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魔の9月です。そして、あのリーマンショックから、1年が経過しました。
元リーマンブラザーズの社員は、バークレイズなどにシステム付きで再雇用され、引き続き「強欲」システムを動かしているようです。この、1秒に300回の株式取引が可能で、「毎日利益が出る、損を出す日はほとんどない」と言わしめるようなITシステムは、前回「カマボコ(中抜き、ピンハネ)のIT化 またしてもゴールドマン・サックス 断固たるNOを」で指摘した、「フラッシュオーダー」と似たようなものなのかも知れません。 それに対して、「短期的な利益を最大化するための強欲を正当化するような、金融機関の巨額ボーナスはおかしい」という意見も多数出ていますが、「資本主義で、利益に応じた対価を与えることに何の問題がある?」という真っ当な反論の前には、それほどのインパクトはないようです。 (余談ですが、民主党政権は、当初から、「アメリカ的な市場原理主義が、世界に格差と不幸をもたらした」という姿勢で、早速アメリカの反感を買っています。それはそれでかまわないですし、むしろ自民党には不可能な行動なので差別化のためにも是非やってもらいたいのですが、あまりに戦術が幼稚なので、見ていて痛いのです。たとえば、スティグリッツなどの有識者を起用して、しっかりと世界経済戦略を立ててPRすることが必要なのだと思います。そうでなければ、思いつきで何か言っているというレベルをなかなか越えられません。) この1年間、何が明らかになり、何が謎のままで、そして、何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか? (明らかになったこと) ・過剰流動性が世界金融市場を膨らましていたこと ・不明なリスクを取って、それをキャッシュに換えるという錬金術は、虚構であったこと ・職や持ち家を失うという形で、一般市民が割を食ったこと (謎のままのこと) ・世界経済奥の院は、何をどうしたいのかということ ・これからの儲けの道具となる、過剰流動性に代わる紙切れは何かということ (世界各国の国債だとは思いますが) ・いつまで「先送り」が続けられるのかということ (変わった事) ・世界政治のエージェント ・資産価値が上がり続けるという前提 ・一般市民の将来設計 (変わらないこと) ・政権が代わっても、それらを動かす奥の院は変わらないということ ・結局、ペーパーマネーを刷るしかないと言う事 ・強欲さ --- 1年前の関連記事も参照ください。 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(3) 日米欧の中央銀行が流動性供給 解決になるのか 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(4) 日米欧による「USドル」供給 基軸通貨ドルの防衛 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円 世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(6) まとめ 終わりの只中に 関連したニュースを引用します。 (引用開始) 終わりの見えぬリーマン残務処理、顧客資産もいまだ凍結 2009年9月11日19時25分 [ロンドン/ニューヨーク 8日 ロイター] ニューヨークのタイムライフビル。リーマン・ブラザーズ本社があったタイムズスクエアにほど近い場所で、600人に上るスタッフが膨大な資料のヤマと格闘を続けている。 リーマンが約1年前の9月15日に連邦破産法の適用を申請し、世界的な金融危機の引き金を引いて以来、残ったリーマンのスタッフや外部のコンサルタントが、複雑に絡み合ったデリバティブや不動産など無数の契約を解き明かすべく、今なお終わりの見えない作業に取り組んでいる。 リーマン破綻から1年経った今も、顧客やカウンターパーティーなどの資産は凍結され、資産や債権の返還請求も受け付けられずにいる。 残務処理に取り組んでいるスタッフらは、債権者の資産価値を最大化すべく、少なくとも彼らに自分たちの資産がどの程度の価値がつくかを示すべく、懸命の努力を続けている。 欧州におけるリーマンの共同管財人を務めるプライスウォーターハウスクーパーズのビジネス・リカバリー・サービス部門の責任者トニー・ロマス氏は、リーマンの複雑な資産や債務の関係は口では説明できないとした上で、「6000件余りあるリーマンの顧客ファンドのうち、半分以上の投資家から自分の資産がどれだけあるか申告されていない。債権者に配分できる資産は90億ドル近くあるかもしれないが、それをどれだけの債権者に渡す必要があるのかを把握しなければならない」と語る。 状況はニューヨークでも同じことだ。リーマンのデリバティブ契約を通じて債権を保有する投資家は今のところ返還請求を行うことができず、来月になっても債権に関する追加情報は得られそうにない。 リーマンの事業が日本からケイマン諸島に至るまで16カ国に渡り、破産手続きが世界中の76カ所で行われていることも問題を複雑にしている。 リーマン本体が破産申請した後、4000に上る関連会社の一部も破綻しているため、リーマンが破産処理を完結させるためには、各地の司法管轄の間で複雑な債務関係を整理したり、債権額をいつの時点で計算するかなど、数多くの問題を解決する必要がある。 <上向き始めた債権価格> ロマス氏のカウンターパートとして債務関係の整理に当たっているコンサルタント会社アルバレス&マーサルのアン・ケアンズ氏によると、同社は2010年末までに、リーマンの債務処理作業の大半を終えたいと考えている。 リーマンの資産は1年前に比べ大幅に増加している。アルバレスによると、破綻時点ではわずか35億ドルの現金しか保有していなかったのに対し、今年6月末時点では120億ドルを上回る水準まで回復した。ローンポートフォリオの時価も回復している。 債権者の間にも、債権回収の成果を上げるため組織を作ろうとする動きが出ている。ポールソン、エリオット・マネジメント、キングストリート・キャピタル・マネジメントなどの投資ファンドは「リーマン・ブラザーズ債権者グループ」を結成し、6月以降、リーマンに対する125億ドルに上る債権請求額を集めた。 