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各国政府のソブリンリスク 機関投資家の逃避行動 自らの足元を売り崩す合理的行動

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The CDR Government Risk Index(TM)
グラフはCredit Derivatives Researchより

ソブリン債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)指数は、昨年9月のボトムから、2倍近くに上昇しています。9月から1月末の時点での上昇幅の大きい順に、

・ギリシャ  △250%+
・ポルトガル △217%
・フランス  △122%
・スペイン  △111%
・アメリカ  △100%
・日本    △ 95%

となっています(指数そのものではありません)。これは、ヘッジファンドなどの短期筋の動きではなく、長期機関投資家の実需売りとの観測です。つまり、

『機関投資家が、各国の国債を、実際にリスクあるものとして捉え始めた』

ことを意味します。昨日の記事「2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来」にて、以下

年金資金などの長期機関投資家(略)の場合、株式がダメなら債券にアセットアロケートするのが普通ですが、現在のような低金利で、しかも国債のリスクプレミアム上昇(債券価格は低下)が見込まれている中では、(編注:債券を売って、)キャッシュで握りこんでおくか、金地金(ゴールド)への逃避が合理的行動となります。

のように述べました。実需筋が大規模に債券を手放す、これほど破綻を早める行動はありません。なにしろ、彼らに買ってもらわない限り、維持可能性はあり得ないからです。個別に見ると合理的なのですが、合成の誤謬としか言いようがありません。しかしながら彼らは責められません。一義的には、「債務を積み上げて、市場の信用を失いつつある、各国政府自身」に責任があります。もちろん、もっとも責任があるのは、各国を借金漬けにして、手数料で儲け、流動性で儲け、最後には売り崩しで儲ける「何らかの存在」なのですが、それが表に出ることはありません。

まさに、壮大なババヌキ・椅子取りゲームが「すでに」始まっているのだと思います。

(引用開始)

Credit risk growing most in Greece, Portugal, France
Fri Jan 29, 2010 11:35am ESTNEW YORK, Jan 29 (Reuters) -

Sovereign credit risk has grown most sharply for Greece, Portugal and France since September because of investor sales of various government debt, according to a report by Credit Derivatives Research on Friday.

A widely tracked sovereign credit default swap index shows that 16 of the top 81 countries have shown credit risk increasing by more than 50 percent, with Greece's sovereign credit default swap levels rising by more than 250 percent since September.
Portugal's CDSs rose the second most, by 217 percent, followed by France (122 percent), Spain (111 percent), the United States (100 percent) and Japan (95 percent) as the countries where risk is rising the most.
The report found so-called "real money investors," those holding investments for longer than short term, hedge-fund traders trying to take advantage of high volatility, may be large sellers of government debt, accounting for the wider spreads and increased risk in developed nations' credit profiles.
"We believe the dramatic rise in CDS spreads of many sovereign nations is rising due to arbitrage-free pricing with the cash bond markets and not in any way driven by a cabal of ancient and mysterious CDS traders," Tim Backshall, chief strategist at Credit Derivatives Research, wrote in the report.
Among countries with the biggest tightening moves in five-year credit default swaps since September 2009, Costa Rica narrowed 56 percent, followed by Pakistan (-55 percent), El Salvador (-54 percent) and Estonia (-30 percent), the report found. (Reporting by Walden Siew; Editing by Padraic Cassidy)

(引用終了)
# by kanconsulting | 2010-02-04 12:57 | 経済状況

2010年の幕開けに 新たなる黒き10年代の始まり 世界株式と金利・為替の未来

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画像は産経MSNより

皆様

あけましておめでとうございます。本年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

本年は、残念ながら、本格的な破綻の幕開けになります。見せ掛けの景気回復はありえるでしょう。そして「世界的な景気底打ち宣言」「金融危機解除の安全宣言」もあるかもしれません。しかしながら、それらはすべて仮の姿に過ぎず、世界全体がリセットされ、安心安全というものがシステム崩壊を起こす、そんな2010年代の幕開けになるのだと思います。

なぜそのように思うか、順次、述べます。

---

これまでに、何度も次のように指摘してきました。

・金融危機対策として流動性を供給し、経済対策を実施するために、各国はこぞって国債を発行してきた
・軽視されているが、国債は無限に発行できるわけではなく、各国にもデフォルトリスクが存在する
・つまり、各国による金融機関・企業の債務の肩代わりは、壮大な「飛ばし」と言える
・実際に、財政状況が悪くなり、信用リスクが悪化した国が複数あると指摘されている

