのです。

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チャートで書きますと、かなり雑ですが、以下のようになるでしょう。

世界金融危機 → 各国の景気対策 → 国債多量発行 → 未達 → 金利上昇
    ↓            ↓            ↓       ↓
    ↓            ↓        将来の増税   中央銀行引受 → インフレ
    ↓            ↓
    ↓          バラマキ → 持続的需要向上せず → 実体経済回復せず
    ↓
流動性の引き締まり → 実体経済縮小(本来の姿に) → 生産設備過剰・人員過剰 → 景気さらに悪化
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# by kanconsulting | 2009-06-16 15:00 | 経済状況

日本の成長率マイナス3.3%?マイナス6.2%? ケインズの亡霊と戦争の予感 戦争経済学

実質GDP成長率(見通し)

2008年度(実績) ▲3.1% (前回発表▲0.8%から下方修正)
2009年度(試算) ▲3.3% (戦後最悪)(前回発表0.0%から下方修正)

名目GDP成長率(見通し)

2008年度(実績) ▲3.2%
2009年度(試算) ▲3.0%

完全失業率(見通し)

2008年度(実績) 4.1%
2009年度(試算) 5.2%

内閣府発表より

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2009年成長率 ▲6・2% (過去最低)

IMF発表より

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暗い話題ばかりです。製造業の声を聞いていますと、ユーロ圏の需要はまだまだ低調で、回復は遠いという実感です。しかし、アジアは需要増の影響があり、一部の製造業には明るい兆しも見えてきているとの、現場の声です。

ですが、それは「一時的な/見せ掛けの回復」だと見ています。アジア特需は、信用収縮が底を打った自立反発ではありません。実体経済の2倍に膨れ上がった金融経済の収縮が根本原因だとするなら、減った分を国の借金でまかなうと後は一安心、とするほど、甘くはないのだと思います。

(もちろん、本当に順調に回復するなら、それに越したことはないのですが)

さて、何度も指摘していますが、
「需給ギャップが大きいのだから、国が国債と税金を使って、大いに無駄遣いをするべき」
「このような状況では、国がいくら国債を刷っても、破産することはない」
「どんどん国債を刷って、中央銀行に引き受けさせ、バラ撒くべき」
などとする意見が、本当にたくさん見られます。短期的にはそれも良いでしょう。ですが、持続可能性の範囲内で本当に意味のある対策が可能なのでしょうか?

特に、多くのエコノミストが、ケインズの亡霊に取付かれた様に、有効需要の創出を主張しています。本当にそれは「やらないよりマシ」以上の意味があるのでしょうか?

世界不況の後には、いったんすべてをリセットする必要があるのです。それは、

・金持ちからの金融資産の収奪(通貨の切り下げ、強制徴用)
・インフラと過剰生産設備の破壊
・人口ピラミッドの再構築(合法的人減らし)

があるでしょう。一言で言うと、戦争をするしかないのです。私は、そのような目的の戦争を、断じて肯定しません。しかし、歴史を振り返ってみれば、人類の知恵が同じ轍を踏まないほど進歩したとは思えないのも事実です。

私には、「終わりの始まり」は、まだまだ序盤の可能性がある、と指摘します。
(もちろん、そんな不吉な予感は外れるほうが良いのですが)

関連したテーマの書籍 「戦争の経済学/ポール・ポースト」

(引用開始)

成長率:09年度見通しマイナス3.3%、戦後最悪に

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は27日の閣議で、09年度の実質GDP(国内総生産)成長率を戦後最悪のマイナス3.3%とする経済見通し(内閣府試算)を報告した。昨年12月に発表した0.0%のゼロ成長からの下方修正で、経済の想定を超えた悪化を受け、年度当初の異例の見直しとなった。08年度実績の見通しも前回のマイナス0.8%から同3.1%に下方修正した。
物価変動の影響を織り込み、家計や企業の実感に近い名目成長率は、08年度マイナス3.2%、09年度マイナス3.0%を見込んでいる。与謝野担当相は会見で「経済動向には不透明感が強く、下押し圧力がある」と述べ、今後、さらに見直す可能性を示唆した。
世界経済は昨秋から急減速。日本の実質GDP成長率は08年10~12月期にマイナス12.1%(年率換算)の大幅減となっていたが、内閣府は09年1~3月期もオイルショック時の74年1~3月期(13.1%減)を上回る14%超の落ち込みになると想定。09年度の追加経済対策のGDP押し上げ効果は1.9%を見込むが、効果が表れるのは今年後半以降で、09年度の大幅なマイナス成長は避けられないと判断した。
一方、09年度の完全失業率は08年度の4.1%から5.2%まで上昇する見通しで、02年度(5.4%)に次ぐ高水準となる。消費者物価指数はマイナス1.3%と過去最大の下落幅となる見通し。【上田宏明】

毎日新聞 2009年4月27日


日本経済の本格回復、来年遅く IMF、輸出減で需要低迷

【ワシントン5日共同】国際通貨基金(IMF)は5日発表したアジア太平洋地域の経済見通しで、日本経済が「強力な景気対策で今年後半にプラス成長に戻る」としたものの「持続可能な成長」に本格的に回復するのは2010年の遅い時期との見方を示した。
IMFは4月、日本の09年成長率が過去最低の前年比マイナス6・2%に落ち込むと予測。今回の見通しでは「深刻な景気後退」に陥ると明記、大規模な財政出動があっても、輸出の急減で民間需要が低下し「(対策効果を除く)実質的な成長は依然弱い」とした。
また、中国やインドを除く「多くの地域がマイナス成長を記録する」とし、09年のアジア太平洋地域全体の成長率は1・3%と、08年(5・1%)から大きく鈍化すると予測した。
金融危機の震源地から遠いアジアが「深刻な打撃を受けるのは予想外」と指摘。理由として「ハイテク工業製品の輸出依存度が高い」ため、世界的な需要崩壊が直撃したと指摘。「過去の例では、金融危機を伴う景気後退の場合は投資の回復が遅れる」とも述べた。
その上でIMFは、アジア各国に景気刺激策の継続と内需主導への転換を提言した。

47ニュース


1~3月期GDP予測、戦後初の4四半期連続マイナスに

09年1~3月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は過去最悪のマイナス――。民間シンクタンク12社がまとめた予測で、景気の厳しい状況が鮮明になった。輸出急減で企業が生産を大幅に減らし、国内の消費も低迷しているためで、戦後初の4四半期連続のマイナス成長は確実だ。
1日までに各社が算出した予測を集計した。内閣府は20日に四半期GDPの1次速報を公表する予定だ。
各社の予測では、実質GDPの前期比増減率は、年率換算でマイナス19.7%から同13.6%と幅はあるが、いずれも過去最悪だった74年1~3月期の13.1%を超えるマイナス幅だ。
08年10~12月期は輸出の急減でマイナス12.1%(年率換算)だった。09年1~3月期は輸出減を受けた生産減少が急速に進み、マイナス幅が拡大。輸出はさらに減り、企業の設備投資や個人消費、住宅投資といった内需にも景気悪化の影響が広がっている。
3月には企業の生産や輸出に下げ止まりの兆しが出ており、09年4~6月期のプラス成長を見込むシンクタンクもある。ただ、09年1~3月期まで大幅マイナスが続き、ようやく景気の底が見えた状況にすぎず、本格的な景気回復はまだ遠そうだ。

朝日新聞 2009年5月1日


日銀:成長率予測を大幅下方修正へ 金融政策決定会合

日銀は30日、金融政策決定会合を開き、日本経済の09~10年度の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をめぐって議論した。急速な景気後退を踏まえ、09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率は、1月時点の予測(マイナス2.0%)を大幅に下方修正し、マイナス3~4%程度とする見通しだ。
09年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率も、1月時点の予測(マイナス1.1%)から引き下げるとみられ、デフレ不況の深まりを示す内容となりそうだ。政策金利(無担保コール翌日物)は現行の年0.1%で据え置く公算が大きい。
10年度の実質成長率は、1月時点でプラス1.5%と予測していたが、これも下方修正する見通し。ただ、プラス成長への回復は維持するとみられる。
1月時点の09年度の成長率予測は、戦後最悪だった98年度(マイナス1.5%)を大きく下回っていたが、さらに引き下げられることになる。政府も27日、09年度の成長率見通しを従来の0.0%からマイナス3.3%に下方修正している。
展望リポートは4、10月の年2回策定され、その後の経済情勢を踏まえて、3カ月後に中間評価する。日銀の金融政策を占う材料となる。【清水憲司】

毎日新聞 2009年4月30日

(引用終了)

関連した経済指標を記載します。世の中のカネが萎縮して、各所で鬱血壊死が起こっていることがよく分かります。

そもそも、貧富の格差が開くと社会全体が不安定になります。民主主義は、そのような中では、満足に機能するのでしょうか?

(引用開始)

食事など切り詰め13か月続く、3月の消費支出0・4%減

総務省が1日発表した3月の家計調査(速報)によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出額は31万680円だった。
物価変動の影響を除いた実質で前年同月と比べて0・4%減と、13か月連続でマイナスとなった。
消費支出を構成する10項目のうち「食料」「光熱・水道」「被服及び履物」など4項目でマイナスとなった。昨秋以降、世界的に景気が低迷し、消費者心理の冷え込みが続いており、外食や国内旅行を控える動きが目立った。

2009年5月1日 読売新聞

非正社員の失職、20万人超す見込み 厚労省調査

厚生労働省は1日、昨年10月から今年6月までに失職する非正社員が20万7381人にのぼる見込みだと発表した。正社員についても、30人以上が失職すると3月中に届け出があった事業所の集計だけで2万1732人となっている。国が休業手当を助成する「雇用調整助成金」の申請数も急増している。
非正社員の失職者数は、全国の労働局やハローワークを通じ、4月17日現在で集計した。3月時点での集計よりも1万5320人増え、初めて20万人を超えた。雇用形態別では派遣が13万2458人と最も多く、期間従業員などの契約社員4万4250人、請負1万6189人と続いた。
月ごとに見ると、年度末の3月に失職した人は4万4786人で、昨年12月の4万8545人に次ぐ多さとなっている。ただ、それ以降は4月が8234人、5、6月はそれぞれ1千人台と減少傾向で、大量失職のピークはいったん越えたとみられる。
正社員の失職については今回から、1カ月で30人以上の離職者を出す事業主に対し、事前の提出が義務づけられている「大量雇用変動届」の集計を始めた。3月中に届け出があったのは972事業所で、離職者数は4万9082人。このうち2万1732人が正社員だった。
企業の減産に伴う従業員解雇を防ぐため、国が休業手当を助成する雇用調整助成金の利用を3月に申請したのは4万8226事業所で、対象者数は237万9069人だった。前月より約51万人増え、初めて200万人を超えた。(林恒樹、江渕崇)

朝日新聞

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-05-15 09:42 | 経済状況

世界同時国債増刷(1) 戦争並みのコスト 国債消化に懸念 入札未達も プライマリバランス達成不可能

「日本の長期資本市場はクラウディングアウトが起こる状況ではない(が、国債発行には)市場との対話を欠かさないで、慎重な対応が必要」(与謝野財務相、国債の安定消化に関連して)

「厳しい財政の中で15・4兆円もの補正はやりすぎだ。景気浮揚効果は限定的で、負担は将来に回る」(井堀利宏・東京大学大学院教授)

「(国内の経常黒字が減少傾向にあり、日本国債の消化について海外勢の比重が高まっている状況なので、)1990年代後半のような『デフレだから長期金利低下』とはならない可能性がある」(大手銀関係者)

「(解散・総選挙で仮に民主党が勝利し、追加の経済対策が立案された場合)赤字国債がさらに増発される可能性があり、国債(財政赤字)の大膨張が予測される」(市場関係者)

「補正での国債発行額は、市場の消化能力も見ながら慎重に判断しなければならない」(財務省幹部)

「誰も彼も政局と選挙のことしか頭にない」(財務省幹部)

---

<世界各国では>

世界の経済危機対策費(WBS調べ)
世界全体 350兆円以上
 内 アメリカ 146兆円
 内 中国 57兆円   

何度も述べていますが、日本のみならず、世界各国で、国債増発競争が始まっています。100年に一度の金融危機と称して、戦時並みの経済対策とその財源が必要なのですが、戦時並みということは、平時の経験則が通じないという意味でもあるのでしょう。

国会答弁でも取り上げられたとして話題の本石町日記によると、『米議会調査局(CRS)が過去の主要な戦争のコストを計算したリポートがあり、その総経費と米政府が昨年打ち出した金融危機対策費を比べたもの。それによると、米主要戦争の総経費はインフレ調整済みで7.2兆ドル(700兆円ぐらい)。これに対して今回の金融危機対策費は8.5兆ドル(850兆円弱)となるそうだ』ということで、比喩ではなく、本当に戦時並みのコストがかかっているのだということです。

さて

世界各国では、国債増発競争のような感じになっており、「いったい誰がそれだけの国債を買うのか」という国債消化に関して、懸念が生じ始めています。

たとえば、ドイツ財務相は29日、(ドイツに限らず)各国政府が景気刺激策をファイナンスするために大量の国債を発行していることについて、
・投資家の購入意欲は限界に近づいている可能性がある
・これほどの規模の国債が発行されると、近い将来、それを買い入れることの出来る投資家がいなくなる
として、国債増発に注意を呼びかけています。

たとえばアメリカでは、FRBによる、連日の国債買い切りオペにより、市場にドルが供給されています。
・ニューヨーク連銀 3月27日 75億4100万ドル 2011年9月─2012年4月償還債 応札額233億6100万ドル
・ニューヨーク連銀 4月1日 60億0800万ドル 2012年5月─13年5月償還期限債券 応札額169億4800万ドル
・ニューヨーク連銀は4月14日 73億ドル 2013年9月─16年2月償還期限債券 応札額264億ドル

合計 今年で9回(4/14時点)買入総額 約510億ドル

FRBによる市場からのアメリカ国債買い入れ自体は、あまり問題ではありませんが、アメリカの大手民間調査機関であるコンファレンス・ボード(CB)は、
・金融緩和やドル安によってインフレ期待が高まった場合、2010年に第2のリセッション(景気後退)に陥る恐れがある
・景気支援を目的としたFRBの利下げや国債買い入れが望ましくない結果をもたらす可能性もある
・「米経済が過剰な速さで回復した場合、2010年に第2のリセッションが到来する恐れがある」
・「(急速な回復は)インフレ再燃の観測につながる可能性があり、そうなれば、景気回復への道と構図をめぐる不透明感が強まることになる」
・ドル安と金融緩和を背景に商品価格が上昇すれば、米経済は1980年と82年のように「2番底」に陥る可能性がある
などと指摘しています。

ヨーロッパに目を転じると、ECBは、今のところ、他の中銀のような資産の直接買い入れは実施していません※が、ECBのトリシェ総裁が「金融政策において非伝統的な措置を排除していない」と述べたことから、国債の買い切りを含む、いわゆる「非伝統的」な政策を考えているとされています。

※法律により、ECBが、各国政府から国債を直接購入することはできないが、金融機関が購入した国債の買い入れは可能。ECBが取り得る非伝統的な策としては
・流動性供給の期間を拡大
・社債買い入れ
・金融機関の社債買い入れ
・金融機関のバランスシート上にある資産の買い取り
・コマーシャルペーパー(CP)購入
・国債購入

イギリスでは、国債の入札に未達が発生しました。
・3月25日に実施された17億5000万ポンドの国債入札で、応札額が1億ポンド以上未達
・未達は2002年以来

イングランド銀行(中銀)のキング総裁が、イギリスの財政赤字の急拡大を指摘、追加財政出動による景気刺激策には慎重になる必要がある、と警告していた通りです。

<日本では>

・追加経済対策の財政支出規模を15兆円
・事業規模は56兆円程度

その背景として、過去の記事でも述べましたが、実質GDPは▲12・1%減(2008年4Q、年率)、需給ギャップ20兆円、という、先進国中最悪の経済状況があります。
加えて、G20金融サミットで、「各国が来年までに5兆ドル(500兆円)以上の景気刺激策を打つ(首脳宣言)」「GDP比2%の景気対策(米国が各国に要請)」をも盛り込んでいるのでしょう。

・財源は大半を建設国債や赤字国債の発行で賄う
・09年度補正予算案では、赤字国債や建設国債の発行額は合わせて10兆円以上
・経済緊急対応予備費1兆円、財政投融資特別会計の積立金を最大3兆円
・一部報道によると、財投債の増発額6兆円台

・当初予算と合わせた09年度の国債発行額は、過去最大の40兆円以上となる見込み
・08年度末の国・地方の長期債務残高は787兆円だが、更に借金が大幅に積み上がる

ということで、本予算成立直後の巨額補正が極めて異例ですが、それ以上に、国債の安定消化が大きな課題になっています。 赤字国債が巨額であり、国債発行額が過去最大(1999年度、約37.5兆円)を超え、長期金利の上昇をもたらす可能性もあると指摘されています。

<プライマリバランスと、国債に対する懸念>

ということで、「11年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標」は、実現が不可能でああることが、明白になりました。

「ぼろぼろになった旗(目標)だが一応立っている」とは、麻生首相のコメントですが、目標として死んでいるのですから、それは「立っている」とは言いません。「貴様(黒字化目標)はすでに死んでいる」なのでしょう。

市場の国債に対する懸念ですが、必ずしも悲観ばかりではなく、相反する見方があるようです。

楽観派は
・総額で20兆円までなら、サプライズはない
悲観派は
・国内の経常黒字が減少傾向にあり、デフレであっても長期金利が上昇する可能性もある
・国債の消化に関し、海外勢の比重が高まっている状況下では、国債が安定的に消費される保証はない

などということです。

<日銀券について>
ブログでも何度か言及していますが、日銀券ルールというものが存在します。(訂正しました5/1)

(日本)銀行券ルールとは:日銀が保有する長期国債残高(資産)<日本銀行券発行残高(負債)

白川総裁が指摘しているのは、財政ファイナンスのために日銀券ルールを撤廃する(=中央銀行が積極的に国債を買い入れる)と、「日本のように財政バランスが悪い国」においては、将来の金融システムに対する不安から、長期金利が上がるなどという影響により、逆に財政ファイナンスに悪影響を及ぼす、ということです。

B/S(バランスシート)上の対応では、

    負債       資産
長期的 日本銀行券    長期国債
短期的 準備預金など   短期国債

となっています。日銀券ルールは、中央銀行が国債を買い支えた「花見酒」の教訓から、妥当に思えます。

(日本銀行は「物価の安定をはかる」ことが使命のひとつですが、逆に言うと、「物価から見た日本銀行券の価値の安定を図る」とも解釈することが出来ます。うがった見方をすると、デフレになれば、相対的に日銀券の価値は上がるので、日本銀行としてはデフレ歓迎なのかも知れませんね)

最近、中央銀行が積極的に国債を買い入れ、紙幣をジャブジャブに刷って政府に横流し、それを財源に公共事業など対策を打つべし、という意見が散見されます。

そこまで行かなくても、リチャード・クーのように、「バランスシート不況下では、会社・個人は貯蓄を選好してカネを使わないため、インフレが起きない。だから、国家が、会社・個人の貯蓄を吸い上げて、財政出動するべき」という意見が出てきます。

---

ということで、ここまでの取りまとめをしますと、

(世界)
・世界同時不況には、世界同時に戦時並みの対策費が必要
・各国はすさまじい量の国債を発行しなければならず、消化懸念が生じ始めている
・中央銀行による買い入れが行われているが、一部に未達も見られる
(日本)
・日本においては、プライマリーバランス黒字化目標は達成不可能
・それどころか、日本銀行券残高以上の長期国債を買い入れるべしとの意見も見られる
・国が国債を発行して、民間の貯蓄を吸い上げ、財政出動することは正しいとの意見も見られる

日本のみならず、世界で増発されるすさまじい量の国債は、世界のどこかにいる投資家が、残らず買ってくれるのでしょうか?それできちんと償還されるのでしょうか?日本のプライマリバランス未達成は、どのような結果をもたらすのでしょうか?PB赤字でも問題ないのなら、そもそもなぜそんな目標が立てられたのでしょうか?裏づけのない紙幣を増刷することは、何が悪いのでしょうか?国が民間の貯蓄を吸い上げて使ってしまうことは、問題があるのでしょうか?世界全体で「利益の先食い」をしたツケを払うのに、また「先送り」をしていて、本当に解決になるのでしょうか?そして、デリバティブでも隠し切れなかった損失を国家に「飛ばし」たところで、本質的に何か意味があるのでしょうか?

もっと簡単に言うと、このような解決策で、維持可能性があるのでしょうか?引き続きのエントリーで述べたいと思います。

---

本エントリーは文字数が多いため、関連・引用元となったニュースの題名・URLのみ記載しておきます。

(海外)

各国政府の国債増発、市場の消化能力は限界に近づく=独財務相
英国債入札の未達は「一時的な現象」=ソロス氏
米経済、2010年に第2のリセッション到来の恐れ=CBリポート
情報BOX:ECBが講じる可能性のある非伝統的措置
米FRB、73億ドルの国債買い入れ

(日本)

年末─来年には景気に明るさ、追加国債発行は10兆円超=財務相
国債発行計画見直し論議へ、財務省が17日に特別会合
株と債券の先行きめぐり異なる見方交錯、相場はこう着感
追加経済対策:15兆円、両刃の剣 国債大量発行、景気回復阻害も
追加経済対策:財政支出15兆円 贈与減税「住宅限り」
UPDATE3: 銀行券ルール撤廃すると財政ファイナンスや長期金利に悪影響=白川日銀総裁
補正予算指示 危機克服へ異例の巨額 赤字国債 乱発なら信用低下
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# by kanconsulting | 2009-04-20 09:20 | 経済状況

SDR2500億ドルのバラマキ 信用創造の悪魔 ゴールドの奪い合いか

2年ほど前に、SDR(IMF特別引出権)について、次のように述べました。

SDR:Special Drawing Rights (of the International Monetary Fund)
(Sony Dream Robots (QRIO)ではありません)

(転載開始)

「日本の外貨準備高は5934億SDR(9545億ドル) IMF国際通貨はすでに存在する? 日本円のプレゼンス低下」

さて、
「あれ?財務省発表の外貨準備はドル建てなのに、IMF発表の外貨準備は、SDR建てという変な単位になっているぞ。」
とお気づきでしょうか。このSDRとは、何でしょうか。

『1969年、IMFは加盟国の既存の準備資産(公的金保有、外貨、IMFのリサーブポジション)を補完するために外貨準備資産としてのSDRを創設しました。SDRの価値は主要国通貨のバスケットに基づいて決められ、IMFほか多数の国際機関における会計単位として使われています。(中略)

SDRは通貨ではなく、またIMFに対する請求権でもありません。むしろ、潜在的には加盟国の通貨を自由に使用できるという権利を持ち、保有国はSDRを外貨と交換できるようになっています。準備資産としてのSDRの価値はSDRを保有し、受け入れ、SDRシステムの運用についての様々な義務を果たすという加盟国の確約に基づいています。自由に使用できる通貨に対するSDRの請求権は以下の2つの方法によって与えられることをIMFは保証しています。強い対外収支ポジションにある加盟国を指名し、弱いポジションにある加盟国からSDRを買い取る方法、あるいは、管理された市場において参加国間での自主的な交換の取り決めにより行なう方法です。(IMFホームページより)』

「米ドル準備資産の継続的増加によって米国の国際収支が絶えず赤字となり、そのこと自体が米ドル価値への脅威となりました」とあるように、基軸通貨は、かならず経常収支赤字となり、そのこと自体が、基軸通貨への信認を失わせるというのは、皮肉なことに、IMFの想定範囲内でもありました。逆に、経常収支を改善しようとすれば、世界全体が通貨不足に陥るというジレンマもあります。アメリカという一国の財政と、世界経済をリンクさせることに、そもそも無理があったのかもしれません。

「SDRは通貨ではない」とあるものの、「個人取引での利用を促進しようという努力」という記載があるように、通貨バスケットで国際決済を行わせ、基軸通貨ドルの代替をしようとしたという形跡が見られます。機軸通貨の重責を、ほかの通貨にも背負ってもらうことで、世界経済が安定化するなら、儲けものです。

(転載終了)

本日のSDRの為替?レートはこちら

SDRの内訳(通貨バスケット)

        2006 2001 1996
米ドル    44   45   39
ユーロ    34   29   --
ドイツマルク --   --   21
仏フラン   --   --   11
日本円   11   15   18
英ポンド   11   11   11

---

このように、IMFは、1969年、外貨準備資産として、SDRを創設しました。IMFや国際機関における会計単位として使われるほか、各国の外貨準備量の表記単位としても用いられることがあります。ですが、国際決済に頻繁に使われることはないようですので、「国際通貨の成り損ない」という指摘もあります。SDRの価値は、上に示したように、通貨バスケット(現在は、ドル、ユーロ、日本円、イギリスポンド)に基づいて決められており、為替レートの変動に応じて日々更新されます。バスケットの構成比そのものは、5年に一度見直しされます。

上にも述べましたが、「個人取引での利用を促進しようという努力」という記載があるように、通貨バスケットで国際決済を行わせ、基軸通貨ドルの代替をしようとしたという形跡が見られます。ということは、SDRが国際基軸通貨にならなかったのは、シニョリッジ権限を手放したくないアメリカの意向、と思って間違いではないでしょう。

(IMFそのものはアメリカの下部機関ではありませんが、世界経済奥の院にとっては、どちらも配下のようなものでしょうから、SDRが国際決済通貨になっても、あまり違いがないのかもしれませんが)

さて、最近、SDRが話題になっています。たとえば、

・SDRをアメリカドルに代わる基軸通貨にすべき (中国人民銀行 周小川総裁)
・SDRの通貨バスケットに中国人民元を加えるべき (ノーベル経済学賞 ロバート・マンデル)
・SDRの構成資産にルーブルや人民元、金などを含めるべき (ロシア政府)

などです。(しかし、ロシア以外のG20各国首脳は、当面はドルが基軸通貨であり続けるとの立場です。)

人民元のSDR参入問題に関しては、

・まだ市場で自由に交換できない
・完全なフロート(変動相場制)でもない

として、あまり現実味がありませんが、そのような提案を行った中国政府の意図として

・コインの裏表である、米国の弱さと、中国の強さを、切り分けたかったのではないか
・機軸通貨発行国である米国経済の悪化と、世界金融の悪化を、切り分けたかったのではないか

という見方があります。

さて、先般行われたG20金融サミット(20カ国・地域の首脳会合)で、「IMFの融資枠を拡大する一環として、SDRを新たに2500億ドル配分する」ことが決定されました。

もともと信用創造とは、自分の靴の紐を上に引っ張ることで自分が空を飛ぼうとする「ブートストラップ」に似たところがあります。キリスト教になぞらえると、無から有を創造することは、信用創造主の御技と言えるかも知れません。ですが、信用創造が、神の御技ではなく、欲望にかられた悪魔の技でしかないとしたら、どうでしょうか?

