グラフ 2009年度の国際収支(速報) 財務省発表 日本経済新聞(5/13)より 経常収支 △15兆6545億円 (△26・9%)前年度比 貿易収支 △6兆6088億円 (△470%) 所得収支 △11兆9553億円(▲17・9%) 貿易・サービス収支 △4兆7784億円 何度も指摘していますが、「経済状態の段階的発展説」の考え方からは、日本をめぐるマネーフローが、大きな変化を迎える局面に差し掛かっています。これは構造的変化であり、人が年を取るように、避けられない変化です。黄昏は永遠には続かないものです。 (花見酒(=国債の中央銀行引き受け)も永遠には続きません) --- 日本国財政破綻Safety Netさんの「809.国が国民の資産を没収~国がたくらむ日本の財政破綻回避策~/大前研一さんのメールマガジンより」に記載した私のコメントを転載して、補足したいと思います。 (転載開始) Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:10 x (略)大前氏のメルマガは私も読んでおりますが、国際分散投資については難しいところがあると思っています。と言いますのは、各市場の株式、債券とも、信用比較のようなところがあり、分散したからといって100%(元本)以上の期待値になるとは言えないと思うからです。連鎖破綻が現実となると、マネーはそれぞれの市場を逃げ回ることとなり、どれが生き残るかという予想が非常に困難になると思います。これは、いったん破綻させた方が身軽になって再生が容易になる(信用が回復しやすくなる)という現象の効果もあります(だから、ギリシャをデフォルトさせてしまえという議論にも一定の説得力があります)。全滅を避ける、ということであるなら、分散投資もありかと思いますが、一番いいのは、「普段から様子を見ておき、経済動乱が起きれば、底値で買い叩く」ことに尽きます。 Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:19 x 不動産投資については、一言で言うと、「利益(たとえば賃貸に出したときにそれなりの利回りが取れる)を産まない不動産への投資はお勧めできない」と思います。 日本ですと、各県ごとに人口動向の予測が出ていますので、それを参考にしていますが、確実に人口が減る地域での不動産投資は避けたほうが賢明でしょう。これも、「普段からウォッチしておき、混乱に乗じて買い叩く」のが一番良いと思います。 私もいろいろ不動産を見ていますが(実需)、最近では「ゆとりローン破綻(任意売却含む)」案件をよく見ます。驚くべきことにというか当然というか、5年以上返済をしていたはずなのに、元本がほとんど減っていないのです。まさに日本版サブプライムローンです。中古物件が当初価格で売れるはずも無いので、なかなか苦しい思いをしているようです。 Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:27 x 世界同時国債多発テロ(?)は、一言で言うと、「為替などによる強制調整により、カネを持っているところに負担させるしかない」という結論になります。子供のいす取ゲームのように、またプロレスのバトルロワイヤルのように、弱いものから脱落していきますが、ゲームやプロレスと違うのは、生き残ったものにその分の負担がのしかかるのです。従って、日本国の財政にハイライトが当たって円安になるのは、世界連鎖破綻の最終ステージとなります。それまでは円高圧力がかかると思っても不思議ではありません。 何度も書いていますが、金利と為替によって、日本からカネを引き出す準備は出来ていると見るべきです。日本がIMFに出したカネでギリシャは一息つきましたが、今後も直接間接の金融支援要請(命令)があるはずです。そして、出したカネは満足には帰ってこないと思ったほうがよいでしょうね。アメリカに貸したカネが帰ってこないように。 Commented by kanconsulting at 2010-05-15 22:46 x 世界にはMZM10000ビリオンドル(約1000兆円)というすさまじい量のドルが滞留しています。日本円でもM3は同程度でしょう。ユーロのM3も10000ビリオンユーロ程度でしょう。為替にもよりますが、ケタとしては同程度です。では、体力(経済規模)に比べて一番カネが存在する(信用創造の程度が大きい)のはどこでしょうか?私は日本だと思います。ですので、世界同時に信用が収縮すると、日本円が日本に還流するため、急激な円高になるのだと見ています。(為替はファクターが多いので一概には言えないが、昨今の円高は「損切り・レパトリ」にしか見えない局面も多かった) (転載終了) 補充コメントは以下の通りです。 「国際分散投資については難しいところがあると思っています。と言いますのは、各市場の株式、債券とも、信用比較のようなところがあり、分散したからといって100%(元本)以上の期待値になるとは言えないと思うからです。連鎖破綻が現実となると、マネーはそれぞれの市場を逃げ回ることとなり、どれが生き残るかという予想が非常に困難になると思います。」 国家連鎖破綻のリスクが笑い事ではなく(そんなことはあり得ないと一笑に付していた経済学者・エコノミストは、今どのような顔でいるのでしょうか?)現実のものとなった今日、『連鎖破綻はあり得る。問題はその順番だけだ』という認識でいるほうが真っ当であると考えます。であるとするならば、世界的な債務(デフォルトリスク)の持ち合いとCDSというリスクの押し付け合いがどのようなグローバル構造になっているのか、把握することが急務でしょう。 一般には、ヨーロッパの金融機関は、新興国向け貸し出し全体の半分のシェアを負担していると言われており、ヨーロッパの債務構造は根深いものがありそうです。このあたり、不安心理が実際のリスクを高めるという負のスパイラルが働いているため、「誰かが投げる(全部損切りをして損失処理する)」までは、大底は来ないのだと思っています。 日本、アメリカ、ヨーロッパ、のうち、どの順番でクラッシュが来るのかについては、これまで何度も考察を重ねてきましたが(主に日本とアメリカのどちらが先かという話でしたが)、明確な結論は出ていません。しかしながら、『その順番をコントロールすることが出来たとしたら、巨万の富を得ることが出来る』ということだけは明らかです。 何度も書いていますが、「日本国の財政にハイライトが当たって円安になるのは、世界連鎖破綻の最終ステージとなります。それまでは円高圧力がかかると思っても不思議ではありません。何度も書いていますが、金利と為替によって、日本からカネを引き出す準備は出来ていると見るべきです」だと思います。 最終ステージの後に生き残るのは、債務帳消しを強行したアメリカか、はたまた損失を処理して身軽になったヨーロッパか、金融商人の疎開地となる中国か。つまり、ロックフェラー(アメリカ、中国)か、ロスチャイルド(ユーロ圏)か。少なくとも、カネを出させられる(ことになっている)日本ではなさそうです。
by kanconsulting
| 2010-05-25 13:00
| 経済状況
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