何度も書いていますが、バファリンの半分がやさしさだとするなら、株価の半分(と言いますか大半)は期待料、ということができます。不況期には、そういったリスク資産の価値が毀損することで、金融機関の健全性が損なわれ、貸し渋りと貸し剥がしが起きるということも、ご存知だと思います。
「何だ。よく『晴れの日に傘を貸して、雨の日には傘を貸さない』と言われることだが、銀行は、景気のよいときには貸し出しをするが、景気が悪くなると貸し出しをしてくれないどころか、取り上げるなんて、ひどいじゃないか。」と思われることと思います。銀行システムには、景気悪化に対する、ビルトインスタビライザーがないのかも知れません。 さて、主要国による、金融機関への公的資金の資本注入額が、100兆円になるということです。バブル崩壊後の、公的資金注入が12兆円だったことを考えると、すさまじい量のマネーが投入されています。 (日本の公的資金注入は、金融システム維持とゾンビ企業退場という光の面と、銀行への時価会計とBIS規制適用によるハゲタカ地ならしという影の面がありました) しかし、何度も書いていますが、100兆円ではすまないのだと思います。なんとなれば、 ・アメリカ政府などによる、不良債権買取・公的支援・買収などの合計は、すでに明らかになっている数字の合計だけで、約1.5兆ドル(15130億ドル)(2008/9) ・ゴールドマンサックスによると、金融危機に伴う世界の損失額は、1兆4000億ドルに達する(2008/11) ・みずほ証券の、もっとシビアな試算によると、約5.8兆ドル(約550兆円)の損失(2008/11) ・アメリカ政府支出は8兆5000億ドル(約780兆円)以上(2008/12) 日を追うごとに増えていく損失額に、世界のマネーは完全に萎縮してしまい、その全貌を知ることが恐ろしくなってきているのでしょう。「とりあえず100兆円で。追加があればまたオーダーします」という感じなのだと思います。 (引用開始) 公的資本注入、世界で100兆円に迫る 金融機関向け 世界的な金融危機を受け、主要国による金融機関への公的資金の資本注入額が100兆円に迫っている。金融機関の経営基盤を強化し、金融システムを安定させて危機の波及を抑える狙いだ。日本の金融危機時に注入した金額の約8倍に相当し、危機の深刻さを示している。金融機関の損失拡大で公的資金の注入額はさらに膨らむ公算が大きく、各国の財政を圧迫しつつある。 公的資金による資本注入は、国が金融機関の株式を買うなどの方法で資本を入れることを指す。金融システムを守るとともに一般企業や個人への融資などを促す狙いがある。日本は1990年代後半の金融危機を封じ込めるため、当時、約12兆円の資本を注入した。(07:36) 日本経済新聞 (引用終了) そして、公的資金の注入額拡大により、その母体である国の財政が注意信号~危険信号となっているのも、皆様ご存知だと思います。何度も指摘していますが、「金融機関の含み損を国に移転した、壮大な飛ばし」です。 (引用開始) 米FRB議長、財政赤字に理解求める 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、上院予算委員会で証言、当面は金融安定化と景気回復を重視し、財政出動など「積極的に行動する」必要があるとの認識を示し、1兆7000億ドル(約170兆円)を超える巨額の財政赤字に理解を求めた。 議長は「米経済と金融市場は、異例の困難に直面しており、政策の失敗は最終的により大きなコストがかかる」と指摘。「持続可能な財政への回帰を図るのは早すぎるかもしれない」と語った。 また予算教書に盛り込まれた金融安定化のため2500億ドル(約24兆5000億円)の追加公的資金が必要かどうかは「現在実施中の大手銀行を対象にした資産査定の結果や経済状況次第」と述べた。(共同) 産経新聞 (引用終了) それに比べると、低所得国へのIMF支援は、多額になったとはいえ2兆円あまりと、文字通りケタが違う数字となっています。 IMFの低所得国向け金融支援 2007年 6億ドル 2008年 54億ドル 2009年 250億ドル~1380億ドル (見通し) (引用開始) 追加資金2・4兆円必要 低所得国、IMF試算 【ワシントン3日共同】国際通貨基金(IMF)は3日、インド、パキスタンやアフリカなどの低所得国は世界的な金融危機の打撃により、2009年に少なくとも合計250億ドル(約2兆4000億円)、最悪の場合は1380億ドルの追加資金が必要になると試算した報告書を発表した。 IMFの低所得国向け金融支援は07年の6億ドルから08年に54億ドルに急増したが、09年はさらに増加するとの見通しを示した。 報告書は、低所得国は世界経済の悪化を受け輸出が減少し、外国からの直接投資や資金流入も縮小していると指摘。多くの低所得国で国際収支が悪化し、資金不足に陥る懸念があるとしている。 共同通信 (引用終了)
by kanconsulting
| 2009-03-08 15:45
| 経済状況
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