この財政状況が悪化した国としては、ユーロ圏で言うならたとえば、ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインなどがあるでしょう。ギリシャの格付け下落は記憶に新しいところです。それ以外にも、中欧や東欧諸国、ドバイなど産油国など、話題には事欠きません。

ドバイショックは、金融市場にパニックを引き起こしたものの、実質的には世界全体には影響を及ぼさない、たんなる一地方の話だと思われています。しかし私は、こういった事故(?)は、国を変え資産クラスを変え、今後も発生すると思います。

何度も書いているように、こういった国レベルでの信用リスク悪化は、その国にとどまらず容易に世界全体に波及し、世界全体の信用リスクをさらに悪化させることは、言うまでもありません。これは、非常に簡単に書くと世界全体のレバレッジが大きいためであり、たとえば、地球の裏側のリスクプレミアム上昇が、容易に金融価値の下落につながるためです。つまり、これからの金融危機は、もはや金融機関のレベルではなく、各国そのものの生き残りをかけた競争レベルになってきたということです。

簡単に書くと、次のようになります。

・実体経済を大きく上回る仮想経済の肥大化
・金融資産(デリバティブ)バブル崩壊
・リスクマネー縮小、不況入り
・各国による積極財政、景気刺激
・資金を税収で賄えず、国債発行
・景気悪化により、税収減少
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ
・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる
・富の一方的移転が、合法的・世界的に行われる
・(一部の世界権力者が絶対権力を持つ、新世界秩序の誕生)

---

このブログでは、当初から、国家債務と税収のバランスに着目してきました。その観点から書くと、

・税収=企業負担(法人税)+家計負担(所得税+消費税)と考えると、税収が増える余地はなく、返済計画が立たない
・そこで、現在の税収ではなく、潜在的担税力で考える
・国の経済規模(GDP)の30%を潜在的担税力と見ると、国家債務/国の経済規模(GDP)>150%だと、レシオが5倍となり、民間人だと返済困難となるゾーン
・潜在的担税力をGDPの50%に設定しても、250%が限界

国家の借金の額が、概念的な返済能力を超えてしまい、デフォルトを起こすなどという事態は、これまで一笑に付されてきました。確かに、世界同時国債増発が常識となったこの数年においては、流動性を潤沢に供給することが第一優先であり、国家財政の維持可能性は二の次でした。加えて、「そもそも、国内向け自国通貨建てであれば、事実上必要なだけ発行できる。そうでなくても、国債増発はどの国もやっていて、相互依存的な関係※なのだから、相対的に突出しなければ問題ない。」などという楽観論が大勢を占めていました。

(どの市場もそうですが、市場参加者が楽観的なときが、後から振り返って「天井だった」「あのときに売っておけばよかった」というタイミングなのです。)

※ 相互依存的な関係ということは、持ちつ持たれつ・持ち合い、ということです。これも何度も書きますが、それを運転資金に使ってしまうということは、中小企業の社長どうしが、相互の延命のためにお互いの手形を交換するというくらいの、まさに自転車操業としか言えません。

何度も指摘しますが、上の表の一部

・(略)
・各国政府の借金が増大、維持可能性懸念 ← 今ここ
・リスクマネーの消滅、金融資産の減価
・(略)

をもう少し詳しく書くと、

・国家財政の維持可能性リスクは、すでにアメリカ、EU主要国、日本において存在する
・現在、それが顕在化していくステージにある
・リスクが顕在化すると、リスクマネーの巻き戻しと信用縮小により、株式・為替・債券市場が大きく混乱する
・現在、プレミアムリスク、デフォルトスワップ、VIXが上昇してきており、冗談ではすまない可能性がある
・金融資産の減価により、金融危機がスケールを大きくして再来する


では、リスクマネーはどこに行くのでしょうか?リスクマネーの源は、大きく分けて2種類あると思います。1つには年金資金などの長期機関投資家。もう1つは過剰流動性を得た短期機関投資家。

長期の場合、株式がダメなら債券にアセットアロケートするのが普通ですが、現在のような低金利で、しかも国債のリスクプレミアム上昇(債券価格は低下)が見込まれている中では、キャッシュで握りこんでおくか、金地金(ゴールド)への逃避が合理的行動となります。つまり、金融市場で売り手ばかりになり、買い手がいなくなる、特別売り気配のみで売買が成立しない、市場が機能しなくなるということもあり得ます。
このような場合、その歪の解消に着目した短期投資家が動くのが普通ですが、どうでしょうか?

