昨日のブログで述べましたように、国が国家破綻を避けるために打つであろう対策を考えたいと思います。
①財政再建 これが一番まっとうな手段とは思います。ただし、先日のブログに記載しましたように、「プライマリバランスを達成するのには、毎年30兆円以上の増税か歳出削減が必要」です。しかもプライマリバランスを達成しただけでは、債務が増えないというだけで、実質の債務削減にはさらに厳しい政策が必要です。 たとえば、公務員が大幅に減り(当然、失業者になります)、公共工事は大幅削減(土木関連の企業はさらに破産するでしょう)、福祉と年金は大幅カット、消費税は最低30%のラインが必要、との指摘もあります。第154回国会の予算委員会で五十嵐議員が取り上げた通りです。 財政再建の成功例もあります。たとえば、19世紀のイギリスは、政府債務をGDPの290%に積み上げましたが、破綻することなく、100年(!)かけて債務の大幅削減に成功しました。新産業(産業革命)による成長があったからこそ可能だったのでしょう。 日本でも、50年100年単位での債務削減を考える必要がありますね。奇しくも国債の償還は、10年債の6回借り換え計画、つまり60年計画となっています。 ②インフレーション ご存知のように、ハイパーインフレーションは、債務の実質価値を減価させます。その結果、善意か悪意か、インフレで債務を洗い流すということがしばしば見られました。ドイツは膨大な戦後賠償をマルク建てで行い、必要な分を印刷したため、リヤカーにマルク紙幣を積んで買出しに出かけるほどの悪性インフレとなりました。また、戦後の日本でも、大幅なインフレがあったことをご存知でしょう。 ハイパーではない普通のインフレでは、国債の利払い費も増加するため、債務削減効果は薄れるようです。 ③デフォルト 立法による国債の棒引き、徴税権による国債保有者への100%課税、いずれによっても、国債の償還は実質必要ではなくなります。日本では、国債はおおむね国内の機関投資家が保有していることから、一番やりやすい方法では?と思われているふしがありますね。 とんでもない。その場合、国債の所有者である財投、郵貯、公的年金などに巨額の損失が発生し、郵貯と年金は崩壊します。銀行と生保は、資本が毀損し、債務超過により破綻を免れないでしょう。日本国内に安全なものは何もない、恐慌というべき極度の混乱が発生するでしょう。 大幅な社会的コストが発生するために、一番取りにくい方法です。 ④政府通貨発行権 現在流通している硬貨・コイン類は、政府が独自の権限で発行できる「政府通貨」です。日本銀行券と異なり、担保(裏づけ)は不要で、償還義務もないとされています。さらに、硬貨だけでなく紙幣も発行できるとされています。 つまり、政府債務に相当する「政府紙幣」を発行することで、見かけ上、実質の債務を帳消しにできるわけです。もちろん、政府債務に相当する政府紙幣をばらまけば、大幅なインフレは避けられません。 そこまで多量の政府紙幣を発行するのではなく、「国債利払いに必要な分、政府紙幣を発行する、マイルドな棒引き」も可能です。 うまくいった例もなくはないのですが、本質的には、問題の先送りに過ぎません。 ⑤日銀の国債直接引き受け 財政法5条で、日銀による国債の直接引受けは禁止されています。しかし、国会の決議があれば可能です。現状でも、「国債買いオペ」により、日銀は多量の国債を保有しています。 政府債務に相当する国債を日銀に引受けさせれば、見かけ上、債務は消滅します。日本では、高橋是清が一時期行ったとされています。 そこまで多量の国債を引き受けさせるのではなく、「国債利払いに必要な分、日銀に間接的に国債を引き受けさせ、同額の日銀券を市場にばら撒く、実質上の直接引き受けとみなしかねない行為」も可能です。 実質は、「子会社への債務の飛ばし」であり、問題の先送りに過ぎません。 では、実際は、どうすれば破綻を避けることができるのでしょうか?この問題については、日を改めたいと思います。
by kanconsulting
| 2004-08-28 00:01
| 経済状況
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