もっと簡単に言いますと、SDR2500億ドル分の配分は、あまり裏づけがありません。そもそもIMFには、それほどの資産がありません。
イメージとして言うなら、資金繰りに困った中小企業の社長同士が、おたがいに同額の小切手を発行し交換するようなものです。ですので、

・借金でまかなうというのなら、問題の先送り
・そうではなく、各国通貨の信用に転嫁するというのなら、「壮大な飛ばし」
・いずれにしても、通貨全部を巻き込んだ信用瓦解になりかねない

さらに、「G20はIMFに対し、最貧国向け融資資金の調達や保有する金の売却を加速するよう求めています」とありますが、注意しなければならないのは、「IMFにはすでにゴールドが残っていないのではないか」ということです。IMFの公表する金地金保有量として、

・IMF 3217トン
・(参考)アメリカ 8143トン

とされていますが、その数字を信じるとしても、ゴールド3000トンは約10兆円(約1000億ドル)ですから、全然足りません。さらに、このゴールドさえも、これまでの通貨危機などで使ってしまったのではないでしょうか?

現物資産の奪い合いという、隠れた面が見え隠れします。

関連したニュースを転載します。

(引用開始)

中国人民元を来年SDR通貨バスケットに加えるべき=マンデル氏
2009年4月7日23時55分

[香港 7日 ロイター] ノーベル経済学賞の受賞者で「ユーロの父」と呼ばれるロバート・マンデル氏は7日、世界的な準備通貨の創設に向け来年、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに中国人民元を加えるべき、との考えを示した。
当地での記者会見で、変動の大きい為替相場が昨年9月以降の世界的な金融危機の一因になったと指摘。「今こそ変革の時である。人民元は現在、世界で3番目に重要な通貨といわれ、見方にもよるが日本円より重要といえる。2010年に人民元をSDRに加えるべきだと確信する」と語った。
バスケットの構成は5年ごとに見直され、次の見直しは来年後半。SDRの構成について、同氏は、1)ドルの比率を現在の45%から40%に引き下げ、2)ユーロの比率を29%に据え置き、3)円の比率を15%に据え置き、4)英ポンドを除外もしくは比率を現在の11%から5%に引き下げ、5)残りを人民元とすべき──としている。

---

金融サミット、財政支出の数値目標には合意できず=渡辺前財務官
2009年3月27日18時55分

[東京 27日 ロイター]
(中略)
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の最近の論文が発端となり、中国政府内で国際通貨基金(IMF)の準備資産であるSDR(特別引き出し権)をドルに代わる基軸通貨にすべきだとの構想が浮上している。中国の主張の背景について渡辺氏は「正直わからない」としながらも、「中国はまだ10年くらい米国にとって最大の貿易相手国であることは間違いない。そのため常に米国の弱さ批判は、必ず中国の強さ批判となって跳ね返ってくるところがある。そこは切り分けたかったのではないか。米国(経済)が悪くなるかどうかという話と、世界全体の金融が悪くなるかどうかと言う話を遮断したほうが中国にとっては良いという判断が発言につながったのではないか」と推測した。
SDRは外貨不足の国が余裕のある国から外貨を受け取る権利のこと。IMFが金やドルなどを補完する2次的な準備資産として1969年に創設した。
現在はドル・ユーロ・円・英ポンドの4通貨で構成されているが、中国にはこれに人民元を加えたいとの狙いがあるとの見方に対しては「人民元はまだコンバーティブルではなく市場で自由に交換できない。完全なフロートでもない」とし、中国が人民元をSDRに入れるべきだと強調すればするほどこの2つの問題が表面化するため「中国は多分それに乗れない」とみて「そこまで中国が考えているわけではない」と分析した。

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ロシア大統領、新たな基軸通貨の創設を重ねて支持=英BBC
2009年3月30日10時15分

[モスクワ 29日 ロイター] ロシアのメドベージェフ大統領は29日に放映された英BBCとのインタビューで、新たな基軸通貨を創設する案に対して重ねて支持を表明した。
同大統領は「この問題について、ブラウン英首相をはじめ他の首脳とも意見を交わしたばかりだ。われわれは当然現実的であり、自分自身の立場、および中国首脳の立場も現実的であることを願っている」と述べた。
その上で「現在の通貨体制が、現在起こっている問題に対処しきれていないことは明らかだ。ドル、ユーロ、ポンドなど、さまざまな通貨があるのは幸いだ。ただ将来的には、国際通貨体制は、他の地域で準備通貨として使われている通貨をも含む多通貨バスケット制に基づくものにならなくてはならない」と述べた。
「この点で合意が得られれば、いわゆるスーパー通貨の創設について、将来的に議論を開始できる可能性がある」と述べた。 
ロシア政府は3月16日に発表した20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)に向けた提言の中で、国際的な金融機関が発行する新たな通貨の創設を提案している。G20首脳会合は4月2日、ロンドンで開催される。
その後中国がG20を前に、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を基軸通貨とする国際通貨体制への移行を提案し、議論を呼んでいる。
ロシア以外のG20各国首脳は概ね、当面はドルが基軸通貨であり続けるとの立場を明確にしている。
この件に関して、通信社各社は、ロシア大統領府幹部が28日、ロシアはIMFのSDR使用拡大を支持するものの、今回のG20会合で新たな準備通貨の創設が合意される可能性はないとみている、と発言したと伝えている。

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ロシア、SDRにルーブル・人民元・金を含めることを支持
2009年3月30日12時35分

[モスクワ 28日 ロイター] 通信各社によると、ロシアは国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成資産にルーブルや人民元、金などを含めることを支持している。ただ、4月2日の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で新たな準備通貨が受け入れられる可能性はないとみている。ロシア政府高官が28日に語ったとして各社が報じた。
ロシア通信(RIA)によると、アルカジー・ドボルコビッチ大統領補佐官は「(SDRを構成する)通貨を拡大することは論理にかなっている。ルーブルや人民元、恐らくその他の通貨も含めることが可能だ」と語った。
金融サミットで新たな準備通貨が受け入れられる可能性はないとしたものの、同氏の発言はこの問題をめぐる議論が金融サミットで注目を集めることを示唆している。
また、タス通信によると、同氏は、ロシアとしてはルーブルと人民元を準備通貨として幅広く用いることを支持すると述べた。


(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-04-13 11:00 | 経済状況

経常赤字1728億円 貿易赤字8444億円 金利収入生まれず 株式運用は悲惨 機関投資家の惨憺さ

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図は読売新聞より

2009年1月の国際収支(速報)によると、

経常収支 ▲1728億円 (単月度赤字は85年1月以降では4回目)
 所得収支 9924億円 前年同月比31.5%減
 貿易・サービス収支 ▲1兆1002億円 (1985年1月以来最大、赤字は4カ月連続)
  うち貿易収支 ▲8444億円
   輸出 3兆2822億円 前年同月比46.3%減
   輸入 4兆1266億円 前年同月比31.7%減
  うちサービス収支 ▲2558億円 赤字額2.7%拡大

経常収支:海外とのモノ・サービス・投資など全体の取引状況を示す
所得収支:海外投資から受け取る利子・配当などの収益を示す (海外子会社からの配当収入、債券利子の受取額など)

このように、
「日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況」
「株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況」
という経済環境からは、当然ともいえる結果となっています。

実は、このようなときこそ、「国債売り、株式買い(日本株ではないですよ!)」の好機なのですが※、多くの人と機関投資家が、これまでになくリスクに敏感になり、現預金と国債を離さない状況ですから、「わかっちゃいるけど、できない」のだと思います。

(年金基金、生命保険などの運用状況は、惨憺たるものですが、その帰結については別途述べます)

メーカーの現場の声を聞いていますと、少しずつではあるが商品が動き出しており、トンネルの先が見えてきた、という表現がマッチします。景気が回復してきたのではないか?と思うにはまだ早計ですが、その成分の大半が「期待料」である株価などは、「人々の(甘い)期待」を織り込んで回復基調になってもおかしくありません。

(アメリカドルを含む各国家の通貨システムに、CDOを含む各種不良債権のツケを回した形となった『壮大な飛ばし』であることは、これまでに何度も述べていますが、その根本は何も解決していないのが現状です。そのことについては、別途述べたいと思います。)

さて、これまでに、
「日本が成熟債権国となっていく」
「世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎える」
「当然、(日本の)株式や、(クロス円の)為替の水準も、変わっていく」
「日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントが近い」
「アメリカ・アメリカドル・その国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある」
などと述べてきました。たとえば、

(転載開始)

景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

貿易黒字が、急速に減少しています。下半期だけで見ると、貿易赤字です。記事にもありますが、波及効果の大きい自動車製造業から、製造業全体に影響が及び、ついで非製造業に、負の連鎖が広がっていくのでしょう。
ということは、今年(注:2009年)は、日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントなのでしょう。これまでも述べましたが、世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎えるのだと思います。

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経常黒字減少 貿易収支赤字続き 海外への資金流出21兆円 経済状況の発展段階説

今後、日本も成熟債権国となっていくにあたり、日本からみたマネーの大きな流れが変わる、大きな節目にきているのだと思います。当然、株式や為替の水準も、変わっていくでしょう。このあたりは、「経済状況の発展段階説」に関連した過去の記事を参照ください。

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日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り

10月の貿易収支は、大きく赤字となりました。もちろん、単月度の赤字であれば、別に気にする必要はありません。しかし、これから当分の間、「日本が貿易赤字国」という傾向が続くとするならば、多方面にいろいろな影響が出てくることと思います。

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ドル安・資源高 信用不安とスタグフレーション

・次の円安サイクルでは、日本は経常赤字(=貿易赤字)国になる可能性も
・人口動態や国としての成長力を考えると、対ドルはともかく、他通貨に対しては、減価していかざるを得ない

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世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末

このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。
たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう。

(転載終了)

ですが、ファンダメンタルではそう言いえても、何かきっかけがないと、なかなか(ファンダメンタルから見た)本来の水準に動かない、ということも、ご存知と思います。次のイベントは何でしょうか?もし私が世界経済の奥の院であれば、どのようにイベント・ドリブンで儲けようと思うのでしょうか?皆様も考えて見られると面白いと思います。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

国際収支13年ぶり経常赤字 輸出減速鮮明に
2009.3.9 21:06

財務省が9日発表した1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は平成8年1月以来、13年ぶり。赤字額は、比較可能な昭和60年1月以降では最大となった。海外とのモノやカネの流れが停滞し、日本経済の苦境が鮮明となった。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46・3%減の3兆2822億円と急減した。輸入も原油価格の下落で31・7%減の4兆1266億円となった。この結果、輸出の減少幅が輸入を大きく上回ったため、貿易収支は8444億円の赤字だった。
また、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅も減少した。金利低下や不景気による海外現地法人からの配当金などが減ったためで、所得収支は前年同月比31・5%減の9924億円と失速した。
世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり、各国の個人消費は冷え込んでいる。日本は米国市場を中心とした外需の後退による輸出減で、国内景気の悪化が急速に進んでいる。
深刻化する金融危機に対応するため、日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況となっている。株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況にある。

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1月経常収支 13年ぶり赤字 海外依存経済 長引く低迷
2009/3/10

財務省が9日発表した2009年1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資収益の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は1996年1月以来、13年ぶりで、赤字幅は比較可能な統計の85年1月以降で最大。世界同時不況による輸出の縮小が主な要因で、外需依存型経済の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮き彫りにした。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は、自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46.3%減の3兆2822億円と急減した。地域では米や欧州、アジアがともに落ち込んだ。輸入も原油価格の下落で31.7%減の4兆1266億円となったが、輸出の減少幅が輸入を大きく上回り貿易収支は85年以降で最大となる8444億円の赤字となった。
サービス収支は2558億円の赤字で赤字額は1.7%拡大した。世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり各国の個人消費をさらに冷え込ませている。日本は、米市場など海外の需要減による輸出縮小で、国内景気が急速に悪化している状況だ。
さらに、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅が3割も減少。金利低下や不景気による企業業績の悪化で配当が減少したことなどから、所得収支は前年同月比31.5%減の9924億円となった。
主要国は金融危機や景気回復へのてこ入れ策として政策金利の引き下げを進めており、金利収入が入りにくい。モノの輸出に加え、海外からの投資回収が難しい状況でカネの流れも停滞している。結果として1月の経常収支は、前年同月の1兆1637億円の黒字から1728億円の赤字に転落。最大の赤字だった96年1月の赤字額256億円を大きく上回る規模となった。
財務省は「世界的な経済の影響で輸出が落ち込む傾向は続く」とみている。2009年の経済見通しでは先進国はマイナス成長になるとの見方が強く、外需主導による早急な経済の立て直しは望めない状況だ。
政府・与党は新たな追加経済対策で内需喚起による景気回復を目指すが、政府内には「財政出動で内需を下支えしても、今回の景気悪化は外需が原因で根本的な解決にならない」と悲観的な意見もある。景気浮揚に向けた短期的な経済対策とともに、人口減少に伴う市場規模の縮小が進む日本の経済構造に対応した新たな成長戦略が必要になっている。

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経常収支、13年ぶり赤字…輸出急減響き1728億円

財務省が9日発表した1月の国際収支(速報)によると、海外とのモノ、サービス、資金の取引状況を総合的に示す経常収支は前年同月比1兆3365億円減少し、1728億円の赤字に転落した。
世界的な景気悪化で日本からの輸出が急減したことが響いた。
経常赤字は1996年1月以来13年ぶり。赤字額は96年1月(256億円)を上回り、比較可能な85年以来で最大となった。
経常収支が赤字に転落した主な要因は、モノの取引を示す貿易収支が過去最大の8444億円の赤字となったためだ。貿易赤字は昨年11月の934億円、12月の1979億円に続き3か月連続で赤字幅は拡大の一途をたどっている。1月も自動車や半導体などの輸出が米国や欧州、アジアなど全地域向けで大きく落ち込み、輸出額は同46・3%減の3兆2822億円と大幅減となった。輸入は原油価格の低下などで31・7%減の4兆1266億円で、輸出の落ち込みが輸入減を大幅に上回った。
サービス収支も2558億円の赤字となった。円高で日本への観光客が減り、赤字額は前年同月より1・7%拡大した。
海外との資金の流れを示す所得収支は9924億円の黒字を維持したが、黒字額は31・5%減少した。主要国の金利低下で海外から受け取る利子収入が減少。世界不況による企業業績の悪化で海外子会社から受け取る株式配当も減った。円高で受取額全体が目減りしたことも影響した。
市場では、輸出の大幅な落ち込みが当面避けられないとして、2月以降も経常赤字を予想する声が広がっている。第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは「世界経済の低迷を受けて海外金融資産の運用益が目減りし、頼みの綱だった所得収支の黒字も落ち込む。海外経済への依存度が高い日本経済の脆弱(ぜいじゃく)さを象徴している」と指摘する。
経常収支は、貿易収支、所得収支、サービス収支を合算して算出し、赤字は4回目。1月は工場の年始休みなどにより輸出が少なくなる傾向があり、過去の経常赤字はすべて1月だった。

(2009年3月9日11時48分 読売新聞)

(引用終了)

※投資は自己責任でお願いします
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# by kanconsulting | 2009-04-10 07:47 | 経済状況

実質GDP成長率見通し 日本は-6.6% 先進7カ国中最悪

以前の記事で、次のように書きました。

(転載開始)

「日本とアメリカ 産業構造と潜在成長力 弱い潜在成長率とマイナス実質経済成長率予測」

最近のニュースによると、日本の潜在成長力が、徐々に下がってきているということです。そもそも、実質経済成長率はマイナス予測ですが、紙幣をばら撒いて潜在需要を喚起しても、「力強い成長」には程遠い、といったところでしょう。

(潜在成長率)
07年度 1.6%
08年度 1.2% (民間予測)
09年度 0.9% (民間予測)

(実質経済成長率)
08年度 -1.8% (日銀金融政策決定会合)
09年度 -2.0% (同上)

潜在成長力とは?
普通、生産設備などの資本には余剰・遊休があり、労働力にはリストラやミスマッチによる失業分があります。今現在の経済で、こういった資本の余剰や失業がなく、フル活用されたと仮定した場合に、そのGDPを「潜在GDP」、インフレ率の変化なしに達成できる実質成長率を「潜在成長率」と呼びます。
実際の実質成長率=潜在成長率+GDPギャップ
「実質」とあるのは、貨幣換算のGDPの増大(減少)を、価格上昇(下落)分と生産増大(減少)分に切り分けて、生産増大(減少)分のみを抽出した、という意味です。

---

「戦後最大の経済危機 実質GDPマイナス12.7% 分かっていた数値悪化」

(2008年10~12月の)「実質GDP12.7%減」という見出しがショッキングですが、四半期(3ヶ月間)の数字を年率に換算した数値であり、実際の年間の実質GDPは0.7%減となります。それほど、昨年秋以降の落ち込みが激しかったということでしょう。

(中略)GDP変動率を金額に換算すると、

・設備投資 ▲8兆円 ここ数年が過大であり、2009年もマイナスが続く
・純輸出 ▲12兆円 2009年もマイナスは続くが、2009年は半分位で収まる
計付加価値 ▲20兆円
(売上換算 ▲30兆円 (日本企業の売上高付加価値率から逆算))

(中略)

【実質GDP 四半期(季節調整値)】
・前期(7~9月期)比 ▲3.3% (=年率換算▲12.7%)
・09年1~3月期も大幅なマイナス成長の見通し

【実質GDP 2008年通年】
・▲0.7%
・1999年(▲0.1%)以来、9年ぶりのマイナス成長

(転載終了)

毎日新聞エコナビによると、「今回の日本の景気拡大期の実質国内総生産(GDP)伸び率に占める輸出の寄与は61%」と、過去の好景気(いざなぎ景気(同寄与率8%)、バブル景気(同12%))をはるかに超える高い輸出依存度だったことが指摘されています。

何度も書いていますが、無駄遣いのアメリカを、日本(やアジア諸国)が支えた、という「いびつな構造」の巻き戻しなのだと思います。

さて、GDP見通しについて、現在、もっと悪い数字が出てきています。経済協力開発機構(OECD)によると、2009年、日本は6.6%のマイナス成長だということです。

実質GDP成長率見通し(%)

        08年  09年  10年
日本     ▼0.6 ▼6.6 ▼0.5
米国      1.1 ▼4.0  0.0
ドイツ     1.0 ▼5.3  0.2
フランス    0.7 ▼3.3 ▼0.1
イタリア   ▼1.0 ▼4.3 ▼0.4
英国      0.7 ▼3.7 ▼0.2
カナダ     0.5 ▼3.0  0.3
ユーロ圏    0.7 ▼4.1 ▼0.3
OECD全体  0.9 ▼4.3 ▼0.1


以前に、

『私たちが気をつけなければならないのは、・・・「フロー面からは、雇用リスクへの備え」「ストック面からは、デフレ経済への備え」・・・なのだと思います。

特に、「信用崩壊スタート(2007~)→金融機関など資本毀損・有価証券価値暴落→企業の生産調整・雇用カット(2008~顕著に)→家計への波及(日本では今年から顕著に)→デフレスパイラル再来」のサイクルを考えた場合、家計への波及が始まることで、デフレ再突入が確実なものとなります。』

と述べた通りになってきているのだと思います。

関連した過去の記事も参照ください。

日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り

(引用開始)

OECD:「日本、GDP6.6%減」 先進7カ国中最悪--09年見通し

経済協力開発機構(OECD)は31日、10年までの加盟各国の経済見通しに関する報告書を公表した。日本の09年の実質GDP(国内総生産)は6・6%減と戦後最悪を見込み、昨年11月時点の見通し(0・1%減)から下方修正。日本経済は需要不足で物価が持続的に下落し、景気が停滞するデフレ不況に再突入するとの見方を示した
今回の報告は世界経済が「この50年間で最も深く広範囲の景気後退にある」と指摘。なかでも輸出依存度の高い日本の成長率は09、10両年ともに金融危機の震源地の米国やドイツ、英国など欧州各国を下回り、先進7カ国で最悪となると予想。日本経済全体の需要と供給の差を示す「GDPギャップ」は09年にマイナス7・9%、10年に同9・6%と過去最大に拡大。完全失業率も10年には5・6%と、過去最悪だった02年度(5・4%)を上回るまで上昇するとした。
不況への政策対応では、日銀がデフレが完全に収束するまで政策金利をゼロ近くで維持し、流動性を増加させることを求めた。一方、財政出動については「余地が限られている」とし、低所得家計を支える「所得税の税額控除」導入など税制・社会保障制度の改革と、サービス分野の競争力強化のための構造改革が必要とした。【尾村洋介】

毎日新聞 2009年4月1日 東京朝刊

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-04-02 23:28 | 経済状況

謙虚なイチローと検挙な一郎 (あいうえお順)

ご存知のように、WBCは、侍ジャパンの優勝となりましたね。

最後はイチローで決まりです。イチローが打った瞬間、日本中の視聴者が興奮と感動を味わったことと思います。年齢による限界説も囁かれていたのですが、やはり、野球の神に愛された男なのでしょう。
やはり、強いメンタルとフィジカルの持ち主は、ここ一番の勝負どころで、きっちり結果を出すことが出来たということなのだと思います。

3月24日、そのWBC決勝戦でイチローが2点タイムリーヒットを決めた夜、小沢一郎民主党代表が記者会見で、
「(名前が同じ)イチローのように頑張る」
と発言しましたが、「国民的英雄を政治に利用するな!」「イチロー人気に便乗するな!」「イチローとお前と一緒にするな!」などいう、厳しい批判の声があったことはご存知だと思います。

そんな中、ネットでは、「イチローと一郎の比較」が次々に創作されています。 たとえば
「甘いコースを見逃さないのがイチロー」 なら 「甘い汁を見逃さないのが一郎」
「ピンチをチャンスに変えるのがイチロー」 なら 「チャンスをピンチに変えるのは一郎」
という具合です。
そんな「イチローと一郎」シリーズを、50音順に整理してみました。

私としては、小沢一郎バッシングは、ある程度アメリカの意向を反映していると見ています。つまり、ヒラリー・クリントンとの面談後、「小沢は、アメリカに反逆的であり、抹殺すべし」というアメリカ本国の判断があったのではないか、ということです。極端な話、今回のケースは情報工作員によるネット世論の工作があったのではないか、とも考えられます。

ですが、それはそれ、これはこれ、で、単純にブラックユーモアを楽しんでください。

※きわどい内容も含まれていますが、他意はありませんので、ご了承ください。

---



○甘いコースを見逃さないのがイチロー ●甘い汁を見逃さないのが一郎
○足が速いのがイチロー ●逃げ足が速いのが一郎
○愛犬の名前までがイッキュウ(一弓)なのがイチロー ●愛犬の名前までがクロなのが一郎
○アメリカをぶった切るのがイチロー ●アメリカに切り捨てられたのが一郎
○安打マシーンイチロー ●アンチマシーン一郎
○アドバイスを活かすのがイチロー ●アドバンスを活かせないのが一郎
○汗をして金をつかんだのがイチロー ●斡旋をして金をつかんだのが一郎
○現人神なのがイチロー ●現金神なのが一郎
○安打製造機イチロー ●あんた正常か?一郎
○値千金なのがイチロー ●迂回献金なのが一郎
○青いサポーターが手首をガードするのがイチロー ●赤いサポーターがすねをガードするのが一郎

○引導を渡すのがイチロー ●インドを避けるのが一郎
○「イキそうになりました」とテロップで流れたのがイチロー ●「秘書が起訴されました」とテロップで報じられたのが一郎
○一抹の不安を払拭できたのがイチロー ●西松の不安を払拭できないのが一郎
○一弓なのがイチロー ●ファッキューなのが一郎
○引退したら永久欠番になりそうなイチロー ●引退したら永久裁判になりそうな一郎
○イチローは偉いやっちゃ ●一郎はエライコッチャ

○右翼なのがイチロー ●左翼なのが小沢
○右翼を守るのがイチロー ●サヨクに守られるのが一郎
○迂回しなくてもホームに届くのがイチロー ●迂回しないと献金が届かないのが一郎
○打って良しなのがイチロー ●逝って良しなのが一郎

○エラーを嫌うのがイチロー ●エラを好むのが一郎
○エリアを守るのがイチロー ●コリアを守るのが一郎

○王さんを尊敬しているのがイチロー ●金さんを秘書にしているのが一郎
○尾張のイチロー ●終わりの一郎
○男泣きするのがイチロー ●ウソ泣きするのが一郎
○追い込まれてもイチロー打法 ●追い込まれたら小澤で脱法
○おいしいところをいただくのがイチロー ●あやしいところから頂くのが一郎