短期の場合、低金利で借り入れを起こすことが出来るメリットを生かして、たいていレバレッジがかかっています※。その負債部分は、「金融安定化のため」としてジャブジャブに注ぎ込まれた過剰流動性です。資本部分を負担する投資家が多量に解約すると、資産部分を換金売りすることになるのですが、負債部分を返済した行く先は、その源、発行国です。つまり、「マネーが行く」のではなく、「マネーは還る」というほうが正確なのだと思います。
そして、世界全体に長年にわたって過剰流動性を供給してきたのは「アメリカのドル」であることは、ユーロダラーに関する過去のエントリ(記事)などで、何度も指摘していることです。(その次に通貨をばら撒いているのは日本ですね。)

※資産(機関投資家が使えるマネー)=資本(出資者が投資したマネー)+負債(どこからか借りてきたマネー)
 レバレッジ=資産/資本

このような仮定が正しければ、有事には

・世界株安
・債権安(=金利上昇)
・ラスト・レパトリとして、実はドル高になる(ドル以外の通貨安)、加えて円高
・ゴールド高

となりえます。これが上の表で書いた

・ペーパーマネーの減価、悪性インフレ

の正体です。そしてその次には、

・何かのきっかけで、連鎖的な国家破綻が引き起こされる

が待ち受けているのだと思います。

---

私は、決して財政破綻を望んでいるわけではありません。そのことは、長くの読者様にはご理解いただいていることと思います。そして、破綻を回避する方法があるのなら、それを提案するということも目的のひとつにあったのですが、結論としては「個人レベルで破綻を回避する方法や、そのための意味のある提案はない」ということです。

今後とも、おつきあい頂ければ幸いです。
# by kanconsulting | 2010-02-03 12:40 | 経済状況

日本の財政状況 すでに財政危機は限界点を超えた 長期金利の近未来

日本の財政状況 すでに財政危機は限界点を超えた 長期金利の近未来_a0037933_12582775.jpg

グラフは毎日新聞より

これまでに、次のように指摘してきました。

・金融危機による世界同時金融破綻を避けるため、各国は低金利と金融緩和により、流動性を供給する
・その原資は国公債であり、世界同時国債増刷とも呼べる
・国債の返済原資はあまり当てがなく、破綻の先送りとも言える
・流動性を回収すると世界経済が突然死するため、回収も出来ない
・インフレ、金利、為替によって、ペーパーマネーの価値を減価することでしか、解決できない

最近、IMFは、次のような報告書を出しています

(引用開始)

G20の先進国の債務残高、2014年にGDP比118%に拡大=IMF
2009年 11月 4日 08:32 JST
[ワシントン 3日 ロイター] 
国際通貨基金(IMF)は3日、主要20カ国(G20)のうち先進国の政府債務残高が2014年に対国内総生産(GDP)比で118%に達するとの見通しを示した。
その一方で、財政支出による景気支援策を縮小するのは時期尚早と強調した。
債務の水準を安定させるために、世界的に金利が最大2%ポイント上昇する必要があると指摘した。
IMFのコッタレリ財政局長は電話会見で「(財政)支援は引き続き適切かつ極めて重要だ。世界経済は回復しつつあるとしても、今回の回復はぜい弱だ」と述べた。
同局長は、2010年を通して先進諸国は景気支援のための財政政策を継続する公算が大きいとする一方で、成長のペースがより速い新興市場国では2010年に財政の引き締めが開始されるとの見通しを示した。
IMFは2009年のG20の財政赤字が平均でGDP比7.9%となり、10年は6.9%に低下すると予想。米国で金融セクター支援から発生する損失が減少することが主因としている。ただ、こうした要因を除けば、G20の先進国の赤字は10年に拡大する公算が大きいとの見方を示した。
最も大きな財政上の調整が必要な国として、英国、アイルランド、スペイン、日本を挙げた。デンマーク、韓国、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデンは債務を適切な水準に維持するための取り組みが不要か、ほとんど必要ないとの見方を示した。