破綻会社の債権者向けに債権を取引する市場を運営しているセカンドマーケット社によると、リーマンに対する債権の市場価格は最近になって急上昇。リーマンの持ち株会社が破綻した際には額面の10%でしか取引されなかった債権は、現在では20%近い水準で取引されている。 セカンドマーケットによると、リーマンのデリバティブの多くを保有するリーマン・ブラザーズ・スペシャル・ファイナンシングや、リーマンの商品取引契約の多くを保有するリーマン・ブラザーズ・コモディティ・サービシスの債権価格も、額面の40%前後で推移している。 だが、欧州ではリーマンの顧客ファンドの多くが複雑な商品を含んでいるため、ほとんど価値がないとみなされているものも多い。 <リーマン破綻処理が1つの産業に> ロマス氏は先月、英サンデー・タイムズ紙に対し、リーマン処理は「それ自体で1つの産業」になるとコメントし、全世界で破綻処理に関わる2000人のスタッフに支払われる手数料が40億ドルを上回ると明らかにした。 ロマス氏やケアンズ氏によると、規制当局は「第2のリーマン」が現れるのを防ぐ手段を編み出すため、リーマンの破綻処理を見守っている。 その一つとして検討されているのは、銀行に破綻した場合の処理を記した「生前遺言」の提出を義務づける案だという。 しかし、リーマンや元従業員にとってそれ以上の関心事は、リーマンを破綻に追い込んだ「犯人」を特定できるかどうかという点だ。 裁判所から審査官として指名されたアントン・バルカス氏は、数多くの銀行やリーマンの元幹部を対象に、誰が嘘をつき、誰が会社運営を誤り、誰が詐欺行為を働いたかを特定する作業を進めている。彼の報告は来年初めにも提出される見込みだ。 リーマン自身も、決済銀行や預託信託機関、連邦準備理事会(FRB)の行動を提訴できないかどうか調査するグループを結成している。 リーマン破綻を受けてブローカー部門を17億5000万ドルで取得し、早々に42億ドルの利益を得たバークレイズに対しても、当時の行為が「良心にかなった」ものだったかどうか調査する承認を受けている。 --- 投信残高はリーマン破たん以前に戻らず、個人は依然慎重 2009年9月11日20時5分 [東京 11日 ロイター] リーマン破たんから1年が経過し、個人投資家マネーの有力な受け皿に成長してきた「投資信託」の残高が、破たん以前の水準を回復していない。 足元の資金フロー(ETFを除く)は6カ月連続の純流入となっているが、06年から07年にかけて毎月1兆円を超える資金が流入していた当時とは投資環境も様変わり。「個人マネーは戻りつつあるように見えるが、投資家の気持ちが以前のように投資に向かうには、さらに時間がかかるのではないか」(大手投信)との声もある。 <投信残高ピークは07年10月、ボトムは09年1月> 追加型投信の残高は、サブプライム問題の深刻さが表面化して以降、2007年10月をピークにすでに減少トレンドに入っていた。リーマンの破たんからさらに約1年さかのぼった時点だ。 背景には、サブプライム問題を発端とした株式相場下落と為替要因があった。残高全体のほぼ4分の3が海外資産に投資するファンド(海外証券型ファンド)であるため、為替の影響は無視できない。07年10月から08年8月までに円は対ドルで約6%、対ユーロで約4%、対豪ドルで約13%の円高が進んだ。 リーマンが破たんした08年9月、米市場の下落を発端として世界の株式市場の大幅下落が始まるが、国内投信市場の残高がボトムとなるのは09年1月。残高はピーク(07年10月)時から約44%減少。リーマン破たん前の08年8月時点との対比では約35%落ち込んだ。足元の09年8月末残高は、戻ってきたもののピーク時から約3割減の状態。リーマン破たん前と比べると、約2割減の水準だ。 一方、外為市場の動向を見ると、投信残高がボトムとなった09年1月の水準と、ピークだった07年10月時点を比較すると、円は対ドルで約22%、対ユーロで31%、対豪ドルで約47%の円高が進行。世界的な株式相場の下落に、円高進行が拍車をかけて投信残高にマイナス圧力をかけたことがわかる。反対に残高がボトムとなった09年1月から足元の8月までは円安傾向にある。円は対ドルで3%、対ユーロで約16%、対豪ドルで約38%とそれぞれ円安方向に振れた。 <リーマン破綻後1年の総決算は1兆1875億円の純流入> トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーによると、国内追加型株式投資信託(ETFを除く)の純流出入額(設定額から解約額と償還額を引いたもの)は、同社がデータ提供を開始した2003年1月から米リーマン破たん直前の08年8月まで、5年8カ月間にわたって流入超が続いた。 しかし、リーマン破たんの08年9月以降、09年2月までの6カ月間に計4カ月で資金流出となり、その額は合わせて7758億円に上った。ただ、08年9月から09年8月までの直近1年間をみると、8カ月間は流入超で純流入額は計1兆9633億円。リーマン破たん後1年の総決算としては、1兆1875億円の純流入となった。 しかし、リーマン破たん前の1年間(07年9月から08年8月まで)の純流入額は計4兆8834億円に達し、07年1─12月の純流入額は14兆4024億円に上っていた。足元の資金動向が6カ月連続で流入超になっているとはいえ、純流入額は1兆8646億円。「数字だけをみるなら回復基調ともとれるが、あくまで推測の域を出ない。地方をまわると個人は生活防衛にまわっている感じをうける」(国内投信)との声もある。 運用会社で銀行担当の販売支援部隊からは「投資家も販売員もサブプライムでは震度2程度だったが、リーマンショックでは震度6か7の大打撃だったのではないか。残高減のダメージだけでなく、目に見えない心理的な部分への打撃が大きかった」との声もある。銀行経由の投資家が以前のような投資行動に戻るにはかなり時間を要するとの声も出ている。 足元ではREITファンドやハイ・イールド債券や新興国債券などの高利回り債券に投資し、為替によるヘッジプレミアム(金利差収入)も期待できる高額分配投信が、投信市場をけん引しているが、こうした投信の主な投資家は、大方が証券系の投資家といわれている。銀行経由の投資家のマネーが本格的に再参入してこない限り、リーマン破たん以前の活況に戻るのは難しそうだ。 (ロイター日本語ニュース 岩崎 成子記者;編集 田巻 一彦) (引用終了) #
