本当に高金利外貨は有利か?~スワップ金利と裁定取引

以前のエントリー「高金利通貨のワナ~「政府の取り分」と「通貨の減価」」にて、次の様に述べました。

(引用開始)

このブログでは、名目金利と実質金利について、何度か述べてきました。簡単に言うと、

名目金利=実質金利+インフレ率

です。では、高金利通貨ではどうでしょうか?名目利回りが5%のオーストラリアドルMMFを見てみましょう。この場合は、

利回り=名目利回り*0.80(税金20%が政府の取り分に)=4%

ですね。(中略)
でも、これまでに指摘していますように、高金利にはインフレがつきものです。この場合にオーストラリアのインフレ率が2%や4%だったらどうでしょうか?

インフレ率が2% 実質金利=名目金利*0.80-インフレ率=4%-2%=2%
インフレ率が4% 実質金利=名目金利*0.80-インフレ率=4%-4%=0%
(この場合に、実質0%なのに税金がしっかり取られていることに注目してください)

となって、ほとんどウマミのない投資になってしまいます。(中略)
これまでも何度も指摘しているように、
・インフレ
・税金
・手数料
が、投資の敵です。手数料は工夫すればなんとかなる面もありますが、インフレと税金はなかなか避けられません。くれぐれもご注意ください。

(引用終了)

このように、「高金利だからといって、インフレ率を考慮しないのは、片手落ち」なのです。たとえば、トルコリラ預金やアルゼンチンペソ預金が金利20%だとしても、「それはインフレだからじゃないの?」と気づくことと同じことです。

---

「でも、その通貨で買い物しないのだから、インフレ率は関係ないのでは?」という意見があると思います。本当は関係あるのですが、それは前回のエントリー「購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト」にてPPP(購買力平価)の説明を参照いただくとして、今日は、金利差の裁定の説明をします。

円の金利が0%、ドルの金利が3%とします(長短金利は区別せず)。本日のレートが120円としますと、

本日  120万円=10000ドル
1年後 120万円=10300ドル (1ドル=約116円)

本日から見て、1年後には120万円と10300ドルは同じ価値となるはずです。輸出入業者の「為替予約」は、この原理で行っています。外貨取引(FX)では、スワップ金利を毎日計上していますが、それは、この裁定取引を毎日行って、理論上の価値をバランスしていることになります。

ですので、外貨預金(レバレッジ1倍のFX)は、「原理的には儲からない取引」なのです。(すぐには理解してもらえないと思いますが、理論上はそのとおりです)

もちろん、実際の1年後のレートは、この数字から上にブレたり下にブレたりします。その結果として、外貨取引(FX)で儲かった、損した、という損益が発生します。

つまり、外貨取引(FX)においては、「金利やスワップ込みで、損益は50%」なのです。世間で言われている、「高金利通貨は得」「FXはスワップが有利」は、物事の一面しか見ていないというべきでしょう。

これを回避するためには、
・FXでは、レバレッジを1倍より高めにする(高くしすぎるのは危険です)
・外貨預金では、円転しない
・為替相場の長期の変動に乗る
ことです。

(本日のまとめ)
・高金利通貨は、インフレ率に注意する必要がある
・円転前提の外貨投資は、金利裁定の考え方からは、実は、金利込みで損得50%
・FXでは、スワップ金利が計上されるためトクな気がするが、実は、スワップ込みで損得50%

くれぐれもご注意ください。
[PR]
by kanconsulting | 2006-03-08 04:24 | 外国為替(FX)
<< 量的緩和の解除(2) 経済成長... 会計監査のはらむリスク ~日本... >>