日本の財政赤字は悪化見通し、先進国平均も上回る-IMF
2009年11月04日 07:34更新
国際通貨基金(IMF)が3日に発表した世界の財政調査報告によると、日本の2009年度財政赤字見通しは7月発表の前回報告に比べ0.2ポイント悪化し、国内総生産(GDP)比10.5%とされた。世界の主要先進国の平均である同8.2%を上回る結果となった。
同報告によると、2010年度の日本財政赤字は前回発表時と変わらず10.2%、2014年度には前回見通しより0.4ポイント悪化の8.0%と予想された。
また一般債務の見通しについて、日本の2014年度は前回発表時より6.4ポイント改善されたものの、GDP比で245.6%となり、調査対象19か国のうち最大かつ先進国全体の平均118.4の約2倍となった。日本は社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫すると指摘された。

IMF:先進国の財政赤字削減、刺激策の解消だけでは不十分-報告書
11月3日(ブルームバーグ):
国際通貨基金(IMF)は3日公表した報告書で、インフレ調整後の実質金利の上昇リスクに直面する先進国が債務を削減するには、財政・金融面での刺激策を解消するだけでは不十分との見解を示した。
この四半期報告書はIMFの財政局がまとめた。それによると、IMFは現在、20カ国・地域(G20)の今年と来年の財政赤字が7月時点の見通しより小さくなると予想しているものの、この見通し修正は米金融業界支援向けの支出が少なくなることを主に反映しているという。金融支援を除いたベースでは、社会保障関連の支出が増える一方で税収が減るため、財政赤字は拡大する見込みとしている。
報告書は「財政見通しの悪化に対する金融市場の反応は、これまでのところ控えめなものとなっているが、それで安心してはならない」とし、「単に刺激策を期限切れとするだけでは、多くの先進国で政府債務が膨張への道をたどり続けることになる」と指摘した。

更新日時: 2009/11/04 08:34 JST

(引用終了)

このように、

・G20の財政赤字(平均・GDP比) 
 2009年 7.9%
 2010年 6.9%
・G20のうち先進国の政府債務残高(GDP比) 
 2014年 118.4%
・「アメリカでの金融セクター支援による損失が減少」という要因を除けば、G20の先進国の赤字は2010年に拡大
・英国、アイルランド、スペイン、日本は、最大の財政調整が必要

その日本に関してみると

・財政赤字見通し(GDP比)
 2009年度 日本 10.5% (世界主要先進国平均 8.2%)
 2010年度 日本 10.2%
 2014年度 日本 8.0%
・一般債務見通し(GDP比)
 2014年度 日本 245.6% (先進国全体の平均 118.4%)
 >調査対象19か国のうち最大
 >社会保障支出の増大が、金融危機後も財政を圧迫

となります。国際的に日本を見ると、金融危機で直撃弾を食らっていない割には、ダメージが大きすぎるという印象です。これは、日本がもともと持っていた財政的脆弱性が、今般の世界同時金融危機であらわになった、という理解の方が近いのかもしれません。

さて

皆様ご存知のように、来年度予算においては、税収<国債発行額、となり、財政非常事態となっています。

税収    約38兆円
国債発行 約44兆円

すでに、日本の国家債務は、維持可能性がありません。可能性としては、長短金利を低金利に抑えつけて金利支払いを抑制し、流動性を供給して国債を買わせるという、「花見酒」、つまり先送りをするしかないのです。

最近、「事業仕分け」が、弁護人不在のまま進められる刑事裁判のようだとして話題になっています(にしても、満足な自己弁護できない被告側にも問題がありそうです)が、2010年度予算の一般会計歳出総額は90兆円を超え、過去最大の規模になる見込みです。

さて、以下の問題についてはどうでしょうか?

①実際に、国や地方の資金繰りがつかなくなり、大きな混乱を引き起こすこと
②国債の信認の度合いである、国債長期金利が上昇すること
③それ以前に、パニック的な逃避行動により、取り付け騒ぎが起きること

---

①については、何度も述べていますように、ロシアや昔の中国(清)のような、国債の紙切れ化は起こらないと考えています。日本の場合は、それを回避するために、金融緩和・低金利によるロールオーバー(借金の延期)や、最悪のケースとして徴税権による穴埋めが可能だからです。
皮肉なことに、低金利を続ける限り、個人向け国債のような個人向け債券は売れ行きが芳しくありません。個人の貯金を取り込み、悪く言えば人質にとり、最悪のケースとして徴税権と相殺したいと考える国にとっては、頭の痛い事態でしょう。