by kanconsulting
| 2009-09-17 13:01
| 経済状況
「財源の話になると、増税か歳出減かの二者択一になる。なぜ、国債発行を財源の選択肢に入れないのか。日本全体で見れば借金はない。国債は有力な財源だ。国債の長期金利は今、1・45%で決して高くない。これから20兆、30兆円を追加発行しても、10年債で2%は超えないだろう。日本には国債を追加発行する余力がある。1000兆円程度まで行っても、そこで止まれば問題ない」(榊原英資)
「国債の発行は、将来の増税だ。景気がいい時に増税せず、悪い時に財政出動したら、常に増税できない。その結果が、今の800兆円の財政赤字だ。インフレの度合いや金利政策にもよるが、景気が良くなれば、利払いにも影響する。長期金利は1%上がれば、利払いが1・6兆円増える。景気が好転すれば増税しないで済むという理屈は破綻している。」(石弘光) --- 日本国財政破綻Safety Netさんの、「728.Xデーに備える(その1)」にて、次のような提議をいただいております。 (遅くなりすみません) (ここから) 私はAさんに以下のようなメールの返事をお送りいたしました。 財政破綻は今年、後半にも起こっても不思議はない、と考えます。マンのヘッジファンドについては、現金化した場合、税金対策がネックです。信頼できる代理店をとおして購入していても税金対策までは面倒みてくれないと思います。マンのファンドを長期保有する、マタギ氏のところには税務署から照会の手紙が来て、あわてて税理士を探していました。ご参考になさって下さい。 さて、kanコンサルティングのかんさんは、Xデーの時期と現時点での対応策について、どのようにお考えになりますか? (ここまで) 「Xデー」とは、いろいろな受け止めがあると思いますが、取り急ぎ、国債の需給バランスが悪化したり、国債の信任が低下し、その結果として長期金利が急上昇する局面、と解釈したいと思います。 2009年度 国債発行額 (WBS調べ) 日本 約150兆円 前年度比1.2倍 アメリカ 約180兆円 同2.5倍 イギリス 約 35兆円 同2.8倍 ドイツ 約 47兆円 同1.6倍 長期金利 (8月上旬ころ) 日本 1.445% アメリカ 3.631% イギリス 3.876% 本日(8/13)の長期金利は、1.415%となっています。このところ、1.4%~1.5%のレンジで推移しているように見えます。 この長期金利ですが、需給バランスの悪化で、そのうち上昇するのではないかと見られています。代表的なものは、「今後の国債を持続的に消化するのは難しいため、長期金利が上昇するリスクがある」ですが、政策金利については、「日本の財政規律が崩れているため、日銀は金利を上げるに上げられない」と、真逆の方向となります。 しかし、日本も含め各国とも、多量のマネー(流動性)を供給しているため、それが債券消化に向かう限りにおいては、それほど心配ないのでは、とする意見もあります。 私は、「国がマネーをばら撒いて国債を消化させるのは、結局は壮大な飛ばしであり、何の解決にもならない。そのうちに行き詰まる」と、何度も指摘しています。 たとえば、 (引用開始) 「不透明な民主党マクロ政策、日銀出口戦略に影響も」 政策実現や高齢化の進展に伴う社会保障費の増大などを考えれば、当面は国債増発が継続する可能性が高く、長期金利上昇懸念が強まると予想される。そうした中での日銀による国債買い入れをめぐって「政治からの圧力が強まることは確実」(菅野氏)とみられている。 熊野氏は「今後、市場が次々と発行される国債を持続的に消化するのは難しいのではないか」とし、「長期金利の上昇懸念は引き続き強く、その面からも景気への不安がある」と指摘している。 他方、政権交代の可能性や実体経済の弱さに引きずられ、過剰流動性の供給が長期化することを懸念する声も多い。日銀短観からもうかがえるように、大企業を中心に資金繰りや借り入れ環境は改善傾向にあり、日本国内における金融システムの状況は、危機を脱したとの見方が政策当局から出ている。 野村総研の井上氏は「現在は世界中の中央銀行が大量の資金を供給している状況。超金融緩和からの出口が遅れ、過去の教訓が生かされないという懸念もある」と指摘する。 熊野氏も「金余り」の状況は徐々に強まっていると述べ、「過剰流動性供給が続く一方で、経済活動には結びつきにくい状況。企業の資金需要は弱含み傾向が続くため、金融機関は運用難に直面している」として「バブルの予兆」に警鐘を鳴らしている。 国内では、だぶついたマネーは再び債券市場に向かっているように見える。国債増発シーズンを迎えても長期金利が抑制されており、「一種の国債バブルが始まっている」(菅野氏)との見方もある。 海外では、米国やEU(欧州連合)などを中心に、中央銀行が非伝統的手段を駆使して大量の流動性を供給しており、原油や商品市場などに再びマネーが流入しやすい環境にある。水面下でマネーのゆがみが進行している可能性に対し、市場の警戒感が足元で急速に強まっている。 (引用終了) などの指摘です。 --- 「言っていることは分かるが、単に国債消化に懸念があったり、需給バランスがミスマッチで長期金利が多少上がったりすることと、国債デフォルト(それに準じるような国債信任の低下)や、いわゆる『Xデー』とは、かなり距離があるのではないか?」 という指摘もあると思います。それに応えるためには、 (1)世界のマネーストック、世界の中でのマネーフロー (2)日本の国債消化余力 について考える必要があります。これまでは、「経済状態の段階的発展説」や「世界同時国債多発」などの内容で(1)について考えてきました。本日は、(2)について整理したいと思います。 --- 本日はデータ不足のため、おおざっぱな話になってしまいます。 現在、長期金利は安定しているように見えます。国債の需給バランスにも特に危険な兆候は見られません。たとえば、「債券相場は堅調、20年債入札無難の見方(ブルームバーグ)」などです。 では、日本全体のマネーはどうなっているのでしょうか? 7月のM3(現金・預貯金の合計) 1057兆円 (前年同月比+1.9%) 数字では、潤沢に見えます。倒産が減らず、雇用も圧縮を続けており、現実に食うに困っている人が何百万人単位で存在する今日、ミスマッチなほどの巨額のマネーに見えます。一言で言うと、マネーが鬱血しているのでしょう。 