○外野フライを背後からキャッチ出来るのがイチロー ●献金を背後からキャッチ出来るのが一郎
○韓国を破ったのがイチロー ●法律を破ったのが一郎
○韓国に憤るのがイチロー ●韓国に行き踊るのが一郎
○韓国から勝利を掴むのがイチロー ●西松から商利を掴むのが一郎
○韓国を嫌うのがイチロー ●監獄を嫌うのが一郎
○神が降りてきたのがイチロー ●金が下りてきたのが一郎
○神が舞い降りてきたのがイチロー ●紙(領収書)が舞い降りてきたのが一郎
○神にあいされた男・イチロー ●お上にアレされた男・一郎
○カレーが好きなのがイチロー ●マネーが好きなのが一郎
○活躍してお金を多く貰っているのがイチロー ●暗躍してお金を多く貰っているのが一郎
○勝って泣くのがイチロー ●勝手に泣くのが一郎
○神技を見せるのがイチロー ●審議を拒否るのが一郎
○数々の記録を持つのがイチロー ●数々の疑惑を持つのが一郎
○風のように盗塁するのがイチロー ●風邪を装い逃亡するのが一郎
○カキーンがイチロー ●献金が一郎

○金(きん)を取るのがイチロー ●金(かね)を取るのが一郎
○金メダルをもらうのがイチロー ●金塊をもらうのが一郎
○金字塔をたてるのがイチロー ●マンションを建てるのが一郎
○期待がかかると闘志が燃え上がるのがイチロー ●疑惑がかかると事務所が燃え上がるのが一郎
○期待に応えるのがイチロー ●北に応えるのが一郎
○希望の視線を集めるのがイチロー ●違法な資金を集めるのが一郎
○記憶に残る活躍をするのがイチロー ●時々記憶が無くなるのが一郎
○記録を塗り替えるのがイチロー ●記載を書き替えるのが一郎
○球場でキッチリ仕事するのがイチロー ●窮状でもチャッカリ昼寝するのが一郎
○筋トレするのがイチロー ●金クレするのが一郎
○キューバをぞくっとさせたイチロー ●急場に続投したがる一郎
○キューバをしのぐ素晴らしい活躍をし、民衆に感動を与えたのがイチロー ●急場をしのぐ見苦しい会見をし、民主に動揺を与えたのが一郎
○強肩なのがイチロー ●強権なのが一郎
○記者会見で原を立てるのがイチロー ●釈明会見で腹を立てるのが一郎

○クールなのがイチロー ●尊師(グル)なのが一郎
○クリーンナップを任されることもあるイチロー ●クリーンな民主党を任されている一郎

○謙虚なイチロー ●検挙な一郎
○謙虚なのがイチロー ●検挙されるのが一郎
○決定打を決めるまで諦めないのがイチロー ●決定打を受けるまで諦めないのが一郎
○決勝打者なのがイチロー ●敗戦党首なのが一郎
○献身的なのがイチロー ●献金好きなのが一郎
○牽制に反応するのがイチロー ●献金に反応するのが一郎
○建設的に語るのがイチロー ●建設業にタカるのが一郎
○強肩イチロー ●虚言一郎
○契約を更改するのがイチロー ●公約を後悔するのが一郎

○国民の期待に応えるのがイチロー ●国民の疑問に答えないのが一郎
○国民の称賛に値するのがイチロー ●検察の勝算にあたふたするのが一郎
○国民が栄誉賞をやりたいのがイチロー ●国民が刑務所にやりたいのが一郎
○ここぞというところで闘志を燃やすのがイチロー ●ここぞというところで証拠を燃やすのが一郎
○ここぞというところで闘志を燃やすのがイチロー ●ここぞというところで事務所を燃やすのが一郎
○ここぞと言うとき頼れるのがイチロー ●ここぞと言うとき倒れるのが一郎
○個人で三億稼ぐのがイチロー ●企業献金で三億稼ぐのが一郎
○ゴロを出して叩かれるのがイチロー ●ボロを出して叩かれるのが一郎
○ゴロを出してもセーフなのがイチロー ●ボロを出してアウトなのが一郎
○攻守走のスキがないのがイチロー ●胡首相が好きなのが一郎
○後悔をしない努力をするのがイチロー ●国会をしない努力をするのが一郎



○最後に決めるイチロー ●最後は辞める?一郎
○最後にやるのがイチロー ●最後にヤるのが一郎
○最終的に勝つのがイチロー ●済州島を買うのが一郎
○三割以上を狙うのがイチロー ●三億以上を貰うのが一郎
○侍のイチロー ●痔の一郎

○試合前にウォームアップするのがイチロー ●選挙前にアップアップになるのが一郎
○信頼を取り戻したのがイチロー ●信頼を失ったのが一郎
○自分に厳しいのがイチロー ●自民に厳しいのが一郎
○自己を磨くのがイチロー ●自公を叩くのが一郎
○10回表に2点取ったのがイチロー ●事務所の裏で2億取ったのが一郎
○十回でトドメを刺したのがイチロー ●樹海でトドメを刺しそうなのが一郎
○疾走するのがイチロー ●失踪するのが一郎
○殊勝になるのがイチロー ●首相になれないのが一郎
○至宝扱いなのがイチロー ●司法扱いなのが一郎
○勝利に貢献するのがイチロー ●勝谷が貢献するのが一郎
○出塁してほしいのがイチロー ●出頭してほしいのが一郎
○身体が鋼鉄なのがイチロー ●進退が更迭にならなかったのが一郎
○城島に指示するのがイチロー ●鹿島に指示するのがイチロー
○失策を出さないのがイチロー ●政策を出さないのが一郎
○心・技・体のイチロー ●審・疑・逮の一郎

○スポーツ面トップなのがイチロー ●社会面トップなのが一郎
○スゴイのがイチロー ●スパイなのが一郎
○スーパースターなのがイチロー ●スパイしたのが一郎

○世界の一位を奪ったのがイチロー ●政界の地位を失ったのが一郎
○世界で活躍するのがイチロー ●政界で暗躍するのが一郎
○選球眼がすばらしいのがイチロー ●請求額がすさまじいのが一郎
○全力疾走するのがイチロー ●全力失踪するのが一郎
○制球力のあるのがイチロー ●請求力のあるのが一郎

○速攻で決めるのがイチロー ●速報で決められるのが一郎  
○尊敬されるのがイチロー ●送検されるのが一郎
○存在感あるのがイチロー ●ぞんざい菅といるのが一郎




○大リーグなのがイチロー ●大リークされたのが一郎
○打撃不振を装うのがイチロー ●体調不良を装うのが一郎
○打球を裁くのがイチロー ●法に裁かれるのが一郎
○打法が凄いのがイチロー ●脱法が凄いのが一郎
○叩かれてもゴロを出すのがイチロー ●叩かれるとボロが出るのが一郎
○球を飛ばすのがイチロー ●首が飛んだのが一郎
○タイムリーを打ったのがイチロー ●タイムリーにゲロられたのが一郎
○大砲に繋げるのがイチロー ●逮捕で繋がれるのが一郎
○大事な場面で二点入れるのがイチロー ●大事な場面で地検が入るのが一郎
○大人気なのがイチロー ●大人気ないのが一郎
○タッチをかいくぐるのがイチロー ●法をかいくぐるのが一郎
○たまたま全部ヒットにするのがイチロー ●たまたま全部灰にするのが一郎

○チチローが支援するのがイチロー ●ジチローが支援するのが一郎

○使い続けて発揮するのがイチロー ●使い続けて発覚するのが一郎
○次は監督なのがイチロー ●次は監獄なのが一郎
○ツキがまわって来るのがイチロー ●ツケが回ってきたのが一郎

○点数をひっくり返すのがイチロー ●国をひっくり返すのが一郎
○伝説に詠われるのがイチロー ●検察に疑われたのが一郎
○鉄人でカッコイイのがイチロー ●鉄でできた囲いに入るのが一郎
○手の打ちようがないのがイチロー ●手の施しようがないのが一郎
○鉄壁のイチロー ●鉄面皮の一郎

○トップバッターがイチロー ●トップに待った、は一郎
○投手の隙をつくのがイチロー ●法律の隙をつくのが一郎
○投手から転向したのがイチロー ●党首から転落しそうなのが一郎
○投手としては敬遠したいのがイチロー ●党首としては敬遠したいのが一郎
○投手を困らせるのがイチロー ●困った党首が一郎
○土壇場に強いイチロー ●土建屋に強い一郎
○特殊な打法なのがイチロー ●明らさまな脱法なのが一郎
○トンネルしないのがイチロー ●トンネル送金するのが一郎




○何かやってくれそうなイチロー ●何かでてきそうな一郎
○内角を叩くのがイチロー ●内閣を叩くのが一郎
○内野ゴロをヒットにするのがイチロー ●利権ゴロを秘書にするのが一郎
○仲間を惹きつけるのがイチロー ●仲間がひきつけを起こすのが一郎
○涙を見せないのがイチロー ●涙が見えないのが一郎

○日本に夢を与えるのがイチロー ●日本に汚名を与えるのが一郎
○日本を救うのがイチロー ●日本に巣喰うのが一郎
○日本人美人局アナを嫁にするのがイチロー ●特ア人美人局に引っ掛かるのが一郎
○日産なのがイチロー ●悲惨なのが一郎
○二死から塁にでてもあきらめないのがイチロー ●西松から証拠がでてもあきらめないのが一郎



○背面で球を捕るのがイチロー ●背後に手が回るのが一郎
○バットで結果を出すのがイチロー ●バッドな結果を出すのが一郎
○バットコントロールがうまいのがイチロー ●マネーコントロールがうまいのが一郎
○バットコントロールがうまいのがイチロー ●メディアコントロールがうまいのが一郎
○バッティング技術に定評があるのがイチロー ●ロンダリング技術に定評があるのが一郎
○バッティングが得意なのがイチロー ●バッシングが得意なのが一郎
○バントが凄かったのがイチロー ●番頭が捕まったのが一郎

○ヒットが話題になるのがイチロー ●秘書が話題になるのが一郎
○ヒットを打つのがイチロー ●ヒットマンに撃たせるのが一郎
○ピッチャー返しするのがイチロー ●手のひら返しするのが一郎
○ヒッティングがイチロー ●ビルディングが一郎
○ピンチをチャンスに変えるのがイチロー ●チャンスをピンチに変えるのが一郎
○ピンチになると燃えるのがイチロー ●ピンチになると燃やすのが一郎
○批判を辛抱するのがイチロー ●批判を陰謀にするのが一郎
○秘所がイキそうだったのがイチロー ●秘書が逝きそうだったのが一郎
○日の丸の為に頑張るのがイチロー ●金丸の為に頑張ったのが一郎

○不振が続かないのがイチロー ●不審死が相次ぐのが一郎
○不振を自分のせいにするのがイチロー ●不審を自民のせいにするのが一郎
○不敗を目指すイチロー ●腐敗に根ざす一郎
○不動の一番打者なのがイチロー ●不動産を買いあさるのが一郎
○古畑任三郎に逮捕されたのがイチロー ●東京地検に逮捕されそうなのが一郎
○ファンが神と崇めるのがイチロー ●関係者をホトケに変えるのが一郎
○ファンで一杯なのがイチロー ●不安で一杯なのが一郎
○ファンが感動して金メダルを取り囲むのがイチロー ●保安官が「どうしたの?」って金の棒を取り調べるのが一郎
○ファウルで粘るのがイチロー ●ファウルなのに粘るのが一郎

○併殺を取るのがイチロー ●検察に調書を取られるのが一郎
○塀際の魔術師なのが、イチロー ●塀際の魔術師なのが、一郎


○捕殺をして喜ぶのがイチロー ●お札を見て喜ぶのが一郎
○ホームランも放てるのがイチロー ●ブーメランしか放てないのが一郎



○民衆を感動させるイチロー ●民主から勘当される一郎(もうすぐ)
○みんな脱帽するのがイチロー ●みんな脱法だったのが一郎
○見事なカットで相手を追い詰めるのがイチロー ●仕事のカットで業者を追い詰めるのが一郎

○向こう30年手が出せないようなと言うのがイチロー ●向こう30年出てこれなくなるかもしれないピンチなのが一郎
○向こう30年は日本に手が出せないな、と思わせたのがイチロー ●向こう30年は檻から出られないかもな、と思わせたのが一郎
○ムダがないのがイチロー ●ダムがあるのが一郎
○昔はオリックスにいたのがイチロー ●いずれ檻に入るのが一郎

○めちゃくちゃミートがうまいのがイチロー ●めちゃくちゃみっともないのが一郎

○猛打賞で5対3がイチロー ●もうダメポでご退散が一郎



○やってくれたのがイチロー ●やってくれたのが一郎
○やばい時、頼りになるイチロー ●やばい時、便りが無い一郎

○優勝を決めるのがイチロー ●首相にキレるのが一郎

○良く頑張ったイチロー ●欲張った一郎




○塁を盗むのがイチロー ●国を盗むのが一郎

○レーザービームで敵を刺すのがイチロー ●ブーメランが自分に刺さるのが一郎
○連覇に貢献したイチロー ●連座で後見した一郎

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参考サイト

語り部屋
黒マッチョニュース
関心空間
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# by kanconsulting | 2009-03-29 00:03

バーナンキ米FRB議長「米景気回復は2010年から」 オバマ大統領「米国株は買い時だ」 通貨の価値は

「恐らく年内に景気後退は終わるだろう。(そして)来年から景気回復が始まるだろう」(バーナンキ議長)

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ。米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよい」(オバマ米大統領)

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バーナンキ議長が、生放送のTV番組に出演して、コメントしたということです。

一言で言うと、ポジショントークだと思います。通貨権力のエージェント(代理人、簡単に言うと「手先」)であるバーナンキ議長が、修正や検閲のできない生放送のインタビューに出演するということで、よほどせっぱつまっているのだということが、よく分かります。

加えて、オバマ大統領も、アメリカ内外に向けて、ポジショントークを発信しています。

誤解のないように書き添えておきますが、ポジショントークそのものは、広告宣伝のようなものですので、別に悪いものではありません。人を欺き、騙すためのポジショントーク(大本営発表)がダメだ、と言っているだけです。

さて

現実問題として、2010年には、景気は底を打つと思っています。しかし、それは「以前の水準に戻る」ということを意味しません。「下がりきって、これ以上悪くならない状態になる」という意味ですが、それは、「あと1年間、文字通りの地獄を味わう可能性がある」という前提を含みます。

現在起きているのは、信用不安が高じて、信用恐慌になる段階ですので、一種の取り付け騒ぎといっても、不思議ではないでしょう。それがあと1年も続くとしたら、まともな企業でも、どんどん潰れていくことが、十分ありえます。

(引用開始)

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は15日放送のCBSテレビのインタビューで米景気回復について
「来年から景気回復が始まるだろう」(中略)
 バーナンキ議長は「恐らく年内に景気後退は終わるだろう」としつつも、金融安定化が回復の前提になると強調。失業率(2月は8.1%)も上昇する可能性が高いとの見方を示唆した。

日本経済新聞

バーナンキ米FRB議長、「米景気回復は2010年から」

米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長は15日、米景気回復時期について、「米景気後退は今年いっぱい続くだろう。後退速度は緩和されるが、失業率が(サブプライム問題が発生する前の状態まで)回復する兆しは見えにくい。今年下期には景気後退の終焉の兆しが見えることを期待している」と述べた。(中略)
米CBS放送の「60 Minutes」に出演したバーナンキ議長は、米議会には1月に「2007年12月に生じた米景気後退が今年度中に終焉を迎え、2010年には回復に向かうと判断する十分な根拠があると伝えたことを述べた。

IBT

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12年ぶり安値、米国株は「買い時」…オバマ大統領が推奨

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ」。オバマ米大統領は3日のブラウン英首相との会談後、約12年ぶりの安値水準に落ち込んでいる米国株について、「買い時」との見解を示した。
大統領は「株式市場の日々の乱高下は気にしない。米国と世界経済は立ち直る長期的な能力がある」と強調。「金融安定化策が効果を発揮、景気が上向くことに自信を持っている」と述べた。
大統領肝いりの安定化策に対する失望売りへのいらだちも「推奨」発言につながった模様だ。

読売新聞

対米投資の健全性、安心してよい=オバマ大統領

[ワシントン 14日 ロイター] オバマ米大統領は14日、中国やその他の国々は、米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよいと強調した。ブラジルのルラ大統領との会談後に述べた。
両大統領は会談で幅広いテーマについて話し合ったという。ルラ大統領は、両国が世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の再開に向けて協力すべきだと述べた。一方、オバマ大統領は、バイオ燃料貿易をめぐる両国の対立は時間をかければ解決できるとの見解を示した。
このほかルラ大統領は4月の20カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)のための提案を米国と協力してまとめる意向を示した。

朝日新聞

(引用終了)

そもそも、なぜこのようなひどい事態になったのか、何度も考えてみる必要があります。これまで何度も指摘していますが、一言で言いますと、「(通貨の)過剰流動性」ということに尽きます。

信用通貨が過剰にあり、つまり、(借りたものであれ投資されたものであれ)手元に遊んでいるキャッシュがあるならば、それなりの利回りが得られるように期待されます。ですが、そのような時期には、相対的に、まともな投資先は減ってきます。堅実で儲かる商売は自前で資金調達できるようになり、優良株は資金流入により益利回りは減少し、債券であればこれも利回りは下がります(債券価格は上昇)。

怪しげで、なんだかよくわからない金融商品でも、
「こんな聞いたことがない金融商品でも、これしかないのなら、仕方ないなあ」
「期待利回りを考えると、こんな投資案件に手を出すのも、やむを得ないなあ」
となっていたことは、容易に想像できます。

(これが、「好景気には、あやしげな投資案件が横行し、それに投資家がカネを出してしまう、金融詐欺が多発する」、というひとつの原因でしょう)

Caballeroは、これを、「問題は資金の過剰ではなく、金融商品の不足である。新興国などの旺盛な投資意欲を満たす安全でリターンの高い金融商品が慢性的に不足しており、アメリカの投資銀行がその需要を満たしたため、資金がアメリカに流入したのだ」と指摘しています。(池田信夫ブログより)

これが、アメリカ株式は、これまで良い投資対象だった理由のひとつですが、もうひとつの理由は、「実物資産から、金融資産への乗り換え」が奨励されてきた、ということです。

簡単に言うと、アメリカの思惑により、世界中の銀行を巻き込んだ、実物資産(ゴールド)から、株式への乗換えが、当時のワールドバリュー(日本語で言うとグローバルスタンダード)だった、ということです。ゴールドの価値を抑制することで、相対的に、信用貨幣の価値を維持することが可能でした。その歪みが、株式価値の上昇を生んだのでしょう。

---

株式は、余剰に発行すれば、希薄化(益利回りの減少)により、市場での価格下落は避けられません。そのあたりをシビアに評価できる投資家が参入することで、株式vs貨幣、という流動性ある値付けシステムが働いているからです。

貨幣はどうでしょう?貨幣を余剰に発行すれば、その分貨幣の価値は下がる(インフレになる)のでしょうか?究極的にはそうなのですが、短いタイムスケールでは、そうではありません。貨幣の供給量の増減があっても、それが即座に物価に反映されるようなシステムは存在しません。貨幣の値付けを、別の通貨で行う流動性あるシステムは存在しないのです。

(外国為替がそうなのだ、という指摘があるかもしれません。しかし、これは実需と仮需が入り乱れた取引であり、仮需にしても、金利・物価・国際マネーフローのファンダメンタルズに大きく左右されますが、通貨供給量の大小・変化速度に大きく依存するという話は聞いたことがありません。通貨をジャブジャブに流して、それが物価や金利などに影響することで、為替水準が変わる、という話はありえます。)

(今回は、NAIRUなどの話は省略します)

ということで、直感的な理解では、通貨をジャブジャブに発行しても、ある一定のポイントまでは、物価にはあまり影響しない、という話ができると思います。特に、過剰に流したマネーが、実需ではなく、退蔵された場合には、「砂漠に水をまくようなもので、インフレにはならない」でしょうし、金融商品に流れ込んだ場合には、「インフレにならずに、資産バブルになる」のだと思います。
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# by kanconsulting | 2009-03-18 23:57 | 経済状況

政治事件はすべて出来レース 小沢秘書逮捕とフランクリン・ルーズベルト カウンターニュースとは

In politics, nothing happens by accident. If it happens, you can bet it was planned that way.
-Franklin D. Roosevelt

「政治の世界では、偶然におこる事件など、何一つない。もし何か事件がおこったとすれば、それはそうなるように周到に計画され、仕組まれたことなのだ。賭けてもいい」
フランクリン・D・ルーズベルト(FDR)

(これを時間軸で外挿しますと、「世界の歴史を動かすような事件は、決して偶然などではなく、すべて『仕組まれた』ことなのだ」ということになります。経験的直感と符合しますが、いかがでしょうか。)

小沢秘書逮捕の一報を聞いたときに、このFDRの名言を思い出しました。

さて、皆様は、企業のニュースリリースが、どのように決まっているか、ご存知ですか?普通の企業では、緊急性を要さないプレスリリース(たいていは、新商品開発などの、株価にとって良いニュース)のネタがストックされており、その企業にとって都合の良い時期に、報道関係にリリースされるというものです。カードを切る時期を見極めるのも、経営判断ということでしょう。

警察・検察のプレスリリースも、似たような側面を持ちます。たとえば、容疑者の有罪を印象付けるようなニュースを小出しにしてみるというような世論操作は、戦前からの得意技のようです。本来であれば裁判所によるべき有罪無罪の判断ですが、そういったニュースが新聞に載ってしまえば、世の中の人は、「やはり、そうなのか。あいつがやったのか。」と思ってしまうのでしょう。

そして、日本国内やアメリカ国内の政治のみならず、世界全体においても、当然のことながら、偶然におこる事件など、何一つないのだと思います。

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(3/11追記)

小沢秘書逮捕と、西松建設献金疑惑により、結果的に、「簡保の宿」疑惑から、国民の目を逸らすことに成功した、ということは、見逃すべきではありません。こういったニュースを、「カウンター・ニュース」と呼びたいと思います。

カウンターニュースとは:大々的に報道されるべき事件や事故があった場合に、その影響やダメージを軽減するために、時期的に「当てる」形でリリースされるニュースのこと。(kanconsulting定義による)
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# by kanconsulting | 2009-03-10 02:33 | 経済状況

世界金融危機100兆円と日本バブル崩壊12兆円 アメリカ財政赤字170兆円と低所得国支援2兆円

何度も書いていますが、バファリンの半分がやさしさだとするなら、株価の半分(と言いますか大半)は期待料、ということができます。不況期には、そういったリスク資産の価値が毀損することで、金融機関の健全性が損なわれ、貸し渋りと貸し剥がしが起きるということも、ご存知だと思います。

「何だ。よく『晴れの日に傘を貸して、雨の日には傘を貸さない』と言われることだが、銀行は、景気のよいときには貸し出しをするが、景気が悪くなると貸し出しをしてくれないどころか、取り上げるなんて、ひどいじゃないか。」と思われることと思います。銀行システムには、景気悪化に対する、ビルトインスタビライザーがないのかも知れません。

さて、主要国による、金融機関への公的資金の資本注入額が、100兆円になるということです。バブル崩壊後の、公的資金注入が12兆円だったことを考えると、すさまじい量のマネーが投入されています。

(日本の公的資金注入は、金融システム維持とゾンビ企業退場という光の面と、銀行への時価会計とBIS規制適用によるハゲタカ地ならしという影の面がありました)

しかし、何度も書いていますが、100兆円ではすまないのだと思います。なんとなれば、

アメリカ政府などによる、不良債権買取・公的支援・買収などの合計は、すでに明らかになっている数字の合計だけで、約1.5兆ドル(15130億ドル)(2008/9)
ゴールドマンサックスによると、金融危機に伴う世界の損失額は、1兆4000億ドルに達する(2008/11)
みずほ証券の、もっとシビアな試算によると、約5.8兆ドル(約550兆円)の損失(2008/11)
アメリカ政府支出は8兆5000億ドル(約780兆円)以上(2008/12)

日を追うごとに増えていく損失額に、世界のマネーは完全に萎縮してしまい、その全貌を知ることが恐ろしくなってきているのでしょう。「とりあえず100兆円で。追加があればまたオーダーします」という感じなのだと思います。

(引用開始)

公的資本注入、世界で100兆円に迫る 金融機関向け

世界的な金融危機を受け、主要国による金融機関への公的資金の資本注入額が100兆円に迫っている。金融機関の経営基盤を強化し、金融システムを安定させて危機の波及を抑える狙いだ。日本の金融危機時に注入した金額の約8倍に相当し、危機の深刻さを示している。金融機関の損失拡大で公的資金の注入額はさらに膨らむ公算が大きく、各国の財政を圧迫しつつある。
公的資金による資本注入は、国が金融機関の株式を買うなどの方法で資本を入れることを指す。金融システムを守るとともに一般企業や個人への融資などを促す狙いがある。日本は1990年代後半の金融危機を封じ込めるため、当時、約12兆円の資本を注入した。(07:36)

日本経済新聞

(引用終了)

そして、公的資金の注入額拡大により、その母体である国の財政が注意信号~危険信号となっているのも、皆様ご存知だと思います。何度も指摘していますが、「金融機関の含み損を国に移転した、壮大な飛ばし」です。

(引用開始)

米FRB議長、財政赤字に理解求める

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委員会で証言、当面は金融安定化と景気回復を重視し、財政出動など「積極的に行動する」必要があるとの認識を示し、1兆7000億ドル(約170兆円)を超える巨額の財政赤字に理解を求めた。
議長は「米経済と金融市場は、異例の困難に直面しており、政策の失敗は最終的により大きなコストがかかる」と指摘。「持続可能な財政への回帰を図るのは早すぎるかもしれない」と語った。
また予算教書に盛り込まれた金融安定化のため2500億ドル(約24兆5000億円)の追加公的資金が必要かどうかは「現在実施中の大手銀行を対象にした資産査定の結果や経済状況次第」と述べた。(共同)