ただし、国債デフォルトをなりふりかまわず回避するその過程で、物価・金利・為替による、通貨と国債の価値調整が行われることは、避けられないと見ています。

②については、ふたたび、じわじわと長期金利が不気味な上昇を見せています。これが、ずっと続くトレンドなのかは分かりません。

③については、そのリスクは常に存在します。

まさにこれからの数年は、ポストサブプライムとして、考えられない異常事態が発生する可能性があります。冷静に事態を把握し、落ち着いて行動されることをお勧めします。

(引用開始)

長期金利上昇を危惧、財政悪化懸念の是正に努める=財務相
2009年 11月 10日 12:06 JST

[東京 10日 ロイター] 藤井裕久財務相は10日の閣議後の会見で、国債市場で長期金利が上昇傾向にあることを非常に危惧(きぐ)しているとし、市場に広がっている財政悪化懸念を何としても是正しなければならないと語った。
その上で、2010年度予算の編成にあたっては長期金利が上昇傾向にあることを最も重視し、麻生政権が決定した2009年度の新規国債発行額の約44兆円をめどに国債市場の信頼を得るよう努力すると語った。

 <10年度予算編成、長期金利上昇傾向を重要視>
藤井財務相は、1.4%台後半に上昇している長期金利を「非常に危惧している」と述べるとともに、足もとの長期金利上昇は財政悪化懸念を反映しており、「それに対する是正を何としてもしなければならない。歳出のカットは、全てそこに目的があるという気持ちでやっている」と強調した。
これを踏まえ、2010年度予算編成について「一番大事なことは金利が上昇傾向にあることだ」と繰り返し、「国債市場の信頼を一番大事にしている。信頼を失うと国益を損なう」と指摘。
マニフェスト(政権公約)に掲げた政策の実行と国債発行との関係では「マニフェストの政策は公約であることは間違いない。それをやり、国債市場の信頼を得ることは、ある程度、やれると確信している」としながら、前政権が決めた補正予算を含めた2009年度の国債発行額である「44兆円をめどに置き、極力、国債市場の信頼を維持できるよう頑張る」と語った。
(ロイターニュース 伊藤純夫)


長期金利、一時1.485%に上昇 財務相「非常に気にしている」

10日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが一時、前日比0.010%高い1.485%に上昇した。6月16日以来、約5カ月ぶりの高水準。株価の上昇に加え、来年度予算編成や国債増発への不透明感が意識され、売りが先行した。ただ、藤井裕久財務相が歳出削減を徹底することなどを改めて強調。その後は買い戻しも入った。
藤井裕久財務相は10日の閣議後の記者会見で、長期金利の上昇について「非常に気にしている。国債市場の信頼を失うと国益を損なう」と述べた。背景には財政悪化への懸念があると指摘したうえで、2010年度予算編成に関し「(財政悪化の)是正は何としてもやる。歳出を切るのはそれが目的だ」と強調。10年度予算の新規国債発行額を44兆円以内に抑える考えを改めて強調した。(12:19)


長期金利:4カ月ぶり高水準 終値1.475%

週明け9日の東京債券市場で、長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りの終値は、前週末終値より0.025ポイント高い1.475%と、直近の高値だった8月の1.46%を突破、約4カ月半ぶりの高水準となった。
週末に英国で開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、金融危機の原因とされる「世界経済の不均衡」の是正に取り組むことで合意。内需拡大を迫られた日本の財政健全化が遅れるとの見方が強まった。また、峰崎直樹副財務相が7日の講演で、10年度の国債発行額が政府目標の44兆円を超える可能性に言及したと報じられたことも、需給悪化懸念による国債売却の動きにつながった。
上昇幅は4営業日で0.1ポイントに達し、みずほ証券の上野泰也氏は「財政拡張に傾斜している政府への市場の警告、という意味合いがある」と指摘している。【山本明彦】

毎日新聞 2009年11月9日 20時10分(最終更新 11月9日 21時30分)

(引用終了)
# by kanconsulting | 2009-11-12 12:59 | 経済状況

金(ゴールド)の価格と未来 ドルの信認とドル高 またしても過剰流動性

金地金(きんじがね、いわゆるゴールド)が過去最高値をつけています。

その背景としては、

・アメリカの超低金利政策が長期化するとの観測から、ドル安が進行
・ドル安を受けて、アメリカではインフレ懸念が台頭
・ドル建て資産の目減りを避けるため、安全資産である金に資金が流入

