人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ユーロは最後の試練を迎える IMFが日本の消費税増税勧告 (ドイツ:EU)=(日本:世界)の比例式

祇園祭です。梅雨は峠を越えましたが、ユーロ危機は峠を越えたのでしょうか?

私は、これまでに「ほとんどの人が『ユーロはもうダメだ』と思うところまで売り込まれる。そこでオプションなどによる『投げ』により投資家は損失を計上する。もしくは、ドイツなど余力がある(と思われている)国家はEUの維持のために戦争並みの損失負担を強いられることとなる。しかし、損失処理と為替による競争力回復効果と相俟って、そこからがユーロ再生となる。」と述べてきました。

そろそろ「投資家、あるいは国家、もしくはその両方による『投げ』」があり、ユーロの底は近い気がします。それは即ち、投資家あるいは/および国家が損失を被るということを意味します。何度も書いているように、「誰かが投げない限り、底は来ない」のです。

(引用開始)

ユーロ崩壊防ぐ隣国救済、ドイツは犠牲払う価値-将来離脱否定できず
7月14日(ブルームバーグ):

ユーロ防衛のための隣国救済は、ドイツにとって犠牲を払う価値がある-。それが明確に示されつつある。
ドイツではギリシャ救済費用の負担に尻込みし、ドイツ・マルクの復活を求める有権者もいる。しかし、高級車のBMWや総合電機メーカー、シーメンスの株価上昇と国外の売り上げ増加を見れば、なぜユーロを導入し続ける価値があるのか、その理由が示唆されている。
1999年のユーロ導入がもたらした通貨の安定と労働コスト低下が輸出企業に恩恵を与え、失業は18年ぶりの水準近くまで低下。ドイツのDAX指数のパフォーマンスは今年、ユーロ圏16カ国の主要株価指数の中で最も優秀だ。
こうした状況は、ユーロ圏という鎖の弱いつなぎ目としてではなく、ユーロ安定の柱としてのドイツの立場を強める。米ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授(経済学)ら学識経験者は、ギリシャ危機がユーロ圏の崩壊につながりかねないと警告し、著名投資家のジョージ・ソロス氏はユーロ圏経済の緊張を和らげるため、ドイツにさらなる行動を迫っている。
バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロー氏は「ユーロ崩壊はドイツ経済にとって極めて大きな問題になるだろう。他の大半の国よりも大問題である公算が大きい」と指摘。「ドイツの産業界はこれまでに欧州市場で非常に大きなシェアを獲得した。ドイツにはどちらに転んでも不利な状況だ」と話す。

「否定し難い可能性」
ユーロ圏諸国を救済する包括的な金融支援枠で欧州連合(EU)が負担する5000億ユーロ(約56兆6000億円)と、ギリシャ向け緊急融資1100億ユーロを合わせた6100億ユーロのうち、ドイツは最大1700億ユーロの負担を求められる可能性がある。これは、DAX指数構成銘柄の時価総額合計のほぼ5倍に相当する。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマー氏が、ユーロ離脱は「議題に上っていない」と述べているのに対し、モルガン・スタンレーの共同主任グローバルエコノミスト、ヨアヒム・フェルス氏は、投資家が財政規律を順守する各国政府の姿勢に疑いを持てば、インフレ期待の上昇が加速し、ドイツにユーロ圏参加の再考を促す恐れがあると警告する。
フェルス氏は5月18日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ドイツのユーロ圏離脱は「明らかに差し迫った可能性ではない」としながらも、「長期的には否定し難い可能性だ」との見方を示している。
更新日時: 2010/07/14 13:04 JST

東京外為市場・正午=ドル88円後半で堅調、ユーロは2カ月ぶりの高値圏
2010年 07月 14日 12:20 JST
[東京 14日 ロイター]
前日の欧米株高に加え、日経平均を含むアジア株高を受け、リスクオンの流れが続いている。株高の背景として、ギリシャの短期国債入札が無難な結果となったことや、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)の暫定結果でテスト対象となったドイツの14行がいずれも無事に通過する見通しとなったことなどがあがっている。
アルコア、インテルINTC.0と好決算が続く米企業だが、今週からはじまる米金融機関の決算に対する懸念も浮上している。「4─6月期は半導体や周辺産業が世界的に好調だったので、グーグルも好決算となるだろう。だが、これから発表される米金融機関の決算は弱い結果を予想する。米企業の好決算がけん引する株高や、株高を受けたユーロ高もそう長くは続かないだろう」(信託銀)との声も聞かれる。
米連邦準備理事会(FRB)が13日に発表した、証券を担保とした融資や店頭(OTC)デリバティブ市場の状況に関する新たな四半期調査によると、ヘッジファンドやプライベート・エクイティー(PE)など一部の借り手に対する大手金融機関の与信状況は過去3カ月間で緩和した。 同調査は一部参加者の間で話題を呼んだ。

