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景気回復で国家破綻は遠ざかるか?

日本の景気が回復してきています。それにつれて、長期金利ももう少しで2%と、じわじわと上がってきています。景気が回復すれば、税収も増加して、破綻は遠ざかるのではないでしょうか?

答えは「いいえ。景気が多少回復しても、数年は破綻は遠ざからない」です。

バブル経済でもっとも税収の増加した平成2年と比較して見てみましょう。
一般会計歳入の推移

     平成2年  →  平成16年  (兆円)
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税収    60.1        41.7
その他   4.2         3.7
公債金   7.3         36.6
収入計   71.7        82.1※
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歳出計   69.3        82.1
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公債依存度 11%       45%

※ここから国債費(国債の元利支払い)17.5兆円、手元に残るのは28.0兆円+公債金(新たな借金)=64.6兆円

税収が激減しているのは、バブル崩壊と、減税などによるとされています。
歳出が増加しているのは、社会保障給付額の増加が大きいとされています。

現在の長期金利が1%上昇した場合、国債費は1.2兆円増加し、その後も累積的に増大していくとされています。サラ金と同じ雪だるまですね。
平成16年:国債の債務償還8.6兆円+国債の利子など8.7兆円+α=国債費(国債の元利支払い)17.5兆円
平成19年(予想):長期金利2%の場合、国債費20.4兆円(2.9兆円増加)。
            長期金利3%の場合、国債費24.0兆円(6.5兆円増加)。

景気がマイルドに回復した場合、実質成長率1.5%以上、名目成長率1.25%~2.5%と仮定した数字で、予想では、平成19年度の税収が45.2兆円で、3.4兆円の増加ですね。

景気回復には長期金利の上昇はつきものです。金利3%でも、税収増は利払いに消えてしまう計算ですね。

(ここまでの結論) 税収がマイルドに増加しても、破綻は遠ざからない。

ではどうすればいいか?

破綻を遠ざけるには、借金を増やさないことが重要です。国の借金を増やさない=プライマリバランスを達成するには、
・税収がバブル時同等の60兆円となったとして(たとえば、消費税でまかなうとすると平成15年の消費税額は9.5兆円ですので、現在の2倍が追加で必要です)、
・その上で、新たな借金を国債の元利支払いである17.5兆円におさえ(約20兆円カット)、
・さらに歳出を10兆円カットすればいいことになります。

公債金カットを、乱暴な議論ですが、消費税でまかなうとすると、現在の消費税収入の2倍が追加で必要です。

では社会保障はカットできるのでしょうか?

社会保障の給付と負担の見通し予想について、厚生労働省の資料で、もっともお化粧した数字を見てみましょう。

            平成16年  →  平成22年  →  平成27年  (兆円)
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社会保障給付    86         105         121
 うち年金       46         53           58
 うち医療       26         34           41
 うち福祉など    14         18           21
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公費負担       26         36          43
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想定国民所得   366         414         448

高齢化が進むため、社会保障給付が増えても減ることはないのです。カットなんてとんでもない話なのです。しかもこの「想定国民所得」も、予想出生率と同じで結構楽観的な数字になっています。(社会保障の増加分を、これも乱暴な議論ですが、国民所得を横ばいとして、消費税でまかなうとすると、平成22年には現在の消費税収入と同額が追加で必要です。)

(結論)

つまり、バブル時のようにどこかの誰かが今より20兆円余分に税金を払ってくれるという「うまい話」があったとした上で、消費税で破綻を遠ざけるためには、消費税を現在の4倍の20%でちょうど達成できる計算になります。
その他の税収が横ばいと仮定して、国民が消費税で負担するとすれば、消費税は30%です。

以下7/26追記

皆様は「消費税が30%なんてイヤだ!」とお思いでしょう。その場合は、次の選択肢があります。
・ない袖は振れないと言う事で、公共投資や福祉などを強制カット
・国家破綻させて、インフレで政府債務を洗い流す

# 地方債務、特殊法人債務、公的年金債務(800兆円)は含まれていません。それを含めますと、国民負担率は45%~50%に達するとの政府試算もあります。
by kanconsulting | 2004-07-25 04:27 | 経済状況
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