M3が増加を続けている理由として、「金融市場が不安定化したのに伴い、個人が資金を定期預金に預ける傾向が引き続き強まっているのに加え、企業も手元資金を預金に積み増す傾向を強めているため。定期預金などの「準通貨」は同3.0%増と99年1月以来の高い伸びを示した(毎日新聞)」などとされています。 それ以外にも、政府から供給される救済的資金もあり、水ぶくれ状態になっているのだと推察します。その資金の財源も、国債なのでしょうから、巨大なネズミ講のようで、なんだか意味が分かりません。 経済成長(による将来の自然税収増)は、不確かな希望的観測だと思います。少子高齢化が進む国で、経済成長が安易に期待できないことは、これまでに何度も指摘しています。 逆に、国の思い通りになるマネーとして、たとえば郵貯があげられます。過去の記事「郵便貯金と郵貯からの預託金 年金からの預託金 ともに減少 財投債で支える構造に」では、それまでの財政投融資資金の財源であった、郵貯からの預託金は、確実に減少し続けていると書きましたが、現時点で、すでに底をついている可能性がある、と考えています。 民間、機関投資家は、株式などのリスクマネーから、国内債券に振り向ける動きが顕著でした。そのため、「景気が悪い時期ほど、債券消化は順調で、金利は上がらない」ということになっていたのでしょう。債券消化が順調であれば、国はマネーを流し続けることが出来るので、自転車操業は延命、となります。 何度も指摘していることですが、「国債など債券を多量に保有している機関投資家は、国債を売り逃げることが出来ない。国と一蓮托生だ。」ということになります。 また、支出面では、何度も指摘しているように、 ・高齢化などのため、社会保障費は年に約1兆円ずつ増加 つまり、 ・景気の悪いうちは、各国(日本含む)政府による、潤沢な資金供給は続く ・それを財源としたり、リスクマネーの債券振り向けにより、当面は国債消化は順調 ・しかし、それが自縄自縛となり、機関投資家は国債投資から大規模な資金を引き上げることが出来ない ・そのため、クラウディングアウト的な投資資金枯渇により、景気回復は遠ざかる ・「将来の先食い」である国債発行だが、その「(景気・利益水準・担税力が回復した)将来」が来ないため、現在発行された国債が償還されるべきタイミングで、破綻をきたす ・国民の資産(預貯金の価値減少であるインフレ、債券の価値減少である金利上昇、国際的な日本円の価値減少である円安、年金を受け取る権利の削減、レガシーコストの圧縮など含む)の毀損で、国債償還の財源充てるしかない のように考えます。しかし、それがいつか、という議論については、定量的なデータが不足しているため、結論を出すことが出来ません。 ただ、冒頭の発言引用で、「日本には国債を追加発行する余力がある。1500兆とか2000兆とか、どんどん増えたら問題だが、1000兆円程度まで行っても、そこで止まれば問題ない」とありますが、国公債あわせて1000兆円はすでに突破しており、年金債務をあわせると1500兆円は超えているはずですので、すでに危険ゾーンには来ているのだと思います。 (なぜ1000兆円は大丈夫で、1500兆円は危険なのでしょうね?) --- まとめると、 ・現在、国債需給バランスは悪くなく、長期金利の動向は安定しているように見える ・直感的には、少子高齢化・国力低下のため、国債消化は自転車操業で、壮大な飛ばし ・その結果、国債を消化すればするほど、マネー面からの景気回復は遠ざる ・Xデーがいつかという結論は、このデータだけでは出ない、継続調査する ということになります。 #
by kanconsulting
| 2009-08-27 10:12
| 経済状況
「米中関係が21世紀を形作る。この事実がパートナーシップを支える」(オバマ大統領)
「(今回のSEDで)米中関係の新たな枠組みを。米中のみで解決できる国際的問題はほぼ皆無だが、米中なしで解決できる問題もほぼ皆無」(クリントン長官・ガイトナー長官、ウォール・ストリート・ジャーナル) --- これまで、中国については次のように指摘してきました。 「世界金融危機(10) アメリカの覇権はゴールドマンとともに中国に移動 流動性の枯渇と救済」 中国は、ゴールドマンサックス(GS)と密接な関係があります。もともとBRICsを言い出したのはGSです。そしてGSとアメリカ政府のつながりも明らかです。・・・寄生虫が宿主を渡り歩くように、金融資本にも新しい体が必要です。中国は、独裁国ですし法律も未整備ですので、そこから金融支配を進めるにはちょうど良いのかもしれません。 「アメリカドルのレパトリ(本国還流)はいつまで続くのか アメリカと中国の出来レースと振り込め詐欺」 ・日本などの対米債権国が、保有するアメリカ国債(米債)を売れば、債券価格が下落するため、大量に売却できないというジレンマがある ・しかし、中国はアメリカ国債を交渉カードにしているなど、ずっと米国債を持ち続ける保証はない 私はさらに踏み込んで、「中国とアメリカは、アメリカ国債の扱いや為替レートの調整に関して、すでに何らかの合意がなされている。中国とアメリカのコメントは、出来レースだ。最後には日本の資金が使い込まれる、壮大な振り込め詐欺だ。」と指摘します。 「SDR2500億ドルのバラマキ 信用創造の悪魔 ゴールドの奪い合いか」 最近、SDRが話題になっています。たとえば、 ・SDRをアメリカドルに代わる基軸通貨にすべき (中国人民銀行 周小川総裁) ・SDRの通貨バスケットに中国人民元を加えるべき (ノーベル経済学賞 ロバート・マンデル) ・SDRの構成資産にルーブルや人民元、金などを含めるべき (ロシア政府) 「日本人2人が13兆円のアメリカ国債をスイスに密輸未遂で逮捕・押収 実は米国債は偽造 笑えない話」 ・特に最近、アメリカ国債の過剰発行が問題になっている (アメリカだけではありませんが) ・そのため、アメリカ国債とドルの下落がささやかれている ・中国、ロシアを中心として、「ドル外し」を主張したり、実行する国が増えてきている ・日本は表立ってはアメリカ国債を売ることが禁じられており(橋本龍太郎事件)、こっそりと売ろうと思ったとしてもおかしくはない --- また、アメリカについては、 ・アメリカは、若くて優秀な労働力に恵まれており、潜在成長率が高い ・しかし、対外債務国であり、継続的な資本のファイナンスが必要 ・ファイナンスが困難になった時点で、自国借金の棒引き・帳消しを迫る可能性もある ・特に、10年に一度は戦争をして景気浮揚をするような体質であり、注意が必要 などと指摘してきました。 