 <欧州銀行のストレステスト>
この日ユーロは2カ月ぶりの高値水準となったが、市場では、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)はユーロ売り材料としての存在感が薄れたとの声が上がっている。「ストレステストに関しては、当初予定から大幅に対象行を拡大し、ドイツでは州立銀行も含め、自己資本不足と判断された金融機関には段階的資本増強のフレームワークを整えているもようだ。このため潜在的なユーロ売り材料としての存在感は薄れている」と三菱UFJモルガンスタンレー証券投資情報部・シニア投資ストラテジストの服部隆夫氏は指摘する。
ストレステストを無事通過する見通しになったドイツの14行の中には州立銀行も含まれるという。関係筋によると、ドイツの銀行の中で中核的自己資本比率(Tier1)が6%を下回っていた銀行はなかったとしている。
「ユーロ売りは峠を越えた感触がある。1.27ドル台は行き過ぎかもしれないが、1.2ドル台前半は購買力平価でみても穏当な水準だ」と服部氏は言う。
(ロイター 森佳子記者)

(引用終了)

さて、私は、これまでに何度も、

「信用収縮は世界を瞬く間に一巡する。アメリカの過剰住宅ローンが、アメリカの金融機関を破綻させ、それがまるでヨーロッパにガン細胞のように転移・増殖し、リスクの中央銀行への移転と各国国債増発という形で信用を蝕んでいった。これは、『過剰流動性』すなわち『実体経済を上回る過剰信用』によるものである。それが正しいとすると、収縮する信用をさらなる信用創造で補うことは出来ず、最後には『世界の過剰流動性の源』である日本国に還って来ることとなる」

と述べてきました。

もはや消費税がどうこうで済まされる問題ではありません。もし日本の税金が問題になるとすれば、

『日本国民が、世界(その内容は、カネを使い切ってしまい他人のカネを無心したい寄生者や、すでにカネを持っているのにもっと欲しがる強欲な者たちでしょう)のために血税を提供するかどうか。あたかも、ドイツ国民が、EU全体(その内容は、身の丈を超えた放漫財政のギリシャなどの国や、放漫経営のスペインなどの金融機関ですが)のために血税を提供したように。』

となるはずです。これが表題の(ドイツ:EU)=(日本:世界)の比例式の意味です。

IMFが、日本に対する年次審査報告で、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を進めるべき。純債務残高のGDP比の伸びを2015年から低下させるために、消費税率を14~22%に引き上げる必要がある」と指摘していますが、名目上は

「日本国の財政が破綻して長期金利が急騰する事態になれば、世界経済に深刻な影響を及ぼす」

となっているところ、その本音は

「日本国民の資産を確実に収奪して世界全体に『再分配』するためには、確実な税収が必要だから」

といったところでしょう。

ユーロは最後の試練を迎える IMFが日本の消費税増税勧告 (ドイツ:EU)=(日本:世界)の比例式_a0037933_17594266.jpg

グラフは読売新聞より

(それにしても、寄生者が使ってしまったカネや強欲な者たちが蓄財したカネは、どこに行ってしまったのでしょうね。)

(引用開始)

日本の財政健全化困難に、格下げリスク高まる恐れ=フィッチ
2010年 07月 13日 13:57 JST
[香港 13日 ロイター]
格付け機関のフィッチ・レーティングスは13日、参議院選挙で民主党が低迷したことを受け、日本の財政再建が一段と困難になるとの見方を示したうえで、年末までに信頼に足る対策が策定できなければ格下げリスクが高まる恐れがある、と指摘した。
フィッチの日本担当ソブリンアナリスト、Andrew Colquhoun氏は「今年末までに信頼できるプランが作成されなければ、格付けにとってネガティブなシグナルとなり、信用格付けに対する圧力が高まることになる」と述べた。
ただ同氏は、プランを策定する政府の能力について悲観はしていないと指摘、「選挙結果により、日本政府がそのようなプランを策定および実行することは一段と難しくなるだろうが、それほど悲観的には考えていない。選挙結果は、財政健全化が否定されたことを意味するものではないためだ」と述べた。
フィッチは現在、日本の外貨建て格付けを「AA」、現地通貨建て格付けを「AAマイナス」としている。格付け見通しはどちらも「安定的」。

欧米で財政再建計画相次ぐ、日本は軸足定まらず
2010.7.11 21:38

参院選最大の争点となった消費税の増税問題などで菅政権の財政健全化への取り組みが問われる中、欧州の信用不安をきっかけとした欧米各国の財政再建が今後、本格化する。6月の20カ国・地域(G20)首脳会議で合意した「2013年に財政赤字半減」という目標達成に向けた動きで、消費税の方向性などで軸足の定まらない日本は出遅れが目立つ形となっている。
欧州の財政再建計画の柱は、金融危機以降の積極的な財政支出で膨らんだ財政赤字を減らす歳出削減だ。