産経新聞

(引用終了)

それに比べると、低所得国へのIMF支援は、多額になったとはいえ2兆円あまりと、文字通りケタが違う数字となっています。

IMFの低所得国向け金融支援

2007年 6億ドル
2008年 54億ドル
2009年 250億ドル~1380億ドル (見通し)


(引用開始)

追加資金2・4兆円必要 低所得国、IMF試算

【ワシントン3日共同】国際通貨基金(IMF)は3日、インド、パキスタンやアフリカなどの低所得国は世界的な金融危機の打撃により、2009年に少なくとも合計250億ドル(約2兆4000億円)、最悪の場合は1380億ドルの追加資金が必要になると試算した報告書を発表した。
IMFの低所得国向け金融支援は07年の6億ドルから08年に54億ドルに急増したが、09年はさらに増加するとの見通しを示した。
報告書は、低所得国は世界経済の悪化を受け輸出が減少し、外国からの直接投資や資金流入も縮小していると指摘。多くの低所得国で国際収支が悪化し、資金不足に陥る懸念があるとしている。

共同通信

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-03-08 15:45 | 経済状況

楽しい酒祭り (原題 うれしいひな祭り)

暗い話題が多いですが、そろそろ3月ですので、タイムリーな替え歌を作ってみました。

「楽しい酒祭り」 
作詞 kanconsulting (国家破綻研究ブログ管理人)

あかりをつけましょ ドル札(どるさつ)
お金をあげましょ 10兆円(10ちょうえん)
IMF(あいえむえふ)の 笛太鼓(ふえたいこ)
きょうはたのしい G7(じーせぶん)

中川(なかがわ)さんと 白川(しらかわ)さん
日銀(にちぎん)さんは すまし顔(がお)
前代未聞(ぜんだいみもん)の 不祥事(ふしょうじ)に
カメラの向こうは あきれ顔(がお)

金融危機(きんゆうきき)の 結束(けっそく)を
左右(さゆう)にゆする Sake problem(さけもんだい)
かなり葡萄酒(ワイン)を めされたか
あかいお顔の 財務大臣(ざいむだいじん)


スーツをきかえて 帯(ねくたい)しめて
G7(じーせぶん)後の はれ姿(すがた)
風邪薬(かぜぐすり)か 言い訳(いいわけ)か
ハメられたのか 酒祭り(さけまつり)


※転載を歓迎しますが、この記事へのリンクとともにお願いします。

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原曲 「うれしいひな祭り」
サトウハチロー作詞・河村光陽作曲

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓(ふえたいこ)
今日はたのしい ひな祭り

お内裏様(だいりさま)と おひな様
二人ならんで すまし顔(がお)
お嫁(よめ)にいらした 姉(ねえ)様に
よく似(に)た官女(かんじょ)の 白い顔

金のびょうぶに うつる灯(ひ)を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒(しろざけ) めされたか
あかいお顔の 右大臣(うだいじん)

着物をきかえて 帯(おび)しめて
今日はわたしも はれ姿(すがた)
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り
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# by kanconsulting | 2009-02-23 18:21 | 経済状況

為替 世界中が低金利通貨 円キャリートレードはすでに死語 ヨーロッパでの円建てローン

「超低金利を続けてきた円は、資金調達のオモチャだった。米国がゼロ金利政策を採用した時点で、円は不要になった」(外銀の資金担当者)
「円キャリートレードは、既に死語」(ファンド・マネージャー)
「円キャリートレードは、金融史上最大の賭けだったにもかかわらず、あまりにも多くの投資家があまりにも長い期間に渡って、リスク・フリーの儲け機会だと信じ込んでいた」(ブラック・スワン・キャピタル代表 ジャック・クルーク氏)


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このブログでは以前から、日本(円)の量的緩和が、世界の過剰流動性をもたらした一因だと指摘してきました。信用収縮による「過剰流動性の終焉」は、「為替差益と金利差(スワップ)との両得を得られるおいしい投資手法」である、「低金利通貨-高金利通貨のキャリートレード」を終わらせ、その逆流(アンワインド)により大きな歪(の解消)をもたらしました。

(量的緩和そのものが、「二階から目薬」的な性格があり、ダブダブに流し込んだマネーは、本当に必要とされるところ「のみ」には届かず、利にさとい越後屋の懐に入ったであろうことも、何度も指摘しています。このあたり、国際支援で半分くらい(?)のお金が途中で消えてしまうことと、似ているような気もします。)

具体的に言うと、まず、

・これまでも何度も述べているが、理論上、金利差と為替差益はバランスする (実際には、バランス線上を上下に変動する)
・金利差と為替差益の両方を永遠に受け取ることは不可能であり、マネーフローが変調すれば、必ず逆流が起こる

さらに、

・信用収縮により、塩漬けになっている外国債券や仕組み債券が、まだあるはず
・それら塩漬け債券の損きりのタイミングが、一種のレパトリとして、年度末に来る可能性がある
・各国通貨が低金利通貨となって流動性を供給しており、「円の低金利・調達しやすさ」は相対的に消滅
・何度も指摘しているが、円をめぐる世界のマネーフローは転換期に来ている

さて、大きな話題になった円のキャリートレードですが、その規模については、第91回 円キャリー取引の通説を問うによると、(2007年当時のデータですが)

狭義の円キャリー取引(仮需):5~10兆円規模 (フォワード取引で円ショートを保持も含む)
広義の円キャリー取引(実需含む):50兆円規模 (個人投資家の外貨建て投資信託購入など、自己資金・実需を含む)
海外の円建て住宅ローン(実需):規模不明だが取るに足りない規模の可能性 (東欧※、韓国、インドなど)

「ハンガリーでの円ローン」に、オースリア中銀総裁による、円建てローンについてのコメントがありましたので、転載します。その当時から、IMFは、外貨建ての住宅ローンの水準が高いとして懸念を表明していたことが分かります。その外貨とはほとんどスイスイフランであり、円建ては低水準だったということです。

(引用開始)

Dr. Klaus Liebscher, Gouverneur
Vienna, 6/17/2005
"Furthermore, the IMF expressed concerns regarding the high level of foreign currency loans taken out especially for house mortgages. The Oesterreichische Nationalbank had already raised the same concerns earlier on. In the first quarter of 2005, foreign currency loans accounted for 19.3% of all loans issued to domestic nonbanks and for about 30% of all loans to households. From the European perspective, loans granted by Austrian banks accounted for approximately 3% of all euro area loans to nonbanks while foreign currency loans accounted for 18% of all euro area foreign currency loans granted to nonbanks at end-20043). Nearly 90% of all foreign currency loans issued to nonbanks in Austriaare denominated in Swiss francs while the importance of the Japanese yen currently stagnates at a low level, equaling the volume of loans denominated in U.S. dollars."

(引用終了)

(「歴史的に見て、金利差と円相場の相関はあまり高くない。金利差が円安・ドル高を後押しするのは、米景気サイクルにそって金利がある程度上昇してから高止まっている間の局面的現象である。米景気が変節を迎え、ドル安サイクルが始まれば、金利差が広いままでも円高になるだろう。」などという指摘もあります)

ということです。自己資金の外貨投資や実需まで円キャリーに入れることには違和感を感じますが、下記(1)の仕組債券の話にもあるように、自己資金であっても、よくわからないままにデリバティブで仮需を膨らませているケースもあるのだと思います。

現在は、最終ステージの入り口に来たのだと思います。

(1)少し前の話ですが、豪ドル/円を大きく下落させたのは、仕組み債券の多量処分ということです。

(仕組み債券とは、普通の債券ではなく、デリバティブの一種です。為替レートが一定範囲なら高金利が約束される債券や、日経平均が10000円を割り込まない限り高金利が約束される債券などがあるでしょう。一時期(悪い意味で)話題になった、シティバンクの仕組み外貨預金も、広い意味では同じカテゴリーに入るでしょう。)

・海外ファンドの売りをきっかけに、豪ドルが下落
・ある国内法人が保有する複数年契約の仕組み債が、契約の下限レートを下抜けたため、投げ売り
・売りの規模が大きく膨らみ、豪ドル/円の売りはその日だけで、10億豪ドル規模(市場筋の推計)
・ドル/円、ユーロ/円などの為替相場にも影響
・このような仕組み債券は、法人向けの投資商品として多量に保有されており、3月末の決算を控えて、損失確定の投売りとなる可能性もある

(2)円をめぐる世界のお金の動きが、変わってきたという状況証拠があります。一言で言うと、「外国資本のマネーフローが、一斉に流れを変えた」ということです。

・そもそも、(日本)円は、運用通貨ではなく、調達通貨として認識されてきた
・外銀は円を調達する一方でドル資金を邦銀に融通してきた
・世界同時低金利の出現で、円は、調達通貨としての旨みがなくなった
・しかし、解消が遅々として進まない円売りポジションが、まだ世界中に残留している
・金融危機で資産圧縮を迫られる外銀が、円の保有を削ぎ落としている
>邦銀が外銀への円資金貸出を一斉に控えたため、外銀・ファンド等が、円のファイナンスに行き詰まり、円建て保有資産の処分売りに
・外銀の円需要減退により、邦銀へのドル建て与信が減少し、邦銀のドル調達コストが上昇
・ドルの供給が細り、海外融資など邦銀の外貨建て業務が難しくなる可能性
・円コール市場・株の裁定取引残高低下・証券レポ取引縮小など、日本の金融証券市場が縮小均衡に

つまり、円キャリーが終われば、円の立場はなくなり、短中期的には、ドルが、再び世界中で必要とされるようになる、ということでしょう。世界第二位の外貨保有高を誇る日本が、ドル不足に悩まされる日が来るのでしょうか?少なくとも、民間ではその可能性があるでしょう。

最後の円高を境に、外貨が足りない、そして日本のマーケットが見捨てられる、という悪夢がありえるのかも知れません。

具体的には

(日本で営業する外国銀行の総資産残高)
・2008年末 40.3兆円 昨年比▲10.4兆円(▲20.6%)
>同残高ピーク 64.0兆円(1998年11月)

(同、コール市場から調達した円資金(負債残高))
・2008年末 2.7兆円 昨年10.1兆円
・現時点では1兆を下回っている可能性が高い

(外国人投資家(非居住者)の円資産(本邦株式、中長期債、短期債合わせて) 買い/売り越し)
・2007年 △24兆9226億円 (△は買い越し)
・2008年 ▲10兆3414億円 (▲は売り越し)

(邦銀のドルの資金調達コスト)
・ドル/円ベーシス・スワップ
1月中旬 12bp
2月月初 50bp
2月中旬 40bp

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(引用開始)

豪ドル/円を国内勢が巨額の売り、仕組み債を処分
2009年2月12日

[東京 12日 ロイター] 為替市場では、国内勢のまとまった豪ドル売り/円買いが話題となっている。高金利通貨として人気を集めた豪ドルは個人投資家のみでなく、企業など多くの法人が積極的に投資していたが、相場の下落をきっかけに3月決算期末を前に手じまい売りが出ている。
市場関係者を驚かせたのは、前週2日の値動きだった。日本時間夕方、豪ドル/円が日中の高値58円半ばから55円半ばへ一気に下落、昨年10月以来の史上最安値に急接近した。急激な円高は他通貨にも波及し、それまで89円台後半でもみあっていたドル/円は88円後半へ1円弱下落、ユーロ/円も113円前半まで3円近い円高となるなど、円は一時全面高となった。
複数の関係者によると、豪ドル/円を大きく下落させたのは国内のある法人の売り。海外ファンドの売りをきっかけ豪ドルが下落し、その国内法人が保有する複数年契約の仕組み債が契約の下限レートを下抜けたため「投げざるを得ない状況となった」(市場筋)という。複数年契約で複雑なオプションを絡めた仕組み債は規模が大きく膨らみ、その日の市場で売却された豪ドル/円は、市場筋の推計でおよそ10億豪ドル規模。クロス円の取引量としては異例の大きさだった。
巨額取引が行われた2日は値が大きく振れたため、多くの市場関係者の注目を集めたが、こうした国内勢の「解消売り」は小規模のものも含めると、今回が初めてではないという。高金利通貨として一時、個人投資家の人気を博した豪ドルは「法人向けに数多くの投資商品が作られた。オプションを絡めたものも多い」(外銀関係者)といい、同様の仕組み債を持つ法人は少なくないとされる。
上場する大手企業では昨年、イタリアンレストランのサイゼリヤ<7581.T>が豪ドル建ての仕組み債で150億円超の損失を計上したが、前週の急落を経た市場では、「損失を抱えた非上場の法人が決算を控え、損失確定に動く可能性があるのではないか」(都銀の外為市場関係者)との思惑が広がり始めている。
前週の巨額取引が参加者に与えた衝撃は大きく、今週に入っても仕組み債に絡んだまとまった円買いに敏感になっている。9日の取引で豪ドル/円が1カ月ぶり高値62円後半から夕方に60円前半まで急落すると、その過程では「豪ドルに仕組み債絡みの大規模な売りがまた出た」との観測が出回ったほか、10日、12日の取引でも「豪ドル/円に数億豪ドル単位で国内勢の売りが出たらしい」とのうわさが流れている。
円相場全般は米国の金融安定化・景気刺激策の行方と株価反応をにらみ一進一退。ドル/円もテクニカル的に上昇基調と下落トレンドの分かれ目とされる90円をめぐる攻防が続くなど、今度の値動きを左右しかねない分岐点に差し掛かっている。3月末にかけて豪ドル/円で同様の売りが相次げば、円相場全般に与える影響は決して小さくない。

 (ロイター日本語ニュース 基太村真司記者 編集 橋本浩)

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http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200902170053.html

焦点:外銀の資産圧縮で円が御用済み、邦銀のドル資金繰りも窮地に
2009年2月17日

[東京 17日 ロイター] 日本で営業する外国銀行の総資産が急減している。金融危機で資産圧縮を迫られる外銀が、世界同時低金利の出現で調達通貨としての旨みがなくなった円の保有を削ぎ落としているからだ。
これまで外銀は円を調達する一方でドル資金を邦銀に融通してきたが、円資産圧縮でドルの蛇口が細ったことで、海外融資など邦銀の外貨建て業務が窮地に追い込まれそうだ。
デスティネーション・カレンシー(運用通貨)ではなく、ファンディング・カレンシー(調達通貨)に成り下がった円が国際金融市場で地位を回復するには、金融、産業を含めた長期戦略が必要だ。

 <オモチャの円>
日本で営業する外国銀行の総資産残高は昨年1年間で10.4兆円(20.6%)減少し12月末に40.3兆円まで落ち込んだ。同残高は1998年11月に過去最高の64.0兆円だったので、ピーク時からは37%の減少となる。外銀が円ビジネスから撤退する背景は、金融危機の影響で資産圧縮を迫られているためだが、理由は他にもある。
「超低金利を続けてきた円はファンディング(資金調達)のオモチャだった。米国がゼロ金利政策を採用した時点で、円は不要になった」と外銀の資金担当者は言う。
円はファンディング・カレンシーとして、90年代半ばから欧米投資銀行やその他の金融機関に大いに利用されてきた。低金利の円を借り、その円を売って高金利の通貨(資産)を買う「円キャリートレード」は長らく国際金融市場を席巻した。円キャリートレードは90年代後半の米国のドル高政策の推進力となり、多くの金融商品のボラティリティの源にもなった。
しかし、米国発の金融危機で、米国がゼロ金利政策を採用し、他の主要国もゼロ金利に向けてまい進する中、円の比較優位は失われ、市場では「円キャリートレードは既に死語」(ファンド・マネージャー)とも言われている。円キャリートレードでレバレッジを高め、ハイリスク・ハイリターンの商品に大量投資するというビジネスは破たんし、外銀の円調達意欲も急速に冷え込んだ。
在日外銀の資産の内訳をみると、最も落ち込みが激しいのは、外国銀行がコール市場から調達した円資金の規模だ。外国銀行在日支店のコールマネー(負債)残高は昨年12月末時点で2.7兆円となり、2007年末の10.1兆円から激減した。「現時点では1兆を下回っている可能性が高い」(外銀)との観測も聞かれる。

 <円資産からの撤退>
昨年9月のリーマンショックは、基軸通貨ドルの流動性リスクを印象付けたが、これまで最も安く、最も大量に調達できたはずの円の流動性リスクも際立たせた。
リーマンショックを契機に、邦銀は外銀への円資金貸出を一斉に控えた。この結果、円の流動性に窮した外銀や外銀を介して円資産を保有してきたファンド等は、円のファイナンスに行き詰まり、円建て債券、株式など、保有資産の処分売りに動いた。この流れは今でも続いている。
「国際的な資産運用という意味では、安い通貨で調達して、強い通貨で運用するのが望ましいはずだが、(外資系金融機関は)アセットそのものを持っていられなくなったということだろう。彼らの資産圧縮は今後も確実に続く」(証券系エコノミスト)という。
外国人投資家(非居住者)は2008年中に本邦株式、中長期債、短期債合わせて10兆3414億円と大幅に円資産を売り越している。2007年は24兆9226億円の買い越しだったので、35兆円を超える外国資本のスイングがあったことになる。
外国資本が一斉に流れる方向を変えたことで、円コール市場のほか、株の裁定取引残高低下や証券レポ取引の縮小など、本邦金融証券市場も縮小均衡の道を歩み始めた。

 <ドルが足りない>
外銀はこれまで国内の金融機関から円資金を調達する一方、主に裁定市場で円転取引を通じて邦銀に外貨建て短期貸付を行う役割を担ってきた。円転取引とは外貨資金を円に換えて運用する行為。
しかし、外銀の円需要減退と歩調を合わせて、邦銀へのドル建て与信も減少し、邦銀のドル調達コストが上昇してきた。このため海外融資や外国債券投資など、外貨ビジネスのコストが上昇し、採算性が低下している。
他方、海外で事業展開する大手日本企業は、邦銀を通じたドル資金調達や証券発行などでドル確保を進めている。
ソニー<6758.T>は12月末、三菱東京UFJ銀行など邦銀3行と15億ドルのドル借入枠を契約した。ソニーは外銀に約43億ドルの借入枠があるが4月1日に契約期限を迎える。ドル借入枠の設定について「金融情勢に鑑みて、何かあった時に備えるためのもので、現在は借入枠を使用していない」(ソニー広報)という。
「ドルの蛇口が細っているなかで、企業のドル需要もあり、資金繰りは厳しい。海外貸付など外貨建て資産を膨らませることは難しい」(邦銀資金担当者)との声も聞かれる。
邦銀のドルの資金調達コストを表すドル/円ベーシス・スワップのマイナス幅は、1月中旬に約12ベーシスポイント(bp)に縮小したが、2月月初に急拡大して50bpとなった。現在は40bp付近だが、市場参加者によれば、邦銀が外貨資産の圧縮を行わなければ、ドル資金調達コストが再上昇する可能性が高いという。

 <円の地位回復は長期戦略次第>
円キャリートレードが風前の灯になったとは言え、アイスランドでの円建て住宅ローンをはじめ、個人向けや企業向けの円貸付で、解消が遅々として進まない円売りポジションは世界中に残留し、今後円相場のボラティリティを高めるマグマとなっている。
「(円キャリートレードは)金融史上最大の賭けだったにもかかわらず、あまりにも多くの投資家があまりにも長い期間に渡って、リスク・フリーの儲け機会だと信じ込んでいた」とブラック・スワン・キャピタル代表のジャック・クルーク氏は言う。
財務省は円の国際化の議論を長年リードしてきたが、その議論は使い勝手の向上という側面に偏ったものだった。使い勝手の向上を追求するなかで、円はファンディング・カレンシーとして「負の国際化」の道を歩んだが、通貨の番人としての財務省・日銀はなぜこれを放置したのか。官民とも長期戦略の練り直しが必要な時がおとずれている。
「運用通貨と調達通貨の違いを明瞭に認識して行動してこなかった」と政府関係筋はこれまでの通貨戦略を振り返る。
一方、邦銀の外貨ビジネスについて、三菱UFJ証券・チーフエコノミストの水野和夫氏は「欧米重点戦略から今後はアジアを中心とした戦略に移行すべきだろう。多くのアジア諸国の経済水準は近代化の流れが加速した日本の1960年代に相当し、高成長と通貨価値の上昇が見込める。邦銀は弱いドルで資金調達し、アジア通貨建ての貸付をするという選択肢を考えるべき」だという。「ユーロがローマ条約から40年かけて成立したことを考えれば、日本もアジアの共通通貨を作るという方向で長期戦略を練る必要があろう」と水野氏はいう。
産業政策では、「輸出を柱としたこれまでの経済成長から、内需中心の経済を目指さざるを得ない。まだ移行が出来ていないことで、GDPが大幅に落ち込んでいるが、今後は徐々に変化していくだろう」と前出の政府関係筋は言う。

 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-23 10:47 | 経済状況

戦後最大の経済危機 実質GDPマイナス12.7% 分かっていた数値悪化

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図は時事通信より

2008年10~12月期の国内総生産(GDP)速報が出ました。あくまで速報であり、今後に確定値による訂正がされると思いますが、記録的な悪化であることは間違いないところです。

「実質GDP12.7%減」という見出しがショッキングですが、四半期(3ヶ月間)の数字を年率に換算した数値であり、実際の年間の実質GDPは0.7%減となります。それほど、昨年秋以降の落ち込みが激しかったということでしょう。

この数字を受けて、経済上の対策が加速するものと思います。

私は、

・GDPの数値が悪化するのは、ある程度分かっていたはず
・2007年後半から景気後退に入っており、「今さら」という感じがある
・これで底を打ったという判断は出来ず、まだまだ悪い時期が続く
・悪い数字により、財政上のチェック機能が甘くなる可能性がある
・一般市民は、数値に一喜一憂することなく、守りを固める必要がある

と主張します。

(2/18追記)

私たちが気をつけなければならないのは、

・ショッキングな数字によって、無茶な政治や財政政策が容認されてしまうこと
・フロー面からは、雇用リスクへの備え
・ストック面からは、デフレ経済への備え
・これから日本の財政が悪化するが、そのリスク

なのだと思います。特に、

信用崩壊スタート(2007~)
→金融機関など資本毀損・有価証券価値暴落
→企業の生産調整・雇用カット(2008~顕著に)
→家計への波及(日本では今年から顕著に)
→デフレスパイラル再来

のサイクルを考えた場合、家計への波及が始まることで、デフレ再突入が確実なものとなります。

さて、「10秒で読む日経」によると、GDP変動率を金額に換算すると、

・設備投資 ▲8兆円 ここ数年が過大であり、2009年もマイナスが続く
・純輸出 ▲12兆円 2009年もマイナスは続くが、2009年は半分位で収まる
計付加価値 ▲20兆円
(売上換算 ▲30兆円 (日本企業の売上高付加価値率から逆算))

ということです。

(追記終了)

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【実質GDP 四半期(季節調整値)】 ※「実質」とは、物価変動の影響を除いた、という意味
・前期(7~9月期)比 ▲3.3% (=年率換算▲12.7%)
・3四半期連続で減少
・2けたマイナスは、第1次石油危機時の74年1~3月期(▲3.4%、年率▲13.1%)以来、戦後2度目
・09年1~3月期も大幅なマイナス成長の見通し

【実質GDP 2008年通年】
・▲0.7%
・1999年(▲0.1%)以来、9年ぶりのマイナス成長

【名目GDP 四半期】 ※物価変動の影響を含み、生活実感に近い
・前期比 ▲1.7% (=年率換算▲6.6%)
・98年1~3月期(▲2.0%、年率換算▲7.7%)に次ぐ、過去2番目のマイナス幅
・名目が実質を下回ってデフレを示す「名実逆転」は8期ぶりに解消
・今後は需要減少からデフレに逆戻りするとの懸念が強い

【GDPデフレーター 四半期】 物価の動きを示す 
・前期比 +0.9%

【輸出 四半期】

・前期比 ▲13.9%
・2四半期ぶりに減少
・減少幅は75年1~3月期(▲9.7%)を上回った

【設備投資】 企業の設備投資を示す
・前期比 ▲5.3%
・4四半期連続の減少

【個人消費】 家計最終消費支出
・前期比 ▲0.4%
・物価上昇が一服した昨秋以降も、実質賃金の減少や雇用不安の追い打ちでとマイナスに転じた

【民間住宅】 住宅投資を示す
・前期比 +4.0%

【外需寄与度】 輸出から輸入を差し引いた、外需を示す「財貨・サービスの純輸出」
・前期比 ▲3.0%
・過去最悪

【内需寄与度】
・前期比 ▲0.3%

(引用開始)

GDP:年率12.7%減、落ち込み深刻 10~12月期

内閣府が16日発表した08年10~12月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は、前期(7~9月期)比3.3%減、これが1年間続いた場合(年率換算)で12.7%減と3四半期連続で減少した。2けたマイナスは、第1次石油危機時の74年1~3月期(3.4%減、年率13.1%減)以来、戦後2度目。深刻な金融危機と世界景気悪化で輸出が戦後最大の落ち込みとなり、個人消費も減少。内外需の総崩れが鮮明となった。09年1~3月期も大幅なマイナス成長の見通しで、日本経済は戦後最悪の不況に陥ろうとしている。
実質GDPの3四半期連続の減少はIT(情報技術)バブル崩壊後の01年4~6月期から10~12月期以来、7年ぶり。08年の実質GDP成長率は0.7%減となり、99年(0.1%減)以来、9年ぶりのマイナス成長となった。
10~12月期は、輸出が前期比13.9%減と2四半期ぶりに減少に転じ、減少幅は75年1~3月期(9.7%減)を上回った。自動車、電子部品、建設機械などを中心に米国、欧州連合(EU)、アジア向けがすべて大幅に減少した。外需依存で輸出との連動性が高まっている設備投資は5.3%減と4四半期連続の減少で、マイナス幅は加速度的に拡大している。
昨年夏にかけ、急激な物価高で打撃を受けた個人消費は、物価上昇が一服した昨秋以降も、実質賃金の減少や雇用不安の追い打ちで0.4%減とマイナスに転じた。自動車、家電、航空旅客輸送、衣服などの落ち込みが大きかった。輸出から輸入を差し引いた外需寄与度は、輸出の記録的減少によりマイナス3.0%と過去最悪に、内需寄与度もマイナス0.3%だった。
物価変動の影響を含み、生活実感に近い名目GDPは前期比1.7%減(年率換算6.6%減)で、98年1~3月期(2.0%減、年率換算7.7%減)に次ぐ、過去2番目のマイナス幅となった。【尾村洋介】