こんなアメリカと中国は、一見、仲が悪いようにも見えますが、実は共通する利害を有する「仲良し」なのだと理解しています。例えて言うと、トムとジェリーのような感じでしょうか(どちらがトムなのでしょうか)? さて 7月末に行われた米中戦略・経済対話(SED)では、この2カ国が世界の趨勢を決定するような、2大国対話(G2)のような感じになっていると指摘されています。 ・06年に始まったSEDでは、従来、米国が中国に人民元相場の切り上げを迫る場だった ・今回、中国が米国に財政再建を迫るなど、内政問題に口を出している ・一方、米国からの中国への人民元の切り上げ要求は強調されていない ・米国から中国への配慮が目立ち、立場が逆転した形 しかしながら、何度も指摘していますが、これもポジショントークであり、すでに結論が決まっていることなのだと思います。歴史を振り返ると、戦争や覇権の移動に伴う国債の売り崩しは珍しくないですし、その過程で新興勢力が大きな資金を得たということも歴史的事実です。 また、価値が下がると分かっている場合は、ヘッジをするのが普通でしょう(これほどの巨額の国債をヘッジする現実的方法があるかどうかは不明ですが)。ヘッジをしない場合には、「アメリカをまるごと買ってやろう」などといった、大きな意図があると思います。 これからの金利上昇を迎え、ドルの強制減価(切り下げ)、新ドル切り替え、ゴールド部分兌換通貨発行、アメリカの切り売り、などの奇手が用意されているのかも知れません。 繰り返しますが、『中国とアメリカは、アメリカ国債の扱いや為替レートの調整に関して、すでに何らかの合意がなされている。最後には日本の資金が使い込まれる、壮大な振り込め詐欺だ』と指摘します。 (引用開始) 攻守逆転 債権握る中国が米に注文、米は気配り 朝日新聞 2009年7月28日11時31分 【ワシントン=尾形聡彦】27日始まった米中戦略・経済対話(SED)で、米国に財政再建を迫る中国側の攻勢が目立っている。従来のSEDは、米国が中国に人民元相場の切り上げを迫る場だったが、今回は中国への配慮が目立ち、「攻守」が逆転した形だ。米国側は、オバマ大統領をはじめ主要閣僚が勢ぞろいし、2大国対話(G2)の様相もみせている。 「米国側とマクロ経済の問題について深い議論をした。米国の財政赤字が今後年々縮小していくことを希望している」 27日の経済対話の内容を、中国政府の幹部はこう説明した。具体的なやりとりは明かさないものの、米国に財政の改善を求めたことを示唆するものだ。米国の内政問題に中国が口を出すのは、米国が財政赤字を埋めるために発行している米国債の保有で、中国が昨年秋に日本を抜いて世界一になったためだ。米国の09会計年度(08年10月~09年9月)の財政赤字は過去最大に上る見込みだ。米財政の悪化が続けば、米国債の価値が下がって中国に損が出かねない。 中国側の27日午後の記者会見でも、中国メディアの記者から「米国債を大量保有して大丈夫なのか」という質問が続出。中国政府幹部は「オバマ大統領は経済が安定すれば、財政赤字減らしに注力する意向だ」と強調した。 一方で、06年に始まったSEDで定番だった米国側からの中国への人民元の切り上げ要求は影をひそめている。別の中国政府幹部は27日夜の会見で「今回は、米国は人民元相場については強調していない」と満足げに話した。 米国側からは、オバマ大統領が冒頭の演説で「米中の2国間関係が21世紀を形作る」と発言するなど、中国への配慮がにじむ。オバマ氏は「山の小道は、使えばすぐに道になるが、使わなければ、やはりすぐに雑草に覆われてしまう」と孟子の言葉まで引用してみせ、2国間の対話の継続を訴えた。今回の対話にはガイトナー財務長官、バーナンキ連邦準備制度理事会議長、サマーズ国家経済会議議長、カーク通商代表ら主要閣僚が顔をそろえ、力の入れようが目立っている。 -- e株リポート:特集 米国債暴落 毎日新聞 ◇史上最大の米国債大量発行 ◇マーケットは「危うい」と見始めた 米国の長期金利が急上昇している。財政悪化への「懸念」は根強く、積極財政による景気刺激と低金利政策による住宅市場回復を目論むオバマ政権にとって、長期金利上昇は命取りとなりかねない。政府とFRBの綱渡りの政策運営が続く。【週刊エコノミスト編集部・濱條元保】 「米国債の洪水をFRB(米連邦準備制度理事会)は、オフセット(埋め合わせ)できない」 米ダラス連銀のフィッシャー総裁は6月15日、地元メディアのインタビューで国債大量発行が足元の長期金利上昇の要因になっている可能性に懸念を示した。 ◇赤字の「垂れ流し」 米国の赤字垂れ流し--。世界の金融市場がここに注目し始めた。 オバマ政権はブッシュ前政権が総額7000億ドル(約66兆円)で作った不良資産救済プログラム(TARP)と政権発足直後に決めた総額7800億ドル(約74兆円)の景気対策をフル活用している。アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)やシティグループなど大手金融機関への公的資金注入で金融システム安定化に努め、さらには経営破綻したゼネラル・モーターズ(GM)を事実上国有化し、政府丸抱えで再建に取り組む。減税や住宅ローンの借り換えなど個人向け支援策も打ち出した。 大盤振る舞いの原資は国債だ。米政府は不況に伴う税収減も加わり、2009会計年度(08年10~09年9月)に1・8兆ドル、対国内総生産(GDP)比13%という戦後最大の財政赤字となる。財政赤字は10年度も1・3兆ドル、11年度も0・9兆ドルと高水準で続く見通しだ(表)。 巨額財政赤字に対する市場の疑念が国債価格下落(長期金利上昇)の背景にある。2%台前半に低下していた長期金利は5月以降3%台半ばをつけ、6月10日には一時4%を超えた。「09年度1・8兆ドルという史上最大の財政赤字ファイナンスをどうするか」(高島修・三菱東京UFJ銀行チーフアナリスト)が、問われているのだ。 リーマン・ショックに至るまでの米国は、まったく違う経済状況にあった。01年のITバブル崩壊後、短期金利のフェデラルファンド(FF)レートを1%まで引き下げたFRBは、04年6月から06年6月までに5・25%まで段階的に引き上げたにもかかわらず、長期金利がこれにまったく反応しない状況が続いた。