「財政赤字の削減が持続的な成長に寄与する」
11~14年の財政計画案を7日に閣議決定したドイツのショイブレ財務相は会見で、財政再建へ決意を強調した。長期失業者への手当てといった社会保障費の削減などで、戦後最大の820億ユーロ(約9兆円)の歳出削減を行う。
英国は、62億ポンド(約8300億円)に及ぶ10年の緊急予算削減策を発表。オズボーン財務相は「問題を解決しなければ国民は職を失う」と指摘。邦銀の欧州担当エコノミストは「歳出削減は各国の喫緊の課題」と指摘する。
一方、財源確保のための税制改革機運も高まっている。英国が消費税に相当する付加価値税を引き上げるほか、英独仏3カ国は、金融機関に破綻(はたん)時のコスト負担を求める銀行税を導入し、財政再建にも活用したい考えだ。
ただ、急激な財政の引き締めは、金融危機の傷がまだ癒えていない世界経済にショックを与えかねず、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「各国でデフレを招くおそれがある」と懸念する。
欧州連合(EU)の銀行監督当局が23日に発表する健全性審査の結果も影響が大きい。内容次第では、欧州の大手銀行に公的資金が注入され、各国の財政負担が増すからだ。
一方、失業率が高止まりするなど景気の先行きに不透明感が漂う米国は、今秋に中間選挙が控えていることもあって「雇用創出が最優先」(オバマ大統領)とされ、どこまで財政再建に踏み込めるかは不透明だ。
さらに難しい舵取りを迫られているのが日本。先進国中、公的債務が突出する日本はG20の目標からも例外扱いを受けた。ただ、消費税をめぐる菅直人首相の発言は迷走。財政再建への取り組みも参院選後の政治情勢次第で、どこまで踏み込めるか不透明だ。(柿内公輔)

(引用終了)
# by kanconsulting | 2010-07-16 17:52 | 経済状況

ユーロは消滅するのか(2) 0.5兆ユーロオペの期日 世界同時国債増刷の果て 中銀マネーのジプシー化

ユーロは消滅するのか(2) 0.5兆ユーロオペの期日 世界同時国債増刷の果て 中銀マネーのジプシー化_a0037933_19135081.jpg


グラフは毎日新聞より

ユーロ安、株安、金利安(債券高)がクライマックスとなっています。

これまでに、「リスクは各国の中央銀行に移転され、いわば壮大な『飛ばし』となっている」と指摘してきましたが、昨年6月末にECB(EUの中央銀行は、約5000億ユーロ足らずという莫大な額の1年物オペ(簡単に言うと資金供給)を実施していました。昨日はその期日到来ということで、それに向けて市場から莫大なマネーが回収されたことにより、ユーロ安と世界株安となったと解釈できます。

何度も述べていますが、中央銀行が供給したマネーは、本来意図した実需(設備投資など)ではなく、仮需(短期株式投資(インデックス先物)、短期現物投資(ゴールドや原油の先物)、債券投資)に向かいます。なかでも、リスク回避という観点では各国の国債にマネーが流れ込みやすくなっています。(中央銀行が供給したマネーが国債消化に向かうとは、皮肉な限りです。)それを回収すれば、マーケットが下げるのは当然です。

このように、世界の中でのマネーフローについて、注視が必要です。

「財政信認が低下しているという割には、金利はしっかり下がっているではないか。国債をいくら増刷しても金利は上がらない。まだまだ国際を増刷しても大丈夫だ。ソブリンリスクなどというのは虚構の存在だ。」

というご意見あるかと思いますが、それに対しては、

「マネーが中銀→銀行→国債購入、と循環(フロー)しているうちだけの花見酒であり、永遠には続かない。ストックがなくなったところから破綻する。」

と指摘します。

何度も書きますが、金融危機の引き金は「過剰流動性の終焉」でした。そしてこれも何度も書きますが、ポスト金融危機のキーワードは「リスクの押し付け合い」と「中央銀行へのリスク移転(中央銀行による節操のないマネー供給)」です。そして「ペーパーマネーの連鎖的減価(マネーが、価値が劣化する資産クラスから逃避し続ける、ジプシーマネーになる)」に至ります。

(引用開始)

