※世界金融危機(7)を(8)に訂正しました。
以前の記事で、『次はヘッジファンドに注目が集まることでしょう』、と書きました。本日は、それに関連したニュースを引用したいと思います。 (運用面) ・運用成績を改善するための手段が乏しくなっている >ヘッジファンドの必須戦術である空売りの禁止 (資金面) ・金融機関による融資先の選別、投資銀行に自己資本規制が課せられるなどで、ヘッジファンド向け融資が細る ・損失拡大で不安に駆られた投資家が資金を引き揚げ さらに、別の記事で、『「劣化した金融機関の資産のアメリカ政府による買取」は、アメリカ国民の税金で支払う、ということです。本当に、すでに財政支出となった1兆ドル(約100兆円)や、連邦政府の債務上限の10兆ドル(約1000兆円)もの巨額の支払いが、将来のアメリカ国民に可能なのでしょうか?そもそも、その原資となるアメリカ国債を、誰が買うのでしょうか?』、とも書きました。それに関連したニュースも、引用したいと思います。 (90年代後半の日本) ・GDP:500兆円 ・不良債権:70兆円 (現在のアメリカ) ・GDP:13兆ドル台 ・債務担保証券(CDO)の残高:6~8兆ドル ・CDOの価格は既に80%を超えて減価しており、米住宅市況が回復しなければ、価格はさらにゼロに接近する 「90年代後半の日本と似ていても、より深刻な問題を抱えるアメリカの格付けは、大幅に下げられるのが当然」との内容ですが、私は、 『政治的な判断により、アメリカ国(債)の格付けは、下げられることは無い、もし下げられることはあっても、小幅にとどまり、ポーズに過ぎない』 と指摘します。なぜならば、アメリカ自身の息がかかった格付け会社が、自分の国の債券や紙幣の価値をあえて下げるような、自殺的言動をするメリットがないからです。『格付け会社が米国債をトリプルAに据え置いたとしても、米国が安泰だという話にはならない』のです。 今後も、アメリカ住宅価格はしばらく下落が続くと見られており、財政赤字の急膨張は避けられないとの見通しです。どういうことかというと、 2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字は、 ・4380億ドルと、過去最大 ・米政府系住宅金融機関(GSE)大手2社の支援に伴う支出は含まず また、金融安定化策として、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良債権を最大7000億ドルの公的資金を投じて買い取ると提案されていますが、住宅価格の下落に歯止めがかからず、米政府による不良債権買取は到底7000億ドルではすまないという見解もあります。 今回の不良債権買い取り案に加えて、 ・住宅ローン債務者支援:最大3000億ドル ・GSE2社への支援:2000億ドル ・GSEによる住宅ローン担保証券購入:1440億ドル ・アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の公的管理:850億ドル ・MMF元本保証:500億ドル ・ベアー・スターンズ買収:290億ドル 合計:約1.5兆ドル(15130億ドル) 時価会計の無視、空売りの禁止、モラールの無い資金投入など、『ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何をするかわからない』のでしょう。「対外的にも何をするかわからない」というのは、自国の権益を守るためには、何でもするであろう、という意味だと思います。 ということは、この後に待っているのは、 ・アメリカ債券とドル紙幣の押し売り ・海外投資家のマネーの棒引き ・ドルの減価による、不景気なのにモノが高いというスタグフレーション という選択肢に加えて、 ・強権的ルールによる世界統制経済 ・借用証書を焼き払うための政治的暴力、 のいずれかでしょうか。 何度も書いていますが、「弱いものから巻き上げるのが、繰り返してきた歴史」なのです。 これも何度も書いているように、「われわれ一般国民は、節度の無い暴力には、無力」なのです。カネを失っても、命があるだけ幸せだった、と思うような日が来るかもしれません。 (引用開始) 焦点:米金融大再編の波、いずれヘッジファンド業界に 2008年 09月 24日 17:26 JST [ボストン 23日 ロイター] 現段階では銀行や証券より金融危機を上手く克服しているようにみえるヘッジファンド。しかし、新たな規制、投資家の不安が多くのヘッジファンドにとって命取りになる可能性がある。 過去10年で最悪の運用成績、株価下落の犯人と批判されるなど、ヘッジファンド業界には今年、逆風が吹いている。ただ、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)やアマランス・アドバイザーズのような大規模な破たんはまだ起きていない。 リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)の経営破たん、メリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)の生き残りをかけた身売り、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の政府による救済と続いた9月、ヘッジファンド業界では、商品に投資していたオスプレー・マネジメントの「オスプレー・ファンド」が清算に追い込まれた。ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、ヘッジファンドの平均運用成績は約マイナス5%と低迷している。 モーガン・クリーク・キャピタル・マネジメントのマーク・ユスコ最高投資責任者(CIO)は「リーマンやAIGと比べてオスプレーの損失はかなり少なく、ヘッジファンド業界は比較的上手くやっているように見える」と指摘した。 しかし、それが一変する可能性はある。規制が緩く、高パフォーマンスを謳歌(おうか)していたヘッジファンド業界も、長期化する2つの問題に直面している。運用成績を改善するための手段が乏しくなっていること、損失拡大で不安に駆られた投資家の資金引き揚げだ。 ヘッジファンド投資を手がけるアルファ・キャピタル・マネジメントの創設者ブラッド・アルフォード氏は「ヘッジファンド業界にとって未曾有の大再編の年になる」と予想。同氏は現在、一部のポートフォリオについて、申請期限の9月30日を前に解約・償還の手続きに忙しいという。 アルフォード氏のような投資家は、いくつかのファンド・オブ・ファンズから数億ドル単位で資金を引き揚げている。 HFRによると、今年上期に350のヘッジファンドが閉鎖した。投資家は、下期も少なくとも上期と同程度の閉鎖があるとみる。 法律事務所モーガン・ルイスでヘッジファンドへの助言を担当するジェド・ワイダー氏は「投資家は、ファンドの見込み、ファンドが保有する証券という観点から自分のエクスポージャーに懸念を強めている。流動性や投資資金回収に関する権利の見極めにかなりの時間をかけている」と述べている。 投資資金の枯渇とともにヘッジファンドが直面している問題は新たな規制、と運用会社や投資家は指摘する。一例は、ヘッジファンドが得意とする戦略である空売りが禁止されたことだ。 ヘネシー・グループでヘッジファンド投資を担当するチャールズ・グラダンテ氏は「投資銀行のゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)とモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)が銀行持ち株会社になって米連邦準備理事会(FRB)の監督下に入ることにより、2社は新たな自己資本規制が課せられる。これまでほどレバレッジを高めることはできなくなり、ヘッジファンド向け融資も細る」とみている。 米金融機関が融資先の選別を厳しくすればするほど、中小のヘッジファンドは苦しくなる。「大手には影響しないだろうが、小規模ファンドには打撃となり得る」(グラダンテ氏)という。 来年初めにファンドの設定を予定するタクティカス・キャピタルのアンドレー・クレブスキー氏は「資金を集めるのが大変」と述べている。 ロイター (Svea Herbst-Bayliss 記者;翻訳 武藤邦子) --- 急膨張する米財政赤字、米国債のトリプルAは維持可能か 2008年 09月 24日 17:22 JST [東京 24日 ロイター] 米国政府が次々と金融危機回避策を発表しているが、3月のベアー・スターンズ救済以降、約束した救済資金は既に200兆円規模に達し「バラ撒き財政」の様相を呈している。 今後も米住宅価格の下落が続けば財政赤字の急膨張は不可避で、債務履行能力の「ものさし」である格付けにおいて、米国債が最上級のトリプルA格を維持しうるのか、市場で話題を呼んでいる。 23日のニューヨーク外為市場では、米政府が打ち出した金融市場安定化策が、財政赤字拡大につながるとの懸念からドルがユーロとポンドに対して数週間ぶりの安値まで下落した。「財政赤字拡大で米国債のダウン・グレードという話もでてきている。可能性は否定できない」と岡三証券・外国債券グループ長の相馬勉氏は語る。 <格付け会社の判断> 米格付け会社フィッチ・レーティングスは5月、米国の外貨建ておよび自国通貨建て長期発行体デフォルト格付けを「AAA」に据え置いたうえで、7月に政府系住宅金融機関(GSE)が米政府の管理下に置かれたとしても、米国のソブリン格付けがリスクにさらされる可能性は低いとの見解を明らかにした。スタンダード・アンド・プアーズも米国債の格付けを「トリプルA」、見通しを「安定的」に据え置いている。 ただ、格付け会社自体に対する市場の信頼も揺らいでいる。 「米格付け会社が米国債をトリプルAに据え置いたとしても、米国が安泰だという話にはならない。