ABSを対象としたCDOのインデックスであるABXを見ていますと、2~3週間前よりも、ひどい状況になってきているようです。特に、最近発行されたシリーズのABXのAAA格付けは、今年2月のサブプライムショックでも下落が限定的だったのですが、この1週間で急落したことが目を引きます。
(グラフ 上からAAA、AA、A、BBB。いずれもシリーズ07、バージョン1) データ:http://www.markit.com ABX Indices ABS:資産担保証券。ここでは、サブプライムローンなどを証券化したもの CDO:債務担保証券。ABSを含むいろいろな債務などを混ぜてリスクをコントロールした証券。 CDS:クレジット・デフォルト・スワップ。信用リスクをお金に換えるデリバティブ。 ABX:正確にはABX-HE。ABSを対象としたCDSのうち、流動性の高い20銘柄を指標化したもの。信用度に応じて、AAA、AA、A、BBB、・・・と格付けされている。BBB以上が投資適格、BB以下はデフォルトリスクが高いとされる。 「日経金融新聞」(2007.07.12)の、資金の流れを示したスキームを転載します。(「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」より孫引き) 過去の記事「アメリカ景気減速か サブプライムローン破綻 世界景気減速・世界同時株安ふたたび? 日本国破産の遠因か」のコメント欄から転載します。 (開始) Commented by welpal at 2007-07-15 10:33 x もし、サブプライムローン問題をきっかけとした株価暴落(ひょっとして債権も?)が起きるとしたら、ここ1~2週間が一つの要注意期間になると思っています。 実は、この週末にでも大きな動きが出ると見ていたのですが、はずれました。^^; 私がこの問題で今注目しているのは、markitのABX-HE指数で、特にBBBとBBB-です。(HEとは、Home Equityの略だそうです。ABX-HEについては、http://www.doblog.com/weblog/myblog/72014/163#163 で簡単に説明されています。) この指数では、比較的優良なAAA~Aもここ数日で急激な下げを見せていますが、カンさんはこの辺りの動きをどう見られていますか? 私が今思うことは、 ここ1ヶ月間に、ニュースで頻繁にサブプライム問題が取り上げたり、相場が荒れることが急に多くなり、市場関係者はみんな警戒するようになったと思います。 ABX-HE指数を見れば、この1~2週間で株価暴落は起きるかもしれません。 逆に、この指数が急落した現段階で何も起こらなければ、この問題はうまくソフトランディング処理ができるような気もします。つまり、みんなが神経質になっているからこそ、徐々にリスクから手が引かれ、株価暴落は起きない。 Commented by kanconsulting at 2007-07-16 20:49 x welpalさん コメントありがとうございます。ABX(ABSのインデックス。ABSについては本文中を参照ください)に着目されているとは、慧眼だと思います。さて、格付けの高いABSやCDOでも値が下がっている理由は、以下のとおりと考えます。 ・ABSやCDOは非上場債券であり、市場外取引となる ・それらを担保にレバレッジを効かせてトレードしているヘッジファンドは、一定以上の担保価値毀損により、ポジションを解消せざるを得ない ・そのため多量の売り物が出たが、流動性が低いため、理論価格より低い価格でしか売却できない ・つまり、格付けの高いCDO(ABS)でも、多量処分により、暴落することがある Commented by kanconsulting at 2007-07-16 21:06 x 現在では、シングルA格付けのABXの急落が見られており、AA(ダブルA)クラスにはで波及してきています。AAA(トリプルA)も安泰とは言えません。では、今後はどうなるのでしょうか? ① 上の記事で述べたのとは逆に延滞率は膨らまず、ABXは収束する。 ②-1 延滞の増加により損失は膨らみ、ABXはとことん下げるが、投資銀行などの担保差し入れにより、株式市場には影響しない。 ②-2 延滞の増加により損失は膨らみ、ABXはとことん下げ、ヘッジファンドを火種として、投資銀行・機関投資家の株式投売りを誘い、世界株安となる。 Commented by kanconsulting at 2007-07-16 21:12 x 今後1~2週間の株価の見通しについては、ご指摘のとおりだと思います。 私が着目しているのは、今後1~2年の見通しです。なぜならば、いわゆる「ゆとりローン」により、今後1年ほどかけて、延滞が増加していくことは避けられないと見ています。ですので、②のどちらかの可能性が高いと見ています。 その途中で、エクイティ部門の含み益などで、ABSやCDOの含み損をカバーできたなら、②-1の可能性が高くなるでしょう。1~2年という長いスパンですので、損失をうまくカバーできる可能性もあると思いますが、そうできなければ、②-2です。 (終了) 関連したブログ記事を引用します。 (引用開始) 「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」 なぜPEブームが終わると騒がれているか?(図解) このように、Subprime securitiesを組み込んだ、CDO(Collateral Debt Obligation)債務担保証券に、PEファンドは多くを投資しているという。このCDOはモーゲージ債券を裏付けにしているので、モーゲージ債券の格付けが下がったりすると影響を受ける。マージン・コール(追い証追加)におびえるのは、CDOを裏付けにして買収資金を借りているPEファンドの投資家達である、ということらしい。要するに、CDOは80年代の買収ブームに使われた、ジャンク・ボンドと同じようなものらしい。あまりにも仕組みが込み入っており、日進月歩でさらに様々なヘッジ商品が登場するので、正直さっぱり分からない。だれもどこにリスクが存在するのか分かっていないのではないかと思う。CDOにせよCDSにせよ、要するにDerivativesの一種らしいことは、FTのGilien Tettの記事から何となく分かった。デリヴァテイヴが危ないというのはそういう意味なのだろう。 (引用終了)
by kanconsulting
| 2007-07-18 09:11
| 経済状況
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