米金融・債券市場=株価下落で国債価格が上昇、2年債利回りは過去最低更新
2010年 06月 30日 06:28 JST 記事を印刷する
[ニューヨーク 29日 ロイター]
29日の米金融・債券市場では、国債価格が上昇し、2年債利回りは過去最低を更新した。ユーロ圏の債務問題への懸念から世界的に株価が下落したこと、また米経済が二番底に陥るとの懸念が台頭したことが背景。(中略)
こうした動きのなか、イールドカーブはフラット化している。2年債と10年債の利回り格差は235ベーシスポイント(bp)と、2009年10月以来の水準に縮小した。(中略)
BNPパリバの国債トレーディング部門のマネジング・ディレクター、リック・クリングマン氏は(中略)「欧州中央銀行(ECB)の1年物資金供給オペが近く期日を迎えることに対する不安感もある(中略)」と指摘した。
ECBが昨年6月に実施した1年物オペ(4420億ユーロ)は7月1日に期日を迎える。(中略)
RBS証券の米国債部門を統括するウィリアム・オドンネル氏は、過去3年以上にわたって続いていたイールドカーブのスティープ化のトレンドの変化は28日に現れたと指摘。
期間が長めの国債の利回りは今後さらに低下するとの見通しを示し「フラット化への扉が開かれた今、10年債利回りは少なくとも2.75%まで低下する」と予想した。(後略)

ユーロが下落、対円で8年半ぶり安値=NY市場
2010年 06月 30日 07:21 JST
[ニューヨーク 29日 ロイター]
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが下落した。欧州の銀行の資金調達懸念が圧迫材料となり、対スイスフランで最安値をつけたほか、対円で8年半ぶり安値をつけた。弱い経済指標を受け世界経済の回復をめぐる不透明感が高まり、ドルと円が買われた。
欧州の銀行間金利は8カ月ぶり高水準を記録した。欧州中央銀行(ECB)の1年物オペが今週期日をむかえ、市場から0.5兆ユーロ近くの資金が吸収されることから、一部の銀行が資金調達難に直面するとの警戒感がある。
6月の米消費者信頼感指数が大幅に低下したことや、中国の景気先行指数が下方修正されたことに加え、日本の失業率が予想外に悪化したことから、世界経済の先行きに対する不安が高まった。
リスク回避の動きから、豪ドルやニュージーランドドルなどの高金利通貨は売りが優勢となった。
HiFXのシニア為替ストラテジスト、ガレス・シルベスター氏は「株式市場はきょう、大幅に下げた。これがある程度ドル高につながった。カナダドルや豪ドル、ニュージーランドドルのようなリスク通貨は米ドルに対してかなり売り込まれた」と語った。 
(中略)ユーロ/円は1.6%安の107.91円。一時2001年末以来の低水準となる107.33円をつけた。
ロイターのデータによると、ユーロ/スイスフランは1.3167スイスフランと、ユーロ導入以来の安値をつけた。(後略)

長期金利は7年ぶり低水準を連日更新、一時1.08%-世界景気懸念受け
6月30日(ブルームバーグ):
債券相場は続伸し、長期金利は一時1.08%と連日で約7年ぶりの低水準を更新した。前日の米国市場で、世界的な景気鈍化懸念から主要株価指数が急落し、米債相場が上昇した流れを継続して、買いが優勢となっている。
(中略)現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の308回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い1.09%で始まった。その後も水準を徐々に切り下げ、一時は1.5bp低い1.08%と、新発10年債利回りとして2003年8月半ば以来の低水準を更新した。その後は1.085%で推移している。
欧州の信用不安や株安などで安全資産とされる国債に資金が流れ込んでおり、金利先高観は高まっていない。しかし、日本の長期金利は前日からの低下幅が7bp程度にも及んでおり、金利低下への警戒感から買いが鈍くなる可能性がある。ドイツ証の山下氏は、「現物市場も売り材料が乏しい中で金利低下基調が続くが、さらに買い進むには10年債利回りの1%割れを視野に入れる必要がある」と話した。
(中略)一方、米国債相場は上昇。米10年債利回りは約1年ぶりに3%を下回り、7bp低下の2.95%と、09年4月28日以来の低水準となった。

(引用終了)
# by kanconsulting | 2010-07-01 19:26 | 経済状況

日本経済の行く末 財政健全化目標、景気堅調でも達成できず 連鎖破綻の時代に生きる

日本経済の行く末 財政健全化目標、景気堅調でも達成できず 連鎖破綻の時代に生きる_a0037933_1314192.jpg


グラフは毎日新聞より

少し前の数字になりますが、今後の日本の財政運営について、2011年度予算編成の概要は次の通りです。

・新規国債発行額
 44.3兆円(2010年度実績)以下に抑制
・国と地方を合わせたプライマリーバランス
 2015年度までに赤字を半減(2010年度を基準)
 2020年度までに黒字化
 2021年度以降 国と地方を合わせた長期債務残高をGDP比で安定的に低下
・国の一般会計から国債の利払い費などを除いた経費(歳出の大枠)
 2011年度から3年間は71兆円(2010年度実績)程度を上限

しかし、次のように指摘されています。

・2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長を実現した場合、国・地方を合わせたプライマリーバランス 
 2015年度 ▲15兆円   2010年度の30.8兆円の赤字からは半減
 2020年度 ▲13.7兆円 黒字化は達成できない

このような財政状況を放置すれば、国債の信認が低下し、急激な金利上昇を招くとも指摘されています。(現在は、逆に「質への逃避バブル」ということで、国債の金利は下がってきていますが)