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GDP年率12.7%減=35年ぶり急激ダウン-昨年10~12月期速報値

内閣府が16日発表した2008年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値によると、実質GDPは前期比3.3%減、年率換算では12.7%減と、第1次石油ショック後の1974年1~3月期(年率13.1%減)以来、約35年ぶりの急激な落ち込みを記録した。世界的な金融危機が実体経済に波及し、輸出の減少幅が過去最悪となるとともに、設備投資も大幅にダウン。01年4~12月以来、7年ぶりに3・四半期連続のマイナス成長となった。
09年1~3月期のGDPも大幅な減少が予想されており、マイナス成長は戦後例のない4期連続となる見通し。08年度は戦後最低の成長率が見込まれ、記者会見した与謝野馨経済財政担当相は「戦後最悪の経済危機だ」と述べた。政府・与党は成長率の大幅悪化を踏まえ、新たな経済対策の検討に着手する。
名目GDPは前期比1.7%減、年率換算では6.6%減だった。名目が実質を下回ってデフレを示す「名実逆転」は8期ぶりに解消した格好だが、今後は需要減少からデフレに逆戻りするとの懸念が強い。(2009/02/16-11:19)

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08年10―12月のGDP、実質3.3%減、3期連続のマイナス成長
2009年2月16日

内閣府が2月16日に発表した2008年10―12月期の国民総生産(GDP)速報によると、物価変動を除いた実質の成長率は前期比3.3%減だった。年率換算は12.7%減。3期連続のマイナス成長となった。
どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度でみると、外需を示す財貨/サービスの純輸出が前期比3.0%減と大幅なマイナスだった。
内需は前期比0.3%減。住宅投資を示す民間住宅は同4.0%増となったが、個人消費を示す家計最終消費支出は同0.4%減、企業の設備投資を示す民間企業設備は同5.3%減に落ち込んだ。民間在庫品増加の成長率への寄与度は0.4%のプラス。
10―12月期のGDPについて物価変動の影響を含めた名目の成長率をみると、前期比1.7%減だった。物価の動きを示すGDPデフレーターは、前期比0.9%増だった。
■関連情報
・内閣府のWebサイト http://www.cao.go.jp/

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「戦後最大の経済危機だ」と与謝野経財相…GDP大幅減

与謝野経済財政相は16日、記者会見し、10~12月期のGDP成長率が年率換算で12・7%減の大幅なマイナスになったことについて、「戦後最大の経済危機だ。この(悪い)数字を目の前にして何も考えないということは怠けていると言われる。この数字を見た以上は血流を速くして頭を使っていろんな可能性を探ることは我々の責任である」と述べ、景気回復に向けた一段の経済対策を検討する考えを示した。
当面の対応として与謝野経財相は、「2009年度当初予算の早期成立をお願いするとともに、年度当初から速やかな執行を図るための相談をしたい」と述べ、まずは予算成立を急ぐ考えを示した。そのうえで「何をなすべきか経済界などを含めて幅広く議論してほしい」との意向を示した。

(2009年2月16日11時30分 読売新聞)

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戦後最大の経済危機、09年度予算成立に全力=GDPで与謝野担当相
2009年 02月 16日 11:15 JST

[東京 16日 ロイター] 与謝野馨経済財政担当相は16日、2008年10─12月期の国内総生産(GDP)が前期比年率12.7%減と1974年1─3月期以来の大幅な落ち込みになったことについて、現状を「戦後最大の経済危機」と表現した。
GDPを受け、与党内などから追加経済対策を求める声が一段と強まることは必至だが、与謝野担当相は「経済界や国会などで日本が何をすべきか議論してもらう必要がある」としながら、政府の対応としては、08年度2次補正予算関連法案と09年度予算の早期成立・執行に全力を挙げる考えをあらためて表明した。GDP発表後の記者会見で述べた。

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与謝野経財相「戦後最悪。戦後最大の経済危機だ」
2009年2月16日11時54分

与謝野経済財政相は16日、08年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値の発表を受けて記者会見し、日本経済の現状について「戦後最悪。戦後最大の経済危機だ」と言い切った。
景気の先行きについては、「不安定要素がたくさんある。ただ、1年以内に回復が始まるということは、多くの有力なエコノミストが言っている」と指摘した。
政府・与党は09年度予算成立後に、同年度補正予算案を編成して追加経済対策に乗り出す方針だが、与謝野氏は「(予算成立前でも)もちろん頭の体操は必要だ。経済界、言論界、学界などで、こういう経済の状況を受けて、日本が何をなすべきかという議論をしていただく必要がある」と述べた。
また、河村官房長官は同日の記者会見で、実質GDPの急激な落ち込みについて「非常に深刻なものだと受け止めている。早く(08年度)2次補正の関連法案を通して実施に移し、(09年度)本予算を一日も早く成立させることが最大の景気対策だ」と述べた。

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-17 09:42 | 経済状況

アメリカ・イギリスのAaa格付けが試されている 金融産業の威光は消失 小泉元首相の麻生批判

「(先進国のトリプルA格付けには)既に疑問符が付いている」(グリーンバーグ・トラウリグ、ブルース・ジリンスキー氏)
「米国のトリプルA格付けへの信頼が揺らぐ中、米国への投資が減少し、代わりに中国などに投資が向かう可能性がある」(ブリッジ・アソシエーツ、アンソニー・シュネリング氏)

※ムーディーズの場合、トリプルAはAaaとなります

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これまで、アメリカか日本で、国家財政破綻がありえるが、そのどちらが先になるかは分からない、と指摘しました。また、日本の格付け(正確には、国そのものではなく、長期国債の格付け)についても、何回も指摘してきました。

今回、ムーディーズは、トリプルA格の国を、今回の危機への抵抗力によって、3つのグループに分類したということです。(日本(国債)の格付けは、「Aa3」で、上から4番目)

(銀行の崩壊により、ポンドの価値が対円で半分程度になったイギリスが、まだAaaというのも、変な話ですね。アイルランド(アイスランドではありません)も似たようなものでしょう。それらよりも格付けがはるかに劣る日本が、世界最強の通貨を有するというのも、もっと変な話だと思います。)

【最も抵抗力のあるグループ】
・ドイツ、フランス、カナダ、スカジナビア諸国
・世界的な景気低迷に対する抵抗力が比較的強い
・「強い向かい風の中でも、格付けが試されることはない」

【上から2番目のグループ】
・アメリカ、イギリス
・「トリプルA格付けが、世界的な景気低迷によって『試されている』」
>「試されている」との表現は、格付けが「リスクにさらされている」ことの遠まわしな表現
・「成長モデルが打撃を受け、多額の、場合によっては予期せぬ債務の発生により、格付けが試されている」
・「しかし、試練に立ち向うための適切な対応力も、持ち合わせている」

【危機への抵抗力が最も低いグループ】
・アイルランド、スペイン
・「リスクを国家財政で背負うことを余儀なくされた国」
・スペイン:財政状況を改善できる手段はわずか
・アイルランド:公的財政が直面している著しい困難に対処するにはわずかな手段しか残されていない

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そもそも、ムーディーズの格付けは、日本に厳しく欧米に甘いというような、恣意的な判断を含んでいるのではないかとも思っていましたが、それが剥がれたと言う判断のほうが適切なのかも知れません。

何が剥がれたのでしょうか?

「金融産業」「金融立国」という、信用を膨張させるシステムを有している(胴元である)、という強みが、もはや強みではなくなった、ということなのでしょう。

であるとするならば、この後の展開は、ある程度読めます。何度も書いていますが、「お金があるところから、お金を引っ張ってくる」ということなのです。アメリカ新大統領政権の初期の仕事は、「アメリカ国債のファイナンスをするために、日本から資金を出させること」なのでしょう。

最近の小泉元首相の、麻生批判のコメントも、「アメリカに逆らうな。これまでどおり、あるいはこれまで以上に、年貢を納めろ。逆らうと、ひどいぞ。」ということなのだと理解しています。

(引用開始)

米英のトリプルA格、景気低迷で「試されている」=ムーディーズ
2009年2月13日

[ニューヨーク 12日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日、米国と英国のトリプルA格付けは世界的な景気低迷のなかで「試されている」と述べた。一方、ドイツやフランス、カナダといった国は比較的底堅いことを示しているとした。
ムーディーズは、トリプルA格の国を現在の危機に持ちこたえる能力に従って分類した。
ムーディーズの国際チーフエコノミスト、ピエール・カイルトゥ氏は投資家や記者向けの電話会議で「米国と英国で構成されるグループは、成長モデルへの打撃や、非常に巨額で場合によっては予定していない負債により、格付けが試されている。しかし、こうした国々は課題に直面した際の適切な対応力を示したと考えている」と述べた。

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米英のトリプルA格付け、景気低迷で「試されている」=ムーディーズ
2009年2月13日

[ニューヨーク 12日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日、米国と英国のトリプルA格付けは、世界的な景気低迷に「試されている」との見方を示した。一方、同じくトリプルA格のドイツ、フランス、カナダなどは、世界的な景気低迷に対する抵抗力が比較的強いとした。
ムーディーズはトリプルA格の国を今回の危機への抵抗力に従い、3つのグループに分類。米国と英国は上から2番目のグループに入るという。
ムーディーズの国際チーフエコノミスト、ピエール・カイルトゥ氏は投資家と記者向けの電話会議で「米国と英国が分類されるグループは、成長モデルが打撃を受け、多額の、場合によっては予期せぬ債務の発生により、格付けが試されている」と説明した。
ただ「ムーディーズはこのグループに分類された国も、試練に立ち向うための適切な対応力を持ち合わせていると考えている」と述べた。
一方、アイルランドとスペインは、危機への抵抗力が最も低いグループに分類された。ムーディーズはこうした国は「リスクを国家財政で背負うことを余儀なくされた国だ」と説明している。
また、最も抵抗力のあるグループには、ドイツ、フランス、カナダ、およびスカジナビア諸国が入った。ムーディーズはこうした国々は「強い向かい風の中でも、格付けが試されることはない」としている。
アナリストの間では、トリプルA格付けが「試されている」とのムーディーズの表現は、格付けが「リスクにさらされている」ことの遠まわしな表現との見方が強い。
グリーンバーグ・トラウリグのブルース・ジリンスキー氏は、トリプル格付けには「既に疑問符が付いている」と述べた。またブリッジ・アソシエーツのマネジング・ディレクター、アンソニー・シュネリング氏は、米国のトリプルA格付けへの信頼が揺らぐ中、米国への投資が減少し、代わりに中国などに投資が向かう可能性があると指摘した。

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スペインとアイルランド、最上級格付け国では最もぜい弱=ムーディーズ
2009年2月12日

[ロンドン 12日 ロイター] 有力格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日発表したリポートの中で、スペインはアイルランドとともに、公的財政に関するリスクが著しく大きく、最上級の格付けを持つ国の中では最もぜい弱だ、との認識を示した。
リポートは、いずれの国についても格付けおよび見通しの変更には言及していない。
ムーディーズはさらに、英国、米国、アイルランドは、リセッション(景気後退)対策として財政政策を緩和しているため、厳しい債務状況に直面していると指摘。そのうえで、英国と米国は状況を改善できる可能性があるとの見方を示した。
スペインについては、財政状況を改善できる若干の手段はわずかだけだと指摘。先月見通しを「Aaaネガティブ」としたアイルランドに関しても、公的財政が直面している著しい困難に対処するにはわずかな手段しか残されていない、と述べた。
ムーディーズは、スペイン、英国、米国の見通しについては、いずれも「Aaa」で安定的としている。

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-16 19:20 | 経済状況

財政と税 新規国債40兆円超 消費税を上げたい財務省と経団連 五公五民 お上の召し上げ

これまでも「今後の(赤字)国債発行額は、さらに増大する」と述べてきました。財務省の試算によれば、2011年度の新規国債発行額が40兆円を超えて過去最大となる予測です。社会保障関係費が毎年9000億円増え続けることが大きな要因として挙げられています。

財務省の、「消費税を上げたい」「消費税を上げないと、赤字国債を発行せざるを得ないが、責任は取れないぞ」「基礎年金の国庫負担は厳しい」といった意図が見え隠れする、アドバルーン的な試算といえるでしょう。

(なぜ「所得税増税」「法人税増税」ではなく、「消費税増税」なのかについては、繰り返しになりますので、過去のエントリーも参照ください)

(毎度のことですが、日本経団連は、基礎年金をすべて消費税など税金でまかなう「全額税方式」に完全移行すべきだ、高齢者医療や介護保険制度でも公費の投入割合を増やすべきだと主張しています。追加的に必要な財源は消費税率換算で12%程度(試算)で、すべて消費税でまかなう場合、税率を17%に上げる必要があるとのことです。「なぜ消費税なのか」についての理由は明確で、何度も述べていますが、

・社会保障費の企業負担を極力減らし、出来るならゼロにしたい
・輸出企業に対する「消費税戻し税(還付金)」を増やしたい

ということでしょう。)

この試算には、いくつかの前提があります。
・2010年に世界経済が順調に回復する
・日本経済も回復し、実質1%台半ば、名目2%台前半となる
・歳出削減を行わない

この前提も、甘すぎると言えるでしょう。「世界経済が順調に回復するかどうか、その時期はいつか」については、別途エントリーで述べたいと思います。

(歳出)
09年度 88.5兆円(予算案)
11年度 93.0兆円
12年度 95.4兆円

(税収)消費税率を引き上げなかった場合
11年度 47.7兆円
12年度 49.1兆円

(国債発行額)基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるため、財政投融資特別会計の準備金を取り崩して対応する場合
09年度 33.3兆円(予算案)
11年度 38.1兆円
12年度 39.0兆円

(国債発行額)消費税の引き上げなど税収増で賄えずに赤字国債を発行する場合
11年度 40.6兆円
12年度 41.6兆円

(前提となる名目経済成長率)
10年度1.1%
11年度2.1%
12年度2.2%

この「基礎年金の国庫負担」は、

・現在は3分の1強
・2分の1に引き上げるには、年2.3兆円の財源が必要
・09年度と10年度は、「埋蔵金」である財政投融資特別会計の金利変動準備金を流用
・11年度からは、「税制の抜本改革」による、消費税増税などを充てる
・税制の抜本改革が実施できない場合でも、「臨時の法制上の措置」で2分の1を維持
・11年度以降のさらなる「つなぎ」措置は、遠くない時期の消費増税を視野に短期で償還する「つなぎ国債」の発行や、特別会計の剰余金の流用など

とされています。

さて、日本の個人にかかる所得税(+住民税)の「最高税率」は、50%と、世界で4番目に高い水準ということです。きっと、これも「高額所得者・金持ちに配慮して、最高税率を下げろ」という、アドバルーンなのでしょう。

(2/13追記)「最高」ではなく、「国民負担率」は、国民がその所得から税と社会保険料を負担する割合ですが、現在およそ39%となっており、税率に見合った社会保障になっているのかは、はなはだ疑問でしょう。

なお、消費税増税により社会保険料を補った場合には、社会保険料の企業負担が軽減されることにより、国民負担率は増加します。消費税を5%から17%に上げた場合のラフな計算を示すと、(本当にラフな算数ですが)

税負担       23%→35% (消費税増税がそのまま加算されるとして)
社会保険料負担 16%→8% (社会保険料が半分に、ただし労使折半は継続)
想定国民負担率 43% (+4%) 

この+4%の想定負担増は、企業負担▲4%とバランスします。「税制のフラット化」「社会保険料の税負担化」の名目で、家計から企業への所得移転を行いたい、ということなのでしょう。

さらに、顕在化している負担である国民負担に、将来税金などで負担することが予定されている「国と地方の財政赤字」を加えた額の比率を、潜在的国民負担率と呼びますが、約48%と、確実に上昇してきています。今後は50%を超えて来ることが確実でしょう。「五公五民」の世界が、またやってくるのです。

そもそも、「使ってしまった将来の税金」である「財政赤字」相当のマネーは、どこに行ってしまったのでしょうね??私たち国民の未来の幸せや豊かさのために投資されたと言えるのでしょうか??「乗数効果がある」として地方の穴を掘って埋めたり、天下りの退職金として大盤振る舞いされたり、そんなこんなで「使っちゃったので、もうありません。換金も出来ません。」となっているのではないでしょうか。

「お前たちには、一人頭1万2千円を与えるから、ガタガタ文句を言うな。でも、その事務経費800億円は、お前たちの税金で負担してもらいます。」といったニュアンスもある定額給付金の空しさを見るにつけ、「ああ、私たちの大事なお金は、最後はお上に召し上げられるのだな」という予感が現実味を増していくのです。(2/13追記終了)

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(最高税率)2008年時点
デンマーク 59%
スウェーデン 55%
オランダ 52%
日本 50%
・・・
フランス40%

(国民負担率)国民が所得から税と社会保険料をどれだけ支払っているか

2009年度 38.9%
 (税負担)23.0%(▲0.7)
 (社会保障負担)15.9%(+0.2)
2008年度 39.4%
2007年度 40.0%

参考:主要先進国の負担率(06年)
・スウェーデン 66.2%
・米国は34.7%

(潜在的国民負担率)国民所得に占める税金と社会保障費に国と地方の財政赤字を加えた額の比率

2009年度 47・7%(+1・0)(見込み)
 (国民負担率)38.9%
 (財政赤字の国民所得比)8・8%
・・・
1999年度 48・9%
2002年度 47・9%


(引用開始)

新規国債 11年度40兆6000億円
2009/2/3

 財務省は2日、2009年度予算案を基に今後4年間の財政状況をまとめた「後年度歳出・歳入への影響試算」を衆院予算委員会に提出した。試算では、11年度の新規国債発行額が過去最大の40兆6000億円に達するとし、高齢化で社会保障費負担が拡大する国家財政の借金依存度がさらに高まる懸念が示された。
 歳出は、社会保障費の拡大などで09年度予算案の88兆5000億円に対し、11年度に93兆円、12年度には95兆4000億円に膨らむと試算した。一方、消費税率を引き上げなかった場合、税収は11年度が47兆7000億円で、12年度は49兆1000億円になる。その結果、歳入不足を賄うために発行する国債発行額は11年度に40兆6000億円、12年度には41兆6000億円に達するという。試算は内閣府が作成した経済財政の中長期方針を前提にし、名目経済成長率を10年度1.1%、11年度2.1%、12年度2.2%としている。

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新規国債、12年度に42兆円=増税なしの場合-財務省が試算

 財務省は2日、2009年度予算案に盛り込んだ施策を前提にした12年度までの歳出・歳入の試算を公表した。それによると、高齢化に伴う社会保障費の伸びにより、基礎年金の国庫負担割合引き上げの財源を消費増税などの安定財源で確保できなかった場合、財政赤字の穴埋めで国債の新規発行額は同年度に過去最大の41.6兆円に拡大。厳しい財政状況が改めて示された。
 試算は10年に世界経済が順調に回復することを前提に、09年度予算案の制度・施策に基づき機械的に推計。歳出削減を行わない場合、社会保障関係費が毎年9000億円増え続け、一般会計の総額は09年度の88.5兆円から12年度には95.4兆円に拡大する。(2009/02/02-21:50)

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2012年度の新規国債発行が40兆円前後に拡大=財務省試算 
2009年2月2日

 [東京 2日 ロイター] 財務省が2日に発表した「2009年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」によると、世界・日本経済が現在の混乱克服後に順調な回復をたどっても、社会保障費や国債費などの増大を背景に、2012年度の新規国債発行額は40兆円前後に拡大する見通しだ。
 後年度試算は、政府が閣議決定した経済見通しや「経済財政の中長期方針と10年展望」の標準シナリオである「2010年に日本・世界経済が順調に回復する場合」の成長率(実質1%台半ば、名目2%台前半)などを前提に、09年度予算における制度・施策などを踏まえて2012年度までの歳入・歳出状況をはじき出した。
 それによると、中期的には経済成長で税収が増えるものの、高齢化進展に伴う社会保障費増に加え、国債残高増や金利上昇で国債費が増加することから、新規国債発行額は09年度予算の33.3兆円から11年度に38.1兆円、12年度に39兆円に拡大する見通し。
 政府は09年度予算において、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるため、財政投融資特別会計の準備金を取り崩して対応しており、10年度も同様の措置を行う方針。ただ、11年度以降の対応は決まっておらず、消費税の引き上げなど税収増で賄えずに赤字国債を発行する場合、新規国債発行額は11年度に40.6兆円、12年度に41.6兆円とさらに膨らむことになる。

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消費増税なくても基礎年金の国庫負担2分の1維持 政府
2009年1月24日15時3分

 基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるための国民年金法などの改正案に関し、政府は2011年度に消費増税を含む税制の抜本改革が実施できない場合でも「臨時の法制上の措置」で2分の1を維持するとした条文を盛り込むことを決めた。税制改革法案の取りまとめ過程で消費税増税の実施時期が不透明となる一方で、国による基礎年金への財源投入を法律で義務づけ、公的年金の持続性を高めることを打ち出した。
 来週中の閣議決定、国会提出を目指す。
 基礎年金は国民年金や厚生年金に共通する1階部分で、現在は3分の1強が国庫負担。2分の1に引き上げるには、年2.3兆円の財源が必要だ。09年度と10年度は、「埋蔵金」である財政投融資特別会計の金利変動準備金を流用する。
 さらに改正案は、11年度に税制改革が実施できなかった場合、毎年「臨時の法制上及び財政上の措置を講ずる」ことで、2分の1維持を明文化。遠くない時期の消費増税を視野に短期で償還する「つなぎ国債」の発行や、特別会計の剰余金の流用などが、11年度以降のさらなる「つなぎ」措置として想定されている。
 ただ、こうした「つなぎ」による財源調達が続く限り、財源の安定性には課題が残ることになる。
 このほか、付則では、年金、医療、介護や少子化対策を機能強化する重要性を指摘。基礎年金の最低保障機能強化を検討することも盛り込まれた。これに関連し、2分の1への引き上げの実現で、低所得で保険料支払いを全額免除された人が受け取れる年金額は、月2万2千円から3万3千円(08年度水準)になる。(友野賀世)


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消費増税なくても基礎年金の国庫負担2分の1維持 政府
2009年1月24日15時3分

 基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるための国民年金法などの改正案に関し、政府は2011年度に消費増税を含む税制の抜本改革が実施できない場合でも「臨時の法制上の措置」で2分の1を維持するとした条文を盛り込むことを決めた。税制改革法案の取りまとめ過程で消費税増税の実施時期が不透明となる一方で、国による基礎年金への財源投入を法律で義務づけ、公的年金の持続性を高めることを打ち出した。
 来週中の閣議決定、国会提出を目指す。
 基礎年金は国民年金や厚生年金に共通する1階部分で、現在は3分の1強が国庫負担。2分の1に引き上げるには、年2.3兆円の財源が必要だ。09年度と10年度は、「埋蔵金」である財政投融資特別会計の金利変動準備金を流用する。
 さらに改正案は、11年度に税制改革が実施できなかった場合、毎年「臨時の法制上及び財政上の措置を講ずる」ことで、2分の1維持を明文化。遠くない時期の消費増税を視野に短期で償還する「つなぎ国債」の発行や、特別会計の剰余金の流用などが、11年度以降のさらなる「つなぎ」措置として想定されている。
 ただ、こうした「つなぎ」による財源調達が続く限り、財源の安定性には課題が残ることになる。
 このほか、付則では、年金、医療、介護や少子化対策を機能強化する重要性を指摘。基礎年金の最低保障機能強化を検討することも盛り込まれた。これに関連し、2分の1への引き上げの実現で、低所得で保険料支払いを全額免除された人が受け取れる年金額は、月2万2千円から3万3千円(08年度水準)になる。(友野賀世)

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日本の最高税率、世界4位の高さ 民間調査

 日本の個人にかかる所得税などの最高税率が、世界各国の中で4番目に高い水準にあることが民間の調査でわかった。日本の所得税・住民税を合わせた最高税率は50%で、高福祉・高負担といわれるデンマーク、スウェーデンなどに次ぐ。政府は昨年末に消費税、所得税など税制の改革の道筋を示す「中期プログラム」を策定したが、税率に見合う社会保障などの充実を求める声も高まりそうだ。
 調査は大手会計事務所のKPMGインターナショナル(スイス)が世界87カ国を対象に実施した。2008年時点で日本より最高税率が高いのはデンマーク(59%)、スウェーデン(55%)、オランダ(52%)。そのほかの先進国もフランス(40%)など高い国が目立った。(08:32)

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財政赤字拡大で潜在的な国民負担増
2009.1.30 23:28

 財務省は30日、国民所得に占める税金と社会保障費に国と地方の財政赤字を加えた額の比率を示す「潜在的国民負担率」が平成21年度に過去3番目の水準となる47・7%に達する見込みと発表した。21年度の財政赤字の国民所得比は8・8%。景気悪化に伴う大幅な税収減によって将来世代の負担である財政赤字が膨らみ潜在的国民負担率は前年度から1・0ポイント増加。11年度の48・9%、14年度の47・9%に次ぐ水準となった。

