ヘッジファンド指数に見る運用状況 ヘッジファンドへの逆風 未曾有の大再編の年 マンとスーパーファンド

これまで、何度か、ヘッジファンドの危機について言及してきました。

(転載開始)

「アメリカの経済状況は引き続き低調 ストックとフローの悪化 オスプレー・ファンドのクローズと資源価格」

『あるファンド・オブ・ヘッジファンドのマネジャーは「さらなる困難に見舞われるだろう」とし、「非流動性ポジションを持つヘッジファンドは、四半期の償還が問題だ」と述べた。
・・・「商品にまとまったポジションを持つヘッジファンドが存在する。実際に弱気相場になれば、多くのヘッジファンドが困難に陥るだろう」と述べた。 
とりわけ、商品相場の上昇と金融関連株の下落の双方に賭けていたヘッジファンドのダメージは大きい。
・・・「多くのヘッジファンドの今年の運用成績がマイナスだ。これを皮切りにファンドの閉鎖が続くだろう」』

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」

「レバレッジを効かせて、資産価値変動の波に乗っておいしい汁を吸い、巨額の報酬を得て、その割りにオフショアスキームを活用して税金は納めず、損失が出て分が悪くなったら、国民の税金で救済してほしい」という話には、アメリカ政府は乗らなかった、というところでしょう。今後は、すべてのヘッジファンドがそうだという意味ではありませんが、ヘッジの意味を失ったヘッジファンドには、逆風が待っているのだと思います。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円」

ブルームバーグ・ニューヨーク市長は、
『これまで国債を買っていた、外国のSWF(政府投資基金)やヘッジファンドは、損失を抱えているのだから、米国債を買わないだろう。』

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「世界金融危機(7) 投資銀行の終焉 バフェットはゴールドマン 野村はリーマン MUFGはモルガン」

短期間でより儲けるためにレバレッジをかけて、儲かっているときはこの世の春を謳歌するものの、想定外の市場変動で思惑がはずれ、自滅する。「LTCMの轍(わだち)を踏んだ」と言われても仕方ない、という感じです。
・・・となると、次はヘッジファンドに注目が集まることでしょう。

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「世界金融危機(8)  ヘッジファンドの危機とアメリカの格付け 公的支援は1.5兆ドル(15130億ドル)」

(ヘッジファンドの運用面)
・運用成績を改善するための手段が乏しくなっている
>ヘッジファンドの必須戦術である空売りの禁止

(ヘッジファンドの資金面)
・金融機関による融資先の選別、投資銀行に自己資本規制が課せられるなどで、ヘッジファンド向け融資が細る
・損失拡大で不安に駆られた投資家が資金を引き揚げ

『現段階では銀行や証券より金融危機を上手く克服しているようにみえるヘッジファンド。しかし、新たな規制、投資家の不安が多くのヘッジファンドにとって命取りになる可能性がある。・・・ヘッジファンド投資を手がけるアルファ・キャピタル・マネジメントの創設者ブラッド・アルフォード氏は「ヘッジファンド業界にとって未曾有の大再編の年になる」と予想。』

(転載終了)

本日は、ヘッジファンド指数HFRXを引用して、運用状況を見てみたいと思います。この指数は、代表的なヘッジファンドの成績から平均して作られるもので、ヘッジファンドにおけるベンチマークとなっています。
(昨年のヘッジファンド指数は、過去の記事「世界同時株安と円高(4) 円高の理由と中央銀行による流動性供給の弊害 世界恐慌かスタグフレーションか」を参照ください)

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(表:ヘッジファンドリサーチ)

代表的な4つのグローバルカテゴリは、すべて年初来マイナスとなっています。その中でも、Absolute Return(市場変動にかかわらず利益追及)の被害が軽微ですんでいるのは、まだ救いがあると言えるでしょうか。

また、8つのストラテジーカテゴリは、マクロを除き、ほとんどすべてで年初来マイナスとなっています。
特に、Convertible Arbitrage(M&Aに伴う転換社債の裁定取引)、Relative Value Arbitrage(M&Aに伴う株式の裁定取引)、Equity Hedge(空売りを含む株式の裁定取引)、Event Driven(出来事を予想して市場変動の方向性に賭ける)などの、下落が大きいように見えます。
Equity Market Neutral(市場変動の影響を受けにくい、株式裁定取引)は、プラスマイナスゼロで済んでいるのは、この市場変動からすると、名実が一致していると言えるかもしれません。

(この大変動をヘッジして、儲けに変えることは、容易ではないようです)

ということで、ヘッジファンドも、万能ではないということができるでしょう。

ところで、2大ヘッジファンドである、マンとスーパーファンド(昔のクアドリガ)はどうなっているのでしょうか。いずれも複数のファンドがランチされていますが、マンからはAHLのうちのひとつ、クワドリガは歴史のあるAGを見てみましょう。

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(マン・インベストメント)
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(スーパーファンド)

2大ヘッジファンドであれば大丈夫と保証するわけではありませんが、CDSショックの影響は比較的小さいように見えます。もちろん、運用面と資金繰りの面について、今後とも注視する必要があります。

(ヘッジファンドへの投資は、最高レベルのリスク許容度が必要とされます。投資の判断は、各人の責任にお任せいたします)
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by kanconsulting | 2008-10-13 23:26 | ヘッジファンド
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