でしょう。そのドル安の背景ですが、

・オーストラリアでの利上げ
・超低金利のドルを売って、高金利の資源国通貨や金など商品先物に投資する「ドル・キャリー取引」
・イギリスのメディア※が「湾岸産油国と中国や日本などが、石油取引の決済をドル建てからユーロや円など複数の通貨を組み合わせた『通貨バスケット』に移行する方向で協議している」と報じたことも拍車

ということです。

(もともとドル体制への揺さぶりを考えてきた中国のみならず、日本も「通貨バスケットへの移行を検討」とは、「そうだったのかw」と思ってしまうところですが、現在の国際的常識が「ドルの信認はそれほど続かない」であること、民主党政権が「アメリカ離れ」を意図していることから、選択肢の検討段階としてはあり得なくはない、と思います。フランス・クウェートなどは公式に否定しているとのことですが、日本が公式に否定しているかどうかは不明です。)

※ The Independent had reported on Tuesday that Gulf states, together with China, Russia, Japan and France, were considering replacing the dollar as the pricing currency for oil by a so-called basket of currencies.
This would include the yen, the yuan, the euro, gold and a future common currency in the Gulf region.
However, the report has been denied by a host of countries, including France, Kuwait, Qatar and Russia.
"Despite the denials, there are probably all sorts of discussions going on about how to reduce dependence on the dollar and diversify reserves," said Hufton.
"But they are hardly likely to be confirmed given that it would only serve to cut the value of the very reserves countries are seeking to diversify out of."

"Dollar on weak footing; gold strikes new record" (AFP) – Oct 7, 2009

(余談ですが、世界同時利下げ・世界同時金融緩和の中、オーストラリアの利上げはまっとうな判断だったと思います。世界からマネーを集めて生き残るためには、利下げではなく利上げが必要なのです。しかし、アメリカや日本でそれをするのは、もはや自殺的行為となるでしょう。)

---

関連した記事を引用します。

(引用開始)

NY金:過去最高値を更新 ドル先安観の目減り対策で

【ワシントン斉藤信宏】6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の金先物相場は、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の利上げなどをきっかけにドル安が進行したことを受けて急伸、指標となる12月渡しは電子取引で一時、1オンス=1045.00ドルまで上昇し、昨年3月につけた取引時間中の過去最高値(1033.90ドル)を更新。終値でも前日終値比21.90ドル高の1039.70ドルと9月中旬につけたばかりの過去最高値を塗り替えた。
オーストラリアでの利上げに加えて、一部の英メディアが「湾岸産油国と中国や日本などが、石油取引の決済をドル建てからユーロや円など複数の通貨を組み合わせた『通貨バスケット』に移行する方向で協議している」と報じたことでドルの先安観が強まった。ドル安を受けて、米国ではインフレ懸念が台頭、ドル建て資産の目減りを避けるため「安全資産」の金を買う動きが加速した。

毎日新聞 2009年10月7日

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金先物相場:NY 最高値更新、金市場に資金流入 安いドルから転換

金の価格が急上昇している。6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の金先物相場は、指標となる12月渡しが一時、1トロイオンス=1045・00ドルまで上昇し、08年3月につけた取引時間中の最高値(1033・90ドル)を、約1年7カ月ぶりに更新した。ドル安の進行と表裏一体的な動きで、当面はドル安基調が続くとの見方が強いことから、金価格は一段の上値をうかがう展開も予想される。
金価格が上昇基調にあるのは、米国の超低金利政策の長期化観測からドル安=ドルの価値低下が進行し、安全資産である金に資金が流入しているためだ。金価格は08年3月、商品価格の上昇を受けて一時1000ドルを突破。金融危機でいったん下落したが、最近は超低金利のドルを売って、高金利の資源国通貨や金など商品先物に投資する「ドル・キャリー取引」が広がっているとされる。
6日は、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が利上げしたこともドル売りに拍車をかけた。アラブ諸国などが石油取引のドル決済の中止を検討しているとの英紙報道が流れるなど、基軸通貨としてのドルの地位への懸念も強まっている。
金の宝飾品需要は世界的に低迷しており、買い主体は投資ファンドなどの投機筋が多い。このため、高値では利益確定の売りが出やすく、金価格はいったん調整局面に入る可能性が高いが、「ドル安が続けば、1100ドルをにらんだ展開になるだろう」(日興コーディアル証券の上西晃氏)との見方もある。【田畑悦郎、小倉祥徳】