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税、社会保険の負担率38・9%に
2009/1/31

 財務省は30日、国民が所得から税と社会保険料をどれだけ支払っているかを示す国民負担率が、2009年度は38.9%になるとの見通しを発表した。所得減を上回るペースで租税負担が減るため、ピークだった07年度(40.0%)から2年続けて低下する。社会保障負担は高齢化に伴って過去最高を更新する見通しだ。08年度の国民負担率も1年前の見通しを下回り39.4%になる。
 09年度の税負担は前年度から0.7ポイント低下し23.0%。景気悪化で所得税や消費税、法人税収などが軒並み落ち、国民所得に占める税負担割合も下がる。04年の年金制度改正で公的年金の保険料が段階的に引き上げられ、社会保障負担も15.9%と0.2ポイント上がる。財政赤字も加えた「潜在的な国民負担率」は47.7%に上昇した。
 主要先進国の負担率(06年)はスウェーデン(66.2%)など欧州勢が高く、米国は34.7%と低い。

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定額給付金「効果」あるの? 膨大な関連経費…国民負担ズシリ
2009.1.26 20:55

 成立が確実となった平成20年度第2次補正予算の目玉である総額2兆円規模の定額給付金。国民への給付とは別に、給付事業の実施に825億円もの経費がかかる。うち給付金の振込手数料は約150億円に上り、自治体職員の残業代や給付申請書類の郵送代も発生する。標準世帯モデル(65歳未満夫婦、18歳以下子2人)で6万4000円もの“臨時収入”となる給付金だが、これには膨大な関連経費が国民負担としてのしかかるうえ、事務手続きも煩雑で、費用対効果を疑問視する声は依然、根強い。

 ■国債費年800億円増
 政府は給付金の事務費として825億1300万円を計上しており、国の予算でその全額が賄われる。
 給付金の支給方法は、金融機関への振り込みが原則。市区町村の指定金融機関を通じて、それぞれの世帯主の口座に振り込まれる予定だ。具体的に手数料をいくらにするかは、各自治体と指定金融機関の交渉で決まることになるが、政府は約150億円の費用が生じると見込んでいる。
 さらに、給付手続きに伴う各自治体職員の残業代などの人件費約233億円を国庫で負担するほか、給付申請書類の郵送費にも約270億円がかかる見通し。総務省が自治体に示した要綱案には、広告料、印刷製本費なども国が負担する対象経費に含まれている。
 今回の定額給付金など2次補正予算の経済対策にかかる2・6兆円分は、財政投融資特別会計の剰余金、いわゆる「埋蔵金」を活用する。本来は国債償還に充てる予定だった剰余金だ。今回の施策のため、国債費(利子・償還費用)は、毎年約800億円も膨らむ計算だ。

 ■準備作業は進まず
 総務省は給付金支給の基準日となる2月1日を過ぎた後でも、ホームレスや「ネットカフェ難民」であっても、一定の居住の実態があれば、支給することを検討している。
 ただ、「同じネットカフェに1~2カ月程度滞在している実績がないと難しい」(総務省幹部)のが実情で、住民基本台帳から削除され、居所を転々とする人は「捕捉(ほそく)しようがない」(同)のが実態だ。
 総務省はまた、当初、第2次補正予算が成立した直後に事業の実施要綱を策定し、正式に自治体側に準備の「ゴーサイン」を出すはずだった。だが、同省の滝野欣弥事務次官は26日の記者会見で「できるだけ速やかに策定したい」と述べるにとどまり、具体的な時期には言及しなかった。
 総務省としては、年度内の給付開始に向けて準備作業を進めたいとの思いが強いが、財源の裏付けとなる関連法案が成立する前に支出が発生することを懸念する財務省との調整がついていない。
 総務省としては約825億円の関連事務費だけでも前倒しで支出し、準備を進めたい立場だが、財務省は財源的裏付けのない支出には依然慎重な姿勢を崩していない。

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政府紙幣の発行、慎重な検討必要=杉本財務次官
2009年2月2日

 [東京 2日 ロイター] 財務省の杉本和行次官は2日午後の定例会見で、自民党などの一部から政府紙幣を発行して景気対策に活用する案が出ていることについて、日銀による国債引き受けを禁止している財政法などの観点から慎重な検討が必要と語った。
 杉本次官は、景気対策として政府紙幣の発行する考え方としては、1)政府紙幣を発行して資産として日銀に保有させる、2)市中で日銀券と並行して政府紙幣を流通させる──などがあると指摘。
 その上で、政府紙幣を日銀が資産として保有する場合には「経済的には無利子・無期限の国債を日銀に引き受けしてもらうことと同義だ。これは戦前のインフレなど各種の反省から国債の日銀引き受けを禁止している財政法5条との関係がある」と否定的な見解を示した。
 政府紙幣を流通させる場合でも「政府に還流した場合は、それに対する財源を確保しなければならない。いずれにしても財源の確保が必要になる点に留意する必要がある」と述べ、「政府紙幣というのは世界的にもなかなかない制度。財政規律の関係もあり、慎重な検討が必要だ。どこかから要請があり、具体的に検討しているということはない」と語った。
 杉本次官によると、政府紙幣の発行にあたっては財政法の観点以外に、貨幣法の改正が必要になるほか、製造など技術的な問題も多いという。
 (ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者)

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2025年度、消費税17%提言…経団連が社保制度改革案

 日本経団連が近くまとめる社会保障制度改革に関する報告書の最終案が4日、明らかになった。
 2025年度をめどに、基礎年金をすべて消費税など税金でまかなう「全額税方式」に完全移行し、高齢者医療や介護保険制度でも公費の投入割合を増やすべきだと提言している。
 追加的に必要な財源は消費税率換算で12%程度と試算しており、すべて消費税でまかなう場合、税率を17%に上げる必要がある。
 現在、基礎年金の公費負担(税金)の割合は3分の1で、09年度から2分の1に引き上げられる。
 報告書は、第1段階として、15年度までに公費負担割合を3分の2に上げ、消費税率換算で最低5%分の財源確保が必要だと試算した。すべて消費税でまかなうと、税率は現行の5%から10%に上がる計算だ。
 さらに、25年度までの第2段階で、全額を公費負担とすると、最終的な消費税率は17%になるという。
(2009年2月5日03時09分 読売新聞)

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-13 09:46 | 経済状況

アメリカドルのレパトリ(本国還流)はいつまで続くのか アメリカと中国の出来レースと振り込め詐欺

レパトリ(レパトリエーション)は、リパトリ(リパトリエーション)とも呼びます。一般的には、資金・資本が自国に還流することを指します。狭義では、期末・年度末の決算にあわせて、他国の市場に投資していた資金や、他国で上げた利益を本国に呼び戻すことを指します。

日本では、3月などの決算月に、外貨建て資産を円に交換して日本に呼び戻す影響で、円高になりやすいと言われています。また、今回のドル高(対円を除く)では、アメリカドルが投資されていた国ほど、リスク回避によるドルのレパトリにより、通貨が下落していると指摘されています。

もともと、米ドルは世界経済の機軸通貨として、アメリカ国内に必要な分を大幅に超える量が刷られていました。それがヨーロッパに滞留し、『ユーロダラー』と呼ばれていたことは、過去の記事でも指摘しましたので、ご存知の方も多いと思います。最近では、ドルのM3は公表されていませんので、「ドルがどれだけ流通しているのか」を知ることは難しくなっています。

(ユーロダラーについては、過去の記事「来るべき暗黒の日(2) 世界株安と円高再び フレディーマック・ファニーメイ・RMBSとナイトの不確実性」「世界同時株安と円高(4) 円高の理由と中央銀行による流動性供給の弊害 世界恐慌かスタグフレーションか」も参照ください。)

このブログでは、
・アメリカは、若くて優秀な労働力に恵まれており、潜在成長率が高い
・しかし、対外債務国であり、継続的な資本のファイナンスが必要
・ファイナンスが困難になった時点で、自国借金の棒引き・帳消しを迫る可能性もある
・特に、10年に一度は戦争をして景気浮揚をするような体質であり、注意が必要
と指摘してきました。

さて、ロイターは、「永遠には続かぬ米資本の本国回帰、ガイトナー発言で市場に緊張」(01/28)として、

・米国資本(米企業、ファンド等)のリパトリは、昨年前半から本格化している
・つまり、米国人が在外資産を取り崩して、資本を本国回帰させている
・大幅なリパトリを進めざるを得なかったのは、海外の民間資本が米国から撤退したため、米経常収支赤字を決済するための資金が不足したため
・しかし、対外純債務国である米国のリパトリはいずれ一巡する
・その後は、リスクに敏感な民間資本の対米流入が継続できるかどうか、不透明
・日本などの対米債権国が、保有するアメリカ国債(米債)を売れば、債券価格が下落するため、大量に売却できないというジレンマがある
・しかし、中国はアメリカ国債を交渉カードにしているなど、ずっと米国債を持ち続ける保証はない
・米国のリパトリが一巡し、公的・民間資本の対米流入によって、米経常収支赤字をファイナンスできなければ、為替・金利・インフレによる、ドルの価値下落がありうる

と指摘しています。このブログで以前から指摘していたこととほぼ同じ内容なので、さもありなん、という記事となっています。

私はさらに踏み込んで、「中国とアメリカは、アメリカ国債の扱いや為替レートの調整に関して、すでに何らかの合意がなされている。中国とアメリカのコメントは、出来レースだ。最後には日本の資金が使い込まれる、壮大な振り込め詐欺だ。」と指摘します。

米国人が保有する対外資産(デリバティブを除く)
2008 2Q ▲1026.98億ドル
2008 3Q ▲ 95.05億ドル
2008 4Q ?

日本の統計による、米投資家(居住地ベース)の、本邦証券(株式及び債券)の、買い越し・売りこし(▲は売り越し)
(2005~2007年)+9.6兆円
(2008年1~11月)▲2兆1108億円

資本の流出入(▲は流出)(2008 2Q)
海外公的資本 +1400億ドル
民間資本 ▲1200億ドル

米国債保有残高(2008年11月末)
1位 中国 6819億ドル
2位 日本 5771億ドル

米国の貿易収支(▲は赤字)
2008年10月 ▲567億ドル
2008年11月 ▲404億ドル


(引用開始)

永遠には続かぬ米資本の本国回帰、ガイトナー発言で市場に緊張

[東京 28日 ロイター]
米金融危機でもドルが相対的な強さを保っている背景には、米国資本が在外資産を取り崩し、資金を本国回帰(リパトリエーション)させている現象がある。
この動きは為替市場で外貨売り/ドル買いをとなり、ドルの支援材料だ。しかし、対外純債務国である米国のリパトリはいずれ一巡することが予想され、その後は、円滑な対外借り入れの継続が米国にとって死活問題となる。
他方、ガイトナー新米財務長官は対米債権国である中国の通貨政策を名指しで批判、既に不安定化している外国資本の対米流入をいっそう冷え込ませるリスクを冒しているようだ。

 <リパトリの痕跡>
米国資本(米企業、ファンド等)のリパトリは、昨年前半から本格化している。
国際収支統計によれば、米国人が保有する対外資産(デリバティブを除く)は、2008年第2・四半期に1026億9800万ドル(約9兆円)減少し、第3・四半期にも95億0500万ドル減少した。対外資産の減少は、米国人が在外資産を取り崩して、資本を本国回帰させた証しだ。
1960年の統計開始以来、米国の対外資産が四半期ベースで減少したのは10期のみで、2期連続で減少したのは昨年が初めて。第2・四半期の減少幅は過去最大となった。
日本の統計では、米投資家(居住地ベース)が2008年1―11月に本邦証券(株式及び債券)を2兆1108億円売り越したことがわかる。米投資家の対日証券投資は一昨年まで活発で、2007年までの3年間に約9.6兆円買い越している。
米国人が特に昨年第2・四半期に大幅なリパトリを進めざるを得なかったのは、海外の民間資本が米国から撤退したためだ。
同期に、海外の公的資本は1400億ドル超流入したが、民間資本は1200億ドル以上の規模で米国から流出した。このため米経常収支赤字を決済するための資金が不足し、米国人が資本を本国回帰させたという構図だ。

 <ガイトナー発言の真意>
リスクに敏感な民間資本の対米流入が今後一段と不安定になることが予想される中、米財務長官に指名されたティモシー・ガイトナー氏は、日本と並んで世界最大級の対米債権国である中国の為替政策を批判した。
ガイトナー氏は22日、強いドルは米国の利益、との見解を明らかすると共に、中国が為替を操作しているとオバマ大統領は確信している、と述べた。
「広範にわたるエコノミストの見解に基づき、オバマ大統領は中国が為替を操作していると確信している。大統領は中国の為替制度改革を求め、利用可能なあらゆる外交手段を積極的に講じる姿勢を示している」とガイトナー氏は述べた。
この発言について、東海東京証券のチーフエコノミスト・斎藤満氏は「ドル安の進行は海外資本の円滑な流入を阻害するので、債権者にも配慮し『ドル高は国益』という看板を一応は掲げている」ものの、「2兆ドル規模に拡大する見込みの連邦政府の借金の負担を軽くする為に、米国にはインフレ待望論があり、このためにドル切り下げが必要との認識が根底にはある」と分析する。
一方、中国人民銀行(中央銀行)の蘇寧・副総裁は24日、このガイトナー氏発言について、誤解を招く発言だとし「発言は事実に反するだけでなく、金融危機の原因の分析を誤った方向に導く」と反論した。
中国の反論を受け、米国サイドは一転防戦に回った。
ギブズ米大統領報道官は26日、ガイトナー発言について、オバマ大統領が選挙期間中に示した見解を繰り返したのであって、正式な結論ではないとした。
ガイトナー発言を受け、米国が4月に発表する為替報告で、中国を為替操作国に正式認定するのではとの見方が高まっているものの、ギブズ報道官は、オバマ政権がそうするかは依然、議論の余地があることを示唆した。
中国の米国債保有残高は2008年11月末時点で6819億ドルと世界最大で、2位は日本の5771億ドルとなっている。
主な対米債権国が、保有米債を売れば、債券価格が下落し、自らのポートフォリオが傷むため、債権国は自縄自縛に陥り、大量に売却できないという思惑も市場にはある。
しかし、「中国が日本のように漫然と米国債を持ち続けるという思い込みが、全く的外れなことは追々証明されるだろう」(ファンド・マネージャー)との声も聞かれる。
米国のリパトリが一巡し、公的及び民間資本の対米流入が、米経常収支赤字の決済に十分な額に達していなければ、ドルが下落するだけでなく、米国は厳しい国内調整を強いられる。
米国の貿易赤字は昨年10月に567億ドルだったが、11月には404億ドルと急減し、調整の足音が聞こえてくる。

 (ロイター日本語ニュース 森 佳子)

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-09 10:28 | 経済状況

かげろう景気 景気拡大で経済犯罪 景気後退で暴露 信用創造サイクルと経済犯罪サイクル

今回の景気回復局面(そんな実感はありませんでしたが)は、「かげろう景気」なんだそうです。実感にとって実感のない側面を捉えた、ナイスネーミング(?)だと思います。

(引用開始)

「かげろう景気」与謝野経財相が命名、最長でも実感乏しく

与謝野経済財政相は30日の閣議後の記者会見で、戦後最長となった今回の景気回復局面について、「『ダラダラ陽炎(かげろう)景気』とでも言うんでしょうか」と、独自の命名を披露した。
陽炎は、あるかないか、はっきりと分からないものの例えに使われる。経財相自身は「命名」の根拠を明言しなかったが、景気回復実感の乏しさをなぞらえたとみられる。
07年10月まで5年9か月にわたった回復局面は、期間では高度成長期の「いざなぎ景気(65年11月~70年7月)」を上回ったものの、実質成長率は年平均で2%程度にとどまった。賃金上昇率はほぼ横ばいで低空飛行が続いた。

(2009年1月30日18時57分 読売新聞

(引用終了)

これまでも、過去の記事「実感なき景気回復 個人所得伸び率はマイナス さらなる人件費カットがありうる」(2006/11)などで述べていますように、

「個人消費は落ち込み続けています。個人消費落ち込みの原因は、所得(賃金)の伸び悩み・・・なのです。そして、ここからさらなる人件費カットがありうると予測します。・・・たとえば、正社員を減らして、派遣としたり、出向させたりすることで、年金保険料を含む社会保険料を簡単に減らすことが出来る。・・・まもなく、働いても働いても、豊かになれない・・・時代が来ると、予測しています。冷酷なようですが、それを避けることは出来ません。」

と述べた内容が、すさまじい勢いで現実になってきているのです。

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さて、これまで私が思っていたことのひとつに、

『景気拡大局面には、余剰利益や超過利潤が生まれやすい。それに伴い、使途不明金(=各種献上金)・利益供与・取り込み・使い込み・贈収賄・その他経済犯罪が生まれやすい。プラスのサイクルが回っているうちは、表に出てくることも少なく、各種利権団体の圧力によって握りつぶされることもあるだろう。
しかし、景気後退局面には、「カネの切れ目が縁の切れ目」ということで、それらの政治的・経済的な影響力が弱くなると同時に、それら経済犯罪の証拠がリークされ表に出てくることになる。』

ということがあります。その例は、快挙に暇が無いと思います。たとえば、

「特捜検察vs.金融権力/村山治」
「徴税権力―国税庁の研究/落合博実」

などを参照ください。

「かんぽ(簡保)の宿」の疑惑も、そのひとつかと思いましたが、政権を巻き込んだ疑惑だとすれば、その分根が深いのかもしれません。

(引用開始)

日本郵政の「かんぽの宿」を、オリックスの系列会社であるオリックス不動産に一括譲渡する、という新聞報道を見て私は直ぐに何か裏があるのでは、と疑惑を感じた。 オリックスと言えば、直ぐに宮内会長が浮かんでくる。小泉政権時代に規制改革にリーダー的役割を果たした。小泉さんの「民間で出来ることは民間で」というスローガンの元で民営化を進めたが、その過程で他社に先駆け、民営化の話題に上がった事業をオリックスの事業拡大に活用した、という疑惑がもたれていたのだ。

国民共同の財産である「かんぽの宿」を、小泉「改革」や郵政民営化を進めてきた宮内氏を会長とするオリックスに格安で一括譲渡しようとしていることにみられるように、「改革」や郵政民営化にまつわる利権問題・疑惑も発生した。

売却先が、投資ファンドや他の不動産会社であれば、何の問題もなかった。規制緩和の旗振り役を務め、「平成の政商」と呼ばれた宮内氏が会長しているオリックスだから問題になった。オリックスへの「かんぽの宿」の譲渡が報道されると、インターネット上には、「宮内氏の利権漁り」を糾弾する書き込みが相次いだ。

底なし沼の「かんぽの宿」疑惑。1万円の物件が6000万円に化ける、というフザケタ転売が明らかになったが、郵政がらみの怪しい施設はもう1件あった。鹿児島県指宿市の「指宿簡易保険保養センター」。日本郵政公社が2007年に全国178施設を一括売却した際、評価額1万円で売られた物件だが、調べてみると、昨年10月にリゾート風の和風温泉旅館に生まれ変わっていた。こちらもやはり転売。仲介に入った不動産業者が丸儲けしたのは間違いない。

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-02-04 00:55 | 経済状況

日本とアメリカ 産業構造と潜在成長力 弱い潜在成長率とマイナス実質経済成長率予測

最近のコメント欄から、いくつか話題を載せたいと思います。

(1)日本の産業構造と潜在成長力

最近のニュースによると、日本の潜在成長力が、徐々に下がってきているということです。そもそも、実質経済成長率はマイナス予測ですが、紙幣をばら撒いて潜在需要を喚起しても、「力強い成長」には程遠い、といったところでしょう。

(潜在成長率)
07年度 1.6%
08年度 1.2% (民間予測)
09年度 0.9% (民間予測)

(実質経済成長率)
08年度 -1.8% (日銀金融政策決定会合
09年度 -2.0% (同上)

潜在成長力とは?
普通、生産設備などの資本には余剰・遊休があり、労働力にはリストラやミスマッチによる失業分があります。今現在の経済で、こういった資本の余剰や失業がなく、フル活用されたと仮定した場合に、そのGDPを「潜在GDP」、インフレ率の変化なしに達成できる実質成長率を「潜在成長率」と呼びます。
実際の実質成長率=潜在成長率+GDPギャップ
「実質」とあるのは、貨幣換算のGDPの増大(減少)を、価格上昇(下落)分と生産増大(減少)分に切り分けて、生産増大(減少)分のみを抽出した、という意味です。


産業のシフトは、言うほどには進まないというのも事実と思います。それをゾンビ企業の退場と、雇用市場の流動化によって進めようとしたのが、いわゆる小泉改革だと思いますが、結果から見ると、失敗でしょう。(コストカットのための非正規雇用、中高年フリーターの増加を招いただけで、日本の産業構造を高めることにはなりませんでした)。ITのような高度の技術を要する産業に人をシフトさせるのは容易ではないのでしょう。

(2)日本とアメリカの債権債務関係の行く末と経済成長

日本とアメリカの債権債務関係の行く末については、繰り返しになりますので、「日本はアメリカ国債の放棄を 債券のデフォルトか紙クズか 戦争の足音」を参照ください。

経済成長には、制約条件があります。そのうち主要なものは、昔も今も、「(天然)資源」と「労働力」ですし、それに「環境」を加えても良いでしょう。石油資源が(値段はともかくとして)量的な制約を受けることは事実ですので、もはや「ムダ使い」は許容できないという見方をしています。

労働力で言うと、アメリカは若くて優秀な人材が育つ・集まってくる潜在成長率の高い国ですので、ムダをそぎ落として筋肉質に生まれ変わることが出来れば、復活もありうることと思います。

関連したコメントを転載します。

(転載開始)

(1)景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

Commented by surnivers at 2009-01-24 12:11 x
凄い落ち込み方ですよね。
正直言って驚きました。
ここまで急激に落ちるものなのかな?と疑いましたが、しかし事実のようです。
こうなって来ると、日本の場合は負のスパイラルが始まってしまいますね。
どこかで区切りをつけないと行けません。
ワシはその為に産業のシフトをするべきだと思いますが、今の政府には第三次、第四次産業の重大さが分っていないようです。
日本が一番強いのは正にここですのにね。
困ったものですね。

Commented by kanconsulting at 2009-01-26 09:09 x
surniversさん
コメントありがとうございます。確かに、これまでは「対岸の火事」という受け止めが多かったと思いますが、ようやく来るべきものがきた、という感じですね。好景気(?)からの、いきなりの世界不況ですから、悪い夢を見ているような気もしますが、これまでの好況が夢だったのかも知れません。そして、負のスパイラルが始まるというのも、ほぼ事実でしょう。
産業のシフトは、言うほどには進まないというのも事実と思います。それをゾンビ企業の退場と、雇用市場の流動化によって進めようとしたのが、いわゆる小泉改革だと思いますが、結果から見ると、失敗でしょう。(コストカットのための非正規雇用、中高年フリーターの増加を招いただけで、日本の産業構造を高めることにはなりませんでした)。ITや環境のような高度の技術を要する産業に人をシフトさせるのは容易ではなく、アメリカのような「若くて優秀な人材が育つ・集まってくる」潜在成長率の高い国でないとムリ、ということと理解しています。

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(2)日本はアメリカ国債の放棄を 債券のデフォルトか紙クズか 戦争の足音

Commented by buu at 2009-01-19 23:50 x
ドルのような紙切れや帳簿の数字がどうなろうと、どうでもいいことです。
債権放棄するのはとても賢い判断です。ドルを積み上げるために努力したおかげで日本の生活・技術・教育水準は大きく向上しました。
アメリカ人が放蕩の限りを尽くしたからこそ、日本の今があります。
日本人が国債を買ってアメリカを支え続けたからこそ、アメリカ人は研究・開発に専念し、インターネットなんかを使ってこういう風に意見を世界に発信できるようになりました。

お金とは誰かの負債なのだから、放蕩の限りを尽くしたアメリカ人と、勤勉に貯蓄していた(言い方を変えればけちな)日本人は共犯です。どちらかが破滅すればもう片方も破滅するのは仕方ないと思います。
うまくいかなくなれば、リセットして同じゲームを繰り返せばいいじゃないですか。 いくら浪費しようと、貯蓄しようと、所詮は紙切れにすぎません。チャラにすればよいのです。

Commented by kanconsulting at 2009-01-20 22:23 x
buuさん
コメントありがとうございます。アメリカ(人)が無駄遣いをすることを日本(人)が支えたこと、その両者が一蓮托生であることは、それはこのブログでも何度も述べていることです。ですが、結論は、私とは異なるようですね。

債権と債務は表裏一体です。ですが、共犯(共同犯罪)とまでは言えないでしょう。それではまるで信用創造そのものが犯罪行為であるということと同じです。国家間のマネーフローは、必ずしも単年度でバランスしないので、持続可能な範囲でストックとして積み上げられることは、別に悪いことではありません。

ですが、無駄遣いの存在を許せるほど、もはや資源に余裕はありません。「同じゲームは繰り返せない」のです。

(転載終了)
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# by kanconsulting | 2009-01-28 09:30 | 経済状況

景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

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図はフジサンケイビジネスアイより
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図は毎日新聞より

1月の月例経済報告で、初の「(景気が)急速に悪化」という表現が出ました。「世界経済も日本経済も数カ月で好転することはありえない」とのコメントですが、ようやく、認識が現状に追いついた、という感じでしょう。

貿易黒字が、急速に減少しています。下半期だけで見ると、貿易赤字です。記事にもありますが、波及効果の大きい自動車製造業から、製造業全体に影響が及び、ついで非製造業に、負の連鎖が広がっていくのでしょう。
ということは、今年は、日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントなのでしょう。これまでも述べましたが、世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎えるのだと思います。

