国家破綻、国家破産、日本国の財政破綻とは何でしょう。
一般的には、「国債のデフォルト」でしょうか。いいえ、円建ての債券は、円紙幣を刷って銀行などに注入し、遠まわしに買い支えることができるので、デフォルトは容易に起こりません。直感的には、「公的債務が、個人資産でカバーできる範囲を超えてしまい、個人資産が、公的部門に流れなくなった時点」で、「国外にも国債の買い手がいなくなり」、「日本銀行が、国債の直接引き受けを余儀なくされた時」です。 「えっ?なぜそれが国家破綻になるの?」ということですが、もはや実体経済の裏づけがない紙幣ですので、信認が失われ次第、価値が減価し、あるポイントに落ち着きます。そして、信認は、マーケット(取引市場に参加している人間)が決めることです。長期金利、国債価格、為替、株価、金価格さえも、すべてマーケットが「需要と供給」にしたがって決定するのです。そして、マーケットは実体経済を先取りします。近い将来に価値が損なわれて値が下がると思えば、手放すのが常識でしょう。マーケットに見放された取引物は、通常、暴落します。マーケットの思惑が不連続性を生み出します。これが数学モデルと異なる最大の点と思います。 日本国の財政破綻は、理論的には、少し長くなりますが、 「プライマリー・バランスの将来先までの合計額を金利で割り引いた現在価値が、現在の政府債務残高を下回れば財政破綻の状態と言う。将来の期間としては理論的には無限先を想定する。したがって、この状態では、将来無限先までの政府の純貯蓄額を金利で割り引いた総額を使っても、現在の政府債務を完全に返済することができない。このため政府の債務残高が累増し利払い費が増えることになり、政府は借金地獄から抜け出せなくなる。企業でいえばいずれ倒産してしまうから、この状態になったとき財政破綻と認定するわけである。」(電力中央研究所) 無限先までの財政収支を計算することは実際には不可能ですので、電力中央研究所は、金融機関における不良債権の定義の仕方を参考にして、財政状況について、政府債務残高の対名目GDP比のレベルや変化の方向から、「正常」、「要注意」、「財政破綻懸念」、「実質財政破綻」、「真性の財政破綻」という5つの状態に区別することを提案しています。 ・要注意の財政状況(1975~1996年度):国債残高対名目GDP比が10%~50%未満の範囲で数年以上に及び上昇傾向にある場合の財政状況をいう。 ・財政破綻懸念(1997年度~2001年度):国債残高対名目GDP比が50%~100%未満で数年以上に及び上昇傾向にある状況を指す。 ・実質財政破綻(2003年度末現在):国債残高対名目GDP比が100%以上で数年以上に渡り上昇し続ける状態を指す。この状態では国債の返済(償還)が不可能になるということはないが、財政は実質的に破綻している。 ・真性の財政破綻(???年度):実質財政破綻の状態からさらに悪化して、国債償還や利払いが不可能になった財政状況を指す。これはまさに企業倒産と同じような状態である。 【引用終わり】 ただし、公的長期債務のGDP比だけで、国家破綻するかしないかが決まるわけではありません。日本の公的長期債務はGDP比140%。アルゼンチンのデフォルトはGDP比50%、ロシアのデフォルトはGDP比60%、パキスタンが60%、エクアドルが80%。インドネシアは160%。19世紀のイギリスは、現在の日本をはるかに上回るGDP比290%でしたが、100年(!)かけて削減したため、破綻しませんでした。 この著者は、「将来の財政破綻の可能性については、計量経済モデルをうまく使えばかなり高い精度で把握することができるだろう」として、その内容を出版していると聞きました。近日中に読んでみたいと思います。
by kanconsulting
| 2004-08-11 23:38
| 経済状況
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