毎日新聞 2009年10月8日

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最高値更新する金相場、中国ファクターでさらなる上値も
2009年 10月 8日

[北京/上海 7日 ロイター
ほとんどの人々にとって、金は不況時には無くても構わない単なるぜいたく品かもしれない。しかし慎重な中国の投資家にとっては、金は必需品となりつつある。
金価格が最高値を更新するなか、中国でも貴金属の売り上げが打撃を受ける可能性があるものの、景気の先行きには不透明さが残っており、投資先としては金を選好する動きが根強いという。
また、外貨準備の安全な投資先を探している中国政府も、現在1054トンとされる金準備を積み増す可能性が高い。ロングゴールド・アセット・マネジメントのYao Haiqiao社長は「中国での金消費量はインフレ期待を背景に伸びると予想され、政府も金準備を増やすとみられる」と述べた。
中国黄金協会のSun Zhaoxue会長によると、同国の外貨準備のうち金は全体の約1.6%に過ぎず、その比率は今後増えることが見込まれている。
金相場は足元、世界経済の先行き懸念と米ドル安を受けて最高値を更新。一部で調整を警戒する声もあるが、中国の投資家は引き続き金投資を積極的に行うと予想される。
上海中期期貨経紀のアナリスト、Zoe Wang氏は「消費者は価格に敏感であり、金価格の上昇はインドや中国での金購入に間違いなく打撃を与える。今年前半にインドの貴金属消費量が急激に落ち込んでおり、同様のことが中国でも起きるかもしれない」と指摘。その上で「しかし投資に関して言えば、金をヘッジのツールとして使う人が増えており、金の購入は拡大している。こうした動きは中国では明らかに増えている」と述べた。
中国はすでに世界最大の金生産国であり、2009年前半には貴金属の消費量でもインドを抜いて世界1位になった。ただ、中国でも宝飾品の売り上げは落ち込むとみられ、金相場を今後も押し上げるのは投資目的の金購入となる。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の極東担当マネージングディレクター、Albert Cheng氏によると、中国で投資としての金購入は2008年に過去最高の70トンに達した。
ロングゴールドのYao氏は「インドでは多くの人が宝飾品を買う一方、中国では銀行に金の延べ棒を預ける人が増えている」と述べた。

<一段の上値を追う可能性>
1オンス=1000ドルの水準は長続きしないと警戒する投資家もいる一方、中国では多くの人が金相場の先行きに楽観的な見方を示す。
中国黄金協会の副会長、Hou Huimin氏は「価格が上がったからというだけで人々が急に売り始めることはないだろう。中国では投資行動に大きな変化は出ていない」と述べた。
また、スタンダード銀行(香港)のEllison Chu氏は、需要が引き続き供給を大幅に上回っており、さらなる上値の余地があると指摘。「この価格水準が市場にどう影響するか注視していくが、個人的にはさらに上昇する可能性があると思う。市場がこの水準に慣れれば、上振れの可能性があるだろう」と語った。
さらに「過去数カ月間の株式市場を見てみると、乱高下や色々なうわさがあった。人々はより安定的な投資先を探している。投資家は金に継続的な成長を期待できる」としている。
「中国の投資市場では群集心理が大きな役割を果たす」と指摘するロングゴールドのYao氏は、金以外に魅力的な代替投資先がない以上、投資家は「途中下車」したがらないとの見方を示す。
Yao氏は、中国政府がいずれ金準備を増やすとみられ、それが金相場のさらなる支援材料になる可能性があるとしている。

(引用終了)

さて、気になるのは、

・ゴールドが高いのは、実質なのか?それともバブル的なものなのか?
・世界不況の中、需要が減退しているのに、ゴールド高が、中長期にわたって続くのか?
・ゴールド高の裏表となる、ドルはどうなるのか?