・「現在の危機的な財政状況を放置すれば、国債の信認低下や金利の急激な上昇を招き、財政がさらに悪化して政策の自由度が制限されるだけでなく、社会保障をはじめとする公共サービスの実施が不可能になるという最悪のシナリオも想定しうる」(中間報告)
・「現在の財政状況を放置すれば、欧州の一部で生じているような市場を通じた国債の信認低下や金利の急激な状況を招き、財政がさらに悪化する」

そのため、相当程度の増収に結び付く税制の抜本的な改革(=増税)が必要と結論付けています。

・「相当程度の増収に結び付くよう、税制全般にわたる税制の抜本的改革を行い、『支え合う社会』の実現に必要な費用を国民の間で広く分かち合う必要がある」
・消費税 現行5%の税率引き上げは不可避
・所得税 現在40%の所得税の最高税率引き上げも念頭に見直し
・法人税 税率引き下げを行う場合、課税ベースの拡大と併せて実施すべき

ですが、「増税で回復する景気は存在しない」という、厳然たる事実を直視する必要がありそうです。(税金の話は、詳しくはエントリーを改めたいと思います)

管首相が「増税と景気回復は両立可能」と考えるその根拠を一言で言うと『上手に財政運営すれば、増税のマイナス分を補ってあまりある乗数効果も可能だ』ということであり、常識と反します。特に消費税増税のようなフラット税を引き上げた場合のマイナス効果は計り知れません。加えて、トリクルダウン効果を期待する根拠が弱いところで、消費税増税分を法人税減税の財源としたならば、景気回復って何?という話になることでしょう。

(このように書くと、「お前のブログでは、財政規律を尊重し、増税もやむなしという論調ではなかったのか?」と思われる方もいるかもしれません。そうではありません。このブログは「国の財政が破産するリスクがあり、その確実性・根拠と回避方法を研究する」という趣旨になっています。)

さて、上で「多少の増税では、政府の借金は減らない」と指摘しましたが、加えて「国は国民の財産を収奪するつもりである」という指摘をしたいと思います。後者の指摘も、私はこのブログで何年も前から繰り返しているところですので、特に目新しさはありませんが、最近になって真実味を増してきたのではないか?と考えています。

政府債務 約1000兆円 中央+地方 注:国民年金負債はカウントせず

民間資産 約1400兆円 注:ローン等考慮せず(負債を差し引いた純資産ではない)
 現預金 約 800兆円
 株式等 約 200兆円 株式+投資信託+国債
 保険等 約 400兆円 保険+年金

そして、国は国民の財産を収奪するなら、

・数字で分かりやすく、抵抗も強い増税
・インフレ・金利アップ(・為替安)による実質減価

のどちらがスムーズに進められるか、分かりそうなものです。つまり、消費税増税の議論は、ダミーの可能性があります。(財務省は本気で消費税を上げたいと思っていると思いますが)

(引用開始)

〔焦点〕目標達成への道筋なき財政運営戦略、試金石の11年度予算編成
2010年 06月 22日 10:57 JST
[東京 22日 ロイター]
菅直人首相が「財政再建の道筋を示す」と宣言し、22日の閣議で決定された「財政運営戦略」は、高い目標とは裏腹に、目指す「頂上」への道筋が不明確で、早くも達成が疑問視されている。具体的な歳出削減策や歳入改革は踏み込み不足で、試金石となる2011年度予算編成において、菅首相が打ち出した新規国債発行額を10年度の44.3兆円以下に抑制するとの課題がクリアできなければ、財政再建はいきなり挫折しかねない厳しい状況に直面している。
(中略)だが、この枠組み設定だけで、目標達成を実現することは「相当に難しい」(政府関係者)という声が、政府部内にも根強くある。財政健全化目標と同時に政府が公表した「経済財政の中長期試算」によると、18日に閣議決定した新成長戦略を実行し「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても、財政健全化目標は達成できない。国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字で目標の黒字化には程遠い。
(中略)民主党幹部は、こうした歳出・歳入の取り組みについて「今後の予算編成作業、税制調査会の議論で明らかにしていく」としているが、11年度予算は、税収の大幅増が見込めない中、消費税率の引き上げも間に合わない現実の下で、相当に苦しい編成作業になりそうだ。10年度に過去最大規模で計上した「霞が関埋蔵金」の活用が難しいうえ、新規国債発行額を44.3兆円以下にすることを努力目標にしているためだ。市場からは「到底、達成は難しい」(邦銀関係者)と早くも大幅な国債増発の見通しが出かねない情勢だ。参院選終了後にスタートする11年度予算編成作業で早速、財政再建に向けた菅政権の「本気度」が試されることになる。

