祇園祭です。梅雨は峠を越えましたが、ユーロ危機は峠を越えたのでしょうか?
私は、これまでに「ほとんどの人が『ユーロはもうダメだ』と思うところまで売り込まれる。そこでオプションなどによる『投げ』により投資家は損失を計上する。もしくは、ドイツなど余力がある(と思われている)国家はEUの維持のために戦争並みの損失負担を強いられることとなる。しかし、損失処理と為替による競争力回復効果と相俟って、そこからがユーロ再生となる。」と述べてきました。 そろそろ「投資家、あるいは国家、もしくはその両方による『投げ』」があり、ユーロの底は近い気がします。それは即ち、投資家あるいは/および国家が損失を被るということを意味します。何度も書いているように、「誰かが投げない限り、底は来ない」のです。 (引用開始) ユーロ崩壊防ぐ隣国救済、ドイツは犠牲払う価値-将来離脱否定できず 7月14日(ブルームバーグ): ユーロ防衛のための隣国救済は、ドイツにとって犠牲を払う価値がある-。それが明確に示されつつある。 ドイツではギリシャ救済費用の負担に尻込みし、ドイツ・マルクの復活を求める有権者もいる。しかし、高級車のBMWや総合電機メーカー、シーメンスの株価上昇と国外の売り上げ増加を見れば、なぜユーロを導入し続ける価値があるのか、その理由が示唆されている。 1999年のユーロ導入がもたらした通貨の安定と労働コスト低下が輸出企業に恩恵を与え、失業は18年ぶりの水準近くまで低下。ドイツのDAX指数のパフォーマンスは今年、ユーロ圏16カ国の主要株価指数の中で最も優秀だ。 こうした状況は、ユーロ圏という鎖の弱いつなぎ目としてではなく、ユーロ安定の柱としてのドイツの立場を強める。米ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授(経済学)ら学識経験者は、ギリシャ危機がユーロ圏の崩壊につながりかねないと警告し、著名投資家のジョージ・ソロス氏はユーロ圏経済の緊張を和らげるため、ドイツにさらなる行動を迫っている。 バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロー氏は「ユーロ崩壊はドイツ経済にとって極めて大きな問題になるだろう。他の大半の国よりも大問題である公算が大きい」と指摘。「ドイツの産業界はこれまでに欧州市場で非常に大きなシェアを獲得した。ドイツにはどちらに転んでも不利な状況だ」と話す。 「否定し難い可能性」 ユーロ圏諸国を救済する包括的な金融支援枠で欧州連合(EU)が負担する5000億ユーロ(約56兆6000億円)と、ギリシャ向け緊急融資1100億ユーロを合わせた6100億ユーロのうち、ドイツは最大1700億ユーロの負担を求められる可能性がある。これは、DAX指数構成銘柄の時価総額合計のほぼ5倍に相当する。 コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマー氏が、ユーロ離脱は「議題に上っていない」と述べているのに対し、モルガン・スタンレーの共同主任グローバルエコノミスト、ヨアヒム・フェルス氏は、投資家が財政規律を順守する各国政府の姿勢に疑いを持てば、インフレ期待の上昇が加速し、ドイツにユーロ圏参加の再考を促す恐れがあると警告する。 フェルス氏は5月18日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ドイツのユーロ圏離脱は「明らかに差し迫った可能性ではない」としながらも、「長期的には否定し難い可能性だ」との見方を示している。 更新日時: 2010/07/14 13:04 JST 東京外為市場・正午=ドル88円後半で堅調、ユーロは2カ月ぶりの高値圏 2010年 07月 14日 12:20 JST [東京 14日 ロイター] 前日の欧米株高に加え、日経平均を含むアジア株高を受け、リスクオンの流れが続いている。株高の背景として、ギリシャの短期国債入札が無難な結果となったことや、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)の暫定結果でテスト対象となったドイツの14行がいずれも無事に通過する見通しとなったことなどがあがっている。 アルコア、インテルINTC.0と好決算が続く米企業だが、今週からはじまる米金融機関の決算に対する懸念も浮上している。「4─6月期は半導体や周辺産業が世界的に好調だったので、グーグルも好決算となるだろう。だが、これから発表される米金融機関の決算は弱い結果を予想する。米企業の好決算がけん引する株高や、株高を受けたユーロ高もそう長くは続かないだろう」(信託銀)との声も聞かれる。 米連邦準備理事会(FRB)が13日に発表した、証券を担保とした融資や店頭(OTC)デリバティブ市場の状況に関する新たな四半期調査によると、ヘッジファンドやプライベート・エクイティー(PE)など一部の借り手に対する大手金融機関の与信状況は過去3カ月間で緩和した。 同調査は一部参加者の間で話題を呼んだ。 <欧州銀行のストレステスト> この日ユーロは2カ月ぶりの高値水準となったが、市場では、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)はユーロ売り材料としての存在感が薄れたとの声が上がっている。「ストレステストに関しては、当初予定から大幅に対象行を拡大し、ドイツでは州立銀行も含め、自己資本不足と判断された金融機関には段階的資本増強のフレームワークを整えているもようだ。このため潜在的なユーロ売り材料としての存在感は薄れている」と三菱UFJモルガンスタンレー証券投資情報部・シニア投資ストラテジストの服部隆夫氏は指摘する。 ストレステストを無事通過する見通しになったドイツの14行の中には州立銀行も含まれるという。関係筋によると、ドイツの銀行の中で中核的自己資本比率(Tier1)が6%を下回っていた銀行はなかったとしている。 