グリーンスパンFRB議長(当時)は05年2月の議会証言で、これを「Conundrum(謎)」と語った。中国やロシアなどの新興国の経済発展、そして原油高で潤う中東産油国が、貿易黒字で積み上がる外貨準備で米国債を購入することが原因だと、謎の解説がなされた。 しかし、当時と現在では決定的に米国債の発行額が異なる。グリーンスパンの「謎」発言のあった05年度の米国債発行総額(ネット)は2387億ドル。それに対して、09年度は5月までに約5倍の1兆2182億ドルに達する(図1)。 そして、足元の国債発行額(ネット)は、08年第3四半期(7~9月)に5395億ドル、第4四半期に5616億ドルと急増、09年に入っても第1四半期に4684億ドルに達した。通常、所得税など税収増に伴い、ネットベースではマイナスになる第2四半期も5月までで1881億ドルと高水準の発行が続いている(図2)。 ◇米国債の「サブプライム化」 米国債は、日本国債とは対照的に高い流動性とドル資産という基軸通貨国の特権を武器に世界に売りさばかれてきた。民間から流入する資金とともに、それが過剰消費に伴う巨額の経常赤字を補い、米国は高い経済成長を謳歌してきた。経済成長のための原資だったのだ。 ところが、昨年以降は違う。サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題で大きな損失を被り、自力では立ち行かなくなった大手金融機関や大企業、そして過剰債務で破綻状態の個人を救済するための原資と化した。 三菱UFJ証券の水野和夫チーフエコノミストは、投資の失敗のよるキャピタルロス(損失)の穴埋めという視点から、「米国債のサブプライムローン化が始まった」と指摘する。米国債への投資は、成長のためではなくキャピタルロスの穴埋めに過ぎず、従来のような成長は期待できない。それは米国債の減価を余儀なくさせるというのだ。 米国債は、サブプライムローン担保証券と違って、税収で償還される。しかし、「米国民の約3割が生活資金を借金に頼っている状況で、増税はおろか現状の税金すら徴収することが難しくなっている。米国債の償還は一層、厳しくなる」(水野氏)。 米国債のロスは、ドルの減価で調整せざるを得なくなる。つまり、米国債下落分をドル安という為替調整で穴埋めするということだ。ここにドル安不安もある。 ◇BRICsがIMF債購入 投資家は、すでに米国債下落リスク回避に向けて行動している。 大量発行されている国債の中身に注目すると、長期国債よりも短期国債を投資家が志向していることがわかる。米財務省の資料によると、08年4月までの1年間は、短期国債発行額1106億ドルに対して長期国債は3092億ドルと長期が短期の約3倍となっていた。それが09年4月までの1年間では、短期国債4535億ドルと長期国債2689億ドルの1・7倍と逆転した(図3)。 「外貨準備で運用している各国政府が下落リスクを避けようと、米国債投資を短期化させたのが原因」(嶌峰義清・第一生命経済研究所主席エコノミスト)という。その“首謀者”と推測されているのが中国だ。 中国は欧米向け製品輸出の急増で、積み上がった外貨準備は3月末で世界最大の1兆9537億ドル。米国債保有額も4月末で7635億ドルとトップである。ガイトナー米財務長官は5月末に訪中し、最大の「お得意先」に、今後の購入について協力を求めた。 しかし、ガイトナー長官が面談した中国人民銀行元政策委員の余永定氏からは「中国は米国債を当然のように購入し続けるわけではない」とクギを刺された。実は毎月、米国債保有額を増加させていた中国が、4月は前月比44億ドル減少していた(図4)。 さらに6月5日には、中国が外貨準備でIMF債を最大で500億ドル購入することが明らかとなった。債券は準備資産であるSDR(IMF特別引き出し権)建ての発行になるとみられている。ドルに偏重した外貨準備の運用を多様化させる狙いと市場は受け止めた。 こうした中国の対応にロシアとブラジルが間髪を入れずに呼応する。 ロシア中央銀行のウリュカエフ副総裁が6月10日、保有する米国債を売却してドル資産での運用を引き下げる方針を示すと同時に、IMF債100億ドルを引き受けると発表。同じ日、ブラジルのマテンガ財務相がIMF債100億ドルを引き受ける意向を明らかにした。インドも近くこれに追随する模様で、BRICs4カ国で総額700億ドル超のIMF債を購入することになる。 ◇市場からのしっぺ返し 検討されているSDR建てについても、現状はドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨構成だが、中国事情に詳しいエコノミストの田代秀敏氏は「中国は現状のGDPでの構成比の見直しを求め、世界第2位目前の中国人民元をSDRに加えるように迫るだろう」と予想する。 政府の積極財政で需要を作る一方で、低金利継続で住宅市場を回復させ、米国経済を復活させる--。オバマ政権の景気対策の大前提は、低金利にある。3月以降、その大前提が狂い始めた。そこでFRBが力ずくでこれを抑え込もうと異例の行動に出た。3月18日、9月までに国債購入枠3000億ドルを設定したのだ。6月中旬までに約1600億ドル分を購入。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、「資産担保証券(MBS)まではやむを得なかったが、米国債購入は危うい」とみる。 直後こそ長期金利は低下したが、その後はそれ以上に上昇している。「FRB自らが(国債を買って金利を押し下げるという)歪みを作ったのだから、市場はその是正に動くのは当然」(加藤氏)。 バブル崩壊後の長く、出口のないデフレ不況に苦しみ抜いた日本を反面教師にする米国。住宅バブル崩壊後、デフレ回避にリフレ政策をとる以上、一定のインフレリスクは織り込み済みのはずだが、「とにかく国債発行額が多過ぎて、本当にこなせるのか」(第一生命経済研究所の嶌峰氏)と市場は身構える。3月はFRBが国債買い取り枠設定で乗り切ったが、中央銀行が買い続けることはできない。財政規律が失われると市場が読み出したら、危険だ。 (引用終了) #
by kanconsulting
| 2009-08-04 12:37
| 経済状況
皆様は、「カマボコ」をご存知でしょうか?