歳出や国債発行に歯止め設定、経済堅調でも健全化目標は達成できず=財政運営戦略
2010年 06月 22日 10:54 JST
[東京 22日 ロイター]
政府は22日の閣議で、中長期的な財政健全化目標と今後3年間の歳出・歳入の取り組みなどを示した「財政運営戦略」を閣議決定した。財政健全化目標には、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の15年度までの赤字半減、20年度までの黒字化を掲げ、21年度以降に公的債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な低下をめざす。目標達成に向け、11年度から13年度の3年間は国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」(一般歳出と地方交付税)について10年度当初予算の71兆円程度を上回らないとしたほか、11年度の新規国債発行額を10年度当初の約44兆円以下にするよう「全力をあげる」ことなどを盛り込んだ。ただ、18日に決定した新成長戦略を実行して経済が堅調に推移しても、財政健全化目標は達成できないと試算している。
(中略)財政健全化目標では、収支(フロー)目標として、国・地方を合わせたプライマリーバランスを「2015年度までに対GDP比の赤字を2010年度から半減」させ、「2020年度までに黒字化」すると設定。その上で、残高(ストック)目標を「2021年度以降において、国・地方の公債残高の対GDP比を安定的に低下させる」と明記した。
(中略)歳出面においては、国の一般会計歳出のうち、国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」を「歳出の大枠」と定め、10年度当初の71兆円程度を「実質的に上回らない」こととした。一方、新たな制度改正で恒久的な財源が確保された場合には、歳入増の範囲内で「歳出の大枠」に加算できるとし、財源が一時的な場合は「国債発行額の抑制」に活用する。
歳入面では「財政健全化目標の達成に向けて、必要な歳入を確保していく」としながら、菅直人首相が言及した消費税増税の取り扱いに対して「税制の抜本的な改革を行うため、早急に具体的内容を決定する」との指摘にとどめた。こうした歳出・歳入の取り組みで、2011年度の新規国債発行額について「10年度予算の水準(約44兆円)を上回らないよう、全力をあげる」と明記した。各年度の予算編成にあたっては「各閣僚別の概算要求枠」を設定。毎年半ばごろをメドに翌年度以降3年間の新たな中期財政フレームに改訂する。
もっとも、政府が併せて公表した試算によると、こうした取り組みを行うとともに、新成長戦略を実行して「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても財政健全化目標は達成できない。試算では、経済が堅調に推移する「成長戦略シナリオ」の場合、国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字と目標である黒字化には大きな開きが生じている。(後略)

(引用終了)
# by kanconsulting | 2010-06-25 08:51 | 経済状況

ユーロは消滅するのかしないのか 作られたユーロ安 またしてもイベントドリブン

ユーロは消滅するのかしないのか 作られたユーロ安 またしてもイベントドリブン_a0037933_15194824.jpg


チャートはyahooで作成

最近の業界コメントとして、たとえば、

(引用開始)

「ユーロが消滅する日」

経済専門家の中には、「いずれ、ユーロが消滅する日が来るだろう」と指摘する悲観的な見方があります。(中略)・・・しかし、これらはいずれも緊急対策であり、中・長期的に、財政の悪化に苦しむ南欧諸国が抱える問題を根本的に解決するものではありません。(中略)そうなると、ユーロ問題が、世界経済に与えるマイナスの影響、さらには金融市場にもたらす懸念は、これからも続く可能性は高いと考えた方がよいと思います。最悪のケースでは、一部の経済専門家が指摘するように、ユーロが消滅する日がやって来るかもしれません。

「市場は金融危機直前の様相=スパークスAM・秋山氏」

スパークス・アセット・マネジメントのオルタナティブ投資戦略部ファンド・マネージャー、秋山史人氏は25日、「マネーマーケットは(2008年の)リーマンショック直前の様相を呈しており、市場が思っている以上に危ない所にいるのかもしれない」との見方を(中略)都内で開催されたヘッジファンド・インベストメントジャパン会議で語った。(略)当面はユーロ安・円高が一段と進むとの見方を示した。具体的な水準としては「ユーロ/円が100円を一瞬割れることがあってもおかしくない」と述べた。(中略)このため、同ファンドの運用としては「株をショートし、円をロングするなどリスク回避モードを見据えたポジションにしている」ことを明らかにした。

(引用終了)

のように、ユーロに対する懸念を、色濃く物語る内容となっています。

結論から言うと、今般のユーロ安は、イベントドリブンとして作られた相場であると思います。確かにユーロのファンダメンタルズは悪かったですが、こういった相場材料は循環的にハイライトが当たることはあっても、全てを勘案して合理的に相場が形成される訳ではありません。つまり、何を材料にして相場を動かして、リアルマネー(実需筋)のマクロトレンドを方向付けるかについては、相場形成力のあるビッグプレイヤーの胸先三寸、というところなのです。(仕手筋は、ファンダメンタルとはあまり関係なく、値動きが大きい銘柄(薄商い)を相場操縦しますので、イベントドリブンとは性質が違います)

