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交易条件

8月18日日経によりますと、

■製造業の企業収益の先行指標とされる交易条件指数が悪化している。日銀が発表した6月の交易条件指数(1995年=100)は95.5と、前年同月に比べ3.1ポイント低下した。これは、5月に続き1990年12月以来の低い水準となった。(経済面)

交易条件指数とは、産出物価指数(製造業で生産される財の価格)を、投入物価指数(生産のために投入される財の価格)で割った指数のことです。
もっと簡単に言うと、販売価格/仕入価格の比のことです。

企業業績の動向を左右する要因は次の3つとされています。

・交易条件        ニュースに見るように徐々に悪化している
・売上数量        去年は景気回復で増加したが、今年はペース低下
・人件費を含む固定費 これまでは固定費削減できたが、それも限界に

つまり、普通に考えて、今後企業は減益していく可能性が高い、ということです。

ただし、

・景気回復期には交易条件が悪化する経験則があり、その時には企業の収益率も改善する
・交易条件の悪化は、一見すると収益悪化の原因に見えるが、実際にはそうではない
・景気回復局面で、まず製商品の需給環境を反映して、原材料の市況が改善し、次の段階として、製品価格へのコスト転嫁が誘発される

という反論もあります。

これはどう解釈すればいいのでしょうか。第一生命経済研究所のレポートによると、

・交易条件の悪化が即座に収益悪化につながると判断するのは早計
・数量効果を通じた企業収益構造の変化を勘案する必要がある
・投入物価上昇の背景には、ディマンドプル(数量増加)とコストプッシュ(数量減少)の双方の要因が入り混じっている
・生産数量が増えるとき、素原材料は需給逼迫の影響を受けやすく価格が乱高下しやすいが、最終財の場合にはコストアップの圧力が平均費用低減の効果によって吸収されることとなる
・今のところ、損益分岐点は、数量拡大効果によって低下しているので、交易条件の悪化が即座に収益悪化につながるとは判断できない。

とのことです。

しかしながら、私は、

・数量拡大効果は『いまのところ』であり、売上数量はペース低下していくとするならば
・やはり交易条件の悪化は、減益をもたらすだろう
・それにつれて、株式市場は下げていくだろう

と予想します。下げるにしてもどれくらい下げると思えばいいのでしょうか?そこが底であるならば、静かに買いを入れればいいのですから。

仮に、利益が1割下がったために、ROEが1割低下したとして、PERがそれにつれてやはり1割低下したとすると、
株価=BPS×ROE×PER
ですので、元の株価の8割まで下がる可能性があるということです。

下がるのが分かっているのなら、そこまで待って買えばいいのですが、なかなかそうもいきません。そこで「逆指値」で損失を限定してまた買いなおしたり、さらに「空売りヘッジ」を活用することで下げを利益に変えることもできます。

いずれにせよ、企業の内容を十分に分かった上で、成長性のある企業に投資するのだ、ということでしょうね。
by kanconsulting | 2004-08-22 04:52 | 経済状況
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