そもそも格付け会社は、モノライン同様、現在では著しく減価している証券化商品に優良格付けを与え続けてきた。(格付け会社に対する)市場の信頼は低下している」と東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は指摘する。 現在米国が直面する金融危機は90年代の日本に比較して一段と深刻というのが市場の認識だ。90年代後半の日本では500兆円のGDPに対して、70兆円の不良債権が発生した。米国では13兆ドル台のGDPに対して、6―8兆ドル規模の債務担保証券(CDO)の残高がある。CDOの価格は既に80%を超えて減価しており、米住宅市況が回復しなければ、価格はさらにゼロに接近するだろう。 過去を遡れば、1990年代後半に不良債権問題の渦中にあった日本の金融セクター、事業会社、そして日本の国家は、欧米格付け会社による格下げの嵐に見舞われた。 1998年9月、フィッチIBCA(フィッチ・レーティングスの前身)は、日本の金融システムが巨額の不良債権を抱え弱体化していることや、不安定な経済情勢と膨張する公的債務を理由に、日本の外貨建て長期債務をトリプルAから1ランク下のダブルAプラスに引き下げた。同年11月にはムーディーズが日本国債の格下げを行い、2001年2月にはスタンダード・アンド・プアーズが、日本政府が発行・保証する債券の長期格付けをトリプルAからダブルAプラスに引き下げた。 これらの動きは、日本国債の価格にさしたる影響を与えなかったが、円安を誘発し、拍車をかけた。 日本が世界最大の債権国、米国が世界最大の債務国であるという事実をふまえれば、90年代後半の日本と同じ種類で、より深刻な問題を抱える米国の格付けは大幅に下げられるのが自然だろう。 <市場動向> トリプルAを維持する米国債の2年物の利回りは2.101%と、米国が追加的危機回避策を発表する以前(16日)の1.779%から急上昇している。 「現在の国際金融システムが極めてぜい弱な状態になっているため、米国の危機回避策の裏側では、別の波紋が広がるという事態を引き起こしている」と東海東京証券の斎藤氏は分析する。米国が公的資金注入を決めた後に、石油や金価格が暴騰し、米国債が下落したのは「市場が米国自体のクレジット・リスクを強く意識したためで、ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何をするかわからないと市場が判断したためだ」と同氏は指摘する。 米議会予算局は9日、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字が4380億ドルに上り、過去最大になるとの改定見通しを発表した。だが、同赤字見通しには米政府系住宅金融機関(GSE)大手2社の支援に伴う支出は入っておらず、公的資金の投入額増加で、米国の財政赤字拡大は急速に拡大の一途をたどるだろう。 米政府は21日、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良債権を最大7000億ドルの公的資金を投じて買い取ることなどを盛り込んだ金融安定化策を議会に提出した。 今回提示した不良債権買い取りに加え、住宅ローン債務者支援として最大3000億ドルを用意し、GSE2社への支援に2000億ドル、GSEによる住宅ローン担保証券購入に1440億ドル、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の公的管理に850億ドル、MMF元本保証に500億ドル、ベアー・スターンズ買収に290億ドルなどを用意した。 市場では、米住宅価格の下落に歯止めがかからない中、米政府による不良債権買取は到底7000億ドルではすまないとの見方が広まっている。 米大統領選で民主党候補に確定しているオバマ上院議員は8月21日、巨大な財政赤字が、米国債発行増とドル安を招いているとの見解を明らかにしている。 米国の経常赤字は昨年7312億ドルと、過去最高だった2006年の7881億ドルから縮小したが、今年は追加米金融セクター救済に絡んだ財政支出で、米国の対外債務は拡大せざるを得ない。対外債務のファイナンスには海外投資家のマネーが不可欠だが、海外投資家は米債売りに傾いている。 米財務省によると、海外投資家による7月の対米長期証券投資(米株式、米社債、米国債、政府機関債)は、GSE2社の経営危機に絡んだ政府機関債の売り越し約500億ドルも手伝って、61億ドルの買い越しとなり、前月534億ドルの買い越しから急減した。 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩) (引用終了)
by kanconsulting
| 2008-09-28 15:22
| 経済状況
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