これまでに書いてきたことを整理すると、

・ビッグプレイヤー(おそらく大手ヘッジファンド)は、以前からEUの悪いファンダメンタルと相場・金利のギャップに着目しており、いくつかの国の政権交代のタイミングを狙い、ユーロ弱小国の国債CDS買い※+ユーロ売りを仕込む
・CDS上昇により、リスクプレミアム上昇として、ギリシャ国債金利上昇として反映(債券価格は低下)
・PIIGSなどEUの財政赤字・脆弱性にハイライト
・その影響が無視できなくなり、実需筋により、債券売り・ヘッジによるユーロ安
・空売り規制により、空売りの代替としてさらなるユーロ売り
・信用懸念、株安・ユーロ安、さらに信用懸念を誘発、という疑心暗鬼のスパイラルに落ち込んだ

※国債売りの代替手段として。株式でも、実物マーケットではなく、先物やCFDでヘッジすることはよくありますが、そのようなものと思ってください

何度も書いていますが、相場の特性として、こういった「隠された損失額がどんどん拡大していく」「誰かのマネーで損失処理をする」というステージが十分に進むまでは、底は打たない、という理解が正しいと思います。

さて、ユーロの未来について、これまでに次のように述べてきました。

(転載開始)

「信用創造は神の御業か悪魔の仕業か ユーロ底値でオプション爆弾が起爆」

・ユーロは準基軸通貨として扱われていたが、ユーロ高は、過剰流動性による一種のブームであった
・今般のユーロ危機は、信用拡大期には見えなかった脆弱性が、信用縮小期に顕わになっただけ
・結論から言うと、ユーロは消滅しない。ユーロ圏内は運命共同体として、身内を守らざるを得ない
・しかしながら、その対価は高くつき、カネを持っているEU加盟国は、戦争コスト並みの損失負担を強いられる
ということになります。「本当に、EUはダメなのではないか?」というところまで売り込まれ、文字通り底値からの再出発ということになるかと思います。

---

「大きすぎてつぶせない「国」はない ヘッジファンドのユーロ売り崩し」

このビッグイベントを、投機筋が見逃すはずがない、というところです。
これまでに何度も、ヘッジファンドの投機にイベントドリブンという手法があり、ある一定のシナリオに沿って金融イベントを演出し、そのイベントに加速度をつけて儲けに変換するということと、加えてマッチポンプ=自作自演の側面があることは否定できない、と何度も指摘しているところです。
今回も、ヘッジファンドが影の主役なのでしょう。そして、ドイツとしては、「彼らに意図を読まれては負けだ。救済するにしろしないにしろ、彼らに付け入られるスキを見せてはならない」として、意図的に情報をコントロールしているのではないでしょうか。
(中略)ヘッジファンドは、なによりも価値のある商品「情報」をカネに変える商売です。そのため、彼ら自身が呼び水となって、リアルマネーの流れを変えてしまうということも、また事実だと思います。

---

「国際分散投資は信用比較 連鎖破綻はあり得るリスク 連鎖破綻を生き残るのは」

国家連鎖破綻のリスクが笑い事ではなく(中略)現実のものとなった今日、『連鎖破綻はあり得る。問題はその順番だけだ』という認識でいるほうが真っ当であると考えます。であるとするならば、世界的な債務(デフォルトリスク)の持ち合いとCDSというリスクの押し付け合いがどのようなグローバル構造になっているのか、把握することが急務でしょう。
一般には、ヨーロッパの金融機関は、新興国向け貸し出し全体の半分のシェアを負担していると言われており、ヨーロッパの債務構造は根深いものがありそうです。このあたり、不安心理が実際のリスクを高めるという負のスパイラルが働いているため、「誰かが投げる(全部損切りをして損失処理する)」までは、大底は来ないのだと思っています。
日本、アメリカ、ヨーロッパ、のうち、どの順番でクラッシュが来るのかについては、これまで何度も考察を重ねてきましたが(主に日本とアメリカのどちらが先かという話でしたが)、明確な結論は出ていません。しかしながら、『その順番をコントロールすることが出来たとしたら、巨万の富を得ることが出来る』ということだけは明らかです。

(転載終了)

しかしながら、ユーロが安くなることは、(金利はさておき)実質的に、ユーロ建て対外借金の減少と、輸出競争力の増加をもたらします。実際、ユーロ諸国からは「現状の為替水準は、妥当である」などのコメントが出ています。何にせよ、一方的な暴落は、「そうしなければならない実需筋」に、「この機に乗じた仮需筋」が拍車をかけるものであり、一般的には必ず反発します。

大きなくくりで言いますと、これまで何度も指摘しているように、「マネーの本質は信用創造」にあり、「振り返れば、通貨価値の減価こそが通貨の歴史」であり、過大な借金は「インフレ、金利、為替によって、ペーパーマネーの価値を減価することでしか、解決できない」のだと思います。
# by kanconsulting | 2010-06-06 15:52 | 経済状況