白身魚(タラ)のすり身を練って焼いたものではありません。株式の成り行き取引で、顧客の注文をマーケットに取り次ぐ際に、その注文の中抜きをすることです。「株の裏」(現在は休止中のようですが)さんに詳しい説明が出ていますので、簡単に引用したいと思います。 (引用開始) 東証で一日の出来高がせいぜい数千株といったほとんど商いのない或る銘柄が、朝200円で寄り付いたとします。そして202円で千株だけ売り注文が出ていて、その後30分ほど見ていても売りも買いも新たな注文が入ってきません。 そこで担当係員に千株成り行き買いの注文を出しました。 店頭のクイックを見ていると間もなく202円で千株できたので、当然約定したものと思ってましたが、すぐに特買の気配が出てるのです。 念のため、担当に確認したところ「私の注文はできてない。一足違いで誰かが買って、今の買い気配が私の注文だ」との事。慌てて注文を取り消しました。 そしてクイックを見ているとすぐに205円の売り注文が千株だけ出てきて、その後しばらく様子をみていても、やはり他に注文が入ってきません。改めて千株成り行き注文を出しました。 すると、さきほどと同じく205で出来た後買い気配になっているのです。担当に聞くとやはり約定してないとのことで、再度注文を取り消しました。 出来高の多い銘柄ならともかく超閑散としたこんな状況で、しかも二回も続けてたまたま・・というようなことは絶対あるはずもなく、これは明らかに私の注文をみて、それに割り込んで自分でその売り板を払ってから私の注文を通したということに他なりません。 そしてそういった芸当ができるのは証券会社以外考えられません。つまり、私の成り行き注文をみて、まずその売り板を自分で買って、その後私の買い気配が少し上がったところでその株を売れば差額が丸々儲けになるとということです。 ・・・ 我々個人が注文を出すと、すぐに取引所に通ると思ってるだろうけど、それは間違いで、皆は知らないだろうけど「かまぼこ(サヤトリ)」というのが間にいて、そいつが、証券会社に「こういう注文がきてるけどどうしましょう?」と伺いをたてるんだそうです。 そしてディーラーが「ちょっと待たせておけ」と言ったら、そのまま何分でもほっといたりするらしいです。 そういえば、過去にも数え切れないくらいそういう場面があったけど、これで納得できました。 (引用修了) ということです。現在の日本株式市場で、このような「成り行き発注の中抜き・ピンハネ」があるかどうかは不明です。 最近では、超高速演算によって可能となった、「他人の注文に、30マイクロ秒早く割り込んで、中抜きをする」ことが流行っているそうです。そもそも、異市場での価格裁定取引などから発生したアービトラージですが、現在では情報通信・情報処理の高速化により、単純なアービトラージはあり得ません。リスクの数値化(数学)を高度活用した方向に進化したことは皆様ご存知と思いますが、このケースは、スピードのみで勝負する「本家」アービトラージと思えなくもありません。 その前提となっているのが、取引所(胴元)が、特定のトレーダー(越後屋)に、便宜を図るという構図です。簡単に言うと、素人をカモるための出来レース、ということになります。 ・米国の一部取引所は、一定の料金で、特定のトレーダーに0・03秒ほど早く市場情報を提供 ・取引所とは、ナスダック市場など ・特定のトレーダーとは、ゴールドマンなど ・このトレーダーは他の投資家を出し抜く形での取引が可能、一般投資家には不可能なため、 サヤとしては、微々たる額でしょうが、市場でのすべての取引に関与できるとしたら、巨額になることは容易に想像できます。 (期待利益/日)=(市場出来高/日)*(サヤ率) これを回避するためには、市場オープン前の寄り付きでの成り行きが有効でしょうか。それとも、微々たる額なので気にしないほうが良いのでしょうか。一般投資家をカモにする構図については、断固たるNOの声をあげなくてはなりません。 株式に限らず、FXでも、「約定価格がスリップした」というのはよく聞く話です。取引が薄い、値動きが大きいなどのケースではありえる話ですが、悪質なFX業者では、顧客の発注のサヤを抜くこともありえるとの噂も聞いています。 関連したニュースを引用します。 (引用開始) 米ゴールドマン・サックス:0.03秒差使い巨利 市場情報一足早く入手し取引 【ニューヨーク共同】24日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、米金融大手ゴールドマン・サックスなどが高性能コンピューターを駆使し、他の投資家よりも一瞬早く市場の情報を得た上で、こうした情報を利用した株式の売買を超高速で行い、巨額の利益を上げていると報じた。 こうした取引は情報技術(IT)システムに巨額の投資を行えるゴールドマンなどに限られ、一般投資家には不可能なため、同紙は「不公正」と批判。米証券取引委員会(SEC)も調査を始めた。 ナスダック市場など米国の一部取引所は一定の料金を受け取る見返りに、特定のトレーダーに0・03秒ほど早く市場情報を与えている。ゴールドマンなどは高性能コンピューターを使ってこうした情報を分析、他の投資家を出し抜く形で取引を行っているという。 取引に当たっては、数百万単位の注文を瞬時に処理する能力を持つシステムを活用、巨額の利益に結び付けたようだ。 毎日新聞 2009年7月26日 東京朝刊 米SEC、株取引情報を一部に優先提供する「フラッシュ」を調査 2009年7月28日9時45分 [ワシントン 27日 ロイター] 米証券取引委員会(SEC)は27日、株式の売買注文状況を100分の1秒単位の差で早く一部のトレーダーに通知する「フラッシュ」と呼ばれる慣行を調査していることを明らかにした。 SECは電子メールで「最善の取引執行とすべての投資家にとって公平な情報アクセスを確保する観点からフラッシュオーダーを調査している」と表明した。 米上院のチャールズ・シューマー議員は24日、SECのシャピロ委員長に書簡を送り、フラッシュの規制を要請。SECが措置を講じなければ、法案を提出する構えをみせた。 ナスダック(米店頭株市場)を運営するナスダック・ストック・マーケットとBATS取引所は6月初めに有力ブローカーディーラーを含む会員向けにフラッシュを導入した。 フラッシュは、「ダークプール」と呼ばれる匿名性が確保された自動的に売買をマッチングさせる取引環境でも存在する。 SECの調査は、「ダークプール」にメスを入れる形で進められており、取引所や自動トレーディングシステムのフラッシュにより市場参加者の間で不公平が生じていないか調査している。シャピロSEC委員長は6月、投資家保護や市場の一貫性にダークプールがもたらす潜在的問題について規制面の対応が必要か真剣に検討していると述べていた。 (ロイター) (引用終了) #