当然の流れですが、中小企業は壊滅的なダメージです。12月の中小企業景況DI(「好転」から「悪化」を引いた値)が、「マイナス79」となり、過去最低を更新しました。
中小企業景況DI -79.0 前月比▲1.8
 製造業 -79.6 前月比▲2.5
 非製造業 -75.5

為替の動きも、暴力的です。ますます混乱を深める世界経済。私たちはなすがままに漂流するしかないのでしょうか?引き続き考えたいと思います。

(引用開始)

景気、初の「急速に悪化」 1月の月例経済報告

政府は20日、1月の月例経済報告で景気の基調判断を「急速に悪化している」とし、前月の「悪化している」から下方修正した。生産と輸出が過去最大の落ち込みを記録するなど、加速度的に悪化している景気の現状を反映。1975年以降で初めて「急速」という表現を使った。個人消費についても7年ぶりに「弱含み」と判断し、景気後退の影響が企業から家計に及ぶ現状に懸念を示した。
与謝野馨経済財政担当相は関係閣僚会議後に記者会見し、「あらゆる指標は悪い方向に向いている。世界経済も日本経済も数カ月で好転することはありえない」と景気の足取りについて厳しい見方を表明。異例の速さで悪化する企業と、弱まる家計の動きへの警戒感とともに、年明け以降の落ち込みに懸念を示した。

(引用終了)

貿易関連のニュースです。

(引用開始)

http://www.asahi.com/business/update/0122/TKY200901220070.html

08年貿易黒字、8割減の2兆円 82年来の低水準
2009年1月22日10時28分

財務省が22日発表した08年の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字は、前年比80%減の2兆1575億円にとどまり、82年以来の低水準だった。年央まで原油高で輸入額がふくらみ、世界同時不況に入った年後半は輸出が急減した。
輸出は同3.4%減の81兆492億円、輸入は同7.9%増の78兆8917億円。年の前半の資源高を受け、輸入額は過去最大、輸出額も過去2番目の水準。だが、年の後半にかけて輸出の減速が鮮明になり、下半期(7~12月)では7772億円の貿易赤字になった。半期での赤字は80年上半期以来。
08年12月の輸出は、前年同月比35%減の4兆8333億円だった。過去最大の下げ幅で、米国、欧州、アジア向けの減少率が、いずれも35%を超えた。ロシアや中東向けも下落幅が拡大した。
特に自動車の落ち込みが激しく、米国向けが同52.6%減、欧州連合(EU)向けが63.4%減。アジア向けを中心に、半導体などの電子部品も42.9%減るなど、国内メーカーの業績不振を裏付けた。
輸入も同21.5%減の5兆1539億円にとどまった。原油価格の急落で、原油が51.9%も減ったほか、プラチナやアルミニウムなど、自動車生産に使われる非鉄金属も47.1%減った。



12月貿易統計は3カ月連続赤字、過去最大の輸出減=財務省
2009年 01月 22日 11:22 JST

[東京 22日 ロイター] 
財務省が22日に発表した2008年12月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は3207億円の赤字となった。赤字は3カ月連続。
ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、貿易収支の予測中央値は2780億円の赤字だった。赤字となったのは、輸出が前年比マイナス35.0%と、輸入の同マイナス21.5%を大きく上回る減少幅となったため。輸出の減少幅は過去最大。

<赤字は、第2次石油ショック以来の長期に>
財務省は今回の数字を受けて「米国の金融危機に端を発した世界的な経済危機を反映している」と指摘した。赤字の3カ月連続は、第2次石油ショックに見舞われた1979年7月─80年8月(14カ月連続)以来の長期となる。
輸出下落に寄与したのは、自動車、半導体等電子部品、自動車の部分品など。輸入押し下げには、原粗油、石油製品、非鉄金属などが寄与した。輸入原油価格は55.1バレル/ドルとなり、前年比マイナス39.2%と大幅に低下した。
輸出は、対米、対EU、対アジアの3主要地域で、1980年以降公表された比較可能な統計で過去最大の減少率を記録した。

<08年黒字額は1982年以来の低水準に>
同時に発表された2008年の黒字額は前年比80.0%減の2兆1575億円となった。輸出がマイナス3.4%と、ITバブル崩壊や米国同時多発テロのあった01年(マイナス5.2%)以来の低下にとなったことが影響した。黒字減少は2年ぶりで、黒字額の水準としては、第2次石油ショックの後遺症がみられた1982年(1兆7762億円)以来の低いものとなった。
また最近の円高の影響について財務省では「わが国の貿易取引では輸出の6割、輸入の8割が外貨建てになっている。従って単純に言えば外貨建て取引の円換算において円高によって輸出入額が縮小する」と指摘した。

<下げ止まりの兆し見られず、負の連鎖広がる懸念も>
今回の数字を受けて民間エコノミストからは慎重な見方が多く聞かれた。農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏は「米サブプライム問題に端を発した金融問題が、世界規模での金融危機につながり、リスクマネーが一気に回収される事態を招いている。順調に拡大していたかに見えた世界経済は、縮小均衡に急速に向かっている状況といえるだろう」と分析、「先行き製造業、特に生産波及効果の大きい自動車製造業から非製造業へ負の連鎖が広がっていく可能性は否定できない」とした。
みずほ総合研究所シニアエコノミストの山本康雄氏は「輸出に下げ止まりの兆しが見られない。1─3月期も11─12月期と同様のペースで減少が続くのではないか。減少幅が縮小するのは4─6月期とみる」との見通しを示した。マネックス証券チーフエコノミストの村上尚己氏は「輸出との連動性が高い12月分の鉱工業生産も、事前の生産計画(前月比8%減)以上の落ち込みとなる可能性がでてきた。12月の輸出入金額の数字を踏まえ、10─12月GDP成長率は年率換算で10%もの記録的な縮小となる見通し」と予想した。
(ロイター日本語ニュース 武田晃子、児玉成夫)

貿易統計:12月輸出額35%減、過去最大の落ち込み

財務省が22日発表した08年12月の貿易統計速報によると、世界的な景気悪化を受けて輸出額は前年同月比35.0%減の4兆8333億円となった。減少率は11月(26.7%減)を大幅に上回り、79年1月の統計開始以降の過去最大を2カ月連続で更新。輸出の落ち込みがさらに加速し、外需頼みの日本経済の苦境が一層鮮明になった。また、08年下半期(7~12月)の貿易収支(輸出額と輸入額の差)は、半期ベースでは80年上半期以来28年半ぶりの赤字に転じた。
輸出の減少は3カ月連続。自動車輸出が対米で半減、対欧も6割減となったことが響いた。地域別では対米が36.9%減、対欧が41.8%減、対アジアも36.4%減となり、すべての主要輸出先に対して過去最大の減少率を記録した。
輸入は原油輸入価格の下落で21.5%減の5兆1539億円と2カ月連続の減少。輸出減が輸入減を上回ったため、貿易収支は3207億円の赤字となった。3カ月連続の貿易赤字は、石油危機の影響を受けた79年7月から80年8月の14カ月連続以来。地域別では対米黒字が半減したほか、対欧、対アジアはそれぞれ7割超、9割超の減少と過去最大の減少率となった。
08年通年では、輸出が3.4%減の81兆492億円と7年ぶりに減少した。輸入は年後半まで原油価格が高止まりしたため、7.9%増の78兆8917億円と過去最高を更新。貿易黒字は過去最大の減少率となる80.0%減となり、黒字額も2兆1575億円と82年以来の低水準だった。半期ベースでは上半期(1~6月)が2兆9347億円の黒字だったが、08年10月以降の輸出急減で、下半期は7772億円の赤字になった。【清水憲司】

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-01-23 23:00 | 経済状況

売れないマンション 貸せない銀行 デフォルト率3% さらに下落する不動産価格

マンションなど不動産購入のためのローン(融資)が通らない、という声をよく聞きます。それは当然だと思います。なぜなら

・銀行の自己資本の毀損、引当金確保のための貸し渋り
・マンションは、販売後に中古品となり大きく処分価値が下がってしまうため、担保価値が低く、加えて不動産価格も下がりつつある中で、大きな与信はできない
・上場企業であっても容易に倒産してしまうため、サラリーマンへの与信には慎重にならざるを得ない

「何もわからない個人に貸し付けまくって、消費を喚起する構造」は、終わったのです。

さて、世界中で、債務不履行が増えています。

ムーディーズによると、「09年末の世界ジャンク債デフォルト率、15.1%に急上昇へ」として、2009年末までの世界のジャンク債のデフォルト率が15.1%となり、前年末時点の4%から急上昇するとのことです。大恐慌時の数値(1933年6月の15.9%)に迫る数値のため、文字通り、現在の経済環境は恐慌レベルなのだと思います。
・欧州ジャンク債デフォルト率 08年末2% 09年末18.3%
・米国ジャンク債デフォルト率 08年末4.4% 09年末15.3%

日本ですと、「債務不履行が最悪3・1% 昨年10月、20カ月連続で上昇」として、金融機関の取引先企業のうち、過去1年間に3カ月以上返済が延滞したり、破綻(はたん)懸念先以下となった件数の割合が3.1%となり、20カ月連続で上昇、過去最高を更新したとのことです。その分、引当金を積む必要がありますので、自己資本が毀損し、「体力のない企業には貸したくない。回収したい。」というインセンティブが働くのでしょう。

自己資本8%(レバレッジ12倍)の銀行で、デフォルト率3%(金額ベースは不明ですが、デフォルト企業には中小企業が多いことを考慮して、仮に0.3%とします)のための引当金(100%)を積むとすると、自己資本を維持するためには、3.6%もの貸し剥がしをする必要があります。これが大企業に及んで、デフォルトが金額ベースで1%になれば、12%もの返済強要となり、とうてい返済できるものではありません。

関東圏、関西圏のマンション完成在庫も、一向に減りません。「今はまだ買いたくないし、そもそも買えない」のでしょう。不動産については、一昨年(2007)の秋にはすでに凋落の兆しが見えていましたが、まだまだこれから冬の時代になるのだと思います。

(引用開始)

近畿の08年マンション発売、24%減…ピークから半減

不動産経済研究所が20日発表した近畿2府4県の2008年の新築マンション発売戸数は、前年比24・7%減の2万2744戸だった。バブル崩壊後の1993年(2万772戸)以来、15年ぶりの低水準で、ピークだった96年(4万4430戸)のほぼ半分に落ち込んだ。売れ行きを示す契約率も60・4%と、好不調の目安とされる70%を2年連続で下回った。91年の55・1%以来、17年ぶりの低さで、マンション市況の冷え込みを鮮明にした。
首都圏でも、発売戸数は前年比約28%減の4万3733戸と大幅に落ち込んだ。5万戸を割り込んだのは93年(4万4270戸)以来、15年ぶりだ。
同研究所は、昨年半ばまでの資材価格高騰などで建築費が上昇したところに、景気の急速な悪化が追い打ちをかけ、買い控えが広がっていると分析している。
発売戸数の減少を上回るペースで売れ行きが鈍り、マンションの在庫は膨れ上がっている。近畿2府4県の08年末の在庫は07年末と比べ10%増え、6344戸だった。02年末(7168戸)以来の高水準だ。
在庫を減らすために、大幅な価格の引き下げを行う分譲会社もある。兵庫県芦屋市では、当初7630万円の価格を2200万円値引きして売るケースもあった。業者は「年度末に向けて、たたき売りの状態になっている」と嘆く。
値引き競争が広がれば、経営体力の弱い分譲会社は苦しい。帝国データバンクによると、08年に経営破綻(はたん)した分譲会社は、全国で前年より40社増えて53社で、近畿も5社多い7社だった。経営に行き詰まる業者は今後、さらに増えるとみている。

(2009年1月21日 読売新聞)

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首都圏マンション発売15年ぶり5万戸割れ、契約率62.7%
2009/01/21

不動産経済研究所が20日発表した2008年の「首都圏マンション市場動向」によると、新築マンション発売戸数は前年比28.3%減の4万3,733戸となり、1993年以来15年ぶりに5万戸を割り込んだ。減少幅は1991年のバブル崩壊時(34.5%)以来の大きさ。
エリア別では、東京都区部が5.8%減と比較的小さな減少幅にとどまったほかは、いずれも30%以上減少。特に東京都下と千葉県はそれぞれ43.6%減、44%減で4割強の落ち込みとなった。
一戸当たりの平均価格は前年より2.8%高い4,775万円で、6年連続の上昇。しかし、エリア別でみると、東京都下が9.5%値上がりのみで、ほかのエリアは0.6~3.1%の値下がりとなった。もっとも平均価格が高かったのは東京都区部の5,932万円、逆に低かったのは千葉県で3,589万円。
売れ行きを示す契約率は2007年(69.7%)をさらに7.0%下回る62.7%で好不調の目安とされる70%を割り込んだ。12月末現在の在庫数は1万2,427戸で、2007年末に比べて1,664戸増加した。
なお、いわゆる「億ション」の発売戸数は前年比5.7%減の1,268戸。過去最多だった1990年(3,079戸)の半分以下にとどまった。最高価格は港区のマンションで13億9,500万円。
2009年の首都圏のマンション販売戸数については前年比7.5%増の4万7,000戸と予想。昨年12月発表の「首都圏マンション市場予測」(同研究所)によると、市場回復は低価格物件の導入が急がれる郊外部からで、用地費や建設コストが落ち着いた「新価格」物件が秋口以降に出てくると予測。超高層、超大型物件は依然人気を集めるものの、リスクを回避し中小の物件が主力となるとしている。

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08年のマンション発売戸数、28%減 ピーク時の00年の半分以下

不動産経済研究所(東京・新宿)が20日発表した2008年の首都圏のマンション発売戸数は07年に比べて28.3%減の4万3733戸となり、ピークだった2000年(9万5635戸)の半分以下の水準に落ち込んだ。過去の地価上昇に伴う販売価格の上昇で購入を控える顧客が増えたうえ、景気後退で消費者心理が冷え込んだことから発売戸数が大幅に減少した。金融機関が開発業者への融資姿勢を厳しくしていることも影響しているもようだ。
発売した最初の月に契約を結んだ初月契約率は、08年は月間平均で62.7%となり前年を7.0ポイント下回った。販売の好不調の目安となる70%も大きく下回った。
同時に発表した08年12月の発売戸数は前年同月比18.2%減の6696戸となり、16カ月連続の前年割れとなった。契約率は61.9%だった。みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは「昨年9月の『リーマン・ショック』以降、金融機関が融資にかなり慎重になっている。金融市場の混乱が収まり、不動産市況が回復するまであと2年はかかるだろう」とみている。

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-01-21 21:27 | 経済状況

金持ちじいさんの知恵(2) 人さんのために

「ええか。商売は、欲張りすぎたら、あかん。人さんのために、せなあかんのや。」

金持ちじいさんは、言っていました。折に触れて語ってくれた言葉を、「金持ちじいさんの6つの知恵」として取りまとめ中ですが、その最初に来るのが、「人さんのために」ということです。

今風に言えば、顧客、出資者、取引先、従業員、その他利害関係者、それに社会環境を含めた、ステークホルダーを考慮する、ということになるでしょうか。もちろん、その言葉を聞いたときには、そんなことまで分かるはずもありません。

そして、昨年の、肥大しすぎた金融原理主義が、巨人兵(古いですね)のように腐り落ちていくさまを見るにつけ、金持ちじいさんの言葉が頭をよぎりました。

「市場の全員が、ずっと、儲け続けることは、できひん(できない)ことや。ええ時もあれば、あかん時もある。来年がどうなるかは、神さんしかわからへん。でもな、ぼん。ご縁ある人さんの幸せを考えることは、いつでも、せなあかん(しなければならない)ことや。」

バブルのさなかには、その崩壊を感じていたようです。もし昨年も存命であれば、どのように言われただろうかと思います。

「ええか。こないなことは、いつまでも続くわけない。行き過ぎたもんは、揺り戻す。そやから、いつも中道を歩く事が肝心や。こういう、熱狂いうんわな、何十年かに一度は来る。そのときに、自分がお天道様から授かった役割を見失わんことやな。」

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「人さんのためにすることは、なんぼかやり方がある。一番簡単なんは、ものをあげることや。困っている時にはええけど、長続きせん(しない)。次にええ(良い)のんは、自分の時間をつこうて、人のために働くことや。いちばんええのんが、その人におうた(合った)、生きるための知恵を授けることや。そやけど、そうなるまでには、長い時間がかかる。」

私が、それなりの時間を使って、経済と財政の問題についてブログを書いているのは、読者様の生きる知恵の一助になればという、つたない願いでもあります。
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# by kanconsulting | 2009-01-19 09:34 | 大阪商人の知恵

日本はアメリカ国債の放棄を 債券のデフォルトか紙クズか 戦争の足音

これまでに、重すぎる債務の一般的な行く末や、日本の保有するアメリカ国債の未来について、次のように述べてきました。

アメリカ民主党と共和党 日本経済クラッシュによる米国債の棒引き 「二つのアメリカの世界戦略/深田匠」

アメリカが負う世界一の対外債務を消滅させたいというインセンティブは、概念上は、民主党のみならず共和党にも働く。したがって、経済戦争の一環として、日本経済クラッシュを仕掛ける可能性は、概念上は、民主党のみならず共和党にもありうる。

国際貸付ではなく国際投資を 経済状況の発展段階説(2)

「日本は、海外・外国政府に対するODA・貸付では、貸した金の返済を待つことしか出来ないという意味で本質的には弱者である」と思います。また、重債務国は、金利の返済に耐えかね、債務の棒引きを求めます。

世界金融危機(8)  ヘッジファンドの危機とアメリカの格付け 公的支援は1.5兆ドル(15130億ドル)

時価会計の無視、空売りの禁止、モラールの無い資金投入など、『ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何をするかわからない』のでしょう。「対外的にも何をするかわからない」というのは、自国の権益を守るためには、何でもするであろう、という意味だと思います。ということは、この後に待っているのは、

・アメリカ債券とドル紙幣の押し売り
海外投資家のマネーの棒引き
・ドルの減価による、不景気なのにモノが高いというスタグフレーション
・強権的ルールによる世界統制経済
借用証書を焼き払うための政治的暴力

のいずれかでしょうか。何度も書いていますが、「弱いものから巻き上げるのが、繰り返してきた歴史」なのです。

FRBのバランスシート アメリカの損失の飛ばし アメリカと日本の納税者にツケ

ではどうするか?たとえば、次のような方法があるでしょう。

・国際協調と称して、日本円を増発
・FRBに差し入れて、ドルと交換
・そのドルを市場に流さず、そのままアメリカ国債を購入
・買ったアメリカ国債は、アメリカ財務省で塩漬けにする
・ある時点で、為替レートと金利上昇による強制調整により、実質の借金を棒引き

このケースにおいては、日本の納税者が、「国際協調のため」として、アメリカの損失をかぶることになります。先ほどの急激な円高では、「債権国である日本に、資金が逃避した」とされています。このため、外貨建ての債券の価値は急落しました。加えて、この債権者(注:日本)は、アメリカ債券を思う通りに売ることができない、「債務を返してください」とお願いするしかない、弱い存在でもあるのです。何度も書いていますが、日本からカネを搾り取るための、国際協調がありうるのだ、と指摘します。

国の借金843兆円

巨額すぎる借金は、いろいろな方法で棒引きされてきたのが、歴史の常です。

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格付け会社の三國陽夫は、

・日本は、アメリカに対する債権(アメリカ国債)を放棄すべき。
・米国債の発行残高は今後も増える。米国は債務国なので、低金利では資金調達が難しい。不況下の金利上昇に見舞われかねない
・日本の債権放棄で米国債の残高が減れば、米国は金融機関の救済や景気テコ入れに心置きなく財政出動し、長期的な経済再建に必要な生産設備も十分に輸入できる
・日本の債権放棄は、米国のみならず、日本にも世界にも有益だ
・日本政府が債権放棄に踏み切れない場合、為替市場がドル安によって、米国債の評価を引き下げる。1ドル=50円-60円まで円高・ドル安が進む。残された時間はあと3カ月から5カ月。95年4月の戦後最高値(79円75銭)に並ぶ。

として、日本が債権放棄するか、円高・ドル安による強制調整か、いずれにしてもアメリカ国債の価値を保全することは不可能と指摘しています。

この人は、アメリカの意向を受けているのだと思います。アメリカそのものが「カネは返せない」と言うのではなく、他国(日本)の代理人(エージェント)に「私たちのためにもなるのだから」と言わせるところがアメリカ流なのでしょう。

最近のCMで言えば、「あなたのためだから」「あなたのためだから」「はぁ?」という感じです。

ですが、発言の内容そのものは大きくは間違ってはいないのが、残念なところです。

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関連した過去の記事を再構成して、まとめとしたいと思います。

アメリカは、1970年代に、金利上昇とそれを上回るインフレにより、国債投資家に大損をさせたという前科があります。アメリカは実質破綻寸前であり、国債の減価によりかろうじて乗り切った、ということだったのかも知れません。何度も書いていますが、「弱いものから巻き上げるのが、繰り返してきた歴史」なのです。

そして、歴史は繰り返すというのも、ご存知のことと思います。

何度も書いていますが、アメリカ国債が売れなくなる日は、そこまで来ています。そして、物価(インフレ)、金利、為替、のいずれか、あるいは全部、によって、「ドルの減価」がありうるのだと思います。

このブログでは、開始後まもなくから、アメリカとドルの信認は安泰ではない、円とドルは一蓮托生だ、と訴え続けてきました。その当時は、「ドルは強い。そんな心配よりも、日本(円)の心配をするべき」などと言われてきましたが、今となっては、どちらが正しかったなどは、どうでもいいように思えます。なぜならば、ドルの破綻は、文字通り、現在の貨幣経済システムの死刑執行であり、システムに組み込まれているすべての人が路頭に迷うことになるからです。

(日本は、)アメリカの延命のために、これまではアメリカ国債を多量に買ってきました。これからは、アメリカの軍事産業を潤し、インフレを起こし、その赤字を減らすために、つまり、やはりアメリカの延命のために、日本は血を流せと言われているのです。

すべての証拠を吹き飛ばし、借用証書を焼き払うための、戦争の予感がします。

(引用開始)

日本政府は米国債の放棄を、無策なら1ドル=50円も-三國陽夫氏

12月24日(ブルームバーグ):日本政府は外貨準備で保有している米国債の一部を放棄し、米国経済の再建を支援すべきだ-。格付け会社、三國事務所の三國陽夫代表は18日のインタビューで、日本が来年春頃までに思い切った債権放棄に踏み切らない場合、1ドル=50円程度まで円高・ドル安が進みかねないとの見解を示した。
三國氏(69)は、「世界の歴史に照らせば、2国間に発生した巨額の債権・債務は決済されない」と述べた。債務国が消費抑制と輸出振興で返済の元手を稼ごうとすると、債権国は輸出が減って稼働率が低下するため、両国とも持続可能性が危ぶまれるほど景気が悪化する恐れがあると解説。「両国にとって、決済するメリットはない。日本は結局、債権放棄するしかない」と語った。
世界的な金融危機を背景に、米国内総生産(GDP)の実質成長率は7-9月期に前期比年率0.5%減少した。世界経済をけん引してきた個人消費は 3.8%減と、1980年以来の大幅な減少。日本の対米輸出は11月まで、15カ月連続で前年実績を下回った。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、米実質成長率は10-12月期には4.35%減に悪化。2009年4-6月期まで、マイナス成長が続く見通しだ。
三國氏は、住宅市場を中心とした米国の経済成長メカニズムが、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発する金融危機で「焼け落ちてしまった」と話した。米家計が抱える住宅ローン残高の過剰分が「3兆ドル、GDP対比で約22%」あり、「5-6年で解消するとしても、名目GDPを3-4ポイント押し下げる」と推計。「金利が下がっても、元本返済の重圧がのしかかる」ため、米経済が「急回復することはない」と予想した。
住宅価格の上昇を背景とした「消費主導型の経済成長ができなくなった米国は、生産・輸出を増やして企業収益を稼ぎ、雇用・所得・消費増につなげる新しいメカニズムを築く必要がある」が、「米国には生産設備が不足しているため、日本や欧州から購入しなくてはならない」と指摘する。

米国債増発、金利上昇も

しかも、米財政赤字は急拡大している。米財務省が15日発表した年次報告書によると、ブッシュ米政権による金融業界支援や景気対策の結果、07年10月-08年9月の歳出は歳入を1兆100億ドル上回った。前年は2760億ドル。財政赤字は「当面、高水準にとどまる公算が大きい」という。オバマ次期米大統領は2年間で300万人の雇用を創出する方針。来年、8500億ドル規模の景気刺激策を議会に提案する可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利を0%-0.25%に引き下げるとともに、「異例な」低金利を「一定期間」続ける方針を示唆。長期国債の買い入れ検討も明らかにした。米10年物国債利回りは19日に一時、53年以降で最低の2.0352%を記録。米財務省短期証券(Tビル)3カ月物の利回りはマイナス0.05%に低下。2年債利回りは17日、データ集計開始以来で最低の 0.6044%をつけた。
しかし、三國氏は「米国債の発行残高は今後も増える。米国は債務国なので、低金利では資金調達が難しい。不況下の金利上昇に見舞われかねない」と予想。日本の債権放棄で米国債の残高が減れば、米国は「金融機関の救済や景気テコ入れに心置きなく財政出動し、長期的な経済再建に必要な生産設備も十分に輸入できる」とし、「米国のみならず、日本にも世界にも有益だ」と語った。