日本を襲う【国家債務の呪い】は70年間続く IMDレポート 放漫財政のツケと金融戦争の敗戦処理

日本を襲う【国家債務の呪い】は70年間続く IMDレポート 放漫財政のツケと金融戦争の敗戦処理_a0037933_8202468.jpg


グラフはfinancialpostより

スイスのIMDから、国際競争力ランキングが発表されました。評価分野は「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野です。

1位  シンガポール(前年3位→1位)「ビジネスの効率性」「経済状況」が高評価
2位  香港(2位→)
3位  米国(1位→)「政府の効率性」↓財政赤字の膨張で
8位  台湾(23位→)「ビジネスの効率性」が高評価
18位 中国(20位→)
22位 英国(21位→)
23位 韓国(27位→)
27位 日本(17位→)

その他 5位:オーストラリア、10位:マレーシア、31位:インド、36位:スペイン、37位:ポルトガル、38位:ブラジル、46位:ギリシャ

日本の評価を下げた理由
・「経済状況」↓ 成長率の低下や対内直接投資の低迷など
・「社会基盤」↓ 少子高齢化に伴う労働力人口の減少
・「政府の効率性」↓ 財政赤字の膨張

ニュースではあまり注目されていませんが、注目すべきIMDのコメントとして『公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた』があります。

(引用開始)

日本の競争力、27位に急落 中韓台下回る スイスの有力ビジネススクールまとめ

2010/5/20 1:02
スイスの有力ビジネススクールのIMD(経営開発国際研究所)が19日発表した「2010年世界競争力年鑑」で、日本の総合順位は58カ国・地域で27位で、前年の17位から急低下した。中国、韓国、台湾などに抜かれ、02年以来8年ぶりの低位に沈んだ。金融・経済危機で打撃を受けたうえ、少子高齢化や財政の厳しさが評価を一段と悪化させた。
IMDは主要国・地域の「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野で、約300項目の統計や独自調査の結果を分析し順位を発表している。評価の基準は一部異なるが、日本は調査を始めた1989年から93年まで首位だった。
今年はシンガポールが初の首位。「ビジネスの効率性」や「経済状況」の評価が高く、前年の3位から2つ順位を上げた。94年から09年まで首位を維持してきた米国は、財政赤字の膨張などで「政府の効率性」の評価が下がり、3位に転落した。
2位は前年と同じ香港。アジア勢は台湾が「ビジネスの効率性」が高く評価され23位から8位に躍進したほか、中国が20位から18位、韓国が27位から23位にそれぞれ順位を上げた。
日本は成長率の低下や対内直接投資の低迷などを映し「経済状況」が大幅に悪化。少子高齢化に伴う労働力人口の減少で「社会基盤」の評価も下がった。「政府の効率性」では財政赤字の膨張が足を引っ張った。
各項目をみると、日本は法人税の高さに関して、全58カ国・地域で最悪の評価となった。外国人労働者や外国企業の受け入れ態勢も評価が低く、調査に関係したエコノミストは「このままでは国際企業は活動場所として日本を選ばなくなる」と警告する。
公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた。(ジュネーブ=藤田剛)

(引用終了)

ブルームバーグニュースの原文を見てみましょう。

Japan will struggle under a 'debt curse' for the next seven decades

として、日本は、あと70年間【借金の呪い】に苦しめられる、とあります。

EU基準(これが本当に守られていたのかどうかが問題になっているのですが)でもある、国家債務の認容レベルであるGDP比60%を基準におくと、その水準まで健全化するのには(成長率は2000-2009平均、GDPの1%を債務返済に充てるとして)

ギリシャ   2031年以降
アイスランド 2032年以降
アメリカ   2033年以降
ベルギー   2035年以降
ポルトガル  2037年以降
イタリア   2060年以降
日本     2084年以降

の見込みだということです。ギリシャ問題が大きく取り上げられていますが、雑魚キャラのような順位であることが分かります。

IMDでは、政府債務の大きさだけではなく、それを返済能力で割った『期間』も重視すべきであるとして、このような研究をしているようです。言うまでもなく、過大な債務が問題となった国は、競争力を落とすこともさることながら、政府の増税・歳出削減などのために国民の生活水準も落ちてしまうという事情があります。それはあたかも、【戦争に敗れた】かのような姿でもあります。

何度も指摘していますが、不況を緩和するために多量のマネーを刷り散らかした後には、敗戦処理が待っているのだと思います。ユーロ圏(イタリアもEU連帯負担でしょう)、アメリカは、いち早く身軽になり、景気回復を謳歌する、そのようなシナリオになっているのでしょう。

(なぜいつも日本がカネを巻き上げられるストーリーになるのでしょうね)
# by kanconsulting | 2010-06-01 09:21 | 経済状況