日本・アメリカ・ヨーロッパの中央銀行は、これまでも市場に流動性の供給を行っていますが、その規模を拡大する模様です。
・白川総裁:「システミックリスク(金融危機)に直面した中央銀行がまず求められるのは(金融市場への)流動性の供給だ」「日銀としても円滑な資金決済と金融市場の安定確保に努めていく」 ・日米欧の金融当局:協調して、16日までに計約36兆円の大規模な資金供給 ・日銀:17日にも短期金融市場に3兆円の臨時の資金供給を実施、16日分と合わせて計5兆5千億円を市場に供給 (「日銀、さらに3兆円供給 AIG救済のFRBを評価」 朝日新聞) 私は、この流動性の供給については、以下のような考えを持っております。 ・確かに、資金ショートによる破綻や、連鎖倒産を防ぐような効果はある ・市場のセンチメントを改善する効果もある ・しかし、出血を止めずに輸血するようなものであり、根本的な解決にはなっていない ・流動性は、必要なところに割り当てられるとは限らず、濃淡がある >たとえば、金融機関に十分な流動性を供給しても、貸しはがしが止まらないこともありうる ・必ずしも、信用収縮をストップし、信用創造倍率アップをもたらすとは限らない ・過剰な流動性は、ゆくゆくは投機資金となり、資産価値の乱高下をもたらす遠因となる さて、以下のニュースを読むと、次のような記述が見られます。それについて、私のコメントを付記したいと思います。 ・17日の市場では、翌日物ドル金利が一時8%に >インターバンクのコール市場での年率換算金利と思いますが、どこの銀行も資金を出したがらず、資金の貸し手がないことで、リスクプレミアムがついた状態です ・国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、『金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性がある』と述べた。 >信用収縮は終わっておらず、まだまだ底を打つのは先だという見解でしょう。 ・ 白川総裁によると、すでにリーマン・ブラザーズ破たんの前週末に、総裁はじめ資金調節担当レベルで他の中央銀行と情報を交換しながら、対応していたという。 >この時点で、リーマン・AIGなどに関するリスクシナリオについて、通貨防衛に関する協議は終わっていた、ということでしょう。足並みのそろった流動性の供給があったのも、頷けるところです。 (引用開始) 焦点:日銀総裁は米金融問題の長期化に言及 2008年 09月 18日 06:28 JST 〔東京 17日 ロイター〕 白川方明日銀総裁は17日の記者会見で、米国金融機関をめぐる情勢について、損失処理にめどが立たず長期化するとの見通しを示した。 米連邦準備理事会(FRB)がAIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)救済のため異例の措置に踏み込んだことに対し、総裁はぎりぎりの決断だったと理解を示したが、17日の市場では翌日物ドル金利が一時8%まで跳ね上がったほか、金融市場で信用不安は沈静化していない。 日銀でもこうした厳しい状況を認識し、システミックリスクへの警戒感を持って市場を注視している。白川総裁は国際金融市場の不安定さが日本の景気回復時期に影響する可能性にも及した。 <米金融問題に厳しい見方、日本経済にも影響> 白川総裁は米金融機関の損失処理について、めどが立たない状況だとして「依然として問題解決に向けて険しい道のりが続いていると判断する」との厳しい見方を示した。何よりも米住宅価格の下落という根本問題があると指摘。金融市場の不安が長期化する可能性が高まり、日本経済についても「回復時期も含めて下振れリスクに注意が必要」だと述べた。 欧米での信用不安は企業金融にも影響を与え、経済活動を減速させるという金融不安と実体経済のスパイラルが予想されるためだ。 金融政策決定会合後に公表された日銀声明文でも、リスク要因として「国際金融資本市場は不安定さを増している」との認識が示された上で、世界経済についても、前月までの米国経済の下振れリスクを念頭に置いていた部分が、世界経済全体の減速を懸念する表現に置き換わった。 資源価格が下落に転じ、これまで景気悪化の要因だった交易条件悪化が改善するプラス要因があるものの、資源価格下落の背景にはマネーフローの変化だけではなく、世界経済の相当な減速があると見る日銀幹部も多く、日本の輸出減速の影響が大きくなれば、国内景気の回復は相当先にならざるを得ないとの声もある。 <AIG救済策、信用不安の歯止めにならず> 白川総裁が米金融機関問題に対して厳しい見方を示した背景の1つには、AIGの公的管理が発表された後も、市場の信用不安に収まる気配が見えないことがあるようだ。FRBは最大850億ドルの有担保融資を実施し、米政府がAIG株の79.9%を受け取る救済案を発表、金融市場でも安心感からいったんは「質への逃避」の巻き戻しが起こった。 しかし、17日の欧州インターバンク(銀行間取引)市場では、翌日物ドル金利が一時、8%まで急上昇し、ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)も高止まっている。 今回のAIGに対するFRBの対応は、通常の流動性供給を超え踏み込んだ内容となった。AIGの資産を担保とした資金供給という形をとり、貸し出しレートもLIBORプラス850bpと、スプレッドも大幅な上乗せ幅となり、ペナルティとして厳しい条件付きで融資を実行する。だが、FRBの融資で破たんを回避させるという、通常の中央銀行としての対応から大幅にかい離した手を打つことになった。 白川総裁もこうした対応について「システミック・リスクに直面した場合の公的当局の対応のあり方は、中銀については流動性の供給であり、資本不足の問題は国民の税金をどう使うのかという問題なので、政府・議会が決定すべき事項であるというのが概念的な整理」と指摘。FRBの対応が異例だったとの見方を示している。 FRBの踏み込んだ救済策にもかかわらず、市場ではむしろ救済される金融機関と破たんに追い込まれる金融機関の明確な区別の基準がないとして、疑心暗鬼から信用不安が増幅した状況になっている。日銀でもそうしたマーケットの情勢を認識している。 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は17日、訪問先のジッダで、金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性があると述べた。 日銀も当面、主要国中央銀行と連絡を緊密にしながら、金融市場の動向を注意深くみていく方針だ。破たんしたリーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)やAIGの取引ポジションの行方がどう処理されていくのか、世界の金融機関がカウンターパティーリスクに敏感になり始め、価格形成やリスクプレミアムにどのような影響が出るか、日銀では注意をはらっていく方針だ。 また、資金の抱え込みが強まる中で、外国金融機関はこれまで円キャリー取引やサムライ債の発行で調達していたが、日本の金融機関が資金の出し手としてどう対応していくのか、様子を見ていくことも必要だとしている。 白川総裁によると、すでにリーマン・ブラザーズ破たんの前週末に、総裁はじめ資金調節担当レベルで他の中央銀行と情報を交換しながら、対応していたという。今後、外国中央銀行への資金供給に際して、クロスボーダー担保を受け入れるかどうかも、中央銀行間で検討することをこの日の会見で明らかにした。 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦) (引用終了) --- 関連する最近の記事も参照ください。 「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」 「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中」 「日本・アメリカ・ヨーロッパがドル防衛の秘密協定 やはりドルは基軸通貨なのか」
by kanconsulting
| 2008-09-19 09:34
| 経済状況
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