対外債権、630兆円

対米債権の放棄では、「世界最大の債権国である日本が先鞭をつけ、多国間協議への道をひらくべきだ」と、三國氏は話す。日本の外貨準備高は約1兆ドルと、首位の中国(約1兆9000億ドル)を下回る。ただ、民間部門の対外資産が多いため、官民合わせた対外債権は、中国より「はるかに多い」約630兆円に及ぶと推計。政府が保有する米国債の一部放棄は可能だと主張した。
三國氏は、経済情勢が混乱した時の債権放棄は「歴史上、巨大な債権国の宿命でもある」と指摘した。第2次大戦後には米国が、戦禍に見舞われた西欧の復興をマーシャル・プランで支援し、債務免除と生産設備の供与を実施。日本の再建にも取り組んだ。英国が19世紀のナポレオン戦争後、欧州を安定させるため、巨額の債権放棄を受け入れた例も挙げた。

タイムリミット

日本政府が債権放棄に踏み切れない場合、三國氏は「為替市場がドル安によって、米国債の評価を引き下げる」と読む。政策対応がなければ、「1ドル=50円-60円まで円高・ドル安が進む」と試算。残された時間は「あと3カ月から5カ月。95年4月に記録した戦後最高値(79円75銭)に並ぶまで」と予想した。債権放棄は「ドラスティックな政策だが、受け入れざるを得ない」と語った。
円の対ドル相場は17日に一時1ドル=87円14銭と、95年7月以来の高値をつけた。年初来の上昇率は約20%と、87年以来21年ぶりの大きさだ。日本銀行は19日、10月末に続く利下げと長期国債の買い切り増額、企業の資金繰りを支援するコマーシャルペーパー(CP)買い切りを決め、他のリスク資産の買い入れも検討すると発表した。
三國氏は「強い円は、緩やかに進むなら経済にプラスだ。日本は円高の経済学を理解する必要がある」と述べた。「明治時代から外需に依存。円高を恐れ、稼いだ外貨を国内に戻さないから内需が伸びず、成長を実感できない」と指摘。今後は「稼いだ外貨は円に換え、国内で投資・消費に使って内需を盛り上げる。円高で輸入コストを下げ、購買力を高めるべきだ」と主張した。
輸出品目は「技術面などで差別化でき、価格設定力のある分野に絞る必要がある」が、日本人が持つ「繊細さや簡潔性に基づく製品は競争優位を保てる」と指摘。日本経済は「円高を克服して成長できる力強い段階に入っている」との見方を示した。
三國氏は1939年生まれ。63年に東京大学を卒業し、野村証券に入社。69 年には日本人で初めて、CFA協会認定の証券アナリストとなった。75年に退社。社債などの格付けを主業務とする三國事務所を設立し、代表取締役に就任した。2002年4月から04年3月まで、経済同友会の副代表幹事をつとめた。

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-01-15 10:29 | 経済状況

経常黒字減少 貿易収支赤字続き 海外への資金流出21兆円 経済状況の発展段階説

経常黒字が減少し続けていますが、11月度は急減と言って良い状況です。また、貿易収支も赤字続きとなっています。

経常収支 +5812億円 (前年同月 1兆7057億円)(前年同月比 ▲1兆1245億円)
貿易・サービス収支 ▲1842億円 (前年同月 7935億円)
 貿易収支 ▲934億円 (前年同月 9076億円)
  輸出 5兆0623億円 (前年同月比 ▲1兆8218億円)
  輸入 5兆1557億円
 サービス収支 ▲908億円 (前年同月 ▲1141億円)
所得収支 +8447億円

単月度の数字ですが、これまでも述べていますように、『単月度の赤字であれば、別に気にする必要はありません。しかし、これから当分の間、「日本が貿易赤字国」という傾向が続くとするならば、多方面にいろいろな影響が出てくることと思います』(「日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り」)。

また、『このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう』(「世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末」)とも述べてきました。

2008年は、「株式と債券の売買に伴う日本から海外への資金流出」が、21兆円となり、日本の資本市場からマネーが逃避したボリュームが過去最大の規模になっています。外国人が日本株・債券を売却したのが主因とされています。

今後、日本も成熟債権国となっていくにあたり、日本からみたマネーの大きな流れが変わる、大きな節目にきているのだと思います。当然、株式や為替の水準も、変わっていくでしょう。このあたりは、「経済状況の発展段階説」に関連した過去の記事を参照ください。

関連した過去の記事のリンクを掲載します。

「債務残高なんて問題にならない? 経済状況の発展段階説(4)」

「経済状況の発展段階説(1) ヘゲモニーサイクル 永遠に成長できる国はない 国際分散投資が必要な理由」

「日本がアメリカ国債を買っている理由 日本人に必要な資産運用の知見とは? 経済状況の発展段階説(5)」

「世界同時株安と円高(6) 再び総円高が来たときに個人投資家は持ちこたえられるか」

(引用開始)

11月の経常黒字65.9%減 輸出、最大の減少幅

財務省が13日発表した昨年11月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資などの総合的な取引状況を示す経常収支の黒字は5812億円となった。経常黒字は前年同月比65.9%減少し、昨年6月以来、5カ月ぶりの大きな落ち込みとなった。経常黒字の縮小は9カ月連続。世界的な金融危機と景気低迷を背景に、輸出が過去最大の減少幅を記録したのが響いた。
経常黒字の減少幅は11月としては1990年以来の大きさ。減少幅が1兆円を超えたのは、昨年8月から4カ月連続となった。(11:43)

日本経済新聞

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11月経常黒字は前年比‐65.9%、9カ月連続の減少
2009年 01月 13日 11:10 JST

[東京 13日 ロイター] 財務省が13日発表した国際収支状況速報によると、11月経常黒字は前年比65.9%減少の5812億円となり、9カ月連続の減少となった。
貿易収支が赤字に転じたことが影響した。ロイターが民間調査機関に行った事前調査では、経常黒字の予測中央値は前年比61.9%減少の6503億円だった。
11月の経常黒字額は、前年と比べ1兆1245億円減少した。1兆円を超す減少幅を記録するのは2008年8月以降4カ月連続となる。
貿易・サービス収支は1842億円の赤字(前年同月は7935億円の黒字)となった。赤字は2カ月連続。
このうち、貿易収支は934億円の赤字と、前年同月(9076億円の黒字)から赤字に転じた。輸出が前年比26.5%減と比較可能な統計が公表された1985年以降最大の減少率となり、輸入の減少率(同13.7%減)を大きく上回ったことが要因。
サービス収支は908億円の赤字(前年同月は1141億円の赤字)となった。 
所得収支の黒字額は8447億円となり、前年比15.5%減少した。円高や金利の低下で債券受け取り利子などが減少したことが響いた。

ロイター日本語ニュース

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11月の輸出、26.5%減 過去最大の減少幅
2009年1月13日10時35分

海外とのモノやサービス、投資の取引を示す経常収支の08年11月の黒字額は、前年同月より65.9%少ない5812億円で、9カ月続けて前年割れとなった。輸出は世界的な景気悪化で自動車や電子部品などが落ち込み、同26.5%減と過去最大の減少となった。財務省が13日、11月の国際収支速報を発表した。
輸出は前年同月より1兆8218億円少ない5兆623億円で、2カ月連続の前年割れ。輸入も、原油価格の下落と大幅な円高が重なり、13.7%減の5兆1557億円と14カ月ぶりに前年を下回った。輸出から輸入を引いた貿易収支は934億円の赤字で、3カ月ぶりに赤字に転じた。
海外投資の収益状況を示す所得収支は、15.5%減の8447億円の黒字。金利低下と円高の影響で、海外から受け取る債券利子などが目減りした。

朝日新聞

(引用終了)

日本からマネーが流出しているという元記事を引用します。

(引用開始)

08年対内・対外投資、有価証券21兆円売り越し 日本からマネー流出

財務省が13日発表した2008年暦年の対内・対外証券投資(指定報告機関ベース)によると、株式と債券の売買に伴う日本から海外への資金流出が21兆円に達した。現行基準の統計が始まった05年以降では初めての資金流出に転じた。外国人が日本株・債券を売却したのが主因。世界的な金融危機や景気低迷を背景に、日本の資本市場からマネーが逃避したことを裏付けた。
旧基準の統計までさかのぼると、資金流出は04年以来。ただ「08年の資金流出は過去最大の規模とみられる」と財務省は説明している。(11:27)

日本経済新聞

(引用終了)
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# by kanconsulting | 2009-01-13 23:01 | 経済状況

新年のご挨拶 金持ちじいさんの未来予知 感覚的なリスク察知 大前研一と林輝太郎

読者の皆様

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は、危機を察知していち早く逃げ出した方が、文字通り一命を取り留める思いをされた一年だったと思います。日本人的な投資手法(最後に来るカモネギ)は、このブームとバーストには動きが遅かったために、世界的に見れば日本はそれほどのダメージを受けていないとされます。ですが、いくつもの大学や会社が、よくわからない外資系金融商品で大損を出していることもご存知と思います。

(もしサブプライムショックとリーマンショックが1~2年ずつ先延ばしされていたら、日本の機関投資家にさらなる多量のCDOや仕組み債券が売りつけられ、日本も一撃で撃沈していたかもしれません。)

以下の話は、一部の方にはオカルトとして受け止められるかもしれません。しかし、大事なことなので、誤解を恐れずに書きたいと思います。

世の中には、少数だと思いますが、直感的に未来予知ができる方が存在します。「金持ちじいさん」もそうでした。私が小さいころには、よく法人の執務室に出入りして遊んでいたものですし、経営と投資に関するいろいろな面白い話も聞かせてもらえたものですが、残念ながらすでに亡くなっています。

現在、金持ちじいさんの親類の方が理事長をされていますが、私とは直接の血縁ではないこともあり、以前のように執務室に出入りすることはありません。この方も、直感的な未来予知ができる方のようです。一昨年(2007)の春には、良くない予感がするとして、法人の所有する金融資産(株式など)の見直しをされました。昨年(2008)の春にも、まだ胸騒ぎがするとして、あらかたの金融資産の処分をされたと聞いています。今年の景気についてのコメントは、最後に記述します。

「占い師か何かかよ。神頼みで投資が出来れば苦労しないぞ。」と思われるかもしれません。しかし、経済学の本質は、合理的な未来予測にあると理解しています。その予測があまりにも当たらないことは、すでにご存知と思います。

(もし、お手持ちに1年前の雑誌の新春号があれば、エコノミストや経済学者の「2008年の景気予想」を見直してみると、面白いと思います)

たとえばの話ですが、ネズミは、火事になる船から事前に逃げ出すと言います。小さくて体力のない(=リスク許容度が低い)ネズミは、臆病(=リスク感受性が高い)で謙虚(=成功しても、リスク判断ルールがぶれない)なので、そういったところを表現した「お話」なのかも知れません。ですが、野生動物には地震・噴火などの自然災害のリスクを察知する能力がありますので、火事とネズミの話が本当であったとしても、妙に納得すると思います。

脳科学の知見からは、投資リスクの検知は、実験的に、まず無意識(皮膚の電気抵抗などの変化)にあらわれ、その後に意識化(たとえば「ヤバイから逃げよう」)されることが分かっています。「何かおかしい」という直感があって、その後にそれを裏付ける検証作業があるのだと思います。
データを解析すれば自動的に「逃げよう」という計算が出来るわけではないのです。それは、IT(コンピューター)を駆使した現代金融工学そのものが世界金融危機を生み出し、しかもその予測ができずに数多(あまた)のファンドが死屍累々となったことからも、明らかです。

直感的な判断の例としては、過去の記事「バブル崩壊を見破った男たち(1)大前研一」、また、林輝太郎がバブル崩壊前後に新日鉄(だったと思います)の空売り(ショートセル)を始め、どんどん売り増していったなどという記述を参照していただければ、理解していただけることと思います。
そもそも、場帳(何らかの相場の値動きを日々記録するノート)形式の投資判断は、「値動きを肌で感じる」感覚的なものですので、普通のテクニカル投資に比べれば、ずいぶん直感的な手法だと思います。

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最後になりましたが、今年の景気についてのコメントを記します。

「この不況不景気が、簡単に良くなると思ってはならない。数年は厳しいと覚悟するべきだ。」
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# by kanconsulting | 2009-01-07 18:46 | 経済状況

年の瀬のご挨拶 2008年10大ニュース

読者の皆様

2008年は、皆様のご愛顧をいただきまして、ありがとうございました。
来年も、よろしくお願いします。

今年は、筆舌に尽くしがたい、激動の一年だったと思います。

しかし、"More economic pain seen in 2009"(2009年の経済は、さらにひどくなる)と言われているように、来年はさらなる深みにはまりそうな感じです。

「そんな受け売りは誰でも言える。結局、どうすれば良いのか、何か気の利いたことを書け。」というご感想と思いますが、私は、安易な気休めを書きません。何度も書いていますが、破綻に向かう局面では、「売り」が必要なのです。

加えて、かねてより指摘しているように、治安も悪くなると思います。

来年も、次の言葉を皆様に贈りたいと思います。「備えよ、常に」

kanconsulting選定3大ニュース

・世界金融危機:リーマンショックと世界同時株安
・原油の乱高下:最高値更新とバブル崩壊
・アメリカ大統領選挙

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読売新聞10大ニュース

1 中国製ギョーザで中毒、中国産食品のトラブル相次ぐ
2 福田首相が突然の退陣表明、後継は麻生首相
3 ノーベル物理学賞に南部、小林、益川氏、化学賞には下村氏
4 北京五輪で日本は「金」9個、競泳・北島選手ら連覇
5 東京・秋葉原で無差別7人殺害
6 後期高齢者医療制度スタート、保険料の年金天引きなどに批判
7 元厚生次官宅襲撃事件で3人死傷、出頭の無職男を逮捕
8 東京株、バブル後最安値を記録
9 岩手・宮城で震度6強、13人死亡
10 洞爺湖サミット、温室効果ガス排出量半減の長期目標

日経ビジネス10大ニュース

1位 【時流超流】リーマン・ブラザーズ、悪夢の内幕
2位 【ニッポンの携帯電話はどこへ行く?】「iPhone 3G」がソフトバンクの首を絞める時
3位 【ニュースを斬る】小泉改革が“ぶっ壊した”強靭な首相
4位 【伊東 乾の「常識の源流探訪」】日本にノーベル賞が来た理由
5位 【地方再生物語】なぜタイ焼は値上げしないのか?
6位 【ニュースを斬る】開幕式の「まやかし」が傷つけたもの
7位 【ニュースを斬る】首都圏マンション・本当の資産価値
8位 【児玉博の「見えざる構図」】消え逝くグッドウィルの消えない傷
9位 【オバマ 勝利の真実】(1)300日戦争~金融恐慌が後押しした劇的な勝利
10位 【資源ウォーズの世界地図】チベット騒乱の背後に地下資源問題

産経新聞国内10大ニュース

〔1〕福田首相の問責可決、政権投げだし。後継の麻生首相も支持率低迷
〔2〕景気後退入り。米国発金融危機で株価暴落、円は高騰
〔3〕日本人学者4人に物理学、化学分野でノーベル賞
〔4〕中国製冷凍餃子で食中毒。輸入食品への不信高まる
〔5〕後期高齢者医療制度スタート。天引きに苦情殺到
〔6〕秋葉原、茨城JR駅など「誰でもよかった」殺人多発
〔7〕元厚生次官ら連続殺傷事件
〔8〕北京五輪で北島康介が2大会連続2冠達成。女子ソフトも金
〔9〕ガソリン価格の狂乱続く。暫定税率、衆院再可決で復活
〔10〕ウナギ産地、汚染米転売など食品偽装相次ぎ発覚

産経新聞海外10大ニュース

〔1〕米国発の金融危機。米欧日が戦後初のマイナス成長に。G20初開催
〔2〕米大統領選で民主党オバマ候補が圧勝。初のアフリカ系
〔3〕波乱の北京五輪開催。チベット騒乱に始まり、聖火リレーも混乱
〔4〕中国・四川省で大地震。死者・行方不明者8万7000人
〔5〕米が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除。拉致は進展なし
〔6〕原油価格が高騰。食糧に波及し、貧困国で暴動
〔7〕グルジア紛争勃発。プーチン院政のロシアに脅威高まる
〔8〕中国で粉ミルクのメラミン汚染。海外にも波及
〔9〕インド・ムンバイで同時テロ。邦人を含む約160人死亡
〔10〕ミャンマーでサイクロン被害。軍政、人道支援を後回し

The Top 10 Everything of 2008(タイム10大ニュース)

1. When We Realized the Sky Was Falling (リーマンショックと金融危機)
2. Yes, He Could! (アメリカ大統領選挙)
3. Mumbai Held Hostage (インド・ムンバイのテロ)
4. Devastation in Islamabad (パキスタンのテロ)
5. Pirates Rule the Waves (海賊の横行)
6. War in the Caucasus (ロシア・グルジア)
7. China Spreads the Melamine (中国のメラミン問題)
8. Twilight of Cuba's Patriarch (キューバのカストロ議長)
9. An Audacious Rescue in Colombia (コロンビアの人質救出)
10. Mother Nature's Double Whammy (中国の地震)

Top news story of 2008 (MSNBC10大ニュース)

1 U.S. ELECTION
2 ECONOMIC MELTDOWN
3 OIL PRICES
4 IRAQ
5 BEIJING OLYMPICS
6 CHINESE EARTHQUAKE
7 SARAH PALIN
8 MUMBAI TERRORISM
9 HILLARY CLINTON
10 RUSSIA-GEORGIA WAR
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# by kanconsulting | 2008-12-31 23:44 | 経済状況

世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末

何度も書いていますが、未曾有(ミゾユー)の経済危機について、すでに、恐慌と呼ぶべき状態になっていると考えています。何年か前には、「恐慌?はあ?何を寝言を。煽りも大概にしろ。」という受け止めだったことを考えると、別世界に来たような、あるいは長く続く悪い夢を見ているような気もします。

(各国の財政出動などによる景気対策)

日本 12兆円
アメリカ 70兆円以上?
イギリス 2.7兆円
ドイツ 6.4兆円
フランス 3.3兆円
中国 53兆円

(WBS調べ)

簡単な経済学上の理解であれば、需要が減れば価格が下がり、それによって需要が回復するというのが、セオリーです。しかし、住宅の例に見るように、価格が上がっているほうが需要が強く、価格下落局面では需要が減退するというのが実情に近いようです。給与(ひいては企業業績)が、資産価値のアップ/ダウントレンドに連動しているから、というのが普通の理解でしょう。加えて、ローンの通りやすさもあるでしょう。ですので、トレンドが変わらないことには、住宅も車も、売れないのです。ましてや恐慌ではなおさらです。なので、国に何かを期待するというのも、自然なことでしょう。

しかし、これも何度も述べていることですが、単発の財政出動では、永続的な効果がありません。つまり、バラマキは、半永久的に続ける必要があるのです。そんな国家は存在し得ないことは、直感的に分かると思います。

単発であっても、各国の財政出動は、財政の維持可能性を損ないます。特に、アメリカでは、この2ヶ月(10月~11月)の財政赤字が、過去最悪であった2008年度(2007年10月~2008年9月)と同程度の、空前の規模になっています。

このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。

たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう。

(引用開始)

10月経常黒字半減 輸出落ち込み8カ月連続マイナス

財務省が8日発表した2008年10月の国際収支速報で、海外とのモノやサービス、投資などの総合的な取引状況を示す経常収支の黒字が前年同月比56.5%減の9605億円になった。黒字幅の縮小は8カ月連続。資源高で輸入額が増加する一方で輸出額が減少し、貿易黒字が縮小した。円高や海外景気の減速で所得黒字も大幅に減り、日本経済の黒字を稼ぐ力が低下している現状が鮮明になった。
貿易収支は1458億円の黒字で、前年同月に比べ87.2%減少した。輸出額は7.3%減少。米欧向けの自動車が不調だったほか、アジア向け半導体も落ち込んだ。一方、輸入額は8.0%増えた。原油など資源価格は前年に比べ依然高水準にあり、貿易収支を圧迫した。

日本経済新聞

(引用終了)

関連した過去の記事から転載します。

来年にかけて、国の借金は増えざるを得ないでしょう。国の財政再建と、信用創造の回復は、見かけ上トレードオフですが、国民生活の回復なくして、国家財政への信任の回復もないのかも知れません。とはいえ、巨額すぎる借金は、いろいろな方法で棒引きされてきたのが、歴史の常です。

今、アメリカは、覇権国として、『終わりの真っ只中』にいるのです。ひとつのヘゲモニーが終わる、ある意味での世紀末と言えるでしょう。そして、その意味するところは、明白です。

バラマキをしている間は、フローは増えるため、所得や支出は増えるだろう。雇用も増える(失業は減る)だろう。
しかし、バラマキを止めれば、所得や支出は戻ってしまうだろう。水増し分の雇用は減るだろう。つまり、永続的な効果はないだろう。
つまり、バラマキは、単発の「水物」であり、本質的に景気を回復させるような「資産効果」はないということです。当然といえば当然でしょう。


何度も書きますが、流動性を供給しても、経済実態の回復を伴ったものではありませんので、市場はやすやすと息を吹き返しません。過剰流動性を得て、相場は乱高下しながら、逃げ遅れた一般市民と企業に、とどめの一撃を準備しているのだと思います。
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# by kanconsulting | 2008-12-24 09:42

ガイアの夜明けで紹介された匿名CDO(CLO)の正体 むしられた日本の私大・機関投資家

少し前の話になりますが、「日経スペシャル「ガイアの夜明け」 11月11日放送 マネー動乱第3幕世界 金融危機の真相」のひとコマで、証券化商品のひとつの組成(中身)が紹介されるというシーンがありました。

外資なのですが、会社名と社員が実名で紹介されていました。とある、最低投資金額が5億円からという証券化商品は、100本以上のRMBSで組成されており、そのひとつひとつには、ベアスターンズ、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックスといった、見慣れた固有名詞が記載されていました。しかし、その証券化商品の名前とトラスティー(保証する銀行)の名前は公開しないでほしい、ということで、モザイクがかかっていました。私は、「そんなに隠すようなものか?堂々と公開すれば良いではないか」と思っていました。先日、そのビデオを見直したところ、偶然だと思いますが、その数百ページあるという目論見書のトップページに、そのCLOの名前が写っていました。

LYON CAPITAL MANAGEMENT の LCM V Ltd です。

メイヤーブラウンを見てみると、

Transaction Name Collateral Manager / Servicer Arranger / Agent Closing Date
LCM V, Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities March 21, 2007

ということで、担当銀行はバンカメ(バンクオブアメリカ)ということでした。

そのほかにも、

LCM I Limited Partnership Lyon Capital Management LLC Goldman Sachs May 30, 2003
LCM II Limited Partnership Lyon Capital Management LLC Merrill Lynch / Calyon Securities November 9, 2004
LCM III Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities / Calyon Securitiees (USA) April 21, 2005
LCM IV Ltd. Lyon Capital Management LLC Merrill Lynch / Calyon Securities August 2, 2005
LCM VI Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities May 30, 2007

と、1~6までラーンチされていることがわかります。

* CLO(ローン担保証券)とは

CLOは、CDO(資産担保証券)のひとつ。CDOのうち、担保となる資産が債券類のみだとCBO、貸付債権のみだとCLOと呼ばれる。簡単に言うと、金融機関が貸し出しているローンの元利金を担保にして、証券化された債券。普通は、ローンは流動性に劣るが、市場性の高い債券にすることで、キャッシュに換えることが容易になる。アメリカの住宅ローンは、ノンリコースが一般的であるが、CLOがなければ実現しなかっただろう。もちろん、リスクの飛ばしと表裏一体と言われても仕方ない。
このケースでは、Lyon(金融機関)がローンを各LLC(特別目的会社)に売却、LLCが債券を組成、投資家が購入、ローンからの元利金を投資家が受け取る。
CDOと同じく、複数の債券をミックスして、さらにリスクごとにスライスし、シニア債・メザニン債・劣後債などの債券にバラバラにされる。クズ同然のローンから格付けが高い債券を組成することが可能だが、その格付けが当てにならなかったことは周知の通りである。

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図は野村証券

番組では、この会社や証券化商品を悪者扱いはしておらず、普通に紹介していました。しかし、「最低投資金額が大きく、機関投資家向け」「しかも、目論見書が数百ページ」「この金融商品の内容を正確に理解できる人間は、世界に10人しかいないだろう」というコメントがあったように、このCLOではないにしても、あまたのCDOなどを、「よくわかっていない機関投資家に売りつける」という行為がまかり通っていたとしても、不思議ではありません。

事実、いろいろな私大が、よくわからないデリバティブを買わされて、膨大な損失を出しています。もとをただせば、学生が納入した学費なのでしょう。つくづく、「日本はむしりとられる存在」なのだと、暗澹たる気持ちになります。

こんな今こそ、「ファイナンシャル・リテラシー」を身に付けるべきだと、提言します。その鉄則のひとつは、「分からないものには、手を出さない」です。

(番組紹介)

【金融爆弾商品の実態 ~外資系証券マンの告白】
今回の金融危機の本質はどこにあるのか?実は、低所得者向けの住宅ローン=サブプライムローンだけではなかった。いま、欧米の金融機関を麻痺させてしまった根源が、「クレジットもの」と呼ばれる金融派生商品だといわれている。金融工学を駆使し、自動車ローンや保険など、あらゆる「クレジット」を組み込んで証券化した金融商品だ。
しかしそれらが今、買い手がつかなくなり、どこまで価値が下がるか分からないという疑心暗鬼の状態、「信用収縮」が進んでいるのだ。アメリカ政府が決めた公的資金の注入などでは、とても対応できそうにない。こうした、複雑怪奇な金融商品はなぜ、どのような仕組みで作られ、日本や欧州の金融機関に販売されていったのか?
ガイア取材班は、こうした金融商品に携わっていた外資系証券マンと接触した。アメリカ最強の投資銀行軍団が一斉に群がり、崩壊に導いた金融派生商品。巨額の報酬を手にすべく走り続け、崩壊の崖っぷちに突っ込んだ顛末を、その人物は生々しく証言…。
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# by kanconsulting | 2008-12-22 09:58 | 経済状況