それを簡単に言いますと、

・今の世界は、超低金利のマネーが、量的緩和によって潤沢にある
・しかし、それに見合う実需的な投融資(事業資金、設備投資)がない
・投機資金となり、実物資産マーケットに流れ込んだ
・その流れに、年金基金などが相乗りした
 
その後の流れは自明です。

・キャリートレードは、必ず巻き返す
・商品は、かならず一度は下落する
・皆がドル安と思っていたが、実はドル高になる
・アメリカ国債の信認や持続可能性は別問題

関連した記事を引用します。

(引用開始)

インフレリスク過小評価すべきでない=米セントルイス地区連銀総裁
2009年 10月 12日

[セントルイス 11日 ロイター
米セントルイス地区連銀のブラード総裁は11日、米経済の緩みは多くの人が予想するほど大きくないかもしれず、これにより中期的なインフレリスクが高まる可能性があるとの見解を示した。
同総裁は、経済会議でのプレゼンテーションで、需給ギャップを正確に測ることは困難と指摘。
「需給ギャップについてよく使われる説明に関して懸念している。それはリセッション(景気後退)がこれほど深刻なのだから需給ギャップは大きいに違いなく、従って中期的なインフレリスクは異例の金融緩和政策の中でさえ無視し得る規模だというものだ」と述べ、「このような説明は需給ギャップについて誇張し過ぎていると思う」との見解を示した。
さらに、需給ギャップの測定を目的とした計算は資産価値のバブルを考慮しないとし、現在の生産の落ち込みの大半が住宅バブルの崩壊に関連しているとすれば「現在の需給ギャップは見掛けよりも小さいだろう」と指摘。これはインフレリスクが高まることを意味すると述べた。
同総裁はまた、1991年と2001年に終わった過去2回のリセッション時には、FRBはリセッション終了後2年半から3年経つまで利上げしなかったと指摘。今回このパターンを踏襲するとすれば、最初の利上げは2012年になると述べた。
そのうえで、この10年間の始めの時期にFRBが長い間金利を低過ぎる水準に維持した結果、住宅市場のにわか景気と不況につながったという議論が、今度の連邦公開市場委員会(FOMC)に重くのしかかる可能性があると語った。

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次にバブルが崩壊するのは米国債市場=ジム・ロジャーズ氏
2009年 10月 9日

[ニューヨーク 8日 ロイター
米著名投資家のジム・ロジャーズ氏は8日、借り入れ規模が持続不可能な水準に及んでいるとして、次にバブルが崩壊するのは米国債市場との見方を示すとともに、農作物、貴金属に投資妙味があると指摘した。
また株式市場に関しては、最近の大幅上昇を受けて調整局面を迎えるとの見方を示した。
同氏はロイター・テレビジョンとのインタビューで「調整への機は十分熟している。6カ月間に及ぶほぼ一本調子の上昇局面の後、値固めがあっても驚きではない」と指摘。株式市場は今後、長期にわたって上昇する可能性があるとの見方を示した。
同氏はまた、ロイターとのインタビューの後開催されたETFセキュリティーズ主催のセミナーで「次にバブルが形成されているのは、米国債市場だ。金利3─6%で米政府に30年間もお金を貸す人がいるなんて理解できない」と指摘。「いずれバブルははじける。米国債を保有している人がいたらひどく心配する。私なら手放すことを検討する」と述べた。
商品(コモディティ)への強気な投資で知られる同氏だが、コモディティに関しては、農作物・貴金属・原油が依然として同氏の好む投資対象だと明言。「農作物の在庫水準は過去数十年間で最も低い水準にある」として、特に最近28年半ぶりの高値を付けた砂糖は、向こう10年間で一段の上昇余地があるとの見方を示した。
貴金属については、割安感からパラジウムと銀が魅力的と指摘。ただ、長期では歴史的にも実物資産とされる金を投資対象に挙げた。
また原油相場に関しては、枯渇懸念から強気相場の流れで、バレル当たり最大200ドルまで上昇する可能性があるとの見方を示した。

(引用終了)
# by kanconsulting | 2009-10-28 12:43 | 経済状況

アメリカの財政赤字

アメリカの財政赤字が拡大することは当然のこととして何度も述べていますが、戦後最大の規模となることが判明しました。

(引用開始)

【10月8日 AFP】
米議会予算局(Congressional Budget Office、CBO)は7日、9月末で終了した2009会計年度の財政赤字が、前年より9500億ドル増の約1兆4000億ドル(約125兆円)に拡大し、1945年以来最大となるとの見通しを発表した。
歳入の落ち込みに、金融機関への公的資金の投入と長引く不況からの脱却をめざした財政出動が加わったためとCBOは説明している。歳入は08年度から約4200億ドル(17%)減少し、過去50年以上で最低。一方、歳出は過去50年で最高の5300億ドル(18%)増だった。
正式な09年度の財政収支は今月半ばに財務省が発表する。

(引用終了)
# by kanconsulting | 2009-10-08 12:56 | 経済状況