by kanconsulting
| 2009-08-03 13:00
| 株式投資
輸出メインの製造業の声を聞いていますと、
・ここ数箇月、アジア向けの輸出積み増しが増えている ・景気回復の実感がないのに、不思議だ ・ユーザーの原料在庫削減が一巡したため、購買が戻ってきているのでは? ・あるいは、安値で原料を確保したいという思惑か? などと聞こえてきます。簡単に言うと、「一時的な需要回復ではないかと思っている」ということです。 さて、少し前の話になりますが、2009年上半期(1~6月)の貿易収支が発表になりました。 09年上半期 輸出額 24兆0066億円 ▲42.7%(前年同期比) 輸入額 23兆9983億円 ▲38.6%(同) ・1980年以降で最大の減少率 ・円高による輸入額の減少が大きい ・原粗油の輸入減は価格低下が一因 (輸入原油単価 3万5869円/kL 前年比▲55.5% US$59.3/bbl 前年比▲51.3%) 貿易収支 08年下半期 ▲7662億円 09年上半期 +83億円 黒字回復 世界景気と日本景気、輸出と輸入、にタイムラグがあるため、相対的に、貿易収支が黒字化したと見られています。ですが、貿易収支黒字は永遠に続くのでしょうか? このブログでは、繰り返し、「経済状態の発展段階説により、世界の中での日本をめぐるマネーフローが変調し、為替などの水準も立ち位置を変えていくだろう」と指摘しています。 「貿易黒字は永遠に続かない」のだと思います。 --- 世界の資産クラスとして、株式、債券、不動産、原油と各種天然資源、ゴールドを考えたとします。普通は、これらは「マネーによる価値付け」が行われますが、何度も指摘しているように『余剰のマネー(過剰流動性)』の問題があり、それらの真の価値を知ることは困難です。 そのような場合に、マネーの影響を除去するためには、物理学のように、代表的なものの価格で他のものの価格を割り、無単位にすれば良いのです。たとえばゴールドを代表にすると、 株式/ゴールド 債券/ゴールド 不動産/ゴールド 原油/ゴールド となります。しかし、この場合には、ゴールドそのものの価値を知ることは出来ません。また、ゴールドの投機的価格変動による影響を除くことが出来ません。ですので、 株式/(世界に存在するすべての資産の合計) 債券/(世界に存在するすべての資産の合計) 不動産/(世界に存在するすべての資産の合計) 原油/(世界に存在するすべての資産の合計) ゴールド/(世界に存在するすべての資産の合計) などとするのが理想的でしょうか。この場合にも、そもそも「世界に存在するすべての資産」をどうやって合計するのか?資産から借金を除かなくて良いのか(純資産)?などの問題があります。また、株式が下がったり、金利が上がる(債権価格低下)と、他の資産クラスが相対的に価値が上がることとなりますので、まだ難がありそうです。 (引用開始) 貿易統計:輸出入額、最大の4割減 09年上期 財務省が23日発表した09年上半期(1~6月)の貿易統計(速報)によると、輸出額は前年同期比42.7%減の24兆66億円、輸入額は38.6%減の23兆9983億円と、ともに比較可能なデータが残る1980年以降で、最大の減少率を記録した。特に輸出は、米国向け、欧州連合(EU)向け、アジア向けの3地域とも過去最大の減少率で、08年9月の金融危機で米国や欧州が急速に消費を絞り、世界規模で貿易が縮小した実態を裏付けた。 輸出額から輸入額を引いた貿易収支は、83億円の黒字だった。08年下半期は、第2次石油危機以来28年ぶりの貿易赤字(7662億円)を記録したが、2半期ぶりに黒字を回復した。企業は輸出額の減少を受けて、原料など輸入の発注を減らす傾向があり、輸出の減少と輸入の減少はタイムラグがある。先行して減り始めた輸出額に、輸入額の減少が追いついたため、黒字になった。 輸出の地域別では、米国向けが48.9%減、EU向けが48.8%減とほぼ半減、アジア向けも38.3%減だった。ただ中国向けは32.1%減で、相対的に減少幅が小さく、輸出を下支えした。 また品目別では、欧米向けを中心に、自動車が64.6%減と過去最大の減少となったほか、半導体などが38.2%減、鉄鋼が37.0%減だった。輸入額では、原油価格の暴落と円高を受けて、原粗油が63.4%減った。 同時に発表した6月の貿易収支は、前年同月比約4.9倍の5080億円の黒字となり、20カ月ぶりに前年水準を上回った。貿易黒字は2月から5カ月連続。金額も08年3月以来1年3カ月ぶりの高水準だった。 輸出額は35.7%減と9カ月連続で減少したものの、2月(49.4%)を底に持ち直し傾向を強める一方、輸入額は41.9%減と、依然4割前後の減少が続いており、この結果、貿易黒字が急増した。財務省は「中国を中心に輸出は回復傾向にあるが、金融危機以前の水準まで回復する見通しは依然立っていない」と分析している。 毎日新聞 2009年7月23日 11時25分 (引用終了) #
by kanconsulting
| 2009-07-28 12:58
|
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