「ユーロ売りは峠を越えた感触がある。1.27ドル台は行き過ぎかもしれないが、1.2ドル台前半は購買力平価でみても穏当な水準だ」と服部氏は言う。 (ロイター 森佳子記者) (引用終了) さて、私は、これまでに何度も、 「信用収縮は世界を瞬く間に一巡する。アメリカの過剰住宅ローンが、アメリカの金融機関を破綻させ、それがまるでヨーロッパにガン細胞のように転移・増殖し、リスクの中央銀行への移転と各国国債増発という形で信用を蝕んでいった。これは、『過剰流動性』すなわち『実体経済を上回る過剰信用』によるものである。それが正しいとすると、収縮する信用をさらなる信用創造で補うことは出来ず、最後には『世界の過剰流動性の源』である日本国に還って来ることとなる」 と述べてきました。 もはや消費税がどうこうで済まされる問題ではありません。もし日本の税金が問題になるとすれば、 『日本国民が、世界(その内容は、カネを使い切ってしまい他人のカネを無心したい寄生者や、すでにカネを持っているのにもっと欲しがる強欲な者たちでしょう)のために血税を提供するかどうか。あたかも、ドイツ国民が、EU全体(その内容は、身の丈を超えた放漫財政のギリシャなどの国や、放漫経営のスペインなどの金融機関ですが)のために血税を提供したように。』 となるはずです。これが表題の(ドイツ:EU)=(日本:世界)の比例式の意味です。 IMFが、日本に対する年次審査報告で、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を進めるべき。純債務残高のGDP比の伸びを2015年から低下させるために、消費税率を14~22%に引き上げる必要がある」と指摘していますが、名目上は 「日本国の財政が破綻して長期金利が急騰する事態になれば、世界経済に深刻な影響を及ぼす」 となっているところ、その本音は 「日本国民の資産を確実に収奪して世界全体に『再分配』するためには、確実な税収が必要だから」 といったところでしょう。 グラフは読売新聞より (それにしても、寄生者が使ってしまったカネや強欲な者たちが蓄財したカネは、どこに行ってしまったのでしょうね。) (引用開始) 日本の財政健全化困難に、格下げリスク高まる恐れ=フィッチ 2010年 07月 13日 13:57 JST [香港 13日 ロイター] 格付け機関のフィッチ・レーティングスは13日、参議院選挙で民主党が低迷したことを受け、日本の財政再建が一段と困難になるとの見方を示したうえで、年末までに信頼に足る対策が策定できなければ格下げリスクが高まる恐れがある、と指摘した。 フィッチの日本担当ソブリンアナリスト、Andrew Colquhoun氏は「今年末までに信頼できるプランが作成されなければ、格付けにとってネガティブなシグナルとなり、信用格付けに対する圧力が高まることになる」と述べた。 ただ同氏は、プランを策定する政府の能力について悲観はしていないと指摘、「選挙結果により、日本政府がそのようなプランを策定および実行することは一段と難しくなるだろうが、それほど悲観的には考えていない。選挙結果は、財政健全化が否定されたことを意味するものではないためだ」と述べた。 フィッチは現在、日本の外貨建て格付けを「AA」、現地通貨建て格付けを「AAマイナス」としている。格付け見通しはどちらも「安定的」。 欧米で財政再建計画相次ぐ、日本は軸足定まらず 2010.7.11 21:38 参院選最大の争点となった消費税の増税問題などで菅政権の財政健全化への取り組みが問われる中、欧州の信用不安をきっかけとした欧米各国の財政再建が今後、本格化する。6月の20カ国・地域(G20)首脳会議で合意した「2013年に財政赤字半減」という目標達成に向けた動きで、消費税の方向性などで軸足の定まらない日本は出遅れが目立つ形となっている。 欧州の財政再建計画の柱は、金融危機以降の積極的な財政支出で膨らんだ財政赤字を減らす歳出削減だ。 「財政赤字の削減が持続的な成長に寄与する」 11~14年の財政計画案を7日に閣議決定したドイツのショイブレ財務相は会見で、財政再建へ決意を強調した。長期失業者への手当てといった社会保障費の削減などで、戦後最大の820億ユーロ(約9兆円)の歳出削減を行う。 英国は、62億ポンド(約8300億円)に及ぶ10年の緊急予算削減策を発表。オズボーン財務相は「問題を解決しなければ国民は職を失う」と指摘。邦銀の欧州担当エコノミストは「歳出削減は各国の喫緊の課題」と指摘する。 一方、財源確保のための税制改革機運も高まっている。英国が消費税に相当する付加価値税を引き上げるほか、英独仏3カ国は、金融機関に破綻(はたん)時のコスト負担を求める銀行税を導入し、財政再建にも活用したい考えだ。 ただ、急激な財政の引き締めは、金融危機の傷がまだ癒えていない世界経済にショックを与えかねず、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「各国でデフレを招くおそれがある」と懸念する。 欧州連合(EU)の銀行監督当局が23日に発表する健全性審査の結果も影響が大きい。内容次第では、欧州の大手銀行に公的資金が注入され、各国の財政負担が増すからだ。 一方、失業率が高止まりするなど景気の先行きに不透明感が漂う米国は、今秋に中間選挙が控えていることもあって「雇用創出が最優先」(オバマ大統領)とされ、どこまで財政再建に踏み込めるかは不透明だ。 さらに難しい舵取りを迫られているのが日本。先進国中、公的債務が突出する日本はG20の目標からも例外扱いを受けた。ただ、消費税をめぐる菅直人首相の発言は迷走。財政再建への取り組みも参院選後の政治情勢次第で、どこまで踏み込めるか不透明だ。(柿内公輔) (引用終了)
by kanconsulting
| 2010-07-16 17:52
| 経済状況
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